第6回 地方消費者行政専門調査会 議事録

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日時

2010年9月14日(火)16:00~18:00

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【専門委員】
 片山座長、稲継座長代理、斎藤委員、菅委員、田中委員、馬場委員、
 圓山委員、矢野委員
【担当委員】
 池田委員、佐野委員、下谷内委員、日佐和委員、山口委員
【オブザーバー】
 池本弁護士
【説明者】
 消費者庁 林地方協力課長
 社団法人北海道消費者協会 橋本会長
 静岡県くらし・環境部 県民生活課 消費相談・啓発班 野毛班長
 独立行政法人国民生活センター 柳橋商品テスト部長
 独立行政法人製品評価技術基盤機構 山本製品安全センター所長、上野企画管理部長
【消費者委員会事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.地方消費者行政における商品テストの位置づけ、支援のあり方について
3.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:75KB)
【資料1-1】 商品テストの実施状況・実施体制について(地方消費者行政の実態調査報告書(消費者委員会事務局 平成22年1月)から) (PDF形式:82KB)
【資料1-2】 都道府県・政令市における商品テストの内容・実施主体(平成20年度)(地方消費者行政の実態調査報告書(消費者委員会事務局 平成22年1月)別紙1) (PDF形式:151KB)
【資料1-3】 地方消費者行政における商品テストの概念整理について (PDF形式:59KB)
【資料2】 消費者庁提出資料 (PDF形式:103KB)
【資料3】 (社)北海道消費者協会橋本会長提出資料 (PDF形式:372KB)
【資料4】 静岡県の商品テスト(静岡県くらし・環境部県民生活課提出資料) (PDF形式:134KB)
【資料5-1】 消費生活センター等の商品テスト(2008年度実績)(国民生活センター提出資料) (PDF形式:183KB)
【資料5-2】 国民生活センターの商品テスト(消費生活センター依頼の苦情処理テスト)(国民生活センター提出資料) (PDF形式:84KB)
【資料5-3】 2009年度 商品テスト(苦情処理テスト)の概要(国民生活センター提出資料) (PDF形式:278KB)
【資料5-4】 2009年度 商品テスト公表の概要(国民生活センター提出資料) (PDF形式:166KB)
【資料6-1】 消費生活センターとの連携関係について(製品評価技術基盤機構(NITE)提出資料) 【資料6-2】 消費生活用製品等による事故等に関する情報提供及び業界における体制整備の要請について(商務流通審議官通知)(製品評価技術基盤機構(NITE)提出資料) (PDF形式:282KB)
【資料7-1】 地方における商品テストのあり方、人材の確保について(論点) (PDF形式:111KB)
【資料7-2】 地方消費者行政における現場の声(抜粋)(商品テストに係る体制の強化)(地方消費者行政の実態調査報告書(消費者委員会事務局 平成22年1月)別紙2) (PDF形式:70KB)
【資料7-3】 地方における商品テストのあり方、人材の確保について(論点)に関連する第171回国会における議論について (PDF形式:147KB)
【資料8】 圓山委員提出資料 (PDF形式:124KB)
【資料9】 池本オブザーバー提出資料 (PDF形式:119KB)
【資料10】 国府委員提出資料 (PDF形式:101KB)
【資料11】 今後のスケジュール(案)について (PDF形式:88KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、始めたいと思います。本日は、皆様お忙しいところ、お集まりいただきありがとうございます。ただいまから、消費者委員会地方消費者行政専門調査会の第6回の会合を開催いたします。
 なお、本日は所用により専門委員の奥山委員、沼尾委員、野口委員、山下委員が、また体調不良により、国府委員がそれぞれ御欠席になっております。消費者委員会の担当委員は全員出席をしております。
 議事に入る前に配付資料の確認をさせていただきたいと思いますが、地方消費者行政専門調査会第6回議事次第の次に配付資料一覧を掲載しております。大変な資料、数ございますけれども、資料1は、今の「商品テストの実施状況・実施体制について」ということで、消費者委員会事務局から提出している資料。資料2が、消費者庁の提出資料。資料3が、北海道消費者協会の提出資料。資料4が、静岡県からの提出資料です。資料5が、枝番入っておりますけれども、国民生活センターからの資料、資料6がNITEからの資料。資料7から消費者委員会事務局で考えました論点ということについて関連の資料をつけております。
 資料8以降は、専門調査会の委員、オブザーバーから提出をされている資料ということになります。
資料11に、今後のスケジュール(案)について示しております。
ちょっと大変な膨大な資料になりますけれども、途中、過不足ございましたら、事務局までお申し出いただけたらと思います。
それでは、座長、よろしくお願いいたします。

≪2.地方消費者行政における商品テストの位置づけ、支援のあり方について≫

○片山座長 それでは、議題に入りたいと思います。本日はまず事務局と消費者庁から、地方における商品テストの実施状況や今後の施策について、それぞれ御説明いただきます。続けて北海道と静岡県の商品テストの実態について御説明いただきたいと思います。その後、国民生活センターと製品評価技術基盤機構から御説明いただきます。最後に事務局から論点を説明していただきます。
 今回は説明者が大勢いらっしゃいますので、できるだけ時間厳守でお願いをいたします。簡潔で怒る人はいませんので、時間厳守でお願いします。最後に御意見とか御質問は説明が終わった後で一括してお願いをしたいと思います。
 それでは、初めに事務局から、商品テストの実施状況と実施体制について御説明をいただきます。

○齋藤審議官 事務局の齋藤でございます。資料1をご覧いただきたいと思います。「商品テストの実施状況・実施体制について」、消費者委員会事務局が昨年末にかけて行った調査から抜き出したものでございます。
 おめくりいただきますと、まず実施状況でございますが、下のほうにグラフが4つ並んでおりますが、左側の2つが都道府県と政令市に分けまして、年間どれだけ商品テストを実施しているかという件数を見たものでございます。緑のところで示されておりますが、年間11~50件行っているものが都道府県においては約3割ございます。その隣の政令市におきましても約3割程度はやっております。
 他方0と、青で示しておりますが、年間実績なしというところが、都道府県では8県(17%)、政令市では5政令市、比率的には3割程度ございます。そんな状況でございます。
 右のほうの2つのグラフでございますが、これは商品テストを自ら実施しているか、あるいはNITE、国民生活センターで実施しているか、実施主体について問うたものですが、都道府県につきましては、全体の件数の約6割が自ら府県がやっている。3割程度がNITEに依頼している。その残り、2%程度が国民生活センターとなっております。
 政令市につきましては、その右のグラフにありますように、政令市自ら行っているというのが3割程度。NITEが同じく3割程度といったような様子がうかがえるかと思います。
 次のページでございますが、「商品テストの実施体制」ということで、人や施設の面でどうなっているかということですが、まず左端の商品テストの担当職員数、これは47都道府県・18政令市の合計人数でございますけれども、平成18年度~平成20年度(平成21年度は予定)にかけて徐々に減ってきております。兼任が大体全体の4割あるという状況であります。
 真ん中の2つのグラフは、1つの自治体当たりの担当職員数を見たものですが、都道府県では、左肩ですが、0というところが15県ございます。1人というところが15県(32%)といったような状況でございます。
 政令市においては、0というところが10政令市ということで、さらに大きな比率になっております。
 右端のほうは、商品テストのための機器の購入・更新等がどうなっているかということで、平成18年度~平成21年度まで見ております。平成21年度は予定ということでございますが、これも購入・更新がないというところがほとんどであります。平成21年度につきましては、多少増えておりますが、これは地方消費者行政活性化基金の活用を予定して増えているということであります。
 それから、資料1-2、やや細かい字でたくさん書いております表ですが、これは1枚目は都道府県ないし政令市が自ら行っている商品テスト、どんなものがあるかというものを見たものでして、黄色で示されておりますように、半分程度はクリーニングといったような、クリーニングによってしみが出たとか、穴があいたとか、そういった問題についての調査、原因を調べているといったものがかなりあるということであります。
 2枚目のところは、これはNITEや国民生活センターに依頼した商品テスト、どんなものがあるか、示したものでございます。
 それから、資料1-3ですが、「商品テスト」と一口に申しましても、3種類、概念整理ができるのではないかということで、いろんな統計、物を見ましても、呼び方はいろいろでありますが、大体こういった3つぐらいの分け方を意識して現実にはされているのではないかということで整理したものでございます。青のところが、「苦情処理(相談)テスト」ということで、これは消費者からの苦情等を受けて、問題解決のために原因究明、品質や性能といったものが期待に沿うたものかどうかといったものを調べるようなテストでございます。
 真ん中の黄色いところは、「比較・試買テスト」ということで、複数の商品について品質、性能等、さまざまな角度から比較し、評価を行うということで、商品選択のための情報提供という意味も込めたテストであります。
 右端の「普及・啓発テスト」、これは何か発見するということではなくて、ある意味、既に知られた事実ではあっても、それを消費者に実体験してもらうことによって納得してもらうというか、理解してもらう、そういうためのテストで、これもよく行われているものでございます。
 大体そんな分類ができるかと思います。
 私のほうからは、イントロ的な説明ということで、説明させていただきました。
 以上でございます。

○片山座長 ありがとうございました。
 それでは、次に消費者庁の林地方協力課長から、地方の商品テストに対するこれまでの支援の内容と今後の施策について、概算要求などにおきます考え方を踏まえて御説明をいただければと思います。

○林地方協力課長 それでは、消費者庁から提出をさせていただいております資料2につきまして御説明をさせていただきます。
 現状につきましては、主として基金を活用した地方の商品テストに対する支援策の内容ということでございます。
まず1枚おめくりいただきまして2ページ、その概要を記させていただいておりますが、今、基金は223億、各都道府県に造成をしていただいておりまして、そのメニューの中に「商品テスト強化事業」を設けまして、テストの機器の購入、外部機関への委託に要する費用に充てていただいているものでございます。
1枚おめくりいただきまして、3ページ目が、昨年度(平成21年度)、この初年度でございましたけれども、これの活用事例を挙げさせていただいたものでございます。基本的には機器購入に充てていただいているものが多くて、一部外部委託に充てていただいているものがございます。
それから、参考までに、本日、圓山委員から御質問いただいておりましたものの中に、こうした基金について、広域的に共同利用みたいなことをやられているのかという御質問いただいております。具体的にこの基金についてというのはまだ整備をされたものばかりですので、把握ができていないのですが、北陸では年に1回程度、3県で共同で商品テストをやるといったような取組がされていると承知をしております。
 続きまして4ページ目でございます。こうした状況を踏まえまして、国民生活センター、こちらが商品テストについてどうした体制を組んでいくかということでございます。これは平成23年度の「機構定員要求」に結びつくものでございますけれども、平成21年度の実績を見ますと、各地方から依頼をいただいたものが208件ございましたけれども、実際に実施ができたのが81件、約4割程度にとどまっているということもございまして、今年の夏に出した平成23年度の機構定員要求につきましては、こうした依頼に対応できるだけの体制を整備をするための増員の要求をさせていただいております。
5ページ以降が、参考までに、これまでいろいろな計画の中でどうした記述がされているかということで、この2月に策定をいたしました「地方消費者行政の充実・強化のためのプラン」と、3月に閣議決定をいたしました「消費者基本計画」での記述ぶりを挙げさせていただいております。ご覧いただければと思います。
6ページ目が、この4月に行われました事業仕分けの結果についてでございます。
商品テストに関しましては、役割分担を明確にすべきであるといったようなこととか、今日もおいでのNITEさん、FAMICさんといった他の独法との連携を進めるべきである。あるいは民間の検査機関にもできる限りアウトソースすべきであるといったような御指摘をいただいておりまして、結果として関係独法や民間の検査機関との有機的な連携体制を構築して、効率的あるいは迅速な商品テストに結びつけられるような体制を整えるべきであるという御指摘をいただいておりまして、こうした御指摘を踏まえて、現在国民生活センターで行っております商品テストについての体制の見直しということを進めているところでございます。
消費者庁から以上でございます。

○片山座長 ありがとうございました。
 続いて、北海道消費者協会の橋本会長から、北海道における商品テストの実態を御説明いただきたいと思います。なお、北海道では他の地域と比べテストの件数が多くて、また寒冷地使用のテストなどの特殊なテストが行われているとお伺いしておりますので、その点も踏まえて御説明をいただければと思います。

○橋本会長 社団法人北海道消費者協会の会長をしております橋本と申します。
北海道消費者協会では、北海道立消費生活センターの指定管理者という形で、私が非常勤ではありますが、所長を兼ねておりますので、道立センターについてのお知らせを今日させていただきたいと思っております。
レジュメに沿ってお話しさせていただきますけれども、2枚目を開いていただきたいのですが、道立消費生活センターの消費者テスト部の受付件数について、平成20年度のものを持ってまいりました。確定しているものが平成20年度なので、少し古いのですが、このときはテストが228件、技術相談413件、合わせて641件の受付件数を持っております。
その中で、この年は、まだ消費者庁が発足しておりませんので、消費者庁のいわゆる重大事故と言われるものに関しまして、もし重大事故に当てはまる件数があるかということで見ましたが、1~2件というようなところでした。国民生活センターの行っている危険・危害情報というのがあるのですが、この年は危害情報に当たるのが12件、それから、危険情報、いわゆるヒヤリハットに当たる部分が10件となっておりまして、製品の安全に関する相談というのは全体的に見るとあまり多くはありません。現在安全性に関しては、法律によってかなり安全性に関する法律は消費生活用製品安全法が施行されたため、かなり強化されているのですが、これで見る限りは、私ども日頃の消費生活センターの相談の内容は品質の部分が非常に多いことがわかると思います。洗濯機から火災を起こして大変になったということであれば、すぐに安全性に関するNITE等に行くのですが、ほとんどの相談が、洗濯機を使用したけれども、きれいに落ちないであるとか、何かにおいがするといったような、そういう品質の部分が非常に多いというのが消費生活相談の特徴だと思われますが、この品質に関する法律が整っていないという現状があります。
私ども道立センターでは、メーカーとのあっせんを行っておりますので、そういったときに、品質に関することでいろいろとメーカーと交渉する場合が多くなっております。
その次のページをめくっていただきたいのですが、そのほかに、私ども道立センターでは「試買テスト」というのを行っています。これは今年の2月1日、来年の地デジの完全施行に伴って地上デジタルチューナーの性能について試買テストを行いました。これは消費者の皆さんにどういったものがいいのかという買物情報という形でお知らせしています。
これはたまたまうちで行った内容なのですが、今日配付させていただきました「北のくらし きらめく」、こういう形の情報提供を行っています。これは全道の関係団体、行政機関にすべて送らさせていただいて、これはたまたま国民生活センターの商品テストについてのお知らせなのですけれども、こういう形でいろいろと啓発活動を行っております。
また、このページ、「地上デジタルチューナー」の話の最後のほうに、「ちびっ子たちに大人気! カルチャーナイトに164人」ということなんですが、私ども消費者協会、道立センターを始めとしまして、まず未然防止というものが非常に大事であるというふうに考えておりまして、少しでも消費者問題に興味を持っていただきたいというようなことでいろいろな活動を行っております。その中で1つが、カルチャーナイトに参加して、その中で商品テスト室を開放して、こういうようなテストを行っているんですよといったような内容を皆さんにお知らせしております。これは商品テスト室の技師だけではなくて、啓発部の者も若干そういう技師からいろいろと説明を受けて、啓発部の者がそういった部分では行っておりますが、商品テスト室があるということで非常に専門的なアドバイスを受けることができるということがメリットになっております。
 そういった中で、先ほど北海道は非常に多い商品テストを行っていると言っていただきましたが、やはり施設は老朽化しておりまして、先ほどのグラフで見ましたが、活性化基金で何とか新しい機器を買うことができたというような状態ではありますが、そういった劣悪の中でも商品テストはきちんとしていかなければならない。特に相談との連携がうちは非常にありまして、部長が1人いるのですが、その部長以下、職員が3名、非常勤が2名、5名体制で商品テストを行っております。
 市町村の中には安全性に関しては、後ほど説明のあるNITEに直接持っていくということが多いのですけれども、私ども道立センターでは、もし道内の市町村から技術相談であるとか、商品テストをしてほしいということがありましたら、それは受け付けております。ただ、市町村によっては直接NITEに、特に安全性に関しては持ち込むというような市町村がありますけれども、市町村との連携の中で技師がいろいろ対応しております。それから、相談の内容においても、先ほどメーカーとのあっせん等を行っていると言いましたが、今の製品は非常に専門性が高いものですから、そういった意味でその交渉の場に専門のテストの技師がいるということは消費者にとっても非常に安心なことですし、逆に言いますと、消費者のほうで誤った使用をした場合、それに関して結構メーカーとトラブルになった場合、第三者的な私どもの商品テスト室の者が、こういう使い方をするとこういうことになりますのでという誤使用についてきちんと説明することによって消費者の方が納得できるという場合があります。ですから商品テストにおいては、技師の技術力も問われますが、私としましては、そういった相談現場で消費者の方に納得していただける。それから、メーカーに対してきちんと専門性を有して交渉できる、そういう人材が地方においては非常に必要なのではないかと感じております。
 また、現在残念なことに、相談室と商品テスト室、建物がちょっと離れております。これからもっと相談の現場で商品テストの専門性を高めるためにも活性化基金を利用して、これは北海道の特殊性ですが、同じ建物の中でやることによって、さらに連携を深めていっていきたいと思っております。
 最後に、後ほどお話しになる国民生活センターとNITEとの関係なのですが、なるべく北海道の場合は、自分たちでできるものは自分たちでテストをしていこうという考え方がありまして、国民生活センターに対しましては、平成21年に健康食品ヒアルロン酸の量についての、こちらではできないということで、お願いしたのを最後に、ほとんど独自で行えるようになっております。それから、NITEに関しましても、製品の安全性に関してほとんどこちらでテストできますので、報告という形でNITEのほうには必ず上げております。
 そういった形で連携をとっておりますが、なるべく自分たちの力でやり、職員のスキルアップも大事ですし、そういった部分でそのためにももっといい機器があるともっとスキルアップができるのではないかと感じておりますし、今、5人しかおりません。1人1つの専門というと、その1人に負担がかかるということから、ほかの地域との連携などがあると非常いいですし、また研修の機会があると技術的なスキルアップができるのではないかと思っております。
 以上です。

○片山座長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、静岡県くらし・環境部県民生活課消費相談・啓発班の野毛班長さんから、静岡県における商品テストの実態を御説明いただきたいと思います。静岡県では、地方消費者行政活性化基金で、新しい機器を購入されたり、食品関係の研究所のスタッフを活用されるなど、人事面で工夫をされていると伺っておりますので、その点も踏まえた御説明をいただければと思います。

○野毛班長 静岡県の野毛と申します。よろしくお願いいたします。
 本県の商品テストについて、お手元の資料4に記載してございますので、簡単に説明させていただきます。
 静岡県消費生活条例に基づきまして、静岡県環境衛生科学研究所というところで商品テストを実施しております。環境衛生科学研究所ですが、総人数は56名おります。そのうち現在は2人を生活科学担当ということで配置をしております。
 2番目のところに科学研究所の沿革について説明してありますが、平成9年に静岡県環境衛生科学研究所ということでいろんな試験研究機関を統合しました。その当時は74の市町もありまして、県下に消費生活センターは9個ありました。現在うちの県は、市町村合併が進みまして35市町になっておりまして、消費生活センターは県下に3つになっております。そういうことも踏まえまして、平成9年当時は4人配置しておりましたが、現在は2人ということになっております。また、この2人に関しましては、薬剤師2名になっておりまして、この方たちの資質向上のために国民生活センターさん、FAMICさん、NITEさんの研修に参加をさせているところでございます。
 先ほど消費者委員会事務局から説明がありましたが、私ども商品テストに関しましては、下の表の3番に書いてある区分で考えております。消費者のほうから持ち込まれる苦情商品テスト(持込方式)、あと各種の製品等を比較する(試買方式)、商品テストの実習講座、そういった商品テストの情報を県民に提供する情報提供の事業と啓発の事業を行っております。
 先ほど座長からお話がありましたけれども、地方消費者行政活性化基金を活用いたしまして、昨年度はご覧のとおりの機器を整備いたしました。今年度もまた1台、液体クロマトグラフィーを整備する予定でございます。
私どもの環境衛生科学研究所は、衛生研究所ですとか、そういった流れ、歴史があるものですから、食品関係に関して非常に特化をしているところであると考えております。
もう一枚めくってください。事業の実績でございます。平成21年度ですが、平成20年度は0件だったのですけれども、平成21年度4件ございました。「主なテスト内容」というところをご覧いただきまして、烏龍茶のティーバックの中に色素が入っているのではないかということのテストをいたしました。カレールーの中に異物が入っているということで、これは市から持ち込まれた案件でございます。その下の書道用の墨汁の異臭調査、これも市から持ち込まれた案件でございます。タイルの変色、玄関のタイルが洗剤等を使って変色したという案件でしたが、これも市から持ち込まれた案件でございます。
平成20年度、21年度、消費生活相談の件数を見ますと、私ども県のセンターで受け付けている件数を見ますと前年対比で85%ぐらいに減っております。かわりに消費者ホットライン等の導入もございまして、市町の相談が非常に増えております。したがいまして、今後は市町からのこういった商品テストに関するものが持ち込まれてくるのではないかと考えております。
苦情テスト(試買)ということで、平成19年度以下いろいろなテストをやっております。これに関しては、以前に国民生活センターが出している冊子にも取り上げられたものもございますが、苦情のあるものや県民の関心があるものに関して試買をして検査結果を商品テストの情報提供をいたしておるところでございます。
実習講座につきましては、平成19年度~平成21年度まで3年間書いてありますけれども、実習に出て、これは環境衛生科学研究所でやっているのではなくて、出前で講座をやるものでございます。商品のテスト等が増えてきたものですから、平成21年度につきましては実習の講座が減ってしまっているという状況でございます。
商品テストの状況ですけれども、これは一般の方からの相談もございますし、市町の消費生活センターからの問い合わせ等も含まれた数字でございます。
 苦情テストは、先ほど説明したように、烏龍茶以下4件だったのですが、それ以外に昨年度は2件、エスティテックサロンで使っている毛髪の着色料に関しての相談と、あとじゅうたん、火災が発生してしまった電気のじゅうたんですが、この2件に関しまして、私どものところでできなくて、国民生活センターさんとNITEさんにお願いをしたところでございます。
 簡単ではございますが、本県の商品テストの状況について説明させていただきました。

○片山座長 ありがとうございました。
 それでは、続いて国民生活センターの柳橋商品テスト部長さんから、各地の消費生活センターにおける商品テストの実施状況と、地方からの依頼を受けて行っておられます商品テストの実施状況について、御説明いただければと思います。

○柳橋商品テスト部長 柳橋です。よろしくお願いいたします。資料5-1~5-4を見ていただきたいと思います。
 まず最初に、消費生活センターの商品テストということですが、国民生活センターでは毎年「消費生活年報」ということで、各地のセンターさんにテストの実施状況のアンケート調査を実施しております。この数字の見方なのですが、個々に各項目、食料品、クリーニングと、こういうふうに項目がございますけれども、単に実施件数何件やったかというようなアンケート調査でございまして、圓山委員のほうからも御質問もございましたけれども、各事例がどうかというようなアンケート調査は実施しておりません。
 それから、また内容的に実施内容が自ら実施したもの、あるいはほかの機関に依頼しているものが件数の中には混在しております。また、都道府県と市町村とで重複事例が内容的にはございます。都道府県が市区町村の部分もまとめて件数として報告している例がございますので、実際の数字としてはこれよりも小さい数字になるようなものもございます。
 あと、内容的に各地センターさんがやっておられる内容は、外観観察というような簡易的なものからきちんとしたテストをしているものまでかなり幅広い内容のテストというふうに御理解いただいたほうが正確かと思います。
 まず最初に、苦情処理テストでございますけれども、表1を見ていただくとわかりますが、全体としては1,363件ということで、各商品分類のところを見ていただきますと、住居品、もしくはクリーニングが全体のそれぞれ3割程度ということで、これが大きな柱になっているかと思います。
 それから、外部依頼件数でございますが、全体のうち586件ということで、40%強が外部依頼によってやられているということで、この内訳として国センの分を除きますと、50%半数近くになる数字かと思います。あと外部依頼件数の商品分類のところを見ますと、住居品、土地・建物、光熱水費、車両・乗物、この辺が外部化率が高いということが見てとれるかと思います。
 それから、表2、商品分類別の実施件数でございますけれども、先ほど北海道協会のほうからも話がございましたけれども、危害・危険に関するものを合わせて約30%、品質・性能のほうが倍以上の70%ということになっていますが、これはクリーニングの案件が多いということに起因しているのではないかと思われます。
 2ページ目のほうを見ていただきたいと思います。「商品テスト(比較・試買テスト)」と呼ばれていることが多い案件でございますが、全体として国民生活センターの分も含めて56件が実施されております。内容的には食品、住居品の割合が高いということで、住居品は3割、食料品は20%ということになっていますが、この比較・試買テストがどちらかというと、自らが実施しているテストの割合が高いのではないかと考えられます。
 次に3番目の「テスト件数の推移」でございますけれども、まず苦情処理テストのほうを見ていただきますとわかりますが、大体大まかに2006年度まで全体としては減少傾向にございましたが、2007年度以降、上昇に転じているということが言えると思います。ただ、この中身は、過去の外部依頼実績を見ますと、比率が例えば2005年が18.5%の外部化率でしたけれども、2008年度は40.1%と外部化率が上昇しているという背景がございます。
それから、商品テストのほうでございますけれども、これは総件数、テスト機関数とも毎年減少しているということが見ていただけるかと思います。2008年度につきましては、19センターということで、この内訳は都道府県のセンターさんが7センターということで、3ページのほうを見ていただくと、各センターさんごとの実施状況が見ていただけるかと思いますけれども、主に都道府県・政令都市のほうで試買テストは行われている。市区センターの内容的にはどちらかというと、苦情処理テストに近いような内容のものが報告されておりまして、全体としては比較・試買テストは、さらに件数、機関数はさらに実態としては少ないのかなと判断されます。
資料5-2のほうを見ていただきたいと思います。「国民生活センターの商品テスト」ということで、これは主に苦情処理テストの説明でございます。
前後しますが、下のほうに(受付基準)と書いてございます。これが国民生活センターの消費生活センターからのテスト依頼を受け付けるに当たって基準として設けているものでございます。
まず最初に、苦情処理テストはいろいろな形で情報提供、製品の改善、規格・基準の改正につなげるものでございますので、公益性の観点から原則無料ということで、これは送料、送っていただくもの、あるいはこちらから送り返すもの、すべて無料で実施しております。
マル1でございますが、テストを実施するための要件として、事故や被害の状況が把握できるということで、これは状況がわかりませんと、依頼されているようなものに応えた結果が出せないということで、これは把握して情報提供していただく。
また、併せてテストする品物、事故品、苦情品、あるいは同型品などがございませんと、実際のテストはできませんので、これも1つの大きな要件として受付基準としております。
 マル2テストの受付に当たっての優先順位ということで、ここには重大なものを優先的にやりますと書いてございますが、現状はできるだけテスト依頼のあったものは内容にかかわらず実施可能なものはすべて受けるような方向で対応しております。また、取り上げる商品、内容なのですが、これは食品、衣料品の消費財すべてテスト可能なものは実施しようということでやっております。
 上のほうの表を見ていただきたいと思いますが、現況、国民生活センターの状況がどうなっているかということですが、苦情処理テストの中段のところに「消費生活センターからの依頼件数」ということで、2006年度から2009年度まで依頼件数が増えていることが見ていただけるかと思います。また、これに合わせまして、できるだけ依頼に応えていくということで、いろいろな改善をしながら毎年実施件数を増やして対応しているという状況でございます。この実施件数の上昇は、苦情相談処理のためにはできるだけ迅速性が必要だということもございますので、できるだけ実施日数も短縮を図って増につなげているという状況でございます。
 それから、もう一つ、「苦情相談・事故情報を分析して注意喚起するテスト」ということで、これはPIO-NET等の苦情相談、事故情報を分析して相談処理のために役立ててもらうということも含めまして、公表を前提にして実施しているテストでございます。これは内容がさまざまでございますけれども、苦情相談に寄せられているものなども含めてできるだけ幅広く実施しているところでございます。
 また、併せて「消費生活センターからの商品や技術等に関する問合せ・相談」も毎年増えておりまして、中にはメーカーさんがやったテスト報告書が妥当かどうか見てほしいとか、いろいろな商品などに関する知識も含めて問い合わせが増えているところでございます。
 あと参考にですが、テスト職員数として、毎年4月1日現在の職員数、2010年度も21名ということで、2009年同様でございます。
 単に苦情処理テストを実施して終わりということではなくて、苦情処理テストの結果から大きな問題があれば、同様の商品なども含めてテストをいたしまして、注意喚起、公表につなげている例もございますし、また問題があれば、法律違反、問題のある商品などについては所管省庁に要望、情報提供して、商品の改善、規格・基準の改正につなげるということで、できるだけ事故の未然防止に幅広く役立てているというような方向性でやっております。
 それで、課題ですけれども、ご覧になっていただくとわかりますように、テスト依頼の半分も実施しきれてないというような状況がございますので、対応として、先ほど消費者庁のほうからも話がございましたけれども、人員増の予算要求をして対応していこうということで今実施しているところでございます。
 ちょっと長くなりましたけれども、以上でございます。

○片山座長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、製品評価技術基盤機構の山本製品安全センター所長さんと、上野企画管理部長さんから、製品事故情報の収集・分析、結果公表を行っている機関として、情報収集のソースとして、消費生活センターをどのように位置づけておられるのかを踏まえて、その実施状況について御説明いただければと思います。

○山本所長 NITE製品安全センター所長の山本でございます。本日は私のほうから、全体を御説明させていただきたいと思っております。資料6-1を中心に説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 3ページに飛んでいただきたいと思います。私ども製品安全センターにおける事故情報収集、そして、それを整理・分析して公表していくというところでございますが、その親元といいましょうか、法律自体はここにかかわります消費生活用製品安全法及び電安法とか、安全4法と言われる法律の中で仕事をしているというところでございます。
2つ、事故情報に種類が今分けられております。1つは重大事故、左側に書かれている重大製品事故というものでございます。これにつきましては、製造事業者・輸入事業者から消費者庁及び経済産業省のほうに事故通知があったものが調査指示という形でNITEに来て、それを分析し、その結果を報告するという1つの大きな仕事。
もう一つは、重大事故ではない「非重大事故」と我々呼んでいるのですが、軽傷であったりヒヤリハット、こういうものの情報を皆様にお願いして協力していただいて、それを集めるという仕事の中で、集まった情報を、重大事故と同じように分析し、その結果を経産省、消費者庁にお伝えし、またNITEのほうからのホームページでいろいろな形で情報提供をさせていただくというような業務をしております。
なお、重大事故におきまして若干言葉足らずでございましたが、製造事業者・輸入事業者以外の方々の情報としては、重大事故もNITEに入ってくるという仕組みとしてやってございます。そして、このような多く集まった情報から、経産省において、例えば再発するような事故で、法律上の基準が問題があるというところはNITEから提案をさせていただいて改正していただくというような形での仕事。それから、NITEにおきましては、啓発関係での公表、もう一つ大きな仕事として立入検査ということで、事業者をしっかり見ていくという業務をしているというのがここの資料でございます。
次のページを見ていただきたいと思います。4ページは、今、私が申し上げたことを少し文書で書かせてもらったところでございまして、今日お集まりの関係で考えれば、2.のところが大きなところでございます。消費生活センター、消防、警察等については、事故の情報を消費者庁消費者安全課に通知するという制度になっておるのですが、それと同時にNITEにもその情報をいただきたいという形で情報を非重大事故については集めているというところでございます。
このことにつきましては、資料として6-2を別途お配りしてございます。今日説明する時間がないのであれなのですが、このような経産省からのお願い文書、これによって、非重大事故等の情報をNITEにいただけますよう要請しているところでございます。
次のページに進めさせていただきます。次はNITEにどのくらい情報が集まってきているかというところを棒グラフであらわしたものでございます。少し文字が見にくくなっているところは御容赦いただきたいと思うのですが、大体5,000件前後の情報が集まってきております。平成19年度に7,300件という大きな棒グラフになっておりますが、これは消安法という法律が、先ほど言いました重大事故というものが強制、要するに義務づけられた年でございまして、この年に過去の事案も含めて多くの事案が届けられた。そのために大きな数字になっている。その後、だんだん落ちついてきまして、大体4,000~5,000件というのが今の実情と思ってございます。ちなみに今年度、まだ半年経っていませんが、2,200件ぐらい来ておりますので、大体今年度は5,000件ペースかなというふうに感じておるところでございます。
次のページをおめくりください。我々NITE・製品安全センターの業務をする実施体制をここで述べてございます。右上に人数が書いてございます。網かけしたところが製品安全センターの職員配置でございます。本部系に90名、北海道~九州まで8か所にそれぞれ事故情報を収集・整理するメンバーを配置してございます。日本地図を見ていただきますと、大体このような立地になってございまして、大阪が製品安全の本部機能を持つところとなってございます。
次のページをお開きください。今、申し上げました製品安全、全国の役割というものを示させていただいております。今言いましたように、大阪、東京に総括機能、そのほか支所関係は、我々は「アンテナ支所」という呼び方をしているのですが、地元の消費生活センター、消防、警察等と綿密な連携をとりながら、今、起こった事故を瞬時に駆けつけ、最新の情報(初動の情報)をとっていくという関係をつくり上げているところでございます。
さらには「機能支所」というのもございまして、ここではだんだん高度になっていく事故、それに対する解析技術をしっかり持とうということで特化的な機能を持った支所がございます。例えば北関東というところにある支所は、燃焼関係の技術の粋を持ったところでございまして、試験設備もそういう燃焼の実験ができる、そういう形になってございます。
また、北陸という支所は、今後多くなっていくVOCみたいな、そういう危害、そういうものに対する実験ができるような施設を持った特殊な特化技術を持ったところとして位置づけられているところがございます。
続きまして、8ページでございます。これは先ほど申しましたように、集められた4,000件、5,000件の事故情報を分析・解析する中で、これは基準、法律の中でいう安全基準を変えなければならないというような事案について、ここ平成19年~平成21年に、このような形でその反映された事例として羅列させてもらったものでございます。電気用品安全法が非常に多くなってございます。そのほか、消費生活用製品安全法、ガス事業法、それから、皆様ご存じのようなカラーコンタクトが事故がたくさん起こったということで、これは国民生活センターの皆様とも協力させていただいたのですが、薬事法のほうへそれが反映されたというような事例でございます。
9ページをお願いいたします。このような形でNITEで分析した結果は、データベースでしっかり世の中に公表されつつ、また、記者会見ですとか、各都道府県の皆様から講演依頼があればそこに駆けつけていくというような形。ここに少し雲のようなマークで書いてありますが、昨年ですと、消費生活センターからの講師派遣依頼29件というような形ですとか、あといろんな講演会、例えば主婦連様との共催による公開講座、こういうものを開きながら安全対策に寄与しているところでございます。
次、10ページをお願いします。ここから消費生活センターからの事故通知の内容ということで御説明をさせていただきます。この棒グラフの一番下のほうに、赤くなっているところが、消費生活センターから私どもに事故として通知された件数でございます。大体800件、850件のオーダーで今参っております。そして、吹き出しでピンク色で、北海道から九州まで、それぞれその県ごとといいましょうか、ブロックごとに何件来ているかということが示してございます。全国から集められているところでございます。ただ、東京は大都市で人口が多いということで非常に件数が多くなっております。
次に11ページをお開きください。どのような通知内容か、どういう製品か消費生活センター様から来ているかというところを3年間見させていただいたグラフでございます。大変申し訳ありません。何かグラフがちょっと崩れてしまって見にくいと思いますが、ご勘弁ください。電気関係の製品が全体の5割を占める。あと台所用品、燃焼器具、家具・住宅、身のまわり品という形で7~8%オーダーで、大体3年間、そういう形で推移しているというグラフでございます。
次の12ページは、電気用品とは何かとか、繊維製品とは何かという分類したものの個別の参考事例でございますので、後でお読みいただければよろしいかと思います。ここは飛ばさせていただきます。
次、13ページでございます。13ページは事故の通知した内容として、何か内容的な違いが全体に対してあるかということで調べたものでございます。左のグラフが消費生活センターでございますが、どちらかというと、ヒヤリハット系の事故の報告が多うございます。ここの黄色で書いてある2009年の18.9%、2008年の11.3%は全くけがはございません。ただ、ひやっとしたというような情報がNITEに入って来ているという情報でございます。全体の右側のグラフと比べますと、10%ぐらい高くなっているというところの比較図でございます。
次、14ページをお願いいたします。ここは御質問があった観点で書かせていただきましたが、費用については、テストをしたからいくら払えとか、そういう観点でのものではございません。先ほど申しましたように、NITEはいろいろ皆様からデータを提供いただいて、それでもって行政に反映していくという仕事をしているところでございまして、それが使命となってございます。したがいまして、費用負担は一切求めることはございません。
ここに(注)で1つ書いてございますが、私ども「安全」というキーワードの中での情報収集、そしてそれの原因分析、そして行政反映とやっていることでございまして、クリーニング苦情、例えば色が落ちたとか、縮んだですとか、もっと極端な例をいえば、サッカーボールでガラスにぶち当たってしまったと。そのガラスが割れて、そのガラスでけがをしてしまったと、こういうものは製品事故としての範囲に入っておりませんので対象外とさせていただいております。
あと一つ、お時間をいただいて申し訳ありません。ここで先ほど事務局のほうから、クリーニングのやつでNITEに相談がいっぱい入っているという結果が出てございましたが、これは長い歴史の中で、うちにそういう知見があるということで御相談があって、それに対してアドバイスをさせていただいたことが載っているのだと思います。したがいまして、NITEとしての本来業務としてやっているものではございませんので、ひとつ御理解をいただきたいと思っております。
 15ページをお願いします。皆様からいただいた事故情報、いただいてから、どのくらいで結果を出していくのかというところでございますが、毎年毎年努力して迅速に済ませようと、頑張ろうとしております。実績としまして、ここに括弧で書かせていただきましたが、平成20年度は1件当たり平均的に103日かかってございましたが、平成21年度実績は、努力した結果として74日で大体できたというところでございます。また、できるだけ3か月以内で我々の結果を出そうということで日々努力をしているところでございます。
 次に結果の報告でございます。これは先ほど申しましたように、我々結果を出したら、ホームページにそれを公表するという考え方でやってございます。ただし、消費生活センターの皆様から、業務上もう少し詳しい情報がいただきたいというお申し出があれば、その結果と同時に我々がとったテストデータというんですか、分析データ並びに、例えば写真、電子顕微鏡の写真等々を御提供させていただいているところでございます。
 最後、NITEの今後の課題、消費生活センターとの連携の観点でございますが、先ほども北海道の先生がおっしゃっていたように、再発防止という観点で、今中心になっていますが、今後は未然防止、いわゆるヒヤリハットから、いかに重大事故になる前に防止してしまうかというところに注力を注いでいこうと、そう思ってございます。そういう関係につきましては、消費生活センターの皆様からの、先ほど申しましたようなヒヤリハット情報、これをNITEに御提供いただくことを非常に願っているところであり、また全国展開の中で、そういう連携・強化をしていきたい、そう思っております。
 以上でございます。

○片山座長 ありがとうございました。
 それでは、最後に事務局から、地方における商品テストのあり方、人材の確保に関する論点について御説明をください。

○齋藤審議官 事務局でございます。時間もありますので手短に御説明いたします。
 論点1でございますが、「地方消費者行政における商品テストの位置づけ」ということで、(1)にありますのは、人材とか施設の問題等ございますけれども、地方においても技術的な問題への対応力というものが必要ではないか。そのためには技術的な問題を理解して、具体的な事案に適応できるような体制が必要ではないか。大ざっぱに言うとそういう問題意識が1つあるのではないかと思います。
 (2)では、施設、人材面で制約がある地方において、商品テストを行う意義というところはどういうところに求められるのか。考えられるものとして、マル1にありますのは、自らやったほうが迅速にできる。マル2として地方の実情に応じた調査ができる。マル3として、住民向けの啓発活動という意味では地方でやる意義があるといったことが挙げられるかと思います。
 (3)では、施設、人材面での制約を考えますと、地方公共団体内部の資源の共同活用や地方公共団体の間の協力といったものを進める必要があるのではないかと考えられます。県を越えたブロックという単位で考えるということもあり得るのではないか。
 (4)でございますが、国としては、地方で行われている商品テスト、もうやらないと言っているところもございますが、そういうところも含め、どのように位置づけて考えていったらいいのか。そういう中で国民生活センターというのはどういう役割を果たすべきか。また、ただいま御説明ありましたが、NITEという機関は原因究明機関ということでいろんな調査をされておられますが、そういった機関との役割分担をどのように考えていくべきか。
 それから、論点2でございますが、「人材の確保、育成」という観点でございます。
(1)に挙げておりますのは、技術がわかる人材が必要ではないだろうか。そのために、消費者行政の閉じた中でとらえるのではなくて、広く地方公共団体の内部、他の地方公共団体も含め広く人事的な対応を考える必要があるのではないか。
 (2)は、広く考えるにしても、消費者行政に特有、あるいは頻発する問題もありますので、そういう知識やノウハウといったものを蓄積し、それを効果的に研修で身につけていただくと、そういうことも考える必要があるのではないか。
 論点3は、「各機関の連携、情報共有」ということでございまして、(1)は総論的ではありますが、テスト施設を有する各機関の間の連携やテスト結果の共有ということをどのようにつくり上げていくか。これは国レベルでもあり得ますし、地方レベルでもあり得ることかと思いますが、そういうことをどのように考えていくか。
 (2)は、特に国民生活センターは、この後の資料にもつけておりますけれども、商品テストに係る中核的機関としての役割が期待されておりますが、そういう中で、テスト機関のデータベース化、テスト結果の共有といったような形で商品テスト機関のネットワークを一層強化していくといった方向での努力が必要ではないかといったことでございます。
 あと資料として、資料7-2では、これは具体的な声ということで、消費者委員会事務局が昨年に行いました調査の中で出てきた声を拾い上げたものでございます。例えば一番上にありますのは、「商品テストについて、県がどこまで対応したらいいのか判然としない。国としての指針を示してほしい」といったような声が聞こえております。
 資料7-3は、国会における議論、論点に関連して、どんな議論があったかということを紹介したものでございます。中身の御説明は省略させていただきます。
 以上でございます。

○片山座長 ありがとうございました。
 それでは、以上、皆さん方に御説明いただきましたけれども、これに対して御質問や御意見のある方は御発言をお願いしたいと思います。御発言は簡潔にお願いいたします。いかがでしょうか。

○馬場委員 馬場です。商品テストなどをされる場合に、先ほどの話にあったのは、地方の関心事とかPIO-NETでの情報ということですけれども、例えばそういう消費者トラブルが全国でこういう情報が入っているから、これをテストしますとか、新しい分野の商品が出たから、こういうテストをしますという、規程といいますか、それをどこがどう分担しているというのは、今あるのでしょうか。

○片山座長 これはどなたかわかる方、おられますか。というか、現場で何かそういうことありますか。自分のところではこういうふうに仕分けしているとか。もし何か御所見がありましたら。

○橋本会長 北海道におきましては、職員と商品テスト室のほうで、先ほど地デジのチューナーのテストというふうにやっておりますけれども、そのときに試買テストの場合は、みんなで相談して、何が必要なのか。また新製品で必要なものはテストしましょうということで内部でいろいろ話し合った結果、つくっておりまして、基準といったものは特には持っていないと思います。後でもしありましたら、持ち帰りまして、こういう基準あるんだよということであればお示ししますが、大体はテスト室の職員だけではなく、全体の職員で話し合ってやっております。

○柳橋商品テスト部長 国民生活センターの場合は情報提供規程というのがございまして、PIO-NET情報が主になりますけれども、苦情相談、事故情報を分析いたしまして、その結果から重大事故が発生している。あるいは相談が急増しているというようなざっくりとした話ですけれども、そういうようなものが見られれば、テストにつなげていくというふうにやっております。また、実際のテスト依頼も受け付けてやっていますと、同じ案件があちらのセンター、こちらのセンターから複数寄せられて、これは相談窓口で問題になっているのだなというような場合は、そういうものをテーマとして取り上げてテストするというような形でやる場合もございます。

○馬場委員 テストのときに非常に難しいと思うのは、組み合わせなども関係する。先ほど洗濯機だったら、組み合わせというと、洗剤と衣類の材質とか洗濯機と、そういう関連するところを、今回は今日の結果も見せていただいていたんですけれども、原因不明というのが結構多いのです。そういう情報をうまくクロスしていけば、せっかくいろいろな情報を持っておられるのだから、今回はそういうテーマがあったら、そこで情報をクロス集計していければ、もう少しテストも効率よくできるし、結果も見えやすくなるのではないかと考えていましたので、お尋ねしました。

○野毛班長 試買テストの関係につきましては、今年度何をやるかということは国民生活センターさんのほうへ報告を、地方ではしております。

○片山座長 ほかにいかがでしょうか。

○圓山委員 圓山です。北海道さんと静岡県さんにお尋ねしたいのですが、最初の事務局の報告にあったように、全国の都道府県や政令都市で商品テストの職員が0になったり、1人になったりと縮小している中で、生き残っておられて、頑張っていらっしゃるので、それはすごい、と思うんです。それを前提にお尋ねしたいのですけれども、商品テストのいろんな分野があります。
 私の資料の8のところに表にしています。経済産業省の所管物資はNITEに出せばやっていただけるのですが、それ以外のもの、食品、自動車、住宅、医薬品、化粧品等はNITEの所管外なので国でやってもらうところはないように思うのです。静岡県さんには、テストの職員がお二人いらっしゃって、薬剤師さんが食品中心でやっていらっしゃるということなのですが、それ以外のテストはどこに出しているのか、あるいは受け皿があるのか、ないのかをお尋ねしたいと思います。
 それから、北海道さんには、テストの職員が5人いらっしゃって、多分いろんな専門分野をお持ちだと思うんですね。さっきご発表の中で、専門が1人:1分野なので、ちょっと不安なところがあって、他の地域との連携とか研修があればよいという御発言があったと思いますけれども、具体的などういった手だてがあればよいのかという点をお尋ねしたいと思います。

○片山座長 いかがでしょうか。

○野毛班長 静岡県です。今の圓山委員の御質問ですが、やはりうちの県、食品に特化しているものですから、それ以外の分野の持ち込みがあったときには非常に対応に苦慮しております。県には工業試験場というのがございます。どこの県にもあると思います。工業試験場というのは都道府県によって、その地区の産業等を反映したものであると思いますので、うちの県の場合は、浜松に繊維関係、あと富士に製紙・紙、東部のほうはバイオ関係の工業試験場があります。それらの協力を得ることもありますが、それで対応できないものに関しては、国民生活センターさんですとか、NITEさんのほうにお願いをしております。

○橋本会長 北海道です。衣分野、食分野、住分野といっても、家電製品、先ほど家電の相談が多いというようなことで、その分野に大体中心になるものが1人いますけれども、商品テスト室の中では、分野は決まっていますけれども、テスト室の中でそれぞれ相談とかはするわけです。ですから活性化基金の中でもうちょっと技術力を上げたいといったときには、NITEさんにも研修をお願いしたりとか、できるようになったので、非常に技術面を高めるという点では、そういう技術の高いところに研修に行けるような、そういう仕組をつくっていただけるといいなと感じております。

○片山座長 いいですか。

○圓山委員 補足でお尋ねしたいのですけど、テストの職員の方に理系の学会に入っておられて、学会発表を聞きに行っていらっしゃるとか、あるいは技術系の大学に一定期間、国内留学や長期研修に行きたいとか、そういうニーズというのはおありになりますか。

○橋本会長 テスト室の職員を採用するときには、最近の例なんですけれども、ちょっと学部は忘れましたけれども、そういう理工系の方を新卒で採用したという点はあるんですが、その後は、なかなか自分たちの予算の範囲で人を育てるというのがちょっと難しくて、最近で職員を採用したときには、既に民間である程度の技術を身につけた方を面接で採用したという経緯はあります。ここにありますように、ガスクロマトとか、液クロマトとか、そういったものがきちんとできるということを前提に採用したという点がありまして、なかなか一から育てるというのは地方では難しく、採用のときにどうしてもそういう民間である程度積んできた方というふうになってしまいます。

○野毛班長 私どもの県では、この環境衛生研究所にいる2名は、県の薬剤師という職種で採用しております。ですので、この2人がずっと生活科学部門のことをやっているというわけではなくて、何年かの人事のローテーションが県の組織の中でありますので、主に厚生部関係で異動をしております。その中で当然ながら薬学部や獣医学部の方資格を持っている方を採用しておりますので、その点、民間からの採用はないんですけれども、人事ローテーションの中で、違う分野を経験して、また生活科学に戻ってくるというような形のローテーションを行っております。

○片山座長 いかがでしょうか。

○池本弁護士 池本でございます。国民生活センターとNITEへそれぞれ質問をさせていただきます。まず国民生活センターに対してですが、先ほど御紹介いただいた資料5-1のほうがよろしいですか、これは2008年度ですから、消費生活センターの苦情について、右端でいうと、64件が国センでテストを実施されたということ、2009年だと、これが81件になるところですが、他方で、要望があったけれども、実施できなかったものが、これは資料5-2で、2008年度で見ますと、167件中64件、2009年でいうと、208件中81件となっております。この実施できなかった差引きの部分、2008年でいうと103件、2009年でいうと120件ほどになりますが、これは資料5-1のような分野別で割り振ると、どの分野が何件というようなデータとして出るのでしょうか。
 その質問の趣旨は、資料5-1を見ますと、センターでは比較的多数発生している、地方では実施しているクリーニング、あるいはそれに関する被服品という左から3番目とか、このあたりは国センではそれほどやっておられない。それ以外の住居品とか、それ以外のものはかなりまんべんなく実施しておられるのですが、これは何か国民生活センターと都道府県で国センなりの役割分担のイメージをお持ちで、この部分は特に体制をとってないというようなことがあるのかどうかということに絡んで質問したいところです。そして、要請があったけれども、断っているというのが、本来国センでやるべき対象と考えているけれども、体制が不十分でできないのか、それとも、それは都道府県でやってほしい、あるいは他へ委託してほしいという一定の役割分担の枠の中で実施されてないのか、そのあたりの仕分けがどうかという点をお伺いしたい点です。
質問をまとめて、NITEに対しての質問です。資料6-1で、10ページのところに、消費生活センターから845件の情報が寄せられているということ。そういったものについて、必ずしも製品の事故原因の究明だけではない、品質も含めてアドバイスを含めていろいろ対応しておられるという説明があったのですが、その消費生活センターから上がってきたものの分野別の数字の割りつけというものがデータとして整理可能なのでしょうか。例えば先ほどの資料5-1のような、国民生活センターが分野別に区分けしておられるように、今、この場でということではありません。それぞれ資料として、準備可能かどうかということをお伺いしたい点が1点。
それから、もう一点は、これはやや漠とした話なのですが、いくかの消費生活センター、相談員から聞くときに、NITEで受けていただいて、その回答を出してもらうと、苦情処理をする上で責任分担をどう考えるかというときに、原因が不明であるとか、かなり淡白な回答というんですか、そういうものが多いんですということを複数のセンター、相談員から聞いているんです。これはNITEで行っておられるような、製品の改善とか、こういう面での原因究明の作風と消費生活センターでの苦情処理における原因の所在を究明するもので何か違いがあるのか。それともあっさりとした回答であるという認識自体、そうではないのだと、これがすべてだということなのかということも含めて、もしおわかりであれば教えていただきたい。
それぞれよろしくお願いします。

○片山座長 それでは順次お願いします。

○柳橋商品テスト部長 まず1点目の実施しなかったものの分類ですけれども、申し訳ないんですけど、これは分析しておりませんが、大体実施したものの分類と似たようなものなのではないかと思います。
 それから、クリーニングの点なのですけれども、これは基本的に役務に相当するもの。クリーニングに出してどうなったかという、クリーニング技術であるとか、その辺のところをなかなか原因究明というのは役務に相当する部分ですので、基本的に国民生活センターではそういうものはお受けしていませんので、各地のセンターさんもその辺は御理解いただいているというふうに理解しております。ただ、繊維製品そのものに問題がありそうなクリーニングではなくて、衣料品そのものに問題があるような内容のものについてはお受けして実施しております。
あと、消センと国センの棲み分けと役割分担のところでございますけれども、先ほどもちょっとお話しましたけれども、現状は可能なものはすべてやるような方向でやっておりますけれども、2008年時点では、先ほどの受付基準の中で優先順位を書きましたけれども、これにのっとって、人的にもかなり難しいと、人手不足だというようなことで実施できなかったとご理解いただきたいと思います。
以上でございます。

○山本所長 NITEのほうから、NITEに対する質問についてお答えします。先ほど845件のそれが、国センさんみたいに電化製品がどれだけとかというお問いだろうと思うんですが、11ページをご覧いただけませんでしょうか。この表が崩れてしまっているので、ちょっと見にくいと思うんですが、左下の表を見ていただきますと、「2009」の下の家庭用電気製品、448、台所60件、こういう分類になって、合計値が845件。こういう我々の世界では、この11の区分で分類しておりまして、今日この形で御提示させていただいておるところでございます。
 また電化製品、今度は冷蔵庫とかテレビだとか、細かくしなさいということであれば、ちょっとお時間をいただかないと、今日は持ち合わせておりません。
 それから、もう一点、品質性能については一切件数には含まれてございません。先ほど申しましたように、安全にかかわる危害情報であったり、危険情報、そういうものの数として、今日お答えしている数はすべてそういうものです。
 次にNITEの回答があっさりしすぎているというようなお話とか不明が多いというようなお話がちょっとあったのですが、当然我々一生懸命原因究明をしておりまして、今、ここに資料は持ってきてないのですが、私の頭の中の数字なのですが、3年間で約1万2,000件くらいを分析しているわけですが、トータル的に申しますと、約四十数%が製品に起因する事故として判定をしています。それから、27~28%が、誤使用、不注意という判定をしております。そのほか、残り十数%で原因不明というのが出ております。ただ、それが消費生活センター様から来ているものが、そこが非常に多いのかという分析は今持ち合わせてございませんが、そんなことはないだろうと今思ってございます。
 それから、もう一つ、先ほど言いましたように、我々事故情報があったことを、皆様から通知をいただいている、教えていただいている。そしてそれを分析して、再発防止や未然防止につなげるという形で行政のほうに反映していくという形で、結果はホームページのデータベース上で、こういう事故がいつあって、その結果として、こういう結果でしたということを簡単明瞭に公表していると。それが消費生活センターさんのほうの回答としてのものにもなっている。したがって、そういう意味では物足りないとか、そういうお話がきっとあろうかと思います。ただ、要請があれば、先ほど申しましたように、NITEが行ったテストについてのファクトデータは御提供させていただいております。
 以上でございます。

○池本弁護士 実は11ページを先ほど説明いただいたときに、クリーニングに関する件数が全然入ってないので、また別のデータがあるのかなというイメージで、そこを確認したかったのですが、製品の事故原因究明そのものではないので、そもそもデータに入っていないという御説明で、そこは理解しました。そうするとそれは実際の数値としては概ねどのくらい、これ以外であるのでしょうか。

○山本所長 すみません、一切実績としては、NITEの実績になっておりません。いわゆる地域との連携の世界で、我々の持っている知見が、要するに消費生活センターの皆様方にお役に立てる場ということで助言というような形でさせていただいている事業でございます。

○池本弁護士 数字も特にとっていないですか。

○山本所長 特にとってございません。

○橋本会長 クリーニングについて、相談現場のことをお話しさせていただきますが、うちのテスト部の実施状況も非常に少ないのですが、これは言われたものをすべてテストするとかなりの数になるのですが、相談ですので、まずはクリーニング店のほうに、どうしてこうなったか、原因究明をきちんとしてくださいとお願いしています。その上で、その報告に納得ができないとか、それから、その内容が先ほどもありましたけれども、理解できないので教えてほしいといったようなときに改めてテストをしたり、技術相談という形で行っておりますので、地方においては、どちらかというと、クリーニング店のほうに、立証責任をお願いしているという部分が多いので、少ないと思っております。

○斎藤委員 質問がまず2つありまして、その後、論点について意見を手短に申したいと思います。質問は北海道の橋本様と静岡県の野毛様に1つずつで、いずれも独自に商品テストを行うときに、まず、やるかどうかの基準といいますか、馬場委員の質問にも重なります。それから調べた後の発信先なんですね。北海道については、具体的に地デジの調査を行われたと。地デジのチューナーについて、従来そういう商品テストがほかで行われてないというようなデータはどういうふうに得られるのかというもとの話ですね。行き先の話で、テスト結果について、主として発信先は、今日お持ちいただいていますが、道内のそういう情報誌というところが中心なのか、それとも国民生活センターに上げて、その後、それが何か活用されたというようなことはフォローアップしておられるのかということですね。
 静岡県のほうは、試買テストについては、情報誌を2,000部作成し配布しておられるということがわかりますが、苦情テストのほう、例えば烏龍茶の成分調査をなさったと。そうするとその烏龍茶に何か変なものが入っているかもしれないというのは別に静岡県にとどまらず私も興味があるところですが、苦情テストのほうの結果についてはどういうふうに活かせておられるのか、その2つです。お願いいたします。

○橋本会長 試買テストということでよろしいんですね。

○斎藤委員 はい。

○橋本会長 これに関しましては、国民生活センターと、先ほど静岡から話がありましたけれども、今年はこういうものをしていきたいというような、そういうものを挙げておりますので、重なるということはそんなにないと思っております。そのデータについては、国民生活センター等にも報告をしていて、中には『国民生活』という雑誌に取り上げていただいたりということで、結構いろんな地域の商品テストの結果が載っていたりとかしますので、それは全国的に共有できているのかなというふうに思っております。
 先ほど座長さんのほうから、独自のテストもしていますよね、というようなお話をいただいて、そのお話してなかったのですけれども、北海道においては、衣類とか、寒冷地向けのものとか、そういった地方色のあるものもいろいろとテストしておりますので、そういったものに関しては道内のほとんどの地域に、先ほどの機関誌を送ることによって、道民の方にもいろいろと情報提供しているということもありますし、もちろんホームページも持っておりますので、そういったことで情報提供はしております。
 以上です。

○斎藤委員 ありがとうございます。

○野毛班長 静岡県ですが、試買テストの結果につきましては、先ほどの資料、説明あったように、情報誌を発行しているのですけれども、当然ながら県内マスコミ等にも提供しております。今までの例で申し上げますと、例えば冷凍食品や菓子の脂質、チョコを食生活に取り入れるなんていうものにつきましては、平成21年度は県内の新聞に4件掲載され、あとテレビですとか雑誌等にも取り上げられております。それが全国紙かどうかというと、それは別でございます。県内の新聞、県内のテレビということで、県民の方に情報提供をしております。
 苦情テストの結果につきましては、先ほど委員がおっしゃった烏龍茶なのですが、この烏龍茶ティーバックに関しましては、JAS違反ということで公表いたしました。それ以外の検査につきましては、消費生活センターを通し、消費相談の結果に反映されているということでございます。
 苦情テストにつきましては、私どもの県の場合は、そのテストの相談、公益性が認められるかどうかというところをかなり判断の基準にしております。被害の未然防止ですとか、拡大防止につながるようなものに関して苦情テストを実施しておるところでございます。あまり公益性が認められないものに関しましては、民間のテスト機関等を紹介することによって対応しております。

○山口委員 静岡県に質問なんですが、ほかの県から検査の委嘱があるのかどうか。過去2~3年で。

○野毛班長 ございません。

○斎藤委員 資料7-1の論点に即して少し意見を申し述べたいと思います。今の北海道、静岡県それぞれいろいろ工夫なさってやっておられるのはわかるのですが、論点1の(2)、制約がある地方でどうするか。マル1~マル3挙げておられますが、マル2やマル3というのはリソースが無限にあるのであれば、そういった啓発活動もやるべきでしょうが、限られているわけですから、一番重要なのはマル1だと思います。マル1について相談で原因究明が大事であると。これはたしか池本オブザーバーが意見の中で強調されておられましたが、ただ、現場で原因究明全部できるかというとできないものもかなりあるはずですよね。国でも素人目で見ると簡単じゃないかと思われるこんにゃく何とかとか延々とやっておられるわけですね、どういう対応をとるのかについて。
 そうであるとすると地方で原因究明でワンストップでできるものはおのずと限られるのではないかという論点があろうかと思います。例えば、その地域でしかつくられていないとか、その地域でしか使われていない。あるいはその地域に非常に特殊な経験なり蓄積があるといったようなものであれば、それに特化するということではないかと考えます。そうでないものについては、論点(3)の地方公共団体間の協力を進めるということが1つ考えられると思います。例えばA、B、Cという3つの県があるとして、A県ではこういった調査に食品のこういうものにある程度重点を置きましょうと。Bについては食品以外にしましょうと。これは恐らく法の形式面ではいろいろな、何度か既に申しましたが、組織の施設の共同設置でありますとか、事務の委託とか、いろいろな形式がありますから、住民の納得が得られれば、そういったものが利用可能ではないかと考えます。
 国のほうでどう考えるか。これは圓山委員が意見の中で、国の出先的なものをつくるというのも1つ考えられるという趣旨のことを述べられておりますが、これは地方で既にあるものを共同利用するというのを比べますと、今、全体の方向としては、国の出先というのはできるだけ廃止したり、統合したりという方向ですから、これはあまり積極的に考えるべきではないのではないか。既に役割分担してやっておられるNITEや国民生活センターの全体の組織、どこで何が起きても、そこに行けば解決できるというものを強化するというのはわかりますが、あえて国のブロック機関をつくるということについては、私は賛成いたしかねます。
 以上です。

○片山座長 今の斎藤委員の論点についての問題提起に関連してですが、ちょっと御質問したいのですけど、北海道の場合には指定管理者制度ですよね。そうしますと、競合する中から選ばれたんですか。それとも随意契約ですか。

○橋本会長 指定管理者ですので、入札いたしましたが、たまたまうちの協会しかなかったということです。

○片山座長 他に応募がなかったのですか。

○橋本会長 はい。

○片山座長 そのときに、指定管理の場合には、発注者のほうから仕様書といいますか、発注の仕様が出てきますよね。その中では、指定管理者として業務を受託した場合には、どの範囲を、どういうことをやるということが出てきますよね。そのときに、さっき斎藤委員が言われたような、例えば北海道の地域特性に特化するとか、それとも全部包括的に受けるのだとか、何かそういうことが書いてあるんですか。

○橋本会長 すみません、細かいところは資料を持ってきていませんので、後ほどお答えするということでよろしいでしょうか。

○片山座長 はい、結構です。もし何か、いわばミッションですよね。どういうことをやってもらいたいかということがあるのであれば、それでかなり特化というか、限定されるのですが、ひょっとして、このお金の範囲内でやれとか、何でもいいからやれというのだと、ミッションが非常にあいまいになってしまうんですね。その辺が興味あるので伺ったわけで、多分わかると思いますから、どういう書きぶりかというのは、事務局のほうにお届けいただければと思います。要するに発注者側の仕様ですね。こういう条件で受けてくれますかという、その条件、書きぶりが知りたいということですね。

○橋本会長 わかりました。

○片山座長 静岡県の場合には、予算のときに決めますよね、業務は。そのときにある程度方向づけとか枠づけとかありますか。それとももう人間の人件費と一定の枠内の事務費みたいなものになっているのでしょうか。

○野毛班長 商品テスト部門に関して申し上げますと、人件費部分は職員ですので、職員の人件費として当然ながら計上されております。検査に関しましては、環境衛生科学研究所に消費の部門として、来年度どれくらいの試薬ですとか、そういったものが必要かということを聞いて予算を取っています。万が一、たくさん出てきて足りないというような場合は当然ながら補正を組むなり、もしくは環境衛生科学研究所の運営費の分をちょっと借りて、後で補正するという格好になります。一定の枠の中で機械的にはやってはおりません。

○片山座長 その際に、基本的には何でも受けなさいということですか。それともこういう分野を重点的に受けなさいと。残余のものはやめておけとか、そういう財政当局からの仕分けというのはあるんですか。

○野毛班長 財政当局からの仕分けはございませんが、私どもの県では食品の部門に特化しておりますので、それ以外のものについては検査がなかなかできないものですから、食品の関係については最優先にやっております。

○片山座長 そういう合意があるわけですか、本庁というか、中枢のところから。

○野毛班長 そうですね。環境衛生科学研究所は、先ほどの資料にありましたように、環境の部門ですとか、食品、いわゆる厚生労働省部分とございます。ですので、その辺はすべて統合しておりますので、庁内の財政部局も当然ながら、ある程度の棲み分けをしております。

○圓山委員 さっき斎藤委員から出た御意見がありますので、少し反論も含めて、私の御提案を申し上げたいと思います。
 資料8に書いております。都道府県や政令指定都市が合わせて65あるわけですが、最初の調査報告にあるように、商品テストの職員がいなくなってしまったのが25、1人になったのが18という形で、6割はゼロワン地域になっています。今日来ていらっしゃる北海道、静岡県は優等生ですが、ほかはそういう状態になっていると思われます。
 結論から申しますと、都道府県・政令市でできる商品テストはクリーニングの鑑定と、もう一つは、最初の報告の区分で言えば「普及・啓発テスト」、理科の実験室みたいなところで簡単な着色料とか甘味料等のテストを消費者の方に試していただくという2つに限られるのではないかと思われます。過去は東京、神奈川、大阪など、結構立派な商品テスト室を持っていたわけです。それが削減に次ぐ削減ということで、県のレベルでも商品テスト室をなくしてしまったり、分析機器類を捨ててしまったところが続出しているわけですね。その理由の一部には財政難はありますけれども、非常に非効率で維持をするのが大変だということですね。分析機器を購入しても、翌年その分析機器の射程に見合った苦情が入って来るとは限らない、入って来なければ、買った機器が遊んでしまう。あるいは買ったけれども、その機器から少し外れたところの苦情が入ってくると対応できないという形で大変効率が悪くて、実績がなかなか出ないということで、機器は買わない。機器を買わなかったら人も要らない、という形で縮小していった悪循環のメカニズムだと思われます。
 それにテストの職員は1人いればいいというわけではなくて、食品、繊維、機械、化学、電気、建築など各分野の職員がいて、各分野の機器がないとできない。それをフルセットで維持するのは大変です。国民生活センターはかなりの予算をかけて、21人職員がいらっしゃるという御説明でしたので、備えていらっしゃいますが、国民生活センターの規模のものを47か所都道府県に置いても仕事がないために、縮小の傾向になっているのだと思われます。
 その中で、唯一クリーニングについては、商品テストの職員が1人だけ残っていらっしゃる県についてはほとんど繊維が専門分野の方だと思いますので、クリーニング苦情品を見て、拡大鏡や顕微鏡で見て、少し試薬を使って鑑定をしている。なので、クリーニングのテスト依頼は国民生活センターにしなくてもよい。テストの職員がゼロの県はそれもできませんので、NITEは以前、通産検査所という組織で、繊維専門の職員が多くいらっしゃる経緯があって、それを地域の者は皆知っていますので、NITEに業務外で尋ねれば教えてもらえる、そういう事実上のウラの方法で知見を得て苦情処理をしているということだと思います。
 ですから、この状態で都道府県の商品テストを復活するといっても、フルセットで置きなさい、は無理です。それから、共同利用といっても、過去に買った機器は捨てているか、テスト室の中でほこりをかぶっていますから、使える機器はほとんどない。最近精密な分析機器を買っているのは十数県にとどまって、残りの五十数か所は機器を買ってない状態ですから、共同利用ということもしにくい。
 そうなると、新規まき直しで、いかに地方に拠点をつくっていくかという発想を私はとるべきだと思います。都道府県単位ではせっかく買った機器が活かせない、今までの失敗例があるわけなので、全国各ブロック別ぐらいのところに力強い商品テスト拠点を置く。それは何も新しく建物を建てなくても、既に空き部屋や廃墟になっている都道府県のテスト室をきれいにして、そこに機器集めて、それが使える人を駐在させる、場合によってはNITEの各支所がありますので、そこの一部をお借りするということもいいかもしれません。国のブロック機関が増殖するような形ではなくして、うまく工夫をしてブロック別の拠点の集約化ということができれば。ブロックごとにありましたら、今、例えば九州から国民生活センターに商品テストの「物」を送るとか、北海道から「物」を一緒に持っていくというのは大変難しいと思いますが、各ブロックの拠点でしたら、「物」も持って行きやすいですし、それから何よりもブロック拠点にいる技術の職員と、それから都道府県、市町村の職員や相談員は顔の見える関係になると思いますので、大変相談も持ちかけやすいということになると私は思います。
 という形で、商品テストの種類を分けて、都道府県・政令市で無理な商品テストについては、各ブロックに拠点集約化するという形で新しく出発するという形の御提案を申し上げたいと思います。

○池本弁護士 池本です。今の圓山委員の提案よりは、もう少し将来像も含めて自治体独自のテスト機能も強化すべきだという方向で、しかし現実論を踏まえて発言したいと思います。
 資料9の、時間がありませんので、3ページ目だけ開いていただければ十分なのですが実は今日の紹介の中で、本当はこういうデータも出しておいていただきたかったというのを、議論した中で思ったのですが、過去10年ほどを見て、消費者行政の予算や人員はそれぞれ3割とか4割減っておりますが、商品テスト部門の予算、人員は半減どころではない、もっと崩壊状態に減っているという事実を確認しておく必要があると思います。できれば、また資料を補充するなりして確認していただく必要があるのだろうと思います。
 そこには、先ほど圓山委員からも発言がありましたように、各都道府県が、だからといって、あらゆるテスト機器を揃えてというのは莫大な費用がかかるし、非効率になってしまうという事実が現実にある。特に製品がますます高度化していけばいくほど、それが顕著になっていくのだろうと思います。
 そういった中で、しかしいくつかの自治体では、テスト機器はまだ辛うじて維持していますし、今回の基金のような形で支援があれば、本当は設置して独自テストをやりたいという現場の声もあるわけです。何よりも複数の消費生活センターあるいは相談員から声を聞くと、苦情処理で問題点を解明していく、肉薄していくのと、それから外部へ依頼して、返ってきた回答で、どうしてももどかしいところがあるという意味では、消費者相談における紛争解決の中で、そういう問題意識でのテストという観点でやってくれるところをぜひ確保してほしいという意見です。もちろんそれの最先端は国センであるべきだと思いますし、したがって、国センの人員やテスト関係の予算はもっともっと拡充してほしいのですが、すべて国センが担うということも、これまた不可能です。
 だとすると、3ページの一番上のところですが、現在、各自治体でどういう機器を備え、どう使っていて、まだ使える余力があるのかどうか。あれば、それを自治体相互で融通し合う、依頼する。場合によっては費用負担も取り決めておいて、そこをどんどん積極的に使えるというルールがあっていいのではないか。
 それは(4)下のアンダーラインのところですが、平成20年3月24日の国民生活審議会の報告書の中で、「国センが全国の関係機関のテストの実施状況についてデータベースを作成」する。この関係機関は、地方自治体だけではなくて、政府関係の機関も含む趣旨です。そして「重大事故の原因究明等、センターが重要と判断したテストが、他の機関において優先的に実施されるような制度の構築」が求められるというような提言がありました。
その意味では、すべての機器を国センにとか、すべての機器を自治体にということは現実的ではないですが、この問題はあそこが強い、この問題はあそこが強い。ちょうどNITEの御報告いただいた中で、NITEの全国のいくつかの拠点で、燃焼問題に強いところとか、この問題の強いところという仕分けをしておられるようなことを、全国の都道府県及び国センで、都道府県でどこかを拠点にできそうなところ、それから国センでここはもっと重点的にやっていくと、そういうふうにして、総体として相談の現場で紛争解決のために原因究明してほしいというものをできるだけ多く酌み取っていけるということが必要ではないか。
その意味で言うと、資料10で、国府委員が、実は今日風邪でダウンして、どうしても出席できないので、お昼に彼から連絡があって、ぜひ、これも参考にしてほしいという委員へのメッセージがありました。その一番最後のところでも、この論点はもっともっと具体的な、こういうテストが十分酌み取ってもらってないのだとか、あるいはこれがもっともっとやってほしい問題がある。あるいはどこが、どこまでできて、どの機関だったら、まだ余力があるとか、そういう実態をもう少し把握した上で方向づける。そうすると、この調査会で最終結論を出すというよりは、国として、この消費者委員会になるのか、消費者庁になるのか、あるいは国センの中で体制をつくるのかは選択肢はあろうかと思うんですが、商品テストのあり方をそういう実態と新たな機器の導入で、どれだけ費用がかかって、どれだけニーズがあってということをきちんと計画的に進めることが必要ではないだろうかと思います。
以上です。

○片山座長 今の感想とか何かありますか。

○原事務局長 国府委員のペーパーにもありますように、今、この商品テストの部分というのは、実は消費者安全専門調査会というのもございまして、ここが今事故情報の収集・分析、それから公表という論点で今検討を重ねているところなんですが、そこの分析のところとも絡んでくる課題なので、今日は地方消費者行政の視点から検討していただいておりますけれども、新しい消費者安全法も法律もできておりますので、そういった全体の中でどうしていくかの議論は重ねて必要だというふうに事務局としても思っております。

○山口委員 どなたか御存じであれば教えていただきたいのですが、各都道府県にどんな試験テスト機材があるのか。また、各都道府県でどんな検査をしているのか。それから、国民生活センターやNITEやFAMICなどで、今、どんな機材があって、どんなテストをしているのか。いわゆるテスト機関をもし可能であれば、例えば環境衛生調査などの環境テストなどもオーバーラップしてくる部分もあると思うんですが、そこに総合的にどんな機材があって、どんなテストをしているのか、そこら辺を県や国の全体の組織を掌握している団体や組織や機構とか、あるいは役割を担っている組織というのはないんでしょうか。

○片山座長 ないと思いますね。

○佐野委員 今、商品テストということで議論してきているますが、商品テストといってもいろいろあって、原因究明テストであるのか、苦情相談テストであるのか、それとも商品比較テストであるのか、全く違うと思います。ですからそこら辺もきちんと整理しながらいかないと、ただ、商品テストというと、あまりにも漠然としていて、実態と合わないのではないかと思います。

○片山座長 結局、今の行政というのは、法律とか制度、仕組によってかちっと決まって、それに基づいて自治体がやっているということではないので、いわば自然発生的に、住民の皆さんの安全とか安心のためにやっているわけで、実は都道府県が何もやらなくても罰則も何もないんですよね。そこら辺が実は一番の根本なんですね。例えば119番かけて、大変ですから来てください、救急車・消防車といったとき、これは行かなければいけないんですね。うちはその分野は苦手ですからやりませんというわけにはいかないんですね。これはちょっと難しいから、総務省・消防庁に頼みましょうというわけにもいかないんですね。そこは自治体がとにかくやるわけです、下手かどうかはともかくとして。
 この分野というのは、そういう義務化されたものではなくて、よかれと思ってやっているという、そこが基礎にあるものですから、そうすると、うちはこういう分野に得手ているスタッフがいるのでこの分野を重点的にやりましょうとか、場合によっては、このお金のこの範囲内だけやりましょうとか、そういうことになってくるわけですね。例えば消防とか救急がこの範囲内だけでやりますとか、もう予算がありませんからやりませんということはないんですが、自治体の同じ行政の中でも性格が違うんですね。これをどうするかというのは1つよく考えなければいけないと思うんですね。この安全というものを国と自治体とがどういう役割分担をするのか、自治体行政だけではなくて、大きな観点からの整理が一回必要だろうと思いますね。それが1つです。
 それから、もう一つは、さっき山口委員が言われたことに関連するのですが、どこにどういう資源がありますかというのは、多分統計をとれば、各県の消費生活センターにどんな機材がありますかとか、どういう専門家がいますかというのは、多分統計をとればわかると思うんですけれども、自治体が抱えている資源というのはそれに限らないわけです。さっき静岡県のほうで話がありましたけど、工業試験場との連携というのは本当はとれるわけですね。そこはスムースに何か、静岡県の場合にはルール化されたようなものがあるんですか。例えば頼んだらやってくれるとか。

○野毛班長 残念ながら、ルール化、明文化されたものはございません。

○片山座長 職員間で事実上やっているということですか。

○野毛班長 そうですね。私どもの県では職員も人事異動でローテーションがありますので、当然ながら工業試験場の所管している部局に私もいたこともございますし、そういった関係で動いている部分が実情です。

○片山座長 そうですよね。本当は、各県とも工業試験場というのはあるんですね。「産業技術センター」なんていう名前つけているところもありますが、そこは消費生活センターなんかと比べ物にならないぐらいいっぱい資機材を持っているんです。それぞれの分野の研究者もいるわけです。博士課程を出た人がいっぱいいるんですね。
 それから、県によっては、例えば食品加工の産業集積があるところ、静岡もそうでしょうけど、そういうところは、食品加工の研究所もあるわけです。静岡もあるんでしょう。

○野毛班長 はい。研究している部門はあります。

○片山座長 ありますよね。食品加工研究所とか、そういうのがあるんですね。それから、ちょっと離れるかもしれないですけど、農業試験場とか、野菜、果樹の試験場とか、そこにも研究員がいっぱいいるわけです。それから、さっき山口委員も言われた環境なんかは、環境衛生研究所とかそういうのもあるんですね。そうすると、実はガスクロマトグラフィーとか、あのたぐいの機器なんていっぱいあるんですよ。遊んでいるわけではないですけど、時期的には余裕があるところもあるわけですよね、それぞれの機関で。だからそういうところが本当は連携をとれば、かなりのことはできるんです、県の中でも。できないことももちろんあるかもしれませんが、総力を挙げればかなりできるんですね。その連携ができてないんです。ほとんどできてないんですね。
静岡なんかは例外的です。消費生活センターから工業試験場に依頼をするというのは、私も多分例外的だと思いますね。それがうまくいっているというのは。だけど、本当は自治体の中で連携をとって、一定のルールをつくって、気兼ねなく委託というか、依頼できるようにすれば随分力になると思いますね。
もう一つは、ちょっと言いにくいというか、耳が痛い人もいるかもしれないですが、そのたぐいの試験研究機関というのは大体供給者を向いているんですね。供給者支援組織なんですよ。工業試験場とか食品加工研究所も、消費者の安全よりは、どんな技術で、安くて、もうかるものができるか、そういう方向を向いているんですね。だからちょっとスタンスが違うんですね。そこをこういう新しい消費者本位の社会にしなければいけないわけですから、自治体の行政組織自体も、消費者オリエンテッドにしていくというスタンスで変えていってもらいたいというような提言というか、考え方を当調査会でも打ち出すのがいいのではないかと思うんですね。
正直言いまして、今の自治体はほぼ供給者サイドです。ごく例外的に消費生活センターとかがあるんです、ありていに言いますと。ほとんど供給者サイドですから、だからサプライサイドから消費者サイドのほうに切り替えましょうねというような、こういういざないをしてもいいのだろうと思うんですけれども、そういうことも含めて、今、都道府県が持っている、かなり強い資源を持っていますから、それをこの分野に振り向けましょうねというような、そういうこともあってもいいのかなと思うんですね。
それがうまくいきますと、圓山委員が提起されたような問題も、実は都道府県の中で、地域密着型で解決できる。地方自治の世界で解決できる。圓山委員のような考え方もあるんですけれども、結局何かあっさりしていて冷たいとか、出てくるんですよ、国と住民との間では。やっぱり自分たちでやらなければいけないなという声が必ず出てくるんです。国が本当に手厚く予算も人も資機材も全部全面的に投入するということになれば、それは別ですけれど、今の国の台所事情を見てもそれは無理です。そうするとあっさりしすぎていますねとか、木で鼻をくくったようになりますねという、どうしてもしようがない面が出てきて、では自前でやってくださいねということになる。この分野はそういう自然発生型の行政なんです。
そうすると、斎藤委員が言われたように、こういう時代に国のブロック機関というのはいかがでしょうかねということもあるし、しかも地域密着型の行政ですから、もっと都道府県の持てる資源の連携したフル活用というのが1つの方向なのではないかと思いますけれども。
それでは、時間も来ましたので、最後にこれだけは絶対言っておかないと帰れないというような人がおられましたら、どうぞ、熊本へ帰れないですね。

○田中委員 最後に、先ほど佐野委員もおっしゃいましたように、商品テストというのが、今のこの段階では原因究明のためということで被害の救済、あるいは未然の防止ということでとらえられているところは大きな問題ではありますけれども、同時に商品テスト室があるということで、地域の消費者にとっては、その利用によって消費者教育の面も持っているというところも考えていただきたいと思います。
 先ほど斎藤先生も、北海道とか静岡のテスト結果がどのように活かされているかとおっしゃいましたけれども、九州の私も北海道のテスト結果を見たり、静岡県のテスト結果を見て、消費者の相談に答えているという現実がありますし、以前、兵庫県が各県のセンターのテスト、あるいは消費性能に関する学会誌、そういうものも全部データ化されていて、何かこれを調べたいというときは、兵庫県のそこを検索すると、例えば家政学会誌の何号にこれが載っているというところがありまして、それを検索して利用したということもあります。データの共有化というのも、この論点の中に入っておりましたけれども、それをすることによって、今までも利用していましたし、そういう利用が今後もっと広くできるのではないかと思っております。
 以上です。

○片山座長 ありがとうございました。

○圓山委員 次回に向けて、消費者庁にお願いがあります。地方消費者行政推進本部の制度ワーキングの結論がまだ出てないと思いますけれども、その結論がまだでも、ワーキングをなさっている間に浮かび上がってきたハードルとか、克服すべき課題がおありになると思いますので、それをぜひ次回に少し御報告いただければありがたいと思います。

○片山座長 今の御提言は事務局のほうで、位置づけられるかどうか整理してから御相談ください。
 それでは、議題のほうは、これで終わりましたので、事務局のほうから。

≪3.閉会≫

○原事務局長 ありがとうございました。次回の専門調査会は10月22日(金曜日)の午前10時から行う予定にしております。内容としては、これまで本日を含め計6回行ってきた専門調査会の議論の中間整理を行っていただく予定です。併せて沼尾委員から、国が地方に財政的な支援を行う際の地方財政法上の考え方について、これは仮題ですけれども、お話を伺う予定にしております。
 なお、今後のスケジュールのイメージは、資料11を配付させていただいておりますので、御参考にしていただければと思います。
 事務局からは以上です。

○片山座長 ありがとうございました。

○馬場委員 すみません、1つお願いなのですが、第9回に予定されている「基盤・環境の整備」で論点の中に入ってくるのかもわからないのですが、消費者の被害防止、選択する力という消費者教育を1つ論点の中に加えていただけたらと思います。

○原事務局長 十分承知しております。入れるつもりです。

○片山座長 それでは、本日はこれにて閉会させていただきます。お忙しいところ、ありがとうございました。

(以上)