第3回 成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ 議事録

日時

2016年10月25日(火)16:00から18:40

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
樋口座長、池本座長代理、河上委員長、大森委員、増田委員
【オブザーバー】
後藤専門委員
【参考人】
明治大学学生支援部学生相談室 和田事務長
同志社生活協同組合 五藤専務理事
大学生協関西北陸ブロック京滋・奈良エリア 中村学生事務局員
茨城県立神栖高等学校 村上家庭科教諭
横浜国立大学 工藤教育人間科学部教授
【消費者庁】
福岡審議官、河内消費者政策課長
【法務省】
中辻参事官
【事務局】
黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 有識者等からのヒアリング
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、定刻になりましたので、会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから「成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ」第3回会合を開催いたします。

議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。

お配りしております資料につきまして、議事次第下部に配付資料一覧を記載しております。

資料につきましては、資料1から資料5となっております。

不足の資料がございましたら、事務局までお申し出いただきまようよろしくお願いいたします。

それでは、樋口座長に以降の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.有識者等からのヒアリング≫

(1)和田明治大学学生支援部学生相談室事務長

○樋口座長 それでは、早速本日の議題に入らせていただきます。

本日は、高校、大学、学生団体等における消費者啓発、消費者教育の推進等について御意見を伺うため、参考人として、明治大学学生支援部学生相談室事務長の和田格様、同志社生活協同組合専務理事の五藤実様、大学生協関西北陸ブロック京滋・奈良エリア学生事務局員の中村真悠様、茨城県立神栖高等学校家庭科教諭の村上睦美様、横浜国立大学教育人間科学部教授の工藤由貴子様、以上、5名の方に御出席いただいております。

まず、大学における取組ということで、最初に明治大学の和田事務長に御説明をお願いしたいと思います。

明治大学は3万人を超える学生が在籍しており、同学の学生支援部では、主に啓発・相談業務を通じて消費者啓発等に取り組まれていると伺っております。

和田事務長からは、本日「明治大学における消費者意識啓発と相談体制」についてお話しいただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○和田明治大学学生支援部学生相談室事務長 よろしくお願いいたします。明治大学の和田と申します。

では、配付させていただいた資料、全部で15ページございます。私の報告の時間が15分ということで、おおむね1ページ1分ぐらいで作らせていただきました。

1ページ、明治大学の概要ということで、もう御存じの方も多いとは思いますけれども、1881年に創立いたしました。現在10学部16研究科、今、御紹介にもありましたけれども、学生数3万3,300名ぐらいということで、大規模大学であります。

キャンパスは東京近郊に4キャンパスあります。駿河台キャンパス、和泉キャンパス、生田キャンパス、中野キャンパスです。

駿河台は専ら文科系の学部の3年生、4年生、専門職系の大学院がございます。

和泉キャンパス、京王線の明大前ですけれども、そこが文科系の1年生、2年生が通っております。約7,000人通っております。

生田が理工学部、農学部、要は理系の学部がここで学んでおります。

中野キャンパス、これが4年前にできた新しいキャンパスですけれども、国際日本学部、総合数理学部ということで、かなり先端のところをやる学部ということで、新しいキャンパスを展開しております。そういう中で、学生たちにどのように消費者教育をやっているのかをこれから御報告したいと思います。

2ページ、資料の概要ということで、明治大学の特徴としては、階層的にやっていますということを報告させていただきたいと思います。全体的な学生への周知、この資料で下に行くと個別・特化的ということで、階層的な体制をなるべく組んでやっていることを御報告させていただければと思っております。

3ページ、まず全体に対しての啓発ということで御紹介したいと思います。

まず、キャンパス内、4キャンパスともですけれども、構内放送による喚起ということで、通常の授業をやっている開講日の授業開始前・休憩時間に放送を毎回実施しております。その内容としては、ここに書いてあるとおり、全文ではありませんけれども、冒頭はこのような形で「こちらは明治大学です。」と。ここの委員会に関係するところと言えば、悪徳商法などが報告されていますので、気をつけてくださいという喚起を行っています。放送時間はここに書いてあるとおり、1日のうち7回実施しております。

効果としては、学内の学生は毎日毎日聞かされる内容ですから、それに耳を傾ける人はそんなにいないとは思うのですけれども、この2つ目のポツで、学内に入ってきた勧誘者、外部から入ってきて、学生にちょっかいを出そうなどという勧誘者への行動抑止という意味も持っているつもりで放送を流しております。中野は留学生も多いことから、中野の構内放送では英語バージョンの放送もやっております。これが全体に対する喚起ということで、その1つ目の例であります。

4ページ、これも学生全体に対する注意喚起の方法ですけれども、明治大学に「Oh-o! Meiji」、明治大学の校歌の出だしが「おお明治」と言うのですが、その名を冠した授業支援システムというものがあります。これはオンラインでシラバスを配付したり、レポートを受け付けたり、あとは休講通知です。そういうことができるシステムなのですが、そこにおいて必要に応じてお知らせの通知をすることができます。過去事例としては、携帯電話の契約・譲渡にかかわるということで、名義飛ばしですね。そのあたりが何件か発生したことがあります。これは緊急を要するということで、この「Oh-o! Meiji」システムを使って、全学生に対して注意喚起した例があります。この事案は他大学の学生とか、本学の留学生も巻き込まれた事案でしたので、そういうことを一斉送信で注意喚起を行いました。

5ページ、これはどこの大学でもやっているのですけれども、新入生指導週間があります。新しい1年生に対して学部のガイダンスですとか、学生部のガイダンス、そういうものを行っております。そこで全員に配付ということで、ここにあるとおり、私が所属している学生部作成の冊子、実際のものはA4の大きさになります。「新入生生活ナビ」という冊子です。もう一つ、右側です。これはちょっと色が違いますけれども、学生相談室の冊子、こういう2種類の冊子を学生に全配付しております。

6ページ、その中の目次を拾ってきました。「新入生生活ナビ」ということで、目次としては、サークル活動について、ボランティア活動について、奨学金、いろいろあるのですけれども、この委員会に関するところで言いますと、下のほう、個人情報に気をつけましょうとか、悪徳商法には気をつけましょうということが、この「新入生生活ナビ」の冊子の中に書かれていて、それに従って各学部でガイダンスを行っている形になります。

7ページ、これは私が今、事務長をしております学生相談室、ここが作成して全学生に配っているものですけれども、「新入生応援BOOK」ということで、学生生活、ライフスタイルのアドバイスなど、そういうことを書いている冊子になります。その中には、かなりこの消費生活というか、本当にひとり暮らしする学生が多いですので、それに対するアドバイスを書かせていただいております。

例えば「ついて行ったらこうなった」、これは有名な結構売れた本を参考にしたのですけれども、行ってみたら絵画の契約であったとか、手相だったとか、就活セミナーについていったら違うものだったとか、マルチ商法であったとか、そういうことをこの冊子の中では啓発してあります。

「アクセスしたらこうなった」、最近ですとネット経由でアクセスするとどうなってしまったか。そういう事例もこの本の中には紹介をして、とにかくスマホを本当によく使いますので、スマホでワンクリック詐欺にかからないように、もし踏んでしまったときにはどうしたらいいかとか、そういうことがこの冊子の中に書いてあります。

「ネットワークビジネス」、友達、先輩から誘われてちょっと話を聞きに行ったらそれがネットワークビジネスであったとか、そういうことを紹介した上で、クーリングオフの方法であるとか、そういうことをここの冊子で紹介しています。

次は、全配付ではなくて、これからイベント系、あとは本当に意識を持った学生がエントリーするというフェーズに入っていきます。ここにある「M-Naviプログラム」という啓発、これは申込制になっています。明治大学の学生部が行っているプログラムですけれども、社会人基礎力を身につけるための学生支援プログラムという位置づけで、もともとは補助金をもらってやっていたのですけれども、今は自前でやっています。その中には新入生合宿とか、あと、スポーツ観戦です。おととい優勝させてもらいましたけれども、6大学みんなで見に行くとか、観劇とか、農業体験、さまざまな体験を通して社会人力、コミュニケーション力をつけるプログラムです。

その中で、新入生向けの新入生合宿、あと、学内でやるプログラムを実施、4月1日入学ですけれども、入学前の3月に有志を募って実施しております。1日プログラムは募集人員100名、学内で実施しています。2泊3日、これは募集人員80名で、大学の寮で実施して、その中でコミュニケーション力、いろいろなことをワークショップでやりますけれども、その中で詐欺でありますとか、悪徳商法にはまらないための基礎知識を伝授というプログラムを提供しております。これはすごく倍率も高く、その効果も有効であるので、学外ですとなかなか80名、人数をさばけませんので、来年度からは学内のみの実施で募集人員を増やそうという計画をしております。

9ページ、これは授業になります。消費者教育などを扱う授業ということで、くしくもここの委員でいらっしゃいます池本先生が明治大学でこの消費者法を御担当いただいておりますけれども、法学部の3年生、4年生を対象に、消費者法ということで、まさしくここは消費者行政に対する知識やそういうところを扱っていただいているところであります。中身については先生にお聞きいただければと思います。

これは法学部の学生しかとれない授業なのですけれども、大学の中には学部間共通総合講座ということで、どの学部の学生もとれる共通講座があります。数はかなり、30から40あるのですけれども、その中からぱぱっとピックアップしたところ、このような形で学生の消費生活に関する教育でありますとか、真ん中辺は就職キャリアになりますけれども、まさしく大人になるに当たってのさまざまな知識などを学んでもらう講座を用意してあります。1番目の「21世紀のクレジット社会とクレジット&リテールファイナンス」などのところは、まさしくクレジットを使っての契約の光と影とか、そういうところも扱っているようにシラバスを見たところ見えました。

「ホワイト企業とブラック企業の見極め方」、総合講座でかなり人気を博していると聞いています。こういう形で学生が自ら履修をしてみたい、自分でエントリーしたいということであれば、学部間共通総合ということで、こういう科目が用意をされております。

最後のフェーズで、個別対応ということを御報告したいと思います。この学生相談室の取組ということで、私が今、所属しております事務室なのですけれども、明治大学の学生相談室は、「よろず相談所」というところであります。学生はさまざまな悩みを青年期に持っておりますけれども、そういう悩みを受けとめるということで、学業相談、対人関係、心の健康相談、ここが一番多いです。そして、法律相談など、そういう形で、何の相談でもとにかく来てくださいということで受付をしております。ここで消費生活に関する契約について教えてほしいなど、そういうことも受け付けることもあります。

まず、ここの相談室のシステムですけれども、初回の面談をトレーニングされた職員、私の部下ですが、「インテーカー」と呼ばれます。担当をしております。まず、我々職員が学生さんの話を聞いて、必要に応じて学業相談であったら学部の先生につなげる。心の健康相談とか心理相談でしたらカウンセラー、臨床心理士、あとは精神科医のドクターにつなぐ。法律相談に関しては弁護士の先生につなぐということをやっております。その中で消費者問題についても扱っております。

11ページ、その中の具体的な法律的な相談の対応ということで御報告します。これは予約制になります。私どもの学生相談室に、本学卒業生の弁護士の先生を相談員として契約をして、来ていただいています。要は代理人としてかわりに解決してあげるのではなくて、明治の学生がこれから大人になるに当たって、しっかりと法律的なアドバイスをしたりなど、そういう形で、解決方法を一緒に考える。それで、自分でしっかりと行動して解決につなげていくというアドバイスをする立場でやっております。

ほかのチャンネルとしては、学内の無料法律相談、明治大学は法律学校、法律は看板学部ですので、明治大学の法学会法律相談部が主催している無料法律相談も定期的に開かれています。そこを紹介したり、さらなる専門家、法テラスや国民生活センター、そういうところを紹介したりということで、さまざま必要に応じて「リファー」と呼んでいますけれども、適切なところにつなぐ活動をやっております。

12ページ、学生相談室の取組事例ということで、一番よくあるのはこの新聞購読契約です。ひとり暮らしのアパートに来て無理やり契約してしまったとか、そういうときにどうするのか。クーリングオフの方法を教えたりするのです。

携帯電話の契約、先ほど事例に挙げた名義の飛ばしです。そのあたりのトラブルです。

個人間のネットオークションに関するトラブルや、真ん中の投資指南のDVD、これも多いのですけれども、値段が56万円、58万円、大体決まっているのです。どの業者がやっても56万円、58万円ですが、そういう情報商材を契約してしまったとか、友達からマルチのような形で誘われたとか、そういう質問も結構来ます。それをサポートしたりしています。

あとは、アルバイトをやめる際の手続ですとか、アダルトサイトをワンクリックしてしまった、そのときの対応の相談とか、こういうことをやっております。

13ページ、個別対応、一つの大学だけではなかなか網羅的にはできませんので、外部連携ということで、他大学の連携を図っております。

まずは学生相談連絡会議ということで、6大学です。早稲田、慶應、法政、中央、立教、明治、私学の6大学で情報共有のために定期的に各大学で起こった深刻な事例ですとか、そういうことを情報共有して、解決のためになるように情報交換しております。

あとは、関東・関西学生問題懇談会というものもありまして、これは関東・関西の10大学、上記の関東の6大学と関西の関関同立で情報共有、同じことをやっています。

あとは、JASSOですね。日本学生支援機構の研修会などで情報交換をしたりとか、あとは日本学生相談学会というものがあります。これが我々がいるフィールドの学生相談の学会なのですけれども、そこでの情報交換なども行われていて、他大学との連携を行っています。

14ページ、公的機関ということで、消費生活センターです。千代田区にもございます。千代田区の消費生活センターとタイアップした上で、千代田区内の大学と連携したりとか、扱った事案の情報共有をしたり、あと、最新の詐欺手口の情報を教えていただいたりなど、そういう形でサポートしております。

最後、15ページ、まとめということで、冒頭にも申しましたけれども、明治大学は話しましたように、全体から授業から個別ということで、階層的に行っています。しかし、さすがに3万人の学生がおりますので、しっかりと伝わっているのか、そこはなかなか怪しいところはあります。学生もなかなか自分のこととしては認識をしないというところで、まさしく青年から成人へのプロセスの中でのサポートということで、大学全体で取り組んでいるところであります。

こういう情報とかこういう形になるといいなということを少し交えてくださいと事務局からお願いされましたので、ちょっと書かせていただきました。

まず、訴求力のある啓発・教育には的確な情報が必要ということで、怪しいメールには気をつけましょうとか、怪しい誘いには気をつけましょうとか、それは全然学生にリーチしませんので、具体的にこういう被害があるとか、こういう手口があるとか、なかなかこれが教えてくれないのですけれども、こういう悪徳業者の名前、社名ですね。そういう具体的なものがあると学生にしっかりとリーチができる教育、情報提供、啓発ができるかと思っております。

最後になります。広く啓発・教育をするためにということでMOOC、これは「Massive Open Online Courses」というものですけれども、最近はやっていますが、大学とかさまざまな知見を持っているところが何十万人とか何万人という単位で勉強してもらうためのオンラインのサイトがあります。例えばこのJMOOC上では、総務省の統計局がこれから「社会人のためのデータサイエンス入門」ということで開講しますけれども、このような形で、一例としてはこういう消費者教育についてMOOCのような形で、これは大学に限らず年をとった方も受けることができますので、そういう形で啓発するのもよろしいのではないかと愚考して、資料に書かせていただきました。

以上、報告を終わらせていただきます。

○樋口座長 御説明ありがとうございました。

早速ですが、ただいまの御説明を踏まえまして、御質問、御意見等のある方、御発言をお願いしたいと思います。

増田委員、お願いします。

○増田委員 ありがとうございます。

私も消費生活相談員をやっていたころに、明治大学の学内放送や張り紙を見て相談に来ましたという学生もいらっしゃいましたので、結構以前よりされていると認識しているのですけれども、このやり方について、全国の学生の事務局の研修会などというところでの情報交換や、こういうことをやるとこういう効果がありますという発表をされているのかどうか、その辺はいかがでしょうか。

○和田明治大学学生支援部学生相談室事務長 先ほど御紹介しました関西・関東の10大学ですとか、関東の6大学、そういうところでいろいろな問題が起こると各大学どういう対応をしていますかということを聞かれます。そういうときに明治大学ではこういう放送をしていますなど、一問一答のような形で情報交換をすることはございます。

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。

池本座長代理、お願いいたします。

○池本座長代理 池本でございます。

私も授業が終わった後に、学内放送を毎回聞いているのです。14ページ、15ページに関連して質問です。実は千代田区の消費生活センターの方と意見交換をすることがあるのですが、千代田区は区内にたくさん大学、専門学校があるので、呼びかけて、大学生に向けた消費者教育・啓発の機会を何とか増やそうということですが、明治大学は最も早い時期から対応されているけれども、なかなか増えていない感じがしています。特に、今後成年年齢引下げという事態になると、18歳、19歳がまさにさらされるわけで、大学でどう連携して、どう情報を伝えるのかが重要になるのですが、明治大学のように学生課でこう取り組んでおられる、これを広げるときに何が取り組むための基盤になるのかが第1点です。特に経験なさっているところからお伺いしたいと思います。

15ページで見ますと、関係省庁からの具体的な情報提供、最新の手口や被害状況、このあたりで、例えば消費生活センターなりで一定のリーフレットとか、こういうものであればそれを活用しやすいあるいは学生にも広げやすいものとして、どういうものを考えればよいのかというところ、ヒントをいただければと思います。その2点についてお願いします。

○和田明治大学学生支援部学生相談室事務長 ありがとうございます。

まず、広げる基盤ということで、2番目の御質問にもつながってくるのですけれども、そういう具体的な事例をもって、本当に各先生、各部局が本気にならないと、学生に伝えられない。受けるほうの学生も、一般的な注意だけだとどうしてもスルーしてしまうところがあります。先ほど事例でお話しした携帯の名義の飛ばしとか、あれは本当に新しい事案で、具体的なものでしたので、そのときはかなり学生たちも注意をしてくれたと思います。まさしく本当にそういう具体的な事例を消費生活センターからいただいた上で展開できればと思っています。

千代田区の消費生活センター、この間、その連絡会があったのです。結構増えてきて、この間は大学ではないLECとか、そういうところも入ってきて情報交換が始まっていて、広がりつつある気配はしていますが、どうしても消費生活センターはなかなか具体的な社名は教えてくれないのです。明治大学に相談に来た学生が、こういう会社がマルチっぽいのですけれどもと。それを問い合わせると、まだ行政指導していないので、その名前が黒か白かというのは言えないと、そういうところです。そこが隔靴掻痒という感じがしています。区内の各大学もかなり興味を持って、対応しなくてはと思っていると思います。

○池本座長代理 ありがとうございます。

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。

河上委員長、お願いいたします。

○河上委員長 今日はどうもありがとうございました。

伺いたいのですけれども、消費者教育をなさっていて、例えば契約など、いろいろな複雑な問題について、学生たちに教えたときに、法学部の学生は少しはいいかもしれませんが、一般に理解度といいますか、そういうものは教えていらして、どう感じておられるのかが一つと、もう一つは、大学に入りますと、先輩、後輩の関係があるかと思うのですけれども、この先輩、後輩の関係の中で後輩がトラブルに巻き込まれるケースは結構あるものなのでしょうか。その2点、お願いします。

○和田明治大学学生支援部学生相談室事務長 ありがとうございます。

まず、明治大学、法学部の学生はまさしく池本先生に教わったりもしているので、意識が高いと思うのですけれども、今のところは未成年の学生もたくさんいます。我々が現場で対応していると、ちょっと大丈夫かという学生は多いです。例えば先ほど事例を紹介したアルバイトの契約に関してですけれども、アルバイト先と雇用契約というか、そういう契約書をもらっているはずなのに、それはどこかに行ってしまいました、それでトラブルになったときに、どうしようと。弁護士の先生にまずはその契約書をちゃんと持ってきて、それにのっとっているのかどうかとか、そういうところもまだちゃんと意識がいっていないところはあります。LINEで結構いろいろお店とやりとりして、それだけでやっていて、LINEはどんどん消してしまっているとか、そういうこともあります。まさしくそういう契約に関するものはちゃんと証拠をとっておくとか、そういうことはまだ若い学生は認識が甘いかという感じはしています。

もう一つが、先輩、後輩。一番多いのはマルチ関係です。この間のDVD58万円というものも、先輩から紹介されて話を聞いてみると、それで断り切れなかったという相談を受けました。そこが多いと思います。

逆にいい意味で、先輩に連れられてそういう困りごとがあるのだったら、学生相談室に行くとヒントをもらえるよということで、先輩に連れられてくるという事例もありますので、そこは助け合いながら、うまく学生が流れていけばいいなとは思っています。

○河上委員長 ついでにもう一つ、今、民法では未成年者取消権というものが二十までは認められている。そういう未成年者取消権が話題になった相談事例は結構あるものですか。

○和田明治大学学生支援部学生相談室事務長 そうですね。その辺はうちの弁護士の先生につないだときに、まずはそういうトラブルに遭ったときには、しっかりと自分がどういう目に遭ったということを相談をした上で、親御さんとしっかり相談しなさいと。そのときに、このキーワードを教えた上で、ちゃんと親と子の中で相談しなさいねという指導をしているということは聞いております。

○樋口座長 よろしいでしょうか。ほかにございますか。

後藤専門委員、お願いします。

○後藤専門委員 消費者被害に遭ったという相談で、自宅から通っている学生とひとり暮らしの学生、そこまでお聞きになっているのか分からないのですが、もしそこに差異があるのかどうかが分かれば教えていただきたいです。

○和田明治大学学生支援部学生相談室事務長 驚かれるかもしれませんけれども、明治大学は今、自宅通学が7割ぐらいなのです。昔は日本中から来てくれたのですけれども、3割ぐらいが地方からひとり暮らしということで、ひとり暮らしをして、先ほどの新聞勧誘などというところでトラブるのは地方から出てきた学生ということですので、統計はとっていませんけれども、感じとしては、ひとり暮らしの学生が苦労されていると感じています。

○樋口座長 ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、和田事務長へのヒアリングはこのあたりにさせていただきたいと思います。お忙しい中、ありがとうございました。

(2)五藤同志社生活協同組合専務理事・中村大学生協関西北陸ブロック京滋・奈良エリア学生事務局員

○樋口座長 次に、同志社生活協同組合の五藤専務理事及び大学生協関西北陸ブロック京滋・奈良エリアの中村学生事務局員に御説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

同志社生協は、日本最初の大学生協の発祥とされる同志社学生消費組合が1898年に創設されてから、今年で創業118年を迎える歴史と伝統ある大学生協です。若者の消費者被害対策や防止のために、消費者教育にも意欲的な取組をされていると伺って思います。五藤専務理事からは、本日、「同志社生協における消費者教育の実践報告」について、お話しいただきます。

また、大学生協関西北陸ブロック京滋・奈良エリアでは、京都、滋賀、奈良地区の大学生協の学びと交流の場所として、各生協の事業、活動の交流や研修を行い、学生自身による啓発活動もされていると伺っております。中村学生事務局員からは、本日「消費者教育タスクチームの活動」についてお話しいただきます。五藤専務理事、中村学生事務局員の順で、よろしくお願いいたします。

まずは、五藤専務理事からお願いいたします。

○五藤同志社生活協同組合専務理事 同志社生協の五藤でございます。よろしくお願いします。

○中村大学生協関西北陸ブロック京滋・奈良エリア学生事務局員 大学生協関西北陸ブロック京滋・奈良エリアの中村と申します。よろしくお願いします。

○五藤同志社生活協同組合専務理事 それでは、私、五藤と学生事務局の中村君とセットで御報告したいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。中に今日は動画もありますので、御覧いただきたいと思います。

では、まず私から「同志社生協における消費者教育の実践報告」ということで、報告させていただきます。

まず、同志社大学・女子大学の概要でございます。

同志社大学は京都にありまして、今、学部生で2万7,000人、院生2,400人ということで、同志社大学は2013年に京田辺校地から約7,000人の学生が今出川校地に移りまして、今、今出川校地が約20,000名ということになっております。

同志社女子大学のほうは、6,500名ということになっております。こちらは全て大学のホームページからとった数字ですので、間違いない数字だと思っております。

同志社生協の概要でございます。

先ほど御紹介にありましたように、1898年に同志社消費組合ということで、日本における最初の学生消費組合としてスタートいたしました。その後、同志社大学の協同組合、同志社大学消費生活協同組合、それから、同志社女子大学に店舗ができましたので、学校法人同志社の生活協同組合としてスタートしております。組合員数は4万2,000名です。それ以外に同志社の中学、高校、それから、大阪にあります香里中学校にも店舗がございまして、現在22店舗で店舗活動をしております。

さて、本題でございます。

同志社生協における消費者教育ということで、2013年の3月から行っております。今年で4回になりますが、毎年行っております。きっかけは新入生の保護者向けの「新入生・保護者説明会」というものを、全国の大学生協で取り組まれておりまして、私ども同志社生協としても、入学前にいろいろな不安、いろいろな期待を含めて、新入生と保護者の方のサポートをしようということで、直接的にこういった説明会をやることによって、そういった不安を解消していこうということで行っております。

この新入生・保護者説明会、全国の大学生協の多くで取り組まれておるのですが、そのコンテンツについては、大学生協ごとで考えられておりまして、それぞれ内容は異なっております。また、大学との関係でいきますと、大学から施設の借用などありますが、中身の点で大学から委託をされているわけではございませんので、各生協ごとに取り組まれております。

私ども同志社生協としては、特に新入生の保護者の不安に応えるということで、何を取り組んだらいいのだろうということで、いろいろ検討した結果、当然ながら入学前のいろいろな準備であるとか、いろいろなことも含めてそうなのですけれども、高校から大学に来るに従って、特にひとり暮らしの学生が、これから大学に来るに当たって一人で自立するためにも、消費者教育ということで、きちんとそういう場を設けたほうがいいだろうということで判断をいたしまして、2013年から取り組んでおります。大学とも御相談しました結果、大学のほうもこれは非常にいいだろうということで評価をいただいております。2013年と2014年につきましては、ここに書いてありますように、京都府にお願いをいたしまして、消費生活安全センターから講師を派遣していただきました。

その内容が次からのページになるのですけれども、大きく分けて4点やっております。

最近の消費者トラブルということで幾つかあるのですけれども、1つ目はワンクリック詐欺、2つ目はサクラサイト商法、3つ目はマルチ商法、4つ目はキャッチセールス、この4点に絞って行われました。当初、京都府と御相談した結果、今の若者で、特に新入生のところでこれから何を一番大事に伝えたらいいのだろうという中で、幾つもあるのですけれども、若者が被害に遭いやすい中身としてはこの4つであろうということで御相談をして、このような形で行っております。

この辺については古い情報でございます。あくまでも2013年当時の情報ということで、昨日も京都消費生活センターとは確認していますので、変更しています。

この当時の消費者セミナーの評価としまして、保護者の方と新入生の方と、評価が分かれます。保護者の方は、新入生の方に比べると評価としては高いのですけれども、新入生のほうは、良いという評価はあるのですが、このような評価になっております。

2014年は同じく京都府の消費生活センターに相談して行ったのですけれども、前で消費生活センターの方がお話をされて、学生がパワーポイントは使わずに、その中身を実際に寸劇で表現する方法を行っております。

2015年にはミニセミナーということで、「大学生が陥りやすい消費者トラブル」ということで、やっております。こちらは動画を見ていただきたいと思います。(動画視聴)

この住居トラブルの動画につきましては、後ほど報告します、学生消費者タスクチームで全て作った手づくりでございます。登場人物は同志社の学生も入っておりまして、本当に手づくりのものなのです。

ネットトラブルについても同じような動画があります。こちらについては、今日は時間の関係で飛ばしたいと思います。

このときの2015年の評価なのですけれども、ここにありますように、保護者の評価と新入生の評価が非常に高かったと思っております。ポイントは、学生が同じ目線で体験談を語るということが非常に共感できたのではないかと思っております。先ほどの動画の精度は置いておいたとしても、学生自身が起こりやすい消費者被害に対して、どのように対応していったらいいのかということで、学生自らがこのように考えて、それぞれの形で語ったことが評価されたと思っております。

それから、今年の消費者トラブルのセミナーは、横におります中村君が実際に行いました。これは後ほど中村君からまた補足をしてもらったらいいと思うのですが、大学生協としては、こういった啓蒙活動をおります。

こういう形でやっておりまして、ここのポイントは「プチ家族会議」です。会場はかなり大きい会場でやっておるのですけれども、プチ家族会議ということで、その場で学生と新入生の保護者の方に話し合ってもらうのがポイントでございます。この動画を撮ったら良かったのですけれども、その場で学生と新入生がお互いに話して、今、こういう問題があるのだよということをその場でリアルに話していただくということで、なかなかそういう機会が家庭でないのではないかということで、疑似体験のような形なのですけれども、それが今年の消費セミナーの中では良かったのではないかと思っております。

あと、大学生協のほうで、こういった『大学生が狙われる50の危険』ということでまとめたものも作っております。

最後なのですけれども、新入生・保護者説明会の参加者なのですが、先ほど言いましたように、2013年から毎年やっておるのですが、全体の会場で、このような真ん中の赤い参加人数のところでやっておりますのと、小さい会場で幾つか分けてやっております。全体的には、まだまだ新入生の方全体に行き渡る人数ではないのですけれども、大学生協としては、学生が新入生のときに入学される場合のいろいろな不安をサポートするということと、入学後に大学生協でもいろいろな受け皿と慣れるようにしたいと思っております。

お手元に、もう一枚別紙で資料2-2という資料をつけましたが、これは「大学入学後のトラブル・相談相手」ということで、私ども大学生協で毎年、学生生活実態調査をやっておりまして、それをまとめたものを抜粋したものです。全国大学生活協同組合連合会からも確認をいただいておりますので、こちらを御覧いただけたらと思います。裏面には、特に今年の選挙がございましたけれども、選挙も含めたそういった評価になっております。

資料にはつけておりませんが、私ども大学生協では「学生生活110番」ということで、大学も生協の窓口も閉まった後に、いかに対応するかということで、24時間のホットラインを、これは委託をしておりまして、そういったトラブルにも対応しております。駆けつけサービスと電話での緊急対応サービスということでやっておるのですが、実態を見ますと、大学の窓口も閉まり、生協の窓口も閉まった9時から翌朝の7時ぐらいまでのトラブルが非常に多い実態になっております。私どもの同志社生協でも、30%はそういった深夜に起きるトラブル、どこにも相談できないけれども、どうしたらいいのだろうということで、そういったことに対応するサービスを行っておるのですが、そういった3割に上る実態があるということも私どもでつかんでおりますので、今後そういうことも含めて大学生協でサポートを強化していきたいと思っております。

私の報告は以上でございます。

○中村大学生協関西北陸ブロック京滋・奈良エリア学生事務局員 続いて、私、大学生協関西北陸ブロック京滋・奈良エリア学生事務局の中村より報告させていただきます。

こちらの資料3になっております。

まず、「1.設置背景」ということなのですけれども、このあたりは、私も正直まだ大学1年生の段階でして、具体的な経緯は聞いた話の段階なのです。その辺は御了承いただければと思うのですけれども、京都府から、消費者教育の推進の対象に大学生を入れ始めて、トラブルが二十になる段階から多いということなので、力を入れ始めましょうとなったということでした。

京都府の生協連から話が大学生協のほうへ持ちかけられまして、当時の京都事業連合のほうへ業務委託契約ということで結ぶことになりました。大学生協でも、先ほど御報告いただいた同志社生協やその他の生協等でも消費者教育ということ、この京滋・奈良エリア、当時は京滋・奈良ブロックということだったのですけれども、「課題推進」ということで、キャリア形成という部分から、消費者問題、トラブルというところに力を入れておりました。そういったことから、具体的にこの話が持ちかけられたことをきっかけとして、消費者教育に力を入れていきましょうということが、この消費者教育タスクチームの発足のきっかけになったということになっております。

「2.活動経緯」といたしましては、その当時2013年ですね。こちらに書いてあるとおり、キャリア形成の中の一つという形で消費者教育を推進していくようになりました。そして、タスクチームが結成されまして、京滋・奈良ブロックの当時の学生事務局を初め、消費者教育に興味・関心のある大学生協の学生委員会というメンバーが何人か集まりました。そちらで月1回程度、タスクチーム会議というものを行っていきました。

京都府消費生活安全センターの相談委員の方を交えて、どのように大学生に推進していけばいいかということから考えていくようになりました。

まずは、実際に自分の身の回りでどのようなトラブルがあるのかを知らないということだったので、自分たちで勉強するために学習会を行ったり、講演を聞きに行ったり、また、相談員の方に来ていただいてもいますので、最近どのようなトラブルが多いということのお話をいただきました。

「消費者市民社会」などをキーワードにセミナーを実施いたしました。これはこの2013年から大体毎年恒例のセミナーとなっているのですけれども、11月頃に行わせていただきました。

2014年になりまして、二十になってから学ぶのでは遅いということで、誘惑が多くなる大学生になるまでに啓発しなければいけないと会議の中でなりまして、新入生を対象にしたリーフレットを先ほどの説明会等で配付するようにお願いするなどをしていきました。中身としては、主に契約というのはどういうことなのか、何に気をつければいいのか、トラブルが起こった場合どうすればいいのかということについて、簡単なリーフレットの内容になっております。

実際、大学生が消費者教育に興味・関心があるのかどうかとなってくると、自分たちでも何かしらきっかけがあったから学ぼうとなったけれども、そうではない学生は多いということで、待っていても啓発はできないのでこちらから出向こうとなりまして、出前講座の準備・実施が始まっていきます。

その中の一つなのですけれども、リーフレット、動画、マニュアルを作成いたしました。先ほど見ていただいた動画もその一部です。(動画視聴)

今、御覧いただいた動画と、また先ほどとは別のリーフレットとマニュアルを作成いたしまして、出前講座を行うことをさせていただきました。これを前年度から始まったセミナーにてお披露目いたしまして、その後、各大学生協に営業といいますか、ぜひ大学でやってみませんかと宣伝をしていく活動をしていきました。この当時は、私たち消費者タスクチームだけが行っていくだけではなくて、出前講座を受けた人たちがさらに別の人に講座を行っていく形式をとっていこう、どんどん広がっていくことを狙いとしていましたので、マニュアルも一緒に作成したということになっております。

そして、2015年になりまして、去年まで行ってきたことを引き続き行いつつ、より多くの人に興味を持ってもらうために、身近な購買行動を考えていこうとなりまして、自分たちが物を買うというのは、社会にどのような影響を与えているのだろう、社会からどのような影響を受けて自分たちは物を買っているのだろうということで、「フェアトレード」や「社会貢献」をキーワードに活動し始めました。

社会貢献ゲームというものをそこから作成いたしました。一方的に話を聞いていても楽しくないし、頭に入りにくいし、体験しながら学べないかなということで、すごろくゲームのような中で、自分たちの大学生活を疑似体験して、終了後には、ゲーム中に得た知識や行動をうまく利用して生活してもらいたいということで、この右下のこのようなものです。A0ぐらいの大きさのゲーム盤を作ってすごろくゲームをしてもらおうということで、こちらもセミナーを行って、そちらで体験してもらいました。

今年、去年に引き続いて身近な購買行動、フェアトレード、社会貢献、そして、消費者問題の啓発を継続いたしまして、新入生になる時期に啓発活動をということで、出前講座を新入生・保護者説明会で実施、先ほどの同志社生協で行わせていただいたようなことをいくつかの生協でさせていただきました。

そして、学ぶ中で「エシカル」ということを私たちは初めて知りまして、そこから今、勉強中なのですけれども、今年、来月11月13日に「エシカル」をテーマにセミナーを開催する予定になっております。

経緯としては以上になっているのですけれども、「3.京都府との関係」で言えば、主に資金面といいますか、援助をいただいて活動させていただいています。業務委託ということなので、セミナーの会場費であったり、先ほどの動画の作成費用やセミナーの費用を負担していただいております。そして、京都府が行っております「京都府くらしのヤングリーダー養成研修」というものの1コマを行わせていただくなどをしております。また、消費者問題等に関する最近のトラブルを提供していただいているということになっております。

「4.今後の展望」といたしましては、引き続き行ってきたことを繰り返し循環させて広めていこうということで、セミナーの参加者も年々増加傾向にありますので、活躍の機会の増加なのかなと思っております。

そして、ブロックというものが合併したこともありまして、より早くから消費者教育を進めてきた兵庫県の方との連携をうまく進めていけそうかなということが今後考えていることになっております。

左下にありますのは、パネルというものを作りまして、こちらが4パターンほどあるのですけれども、「これって何だろう?」ということで、一番大きくフェアトレードのマークを出して、何でしょうと印象づけて、下にその説明が書いてあるというもの、ほかにも奨学金のお話であったり、賃貸トラブルの問題というもののパネルを幾つか作らせていただいております。

報告としては、以上になります。

○樋口座長 五藤専務理事、中村学生事務局員、御説明ありがとうございました。

ただいまの御説明を踏まえまして、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。

大森委員、お願いします。

○大森委員 中村さんに質問します。消費者教育タスクチームは何名ぐらいいて、どういう構成かということと、みんな、勉強やバイトが忙しい中、どうしてこういう参加が続くのか。そのモチベーションとなっているものは何か、その辺を聞かせてください。

○中村大学生協関西北陸ブロック京滋・奈良エリア学生事務局員 ありがとうございます。

大学生ですので、入ってくる人もいれば出ていく人もいるということなので、大体平均して10名程度、現在も10名程度で活動させていただいております。構成といたしましては、京都、滋賀、奈良の大学生協のあるところの学生が集まっておりまして、私は今、京都の龍谷大学で、同志社大学の学生や奈良県立大学の学生、様々なのですけれども、何人かずつ集まってという形になっております。そして、私は位置づけとしては学生事務局という立ち位置で、去年まではメンバーとして活動していたのですけれども、事務局という立場でより事務面といいますか、セミナーの作り込みの段階などを力を入れてさせていただいているということになっております。

○大森委員 モチベーションは。

○中村大学生協関西北陸ブロック京滋・奈良エリア学生事務局員 モチベーションは、このタスクチームに入ってくる人たちが、何かトラブルに遭いそうになった経験であったり、自分でなくても、その身の回り、友達や家族が経験をしたことがきっかけで、大学生協で活動する中でそういう消費者トラブル、教育というものをやっているチームがあるのだということで、話を聞きに行こうかなということで聞いてもらって、では、ぜひ自分が遭ったもしくは遭った人がいるから教えてあげたい、広めていきたいということで活動してもらっている。何かしらの実体験があったりするところが一番大きいかなと思っています。

○樋口座長 それでは、池本座長代理、お願いいたします。

○池本座長代理 池本でございます。

本当にすばらしい取組をなさっているなと感心しました。特に啓発のための材料を学生の方も参加して作っておられて、しかもそれにマニュアルもつけて、さらに次に伝えることまで想定してやっておられるのは本当に感心したところです。それとともに、同志社のこの最後のページで、2016年は説明会を6回、合計で1,000人を超えるということですね。大学に入ると、それぞれ自分で授業は自由にとってということで、全体が集まったり、何か説明をアピールしたりという場がなかなかなくて、授業もなかなか全員は出てこないくらいですから、これだけの人に伝える機会をどう確保するのかが非常に難しいのではないかと思うのです。この生協の新入生・保護者説明会というのは、何月くらいのどういうタイミングなのか。それから、消費者教育だけではないほかの課題の中でどのくらいの時間を割いておられるのをお聞きしたい。

それから、関西ブロックのほかの大学では、ここまでがっちりできているところはなかなかないかもしれないですが、どういうところへ設営して集めているという情報があれば教えていただきたいと思います。

○五藤同志社生活協同組合専務理事 まず、参加人数ですけれども、これは家族も含めた人数ですので、半分に見ていただきたいと思います。ですから、実際には家族数を書いていますように、親御さんと新入生の方が一緒にペアで、もしくはお父さん、お母さんと3人でお見えになることがございますので、そういう点では、新入生でいくと約半分ぐらいの人数になっております。

それから、開催の時期なのですけれども、それぞれの合格が決まった段階で、タイムリーで合わせるようにしております。特に推薦入学の合格者で12月、一般入試の合格者で2月、3回ぐらいやるのですけれども、特に最近入学決定が遅れていますので、ぎりぎりになって大学を決めるパターンが多いですから、3月の末に最後の1回を行って、そういった形でやっております。

この消費者教育のところについては、全て全部をやるというわけにはなかなかまいりませんで、一番多い会場のところで位置づけてやっておりまして、コンテンツ的には大体20分ぐらいでやっております。先ほど御報告しましたように、ただ聞くだけではなくて、なるべく学生と親御さんが参加する形で何か意識づけをしようということで、いろいろ工夫をしているところでございますが、効果性といいますと、ちょっと分からないです。結果がどうだったのかというのは分からないところでございますが、そういった形で学生事務局と一緒になってやっているのが今の実態でございます。

○中村大学生協関西北陸ブロック京滋・奈良エリア学生事務局員 ほかの大学の別の場面などについてなのですけれども、各大学生協がある大学の学生委員会というところで、ほかの様々な取組をさせていただいているのですけれども、例えば食生活相談会というものがあって、大学生の食生活の問題について、栄養士の方と相談をしていただいてというものをさせていただいたりしているのです。それだけだとなかなかインパクトがないので、何かほかにできることはないかなということで、そこに消費者教育のものを持ってきて、先ほどのこちらのパネルなどを置かせてもらうだけでも置いてもらったりなど、そのぐらいなのですかね。この説明会のようなもので言えば、今年は私の龍谷大学であったり、京都府立大学の合計3つでしかさせていただいていないのですけれども、その説明会以外の場面で言えば、今のような食生活相談会のような場面で言えば、5大学ぐいはさせていただいているとは、私は聞いている感じになっております。

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。

河上委員長、お願いいたします。

○河上委員長 今日はどうもありがとうございました。

大学の場合は、新入生で18歳ぐらいの子が、卒業するころになると22歳、院生などもいるでしょうから、かなり上になっていくでしょうけれども、いろいろな学生を見てこられたと思います。なかなか一般的に言えなくて、個性もあるかとは思うのですけれども、例えば宗教絡みの問題とか、そういうことを考えると、相手からの影響を受けやすいというか、一方では純粋な部分があるので、人を疑わないあるいは相手に対して言われたことを真に受けてしまったりして、影響を受けやすいという性格が考えられます。もう一つは、バイト先のトラブルなど、いろいろ考えると、社会的なコミュニケーション能力というか、そういう力が、学生が成長するに従って伸びていく部分もあるのだろうと思うのですけれども、御覧になっていて、1年生から卒業間際の4年生ぐらいになっていく過程で、そこは明らかに違うなという感じがされますか。

○五藤同志社生活協同組合専務理事 あくまで私の私見なのですけれども、入学前は高校4年生なのです。大学生というよりは、高校4年生の延長で来ますので、大学になっての変化は非常に激しいと思います。特に大学の中で、弧といいますか、今の学生のコミュニケーションといいますと、なかなか仲間づくりができない学生が増えていますので、そういう点では、本当に仲間づくりの場をどうやって広げていくのかは非常に大事だと思っております。そういう点では、まだまだ私どもだけでは力が弱いので、これは大学と一緒になって解決していく問題は結構いっぱいあって、逆にまだまだ課題は多いなと思っているのです。大学の卒業間際、特に今の3年生、4年生になりますと、急にころっと変わってきます。特に大学ではかなり変化が激しいということが、私は非常にこの何十年間体験をしております。

○河上委員長 依存度といいますか、精神的な相手からの影響の受けやすさあたりなども、そこは大分変わってきますか。個が確立してくるという意味では、自分で何かを考えて判断ができるという状況に4年生になってくれば変わってくるということでしょうか。

○五藤同志社生活協同組合専務理事 4年生といいますか、就職活動をするに当たって、自己を考えざるを得なくなる環境になるのが、特に一番大きいファクターではないかと思うのです。今、大学生も1年生のときから就活を考えるような形になってきつつありますので、そういう点では、本当に社会に出る、そのときに対して自分を見つめるというか、それが大きな意味を持つのではないかと私は思います。

○樋口座長 後藤専門委員、お願いします。

○後藤専門委員 資料3の最初の「1.設置背景」というところに、「京都府が消費者教育推進の対象に大学生を入れ始める」という記述があるのですけれども、高校生を入れるというのは余り現実的ではないのでしょうか。どういう話があって大学生を入れたのかということが分かれば、お話をいただきたいと思います。

○中村大学生協関西北陸ブロック京滋・奈良エリア学生事務局員 先ほどのお話の中にもあったのですが、未成年者の契約取消権の問題のことで、未成年だと相談件数があったとしても取消しができるけれども、二十になった途端にトラブルの件数がすごく上がって、金額的にも大きくなるという話があったり、実際の1件当たりの被害総額も大きくなったりするということで、二十になるときの所属している団体というか、組織となった場合に、大学だということになって、まずは一番最初に実態をつかむためにということで大学生にというように、私も余りはっきりはしていないのですけれども、そういうことだったと記憶しています。

○後藤専門委員 同じような御質問なのですけれども、社会人、大学生と同じような年齢で働いている人、これは大学生協という枠があるので、そういうところまで参加を募るようなことはできにくいのでしょうか。大学生ということに限った背景のようなことがあれば教えていただきたいのです。

○五藤同志社生活協同組合専務理事 大学生協は学生、教職員の方で構成されていますのと、生協法の取り決めがありますので、そういった形でしか活動できません。

○後藤専門委員 ありがとうございました。

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。

池本座長代理、お願いします。

○池本座長代理 1点だけ確認です。資料2-2、入学後のトラブルはどういう分野でどういうものがあるのか、あるいは相談相手は誰かという、これは非常に貴重な、しかも何年かにわたっているし、1年生、4年生と非常にポイントをうまくついたものですが、これはどこが。

○五藤同志社生活協同組合専務理事 これは全国の大学生協連でまとめたデータです。もちろん、私ども同志社生協のデータもありますが、今回は全国データのほうがいいかなと思いまして、今日は全国データを持ってまいりました。

○池本座長代理 ありがとうございます。

○樋口座長 私からも若干の質問をと思います。私も大学で長いこと教員をやっていましたが、一つは、消費者問題の専門の先生も結構おられるのではないかと思うのですが、先生方との連携はどのような形になっているのかということと、それから、下宿と自宅でいろいろ差があるのかどうか。私は学生と一緒に悪徳商法の被害の調査をしたときに、寮や下宿、寮は結構大きな寮があったのですが、そういうところで例えばマルチ商法のようなものが広がってしまうとか、そういう話も大分出てきたものですから、その辺について何かもし把握しておられたら教えていただければと思います。

○五藤同志社生活協同組合専務理事 まず、先生方との連携でいいますと、私ども大学生協は理事会を先生方も含めて構成しておりますので、こういった企画を考える場合に、先生方のお知恵も借りながらやっております。

それと「下宿生」という言葉を余り使っていないのですけれども、どちらかというと、余り下宿生といっても余り今の学生はぴんとこない学生が多いのです。といいますのも、昔の下宿といいますと、ちょっと今の自宅外生と意味が違うのです。ワンルームマンションに今は住まれていますので、いわゆる昔の環境とは違って、相談相手が同じ建物の中でもいないのです。セキュリティーの問題もあるのですけれども、昔は扉をたたけばいる関係が、今はそうではない関係になっています。そういう点では、まず自宅外生そのものの環境が変化しているということがありますのと、もう一つ、そういう環境の中でどこに相談したらいいのかということが、窓口が分からないということも実態ではないかと思うのです。そういう点では、まだまだそういったことに対してどこの窓口が一番いいのだろうということが、きちんと適切なアドバイスといいますか、そこも必要かと私は思っております。

○樋口座長 ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

私からばかりであれですが、もう一問だけ。長いこと見ておられて、消費者問題に関する学生の対応は変わってきているのかどうか。消費者教育をする立場から言えば、最近は随分力を入れていろいろな取組を、後でまたいろいろお話を聞けると思うのですが、高校でも、大学に入るまでにいろいろな取組をしているところもあると思うのですが、例えば5年や10年の流れの中で、学生の質が変わってきているのかどうか。その辺は実感としてどうでしょうか。

○五藤同志社生活協同組合専務理事 学生の質というよりも、社会環境がすごく大きく変わっていますので、本当に今の新入生にとっていろいろな誘惑も含めて増えてきているのが実態ではないかと思うのです。ですから、親御さんももちろんそういった経験をされていて、親御さんとの関係で新入生に注意をしたりなどするのですけれども、それを上回る、今、いろいろな被害があることが実態ではないかと思っています。

特にネット関係については、親御さん自身も未経験とは言いませんけれども、まだそんなに熟知していない方もおられますので、そういった形で、環境的にはかなり社会環境が大きく変わったのではないかと私は思っています。

○樋口座長 ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、大学での取組、問題についてのヒアリングについては、このあたりとさせていただきたいと思います。

(3)村上茨城県立神栖高等学校家庭科教諭

○樋口座長 引き続きまして、高校での取組についてのテーマに移らせていただきます。

まずは茨城県立神栖高等学校の村上教諭に御説明をお願いしたいと思います。

神栖高等学校では、学校家庭クラブの取組の中で生徒自身が消費者問題について勉強し、啓発などの活動も行っていると伺っております。

村上教諭からは、本日、「神栖高等学校 学校家庭クラブの取組と高校生の消費者に関する意識調査」についてお話しいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○村上茨城県立神栖高等学校家庭科教諭 神栖高等学校の村上と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

私の教員歴は、今年で3年目になりまして、まだ勉強の毎日です。学生時代には、1年半ぐらい非常勤講師として大阪府立の高等学校に勤めておりました。

事例報告の前に、神栖市と本校について簡単に紹介いたします。

神栖市は、利根川を挟んで千葉県銚子市の隣に位置しておりまして、豊かな水資源と暖かい気候に恵まれた地域で、ピーマンの生産量が全国で第1位を誇っております。また、鹿島臨海工業地帯を形成しておりまして、石油化学を始めとする180社余りの企業が立地しています。そして福利厚生が充実しており、市内の小中学校の学校給食費は、市が半額負担しております。

神栖高校は全日制の普通科で、全校生徒449名の学校です。1学年4クラスありまして、4クラスのうち3クラスが就職クラス、1クラスが進学クラスです。卒業後の進路については、9割が就職で、就職の場合はほとんどが地元の企業です。進学の場合は私立大学への推薦入学や地元の短期大学、専門学校などです。

生徒の実態について、私が担当する調理実習においては、例えばフライパンに油をしいてそのまま強火にして、それから調味料をはかりに行くので、フライパンから煙がわっと出るという状況がたくさん見られ、生活経験が乏しい傾向にあります。

では、本校学校家庭クラブ活動の取組と本校生の消費者に関する意識について報告いたします。

まず、学校家庭クラブ活動の取組について3つ紹介いたします。ちなみに、学校家庭クラブ活動とは、家庭科の学習方法の一つで、授業で習った知識を生かして地域や学校をよりよくする活動です。家庭科の授業を履修している生徒の全員が家庭クラブ員となりますが、実際、代表者として主に活動しているのは現在9名です。

本校の活動の特徴は、神栖市消費生活センターと連携して、消費者被害の未然防止の啓発活動を行っているということです。

まず1つ目が、小中学生対象のSNSトラブル予防寸劇出前講座です。

地域の小中学生にSNSに潜む消費者被害を伝えることにより、消費者としての正しい意思決定能力を身につけさせることを目的とし、2年前から行っております。対象は、神栖市立大野原西小学校の5年生と、神栖第四中学校の1年生で、寸劇出前講座の前後にアンケートを行い、スマートフォンやSNSに対するイメージの変化を調べました。講座の内容については、小学校では課金のトラブルとSNSによるいじめについての寸劇を行った後、スマートフォンに関する○×クイズを、中学校ではSNSによるいじめと不適切な画像投稿についての寸劇を行った後、高校生と中学生がSNSの問題について話し合うトークタイムを行いました。寸劇の台本は家庭クラブの生徒が作成しました。出前講座の当日には、神栖市消費生活センターの方に来ていただき、講座の最後にお話をしていただきました。本日は一部ではありますが、その出前講座の様子を御覧いただきたく思っております。(動画視聴)

まずはSNSのいじめについての話です。

先ほど御覧いただいたような感じでしたが、少々聞き取りにくいところがありまして、失礼いたしました。

実際、台本に関しては生徒が作ったのですが、こういったSNSのトラブルというのは、身の回り、高校生で非常に多くて、何回も注意しても繰り返されているようなものなので、こういったものを取り上げました。

そういった出前講座のアンケートの結果です。

小学生も中学生もスマートフォンやSNSに対して、怖い、危ないというイメージが約30%増加していました。この講座により、小学生や中学生に、SNSの利用には気をつけなければならないことがあるということを伝えることができました。

小中学生の先生方のお話によると、小中学生にとって高校生は身近なお兄さん、お姉さんであるため、企業の方々の講話よりは子供たちの反応がよかったと言ってくださいました。この研究は、平成26年度茨城県学校家庭クラブ連盟研究発表大会で家庭部長賞をいただき、平成27年度文部科学省主催の消費者教育フェスタで事例発表を行いました。

2つ目の活動が、「消費者トラブル予防カルタ」の作製です。

高校生に消費者として自覚を持たせ、消費者トラブルの知識や予防方法を身につけてもらうために、昨年このようなカルタを作製いたしました。対象は本校の学校家庭クラブ員の1年生160名で、方法は、まず全員で読み札や絵札を考案した後、優れたものを選抜し、代表者が作製しました。その後、家庭科の授業でカルタ遊びをしました。生徒の感想から、カルタを考案する過程で、消費者問題の現状や予防方法について自ら考え、楽しみながら学んでいたことが分かりました。

今年の7月にはこのカルタを用いて、神栖市消費生活センターによる高齢者対象の「いこいこかみす」出前講座に参加し、高齢者の方々とカルタ遊びをしながら消費者トラブルの未然予防を呼びかけました。

また、このカルタは消費者教育支援センター主催の消費者教育教材資料表彰で奨励賞をいただきました。

3つ目の活動は、小児金銭教育です。

今月、15日、16日に神栖市の公共施設で「かみすフェスタ」という市民祭が催されました。体育館の中に設置された神栖市消費生活センターのブースに手づくりの模擬スーパーを設置し、未就学児や小学生にお使い体験をしてもらいました。高校生は店員役としてお手伝いしました。お使いは年齢ごとに条件が設定され、子供たちが自分で考えながら、一人で買い物をします。買い過ぎて、買い物をし直していた子供も多くいました。お使い体験は、2日間で469名の子供が参加しておりました。参加した子供の保護者に尋ねてみると、昔は駄菓子屋などで小さいときから買い物をしていましたが、今は日常で買い物をする経験がなく、しかも、お年玉の金額も大きくなっているので、子供の金銭感覚がとても心配ですと言っておりました。小さな子供を持つ親は、金銭教育にも関心があることを感じました。

続いて、高校生の消費者に関する意識調査について報告します。

調査対象は本校の3年生のI類型の就職クラスとII類型の進学クラス、計84名で、有効回答数は80名でした。

主な調査内容は、契約、消費者トラブル、お金の管理、大人についての意識です。

調査対象の内訳について、男女別では、男子が59%、女子が51%で、類型別ではI類型が59%、II類型が41%でした。

契約について理解しているかどうかは、「理解している」と答えた生徒は20%から30%でしたが、契約についての問題を解かせたところ、全員不正解でした。全ての生徒が契約についての正しい知識がしっかり身についていないことが分かりました。

契約や消費者トラブルについて学んだ教科は、社会科、家庭科、情報科がありましたが、I類とII類に差が見られました。

利用したことがある取引については、通販販売、支払い手段は電子マネーや銀行振込が多数見られました。

消費者トラブルに遭ったことがあるかについて、ほとんどの生徒が「ない」と答えていましたが、女子よりも男子が被害に遭う傾向が見られました。

被害のあった取引については通信販売、相談する場合は友達や家族に、相談しない場合は少し恥ずかしさがあるということが分かりました。

お金の管理については、半数以上がほぼできていると感じており、II類型の生徒が若干多いという結果でした。お金の勉強の経験については、7割以上が「ない」と答えておりました。

大人になることについて、成年年齢の引下げについて賛成と答えたのは、全体で半数以下でしたが、I類の生徒がII類の生徒よりも多い傾向が見られました。

お金の使い方について勉強したいかどうかは、7割以上はしたくないと答えていました。

大人になることに対する意識については、成年年齢が18歳になったときに起こり得るトラブルについて、余りイメージが湧かない生徒が最も多い結果でした。

これらのアンケートの結果やふだんの生活から、高校生は大人になったときのイメージが漠然としており、大人になるために必要な知識を持っていない印象を受けました。

以上で報告を終わります。御清聴ありがとうございました。

○樋口座長 どうもありがとうございました。

ただいまの御説明を踏まえまして、御質問、御意見のある方は御発言をお願いしたいと思います。

池本座長代理、お願いします。

○池本座長代理 池本です。どうもありがとうございました。

非常にユニークなというか、意欲的な取組をなさっているなと思いました。前半の寸劇プラス消費生活センターの講師の話をセットにしていることに関して御質問させてください。

子供たち、中学生、小学生に向けて何を伝えるか、今、現場で何が起きているのかという現場の情報と、そういう問題についてはどこが問題で、どういうことを伝える必要があるのかという消費者問題の分野の問題意識とがうまく組み合わさって、しっかりとした伝える材料ができると思うのです。学校の現場の先生と、消費生活センターの職員や相談員との打ち合わせや協議というものは、一つのものを作る上でどのような感じで相談したり、協力してやっておられるのか、そこのイメージを教えていただけますか。

○村上茨城県立神栖高等学校家庭科教諭 ありがとうございます。

消費生活センターの方々との出会いのきっかけは、私たちがこのような活動をする際、SNSトラブルに関する知識を得るために神栖市の無料出前講座をお願いしたことです。そこからどういった方法で子供たちに伝えていけばいいかということを電話でやりとりをし、さらに学校までわざわざ足を運んでいただいて打合せをする形が増え、信頼関係を築いていくことができました。

○樋口座長 ありがとうございました。

大森委員、お願いいたします。

○大森委員 私も高校生にいろいろ教材を作らせたりした経験があるのですけれども、啓発するよりも、教材を作ったり、出前講座のプログラムを考えることが一番本人にとって啓発になるというか、勉強になるので、とてもすばらしい取組だと思うのです。私がやった場合は、総合学習の時間をずっともらっていたもので、1年間割合に計画的にできたのですけれども、先生のお取組の場合は、学校の生徒全員が一応家庭科クラブに自動的に所属する。しかしながら、中心になって動いてくれているのは9名ぐらいというところで、非常に進め方やできるだけ一般の生徒を巻き込みたいという思いとか、授業とクラブのすみ分けとか、いろいろ苦労されたと思うのです。その辺、9名の生徒さんたちは割合に喜んで参加されていましたか。

○村上茨城県立神栖高等学校家庭科教諭 9名の生徒に関しては、最初は余り乗り気ではない雰囲気はありまして、私からぐいぐい引っ張りながら、すごく苦労はしたのですけれども、3年目ですので、卒業生がだんだん出てきて、後輩の様子を見に来てくれたりなどしているうちに、後輩も先輩のようにもうちょっとこうしてみたいということが、最近になって出てきました。もっと積極的にこうしたほうがいいのではないかという意見は、やっとの思いで、だんだん今から乗ってきてくれているのかなというところです。

○樋口座長 大森委員、お願いします。

○大森委員 そうしたら、そのクラブ活動というものは基本的にどれぐらいの頻度で実施されているのかと、一般の授業とは全然関連性がないのかどうか、その辺をお願いします。

○村上茨城県立神栖高等学校家庭科教諭 頻度に関しては、出前講座をする時期、12月あたりに向けて、夏休みから週に2回ぐらい集まって活動をしております。結構バイトをする子が多いので、どうしてもバイトを優先してしまいがちであり、週2回という程度で集まって練習したり、台本を考えたりしております。

教科の関連性については、本来ならば学校家庭クラブ活動が授業の知識を生かして行うものであるので、そういった意識は持ちながらやっております。消費者生活を扱う授業の中で、アンケートなどを取り入れながら生徒達の意見を聞き主な活動を代表の生徒に担当してもらっています。

○大森委員 ありがとうございます。

○樋口座長 では、増田委員、お願いします。

○増田委員 I類とII類といらっしゃるということなのですけれども、それによって取組の姿勢とか、その辺の度合いというものはいかがでしょうか。

○村上茨城県立神栖高等学校家庭科教諭 代表として動いている生徒はほぼII類型、進学クラスの生徒です。比較的大人とのコミュニケーションがとれ、積極的に活動してくれる生徒が多いので、実際は進学クラスのほうが多いのです。I類型の生徒にも参加してもらいたいのでできるだけ多くの生徒にかかわってもらうことを課題として考えております。

○樋口座長 ありがとうございます。

後藤専門委員、お願いいたします。

○後藤専門委員 9ページの(2)の「契約や消費者トラブルについて学んだ教科」というところなのですけれども、今日報告いただいたのは、学校家庭クラブの取組ということなので、問題がそれるかもしれませんが、学校の教科の中で、消費者トラブルについて学ぶというのは、大体どのくらいの時間を学ぶことができるのかということと、今の状態よりも時間を増やす場合に、何かほかの教科などの関係で差し支えがあって、余り増やすのは難しいということなのか、その辺について、もしお分かりになれば教えていただきたいです。

○村上茨城県立神栖高等学校家庭科教諭 家庭科は結構分野が多いので、一つ一つに充てられる時間は非常に少なく、消費者生活の分野は2から3時間ぐらいしか扱えていない状態です。ほかの教科から時間をとれるかどうかについては、考えられることとしては、ロングホームルームですとか、総合の時間が考えられます。

○後藤専門委員 ありがとうございます。

それから、先ほどの13ページなのですけれども、大人になることについてというところで、「成年年齢が引き下げられることについて賛成か」について、I類とII類で顕著な差があると表を見ると思うのですが、I類の就職クラスのほうが成年年齢を引き下げることに賛成の人が多いのは、何とはなしに私も理由が分かる感じもするのですが、どういう理由だとお考えでしょうか。

○村上茨城県立神栖高等学校家庭科教諭 本当ならば、一人一人に聞いておけばよかったとは思うのですが、恐らく授業の様子などを見ていると、自分は何とかなる、別に問題ないだろうといった、余り危機感を持っていないように感じます。

○後藤専門委員 私はさっき何となくと曖昧に申し上げましたけれども、むしろ逆のことを考えていて、就職して働こうということなので、大人になることの意識がむしろ高いというか、強い人がI類には多いのではないかと思ったのです。そういう側面も、あるのではないかと思いますが、いかがですか。

○村上茨城県立神栖高等学校家庭科教諭 働く意義というものを、考えていない生徒も少なくないように思います。3年生の夏休みになっても何をしていいのか分からない、進学するお金もないのでとりあえず就職だと家の人には言われているのですが、何をやりたいのかも分からないという生徒もいます。

○後藤専門委員 ありがとうございます。

○樋口座長 ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

河上委員長、お願いします。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

教える内容は簡単なところから少し複雑なところまで、いろいろあるかと思うのですけれども、少なくとも金銭教育あたりから始まって、消費者としてとにかく一人前にいろいろなことを考えて、場合によっては正しい意思決定能力とかトラブルを回避するための力を身につける。もちろん教えてもどうしようもないときはあるのですけれども、そういうことができるだろうなと思うのは、先生の御経験から言って、どのくらいから作業を始めて、何年ぐらいかかるとお思いですか。

○村上茨城県立神栖高等学校家庭科教諭 恐らく、二十になったとしてもまだ大人になり切れなさそうな高校生もいると思います。そのような生徒が自立した大人となるならば、5年以上、結構な年数がかかるかなと思うのです。

今からすぐ大人になる準備をさせるというのであれば、教員自身が全員消費者教育に関する知識を身につけて、それぞれのクラスや各教科の授業の中で、卒業後には自立しなければならないという意識をさせるように声かけをしていくべきなのかとは思います。

○樋口座長 そうすると、もし仮に今からやるとすると、そうした教える人についての能力を高める作業と、始めるとしても中学生の2年か3年ぐらいから初めて、4年から5年は少しずつ積み上げて教えていくぐらいのことをして初めて、少しは安心して出せるという感じですか。

○村上茨城県立神栖高等学校家庭科教諭 そうですね。恐らく今の大学生も結構二十になるということで不安を抱えている人はいっぱいいると思うので、成年年齢が2歳下がるとなると、高校生はそれ以上に不安があると思います。中学校に入った段階から早目早目に大人になることを意識させるような指導は必要になるかと思います。

○樋口座長 増田委員、お願いします。

○増田委員 先生の御活躍を支える立場として、消費生活センターと連携されていると思うのですけれども、地元の消費生活センターとの連携、何かあったときに来てもらって、一緒に活動するとか、そういうことがあるといいのではないかと思うのです。実際に一部されていると思うのですが、その辺について、御感想はいかがでしょうか。

○村上茨城県立神栖高等学校家庭科教諭 実際に連携をとって活動することで、地域の貢献活動において高校生の良さを発揮できているようにさらに自己肯定感が低い傾向にある生徒にとって、出前講座や事例報告を行い地域の方々に頼りにされることでとても自信になっていると感じます。

○樋口座長 大森委員、お願いします。

○大森委員 こちらからの希望なのですけれども、地元に就職される方がすごく多いので、ぜひ消費生活センターの人が身近になって、何かあったときに相談できるところがあるのだということを知ることがとても大事かと思うので、さっき増田委員が言われたように、一部の就職する人が中心にクラブは活動をされているようですけれども、センターの人が身近になるような取組をされるといいのではないかと思いました。

○村上茨城県立神栖高等学校家庭科教諭 ありがとうございます。

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。

それでは、村上教諭のヒアリングはこのあたりにさせていただきます。

(4)工藤横浜国立大学教育人間科学部教授

○樋口座長 最後に、消費者教育の担い手育成をされている観点から、横浜国立大学の工藤教授に御説明をお願いしたいと思います。

工藤教授の御専門分野は、生活科学、生活経営学で、工藤教授が幹事として参加された日本学術会議健康・生活科学委員会家政学分科会では「家庭科及び家庭科教員養成に関する調査-これからのくらしに家政学が果たすべき役割を考えるために-」の審議結果の取りまとめをされております。

本日は「家庭科教育の立場から」ということで、家庭科教育における消費者教育の在り方等についてお話しいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○工藤横浜国立大学教育人間科学部教授 今、御紹介いただきました、工藤です。

今日は、家庭科教育の立場から、それから、今ほど御紹介いただきました学術会議でいろいろ家庭科教育の充実あるいは子供の自立を、いかに教育を通してやっていくのかということで活動してまいりましたので、その辺も含めまして御報告をさせていただきたいと思います。一部、先ほどの村上先生のお話とも重複するところがあるかもしれませんけれども、その辺も一緒に聞いていただければ幸いと存じます。

主にお話しする内容は、この4点でございます。

1つ目は、家庭科の行っている「消費者教育」について、先ほどは家庭科の中の学校家庭クラブの活動でしたけれども、本体のほうで、内容として消費者教育をたくさんいろいろやっておりますので、その辺の概要をお話しさせていただきます。

2つ目は、当事者の意識ということで、本日ここで御報告をさせていただく機会をいただきましたので、私が受け持っている授業の中で、大学1年生、すなわち18歳、19歳、初めてこの間選挙をしましたという子供たちに、今回のテーマについての意識調査をしてまいりました。その結果を御報告したいと思います。

3つ目は、そこから見えてくる教育上の課題ということです。

4つ目は、教員養成の立場から、先ほども教員自身がもっと消費者教育についての造詣をということがありましたけれども、その辺についてのお話もさせていただきたいと思います。

まず、家庭科における消費者教育ですけれども、今、消費者教育の推進に関する法律もできまして、消費者教育については教育の立場でも推進の方向で動いている現状ですけれども、家庭科はずっと以前から家庭科全体にわたりまして、自立した消費者であること、主体的に社会参加をし、よりよい社会を形成する一員として責任を果たすということが重要な学習課題となっています。

手前みそなのですが、私が特に家庭科が優れていると思っているところは、小学校、中学校、高校と段階を追ってその視点を広げつつ、具体的な事例を通して自立的な消費者について考え、自らの生活意識やライフスタイルを見直して生活を創造する主体して持続可能な社会の構築を目指すということが学習課題になっているということです。

先ほど、何年くらいかかりますかという御質問があったと思います。私は本当に小学校の段階から、もっと言えば家庭教育の段階から、この消費者教育というのは、単に何かの課題に対応するということではなくて、物に対する考え方、生活の理念を構築するということと考えますので、できれば小さいときから継続的に学んでいくことがとても大事だと思っておりまして、その点で、家庭科はずっと継続的に日本の全ての子供たちに学ばせる機会を持っているというところで、大変大きな力を果たすことができるエンジンであると思います。

小学校、中学校の家庭科では、今は4領域から学習の内容がなっていますけれども、これが次期の学習指導要領の改訂では3領域になりまして、そのうちの一つが消費生活と環境ということで、今の4領域よりもっとさらに消費者教育の領域がウエート的には単純に考えると大きくなる今の改訂の動きがございます。

その中で、小学校、中学校では、物や金銭の大切さ、計画的な使い方、物の選び方、適切な購入、消費者の基本的な権利と責任を理解すること、さまざまな販売方法の特徴について理解をする。ここで今ほど皆様から御紹介いただいたような、いわゆる悪徳と言われるような被害が伴うような商法についても勉強し、消費者としてはどういう態度をとっていけばいいか、もしも万が一それに巻き込まれたときは、どのような手だてがあるのかということで、まずは消費者生活センターに相談しましょうとか、そういったようなことも勉強しているということです。

高校になりますと、さらに勉強が深まっていきまして「生活における経済の計画と消費」というところで、消費生活というものの現代的な課題ですとか、それから、消費者としての適切な意思決定、それから、責任を持って行動するとはどういうことかといったようなことを勉強します。ここは本当にいろいろな課題が網羅されていまして、ここをもしちゃんと高校時代に勉強してきてくれたら、恐らく18歳で大人になっても大丈夫だろうとは思っているのですけれども、なかなか現実にはそこまでいかない状況です。ここでは消費者市民社会ということで、主体的に消費者を大事にするような、そして、それをもって地球市民としてきちんと活動できるような人を育てるというところまでやっています。

以上が家庭科で勉強している内容です。

次に当事者の認識ということで、大学生に行った意識調査を紹介します。本当に簡単な調査です。「18歳成人」に賛成ですか、反対ですかという質問をしました。青が「賛成」、オレンジが「反対」、「どちらともいえない」がグレーです。「賛成」が半分弱というところで、「反対」の人はもっと少ないですが、「どちらともいえない」と一緒に入れますと、積極的に賛成はできないという人たちが半分以上占めています。

これは大学1年生120名への質問紙調査で、10月18日に行いました。母集団は横浜国立大学の学生です。

賛成の主な理由は、18歳は高校から大学へ進学するなど節目の年であるので、選挙権も18歳に移行した今だし、引き下げるよい機会だと思う。

大学生となりひとり暮らしを始める人も増えてきて、さまざまな契約を行って、実際に社会に深くかかわるようになってきているから、18歳に下げるということがいいと思う。

特に下げても問題は生じないと思う。

ほかの国でも多くは18歳だということを子供たちは知っていまして、ほかの国もそうなのだから、日本も同じようにしたらいいのではないかという意見。

それから、高齢化が進んでいて、若者の意見は少数派になりつつある。ここで、若者の意見をもっと反映させることが必要なので、賛成ですという意見もありました。

一方、反対の主な理由です。

早過ぎる。高校を卒業して、約2年間の大人への移行期間があったほうが何となくいい気がする。

高校卒業までが当たり前になっている日本の高校に、成人と成人ではない人が混ざっていると問題が起こりやすくなりそう。

18歳という年齢は、新生活のスタートという未知のことが多い環境であり、冷静な判断ができなかったり、つい羽目を外してしまったりということが考えられるので、移行期間を置いたほうがいいという意見です。

これまでは自分たちが過ごしてきたのは学校という非常に狭い世界だったので、大人になるために必要な知識を自分で学んでいないと思っている。だから、もうちょっと時間が欲しいという意見です。

3つ目には、どちらともいえない、一部許容しているという意見がありました。

その理由は、余り身近には感じていないから、どちらでもいいとか、18歳と20歳はただ基準が異なるだけだから、20歳が18歳になっても同じことだというようなことです。

3つ目は、なぜ成人年齢を変える必要があるのか、引下げの理由が自分にはよく理解できないので、どちらとも判断がつかない。

選挙権についてはとても賛成だが、18歳が「成人」かどうかについては、やや疑問が残る。

飲酒や喫煙はどうなるか。この辺のところが非常に心配であるという意見でした。

もう幾つか質問をしましたけれども、その調査結果から、120名の学生のうちほとんどはネット契約の経験を持っていました。経験がない人は2名、保護者と相談しながらやった人が2名、あとの人たちは自分で本を買ったりとか、音楽をダウンロードしたりとか、お洋服を買ったりとか、いろいろなことの経験がありました。

そして、リスクを伴っているということもよく承知していました。そして、リスク回避のために必要なことは、返品の仕方を勉強しなければならないとか、悪徳商法にひっかからない方法についてもっと勉強したいとか、クレジットカードの仕組みをもっと知りたい、詐欺への対処法を知りたい、クーリングオフ制度等、消費者保護のための仕組みについてもっと自分は知る必要があると思っているということが、当事者の口から語られていました。

この調査結果を総じて考えてみますと、当事者が認識できていること、すなわち18歳の、今、成人になろうとしている子供たちが考えていることは、「18歳成人」への賛否が日本国内で分かれていること。諸外国では、18歳を成人とする国も多いこと。

「18歳成人」の意義として挙げられていたのは、選挙権を18歳に引き下げて、若者層の政治参加を促す、これについては多くの子供たちが賛成の意見を持っていました。現行の少年法では、20歳未満を「少年」としているので、その少年に対する刑罰を強化しようとする意図があるのだということも分かっていました。

それから、18歳で成人になれば、飲酒や喫煙もいいのかなということで、ちょっとわくわくしているようでした。

それから、個人で契約ができるようになるのだということもよく分かっていました。

それから、私たちは被害に遭いやすい、支援が必要だということを多くの子供たちが言っていました。

調査結果から見える18歳像です。

多くの子供たちはもう既にいろいろなものを介して、社会参加をしているという事実です。契約の経験も持っているという事実です。それから、賛成している人もそうでない人も、なぜ「18歳成人」が議論されるようになったのか。現行の法律のもとで20歳でどのような権利が得られるのか。それが「18歳成人」となると、どう変わるのか。そもそも「成人」とは何か。成人としての資質とはというようなことについては、余り理解もしていないようでしたし、余り関心も持っていないようです。横国の学生は非常によく勉強もしますし、自分のこともいろいろ考える学生なのですけれども、余りその辺は関心を持っていないように見受けられました。

「18歳成人」に反対する人は、何か理論があるというよりも感覚的に、感情的な部分で早過ぎるというようなことを言っていたと思います。

自分たちを被害に遭遇しやすい当事者であると認識している人、これはほとんどの人たちでした。私は教育の立場で物を考えるので、18歳で成人になったということは、被害に遭いやすいので、被害からいかにその被害をクレームするのかという当事者を育てるのではなくて、権利を行使できるあるいはその成人の権利を使って、社会をよりよい方向に変えていける主体者としての一人一人が育ってほしいと常に考えるわけですけれども、そういう自覚は余り見えなかったということがあります。

それから、多くの子供たちが子供から大人への通過機関を持っていない。学校がほとんどで、今の子供たちは学校とバイトと部活ということで生活をしているのですけれども、そのどれにも子供から大人へ意識的に子供たちを促すような通過機関にはなり得ていないのだということを感じました。

次に、3つ目のポイント、教育の課題についてです。私が常々考えている教育の課題というものを、この本日の課題に照らして考えてみると、1つ目は、受け身に課題対応できる人を作るのではなく、消費生活を自ら営む人を育てることが大事だということを痛感しました。

それから、家庭科では、先ほど申し上げましたように、「社会的な課題」を「生活課題」として扱うという特徴を持っていますが、一般的な社会的な課題を、家庭科は具体的に自分が意識的に活動すれば、その社会的な課題は自分が変えることになるかもしれないという生活課題として転換して、子供たちに生きる力をつけるということをやっていますけれども、社会的な課題を生活課題として立ち向かうというアプローチが恐らく大変有効に動くだろうなと感じました。

それから、若者側のみの課題とするのではなくて、成人する若者を承認し祝福する大人社会の形成が大事だと大変痛感しています。

2つ目ですけれども、今、子供たちに対して、どういう生活をしたいのか、自分にとって必要なものは何かというと、そのために何をどう整えるのかという方法や知識やスキルの習得が、家庭科もそうですけれども、いろいろな教科でたくさん行われています。本日の課題でも、悪徳商法にひっかからない方法とか、クレームする方法とか、クーリングオフをする方法とか、いろいろなことが教えられている機会は割と多いと思うのですが、子供たちにどういう暮らしをしたいのか、自分はどういう消費者としてありたいのか、消費者としてどういうことを社会に貢献したいのかというような生活欲求を持つというところは、教育のこれからの課題としてもっともっと強くやっていかなければいけないところだなと思います。どういう生活欲求を持つのかによって、知識、方法、スキルを勉強するわけですけれども、それによって充足されて、また意欲を高めて、より意欲的な子供たちを作っていくわけですが、人間の欲求充足過程の全てにわたる一連の支援が必要だということを、今回の調査を経て、なお、強く感じたというところです。

3つ目は、今の子供たちは、非常に機能を重視される社会の中で生き続けて、それがすごく当たり前になってきています。できることが重視される社会の中で、疑問も感じずに生きている。就職試験になると、30個も40個も就職試験を受けて、おまえは何ができるのだ、何ができるのだと問われて、できることをいっぱい並べて、できることが会社の水準に合わないと落とされるということについても、余り疑問を持たないで、そういう社会だから、自分はそれに対応していかなくてはいけないと生きている子供たちなのではないかと思います。

生活の全体が、専門家の専門を分化によって分断化されて理解されていることに慣れている。専門家の支援を受けるのに慣れている世代。例えば、今、ケアに関する専門職でも20個ぐらい簡単に資格のあるものが挙げられる。子供たちが育っている学校でも、学校の先生に加えてたくさんの専門家が子供たちの周りにいて、子供を支援している。こういうことに慣れている子供たちです。

これは子供とはちょっと違いますけれども、例えば病気になると、患者をめぐる専門家はざっとこれぐらいあって、もっともっと重病になれば、もっともっとたくさんの専門家が自分を取り巻く。そういうものに慣れている子供たちで、教育の課題としては、そういうことに慣れている子供たちが、自分のことは自分で決める。自分が何をしたいか、何を買いたいか、何を買いたくないかということを専門家任せにせず、一人一人が判断することができるようなプロの生活者を養成するということが、教育の非常に大きな視点としてあると思います。

これまでは、専門家による支援を受けて人間らしい生活を実現していた子供たちでしたけれども、これからは生活者として、生活者が持ちたい視点を専門家に伝えて、人間の生活の視点を持った専門家を育成するというところまで子供たちを育てていきたいと教育の課題を考えました。

そして、最後に、教員養成上の課題です。

先ほど学術会議でいろいろな意見を出して、家庭科の先生が消費生活をたくさん担う責任を、教科の中では主に家庭科が担っているということで、責任を持っているのだけれども、多くの先生が特に消費の領域について余り自信を持っていない。うまく教えられると感じていないということも、その表出した意見の中で申し上げています。そのような自信を持った教員養成ということはどのように可能であるのかということなのですが、これは非常に基本的なことなので、今、申し上げることはないかもしれませんけれども、小学校、中学校、高校かけて、一人前の大人を世に送り出すための教育を担う、その教員を育てることがとても大事だと思います。高校の3年間ではとても間に合わないと思います。

それから、消費者教育というものは、受け身の課題対応のものではなくて、主体的にどういう社会を作っていくか、自分たちが一生懸命勉強して、賢くなった人だけが消費者被害から免れるような、一生懸命一人一人に勉強を強いるような社会ではなくて、普通に生活をしていても消費者被害になどに遭わない社会を作っていくところに消費者教育の目的があると思います。

「社会に参加するための技能や態度=大人の資質」というものを、教育の中でもう一度教科を横断して、いろいろな教科の人たちが知恵を出し合って、再吟味して、そして、学校教育でできること、これはかなり限定的だと思いますけれども、家庭教育でできること、それから、学校教育の後、社会教育で継続して行うことということで、連携を強くして行っていくことが、これは教育全体の課題ですけれども、とても重要だと思いました。

では、学校教育ではどうしたら、小学校、中学校、高校でどうしようかということを考えるのですが、私は家庭科の専門なので、すごく自分勝手なことを言えば、もっと家庭科を増やしてくださいということになるのですけれども、すぐにはかなえられないことだと思います。今の学校教育の枠組みの中でどうしたらいいだろうかということを考えると、一つは、教科横断的な領域として、「消費者教育」を位置づけて、他教科との連携を、各教科で連携を企画するコーディネーターのような人を置く。消費者教育をコーディネートする。各教科で教える先生に対して基本的に押さえることを、こういうことですねということを認識している人がコーディネーターとしてそこで力を発揮するということがあると思います。

それから、これだけ消費者教育が重要になっている中で全ての教員養成課程の受講者に対して、消費者教育を義務づけることも必要だと思います。うちの大学ですと、卒業の要件として小学校の先生になる免許を取る。中学校の免許を取るということがあるわけです。消費者教育は今、主に高校の領域で専門的に行われているとは思うのですか、小学校の先生、中学校の先生になる、うちの大学で言うと「小教専」という科目があるのですが、その内容に加えるということは、今の体制の中でも十分に可能ではないか。そして、義務教育の先生に消費者教育の基本的な考え方、リテラシーを持っていただくということは、実現可能ではないかと思います。

3つ目は、先ほども申し上げたように、学術会議の調査で現職教員が自信がないと言いましたけれども、これは20年も30年も40年もやっている教員が今の消費者教育の課題、消費者をめぐる課題について、30年前、40年前に勉強した知識が生きるとは思うことができず、そして、特にこの領域はどんどん新しいものが出てくる、新しい課題に対応することが必要だということを考えているがゆえに自信がないと答えている部分が多いと思います。

大学の教員養成でもっと消費者のことを勉強させることも一つですけれども、もっと実効的に効力を持つのは、恐らく今は現職教員を対象にした教員の免許更新制度というものが国で定められていますが、この現職教員の免許更新制度に消費者関連コースをどの大学にも作ってくださいというようなことを行うのは、恐らくそんなに難しくないことだと思うのです。そして、多くの消費者教育を専門にしなかった人たちは、この消費者教育関連のコースをとって、今の課題、そして、今の子供たちに何を与えなければならないかということを、現代的な社会状況のもとで理解し直して、学び直して現場に出ていただくことができるのではないかと思います。

ただし、現場の先生は非常に忙しいので、今の免許更新制度のもとでは、先生が時間を十分に使って、更新に出てくるということがかなわないような状況だと先生方にたくさん聞いています。制度をもう少し使えるような、使い勝手がいいような制度を見直していただくことが必要だと思います。例えばインターネットで勉強できるとか、そういったようなものも含めて、制度を見直しながら、消費者教育のコースを充実させるということがあるのではないかと思います。

私が今日御報告させていただくことは、以上でございます。ありがとうございました。

○樋口座長 工藤先生、御説明ありがとうございました。

早速ですが、ただいまの御説明を踏まえまして、御質問、御意見等のある方は御発言をお願いいたします。

大森委員、お願いいたします。

○大森委員 免許更新講習で、消費者教育を充実する御意見に、私はとても賛成なのです。小学校、中学校の家庭科の先生に私も触れる機会が多くて、消費者教育関連は苦手だという先生がすごく多くて、消費者教育自体が新しく導入されたテーマで、先生御自身、余り学んでいないこともあって、割合に苦手意識を持っていらっしゃる先生が多いのです。先ほどの村上先生の御発表でも、学校の先生自身が消費者として自立していないとか、勉強が足りないという御意見もありますので、この免許更新講習で充実させることには賛成なのです。

小学校、中学校の家庭科も、消費と生活の部分が増えますから、今まで4分の1だったものが3分の1になるわけですから、苦手では済まされないようなウエートになってきていると思うのです。実は、私は個人的にもう10年ぐらい免許更新講習のお手伝いをしていまして、消費者教育をやっているのですけれども、参加された先生は、実際に参加するとどういうものかイメージしやすくなって、教えることは慣れていらっしゃるので、すぐ実践できる。ですから、免許更新講習で必ず消費者部門を入れるだけではなくて、それを受けないといけないというぐらいに進めてほしいと思います。御意見に賛成です。

○樋口座長 ありがとうございました。

ほかの委員の方、いかがでしょうか。

河上委員長、お願いいたします。

○河上委員長 どうもありがとうございました。

先ほど、私が何年かと聞いたのを、それは何年という話ではなくて、小さいときからずっとそうだとお話になりました。私もそれは全く賛成です。なぜそれを聞いたのかと申しますと、仮に成年年齢が引き下げられることがあったとしても、直ちにそれを施行して、つまり、もう契約には直ちに完全に拘束されるから、取り消すことはできないのですという状態に置くというのではなくて、何年か猶予期間を置いてやらないといけないかもしれない。そうすると、今から一定のプログラムを立てて中学生、高校生、小学生もそうでしょうけれども、育てていって、その子たちがある程度でき上がるのが何年ぐらいかかるのだろうということを何となく頭で想像していたのです。

ですから、最初から家庭も含めて小さいときから少しずつ育てていかないといけないということは全くそうなのですが、現行制度が変わったとした場合に、何とか教育者を育て、子供たちにその教育をし、そういうことをしていって、高校を卒業するころまでに何とか一人前に育て上げられるだろうとすると何年ぐらいかかるでしょうねという問いだったのです。ですから、もしそれについて先生のお考えがあれば伺いたいと思います。もう一点は、消費者として自覚して責任ある決定ができるということと、不当な勧誘を受けて、なおかつ保護されてしかるべきだということとは話が違うので、そこも含めて消費者教育の持っている可能性を少し伺いたいと思っております。

○工藤横浜国立大学教育人間科学部教授 2番目の御質問は、消費者教育の中に私は明確に2本柱を持つべきだと思っています。1本目は保護されてしかるべきだし、クレームに対して適切に対応して保護されるという、実際の今、ある課題に対して適切に行動できる子供たちを育てることが非常に大きく求められますし、同時に、これからの子供たちは、そちら側にも回る子供たちですね。いつまでも受ける消費者ではなくて、企業に出て、社会から消費者にアプローチする立場にすぐなる人たちですから、2本目の柱も同じくらい強く意識をしながら、決してそういう人たちをそういうところにおとしめないような企業人、社会人、市民として成長するという2つの柱を明確に考えながら、消費者教育を進めていきたいと考えているという立場です。どちらも大事だと思います。

今の御質問では、私はいつも子供たちを見ていて、恐らく18歳になったとしても、今の20歳の子の持っている課題がそのまま18歳に移るだけだろうと思っているのです。特段大きな課題が出てくるとは思わない。今、20歳で課題がないのかといったら、たくさん課題があるということで、多分、年齢の基準を下げるとか、上げておけばいいとかというものではなくて、先生の御質問に答えるとすれば、移行期間を作ってあげる。それがどのくらいかということですね。移行期間というものが物すごく大事で、そこのところを、教育と社会のセクターと一緒になりながら、すごく昔で言えば若者組のようなものがあったときに、先輩が後輩にいろいろ教えてあげるとか、そういったような移行期間を持ちつつやっていくということで、そんなに長くかからないような気もします。

私の教えている学生は、多くが先生になることが期待されている子供たちなのですけれども、3年生になると教育実習に出かけまして、6週間小学校で実習し、そして、3週間か4週間、短い期間中学校で実習をするのですが、その教育実習に行く前と後では、子供たちが非常に変わります。それは消費者としての教育を受けているわけではないのですけれども、自分が子供たちの前で一人前の大人として振る舞わなくてはいけないというせっぱ詰まった状況に置かれた1カ月間を経ると非常に大きく変わり、自分の言い方にも責任を持つようになりますし、レポートなども、これまで平気で遅れていた子がちゃんと出してくるようになります。メールの書き方もきちんと時候の挨拶を書き、自分の名前を書き、題目も書く。これは小さな例ですけれども、そういうように社会的な自覚を著しく上げてくる時期がありまして、私はそのぐらいのものであっても、意識的にそれをやることで効果があるのではないかと考えます。そういうものを短期的に配置していくことによって、子供たちは格段になっていくのではないか。もう準備はできているし、もう既に参画しているわけですから、そういう中で大人の意識的な働きかけではないかと感じています。

○樋口座長 池本座長代理、お願いします。

○池本座長代理 池本でございます。

全体像の中でどう受けとめるのかということで、非常に参考になりました。今の河上委員長からの質問にも少し関連するのかもしれないのですが、中学にしろ、高校にしろ、学習指導要領が改訂されて、消費者教育の分野、こういう課題を配置しなさいということが入り、教科書も幾つか見たりしたのですが、しっかり書いてあるなという印象はあることはあります。

ただ、問題はそれをまさに現場の先生方がきちんと自分の言葉で分かるように生徒に伝える力量を持ってやっておられるのかどうかという現場が見えないので、先ほども非常にすばらしい取組をされているところがある一方、十分それが伝え切れない。何しろ、新しい課題がどんどん変わっていくので、伝え切れないところがあるのではないかと思うのです。その意味で、先生が御覧になっていて、例えば今の高校の家庭科の先生方で、どのくらいの人がちゃんと受けとめて伝えられる状況にあり、どのくらいがまだもう少し教員そのものに頑張ってもらわないと伝え切れていないのではないかという、そのあたりの教える側の現状はどう見ておられますか。

○工藤横浜国立大学教育人間科学部教授 教える側は、家庭科の先生に限らず、どの教科も非常に厳しい状況で、忙しく、どの領域に渡っても日々、刻々、新しい課題が出てくる中に対応しておられるので、先生の力に期待するということは、先生、もっと頑張ってくださいということではなくて、先生に対して消費者教育のエッセンスとか、今、小学校、中学校、高校で押さえておいてほしいことを、例えば学会とか、その専門家が先生にアウトリーチして、分かりやすいものを作って先生にお届けするということが先生の力を高める、多分ただ一つの方法。先生に勉強してくださいと、もちろん先生方皆さん優秀ですけれども、余りにそれに対しては先生の全体のエリアが限られている。もっともっと学会や専門家が教育のほうに近づいていって、分かりやすいものを、そして、今、消費者教育の場面ではいろいろなものがいっぱいあふれていますけれども、正確なもの、そして、単なるハウツーのマニュアルに終わらないような考え方も一緒に育てられるようなものを、英知を絞って作って届けるということが非常に忙しく必要なのではないかと、私は非常に強くそう思っています。

○樋口座長 ありがとうございます。

大森委員、お願いします。

○大森委員 先ほどの移行期間のお話の中で、現場で研修をするとすごく大人になって帰ってきたというお話を承ったのですけれども、高校、大学ぐらいになるとバイトなどを始めると思うのですが、今の子供たちは、すごく家庭や学校で守られていて、社会と触れ合える部分が少ないまま育っていると思うのです。私も子供市場のようなものをやって、子供に地域のお年寄りに物を売らせたり、高校生でも地域で交渉をするように市をフィールドにして活動すると、本当に見違えるように成長することを感じていますので、その移行期間は成人になる前後何年間ということではなくて、もっと小さいところから社会参画できる部分を増やしていくことも大事ではないかと思うのですが、その辺、いかがお考えでしょうか。

○工藤横浜国立大学教育人間科学部教授 そのように思います。今の質問と先ほどの池本先生の御質問とあわせると、日本の子供は、親の在り方、家族の在り方も大きいと思っています。大学生でも親が非常に関与する。自分の意思決定は余りないまま過ごせるとか、あるいは逆にほとんど全く教育をされていない子供たちとか、今、非常に多様な学生が出てきています。もしかしたら先生の力を高めるための教材というのは、先生に対しても必要かもしれませんし、親に対して、あなたの子供はもう18歳になると成人になるのですから、あなたはこういう教育をしたほうがいいですよというのはおかしいですけれども、親に対しても子供の成人を促すような教育が、今の日本の親には必要なのではないかと思っていいます。それから、子供が小さいときから地域に出ていくという、そういう多方面からサポートをすると先生は物すごく教えやすくなりますし、限られた時間で教育効果も出てくるのではないかと思っています。そこで連携ができればすばらしいのではないかと思います。

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

それでは、時間も参りましたので、このあたりで本日のヒアリングを終了したいと思います。

本日はお忙しい中、和田事務長、五藤専務理事、中村学生事務局員、村上教諭、工藤教授におかれましては、お時間を割いていただき、御出席いただきましたこと、改めて厚く御礼申し上げます。

本日の議事は以上でございます。

最後に事務局から事務連絡をお願いいたします。


≪3.閉会≫

○丸山参事官 本日も御熱心な御議論をどうもありがとうございました。

次回は11月1日火曜日、午前10時から開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

○樋口座長 それでは本日は、これにて閉会とさせていただきたいと思います。

お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございました。

(以上)