第46回 国連PKOとミッションパートナーとの協働@PKOなう!

本コラムにある意見や見解は執筆者個人のものであり、当事務局及び日本政府の見解を示すものではありません。

2013年4月26日
国際平和協力研究員
とやま せいこ
外山 聖子

国連PKOのミッションパートナー

 国連PKOは、2013年4月現在、15のミッション(政治ミッション1つを含む)[2]を展開しています。各ミッションは、各国における平和維持期から平和構築期にかけての様々なニーズに対応するために、国連PKO単独で展開する場合もありますし、場合によっては他のパートナーと連携し、それぞれの強みや資源を生かしながら協働で任務を遂行する場合もあります。そこで今回は、国連PKO要員の派遣前研修マニュアルで定義されている、国連PKOの協働パートナーをご紹介したいと思います。パートナーは、大きく分けて(1)国連カントリーチーム、(2)現地政府・市民、そして(3)地域機関・援助国・NGO、の3つあります。

1.国連カントリーチーム[3]

 まず国連PKOの主要なパートナーの一つが「国連カントリーチーム」です。国連カントリーチームとは、国連PKOが派遣されている国で活動している、国連PKO以外のすべての国連機関、基金やプログラム、そして国際機関を指します。例えば現在、日本が要員を派遣している南スーダンでは、国連PKOである「国連南スーダン共和国ミッション」(UNMISS[4])が展開されていますが、現地では他にも、国連開発計画(UNDP)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、赤十字国際委員会(ICRC)などの、多くの国連・国際機関が活動しています。これらの国連カントリーチーム[5]は、事業実施のための資金や専門性の共有、現地情勢に関する情報交換、さらに平和構築から復興へ橋渡しするための、必要不可欠なパートナーです。

2.現地政府・市民

 2つ目は「現地政府・市民」です。実はこれが最も重要なパートナーとなります。なぜなら、国連・国際機関及び国際NGOは、事業が終了すれば国を離れて行く場合が多いですが、将来に渡り現地に在住し、最終的にその国家を支えていくのは、現地の人々自身だからです。平和維持活動や緊急・人道援助はあくまでも臨時の国外からの手助けで、最終的には、彼らは自らの手で自立する国家を構築することが重要となります。現地政府・市民とのパートナーシップで重要なことは、国家元首間のような高レベルでも、ミッション要員と政府のカウンターパートとの日常的な打ち合わせでも、皆がそれぞれの立場で、現地の人々と丁寧に対話を重ねていくことが、和平プロセスを確実に進めていくために重要となります。

3.地域機関・援助国・NGO

 国連や国内の関係者に加えて、「地域機関・援助国・NGO」も、重要なパートナーです。例えば南スーダンの場合は、アフリカ連合に加えて、東アフリカ共同体(East African Community)、政府間開発機構(IGADIntergovernmental Authority on Development)などの地域機関が、重要なパートナーとなっています。また、現在UNMISSに要員を派遣している国の現地大使館等との連携も不可欠ですし、さらにQIPs[6]Quick Impact Projects: 小規模公共施設の修復や短期雇用創出事業等がある)を行う際には、NGOなどが主要な連携パートナーとなります。

このように国連PKOは、各現場において単独でミッションを行うだけでなく、様々な国際・国内機関等と連携しながら、平和維持そして平和構築のための、プロジェクトを進めています。各機関・団体により、活動期間や活動内容、また専門性や資金源が異なりますので、各機関がどのように活動をしているかを把握しつつ、より良い関係を保つことが、国連PKO活動をスムーズに遂行するために重要となります。

[1]UN Peacekeeping PDT Standards,Core Pre-Deployment Training Materials, 1st ed. (2009)

[2]United Nations Peacekeeping Operation:Fact Sheet. 28February, 2013.

[3]国連PKOと国連カントリーチームも合わせてご参照ください。

[4]United Nations Mission in the Republic of South Sudan. (UNMISS)

[5]United Nations in South Sudan. (南スーダンのカントリーチーム)http://ss.one.un.org/index.html

[6]国連PKOQIPsと緊急・人道支援