第3回 国連PKO派遣国ランキング@PKOなう!

本コラムにある意見や見解は執筆者個人のものであり、当事務局及び日本政府の見解を示すものではありません。

2012年4月13日
国際平和協力研究員
しも まさこ
志茂 雅子

国連PKO派遣国ランキング

 国連PKO局のウェブサイトには、国連PKOに軍事要員及び警察要員を派遣している各国のランキングが掲載され、その統計は毎月末日付で更新されています。[1] 最新の2012年3月末のランキングによると、日本の場合、既存のハイチ等への派遣に加え、南スーダンへの新たな派遣部隊の人数が反映され、人的貢献国として117か国中、38位(499名)を占めていることがわかります。

ランキング最上位の諸国

 ところで、このランキングで常に最上位を占める国々をご存じですか。バングラデシュ、パキスタン、インドといった南アジアの諸国です。2012年3月末時点のランキングにおいても、バングラデシュが1位で10,245名、2位がパキスタンの9,401名、3位がインドの8,134名となっています。[2] 実にこの3ヶ国で、全世界に展開している国連PKO軍事・文民警察要員の28%を占めていることがわかります。
 バングラデシュを例にとりますと、MINURSO(西サハラ),MINUSTAH(ハイチ),MONUSCO(コンゴ(民)),UNAMID(スーダン・ダルフール),UNIFIL(レバノン),UNMIL(リベリア),UNMISS(南スーダン),UNMIT(東ティモール),UNOCI(コートジボワール)の9件のPKOミッションに軍事要員や部隊、文民警察要員を送っています。[3] これは現在国連PKO局が展開している15件のミッションのうち60%のミッションに人員を派遣していることとなり、人員数はもとより、地理的にも広くPKO部隊を展開していることが見て取れます。

その他の人的貢献が大きい諸国

 その次に国連PKOに部隊を派遣している国としては、エチオピアやナイジェリアといったアフリカ諸国やエジプト、ヨルダンといった中東諸国が多く、その後南米諸国や東南アジア諸国もランキングに顔を出しています。

安保理常任理事国による貢献

 PKOの派遣は安保理決議により決定されるため、安保理で拒否権を有する常任理事国、いわゆるP5(米、露、英、仏、中の5か国)では、原則として国連の通常予算の分担率よりPKO予算の分担率の方が大きくなっています。[4][5]
 中でも中国は、PKO予算に対する貢献としては、絶対額から見ると必ずしも大きいとは言えないものの、分担率で見ると2009年の3.1474%から翌年2010年には3.9390%に増えています。[6] また、人的貢献としても前述のランキングで16位と比較的高位につけており、実は他のどのP5諸国よりも国連PKOに対し多くの軍事・文民警察要員を派遣しています。[7]
 なお、P5の中で比較すると、人的貢献16位の中国の次に来るのは18位のフランス、そしてかなりあけて47位のイギリス、56位のアメリカ、60位のロシアと続いており、必ずしもP5の人的貢献が大きいわけではないことがわかります。
 さて、今回は、南アジア諸国を中心に国連PKOに対する人的貢献を見てきましたが、次回(第7回目を予定)は近年目覚ましく国連PKOに力を入れている、お隣の国、中国に焦点をあてて国連PKOを見ていきたいと思います。

[1]United Nations Peacekeeping.Ranking of Military and Police Contributions to UNOperations. 31-Mar-12.http://www.un.org/en/peacekeeping/contributors/2012/March12_2.pdf.

[2][1]と同.

[3]United Nations Peacekeeping.UNMission's Summary detailed by Country.31-Mar-12.http://www.un.org/en/peacekeeping/contributors/2012/March12_3.pdf.

[4]外務省 国連 2010-12年国連通常予算分担率・分担金http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jp_un/yosan.html.

[5]外務省 国連 2008-10年国連平和維持活動(PKO)予算分担率・分担金http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jp_un/pko_yosan.html.

[6][4]と同.

[7][1]と同.