第12回 消費者安全専門調査会 議事録
日時
2012年5月8日(火)10:00~12:07
場所
消費者委員会大会議室1
出席者
【委員】松岡座長、中川座長代理、内堀委員、片山委員、齋藤委員、佐野委員、佐竹委員、
田澤委員、鶴岡委員、中嶋委員、中村(晶)委員、中村(均)委員、横矢委員
【消費者委員会担当委員】
小幡委員、夏目委員
【説明者】
千葉工業大学 社会システム科学部 金融・経営リスク科学科 | 越山健彦教授 |
経済産業省 | 商務流通政策局 商務流通グループ 矢島製品安全課長 製品安全課 宮下製品事故対策室室長補佐 |
独立行政法人 製品評価技術基盤機構 | 山本製品安全センター所長 葛谷製品安全調査課長 |
消費者委員会 原事務局長、小田大臣官房審議官
議事次第
1.開会2.前回の議論の整理
3.消費者への注意喚起事情伝達に係る現状と課題について
4.今後の議論の進め方について
5.閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
議事次第 (PDF形式:74KB)【資料1】 第11回消費者安全専門調査会の議論の整理 (PDF形式:147KB)
【資料2】 リコール・注意喚起に関する取り組み(経済産業省提出資料)
(資料2-2) 消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について(消費者庁公表資料) (PDF形式:666KB)
(資料2-3) H23年度冬の製品事故注意喚起・広報について (PDF形式:120KB)
(資料2-4) ライター規制周知・広報について (PDF形式:96KB)
【資料4】 リコール促進議論の経過と消費者のリスク回避観点(越山教授提出資料) (PDF形式:341KB)
【参考資料1】 リコール社告JISパンフレット(主婦連合会提供資料) (PDF形式:499KB)
【参考資料2】 「消費者安全行政の抜本的強化に向けた対応策についての建議」についての消費者庁の実施状況の報告
(消費者庁提出資料:第82回消費者委員会資料より抜粋) (PDF形式:269KB)
≪1.開会≫
○原事務局長 それでは、皆様おそろいになりましたので、始めさせていただきたいと思います。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
ただいまから、「消費者委員会消費者安全専門調査会」の第12回会合を開催いたします。
はじめに、配布資料の確認をさせていただきます。お配りしております資料は、第12回議事次第と書かれたものの裏面に、配布資料の一覧を載せております。
座席表の後ろに、資料1として、「第11回消費者安全専門調査会の議論の整理」をおつけしております。
資料2といたしまして、枝番がついて2-1から2-4までございます。これは経済産業省提出資料、消費者庁の公表資料ということで、後ほど御説明に使っていただきたいと思います。
資料3といたしまして、製品安全に関する消費者への注意喚起ということで、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)から御提出をいただいている資料です。
資料4といたしまして、「リコール促進議論の経過と消費者のリスク回避観点」ということで、越山先生から御提出をいただいた資料です。
参考資料といたしまして、参考資料1は、佐野委員からリコール社告のJISのパンフレットをつけさせていただいています。前回も、国民生活審議会の過去の議論の経緯をお示しいたしましたけれども、随時、委員からも、このような資料があるということがありましたら、御紹介いただけたらと思います。また、後ほどの議論で佐野委員にも御紹介いただけたらと思っております。
参考資料2といたしまして、第1次の消費者委員会で出しました「消費者安全行政の抜本的強化に向けた対応策についての建議」について、消費者庁の実施状況の報告ということで、本年2月23日に消費者庁から提出いただいている資料をおつけしております。
それから、幾つかカラー刷りのパンフレットやリーフレットを出しておりますけれども、これはそれぞれのところから御提出いただいた資料ということで、これも随時、御参考にしていただけたらと思っております。
不足がございましたら、審議の途中でお申し出いただければと思います。
それでは、松岡座長、議事進行をどうぞよろしくお願いいたします。
○松岡座長 おはようございます。
本日、消費者委員会事務局から、原事務局長のほか、小田審議官。それから、千葉工業大学社会システム科学部金融・経営リスク科学科の越山教授、経済産業省から矢島製品安全課長、宮下製品事故対策室長補佐、独立行政法人製品評価技術基盤機構製品安全センター山本所長、葛谷製品安全調査課長に御出席いただいております。
本日から、中川座長代理が出席されておりますので、ごあいさつをお願いいたします。
○中川座長代理 中川でございます。私は大学の評議員を務めておりまして、さまざまな会議でちょっと閉口していますが、前回も重要な会議を忘れておりまして、調整がつかず欠席いたしました。第一次と引き続いて参加させていただきます。もう少し具体的な議論ができるように努力したいと思います。よろしくお願いいたします。
≪2.前回の議論の整理≫
○松岡座長 では、よろしくお願いいたします。
もし、カメラ等撮影がありましたら、ここまでにしていただければと思います。
早速、議事に入らせていただきます。
議事次第2、「前回の議論の整理」と書いてありますが、事務局の方で、前回出されました御意見を資料1に整理という形でまとめていただいております。前回は非常にたくさん議論が出ましたが、項目別にまとまっていると考えております。それを見ますと、国民生活センターへの御意見や質問がありましたが、そのほかに、今後の議論の方向性のポイントは何か。情報の伝え方、伝える情報の内容について、情報伝達やリコール回収の阻害要因は何であるか。メディアの状況という御意見がいろいろ出ています。また、リコールの在り方について等の御意見に分類できるということで、整理されております。
ここから考えますと、前回のご議論では、注意喚起情報を誰に、どのような内容で、どういうルートで届けるべきか。それにかかわる阻害要因があるので、それをどう解決していくかが、今後検討していく課題として挙げられたのではないかと考えております。
リコールの在り方についてということも重要な課題でありますが、専門調査会のテーマに挙げられている、「消費者事故未然防止のための製品リコール案件等の注意喚起徹底策について」ということに関連して、リコール等の情報も含めた注意喚起情報をどのように届けるべきかということを中心に、今後、考えていったらいいかということで、議論がだいぶ出尽くしてきたのではないかと思っております。そのようなことで進めたいと思いますが、いかがでしょうか。
では、そういうことでいろいろ議論を進めていきますと、おのずからいろいろな問題点が浮かび上がってくるのではないかと考えております。
○佐野委員 質問を一つ、よろしいですか。今の話ですと、やはり出口だけということになってしまっていますが、それだけでいいのでしょうか。最初にこのテーマが出たときからそう思っていますが、あくまで出口で、入り口は関係なく議論をしようという、それだけでよろしいのですか。
○松岡座長 入り口として、リコールそのものが。
○佐野委員 リコールそのものより、ある意味で情報収集の在り方とか、いろいろなことが関連しており、入ってきた情報をいかに整理していかに消費者に伝えるかというのは、一連の作業だと思うのです。それを出口だけでいいのかなという気持ちがあるのですけれども、それでよろしいのか。皆さんの御意見もお聞きしたいと思います。
○松岡座長 佐野委員から今のような御意見が出ましたが。
齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 話の進め方としては、どちらから入っても多分たどり着くと思うのですが、無しにすることはできないと思います。今、情報の収集の仕方で要求を出されましたけれども、私は、リコールという事態があって、認識していてもリコールしないというのが結構多いと思っています。これも抜きにはできないと思っております。今日、事前に配られた越山教授の資料にもそういうところがあるので、そこで質問をしようと思っていたのですが、抜きにはできないと思います。したがって、どちらから話を進めても、重点は出発点に置くけれども、最後のまとめのときには何かを加えることになる、と思っています。最初から抜きにするということでは進まないと思います。
○松岡座長 中村委員、どうぞ。
○中村(均)委員 私も同じ意見です。出口から議論していった方が、入り口側にももう少し議論が制約しやすいのではないか。入り口側に余り焦点を当て過ぎると、玉石混淆の情報をどうするかというところでまた苦しんでしまうので、出口から入って、情報系にも及ばせるというやり方の方がいいと思っております。
○松岡座長 ありがとうございました。
ほかにありますか。
今、佐野委員、齋藤委員、中村委員から問題提起がありました。そういうことで、当面、出口の方を主眼に置いてやっていって、おのずといろいろと浮かび上がってくると思いますので、入り口と合わせた議論として、この検討会の集約の方向に向かって進めていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。まずは出口をやって、その後半に入り口、あるいは総合的な検討に入っていくという形で、前半が終わればそれで終わりということではないということを、ここで皆さんに確認していただいて、しっかり議論を進めていきたいと思います。
では、そういうことで進めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
≪3.消費者への注意喚起事情伝達に係る現状と課題について≫
○松岡座長 次に、議事次第の3です。本日の話題提供、議論の問題提起ということになりますが、「消費者への注意喚起情報伝達に係る現状と課題について」ということで、本日は、千葉工業大学の越山教授、経済産業省、製品評価技術基盤機構から、以前からの取り組み状況について御説明をいただきたいと思います。
お三方からの話題提供がありますが、質問については全部終わった後にまとめて、十分時間をとってありますので、議論を詰めていきたいと思っております。
それでは、千葉工業大学の越山教授から、資料4「リコール促進議論の経過と消費者のリスク回避観点」に基づきまして、御説明をいただきたいと思います。御説明の時間は15分程度でよろしくお願いいたします。
○千葉工業大学越山教授 千葉工業大学の越山と申します。よろしくお願いいたします。
まず、簡単に自己紹介をさせていただければと思います。実は以前、もっぱら経済産業省や消費者庁のお手伝いで、乳幼児用品や福祉用品の安全基準をつくるという作業を、前職のころからずっとさせていただいておりました。そのころは事故の再発防止という観点で、リスクを減らすということは、エンジニアリングの技術を使うことでかなり成果が達成できてきたのではないかと思っております。
2002年に、リコールのハンドブックを作成する仕事をさせていただくころから、安全の視点が少し変わってきたというところがあって、それ以降、2004年に経済産業省の「リコールハンドブック」の原案を作成させていただいた後も、内閣府のリコールの指針、主婦連合会の佐野様の作業のお手伝いをさせていただいたリコール社告のJISの作成協力とか、国内のリコールの文献、文章の作業に携わらせていただいていたこともあったので、多分、今日お呼びいただいたのかなと思っております。今日は、リコールの議論について何か少しはお役に立てるようなコメントができればありがたいと、そんな視点で参加させていただいております。
資料は、レジュメにありますが、時間の関係もありますので、前半の部分は飛ばさせていただこうと思っております。前半の部分はリコールの指針のお話で、日本国内にも幾つかリコールの指針もございますし、海外のリコールの指針や国際的な議論も進んでいるということはございますが、皆様のここまでの議論で、そういうお話は何度も出てきたのではないかと思いますので、むしろ後半の部分を時間の限り御紹介させていただければと思っております。
まず、リコールの議論をする上で幾つか問題点があると思っております。リコールの議論をすると、それぞれのお立場からいろいろな意見が出てきます。または、それぞれ深い意味があるけれども、それぞれについての答えを出していくのは非常に難しいし、簡単にはいかない。逆に行政サイドの皆様は、部分的な議論だけではなく、全体的な議論をちゃんとしなさいということがあります。
リコールのハンドブックにしても、リコールの指針、またリコール社告のJISについてもそうですが、その中にはいろいろ議論点もありますし、解決していかなければいけない問題がたくさんあります。今、日本にはリコールの安全基準のようなものがないので、枠組みをまずつくろうという議論がなされ始めたのが2002年のころからだったと理解しております。
ここの段階では、最初に一定の教科書だとか理論みたいなものがあるかというと、実はなかったのです。それで、作成する側は非常に悩んでいたところでもありますが、その中で、最初に日本の2002年の「リコールハンドブック」をつくるときのベースになったのが、アメリカのCPSCの「リコールハンドブック」と、イギリスで作成された「リコールハンドブック」の2つです。
その2つの中にも、リコールの有効性ということを考えなければいけませんということが書いてありました。リコールの有効性は何でしょうか。リコールというのは、ただリコールさえ実施すればいいという議論ではなくて、そのリコールが有効に機能するリコールであるべきだ、という議論が初めにあってもいいのではないかということです。実はその部分というのは、すべての企業に対して法的な規制力、制約力があるわけでもなく、また、それができる会社と、できない会社もあるとか、いろいろな議論があってなかなかこの議論に踏み込めなかったところがあるので、今日はその部分について考えていることを御紹介させていただければと思っております。
まず、アメリカのリコールのハンドブックというのは1976年にできたものですけれども、いまだにリコールの有効性の議論がされています。78年にアメリカのCPSCで出たドキュメントが、2003年にもう一度リバイスされています。FDAとCPSCの中での議論のレポートの抜粋ですけれども、この中には、リコールの有効性を評価することも大事、これは前からわかっていましたが、その中に具体的に、ちゃんとこういう評価指針で評価をチェックしてくださいということが書いてあります。
一つが、通知がちゃんと届いていますか、それを確かめていますか、ということ。2番目、それは消費者がちゃんと読んでくれていますか、ちゃんと理解してくれていますか、通知に従ってくれますか。これが具体的に有効性のチェック事項というふうに書かれています。リコールをするということは、社告を出せばいいのではなくて、この1から4までの何らかの確かめだとか評価をしないと、ただやればいいという議論になってしまうところが、お見受けするところかなと思っております。
76年にCPSCが「リコールハンドブック」をつくった当初は、この議論についてやはりいろいろ議論されています。このときには、有効性を図ろうとするときにはどんな品物でも同じような効果を期待できるかどうか。これは、多分皆様の方がよく御存じだと思いますが、それは無理ですね。なぜかというと、製品の価格も違うし、使っている期間も違います。買ったばかりのもの、何年も使ったもの、出荷されている製品の数、時期、消費者の手元にある製品の割合、リコールのタイプによっても違います。回収なのか修理なのか。そして、通知のレベル、どれほど通知が広がっているかということも確かめますが、いろいろな要素があって初めて有効性の議論ができるので、一定の答えというのはなくて、その製品、またはリコールの特徴に合わせて、有効性は評価すべきですという議論がもともとということです。
これは言うのは簡単で、実際には、すべてのリコールを実施しようとしている会社がこの辺りのところまで全部考えてできるかというと、多分できないのではないかという気もしてはいますが、重要な視点であると思っております。最初の段階からこういうものが出ているので、これをどう日本のリコールを実施する人に伝えられるのか。または、議論の中で、こういう議論ができるのかということを考えていければと思っておりました。
今回は、事務局サイドではなく、気楽にリコールの問題について学者の先生方と一緒に議論していますけれども、実際の製品の安全問題の議論というのは、このようなフェーズに分かれていると思っています。最初に入り口論の議論として、そもそも警告表示があったとしても消費者は読むのか、ちゃんと読ませられるような議論をしているのかというところ。次に、そこに書いてあるリスク認知の問題。それは危険だと感じないとたぶん消費者はリスク回避の行動をとらないし、リコールに協力しようとか、警告に従おうということはしないのではないか。
肝心な問題は、仮にリスクを認知したとしても、ちゃんと企業に対して協力するのか。今、私はリコールに対しての反応を、企業に対する協力という言い方をしましたが、最終的には消費者が製品を交換してください、修理してくださいと、電話やメールで連絡するような行為がありますけれども、それは、必ずしも消費者が自分を守るためというよりも、企業に協力している部分というのが何らかの形であるのではないかと思っているので、そんな意識を持って紹介させていただきました。ここにはいろいろな要素があって、いろいろな要因をそれぞれの製品に合わせて考慮していくべきというようなことを思っております。
では、何ができるのかというふうになると思いますが、実際に消費者が危険回避をするためのモデルというのはいろんなステップがあって、そのプロセスの中で考えていかないと、部分的なものだけの議論をしていてもなかなか問題解決につながらないのではないかと思っておりまして、このようなメカニズムのモデルを考えました。
そもそものモデルは、警告表示がありましたか。次に、それを読みましたか。今度は守れそうですか。ここには、リスクを認知しましたかという議論も当然入ってきますし、通常の製品の警告表示の場合は、いつもやっていますか、たまにしかやっていませんか、最初だけですか、なれの問題ですか、いろんなフェーズがあると思いますが、ここに個々の製品の特徴みたいなものを重ね合わせていくと、何らかのプロセスが説明できるようになるのではないかという期待をして、調査を進めているところであります。
今まで、日本全国、学生、千葉の周辺などでデータをとっています。製品によって全く違いますが、ほとんどの製品の警告だとかリコール表示に関しても、読みましたかとの問いは、ある程度高く出ています。これは製品によって、また、社会的な問題の背景によっても変わります。当然、「いいえ」がいますが、ここで考えていただきたいのは、読んだからといってちゃんと理解できますか、理解できたとしても本当にそのとおりにやっていますか、というところがあるのではないかと思っております。
そうすると、この問題はリコールの問題に置きかえると、最初に、リコールの認知性の問題として、告知、社告等を出して、それを読んでいますか、それともそれ自体の存在を知っていますか、この議論でも、リコールの対策は全く変わってくると思います。そもそも、やっていますという議論は、その存在を知らないようなやり方なのかもわからないし、仮にあったとしても、新聞の隅っこで小さい字で「読みましたか」というような議論で、チェックしなくてはいけない場合があるのかもわかりません。
ちゃんと読んだとしても、それを理解できましたかという議論では、実際に今日の社告も、カビの発生する可能性があるので回収させてくださいと書いてありましたけれども、それは危険なのかどうかよくわからないですね。そこで、消費者が何をするのかというと、そのとおりに従って、もう使うべきではないのかと思うのかどうか、そこもはっきりしない部分があります。次に、日本の消費者というのは、傷とかカビがあると結構危険回避をする傾向があるので、危険回避するのかもわかりませんが、それは、必ずしも危険だと思って回避しているとはリコールの場合は限らない議論がここではあり得ます。
ここまでは、リスク認知をちゃんと理解できましたかという話と、ここがリスク回避の問題ではないかと思ってはいますが、リスク回避だとしても、危険だと思わなければやらないし、仮に危険だと思ったとしても、やりますか、やりませんか。更に、さっき話したとおり、自分の使っている自動車みたいなものは、危険性があると思ったら修理をされますけれども、今回いろいろ調査してみると、自転車の幼児座席のリコール事故に遭遇した消費者もいましたが、そのうちの何人かは、そんなのはお父さんに直してもらったとか、捨ててしまったというふうに消費者が協力しないフェーズがあるわけです。
これは、海外でのリコールの研究の中でも、そういう部分があるので、それは無視してはいけない実情なのかなと思っています。必ずしも、リコールすれば全部オーケー、理解した、守れます、ちゃんとリコールに協力しますというふうに行く可能性というのは、製品によって非常に低くて、全部逆方向のところに落ちてしまうような実態があるのではないかと思っているので、5番、6番の部分に落ちてしまう人に対応するにはどうしたらいいのか、という議論をした方がいいのではないかと思っております。
当然のことながら、リコールの告知の方法はこの辺りの議論です。告知の方法、告知の場所、時間、タイミングの議論であり、次にリスク認知の問題があります。カビの発生の可能性があるというのは、危険と感じるのか、どう感じるのか、よくわからないような表示です。ここで危険を回避できたか、回避しようと思うかどうか。そういう表示を誰がどういう形でチェックすべきかどうかというのは、ここの議論になるのかも知れません。肝心なのは、消費者に何を期待するのか、この部分の議論はここの議論でしていかなければいけないのではないかと思っております。
ここでまとめに入らせていただきますが、リコールの議論をする中では、全部のフェーズをごちゃごちゃにして議論するのではなく、それぞれのフェーズによって、問題点を区分けして議論していけばいいのではないかと思っております。一つが、警告表示の認知性の問題。一つが、リコール認知の問題、リスク認知の問題。それから、リスク回避の問題。特に私が最近思っているのはここの部分で、連絡して直してくださいということを普通に期待していますけれども、消費者は必ずしも企業の期待どおりに動くとは限らない。また、企業の期待どおりに動かせるような動機づけをどうやってしなければいけないか。ここの議論が上に比べてまだ十分ではないのではないかという気もしています。
ということで、あとの部分はレジュメに書いてあるとおり、前半の部分はリコールの種類、いまの議論についてのところを述べさせていただいております。
○松岡座長 越山先生、どうもありがとうございました。
いろいろ質問事項があると思いますが、先ほど申しましたようにまとめてということで、続きまして、経済産業省から、資料2、「リコール・注意喚起に関する取り組み」に基づきまして、御説明をいただきたいと思います。10分程度でよろしくお願いします。
○経済産業省矢島製品安全課長 経済産業省の矢島でございます。お手元の資料に沿って御説明したいと思います。
今の越山先生の御説明と、内容的にはかなり重なっている部分があろうかと思っております。ただ、私どもの方からは、より実例的な形で御説明できるかと思います。また、議論の前提として申し上げておきたいのですが、私がこれから御説明するのは、いわゆる製品安全のリコールないしは注意喚起でございます。食品とか、いろいろな意味でこの議論の場はあるのだと思いますが、あくまでも製品安全のことで、法律なども違っておりますので、その前提でお聞きいただければと思います。
資料2-1をごらんください。上の方のオレンジがかったところの四角の中に、3つ書かせていただいております。
1つが、リコールが始まっても、その後、未対策品で事故というのが、年間、私どもが受け付けている事故の1割ぐらいがそういったものでございます。したがって、リコールはゴールのようなものではなくて、それがまさにスタートだということで、いかにリコールを進めていくかということが重要だと考えて、この後の対策などを取り組んでいるところでございます。
2つ目のマルでございますが、このための取り組む内容として、製造・輸入事業者は勿論責任がございますので、御努力いただくとともに、販売の事業者などの協力も得ていこうということで、今、検討を進めているところでございます。
3つ目は、今、越山先生のお話にもありましたが、消費者の方々の協力、消費者の方々が実際に行動に移していただくということが非常に重要だと考えております。
次に、2-1の右下のグレーがかった四角で囲ったところにグラフが2本入っていますが、リコールといっても製品によってさまざまな状況がございます。左側の例は電気コンロの例で、これは回収率が100%近くまでいっている例でございます。
有名な事例でございますので御存じの方も多いと思いますけれども、電気式のコンロで、ワンルームマンションなどに付いていて、カバンなどがぶつかっただけでスイッチが入ってしまって事故が起きるというものです。これが非常に高く回収が進んでおりますのは、設置型で、マンション等だったものですから、どこに入っているかがほとんどわかっている。所有者情報がわかっているということでございます。
一方、右側の殺虫剤の例をごらんください。これは40%台でほぼ頭打ち状況になっております。これは、多分これ以上なかなか伸びないと思います。なぜならば、もう消費されていて存在していない。かなりの部分がもう捨てられているということだと思います。
リコールというものはすべて100%を目指しますが、我々がとるパーセンテージの分母は、出荷量なり販売量を分母にとっております。分子が実際に回収した量をとりますので、一般に製品寿命の短いものですとか、非常に価格の安いものは、そもそも市場に余り存在していないということなので、一概に何%だから努力していないとか、何%だから努力しているという評価は、個々の製品の特性を見て評価をしていかなければいけないという点は、是非、御理解をいただきたいと思います。
そういった視点から、我々はアフターリコールと呼んでおりますが、リコールが始まった後、きちっと対策が進んでいるかという取り組みを御紹介したいと思います。緑の四角を見ていただければと思いますが、リコールを開始した後、さまざまな周知方法をとっていただくわけですけれども、その都度、効果を測定していただいて、効果の高かったものを第2弾、第3弾ということで繰り返してやっていきましょうと。我々が企業の方と、その後どうなっていますかというヒアリング等をする際も、どのときに一番効果が高かったですかということで、それではもう一回やりましょうというようなコミュニケーションをとる。そういった手法を、先ほど御紹介のありましたリコールハンドブックを改訂しまして、アフターリコールの取り組みの考え方というのを、モニタリングの仕方、その対策のとり方というのを追記させていただいています。
次に、右側のオレンジの小さい四角を見てください。「経済産業省におけるリコールフォローアップの徹底」ということで、私どもも省内の取り組みとして、企業の方というのはリコールに余り慣れていないものですから、どこまでどうやればいいのか、なかなかわからないところもございます。したがいまして、例えば事故が再発した場合、リコール中に未対策品で事故がまた起きたときに、来ていただいてヒアリングをして、その後どういう対策をとっていますか、最初のときにやって以降、何もやっていないということがあれば、また効果的な対策を追加でやってください、というようなコミュニケーションをとって、対策内容を指導するという取り組み方をさせていただいております。基本的にはリコールが始まった後のフォローアップを、我々はこういう形でヒアリング等もしていくという取り組みをしております。
次の裏面を見ていただければと思います。今後の方向性の一端ということで、もう少しお時間をいただきますと、具体的な内容を御報告できる機会もあろうかと思いますが、物流を考えたときに、製造事業者と消費者の間に販売事業者というのがいるわけで、消費者と接点を持っているのが販売事業者でございます。左側の緑の枠組みのところをごらんいただくと、私どもも消費者ですが、大手家電のお店に行くと、ポイントカードをつくります。そうすると、誰がいつ何を買ったかまで全部情報が残ります。もしもその商品にリコールがかかった場合、ピンポイントでリコール情報を届けることが可能になるということでございます。実際にそれぞれ事業者の方はいろんな取り組みをしていただいております。ここに書かせていただいているように、個人情報を活用してリコール情報を届けるということを取り組んでおられます。
それを踏まえまして、右側の青い四角をごらんください。大手家電の集まりの懇談会がございます。そこと我々が議論をしておりまして、私どものリコール情報、ないしはリコールにとどまらず、再発防止のためのさまざまな安全関係の注意喚起のための情報を、まずは大手家電の方々のルートで広く周知を図るような仕組みがつくれないかということを、今、まさに調整をしているところでございます。
リコールを中心としたお話をさせていただきました。今も申し上げましたが、消費者の方に情報を届けていくというところで、私どもは実務をやっておりまして感じますのは、大きく分けて2つ課題があると思います。一つは、いかに消費者にリコール情報を届けるかということで、今、御説明したような対策を考えているわけでございます。もう一つは、いかに消費者の方々の行動に結びつけていくかということではないかと思います。
幾つかの例を御紹介したいと思います。たまたま直近の消費者庁の、毎週2回、事故情報をプレスリリースしているものです。これは、そのときの事故にリコールがかかっているけれども事故が起きてしまった場合には、特記事項として、事故情報のほかにリコール情報が載るようになっております。2ページ目の「6.特記事項」というところがリコール情報のところでございます。これを見ていただきますと、火災が起きること、使用の中止を事業者は求めていること、よって、リコールを呼びかけていること、リコールの対象となる型式、そういうものをきちっと周知をその都度しております。たまたま直近の27日の例ですと、2つ、石油の湯沸器と電気コンロの話が出ているかと思います。
3枚目の裏面、上から6行目になお書きがございます。「なお、製造事業者等が回収のため、ダイレクトメールを届けたり、直接訪問を行ったものの、留守であったり、返信がなかったために回収ができなかったものから、火災事故が発生したケースもあります」ということで、実はこのコンロは先ほど御紹介したようにほとんど設置場所はわかっていますので、そこに何度もお願いしてもなかなか対応いただけなかったというケースも一部にはございます。
次に、資料の2-3、2-4をまとめて御説明したいと思います。最近、私どもが取り組んだ例でございます。この冬、節電ということもございまして、石油ストーブ等の使用頻度が上がるのではないか。また、仮設住宅にお住まいの方々が非常に使いづらい空間の中で製品を使われるのではないかということで、ストーブの事故を中心に積極的な注意喚起をさせていただきました。全国レベルで数次にわたって、途切れないように、ある程度の間隔を置きつつ、注意喚起の情報をさまざまなルートで出してきたわけでございます。また、被災地、東北3県等におきましては、壁新聞という政府からの情報を載せるものをコンビニに大きなサイズで張っていただいたり、仮設住宅一戸一戸にチラシを入れさせていただくというような取り組みをさせていただきました。
もう一つの例として、資料2-4をごらんください。こちらは、リコールではございませんが、ライターの規制ということです。たばこをお吸いになる方は御存じかと思いますが、今、ライターの操作レバーを使いにくく重くしたわけでございます。これは、使われている方が非常に多いということもございまして、また、子どもの火遊びを予防するということで、製品だけで必ずしも全部が対応できる問題ではございませんので、広く周知をやってきたところでございます。
幾つか特徴的なものを申し上げますと、一つは、注意喚起チラシの作成配布ということで、23年12月に50万部、24年3月に58万部、それぞれ配布しておりますが、こういった大量の規模のものを配らせていただいております。これは警察にほとんど配っていただいております。警察が配るとどこに行くのか、警察の方にお伺いすると、地域の防犯委員とか、防犯関係の会合とかで配られるので、防犯委員の方々に渡すと、大体回覧板に載ったり、かなり地域密着のところで配られるということもあって、50万部という大規模な数字になっております。ただ、東京とか大都市部は、回覧板という地域コミュニティが維持されていないので、回覧板はなかなか難しいですというお話をいただきました。
関連団体を通じた周知というのは、ライターの問題、子どもさんの問題ということもございましたので、お子さんをお持ちの親御さんにどう伝えるかということで、全国の私立、公立の幼稚園・保育園、全国団体を通じて全国の幼稚園・保育園にチラシの配布をさせていただいております。もう一つ、御高齢の方々は使いにくいということもございますので、御高齢の方々の団体にも広く周知をさせていただいています。
こういった形で、いかに届けるかということは、その都度いろいろ考えながら取り組んでいるところでございますが、もう一つの課題として、いかに消費者の方々の行動につなげていくかというところが、今後、どう取り組んでいけばいいのか、一番悩ましいところでございます。特に役所は一番そこが不得意な部分でもございます。その一例として、2つのパンフレットを御紹介したいと思います。
このパンフレットを裏返して見ていただきますと、経済産業省と主婦連合会が作成者になっております。消費者の目線からどういうものがわかりやすいのかという目で、中身の企画から主婦連合会で考えていただきました。また、配るルートも、我々が通常配るルートだけではなくて、全国地域婦人団体連絡協議会さんがお持ちのルートなどで配っていただくということで、今までの役所のやり方ではないやり方で、何とかして消費者の方々の行動に結びつくようなやり方ができないかというのを、今、いろいろ模索をしているところでございます。
消費者の方々が自ら、例えばリコール情報のサイトなども、全部の情報が載っていますので、毎月とは申し上げませんが、四半期に一遍ぐらいでも見に来ていただければ、ものすごく効果があるというところで、どうやったら消費者の方々の行動につながるのかというのが課題だというところでございます。
○松岡座長 どうもありがとうございました。
引き続き、NITE(製品評価技術基盤機構)の方から御説明を、同じく10分程度でお願いいたします。
○NITE製品安全センター山本所長 製品安全センターの山本でございます。よろしくお願いいたします。
資料3により御説明をさせていただきます。
まず最初に、NITEというのは何をやっているのか。初めてという方もいらっしゃるかもしれませんので、若干、業務を説明させていただきます。
今、経済産業省の矢島課長から御案内がありましたとおり、経済産業省の仕事と一体となって製品安全の業務をさせていただいております。3ページに地図が書いてございますが、北海道から九州までブロック単位で事務所を置きまして、全国で起こる製品事故をいかに迅速に収集し、その中で情報をしっかり集めて、その原因が何かということを我々技術群が調査し、結果を求め、それを再発防止、未然防止につなげるという形で経済産業省に御報告させていただくというストーリーでございます。重大事故については、指示が来てやっていきます。もう一つ、重大事故ではないけれども、ヒヤリハットを含む非重大事故については、NITE自ら、消費者センター、地域の関係のところから情報をいただきまして、それを集めて分析をして、その結果を報告、または広報していくという役割になってございます。
4ページをお開きください。平成18年から23年度まで、どのような事故を収集したかということを一覧表にしてございます。平成19年度が一番高くて7,000件を超えておりますが、このときは消安法の改正で、重大事故についての強制的な義務化がなされたときで、ここには過去のそういう情報も集めて報告されたという観点で増えてございます。ここ数年を見ていただきますと、4,500件前後で推移しております。一生懸命頑張っていて、もっと下がってくれればいいと思っていますが、残念ながら4,500件前後で推移しているという状況でございます。
下の円グラフを見ていただきますと、電化製品が非常に多くて6割、燃焼器具関係が約2割弱。これを合わせると8割弱が私どもに入ってくる情報の割合になってございます。このような形の全4,500件を一件一件、我々の技術部が調査し、その結果をもとに報告をさせていただいているというところでございます。
次に、今日の本題でございます。5ページにまとめて書いてありますが、消費者への情報提供、注意喚起としてどのようなことをやっているかということを、まとめてここにタイトルだけ入れさせていただいております。
まず一つは、NITEのホームページの中でいろいろな注意喚起をさせていただいております。重複しますが、下に書いてあるリーフレット、チラシなどは印刷物としてお配りするという方法と、ホームページに載せてダウンロードができて、それを皆様方に使っていただけるような形で御提供させていただいています。それから、今日、配付させていただきました「事故から身を守るために」というハンドブックをつくっておりまして、これを消費者センター等を中心として全国に配らせていただき、注意喚起をさせていただいているというところでございます。今日は配布しませんでしたが、消費者ではない事業者に対しても、事業者が事故をどう防止するかという同じようなハンドブックも用意し、活動をしているところでございます。
加えまして、メールマガジンというものをやっておりまして、今は大体8,000ユーザーの方々に、安全に関する最新の情報を配信させていただいております。毎月1回、定期的にプレス発表をさせていただいております。これも後で詳しく申し上げますが、タイムリーな形での安全情報についてプレス発表をさせていただいています。全国で消費者安全に関するセミナー、講演等に積極的にNITEの技術群を講師として派遣したり、事故情報の事故品、それがどうして起こったのかという展示等も加えて協力させていただき、消費者の皆様方に御理解をいただく活動をしているところでございます。
最後に、製品安全教育ということで、一昨年からやってみようということで、今、アプローチしています。今日、回覧させていただいていると思いますが、子どもさんにわかりやすい形でDVD、教育ビデオをつくりまして、全国に配布させてもらっております。学校教育に使っていただけるというのは難しいという話も聞きましたので、アプローチということでやりましたが、小学校が全国で2万1,000校ぐらいありまして、そのうちの8,500校が、是非とも使いたいと言ってくださいまして、今は8,500を超える形で配布させていただいております。
5ページでざくっと説明いたしましたが、6ページ以降に詳しく内容を書かせていただいておりますので、簡単に御説明いたします。NITEのホームページを開いていただきますと、真ん中にある製品安全分野という形で6ページの真ん中に資料がございまして、このようなメニュー画面の中で、いろいろな形で安全情報を提供させていただいております。右上に青括弧、赤括弧、黄色括弧の3つに分けてございますが、おおよそ消費者の皆様方への情報を青で。オレンジがかった色は消費者及び事業者へ。黄色は事業者側への情報提供ということで、いろいろな形で我々がやった安全情報を公開させていただく。更には、消費者に気をつけていただきたい注意喚起情報を載せてございまして、これらはすべてダウンロードできる形で、紙ベースでも使えるような形の工夫をさせていただいているところでございます。
7ページ、8ページ辺りはまさしく具体例を示させていただいておりますが、お読みいただければと思っております。
10ページは、記者会見のところでございます。毎月定期的にやっておりますが、西原(NITE本所)にあるNITEスクエアというところでプレス発表をさせていただきます。何を苦労しながらやっているかといいますと、事故がこのようにして起こってしまって、どのくらいの規模の火が出てしまうとか、電子レンジがどのような形になってしまうとか、実例実験を、大きいものはビデオで、NITEスクエアでできるものはそこで実演という形でさせていただいております。ちなみに、4月19日にさせていただいた、電子レンジ関係の注意喚起でございますと、この中で突沸事故というものを実演させていただきまして、それをテレビ局の皆さんが映像として撮ってテレビに放映するという形にさせていただいております。
ちなみにそのときに記事情報では、新聞情報では3件、テレビは11件放映されております。なお、インターネットに載る放映は件数に入れてございません。一般的なテレビ、新聞などに広く放映されていて、注意喚起としてある程度寄与できたのではないかと思っております。10ページの下に23年度の実績が書いてありますが、新聞報道は80回、テレビ放映は167回という形で、我々のプレスをある程度使っていただける形になっているのではないかと思っております。
11ページに各種セミナー、全国で行っているセミナーに派遣をしています。それから、「知の市場」は、主婦連合会と共催という形で安全情報の勉強会をさせていただいています。これも東京、大阪でうまく機能しておりまして、今後もこういう形で安全情報を伝えていきたいと思っております。
12ページは、先ほど申しました小学校ビデオの形でございますが、割愛させていただきます。
以上、簡単でございますが、NITEからの御説明とさせていただきます。
○松岡座長 どうもありがとうございました。
これで一応、説明は全部終わりましたので、これから御質問、御意見をお願いしたいと思います。順不同で結構ですが、おおむね越山先生のお話からの方が整理がつくかと思いますので、よろしくお願いいたします。
齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 「消費者の警告表示に対するリスク認知・リコール対応メカニズム」というロジックツリーのようなものがありますね。それについてお伺いしたい。これをリコールにも適用できるのではないかという御説明でしたけれども、ロジックツリーの一番上のところに、「目にしたか?」というのがありまして、その下に「読んだか?」「存在を知っていたか?」、こうなると、リコールには当てはまらないのではないかと思いまして、質問いたします。
というのは、「読んだか?」と「存在を知っていたか?」というのは、重複するものが結構あるのではないかということと、戸別訪問とか口コミで一生懸命集めたりしますが、それが一番上の「目にしたか?」というのに、まず当てはまらない。そもそもその上に、事故製品があり、リコールに該当するようなものだけれども、リコールしていないのではないかというようなケースがかなりあるのではないかと思いましたので、質問をいたします。
といいますのは、先ほど回覧されました資料の中に、ハロゲンヒーターの写真がたくさん載っていたものがあります。これは恐らくほとんど輸入品ではないかと思うのです。業者の名前は知らないカタカナばかりが並んでいます。今から日本の社会は多分こういうふうになっていくだろうと思います。余り認識されていないような、著名でない輸入業者などがロジックツリーの一番上のところに位置する。それが自らなかなか発信しないことになると、末節の木ばかりを論じて森を見ていないということになるのを恐れるわけです。
リコールに当てはまるような説明も先ほどされましたが、そこの説明も含めて、よろしくお願いいたします。
○千葉工業大学越山教授 御質問、ありがとうございます。
資料では同じようなロジックツリーを2つ入れております。最初のツリーは、警告表示とか注意書きについての認知プロセスなのかと思っております。御指摘のとおり、これはそのままリコールにつながる、イコールではないと思っておりますので、2つ目のツリーをリコールにそのまま当てはめてみると、このような解釈ができるのではないかというふうに思いまして、若干、最初のツリーとフローを変えているところではあります。御指摘のとおり、最初にここでは、読んだか、読まないかというような指定になっていますので、御本人が必ずしも読むとは限らないわけです。確かに御指摘はそのとおりだと思いますので、その部分はもう少し、複雑なマトリックスにした方が的確なのかもしれません。
実際には、消費者の手元に情報が伝わるルートの議論と、ここのお話を置きかえたとすると、確かに御家庭でも、買ってくる人と使う人と廃棄する人が違う場合もありますし、学校や施設などはまさに違いますから、買ったときの情報が必ずしも伝わるとは限らない。ましてや、自分が使っていなくても、その情報を伝えてあげようとするかどうかという行為の問題も出てくるような気もしますので、御指摘は大変勉強になりますので、ありがたいと思っております。
○経済産業省矢島製品安全課長 法律的には、製品回収の義務、命令をかける対象は、製造と輸入業者は同格で扱っています。販売業者は販売の禁止で、製造・輸入業者が回収の義務を負うことになります。実際、我々が運用する際は、自主的なリコールを含めまして、製造と輸入事業者に対して要請します。ですから、この方々がまさにリコールをやっています。ホームページに載せたり、プレスリリースをしていたり、我々のプレスリリースもやっていますし、再発すれば、先ほど御紹介したように消費者庁のプレスリリースにも載っています。ですから、これはまさに輸入業者にリコールの義務はかかっています。そこは、製造事業者と輸入業者は同格だと思っていただいて結構です。
やっていない例があるのではないかという御指摘は、我々もそこは何とも申し上げようがないのですけれども、少なくとも製品安全に関して言えば、重大製品事故を起こした場合は全部、報告義務がかかっています。報告しないと法律の罰則がかかっていますので、その事故をNITEさんが事故内容を分析して、一定の発生確率、起きたときの重篤度が高いということであれば、我々がリコール指導をしていますので、重大な事故が起きているにもかかわらずリコールをしていないというのは、原則ないというふうに我々は理解しています。
ただ、リコールという概念をどうとらえるかだと思いますけれども、いわゆる事故とは関係のない、製品の不良みたいな、性能が十分出ませんという、品質上の問題のようなリコールというのは、我々は扱っておりません。あくまでも、安全にかかわるリコールというのを我々は扱っていまして、それは先ほどありました重大製品事故で報告義務がかかっているので、その事故の内容によっては再発防止策が必要ではないかということでやりますので、我々が必要だと思って何も対策をしないというケースは、基本的にはないと認識しています。
○松岡座長 中嶋委員。
○中嶋委員 越山先生に質問があります。その前に、経産省はもともと容器包装リサイクル法でも、事業者として製造者と輸入業者は同格に扱っております。容器包装リサイクル法は、たしか平成7年か6年ぐらいに完全実施をやりました。随分前の話ですね。長らくずっと製造業者と輸入業者を同格に扱ってきているので、製品安全だけが輸入事業者と製造事業者を同格に扱っているということではないと言えます。
○経済産業省矢島製品安全課長 その法律の目的に応ずるということです。
○中嶋委員 越山先生に質問がありますが、先ほど齋藤先生の方から御質問があったツリーで、2つ目のツリーの方が、リコールに当てはめたらどうなるのかというツリーがありますね。事前に事務局から別のレジュメをいただいていまして、これらを同時に議論すると問題点の混乱を招くだけであるというふうに言われているのは、IとIIとIII、ここの3つを分けろというふうに書いておられるということでよろしいですか。
○千葉工業大学越山教授 おっしゃるとおりで、同時にその議論をしてしまうと、議論が発散してしまうというか、そもそも見やすくすれば理解できるかどうかという話はまた別だと思いますし、非常に危険性が認知しやすいような環境があったとしても、消費者の方が協力するとは限らない。または、危険回避をしなくてはいけないと思いながらも、実際にやらないケースもあるのではないかという部分があるかと思いますので、全体的な議論も確かに重要だと思いますけれども、個々の問題があるというふうに認識した場合、個々の問題にそれぞれ別に対応策を議論していってもいいのではないかという視点を持っています。
ですから、できるだけ分けて個別の問題として議論した方がいいのではないかと思っていますけれども、先ほどお話しさせていただいたとおり、お立場の関係で、全体が最適化すべきだという議論は確かにあるかと思いますので、両方の回答をしてしまって恐縮ですけれども、そういうふうに思っております。
○中嶋委員 ありがとうございます。
○松岡座長 片山委員、どうぞ。
○片山委員 今の続きですけれども、最終の11ページのところでI警告認知性の問題、IIリスク認知の問題、IIIリスク回避の問題と分けていただいていて、その整理自体は私は非常に勉強させていただきました。
ただ、この中で私の考えるところは、IIのリスク認知というところが非常に重要であって、消費者がリスク回避に協力しないとか、そもそも警告を見ないとかというのは、自分とは関係のないリスク、自分には起こり得ない被害だというふうに、どこか慢心しているといいますか、そういうところがあるためではないか。同じ被害が実際に自分のところでも起こるかもしれないというリスク認知ができれば、リスク回避の行動をとるのではないかと思うのですが、その辺のところは越山先生の御見解はいかがでしょうか。
○千葉工業大学越山教授 御指摘、ありがとうございます。
ちょっと視点を変えて、海外の研究レポートや論文等にはその件がたまに出ていますが、要は、危険だと思っても自分には起こらないだろうというケースは実際にあり得るという報告も、薬の場合も含めてございます。実際、私もそうですし、ほかの関係の皆様が調査する過程で、リコール品を経験したことがありますかと聞いて、その後、対応しましたかという回答の中に、必ず数%は、面倒くさかったから連絡しなかったとか、その中には、自分にはそのリスクが顕在化しないとお思いになるという部分が、絶対にあるのではないかと思っております。
それは、先ほどのようにカビの発生の可能性がありますというのは、要は、誰かにはあるけれども私にはないかもしれない、ということを言っているようにも思えるので、明確に、あなたにもリスクがあります、ケガがあり得るのですよということを、うまく伝えるにはどうすればいいのかという議論はそこでもあってもいいのかなとは思っております。
○松岡座長 私からも一つ、関連して聞きたいのですが、10ページの上の図で3つに分けております。これは認知性の問題、リスク認知の問題と回避の問題の大枠に対応したグラフのようにも見えますが、このように数値的にどこがどれだけ漏れてしまうのが出ていると、対策がとりやすいのではないかという面もありますが、ただ、この情報源はどこで得たのか。それから、商品等によってもだいぶ違ってきてしまうこともあるだろうし、なかなか難しいのですが、このような情報がたやすく得られるのかどうかということをお聞きしたいのですが。
○千葉工業大学越山教授 こういう回答でよろしいかどうかわかりませんが、委員の皆様には、このパワーポイントの資料ではなくてレジュメの資料をお送りしてあるようにお聞きしています。その資料の最後に出典元になっている研究レポートを記載してございます。そこではおっしゃるとおり、全部で30品目ぐらいの生活用製品に限って、それぞれについてデータを集計したものがこれになっていますので、ある品物は猛烈に警告表示やリスク認知をしたものもあれば、ある品物は、特に白髪染めなども調べた一つですけれども、アレルギー性の可能性があるけれども、ほとんどの人がパッチテストをしないというデータが出てきたり、製品によってばらつきがあるのは事実です。
先ほどあったように、製品によってこのチャートが変わってくるのは事実だと思いますけれども、変わるということを念頭においてこの図表を見ると、どういう製品の場合は読まないでしょう、どういう製品の場合はリスクを認知しても、自分にはふりかからないという可能性をお持ちの割合が多そうだという議論はできるので、これはあくまでも全部ひっくるめた構成になっております。
○松岡座長 どうもありがとうございます。有効に使えそうな感じがします。
中嶋委員、どうぞ。
○中嶋委員 今の同じグラフで質問があります。実は、学生に、去年39名、今年が44名ですけれども、大妻で消費者行動を教えていますが、例えば賞味期限と消費期限、これについて知っていますか、知っていませんかという質問をすると、知っていると答える学生が半数ぐらい。具体的に賞味期限と消費期限を知っていますか、何が違いますかというと、正確に答えられるのは5,6名なのです。例えばリコールとなったときに、リコールという言葉を知っていますかというのも、そういうことでデータをとられたことはないですか。
というのは、リコールという名前は知っているけれども、リコールの制度は知らない。リコールの制度は知っているけれども、実際にどういうふうに運用されるかがわからない。その上でこういう回覧板が来る、こういうパンフレットが来ますと。そうすると、その前提があって読み方が変わっているというふうにもとれる。ただ、これはすごく納得ができる、学生を教えていても、そうだなと見えるので、このグラフは一つの傾向値をあらわしていると思います。ですから、対策はこれでとっていけばいいだろうと思いますけれども、その前に、リコールを知っているか、知らないかというのも、もしデータがおありだったら御開示いただけないかと思うのですが。
○千葉工業大学越山教授 2002年にリコールのハンドブックの議論を始めた当時は、リコールという言葉はほとんどお見受けしませんでした。新聞社告なども、改修だとか自主回収だとかという言葉があって、その言葉で、リコールという意味がちゃんと伝わっているのかという議論もあったりしたので、それで佐野様と協力して、社告に、リコール社告ということをまず書いて、そこは回収だけでなく、実際には修理があったり、新品と交換するとか、警告だけという場合もありますので、リコール社告という言葉をまず皆さん理解してください、それを使うようにしてください、ということから始めた方がいいのではないかということは思っております。
あとは、消費者庁ができるときにまとめさせていただいた本の中で、リコールという言葉はいろんな分野で使われておりますので、それをまとめたことはございますけれども、リコールという言葉の認知度合いについて、定量的に調べているというところまではやってはおりません。
○中嶋委員 わかりました。
○松岡座長 佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 せっかく資料として配っていただいたので、簡単に参考資料1の説明をさせていただいて、その後に質問したいと思います。
真ん中にリコール社告があって、周りにいろいろカラーで書いてある面を見ていただきたいのですが、最初に、なぜリコール社告を私たちが必要だと考えたかというと、2000年頃に起きた雪印乳業食中毒事件辺りから新聞に社告が出てきました。それをいくら見ても何を言いたいのかわからなかった。10年以上前ですから、私ももう少し目がよかったのですが、それでも字が小さすぎて見えなかった。長文が掲載されていますが、意味が通じない。
要するに、事業者は一生懸命消費者に伝えようとしているのか、ある意味では、もしかしたらアリバイ的な形をとりたかったのかわかりませんけれども、とにかく莫大なお金を使って情報提供している。消費者はそれを受け取っても、意味が何も通じない。「これって、もうけているのは新聞社だけ?」ということがあって、それで、もう少しわかりやすくするべきではないだろうかということから、是非、JIS化したらどうだろうかというのを、主婦連が2000年辺りからずっと言ってきたわけですが、なかなか経済産業省の方で受け入れてくれなかった。その後、事故が非常に多く続きまして、最終的には2008年6月にできました。
これで一番言いたいのは、最初のリコール社告と書いてあるところのタイトルですが、「リコールの種類(回収)」と書いてありますが、これが無償交換なのか修理なのか、それとも注意喚起なのか、はっきり言ってください。それがテレビなのか、ラジオなのか何なのかを書いてください。2番目には、どんな危険性があるのか、これは発火のおそれと書いてありますが、どういうことが起き得るのかを書いてください。
もう一つ、私たちが一番書いていただきたいのが、真ん中の図です。これはテレビですが、要するに最初のタイトルと、何が起こるか危険性と、その絵を見たときに、自分の家にあるかないかということをいち早く判断できるような形で書いてほしい。全然関係ないものを常に読んでいる必要は全然ないわけで、自分の家、または自分の親族・知り合いに関係ある製品か、見たことがあるというときに、きちんと読んで対応しましょうということを言いたかったわけです。
ここでいくら言っても、メーカーの方がだめだというのが、「いつもありがとうございます」という文句なのです。そういうことは違う機会で言ってくださいと言うのですが、必ず「いつも御愛用いただきまして、ありがとうございます」が入る。その1行がなければもっと字が大きくなるだろうということは、常に言っているのですが、それが入ってしまうということ。
それから、箇条書きでもいいから、一体消費者が何をするべきなのかということをきちんと書く。どこに連絡したらいいのかということもわかりやすく書いてほしい。まだ一度も、社告JIS規格ができてから見たことがないのがファックス番号です。ファックス番号をなぜ入れたかというと、これは話ができない方のためであって、企業とファックスでやりとりをするためです。それはまだ企業の方にきちんと理解していただけないらしくて、まだ一度もファックス番号を見たことはありません。
とにかく事業者はかなりお金を使っているわけですから、その情報はきちんと消費者に伝えて、消費者がきちんと反応できるような形で、わかりやすくしていただきたい。それを目的にしたのがリコール社告です。
越山さんには本当に最初から最後まで御協力いただいて、これをつくることができました。まだ5年たっていないのですが、来年辺りに改正できるということです。まだこれさえもきちんと事業者にも消費者にも伝わっていないので、今のところ、JISとしての改訂ということは考えておりませんけれども、とにかく見てほしい。リコール社告をお知らせする一つの方法でしかありませんけれども、新聞の社会面の下の方にありますということは、消費者団体としてあらゆるところで情報発信しているつもりであります。
それから、越山さんに質問ですが、8ページの上のところで、アメリカでは、FDAとCPSCの議論の結果として有効性のチェック事項があると伺いました。FDAというと食品関係だと思いますけれども、日本の場合は、JISは工業品ということで、ある意味で縦割りで、食品と工業品の扱い方が違う。一応、JISでは食品もというふうに書いてありますし、農水省ではきちんと通知を出して、食品リコールのときにはJIS規格を使ってくださいと伝えているようですけれども、それは余り守られていない。アメリカでは1978年の段階で食品と製品の話し合いができているというふうに伺ったのですが、日本はできていないことに関して、どういうふうな御意見をお持ちでしょうか。
もう一つ、4ページの下の方にリコールの対象者というのがあります。私もここは非常に重要だと思っていて、経済産業省の場合は、流通・販売業者(協力)で、その下は部品・材料供給業者(二次的)であると書かれています。アメリカと欧州の場合、流通販売業者はどういう状況になっているのか。たしか事故情報の報告義務化は流通・販売業者にもあったと思うのですが、リコール対象者には入っていないのでしょうか。欧州の製品供給業者というのはどこまでの範囲を供給業者というのか、教えていただきたいと思います。
○松岡座長 よろしくお願いいたします。
○千葉工業大学越山教授 御質問、ありがとうございます。
最初の質問は、消費者にとってみれば、一般用の商品と化粧品や食品の違いというのは、法的な枠組みを理解した上で違うというふうに理解できるとは思っていなくて、それをどうすればいいかという議論は原事務局長にお任せしたいと思います。ちょっと回答を持ち合わせておりません。
欧州等のリコールの実施主体の件については、表にあるような形で整理してあるくらいでして、実際にはヨーロッパの中では、各国がそれぞれ違った仕組みでリコールを促進したりしている部分があります。なるべくそのように事故情報だけ共有しましょうという議論と、イギリスのように、中央政府と地方自治体が、いろいろ形でリコールを促進しようという部分があったりするように聞いていますので、欧州の場合の事故報告義務が誰にあるのかと、リコールの実施主体の議論というのは、もう少し新しい情報も整理した上でまとめていきたいと思っております。今日は的確な回答ができなくて、大変申し訳ありません。
○松岡座長 それでは、中村委員、どうぞ。
○中村(晶)委員 いろいろ貴重なお話をありがとうございます。
越山先生の10ページの先ほどのツリーに戻って申しわけございませんけれども、I、II、IIIというふうに分けてきめ細かく検討するということは、大変勉強になりました。先ほど、佐野委員から御説明いただきまして、特にIとIIのところに、社告の在り方というようなことで随分工夫がされているということもわかりましたが、IIIのリスク回避の問題の中に「社会性の問題」と書いていらっしゃるのがどういう意味なのか、教えていただけますでしょうか。
○千葉工業大学越山教授 御指摘、ありがとうございます。
ここは、一番最初に御紹介させていただいた、いろいろな思い出がございまして、リコールに協力するという行為は、消費者が自分の資産や財産を保護するとか、自分の家族の安全を守るために協力するという側面は確かにあると思いますけれども、それがイコール、企業に対して、私の手元にありますのでちゃんとお送りしますというような、社会参加するという側面がそこにあるのかなと思っています。何で私が企業の回収率の向上につなげなければいけないのか、そんなものは要らないから捨ててしまえばいいのではないかという議論もあるのかもわからないし、もっと企業の回収率向上に努めることも国民の義務ですということを、すべての国民の方が理解しているとは思えない。それを促進するための社会的な理解も、それほど進んでいない部分もあるのではないかと思っています。言葉は的確ではないのかもわからないですけれども、利得関係だけではない、企業を助けるためだけというのが目的ではないのではないかと、これは個人的な思い入れで、IIIの中に部分的にちょっと入れさせていただいているような次第です。
○中村(晶)委員 今、どういう意味を付与していらっしゃるかはわかりましたが、先ほど佐野委員からお配りいただきました社告の例をとりますと、テレビは、御高齢の方などですと、社会の情報を得る不可欠なものです。これを回収して部品の交換を行いますという社告があって、そのためにはどのぐらいの期間がかかるのかとか、その間、代替品を貸与することができますとか、これを自分が協力することで、こちらにどのぐらいの負担がかかるのかというようなことを知らせることがあれば、より協力しやすくなるのではないかと思います。それが社会性とどう関係するのかなと思ったものですから、消費者の協力を引き出すために、協力しやすいサービスを一緒にすることによって、社会性というものかどうかわかりませんが、協力をよりしやすくできるのではないか、その辺りは何か御研究とかありますか。
○経済産業省矢島製品安全課長 実態の感じから申し上げたいと思いますけれども、越山先生のツリーは我々の実態の感じとすごく合っています。先ほど御紹介した大手家電などでも、ピンポイントで、この人がそれを持っていることが明らかな人に通知をしても、返事が来るのは5割ぐらいしかないということです。ということは、今の御質問とも関係すると思いますが、消費者の方々がどう反応するのか、それが社会性の問題なのか云々ということだと思うのです。
先ほど越山先生がおっしゃったように、企業の回収率向上のために消費者が協力するというセンスはないのではないか。消費者の方が自分の身を守る、ないしはいいものに変えてもらう、安全なものに変えてもらうというのは、むしろ権利だと思って行使していただくべきものであって、企業の回収率向上のために努力しなければいけない責務は消費者にはないのではないかと思っています。むしろ努力するのは事業者の責務だと思います。
御質問のあった、協力を引き出しやすいようにするためにどう工夫があるかというのは、我々も日々悩んでいる点ですけれども、御指摘のように、修理期間がどのぐらいかかるからとか、手続きがどうだとか、そこで、「じゃあ、やめた」というぐらいところまで逆に消費者の方に関心があれば、多分来るんですね。ほとんどの方はそれ以前のところで止まってしまっていて、一応アプライしようかと思ったけれども、代替機をその間貸してもらえないで、1週間テレビが見られないのだったらリコールに応じることはやめます、というケースはほとんどない。それ以前のところで止まってしまっているのがほとんどだと思います。
実際に我々が知っているケースで見ると、回収でそんなに間をあけるようなケースはほとんどないです。サービスマンが修理に行って、その場で直して終わりというパターンか、製品ごと入れかえてしまうパターンなので、1週間、1か月不便をかけますというリコールの仕方は基本的にはないです。
○中村(晶)委員 この社告からは、それがわからないわけですね。
○経済産業省矢島製品安全課長 ただ、社告のときには、交換の場合は回収。修理の場合は改修と書いてありますし、我々がプレス発表なりするところは、そこははっきり交換をしていますとか書いていますけれども、それが本当に即時やってくれるのかと言われると、そこはリコールをしている企業の方にお問い合わせいただいて聞いていただかざるを得ないと思います。
○原事務局長 座長、少し皆様に広げて御質問を。
○松岡座長 そうですね。今、越山先生のお話が中心になっているかと思いますが、中村委員、今の議論でよろしいでしょうか。
○中村(晶)委員 余り時間をとってもあれなので、また最後に。
○松岡座長 では、中嶋委員。
○中嶋委員 この話ばかりやっていても時間がなくなるので、出口論の話も入れたいのですけれども、越山先生の4ページの下の表に、欧州の場合、TV・ラジオニュースというのがあります。私がアメリカにいるときに、こういう製品安全に関しての事故や食品の事故というのは、ニュースでは流れてきますが、テレビやラジオで番組を持っているというのは余り見たことがないのですけれども、ここに書かれているのは単にニュースですか。それとも、番組を持っているということですか。
というのは、NITEさんは今日の御報告で、1年間に170回、ニュースで取り上げられましたと既に言われているわけです。そうすると、日本も同じレベルにあると考えていいのかと思うのですけれども、実はある方から、まだ確認はできていないのですけれども、製品安全の事故の番組を持っている国がある。天気予報と同じように5分間とか10分間出している国がありますと。それがドイツだと言われたのですけれども、欧州の欄でTV・ラジオニュースと書かれていますが、ほかの国もたぶん、NITEさんも取り上げてもらっているので、他の国にもあるはずなのに、欧州だけTV・ラジオニュースになっているのはどういう意味でしょうか。番組ということではないですか?
○松岡座長 おわかりになりますでしょうか。
○千葉工業大学越山教授 御指摘、ありがとうございます。
これは多分、以前よりリコールの作業をした方は何回かごらんになった方がおられると思いますけれども、アメリカなどは特に新聞をとっていない人とか、ニュースも地方が主体になったりする場合があるので、CPSCはホームページに、事故の発生状況や危険情報についてのビデオリリースを流して、それを御自由に地方のテレビ局がお使いになっているケースも実際にありましたし、今でもあると思います。それを一つの見本にされてNITEさんがおやりになっているのかなと、私は勝手に理解していたのですが、そんなことです。
○中嶋委員 これは欧州欄だけがTV・ラジオニュースになっているので、お聞きしたのです。
○千葉工業大学越山教授 欧州も書いてありますけれども、実際に私が確かめたわけではございません。申し訳わけありません。
○松岡座長 その辺は今後、議論を尽くして、情報を仕入れて考えてみたいと。
経産省さん、NITEさんの方にも話題を広げまして、御議論をお願いしたいと思います。
齋藤委員から。
○齋藤委員 先ほど輸入業者の話をしましたが、製造業者と輸入業者が同じ責任を持っているというのは当然のことですが、輸入業者が本当はどのようなものか。私は10年間ほど、中国のまがい品企業が、まともな活動をせず、摘発にかかると店をたたんで消えてしまうというのに何回も関わってきました。日本がそういう社会になったら大変だと思い、そのスタンスは今のうちからきちんとしておくべきだと思うわけです。今から製造業が海外に出ていきます。製造拠点が国内にあれば、人質が日本の中にいるのと同じでいいのですが、なくなると海外まで追いかけていかなければいけない。これはまずほとんど無理ということになります。
先ほど、輸入業者がリコールをやっていると言われましたが、何をもってリコールと見なしているかというのをお伺いしたいのが一つです。リコールの実効性の確保の徹底というペーパーがありまして、その真ん中のところに、社告、ダイレクトメール、ホームページ、チラシ、店頭とかありますけれども、これを一つでもすればリコールと見なしているのかどうかということ。輸入業者が全部、生協さんのようなきちんとした管理体制を整える、そこまでは無理かもしれませんけれども、そういう方向にありたい、というのが私の思いであります。これが一つ。
NITEさんの方は、大変中身はわかりやすいし、一生懸命アピールしているのもわかります。事故情報などがあると、消費者庁ができて以来、相談とかも含めて一元化しましょう、電話も一本にしましょうというのは進みました。事故の調査も何とか連携して、うまく効率的にできないかと検討されている。ところが、発信の方はそれぞれバラバラに、いまだにやっているという印象が強いのです。これについて、どのように考えておられるかということをお伺いしたいと思います。
○松岡座長 では、NITEさん、よろしくお願いします。
○NITE山本製品安全センター所長 我々NITEは安全4法に関する業務を実施するということで、鉱工業品にかかわる過去からのリコール情報や事故データを持っていることから、今、我々のプレスリリースにしてもチラシにしても、最近の5か年間の情報を含めて、どういう事故の傾向にあるか等を分析し、また、再現実験データを提供するなど、できるだけ世の中に分かりやすく公表していければと思っています。消費者庁の皆様方とも、我々の調査・実験データが必要であれば御提供させてもらっています。
NITEだけでは限られた力しかございませんので、もっと広く我々のデータを使っていただく連携・努力を、今後も進めていきたいと思っております。そういうつもりで頑張っていきたいと思います。
○経済産業省矢島製品安全課長 輸入業者のリコールということでございますけれども、リコールハンドブックを今日はお持ちしていなかったのですけれども、基本的にはリコールの際こういう体制を考えてくださいというメニューが並んでいます。先ほどの論点紙の中にも、中小企業のときはどうするのかという論点もあったかと思いますが、我々は基本的に、中小企業だろうが大企業であろうがリコールはやっていただきます。ただ、その後は、製品の特性、販売方法、数量、そういった特徴に応じて、効果的な手法を事業者と相談しながら選んでやっていただくということでございます。
例えば、全部の会社にテレビでコマーシャルをやってください、全部の会社に社告を新聞に載せてください、新聞社告を大手3紙に打つと1,000万を超えるオーダーになりますから、そこまで本当にやる必要があるのかどうかというケースもあろうかと思います。特に比較的体力のない企業の場合、我々がよくお願いするのは、大体そういう方は小ロッドだったりするものですから、販路が決まっていたりするケースが多いのです。
そうすると、こういうハロゲンヒーターのようなケースは、大体ホームセンターとかに卸しているものですから、売ったお店にまたお客さんが来る可能性が高いので、そこできちっと店頭ポップとかポスターを張ってください、勿論ホームページにやってください、チラシもそこのお店で配ると。もしも売ったお店がポイント制度を持っていれば、情報をもらってDMを打ってくださいということで、まさに資料2-1に例示対策で書いてありますけれども、社告、店頭ポップ、DM、チラシ、ホームページ、この辺を、売られた商品の特性に応じて組み合わせやっていただくというふうに考えています。
○松岡座長 齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 商品の特徴に応じて重点的におさえるべき勘どころは多分あるだろうと私も思いますが、それがみんなで本当に共有されているか。恐らく共有されていないのではないかと思います。ですから、今日の初めから言われるように、業界に応じてとかいう話が出てくるのだろうと思います。したがって、経済産業省の担当の方がこれでいいのだと言われても、本当にそうなのかと思う部分が出てくると思います。
○経済産業省矢島製品安全課長 リコールハンドブックに、こういうときはこういうふうに判断してくださいというのは、事業者向けのハンドブックということでまとめておりますので、是非、機会があればハンドブックも御説明申し上げたいと思います。
○松岡座長 鶴岡委員、どうぞ。
○鶴岡委員 リコールの回収率を上げる上で、業界横断的な取り組みが非常に効果が大きいというのはこのグラフでわかりました。業界横断的な取り組みのメリットとして、1社当たりの資金負担は、軽い割に通知が大規模化できるところ辺りにあるのではないかと思いますが、一方で、業界横断的な取り組み体制を構築する上での難しさみたいなものが、もしあれば教えてください。
○経済産業省矢島製品安全課長 業界横断的な取り組みの効果というのはまさに御指摘のとおりでございまして、みんなで活動できるという意味では、資金面、人材面、いろいろな意味であります。一軒一軒訪問するような形でリコールをやるケースは、なくはないのですけれども、ものすごくマンパワーがかかりますので、やられている例はそう多くはないのです。本当に有名な例で、コンロの例もその一つの例ではありますが、それはまさに御指摘いただいたように、みんなで手分けしてやれるということです。
では、こういうものを組むときの課題は何かというと、1社だけの問題だと業界の他社は協力する理由がなくなってしまう。例えばそこがOEMで出していたとかして、複数の会社が製造・輸入業者なりで、義務を負う人がその業界に複数いると、みんなで協力してやろうかという動きというのは比較的つくりやすい。ある意味当たり前の話かもしれませんけれども、一個一個の話だとなかなかそこは対応は難しいのではないかと思います。
○松岡座長 鶴岡委員。
○鶴岡委員 製造・輸入事業者との連携ですけれども、覚書の締結に至るというのは、かなりレベルとしては高いところだろうと思うのですが、この実現の状況というのはどのような状況になっているか、いかがでしょうか。
○経済産業省矢島製品安全課長 大手家電のメーカーがということですね。これは、個別の会社の事例を御紹介させていただいていますけれども、先ほどの事後対策、事前対策みたいな話、出口、入り口と関係するのかもしれませんが、大手の流通業者というのは、事故が起きる前の新品の段階で調達するという立場にもいるわけです。ですから、調達するときに、何かが起きたらちゃんと対応する、その代わり買いますという、契約の中に入れているケースが会社によってはあるようでございます。確かに安全の覚書をとるというのは難しいような気もしますが、商品調達と絡めると、会社によっては力関係だと思いますけれども、できなくはないのかもしれないと思います。
今、御紹介したのは大手家電の例ですが、実はこれを今年の夏ぐらいまでにある程度枠組みをつくって、更に広げようと思っています。今度は一般の流通のところまで、ないしは通販業者というところも考えていまして、ここの中にも先進事例と書いてありますが、大臣表彰制度をやっていまして、表彰した企業の中で、例えば通販会社だと、最初から調達するときにそこの工場まで見に行きます。ちゃんとやっていないと、そこの物は扱わないとか、単にリコールが起きただけの対応をするというのも重要ですけれども、そもそもいい物しか売らない。先ほどの怪しげな輸入品が入ってくるというのと全く同じ懸念だと思っておりますが、そういう意味からも流通業者の役割が、今後、期待されるのではないかと思っております。
○松岡座長 中村委員。
○中村(均)委員 自分自身のために整理したいのですけれども、我々のテーマは消費者事故の未然防止のための方策についての各種の検討で、今日は、製品リコール案件等の注意喚起の徹底策について現状をお聞きしているわけです。経産省さんも、かなり取り組み方がきちっとなされていて、今、警告認知性の問題でどこに課題があるのかというのが、見えているのではないか。越山先生のお話でも、先ほど松岡座長からお話があった10ページの4のところで、製品によって、いろいろな形態で読んだ場合の率が高い場合もあれば、ない場合もあるとおっしゃっている。ということは、そこにこれから我々が取り組まなければいけない課題というのが見えているのではないかという気がします。そこを明確にしていただいて、我々が提言できることを早くやった方がいいのではないかと思います。
一番気になるのは、消費者行動がいまいち我々は把握できていない。今のお話を伺っていても、読んで理解できないというところは、先ほど佐野委員からお話がありましたが、それは、理解できるような工夫が半分責任があると思うけれども、なぜそれを理解しようとしないのか。あるいは、理解しても行動しようとしないのかというところを、もう少し我々が早く掘っていかないと、注意喚起が徹底するというところになかなか行き着かないような気がします。それが自分自身のまとめです。
○松岡座長 中村委員、どうもありがとうございます。
○中嶋委員 同じような質問があります。
○松岡座長 では、中嶋委員。
○中嶋委員 今のお話でいきますと、ある程度見えていると言われていますけれども、実は反対の意見もあります。見えていないのではないかと。例えば、今、いっぱいパンフレットを配られていますけれども、30万部とか20万部刷って配布しましたとか、50万部刷って警察をルートにして配布しましたとか、隣組制度が大都市はないけれども地方は残っているからそれを使いましたとか、いろいろ言われています。
そうしますと、法律ができた後の平成19年度からは、製品事故の収集制度で一応のデータはとれているわけですが、これとリコール件数を対比するグラフが欲しい、そしてリコール件数はどれぐらい増減しているのか。このとき経産省さんは、業界団体を通じて同じようにパンフレットを作らせているはずなので、パンフレットの発行部数は、経産省がつくった30万部だけではなくて、各業界が何十万部か出しているわけですから、この全部を合わせた発行部数とリコール件数の対比表と、この対比の推移がどういうふうにリンケージしているかをある程度見ていく必要があるのではないか。
自分たちはやっていると言うけれども、それは業界を通じてやっているわけで、消費者にどの程度伝わっているかというのは、今のところ、ツールはない。でも、ツールは持ちたいと思っているわけですね。経産省もそういうふうに思っていると思いますけれども、そのツールがなくて、今、どうしようかというのがここでの議論でもあるわけです。
もう一つ、全く違うレベルで、経産省さんには成功事例があります。これは産業廃棄物です。ゴミリサイクルミニシパル廃棄物(一般民生廃棄物)は、ほぼ同じ時期に同じような問題が起きました。すなわち、2000年の段階で産廃用も民生用も廃棄物処理場がなくなると言われていたのですけれども、現在では廃棄物の排出量が3分の1までに減りました。これは消費者の協力があったからできたのです。でも、事業者も梱包を減らしたので、廃棄物の排出量削減に大きな効果がありました。これがうまくいった例なのです。
経産省の中には、消費者を巻き込んで活動を展開したという事例もあるので、消費者を巻き込む方法というのは単に伝えるだけではなくて、伝えるだけ以外の異なるやり方があるのではないかと思います。廃棄物のときはガラス瓶協会をつくったり、いろいろなことをやりましたが、一番大きな違いは都道府県が参加していたことです。事故情報の収集は都道府県が入ると非常にやりにくいのですけれども、逆に、周知徹底は都道府県が入った方がやりやすいのではないのかと思います。どうでしょうか。
○経済産業省矢島製品安全課長 実は私は、容器包装リサイクル法当時、課長補佐で担当しておりまして、こちらの方の法律も改正時にやっていましたが、まず、御質問のあったリコールの実績でございます。これを減っているととるか、ほぼ同じととるかというのはありますけれども、重大製品事故制度ができたのが平成19年からでございます。そこから見ますと、非重大事故を契機としたリコールも合わせますと、微減傾向だと思います。リコール件数自体は、22年、23年ぐらいですと、年間120件ぐらいです。微減という感じだと思います。余り顕著な傾向があるということではないと思います。
地方自治体が、リコールについて取り組んでいただけるかということについて言えば、やっていただけるのであれば是非やっていただきたいと思いますが、彼らにとってこれが必要だと思っていただければ、やっていただけるケースも多うございます。
例えばライターのチラシのケースで言うと、非常に東京都は熱心でございます。今、地下鉄に乗ると東京都のポスターが張ってあったり、東京都のチラシが私の家にも入っていたりします。ただ、ほかの都市がどうかということになると、消費者センターは県の組織ですから、そこに消費者庁を通じて送らせていただいていますけれども、それはそれぞれの県の取り組み姿勢次第にならざるを得ないと思います。そこは我々の方からどうしろというところまで言えるものではないので、そういう意味では、私どもがつくった通知は、多くの場合、消費者庁を経由して消費者センターに行っていますので、そういう意味では自治体の組織に配布はしていただけていると思います。追加の必要があれば言ってください、ないしはホームページを全部ダウンロードして自分でプリントアウトできます、という形でお伝えはしております。
○中嶋委員 また、別の例を挙げますが、消防庁や警察庁も事故について全国ネットで対応できます。消防庁は消防団を持っていますから、市町村の段階まで把握できます。経産省から見た場合に、消防庁と組む方が楽なのか、都道府県と組んでやった方が楽なのか、どちらでしょうか。
○経済産業省矢島製品安全課長 同じようなことをやっているという意味で、マインドを含めて考えると、消防署とは組みやすいですが、ただ、消防庁さんは基本的に火災です。それ以外の事故は勿論ありますので、かつ、今回はライターのチラシの一番下を見ていただくと、関係省庁がずらっと並んでいます。ここはまさにライターの安全という観点から、是非、私どもも一緒にやりましょうと言ってくれた役所の名前が並んでいます。消防庁さんは当然火災ですから、消防庁さんにとっても重要なテーマです。警察は少年防犯という観点です。消費者庁さんは全体。環境省さんが入っているのは、ちゃんとガスを抜いて捨てていただかないと、ゴミ収集車が火を噴いてしまうという事故が起きるものですから、彼らも一生懸命です。そういう意味ではある自治体には、廃棄物ルート、消費者行政ルート、消防ルート、警察ルートで、それぞれ配る場所が違うのですが、一つの自治体に4ルートで入っていったということになるわけです。
先ほど、いろいろな御指摘、御質問がある中で、縦割りだという御指摘もあったと思いますけれども、こういう形で、それぞれの目的が合致すれば一緒にやれるわけです。今日は用意してきませんでしたが、文科省に、学校でこういう事故が起きるから気をつけてくださいという、同じようなチラシもつくって配っていただいた。これも文科省さんは、我々が御相談に行ったら、最初は嫌な顔をされるかなと思ったのですが、非常に前向きに対応してくださった。それは、学校の安全を守るという重要な責務を負っていらっしゃるわけですので、縦割りと言われれば縦割りなのかもしれませんけれども、それぞれの目的が合致すればうまく連携がとれる。ここには消費者庁さんのお名前も入っていますけれども、消費者庁さんが全体の司令塔として、関係者をうまくまとめるような役割を担っていただいていると思いますので、そういう形で、その都度協力しやすい関係をつくっていかれればと思っています。
○松岡座長 いろいろ貴重な情報等を議論していただいていますが、残念なことに後ろが切られておりまして、時間が来てしまいました。今までの取り組み、あるいは現状ということの御説明で、いろいろな問題が出てきていること。あるいは、現状でもかなりうまくいっている面もあるということで、先ほど中村委員のおっしゃったように、この調査会としても、何が問題点であるかということをうまく摘出していく段階になってきているのではないか。我々としても、材料はだいぶ出てきておりますので、整理しまして、出口に向けてうまくまとめていきたいと考えます。その辺、皆さんに御協力いただいて、次回以降も詰めていきたいと思いますので、その辺を念頭に御協力いただきたいと思います。
今日、いろいろと議論をやっていただいておりますが、今後の進め方も含めまして、御意見をいただければと思いますので、よろしくお願いします。
○佐竹委員 今日は、経済産業省とNITEさんからいろいろ情報提供をいただきましたけれども、経済産業省の方のリコールの実効性の確保の徹底ということで、販売事業者との協力の取り組みというのが、私ども日ごろ行政の相談を受けておりますと、非常に大事だと思っております。メーカーとか輸入業者さんがホームページや社告で情報提供されましても、やはり消費者の目に届くのは販売業者が提供される情報が一番多いのではないかと思います。残念ながら、相談に来られた方も、販売業者さんからの情報でリコールがわかったと言われる方は非常に少ないです。
分析していらっしゃる販売業者さんの中で、どういう告知が効果があったかというモデルイメージというところに出ておりますけれども、店頭のポップというのは非常に低いということですが、店頭のポップの在り方もきちっと分析していらっしゃるのかどうかというところにもよると思います。どういうような店頭のポップがなされていて、店頭のどういうような場所で情報が発信されたのかというところも大事だと思いますので、この辺りの工夫がされると、もっと販売事業者さんからの情報によるリコールの徹底がされるのではないかと思います。販売事業者さんの協力の取り組みというのは、経済産業省だけでは難しいと思いますので、メーカーや輸入業者さんが独自に販売店と取り組みをされるような指導を、経済産業省はしていただければというふうに感じました。
それと、NITEの方ですが、情報提供していただいていますが、まだまだ、情報を末端の消費者に届けるという視点が欠けているように思います。セミナーとか講演会で製品安全啓発をしましたとか、記者発表しましたということですが、一体、セミナー、講演会はどこで行われているのかというのは、一般の方に殆どわからないと思います私たち消費生活センターでも、セミナーや講演会がどこで行われているかというのもわかりません。申し込めばセミナーをするというのではなくて、是非、NITEさんの方から、行政の消費生活センターも含めて、セミナーあるいは意見交換会を持ちたいという働きかけをしていただければ、私たちも、NITEさんからの情報を直接知る機会が出来るのではないかと思いました。
○松岡座長 どうもありがとうございました。
それでは、内堀委員。
○内堀委員 越山先生の資料の中で、私も読んでいて勉強になりましたが、8ページのところに、有効性の評価をしなさいと。まさにそのとおりだと思いますが、この有効性の評価の仕方自体、最後の最後は消費者はどう受け取ったかとか、どう行動したかで評価するしかないと思いますが、その辺の評価の仕方の問題だとか、アメリカやヨーロッパ等で、どこまでやれば有効であったというふうに評価していいのかとか、その辺の指針みたいなものがあるのであれば、参考にした方がいいのではないかという感じは持っております。
○松岡座長 では、夏目委員。
○夏目委員 ありがとうございました。伺っていて思いましたのは、消費者に対して情報が天から降ってくるような形では、なかなか消費者は受けとめられないだろうと思います。ですから、例えば情報を収集し、公表し、対策を練る、あらゆるレベルの段階で消費者自らがそこに接近できるような仕組みをつくっていかないと、なかなかリコールを周知徹底していくのは難しいのではないかということを強く感じました。今後、是非そういった面で御議論いただければありがたいと思います。
例えば、リコールにつながる製品事故のときに非常に多く言われるのが、消費者の誤使用という問題です。ですけれども、誤使用だと言われている間は消費者は近づかないですね。誤使用でも、誤使用が重なればそれは製品に欠陥があると。そういう意味での社会的な合意形成ができて製品改善につなげるようなムードになっていかないと、なかなか消費者の方から自ら、リスク管理、リコールの認知、リスク認知をするというのは難しいのではないかということを感じております。
○松岡座長 横矢委員、どうぞ。
○横矢委員 今日は、非公開になっている資料ですけれども、机上配布されている委員の意見の資料に私の意見が出ていますが、自分は子どもの危険を回避したい保護者の立場で改めていろいろな情報を見て、自動回転ドアの事故のころから、さまざまな、子どもがかかわる事故の委員をやってきた体験もまとめて考えると、新しいアイデアをどんどん入れていきたいと思ったので、具体的には、今あるサイトや他の委員会で作成中のサイトなどを、うまくまとめて組み合わせていく提案を書いています。
一消費者として、自宅に今、何の商品があるか、改めて自分も一人の消費者として考えてみると、わからない商品がたくさんあります。ハロゲンヒーターは、はやっていた時代に買っていなかったかとか、貰っていなかったか、そういうことも考えると、まず自分の家にあるもののリストをつくってみたいと思いました。それを多くの方に一緒にやってもらいながら、何か話し合いをしていけば、消費者教育にもなるし、リコール情報などの情報配信にも役立っていくことになるのではないかと感じました。
手間がかかることは子育て中はなかなか難しいので、メーカー名や型番も記入したリストをインターネット上に登録しておけば、何かあったときにお知らせが来て、お知らせに対してのアクションも、簡単にできるようにしておけばいいと思うのです。見たらチェックをすればいいし、その横に、「もう捨てた」ということもチェックできるようにします。その先どうすればいいかなど、知りたいことを選べるようにしておけば、情報を見たり、「今、連絡する」を押せば、そのままメールが飛ぶようにするとか、アクションがその場でできるようにしておけば良いと思います。
こういうアイデアをどんどん膨らませていくと、私の頭の中では、楽しい、参加できる、一緒に考えていかれるようなものができてくると思います。今、事故予防のための良いサイトが各庁省などでつくられているのはよく存じておりますが、保護者に向けて「ここを見て」というときに、どこを選ぼうかと思うことが多いわけです。こことここにいいものがあると簡単にいうのがなかなか難しいので、消費者庁さんにできれば集約していって、そこから興味に応じて分けていくような形がいいのではないかと感じています。
一つ、経済産業省さんの委員を3月までやっていましたが、その中でキッズデザインの製品開発支援事業の委員もやっていまして、子どもが家庭内で事故を起こすことについて、どうやって守っていきましょうかというコミュニティサイトのプロトタイプができたところです。それが、子どもの行動特性データとか、事故情報とかを全部見られるようなサイトでありながら、自宅の家具の配置などの情報を登録するようにしていきたいとなっています。どうしてかというと、家の窓の高さと家具をどう設置することによって危険度が増すとか、家として見ていく、部屋として見ていくことが大事と考えているサイトです。そこに例えば今回の製品を、ここの家具の上には電子レンジがあって、メーカーはここだということを自宅で登録しておけば、今回の情報配信にうまく連動できそうです。それができれば、一つ、大きな進歩というか、そこを取っかかりにして何か進んでいくのではないかと思いました。
本当にもったいないぐらい、あちこちでいいことをやっていらっしゃるのに、何となくバラバラで、あるものは期限が切れてしまったというふうになりがちなので、まず、今日は経済産業省さんにいらしていただいたので、そういう連携はどうなのかなと。できれば一緒にやっていただきたいと思いました。
○松岡座長 横矢委員、ありがとうございました。貴重なアイデアを膨らませて考えていきたいと思います。
では、小幡委員。
○小幡委員 豊富な御意見をありがとうございました。机上配布資料、非公開の部分で既にいろいろな御意見もいただいております。本日は最初に、入り口はやらないのかというお話がございました。今日は、どちらかというとリコール情報の伝達の方に集中した議論だったかと思いますが、課題はいろいろ出てまいりましたので、今後、諸外国の情報伝達方式なども少し参考にして、体力のない輸入業者が重大事故を起こしたらどうするか、その場合、販売業者にやっていただくこともございましょうし、更に議論を詰めていただければと思います。また、危険の認知というか、リコールへのタイムラグの問題もございましょうし、更にその問題も、今後、議論いただければと思います。ありがとうございました。
≪4.今後の議論の進め方について≫
○松岡座長 皆さん、どうもありがとうございました。だいぶ押し迫ってしまいまして、申し訳ございませんでした。
今日はいろいろ意見が出ましたし、問題点も少し出てきて、もう少し整理しなくてはいけないと私自身も思っていますので、御協力のほど、お願いいたします。
次回以降、少し具体的なことも検討したいと思いまして、ケーススタディとして、具体例を一つ取り上げてはどうかと考えています。事務局からは、ブリヂストンサイクルさんに、幼児用の座席のことで取り組みの事例について御紹介できるのではないかということで、コンタクトをとっていただいていることと、次回は、消費者庁にも来ていただいて少し話題提供ということを考えております。このように進めさせていただきますが、何か御意見等はございますでしょうか。
では、このような具体例も参考にしながら、具体的に考えるとともに、全般的なとりまとめに向けて議論を進めていきたいと思っております。
以上で、本日の議題を終わりにさせていただきます。事務局から御連絡の方をお願いいたします。
○原事務局長 どうもありがとうございました。
先ほど、越山先生から質問が私に投げかけられたものがございましたけれども、工業製品と食品とどういうふうに考えるのかということです。実は消費者基本計画の施策番号27に、食品のリコール社告についての施策を立てております。食品のリコール社告を出す際に、消費生活用製品のリコール社告の記載項目及び作成法、先ほどのJISですけれども、それを参考とするよう周知しますということが具体的施策で、担当省庁は農林水産省で、継続的に実施しますということで、第1次消費者委員会では農水省も呼んでヒアリングをいたしました。この周知については徹底を図っていくということで御回答を得ておりますので、御紹介させていただきます。
次回は6月1日(金曜日)の14時からを予定しております。どうぞよろしくお願いいたします。
事務局からは以上です。
○松岡座長 ありがとうございました。
○齋藤委員 今日は、配布資料の最後に大臣から消費者委員会委員長あてに報告がついていますが、この内容は委員会では満足しておられるのですか。
○原事務局長 満足はしておりません。再度ヒアリングを重ねていく予定にしております。
≪5.閉会≫
○松岡座長 どうもありがとうございました。
それでは、これにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、また、熱心な御議論をありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
(以上)