第2回 消費者関連情報の提供の在り方検討ワーキング・グループ 議事録
日時
2021年3月8日(月)13:00~15:28
場所
消費者委員会会議室・テレビ会議
出席者
- 【構成員】
- 新川座長、受田座長代理、片山委員
- 【オブザーバー】
- 生駒委員
- 西田佳史 東京工業大学工学院教授
- 八木洋介 株式会社people first代表取締役
- 高巖 麗澤大学大学院経済研究科教授
- 【参考人】
- 株式会社イトーヨーカ堂 経営企画室CSR・SDGs推進部総括マネジャー 小山遊子氏
- 株式会社イトーヨーカ堂 経営企画室CSR・SDGs推進部マネジャー 強矢健太郎氏
- ヤマトホールディングス株式会社 顧問 西澤侑希氏
- ヤマト運輸株式会社 地域共創推進室課長 松良信一氏
- ヤマト運輸株式会社 地域共創推進室係長 長瀬晴信氏
- 【事務局】
- 加納事務局長、渡部審議官、太田参事官、友行企画官
議事次第
- 開会
- 事業者からのヒアリング
- 閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:89KB)
- 【資料1】 株式会社イトーヨーカ堂提出資料
- 【資料2】 ヤマトホールディングス株式会社提出資料
※【資料2】については、2021年3月10日、提出者により一部修正がなされています。
≪1.開会≫
○友行企画官 それでは、大変お待たせいたしております。少し定刻を過ぎましたけれども、今、新川座長からSkypeの調子が悪くてもう一度入り直しているところだという御連絡がございました。時間が5分ほどたちましたので、進行のほうは先に進めさせていただきたいと思います。
本日は、皆様、お忙しいところを会議に御参画いただきまして、誠にありがとうございます。
ただいまから、第2回「消費者関連情報の提供の在り方検討ワーキング・グループ」を開催いたします。
本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、テレビ会議システムにより開催いたします。
御出席の委員は、この後、新川座長が入られると思います。それから、受田座長代理、片山委員、生駒委員も御出席の御連絡をいただいておりますが、接続が遅れているようでございます。高委員、西田委員、八木委員がテレビ会議システムにて御出席でございます。
テレビ会議システムによるワーキング・グループの開催に当たりまして、委員の皆様にお願いいたします。1つ目に、ハウリング防止のため、発言者以外の方はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
2つ目に、御発言の際には、マイクのミュートを解除しまして、お名前をおっしゃっていただきますようにお願いいたします。発言が終わりましたらば、再びマイクをミュートの状態にしていただきますようお願いいたします。なお、発言のタイミングがつかめない場合には、チャットに「質問」や「発言」などと入力していただきましたら、座長などから発言者を指名していただきます。
3つ目に、音声が聞き取りづらい場合におきましても、チャット機能でその旨をお知らせいただきますようにお願いいたします。
議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第に配付資料一覧が記載されております。もし何か不備がございましたらば、お知らせいただきますようお願いいたします。
新川座長が入られましたので、以降の議事進行は、新川座長にお願いいたします。
それでは、新川座長、議事進行をお願いいたします。
≪2.事業者からのヒアリング≫
○新川座長 遅くなりまして申し訳ありませんでした。
それでは、本日の議事進行をさせていただきます。第2回消費者関連情報の提供の在り方検討ワーキング・グループ議事次第に従いまして、進行をさせていただきたいと思います。
本日の進行につきまして、本ワーキング・グループでは、消費者関連情報につきまして、事業者等と連携した新しい情報提供のルートについて検討することをテーマとしておりまして、御案内のとおり、地方公共団体とも連携し、本業を通じた地域貢献、地域の課題解決の取組を行っている事業者からお話をお伺いしたいと思っております。
それでは、既に御準備いただいているかと思いますが、株式会社イトーヨーカ堂様、経営企画室CSR・SDGs推進部総括マネジャーの小山様、マネジャーの強矢様にお越しいただいております。お忙しいところ誠にありがとうございます。
恐縮ですが、20分程度で御説明をお願いできればと思いますので、よろしくお願いをいたします。
○株式会社イトーヨーカ堂小山参考人 皆様、こんにちは。イトーヨーカ堂の小山でございます。本日はこのような機会をいただきまして誠にありがとうございます。
それでは、「本業を通じた地域貢献の取組について」御報告させていただきます。よろしくお願いいたします。
本日の報告でございますが、「創業の精神“商いのこころ”」「地域行政との連携」についてお話しさせていただきます。
弊社の紹介でございます。我々はセブン&アイ・ホールディングスのスーパーストア事業の一つであるイトーヨーカドーでございます。ほかにはヨークベニマルとヨークがスーパーストア事業の核を成しております。また、セブン-イレブン・ジャパン、そごう・西武、セブン銀行など、グループ全体で豊かな新しい価値創造を通じて社会の持続的成長に寄与するというところを掲げて業務を運営しております。
お客様との「つながり」が原動力ということで、日本国内においては2万2500店、毎日、2500万人のお客様に御来店いただいておりますので、その接点というものがリアルの店頭にはあるということでございます。
我々イトーヨーカ堂は、おかげさまで2020年に100周年を迎えました。1920年に洋品店として開業しておりまして、信用もなく、資金もない。戦後、東京千住で2坪のお店からスタートいたしました。
まずはじめに「創業の精神“商いのこころ”」について御説明させていただきます。
名誉会長であるの伊藤が“商いのこころ”を説いております。お客様は来てくださらないもの、お取引先様は売ってくださらないもの、銀行は貸してくださらないものというのが商売の基本である。だからこそ、一番大切なものは信用であり、信用の担保はお金や物ではなく、人間としての誠実さ、真面目さ、そして何より真摯さであるというところが我々の創業の精神でございます。
1972年に現在の社是が制定されました。私たちは、お客様に信頼される、誠実な企業でありたい。取引先、株主、地域社会、そして社員に信頼される誠実な企業でありたいということを掲げて、この当時よりステークホルダー全体を意識した商売を目指しているところでございます。
こちらは弊社グループが掲げる“5つの重点課題”です。これはグループ全体を通じて、我々の小売業を含めた中で一番社会課題を解決するインパクトのあるものということで2014年に制定されています。高齢化、人口減少時代の社会インフラの提供、商品や店舗を通じた安全・安心の提供、商品、原材料、エネルギーの無駄のない利用、社内外の女性、若者、高齢者の活躍支援、お客様、お取引先を巻き込んだエシカルな社会作りと資源の持続性向上、この5つをグループ全体で課題解決に寄与していきたいというところで掲げております。
こちらは我々イトーヨーカ堂の“目指すべき姿”です。私たちは小売業ですので、「買う」「届ける」という商品をお客様に提供する機能的価値、ライフラインとして営んでいるのですけれども、それだけではなく、お客様の豊かな生活を考え、「集う」「食べる」「遊ぶ」「学ぶ」「相談する」という場の提供を目指しております。
現在、これまでに経験したことのない未曽有である、コロナ禍ですが、ニューノーマルに対応して、安全・安心を掲げて日々営業をいたしております。
これにプラスして本業を通じた社会課題への対応として先程申し上げた5つの重点課題やSDGs、弊社グループの環境宣言であるグリーンチャレンジ2050というものを掲げております。こういったことを自治体と連携を図りながら目指していきたいと全従業員に向けて社長からトップメッセージを発信しております。
こちらから具体的な「地域行政との連携」について御説明させていただきます。
先程ご説明しました5つの重点課題に照らし合わせますと、1つ目、高齢化、人口減少時代の社会インフラの提供ということです。自治体と協定締結を図りながら進めており、累計59自治体、10都道府県、48区市、1行政区、お店にすると69店舗が自治体と協定締結をしております。ただ、締結が目的ではなくて、地域の活性化、市民サービスの向上に向けた持続的な取組を推進しております。
地域で商売させていただくうえで地域を理解するということが一番大事なことだと認識しております。本業を通じた社会貢献としては、地域課題の解決を図っているところでございます。自治体単位にマーケットが違って、抱える問題は様々ですので、個店マーケットに合わせた地域貢献を重要視しております。
締結後の継続的な取組から、地域からの信頼を得られるものと考えておりますので、お店が市区町村、行政区の継続的な地域貢献を推進し、本部は、全体統括と地域貢献活動のフォロー、また国や都道府県については、本部で対応しております。
店舗では、管理統括マネジャーという役職者が行政推進の担当を担い、会社・店舗の信頼向上のため、地域・行政・取引先など、地域との連携を図っております。
自治体のほうも窓口を一本化していただいております。生産性の高い議論、横断的な取組へとございますけれども、ある一つの課題があったときに、横連携でつながっている問題が多くございますので、議論の内容の横断的な共有、個の取組ではなく、点から線、面への取組へ進化させて、市民に分かりやすい取組にして、市民サービスの向上を図るという取組を推進しております。
こちらの取組をPDCAと書きましたけれども、まず取組を計画して、スケジュール化して、実際に実行して、更に定例会議で進捗確認、是正をしていって、ずっとこれを継続してやっていくというような実効性を担保するやり方をしております。
3つの視点で取組を推進しています。マル1、市民サービスの向上と地域の活性化、マル2、本業を通じた社会課題の解決、マル3、SDGsへの貢献です。
5つの重点課題に対して、具体的な事例です。重点課題1で進めているのが、移動スーパーの「とくし丸」でございます。社会課題として、お買物にお困りになっている方の増加、また新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴う3密回避で、なかなかお店に来られない方々のために移動スーパーを走らせて、お買い物の場の提供をするということでございます。
社会的な価値として社会課題の解決を図ると同時に、企業の価値としても、非来店客への御用聞きで、店と競合せずにプラスオンの売上が確保できるということもございます。
同時に、高齢者や子供など、地域の見守り活動も行っております。こちらは行政との見守り連携協定等も結びながら、地域ネットワークに参画している具体的な事例でございます。
さらに、「とくし丸」を通じた地域での連携ということで、認知症サポーターの養成講座の受講を進めています。地域の見守り活動をする主体として、きちんと認知症を正しく理解した上で実施しております。
次に2つ目の重点課題である、商品や店舗を通じた安全・安心の提供です。具体的な事例の一つとして市政情報の発信がございます。SNSなどの活用が不得意な高齢者の方々に特殊詐欺などの多様化、コロナ禍で在宅率が高まって高齢者被害の増加という社会課題も鑑みて、コミュニティの場として、お買い物ついでの各種情報提供、店舗のインフラを活用した啓発活動の推進をしております。
こちらの事例は、日立店、アリオ葛西店、花巻店でございます。お店の中に情報発信コーナーを作り、地域行政の情報発信の場をコーナー化し、お客様に様々な情報を提供しているところでございます。
こちらは、店舗内の投票所でございます。掲載の写真は、コロナの前ですのでかなり密な状態ですけれども、御容赦ください。
地域の行政情報発信コーナーの常設から、スペースの有効活用ということで店舗内投票所を使っているところが何店舗かございます。これは17年の衆議院議員選挙のアリオ葛西店の様子ですけれども、かなりのお客様がお買い物ついでに便利に使っていただいて、投票率も上がるということと、我々も、お客様がそれだけ来てくださるので売上のアップにもつながっているところでございます。
先ほどご紹介した認知症サポーターの養成ですが、こちらは地域の見守り活動として推進しております。スペースの有効活用ということで、お店の従業員だけでなく、お客様向けの講座の開催など事前に店内の情報発信コーナーで告知したり、区報にも掲載して、お客様と一緒に地域の見守り活動を推進するために認知症サポーター養成講座を一緒に受講する場の提供を行っております。
御参考までに、イトーヨーカ堂の認知症サポーターの養成数は1万150名になりました。全従業員に占める割合は32パーセントですが、現在受講者100パーセントにするべく推進をしているところでございます。
こちらも市政啓発イベントということで、行政課題を踏まえて、健康相談会、健康増進などイベントを実施しております。地域包括支援センターと取り組んだ認知症ミニ講話や介護予防体操など各ブースを設けて開催した事例でございます。
横浜市との取組で、店舗の中の15坪のスペースを有効活用して、血管年齢の測定など健康チェックをした事例でございます。
以上のように、本業を通じた社会課題の解決に向けた取組を進めることで地域との信頼の輪の広がってまいります。我々が地域になくてはならない存在となりたいというところで、地域の一員として、このように自治体、地域包括支援センター、ケアマネ、民生委員、地域の方々とともに御高齢者、こちらは高齢者支援の事例ですけれども、一体となって市民の皆様の生活の向上に寄与したいと考えております。
最後でございますけれども、地域の拠点として、みんながつながる取組というところで、社是に掲げております、ステークホルダーに信頼される誠実な企業でありたい。地域に根差したお店でありたいということで、地域に寄り添い、地域の拠点としての役割を果たしていきたいと考えております。
イトーヨーカ堂からの報告は以上でございます。ありがとうございました。
○新川座長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいま小山様、強矢様からいただきましたプレゼンテーションに基づきまして、質疑をさせていただければと思います。30分程度時間を取ってございますので、各委員の皆様方、どうぞ御自由に御質問いただければと思います。いかがでしょうか。御発声いただければと思います。
○高委員 高ですけれども、質問させていただいてよろしいでしょうか。
○新川座長 よろしくお願いいたします。
○高委員 ありがとうございました。こういうすばらしい取組を展開されているということで、これからはもっともっとイトーヨーカ堂さんでショッピングをしなきゃいかんなというふうに改めて感じました。
質問は、今回の取組は基本的に会社の社是とか、あるいは創業の精神に基づいて実践しておられるということで、自然発生的にこういう取組を始めたのかもしれませんけれども、何かのきっかけがあって、例えば外からの提案とかそういうものがあって始められたということであれば、それを教えていただきたいというのが1点です。
2つだけなのですけれども、もう一点は、すばらしい取組であるにも関わらず、ほかの大手の小売さんでこういったことをやっているところを私はあまり知らないのです。もしなかなか大手さんがこういう取組を展開されないとすれば、何がネックになっているのか、その点、感ずるところを教えていただけませんでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。
○新川座長 ありがとうございました。
それでは、小山様、強矢様、今、御質問いただきましたので、よろしくお願いいたします。
○株式会社イトーヨーカ堂強矢参考人 御質問ありがとうございます。イトーヨーカ堂の強矢でございます。よろしくお願いいたします。
1つ目の御質問でいただきました社是、創業の精神で実施されているというところで、そのきっかけは何かという御質問だったかと思っております。きっかけといいますと、なかなか難しいところもあるのは事実なのですが、弊社は5つの重点課題を特定した、その年にイトーヨーカ堂でもこれを実現させるべく、専任化した部署を置いたということでございます。確かに2012年から都道府県を中心に地域の活性化の協定等をセブン-イレブン・ジャパンなどグループ企業と連携しながら締結を図ってまいりました。しかし、私たちはこの5つの重点課題をしっかりと実践していくためには、やはりお店がそこにある市町村単位の地域に根差した取組にしなければならないということで、2015年から包括連携協定等の締結だけではなくて、継続性、持続性のある取組からつなげていくところであります。
確かに最初は従業員の理解度がないというのが本音でございます。CSRとは?からスタートしたのを今でも覚えております。しかし、ここはやはりトップである社長がこの必要性をしっかりと理解した上で、トップメッセージを発信し続けこの7から8年でここまで形ができてきたと思っています。今では具体的な行為を本業を通じて従業員一人一人が実践できる体制を作っていくことが重要であると考えております。
先ほど御質問の中に大手の小売でほかには知らないというお話があったと思いますが、地域では実践されている店舗もあると私は認識をしております。会社としての大きな方針で環境宣言とかは大きく見えるのですが、なかなか地域という小さな単位になりますと、見えにくいところがあるのではないかと思っています。
取組の推移において属人的になってしまうという課題がございます。組織としてしっかりと、誰もがこの取組に対して統一の見解で進めていくというのが重要です。先ほど御案内しました管理統括マネジャーという専任を2017年に配置し、役割を明確化しているところであります。属人的ではなく、誰が人事異動しても実施できる体制作り、ここが非常に重要なのではないかと思っています。
○新川座長 ありがとうございました。
高委員、いかがでしょうか。
○高委員 ありがとうございます。
私がお聞きしたかったのは、確かに大手さんでほかにもやっているところがあるのでしょうけれども、イトーヨーカ堂さんのように体系的に取り組んでおられるところはあまりないのではないかと思っておりましたので、質問させてもらいました。御説明の中で、特に管理統括マネジャーの役割等、会社として明確にしたこととか、また、トップのリーダーシップが非常に重要だということで、そのとおりだなと思って、理解をさせてもらいました。
ただ、問題意識は、もしほかの会社さんにもこういった取組を促したいというときには、どういう働きかけとかをすればいいのかなと思いまして、お伺いした次第です。
ありがとうございました。
○新川座長 どうもありがとうございました。
それでは、各委員からまた御質問などをいただいていければと思います。よろしくお願いいたします。どうぞ、御自由に御発声ください。
受田委員、お願いします。
○受田座長代理 受田でございます。
御発表ありがとうございました。とても先進的かつ社会に対する高い貢献度がモデルとして示されていると感じております。今、高委員からも御質問がございましたように、この取組をいかに波及していくかということが我々に課せられた議論のポイントかと思っております。その点で幾つか質問させていただきます。
いろいろな取組をされている中で、例えば御社にとって、この取組において特筆すべき成果といいますか、こんなことがあって、具体的に消費者の方に対して大きな貢献を果たしたという事例があったら、まずその幾つかを御紹介いただきたいと思います。
それに関連するのですけれども、課題がいろいろ地域によって違うという課題の多様性があって、その課題の解決をどのように具体的に描いていくかというのは非常に難しいところがあるのではないかと拝察いたします。具体的な課題としては、消費者委員会等でも常に問題になる様々な消費者被害の問題、非常に重要だと認識をしております。それ以外にも、認知症予防サポーターの話や血管年齢といった、いわゆる健康に関わる課題が具体的に挙げられました。ほかにも様々あると思うのですけれども、農政ビジネスの支援課との連携等、かなり毛色が違うものもあるようなので、少し特徴的な課題についてお聞かせいただければと思います。
最後なのですけれども、カウンターパートになる行政との関わりについて伺いたいと思います。特に定例協議を実施され、PDCAを回しておられると伺いました。実際に進捗管理をし、その進捗に基づいて修正を図るということですけれども、どのような進捗管理を進めておられ、具体的にどういう点について修正が必要であると考えられ、それを具体的に修正していかれるのか。これも事例的なものかと思うのですけれども、お聞かせいただければ大変参考になります。よろしくお願いいたします。
○新川座長 ありがとうございました。
それでは、強矢様、小山様、御回答いただければと思います。よろしくお願いします。
○株式会社イトーヨーカ堂強矢参考人 御質問ありがとうございます。イトーヨーカ堂の強矢でございます。
取組の成果ということで、消費者、地域に貢献を果たした内容ということでお話をいただきました。地域との取組は発展途上だという認識の前提でお聞きいただきたいと思っております。消費者の皆さんに対する地域の貢献を果たしたということでいくと、1つは情報提供だと思っております。締結した後、ポスターの掲示ですとか、また、市民サービス向上に向けたチラシの配架、こういった協力は全店で行っております。その配布される単位も国や都道府県、一番身近でいきますと市町村単位というのがございます。
常設の行政情報発信コーナーを設置しているのが26店舗でございます。
また、店舗によってはスペースをある程度確保して、そこに情報提供だけではなく、相談ですとか、いろいろな学びなど行政と連携して実施している店舗もございます。例えば、愛知県にあります尾張旭市とは包括協定を結んでおり、情報発信コーナーを設置しております。尾張旭市は健康都市でございます。市内で行います様々な健康の取組で、尾張旭市もSDGsにひもづけながら進めております。それが一堂にこの場所で情報を得ることができる情報発信コーナーを設置しております。コロナ禍におきまして、高齢の方が巣ごもりをするということ。ただ、生活をしていく上では小売に来て食品を買うということでありますけれども、今までの頻度数から減って、1回に来て多く買っていくというのが今のお客様の購買状況です。そうなりますと、短時間で済ませて帰ろうという方に対して、巣ごもりになっていますと情報難民になってしまうということで、基本的には常設している場所ですとか、特にこの期間中、コロナの給付金の関係ですとか、特殊詐欺というのもございました。その辺の情報提供とか館内放送、こういったところでの御協力は今までのやりとりがあったからこそスムーズにできたと思いますし、文書等も交換業務している者も素直にいつもどおりに流すことができる。ポスターが来たときにプライオリティーで、いっぱい来るので全部貼り切れないときがあるのですが、やはり今はコロナって一番の課題だよねというのは誰もが認識しているので、掲示物を貼っていくときの優先順位が多分お店もついたのではないかと思っています。
26店舗あるうちの数店舗は、毎回毎回行政の方にご来店いただき、ポスター等の貼り替え、お店の管理統括マネジャーに情報提供をして帰るという仕組みもあります。そうなりますとより一層、お店が今、地域の課題として伝えなければいけない情報を伝えることができた。そういう意味では、今回、コロナ禍ですごく貢献ができたのではないかと思っております。
もう一つ、行政との関わりの中での定例協議の進捗管理というのがございました。主立っては、定例協議というのは基本的に包括連携協定を結んでいる自治体を中心でございます。ただ、協議をしましょうというふうになっていますが、なかなか継続的な協議にならないという課題も一方でございます。それは弊社の人事異動であったり、行政側の人事異動があったりということで、なかなかそぐわなくなってしまう。半年、多いところですと月単位でやっているところもあるのですけれども、基本的には四半期単位というのが多いです。何を進捗管理するかといいますと、締結をするときに分野別でこういう取組をしましょうということを事前に整理しております。それの進捗具合を確認していきながら、一遍に全てができませんので、プライオリティー、優先順位を付けた中で何をすべきか。また、今、コロナのように緊急でこういうものが入ってきますと、こういう取組を優先的にやりたい。こんなものを定例協議の中でやっているということでございます。
弊社の中で一番続いてしっかりと進捗管理ができているという行政でいきますと、東京都の武蔵野市でございます。武蔵野市は四半期単位でしっかりと来ながら、何を確認して何をするということと、タイムリーにこういった行政課題があったときには担当課の方がそこに列席をされてお打合せをしたり、場合によっては基本計画などをするときのヒアリングなどもさせていただいたりしております。そういう結びつきをやっている自治体もありますが、まだまだ先ほどありました59の自治体といいましても、複数単位ぐらいしかありませんので、今後しっかりと回していけるような体制作りを、まず我々がしっかりして行政にアプローチをかけていくことが重要かなと思っております。
以上でございます。
○新川座長 ありがとうございました。
受田委員、いかがでしょうか。
○受田座長代理 ありがとうございます。
1点、先ほど伺った中で、例えば農政ビジネス支援課というカウンターパートがありましたけれども、こことは具体的にどういう課題を扱っておられるのか、もし伺えれば大変ありがたく思っておりました。
○新川座長 強矢様、いかがでございましょうか。
○株式会社イトーヨーカ堂強矢参考人 ありがとうございます。申し訳ございません。抜けておりました。
農政関連の部署とのやりとりでいきますと、基本的にはまず地産地消ですとかいうところです。コロナ禍においては、例えば江戸川区の場合は学校給食に出していた小松菜が、学校給食が止まることによって生産者が商品を困ってしまうということで、緊急にイトーヨーカドーの売り場で小松菜を販売すると。地元の小松菜ということで、地産地消をPRしながらの販売を実施しております。
また、地域の郷土料理を後世にしっかりと残していくということと、食育の観点から郷土料理を協働でPRしたり、弊社には、クッキングサポートというのがございますので、そこで調理のメニュー提案をしたりしながら、市民にもう一度郷土料理を知ってもらうことと同時に、地産地消を推奨するというところでございます。
中には、商品開発を実際に行っている地域もございます。例えば北海道は、秋に食彩フェアということで、北海道の店舗では地元の農業関係の高校と連携を図りながら、生徒さんが作った商品の販売会や、場合によっては商品開発をしてということでのお弁当ですとか、そういうことをやっております。実際に商品を作るだけではなく、生徒さんが我々の売り場のところで値づけをし、販売をし、お客様と接して現場の声を聞く。こんな機会を作らせていただきながら、私たち自身も勉強させていただくいい機会になっているところでございます。
○受田座長代理 ありがとうございました。
○新川座長 ありがとうございました。
それでは、八木委員から御質問が来ております。八木委員、お願いいたします。
○八木委員 今日はどうもありがとうございました。
そもそもはかなりトップダウンで始められたのかなという感じはするのですけれども、もう一方で、認知症サポーターとして1万人を超える方が参加していらっしゃる。なぜ社員の皆さんがこれほど参加しようと思われているのか。また、当初は多分、いろいろなアイデアはトップダウンで出てきたのではないかと思うのですが、今はなぜ、ボトムアップ的に各店舗あるいは社員の皆様からアイデアが挙がってくるのか。単純にトップダウンではなく、どういうふうに社内が盛り上がっているのか。その辺りのところをお話しいただけるとありがたいのですが。
○新川座長 ありがとうございました。
それでは、強矢様、よろしゅうございますでしょうか。お願いいたします。
○株式会社イトーヨーカ堂強矢参考人 御質問ありがとうございます。
なぜこの認知症サポーター養成講座を従業員が受けなければならないのか、受けるのかという必要性、参加しようと思っているのかというところなのですが、少子高齢化が進んでいく中で、高齢のお客様の比率がどんどん高まっていく、人口も増える中で、現場から高齢のお客様に対する接客応対の問合せや質問がありました。
そんなとき、認知症サポーター養成講座というのを厚生労働省のホームページの中で知るようになり、全国キャラバン・メイト連絡協議会に直接御連絡をさせていただいて、対話をさせていただきました。認知症のお客様が来るからこの講座を受講しなさいという言い方ではなく、皆さん御自身がいつ何時に介護をしなければならない、そうしたときに介護離職する人を出してはいけない。みんなが理解し支え合える職場にしたい。結果、イトーヨーカ堂に勤めていてよかったと思ってもらいたい。そんな思いから、認知症サポーターの養成を進めています。受講していただく方は、必ず感銘を受けていただき、その後の接客応対等につながっています。
実は今現在、接客応対の在り方についてもう一度、検討プロジェクトでやっています。セルフレジ、セミセルフレジということで簡潔にできるレジが増えてきている。本当にそれだけでいいのかと。年齢が重なっていく方々というのは、今はスマホが使えたり、ATMが使えても、ある一定年齢になると、誰かの支えがなければ使えない。本当に有人レジをなくしていいのかというのが、今、我々の部署が会社に説いているところです。それは現場が一番よく分かっているわけです。時間がかかっても構わないレジ。今回、コロナ禍において、思いやり優先レジというものを設置させていただきました。ここのレジは、お困りになっている方がゆっくりと、誰に気遣うことなくお買物ができるレジを設置させていただいています。
こういったものも現場からの声が上がってきて、それを現在毎日実施していますコロナ対策会議という中で社長を筆頭に、現場からこんな声が上がっているよ、それはいいじゃないか、すぐやったほうがいい、スピーディーに経営判断し対応を進めております。
○新川座長 どうもありがとうございました。
八木委員、いかがでしょうか。
○八木委員 ありがとうございます。
社員の皆さん御自身が、自分が地域社会の一員であるということを自覚しながら、何か役に立ちたいと思っていらっしゃるところが原点のような気がいたしました。また、デジタル化がどんどん進んでいく中で、実店舗を持っていらっしゃるイトーヨーカ堂さんが、そういう場を通して人間らしい社会を守っていこう、それが実店舗を持った会社の未来なのだということではないかという感じを受けました。どうもありがとうございます。
○新川座長 どうもありがとうございました。
それでは、片山委員からも御質問がおありだということですので、よろしくお願いいたします。
○片山委員 御報告ありがとうございました。非常に画期的な取組をずっと続けておられるということで、敬意を表したいと思います。私も昨日、大阪のイトーヨーカドーをのぞきに行ってきたのですが、いろいろな講座のエリアがあったり、随分工夫をしておられるということは本当に身にしみて感じました。
質問は2つあります。
1つは、先ほどコロナ禍での高齢者の消費者被害の話が出ていましたが、私自身、本来、消費者の安全・安心のために伝えるべき事故情報だとか、取引の目立った被害の情報など、もっと早くに消費者にお伝えできれば被害を防げたのになと思うことが非常に多くあります。そういう消費者関連情報を是非こういう場でもお伝えいただきたいと思うのですが、先ほどのお話を聞いていますと、テーマはやはり地域の課題ということで、行政がどちらかというと主導的にこういう情報を流してくださいというふうに出しておられるのかなと感じました。消費者被害に関連するような情報を取り扱っていただくためには、どういう点を工夫したらよろしいでしょうか。行政のほうにそういう関心をより高めてもらう、消費者、住民に消費者被害の情報提供をすることが大切という意識をもっと高める必要があるのかもしれませんが、その辺、現場におられての感覚、感触をお聞かせください。それが1つです。
もう一つは、こういう身近なところでいろいろな市政情報が受け取れるというのは大変お客様にとってありがたいことだと思いますが、住民からの反応、あるいはこういう情報もこういう場所で提供してほしいとか、こういう講座を開いてほしいとか、そのようなお客様からの要望も上がってきていますでしょうか。もし上がってきていれば、どういうところに関心が高いのかというところもお教えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○新川座長 ありがとうございました。
それでは、強矢様、よろしくお願いいたします。
○株式会社イトーヨーカ堂強矢参考人 御質問ありがとうございます。
まず1点目に、消費者被害といいますか、そういった事故情報等々を伝えていく中で、どういった工夫がいいのかというところでございますけれども、一番は情報を発信する店にいる従業員がどれだけ意識を向けるかということではないかと思っております。それはどういうことかといいますと、もちろん掲示物を貼っていて、この情報が何かということを知ることが大事なのですが、イトーヨーカドーにおいては、衣料品、住居品、食品と、生活に必要な商品が多数ございます。一つの消費者情報に関して、売り場で展開することによって、その商品に関連する情報を得られる。こんな工夫をしている店舗もございます。単に一律的にここが何々区の情報ですということで貼るだけではなくて、ちょっとした気づきから、自ら考えて行動することで、売り場の展開をすることで、より消費者被害を抑えることができるのではないか。そんな工夫もあるのではないかと思っています。
行政の皆様から御説明いただくということが大事だと思いますし、やはりその情報を取り扱う私たちがどれだけ意識を持つかというところが非常に重要なのかなと思っています。
2つ目にございました市政情報等による地域住民の皆様の反応や御要望であります。広く多く上がってくるわけではありませんが、例えば情報を発信していく中で幾つかの店舗では、町内会の会長さんですとかそういった方が店長とのつながりがあって、もうちょっとこういった展開をしたほうがいいとか、ここの地域は高齢の方でこういうのがあるから、こういう情報を送ったほうがいいよ。こんな声をもらったことはあるよという話は聞いたことがございます。なるべくお客様の声とかそういったものに反応しながら、我々は行政職員の皆様に、今お客様からこんな声が上がっているのですよねというようなことはお伝えしていこうと思っています。この点に関してはまだまだ発展途上かなと思っているところでございます。
○新川座長 どうもありがとうございました。
片山委員、いかがでしょうか。
○片山委員 ありがとうございました。特に最初のところは、私もすごく気づきをいただきました。確かに常設コーナーだけではなくて、事故等に一番つながりやすい商品の売り場でどこに注意をしたらいいかということをお伝えいただくというのはすごく消費者に分かりやすい、響くものだと思いますし、そういう発想は私にはなかったので、大変勉強になりました。どうもありがとうございました。
○新川座長 どうもありがとうございました。
そのほか各委員からございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
○高委員 すみません。高ですけれども、もしないようであれば、もう一点よろしいですか。
○新川座長 よろしくお願いします。
○高委員 今、片山委員から質問されたことで、やはりもう一回確認しておきたいなと思いまして、今回のこの検討会の目標は、やはり消費者関連の情報を何とかリアルな店舗等を通じて発信できないかなと考えているところなのですけれども、今日のお話を聞いていると、もちろん従業員の方々の感度というのも大切かもしれませんが、一番大きな流れは行政側がある意味では優先順位を付けてこういったものを掲載してもらえないかということで、イトーヨーカ堂さんのほうに提案をしているという流れかなと理解いたしました。
そうすると、我々、何とかイトーヨーカ堂さんのようなところで情報発信したいと考えているところですけれども、企業側にお願いするだけの話ではなく、やはり行政の間でも、特に地方自治体との関係でも我々はかなり知恵を出してやらなければいけないなと思いました。そういう理解でよろしいのか、いや、それとも直接的に事業者さんといろいろ相談することで消費者関連の情報は発信する方法があるという話なのか、その辺、大枠を教えていただけませんでしょうか。
○新川座長 ありがとうございました。
それでは、強矢様、よろしゅうございますでしょうか。何かお考えがありましたら、よろしくお願いいたします。
○株式会社イトーヨーカ堂強矢参考人 御質問ありがとうございます。
今、御質問ございました情報の発信というところでいきますと、店舗の掲示板の捉え方をしたときに、情報の掲示ができる範囲はスペースが限られております。お店の中で私たちが商売をする上で発信しなければいけない情報もございます。多くのポスターやチラシの配架の要請がございます。ある程度のプライオリティーを付けていただくようにお願いしています。お店で勝手に判断するというのもなかなか難しい話でもありますので、基本的には行政のほうで判断をしていただいて、この優先順位で付けてほしい。そのようになっています。
都道府県単位とかの場合は、基本的には私たち本部のほうでコントロールをして、国と都道府県と市町村とでかぶってしまう情報とかもありますので、これはまだまだ課題なのですけれども、そこをどう整理するのかということです。行政側からある程度優先順位を付けたスペースということでの御提案をいただいたほうが現場は混乱しにくいのではないかと思っております。
もちろん、消費者関連の情報は可能な限り御協力させていただきたいと思いますし、何かモデル的にということであれば、お話しいただければ、可能な範囲での対応をしていきたいと思っております。
○新川座長 ありがとうございました。
高委員、よろしゅうございますでしょうか。
○高委員 はい。ありがとうございました。
○新川座長 それでは、予定の時間が来ておりますが、どうしてもということがなければ、これぐらいにしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
それでは、本当に今日はイトーヨーカ堂様、優れた取組の御紹介を御丁寧にいただきまして、ありがとうございました。小山様、強矢様には大変貴重な情報をいただくことができました。私たちも今後の審議の中で大いに参考にさせていただき、将来にわたっていろいろな形で消費者行政に関わって連携していければとも感じたところでございました。どうも本当にありがとうございました。
それでは、恐縮ですが、ここで5分程度の休憩とさせていただきます。ただいま14時4分でございますので、14時10分から再開ということにさせていただきたいと思います。
(休憩)
○新川座長 それでは、前半に続きまして、ヒアリングを続けてまいりたいと思います。
後半では、地方公共団体とも連携しつつ、本業を通じた地域貢献、地域の課題解決の取組を熱心に進めておられます事業者様からお話を伺いたいと思います。
おいでいただいておりますのは、ヤマトホールディングス株式会社、顧問の西澤様、地域共創推進室課長の松良様、ヤマト運輸株式会社地域共創推進室係長の長瀬様にお越しいただいております。お忙しいところ本当にありがとうございます。
それでは、恐縮ですが、20分程度でお話をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○ヤマトホールディングス株式会社松良参考人 ただいま御紹介にあずかりました、ヤマトホールディングスとヤマト運輸を兼務しております松良と申します。本日は貴重なお時間をありがとうございます。
それでは、資料のほうを御説明させていただきたいと思います。ヤマトグループの「地域共創事業」を紹介させていただきます。
1ページ目をおめくりいただきまして、地域共創事業の紹介に入る前に、簡単にヤマト運輸についてお伝えしたいと思います。おかげさまで2019年11月29日で創業100周年を迎えました。宅急便というサービスがスタートして45年ぐらいたっております。この資料に出ていますけれども、毎年元旦には各紙の新聞広告を入れさせていただきまして、毎年いろいろなメッセージを社会に感謝を込めてお届けしております。100周年を迎えたこのときの新聞ですけれども、ここは人の写真ではなくて猫のマークを添えて、「マークは変わりません。でも、クロネコヤマトは変わります。」といったメッセージを出させていただきました。しかし、すみません。報道にもありましたけれども、4月1日より猫のマークが新たなヤマトグループのマークに変わりますということで付け加えさせていただきます。
結局、我々も一つの企業として、宅急便という商品を一本足打法でやってきたという経緯がございますので、インフラという言い方をするのはおこがましいですけれども、非常に多くのお荷物を扱っております。そういった会社として、より社会に幅広く貢献していくということで、この右下に「より便利で快適な生活関連サービス」をいかにお届けしていくかといったコンセプトで進めているところでございます。
ちなみに、創業時、大正8年の日本のトラックは204台しかなかった中で、4台購入して運輸業を始めたということでございます。
次のページをお願いいたします。
ヤマトグループが地域共創事業に取り組む背景です。弊社はこれまで全国でユニバーサルサービスという形で宅急便を最大のエンジンとして、ラストワンマイルで事業を展開してまいりました。この表の右側、ちょうど車の下のところですけれども、主な外部環境の変化ということで、生活者の生活利便性向上のためにハードとソフトサービスの優遇が必要だということ。また、医療・介護の分野、その手前の生活支援分野の重要性が増大しています。このような外部の環境の変化に伴って、従来の軒先だけでなく、家の中や職場に入らせていただくことで、個々の人のニーズ、またウォンツに応じた、リアルで温かみのあるカスタマーズサービスが重要だと認識しております。
一番下に書いてありますけれども、これまでヤマトが築き上げてきた顧客との信頼関係、SD、車両、ネットワーク、こういった生活支援におけるソーシャルネットワークを組み合わせた新規事業を創出しています。
次に、地域共創事業が目指す姿について説明をさせていただきます。3ページを御覧ください。
地域共創事業が目指す姿ということで、ここにはちょっとかっこよく記載されておりますけれども、簡単に言いますと、グループの経営資源を生かして、地域の中で生活者の暮らしの全般、ここを家族に近い存在でサポートしていくことが必要だと考えております。結果的に社会課題解決にも資する事業になることを目指しているということでございます。
基盤として提供する機能ですけれども、このオレンジ色のところ、真ん中に赤く囲っておりますけれども、これが40年以上一本足で頑張ってきたデリバリーの宅急便ということになります。今では最前線で働くヤマトのセールスドライバーは6万人を超えております。また、パトカーとかの緊急車両よりも多い4万5000台というトラックが日本中を走っている状況です。この1日に走る走行距離が約200万キロということで、地球を50周する距離に匹敵すると言われております。
このデリバリーの赤いところの隣にイエナカとありますけれども、今までは玄関先までお荷物をお届けしているということですが、これからは少子高齢化の影響もありまして、家の中についてのお困り事が非常に多くいらっしゃると。この部分について我々が、または地域のパートナーさんと協力しながら、家の中のことまでサポートできる。こういったところをやっていきたいということが1つございます。
もう一つ、赤いデリバリーの右側です。コミュニティと書いてありますけれども、ここでコミュニティ・生活相談の場ということで、詳細は後ほど御説明いたしますけれども、今の社会は御存じのとおり住民の方の3割が独居世帯、更にもう3割は高齢の御夫婦といった世帯の状態でございます。本当に地域のコミュニティがどんどん希薄化している一方で、我々はそこの地域でリアルに、実際にお店もそこにございますし、人もそこにいるので、こういった状況で自分たちが中心になってコミュニティを作るというよりは、地域の中でしっかりコミュニティを図っていきたい。我々がサポートしていくという意味で、コミュニティ、イベントの場を提供していきたいというところをやっております。
2つのイエナカとコミュニティ、ここはデリバリーと別にやるという形ではなくて、今話を聞いている中では、これで採算性が取れるのかというような話になるかと思うのですけれども、そこについては非常に厳しい状況ではあるということです。しかしながら、我々は事業としてやっている以上、赤字というわけにもいきませんので、そこを含めてどうしたらいいのかということ。デリバリーとイエナカ、コミュニティの場という3つのサービスを基盤として地域で提供する。
ここで、その下に長細くございますけれども、地域、自治体、パートナー事業者との連携を深めて、家の中まで踏み込んだ、我々のリアルなネットワークを使っていただく。どちらかというと住民の方、消費者の方、こちらの方々に世の中にある情報だったり商品、サービス、こういったものをつなぎ役として価値を提供する。こんな立場になりたいということで、そういうことをすることで、住民の方からは低料金をいただき、プラスで、つながっているものをつなげるということで、この表の左側に記載しています事業者の方から幾らかのフィーをいただく。こんな形でございます。
あくまでそういったことを事業として何とか継続する、こんな形を作っていって、リアル×ITのプラットフォーム、機能を様々な業種・業態へ展開することで、地域社会のインフラとして日本の地域活性化と暮らしの利便性向上を実現したい。こういったストーリーで我々の取組がございますということを紹介させていただきます。
次のページですけれども、今お話をしてきた概念図になりますので、ここは省略させていただきたいと思います。
5ページですけれども、ネコサポステーションの拠点形態というか場所の御紹介でございます。まず、上段2つです。団地内の店舗ということで、多摩市のニュータウンに貝取ステーションと永山ステーション、こういった団地内拠点が2か所。左下にありますのが駅前の直結型ということで、グリナード永山ステーション。多摩市に合計3か所のコミュニティの拠点を設置しております。また、右下です、商業施設内、郊外型ということで、千葉県松戸市のテラスモール松戸にも2019年10月25日に出店いたしました。
6ページ目は、昨年11月に既存の宅急便センター、三ヶ月と書いてみこぜと読むのですけれども、ここでネコサポの機能を付与した形で改装して、新しい出店という形をやっております。
下段のところに外観と内装と書かれていますけれども、1つは地域の方に御活用いただけるような店舗内のコミュニティスペースを作りました。ここで地域の方に様々な情報を提供していきたいと思っております。
下に地域の特産品の販売とございますけれども、ここは地元松戸にある矢切ねぎ、また、松戸に工場を持っている東京ラスク、こういったものの特産品の販売であったり、または右側のサービスカウンターというのは、普通のよくある宅急便センターとはちょっと変わった形で、新たなサービスカウンターという形で造り上げております。
次に7ページは、暮らしの御相談窓口スタッフのコンシェルジュということで、3ページで少しお話をしたところとかぶるところがございますけれども、様々な地域リソースと生活者をつなげるコーディネート機能ということで、ここをリアルで提供することによりデジタルを補完する。多様なサービスのワンストップ化をしますということです。
地域に創出される価値の例として、まず左側に事業者様。ここはヤマト運輸が代理販売とか顧客の紹介をしてくれるので、販路が増え、収入が上がったという声がございます。逆に、右側の生活者のほうですけれども、誰に頼んでいいか分からないという方が住民の方に多くて、ヤマトのネコサポに頼めばということで相談できる先ができて、生活不安が解消されましたと、こんな声をいただいております。
真ん中にリアル対面ということで、うちのコンシェルジュが御説明しているような絵がありますけれども、実際に多摩だと、非常にデジタル化が進む世の中なのですけれども、まだまだデジタルを使えないというお客様が多くて、その使い方を教えながら説明したりとか、または、先ほどちょっと言いましたが、メルカリのようなものを我々がやり方を教えてあげる。このようなことでコンシェルジュがお客様に接しております。
実際、コンシェルジュは家事代行サービスの提供であったり、宅急便の荷受けであったり、買いまわり便の受付、物販販売、手荷物預かり、ベビーカーの貸出し、ポーター業務、あとは駅のショッピングセンターをやっておりますのでインフォメーション機能とか、こういった様々な地域その他のサービス・情報発信などを行っております。
次のページです。
ネコサポのラストワンマイルを支えるキャストということで、セールスドライバーというのが先ほどもヤマトでは6万人以上いますとお伝えしましたけれども、そこの部隊とは別稼働で、こういった多様な業務に従事するスタッフを配置しております。いかにお客様のニーズに応じてこのサービスを機動力と柔軟性を持って提供できるかということでございます。絵にあります買物系サービスのお届けをしたり、右側にキャスト専用のネコサポカーで、こんなことができますと車両に実際に広告的なものも載せながら、右下に家事のサポート、電球の交換だとかこういったものを提供しております。
9ページ目をお願いします。
実際にお客様からの御支持といいますか、会員の方からスタッフがお褒めのお言葉を頂戴していますので、簡単に御説明させていただきますと、自宅内でも転倒することが多くなり、1人での生活が困難になったために転居を決めました。転居先の町にネコサポがないことが非常に残念です。あなたたちがいてくれたおかげで、私はこの町でここまで生きることができました。ありがとうということで、80代の女性からお手紙をいただいております。我々がそこの地域でネコサポという形でやっていたことが非常にお客様にとっても、我々は非常にこのお手紙をいただいたときによかったなというふうに思っております。
もう一個です。86歳になる親御さんが世田谷にいらっしゃるという方です。この方は、後から説明しますけれども、ハローライトという見守りサービスを始めたのですが、このサービスが当時は多摩と松戸の2か所しか出来ていなくて、これがもし全国で出来るようになればという御質問をいただいております。世田谷でも使えるようになったら、是非使ってみたいということでしたので、こういった声を拾って、実は2月5日から全国に向けてスタートを切ることができております。また説明を後でしたいと思います。
次のページです。
サービス例の買物サービスですけれども、実際に買物に行けないというお客様、電話で注文をして我々が代行する買物代行と、実際に買物はリアル店舗がいい、自分の目で見たいということで、帰りだけ運搬のサポートをしてほしいという買物便と、こういった2つの買物のサービスがございます。
今、グリナード永山という先ほどの駅前のショッピングセンターですけれども、ここのショッピングセンターで買ったものは全てネコサポで発送することができます。つまり、夕飯のものを買った、もしくは本を買った、洋服を買った、これを全部マージして当日に配送ができるといったサービスをしております。事例として右側に当日配達の料金体系等を書いてございますけれども、お客様が負担をする金額は200円とか300円という額で利用できる。ただし、ヤマト運輸としては、それで配送できるかというととてもできるものではなくて、実際に御購入いただいて売上が上がっているテナントさんから、テナント会費の中から残りの部分を負担していただくというモデルとなっております。
次に11ページでございます。
サービス例、イエナカ(生活サポート)サービスということで、イメージとしては、安心、信頼して何でも頼める暮らしの便利屋ということで、お部屋に掃除機をかけてほしいとか、さっき言った電球の交換であったり、もしくはエアコンの分解、クリーニングだとか、こういった家の中のサービスもやっております。
真ん中から下に行きますけれども、地域と連携した発展系サービスということで、特殊詐欺防止装置の設置サポート。自分で設置が難しいという方に対して、ネコサポで設置をサポートする。また、ふるさと納税の返礼品であったり、ごみ出し支援のサービスであったり、こういったことをやっております。
次のページです。
コミュニティ・生活相談の場ということで、事業者様とか住民と連携したイベントを開催して地域のコミュニティを活性化していくということです。実際に手芸教室とかヨガ教室、または連携でいくとコーヒーの淹れ方講座というとタリーズ様であったり、ファンケル銀座バスツアーというとファンケル様、あとは先ほど言ったメルカリ講座のメルカリ様。こういった方々と連携しながら、イベントの参加者数としては月200名ぐらいの方、来店顧客数としては8,000名の方といった形で、コミュニティ・生活の相談の場ということでやっております。
13ページです。事業者等と連携したサービスということで、先ほどから言っているメルカリ様の部分。電力小売の切替支援ということでエネチェンジ様。図書返却サポートサービスということで、ここは多摩市役所様。これはネコサポステーションに図書返却ボックスという写真の右側に写っている青いボックスを置いておくだけなのですけれども、これを利用したお客様が、図書館まで行かずにステーションで図書の返却ができるということでやっております。最初は全然数もないのだろうなと思っていたのですけれども、これがかなりの、一日何十冊という数が入るぐらい御利用があります。
見守りサービスのハローライトということで、これは次のページに行っていただくと、このハローライトについて参考資料がついております。Wi-Fi不要、工事不要、コンセント不要ということで、LEDとSIMが一体化されている電球があるのですけれども、このハローライト電球に交換するだけで見守りができるということでございます。トイレに設置していただくことを一番お勧めしていますけれども、トイレに行かれる方は当然一日一回は行くと思いますが、トイレに設置しておくことで、朝9時から翌日の8時59分までの24時間を計測して、電源のオンもオフも一度もないというときに、あらかじめ登録している親族の方々に、息子さんとか娘さんに異常通知のメールが飛ぶようになっています。そのメールを見たお子様が自分の親に電話をして、もしそこで電話に例えば出なかったとした場合、自分は少し離れた場所にいたり、例えば出張先にいて、今、北海道だからすぐ東京には戻れないみたいなときに、近くにいるヤマトのスタッフがその様子をうかがいに行って、チャイムを鳴らす。電気メーターが回っているかどうかを確認する。新聞がささっていないかとか、こういった幾つかのポイントで確認をして、その状況を依頼主の息子さんに御連絡する。さらに、地域包括のほうにも連携を取って御連絡をする。こういった見守りサービスを始めております。先ほどの世田谷のお客様の声からもそうですけれども、2月5日から全国でできるようにスタートしております。
次に15ページでございます。
ここは移動外出支援サービスということで、これは構想中ではございますけれども、多摩のお客様で言うと、実際に路線バス等はいっぱい出ているのですけれども、バス停に行くまでが非常に困難であるといった声もありますので、こういった声に対して我々は新たな人と物の交通手段が必要であると考えておりまして、そんなものを構想しているということでございます。
次のページです。地域包括支援センターとの連携事例ということで、実際に配達に行ったときに中でうめき声が聞こえるだとか、そういったことで地域包括と連携したという事例でございます。ここは後で見ておいていただければなと思います。
17ページ、松戸市と自治体と警察、3者協定ということで結んでおります。地域の防犯とか防災もそうなのですけれども、加えて地域のコミュニティを生かして、うちのステーションを使ってチラシを店内に掲示したり、こういったことをやっております。
最後のページでございますけれども、ネコサポ取組の沿革ということで、時系列で並べておりますので、御確認していただければと思います。
すみません。お時間が長くなってしまいました。以上で地域共創事業の御紹介でございます。ありがとうございました。
○新川座長 どうもありがとうございました。すばらしい活動をずっと展開しておられるというお話をお伺いさせていただきました。
それでは、ただいまのヤマトホールディングス様のお話に関わりまして、委員の皆様方から御質問をいただいてまいりたいと思います。30分程度時間を設けてございますので、よろしくお願いいたします。先ほどと同じように、どうぞ御自由に御質問いただければと思います。よろしくお願いいたします。
生駒委員、どうぞ。よろしくお願いいたします。
○生駒委員 御説明ありがとうございました。本当にかゆいところに手が届くサービスをお考えになられて、感謝されている方々からのお声というのも本当に感動的に拝見いたしました。ここまで新しい試みは、いろいろ大変なこともおありなのではないかなと想像するのですけれども、社会課題を解決するということで貴重な活動であると思うのですが、これらのサービスを今これからどんどん実現されていく上で、一番感じていらっしゃる困難なことというか、克服しなくてはいけない問題点のようなものがありましたら、教えていただければと思いました。
○新川座長 どうもありがとうございました。
それでは、お答えをいただけますでしょうか。
○ヤマトホールディングス株式会社松良参考人 いろいろやるのに困難という部分でございますけれども、やはりヤマト運輸という企業が新しい土地で何かをするというときには、非常にいろいろな困難がございました。イメージとしては、急にガリバーみたいなでかいのがやってきたみたいな、そんなイメージなのだろうと思うのですけれども、非常に周りの企業様とかいろいろな法人の方々も、元からいらっしゃる方々がいらっしゃいますので、そういった方々とどうやって連携していけるかと、こういった部分は非常に苦労する部分だなと思っております。
また、今まで宅急便の会社ですので、新しいことをやるということは、全て会社の中でも新しいこと、初めてやるようなことが多いものですから、そういったものも実際に実証実験というか、やりながら、いろいろお客様の声を拾いながら、また改善、改善という形で取組をしているというのが現状でございます。
○ヤマトホールディングス株式会社西澤参考人 ちょっと補足をさせていただきます。
特に生活支援の領域というのは、各自治体とか行政におかれましても、できれば住民が自発的に、主体的に、住民中心の活動でやって支えていくということが昨今の基本の理念になっていると思います。もちろんそれに向けて地域コミュニティもそういった形で希薄化したものをあらゆる仕掛けを通して少し強固にしていきながら、自助、共助、公助というのもありますけれども、やられている中で、そういう手助けが必要な方しか実はそういうサービスをする時間や気持ちがないというのが現状の中で、サービスを受けたい人もする人もともに年を取っていってしまう。それを本来担わなければならない若い世代ですとか、何とかそれをビジネスとして工夫しながら継続的に続けられていくようなモデルを作っていくということに関しては、非常に遅れを取っているなという感じがしています。
その原因はたくさんあると思いますけれども、まず1つに、そういうことに対してのサポートを国や周りがやってくれるのだ、それが普通じゃないのという、どこかそういう公共に依存する気持ちが多かれ少なかれあるかなというのが1つ。
そして、では、我々企業が真摯に何とかならないかとトライアルで入っていこうとしたときに、自治体や行政の商慣習というのですかね。慣例の中に、NPOや非営利団体でなければなかなかそういうことにストレートに参画することは厳しいよねという、いわずもがなみたいなものがあって、必要以上に警戒されたり、障壁というふうになっているのも否めないと思っています。それらの風潮を断ち切るために、コンソーシアムですとかいろいろな地域の開発のための委員会や評議会などが開かれたりもしていますが、実際問題は、そういった参画した企業が何らかの資金を拠出し続けながら、それを円滑に回していくということをやったとしても、企業もそれだけのものを拠出し続ける事業としてのメリットが生まれにくいマーケットであるということ。そういうことが消費者側にも対価を払ってサービスを受けるという意識が育っていないということ。これらのことをどうやったら、地域ごとに住まわれている方もニーズもまるで違う中で、それぞれに見合ったサービスを作っていけるかということに関しては、正直非常に苦労しているというのが現実です。
ですが、多摩で5年間、松戸でやり始め、ほかの方をやっていると、明らかに皆さんの意識も少しずつ変わっていって、これは何とか頑張ったら、ひょっとしたら何とかなるかもしれないなという感じがしているのも確かでございます。
答えになったかどうか分かりませんが、補足とさせていただきます。
○新川座長 ありがとうございました。
生駒委員、いかがでしょうか。
○生駒委員 とてもよく分かります。公助の部分といいますか、行政や非営利団体からのサポートは今まであったかと思うのですが、営利団体の、御社のような企業でこうした公共的なサービスをされるというのは、本当に新しいこと、大変重要なことだと私も評価はしているのです。
ただ、例えばなのですけれども、ネコサポの中で御自宅の中に入っていくとなりますときに、御社のサービスはすばらしいものだと思うのですが、そういったことを模して、そういう理由でどんどん御自宅に入っていくような詐欺行為のようなものも出てこないかなと一方で考えてしまいます。これは水を差すようで本当に申し訳ないのですが、御自宅の中のことに関してサポートされようとしているのですけれども、例えば行政であるとか、非営利団体と連携してなさるようなことをお考えなのか、あるいはやはり一つのビジネスとしてお考えなのか。御自宅の中のサポートは本当に難しい部分があるかと思うのですが、重要な部分だと思いますので、お話をお伺いできればと思います。
すみません。長くなりましたが、よろしくお願いします。
○新川座長 何かお考えがあれば、ヤマトホールディングス様、よろしくお願いいたします。
○ヤマトホールディングス株式会社松良参考人 ありがとうございます。
一番いいのは行政さんと連携できて、我々と一緒に連携しながら、なおかつビジネスモデルという形が出来ることが一番理想だなと思っております。そうは言っても、すぐに何かできるのかというと、行政さんと連携するにも時間がかかる話でございますので、例えば今話をしている内容が来年の4月でないと進まないというのが現実なのだろうなと思っています。
なので、いろいろ情報共有をしながら、連携できるところをできる範囲でやっているというのが現実です。先ほどちょっと図書連携などという話もしましたけれども、ああいったものも含めて、少しずつネコサポの取組を行政さんのほうも理解していただいて、それで家の中の部分を一緒になってできる、こんなふうになっていくと一番いいのかなと思っております。
○ヤマトホールディングス株式会社西澤参考人 補足をいたします。
さっきの御質問にあった、家の中に入っていって何かをするということに関して、行政と連携できれば一番いいのですが、恐らく正直、日本中でそういうことの連携を一事業者と、コンペティションはあったにせよ、積極的にやっていこうというふうに本当に思っていらっしゃるところがどれぐらいあるのだろうなというのはあります。
これは一つ、目に見えないサービスということに対しての評価基準というものがない。ガイドラインが全てではないのですけれども、そういうものがないというのも一つあるのかなと思います。もちろん、ハウスクリーニングですとか、ベビーシッターですとか、そういうある種の業界団体の中では独自の基準を設けていらっしゃって、クオリティーの平準化なりボトムスアップに努めていらっしゃるというのはあると思うのですが、事それがもっともっと安価なところで、我々が目指しているような、誰に頼んでいいか分からない、近所に息子がいればやってもらうんだけど的なことに関して言うと、便利屋さんと同じカテゴリと。もしくは、ある種大変語弊のある言い方かもしれませんが、シルバー人材センターの方々だったら頼めるのかしらねというようなところになってしまっておりますので、その辺りは我々としても非常に悩ましいところでもあります。
ですので、御質問に関して言うと、他の業者様のことは何とも申し上げようがないですが、我々にすれば、精いっぱい社員教育と意識を持ってもらうということしか今のところはないのかなと感じております。
○新川座長 どうもありがとうございました。
それでは、大変恐縮ですが、時間も大分迫っておりますので、続きまして、受田委員から御質問がおありのようです。よろしくお願いいたします。
○受田座長代理 御発表ありがとうございました。もう正直、画期的な取組で驚いております。
時間も限られているので、関心のあるところを伺いたいのは、実は今、私は高知県におります。中山間の問題を含めてなかなかいろいろなものとアクセスしにくい方々が多くいらっしゃいます。そういう方々に対するラストワンマイルをどのようにネットワーク化していったらいいのか。これは行政も非常に悩んでいます。
その上で伺いたいのは、このネコサポのネットワークが今後、更に張り巡らされていくと、今言われている中山間あるいは人口密度が非常に低くて、いろいろな生活支援の部分で疎外されていくような地域までこういうシステムは行き届いていくのかというのと、それに関連して、多分、自治体が相当こういう問題に関しては興味があると思うのですけれども、特に人口が過疎で苦しんでいるような自治体の首長さんなどはどのような感想を持っておられるか。印象でも構いません。お聞かせいただければと思います。
以上です。
○新川座長 ありがとうございました。
それでは、ヤマトホールディングス様、よろしくお願いいたします。
○ヤマトホールディングス株式会社松良参考人 ありがとうございます。
実際にネコサポについての全国の部分ですけれども、今、多摩と松戸ということですが、ほかに藤沢や町田という形で少しずつ展開を広げている状況でございます。ほかに北海道のほうだとか大阪、いろいろ声はいただいておりますので、その辺のところは我々も、先ほどからの行政さんとの連携がどうなのかとか、地域のほかのパートナーさんとはどうなのかとか、こういったことも含めながらやっていきたいと思っております。
高知という話でしたけれども、実は先ほどの見守りサービスのハローライトで首長さんと一度お話をさせていただいたのですが、例えば見守りのサービスも、今までは結局行政だけがやっているサービスであったと。これが実際に家族の方にもちゃんとメールが届いて、家族の方が参加する形になっていて、しかも、地域の見守り、ヤマトだけではなく、もともとそこの町にある見守り隊といいますか、こういった方々と一緒になって見守っていくということで、すぐにでも予算を取ってやりたいというようなお話をいただいた行政さんも実際にあります。
なので、なかなか全部の行政さんに、我々もネコサポについてまだまだ行き届いていないと思いますけれども、この辺の部分を一つ一つネコサポを紹介しながら、今、ハローライトの見守りということをやっていますけれども、これはネコサポから全国に出たサービスということで、こういった見守りを推進していく中でネコサポも案内できればなと思っております。
○新川座長 どうもありがとうございました。
それでは、続けてで恐縮ですが、高委員、御質問をよろしくお願いします。
高委員、御質問がちょっと聞こえにくいですが、よろしくお願いします。
○高委員 すみません。ミュートを外したはずなのですけれども、失礼いたしました。
今日のヤマトさんの取組についてのお話をお伺いしまして、これこそ企業の方にやっていただきたい取組だなと改めて感じました。かなりコストのかかる取組であるにもかかわらず、実にうまく工夫されておられる。コストがかかっても仕方ないよねということで、こういった取組を続ければ、当然、持続可能性がなくなり、先細りし、サービスが停止してしまう。これでは社会貢献とか社会課題の解決にならないというところで、いろいろ知恵を絞って具体的に回る仕組みを作っていただいていると思いました。
それで、私がお伺いしたいのは、この委員会の期待しているところなのですけれども、消費者被害の関係の情報を消費者の方々に何とか届ける方法はないものか、今、知恵を出そうとしているところです。それで、もし何らかのアイデアがあればお聞きしたいと思っています。
今日説明いただいたものは、配送サービスにしても、生活サポート、見守り、外出支援、こういったものは明らかに受益者が利益を受けることを自覚できますね。個人にしろ、事業者にしろ。そうすると、それほど大きな支払いをするわけではないのですけれども、費用の負担というのは受益者がある程度負担してくれる。だからこのサービスが回っているわけですね。ところが、消費者関連情報、特に消費者被害とかそういった情報を届けるというのは、国民が受益者なのだけれども、自分たちがその情報をもらったことで利益を得ていると感じられないのですが、これをヤマトさんのフレームワークのようなものを利用してやろうとしたら、何かいいアイデアはありますでしょうか。難しい質問なのですけれども、何か意見をいただければありがたいです。
○新川座長 ありがとうございます。
なかなか決定的に難しい問題かもしれませんが、ヤマトホールディングス様、いかがでしょうか。
○ヤマトホールディングス株式会社松良参考人 ありがとうございます。
今の御質問に100パーセント答えられるかというと、なかなか難しい部分もございますけれども、先ほど発表の中にもありました多摩市と松戸市、ここで合計5つのステーションということで展開をしている地域がございます。ここであればチラシだとか、例えばサイネージを活用して動画を流すだとか、こういったことができるのかなと今思いました。実際には、ステーションにはコンシェルジュと言われる者が常駐しておりますので、この方々が一声添えるだけで効果が非常に上がるのではないかと思います。
また、会員様が1万名というふうに先ほど数字が出ていましたけれども、こういった会員様に向けて、有料にはなってしまいますけれども、DMの発送だとかチラシの発送、こういったこともできるのではないかなと思っております。
また、今、コロナということでイベントがなかなかできない状況ではございますけれども、イベントができるようになれば、実際にイベントをステーションで行うというようなこともできるのかなと思っております。
どうでしょうか。このぐらいの回答しか今できなくて申し訳ないのですけれども、ネコサポステーションを活用しての取組ならばできるのかなと思っております。
○高委員 ありがとうございます。
○新川座長 ありがとうございました。
それでは、もう一つ御質問が来ております。八木委員、よろしくお願いします。
○八木委員 どうもありがとうございます。
すばらしい活動をしていらっしゃって、生活者を守るという意味ですごく意味があると思う一方で、消費者事故を未然に防ぐという観点からいくと、そういう商品を作らない、売らないというのと同時に、ラストワンマイルとして「運ばない」ということもあると思うわけです。ヤマト運輸さんで、リスクの高い商品を何らかの形で見付け出して、そういう商品を売ろうとしている会社の扱っているものは運ばないというようななことが将来的にできるのかどうか。そういう貢献はあるのかどうか。
先ほどの高委員のお話にあったように、コストを誰が負担するのかとか、あるいはプラットフォームをどのように作るのかというのはあるとは思うのですけれども、消費者事故を未然に防ぐという観点から、何かヤマト運輸さんで活動できる範囲があるのかどうか。将来に向けて御意見があればお伺いできればと思います。
○新川座長 ありがとうございました。
これも難しい質問かもしれませんが、ヤマトホールディングス様、いかがでしょうか。
○ヤマトホールディングス株式会社松良参考人 ありがとうございます。
運ばないというところは、運んで商売をしているという部分もございまして、ただ、実際に逆に情報をいただいて、例えば出す側の発送店と言われる、出し人様が何か悪徳なことをやっているという情報をいただいていれば、今でも地域の責任者がその出し人のところに行って、発送できませんというようなことを言っていることはございます。そういった情報をいろいろ連携しながら、配達を止めなければいけないという情報があれば、例えば警察から連絡があって止めるとかいったことは実際に今でもやっております。ヤマトでそういったものができるかというと、そこまで常に調べているわけではないので、ただ、情報さえいただければ、我々もそこは止める。何度もそういったシーンは今までもやっておりますので、そんな情報があれば、教えていただければできるのかなと思っております。
○新川座長 どうもありがとうございました。
大分時間も押しておりますけれども、各委員から何か追加してございましたらお伺いしたいと思いますが、御質問などございますでしょうか。
○片山委員 片山です。1点だけ質問させていただけますか。
○新川座長 どうぞ、お願いします。
○片山委員 すみません。先ほどから出ています消費者被害の情報提供の関係なのですが、例えばネコサポのステーションを活用して消費者教育だとか啓発のイベントをしたりするときに、地元の消費者団体とかNPOの消費者啓発をやっているような団体との連携は、現在のところはまだないのでしょうか。今後、そのような地元の団体との連携はあり得ると考えてよろしいでしょうか。その辺をお聞かせくださいますでしょうか。
○新川座長 ありがとうございました。
それでは、ヤマトホールディングス様、よろしくお願いいたします。
○ヤマトホールディングス株式会社松良参考人 ありがとうございます。
地元の方々との連携というのは全然できますし、実際にそういったこともやっておりますので、内容をちゃんと事前に打合せして確認しながら、これが我々の会員様にとって非常に必要な情報であれば、我々は積極的にそういったものもやっていきたいと思っていますし、また、イベントができないときでも、来店されているお客様に対して一声かける。先ほども言いましたけれども、コンシェルジュがいますので、そういった形でお客様に情報をどんどん提供していくということは積極的にやっていきたいと思っております。
○片山委員 ありがとうございます。
ネコサポのコミュニティスペースというかステーションの利用料金は、どんな感じで考えたらいいのでしょうか。
○ヤマトホールディングス株式会社松良参考人 そんなにステーションが広い場所でもないのです。8人ぐらいですかね。6人から8人とかそのぐらい、机がなくて椅子だけなら10人ぐらい並べるようなところだと思いますけれども、そういった場所でやっているのです。基本的には1時間とか2時間ぐらいの中で、場の提供という形でやらせていただいております。どちらかというと無償でお貸ししても、そこで例えば何かが売り上がったとか、そういったものは最初の段階でお話をさせていただいて、契約をするというようなこともやっております。だから、ケース・バイ・ケースな形となっております。
○片山委員 どうもありがとうございました。
○新川座長 どうもありがとうございました。
予定の時間を過ごしてきてしまっておりますが、各委員、そのほか特にということがなければ、以上にしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
それでは、本日は、ヤマトホールディングス株式会社の西澤様、松良様、ヤマト運輸株式会社の長瀬様、本当にありがとうございました。大変貴重なお話をたくさんいただきまして、誠にありがとうございました。私たちにとりましても、非常に興味深い、そして、今後の検討に有益な話をいただきましたことを感謝申し上げます。
それでは、以上をもちまして、ヤマトホールディングス様のヒアリングは終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○事務局 事務局でございますが、ヤマトホールディングス様がただいま退席されます。少々このままお待ちください。
○新川座長 ヤマトホールディングス様が御退席になりましたら、全体での意見交換をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
(ヤマトホールディングス株式会社、ヤマト運輸株式会社退室)
○新川座長 どうもありがとうございました。
それでは、今日はイトーヨーカ堂様、ヤマトホールディングス様の本当にすばらしいお話をお伺いすることができました。少しだけ今日のヒアリングを通じて委員の皆様方と御意見、御感想などを交換できればと思っております。
それから、前回御欠席でいらっしゃいました高委員、八木委員、今日はおいでいただいてございますので、高委員、八木委員から一言自己紹介のようなことをいただければと思います。お二人とも御存じの方は多かろうかと思いますが、当ワーキング・グループでは初めてということでございますので、一言よろしくお願いいたします。
高委員からお願いできますでしょうか。
○高委員 紹介いただきました、高と申します。どうぞよろしくお願いいたします。このワーキング・グループの会合を大変楽しみにして出席させてもらいました。
すみません。私はSkypeの操作に慣れていなくて、今、私は顔が出ているのでしょうか、出ていないのですか。
○新川座長 お顔は、今は映っております。現在は閉じております。大丈夫です。
○高委員 大丈夫ですか。よろしくお願いいたします。
今日の話をお伺いして、特にヤマトさんの話を聞いて感じたことですけれども、イトーヨーカ堂さんのように本当に社会貢献的に取り組んでくださる会社であれば、これは行政側の調整が特に重要なのかなと思いました。それに対して、ヤマトさんのような取組。でも、本来は企業はそういう取組をやらないと株主に対する責任もありますので、何とかビジネスに乗るような形に持っていって、ああいう取組をしておられると。これは私は高く評価しなければいけないと思うのですけれども、消費者関連の情報を流してもらう場合、難しいのですけれども、何らかのメリットを感じられるような仕組みまで我々はある程度考えていかなければ、ある特定の企業におんぶにだっこで社会貢献でずっとやってくださいというだけでは、この取組は広がっていかないな、というふうに今日のお話を聞いて感じました。
以上です。
○新川座長 ありがとうございました。
御指摘の点、私たち共通の重要な論点かと思います。今後、皆さんで御一緒に議論ができればと思っております。ありがとうございました。
○高委員 よろしくお願いします。
○新川座長 八木委員、いかがでしょうか。
○八木委員 どうも、八木でございます。よろしくお願いいたします。
私はずっと民間で、そもそもは鉄鋼業界、それからGE、リクシルで経営の一端を担っておりました。
いろいろこのディスカッションの中で、地域、政府など公共団体の関わりは深く、よく議論されてきていると思いますけれども、今日イトーヨーカ堂さんやヤマトさんにありましたように、民間でも公共的なことを自分たちの事業と両立させたいということを思っていらっしゃるところがたくさんあるということを是非知っていただきたい。そういう観点で参加をさせていただければと思います。
とかく民間企業というと、もうけることばかり考えているというふうに思われる傾向があるのですけれども、お客様にしっかりと支持していただかなければ企業は成り立たないという、真っ当なことを考えている会社は結構あります。そういう会社を紹介させていただいたり、支援したりというようなことが、私の役割かなと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。
○新川座長 どうもありがとうございました。
むしろ消費者あるいは一般国民的な世論のほうが企業さんを色眼鏡で見ているかもしれない。この辺りも今後きちんと議論ができればというふうに思っております。ありがとうございました。
それでは、本日はイトーヨーカ堂さん、それからヤマトホールディングスさん、本当にすばらしいお取組のお話をいただきました。各委員からもしも御感想や、あるいは今後の審議に向けてこの辺りが参考になるなといったようなところ、一言でもいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○片山委員 片山です。1点だけよろしいでしょうか。
○新川座長 お願いします。
○片山委員 先ほど高先生がおっしゃったことに関連して考えていたところなのですが、今日お話を聞いていて、どちらの企業もやはり高齢化の問題と認知だとか健康ということの情報提供には熱心に取り組まれて、非常にスムーズに行っているという気がしました。それは言い換えれば、その問題に対する情報に対して消費者がものすごく渇望していて、かつ、そういう情報を提供してくれる企業を評価するという意味での企業に対するモチベーションがついているのではないかという印象を受けました。
それに比べて、やはり消費者の被害情報については、同じ状態にするためには、消費者自身が、そういう情報がたくさんあることと、その情報を知ることが自分の生活にとって非常にプラスになる、安全で安心して暮らせるようになるのだということへの関心を消費者自身にもっと高く持ってもらう必要がある。そうすると、そういうことに取り組んでいる企業に対する評価が上がっていって、企業の行動もまた多様化してくるのではないかなという印象を強く持ちました。
感想だけです。ありがとうございました。
○新川座長 ありがとうございました。重要な論点をいただきました。本当に消費者安全情報、企業様にも消費者にも、ともにその位置付け、価値付けということをどう高めてもらうのか。これは私たちの根本的な課題の一つかもしれません。
そのほか、各委員、いかがでしょうか。
受田委員、どうぞ。
○受田座長代理 受田です。コメントです。
すごくいい事例を拝聴することができました。それで、委員の方々から出てきている発言も聞きながら、いろいろな考え方ができるなと思ったのが今日の印象です。ICT、いわゆるウェブを使った情報のやりとりというところから、なかなかそこにアクセスしにくい方々が大勢いらっしゃいます。そういう方々が今回のワーキング・グループで議論している情報でいろいろな意味で被害を受けやすい方だという前提も想定していいのではないかなと。その場合には、オンラインではなくていわゆるリアルなプラットフォームが必要で、リアルなプラットフォームを構築していく上で、イトーヨーカ堂さんはスーパーマーケットであったり、コンビニであったり、リアルな店舗という場を提供されていること。一方で、ヤマトさんは宅配というリアルなプラットフォームを利用してつながり合っていくということを提案されていると思います。
両社ともにコミュニティというキーワードが出てきました。私は、交流の拠点機能を形成し、そこにおいて本来ビジネスとは直接関わっていない様々な有益な情報を提供しようというCSR的な話をしてこられていると。これがワーキングにおいても非常に有用なプラットフォームになるのではないかと思います。
高先生が言われたように、持続可能性を考える上では、ビジネスとしてのキャッシュフローを考えていく必要もあるのですけれども、もう一方では、やはりこういう交流の拠点機能が他の目的で一義的にあって、二次的にそこのプラットフォームを生かしていろいろな情報がパスされていくという仕組みも現実的にはあり得るし、そのように考えていかないといけない部分もあるのではないか。そういう中間支援組織的な部分をどのように一般的な企業の皆様と構築できるかという考え方を議論していくことも、このワーキングにおいては一つの解を与えるような気がいたしました。
以上です。
○新川座長 どうもありがとうございました。
改めて重要な御指摘をいただきました。様々なプラットフォーム作りをこれから私たちも考えていかないといけないのですが、そこに企業単体だけではなくて、様々な担い手がもっとパートナーシップ的な関係で入っていって、中間支援をしていくような仕組みも考えなければならないかもしれません。ありがとうございました。
そのほかいかがでしょうか。
生駒委員、何かございますか。チャットに書いておられますが、よろしいですか。
はい。
八木委員、お願いいたします。
○八木委員 今日は民間の会社のほうからお話をいただいたのですが、その背景は、CSRみたいなところからスタートしたものが、CSV、社会的な価値と事業の両立ということになり、それが2015年にSDGsが国連で合意され、今、企業では統合報告書が真面目に議論されている。アニュアルレポートではなくて、自分たちの企業は何を目的にして、何をしようとしているのかということを社会への貢献ということを含めて全体として語るという流れ。これを真面目に取り組む会社が出てきたということだと私は見ています。全部の企業がということではありませんが、一部の企業にそれを真面目に捉えるということが出てきた。いい動きだと私は思うのです。
そして、今日のイトーヨーカ堂さんに関して言うと、社会で受け入れられるというのが死活問題なのですね。私はヨーカ堂さんをよく知っていますが、その議論を聞いていると、企業としてもうける、もうけないうんぬんと同じように、社会でいかに受け入れられるか。自分たちの店舗をどう利用していただくのか。その観点がネットと競争していく上でもマストだということで、事業の中に社会との関わりが取り込まれたような形になっています。そういう会社が増えてきているのはいい動きだと思っています。
また、こういう企業では、トップのリーダーシップが鍵だというのを実感いたします。もともとイトーヨーカ堂さんも管理型でトップダウン型の会社さんであった時期がありますけれども、先ほど申し上げたように、それではいけないということトップのリーダーシップでしっかりと議論をされ多様に伺っています。分散型、地域を大事にして、そしてエンパワメント、すなわち、できるだけ地域に任せ、地域の特色を活かしてお客さんを取り込んでいくのだという意識を広められた。そういうリーダーシップを発揮されるトップがいらっしゃる会社でこういう社会との関わりを意識した活動がすごく進んでいると思います。
ヤマトさんも同じです。今は顧問をされていますけれども、木川さんのリーダーシップで大きく変わっていったと思います。
リーダーシップがしっかりと発揮されている会社を、消費者行政の中でも大切にしなければいけないのではないかなと感じた次第です。
以上です。
○新川座長 どうもありがとうございました。
こうした企業さんの在り方そのものもしっかりと踏まえながら、これからの検討を私たちも進めていきたいと思っております。
大分予定の時間を過ぎてしまっておりますが、本日の意見交換、御感想などはこのくらいで終了とさせていただきたいと思いますが、各委員、よろしいでしょうか。特に言いたいことがあればお願いしたいと思いますが、大丈夫そうでしょうか。
それでは、本日は15時という終わりの時間の予定でしたが、15時30分まで延ばしてしまいました。ただ、今日は本当に先進的企業のお話をお伺いすることで、消費者情報をどのように企業様との連携の中でお伝えできるのか、その重要なヒント、とりわけ企業が持っております様々なデリバリーシステム、これが極めて社会的にも有効に活用ができる、そういう可能性が広がっている。そして、そこに私たちが念願しております様々な消費者安全情報も可能性がありそうだということで議論ができました。
ただ、もう一方では、やはり企業様の側の条件、また、実際にその情報を必要とするはずの消費者の側の在り方、ここの相互のマッチングがどこまで上手に適合できるのか、すり合わせがうまくできるのか、この辺りがポイントになりますし、そこをつなぐようなプラットフォームや中間支援、そういったところの課題があるような気がいたします。
本日のところは、こうした問題提起をいただいたということで、また次回以降、こうしたヒアリングを通じて、更に議論を深めていければと思っております。
≪3.閉会≫
○新川座長 それでは、以上をもちまして、本日は閉会とさせていただきます。
また、次回以降のヒアリング等の日程につきましては、改めて御連絡をさせていただくことになろうかと思います。
本日は、お忙しいところ御参加くださいまして、ありがとうございました。以上をもちまして、本日のワーキングは閉じさせていただきます。どうも御苦労さまでした。
(以上)