野口英世アフリカ賞ニュースレター 第18号2022年9月発行

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第4回野口英世アフリカ賞 受賞者決定

2022年8月3日、松野 博一内閣官房長官より
第4回野口英世アフリカ賞受賞者が発表されました。

【医学研究分野】

サリム・S・アブドゥル・カリム博士及びカライシャ・アブドゥル・カリム博士
(南アフリカ共和国)

カリム博士夫妻 (共同受賞)
サリム・S・アブドゥル・カリム博士(Dr. Salim S. Abdool Karim)

南アフリカ・エイズ研究プログラム・
センター(CAPRISA)所長
(写真提供:Matthew Henning)

カライシャ・アブドゥル・カリム博士(Dr. Quarraisha Abdool Karim)
CAPRISA次長
ともにクワズル・ナタール大学教授
(写真提供:Rajesh Jantilal)

[受賞理由]
科学的に厳密な研究を通じたHIV/エイズ予防・治療への世界的貢献、アフリカ人研究者の育成において果たした役割、及び新型コロナウイルス感染症対策における確固たる科学的リーダーシップの功績。

【医療活動分野】

ギニア虫症撲滅プログラム(Guinea Worm Eradication Program)

ギニア虫症撲滅プログラム史上2番目のヒト疾患の撲滅を目的とした、カーターセンター主導の下でのアフリカ関係者とのパートナーシップによる国際的なキャンペーン。

(写真提供:カーターセンター /
J. Hahn)

[受賞理由]
カーターセンターの主導の下、アフリカの保健省、地域コミュニティ、非政府組織(NGO)、及び世界保健機関(WHO)や米国疾病予防管理センター(CDC)等の主要パートナー間の協力により、ギニア虫症をほぼ撲滅させた功績。

詳細については、「野口英世アフリカ賞」ホームページをご覧ください。

授賞式(主催:内閣総理大臣)は、令和4年8月27~28日に開催された、
第8回アフリカ開発会議(TICAD 8)(於:チュニジア)の際に実施されました。
詳細については、「第4回野口英世アフリカ賞授賞式」のページをご覧ください。

報道発表と受賞者の業績
【医学研究分野】

サリム・S・アブドゥル・カリム博士及びカライシャ・アブドゥル・
カリム博士
(南アフリカ共和国)

サリム・S・アブドゥル・カリム博士(Dr. Salim S. Abdool Karim)
南アフリカ・エイズ研究プログラム・センター(CAPRISA)所長、米コロンビア大学メールマン公衆衛生大学院CAPRISA教授(国際保健)及びクワズル・ナタール大学副学長代理(研究)。

カライシャ・アブドゥル・カリム博士(Dr. Quarraisha Abdool Karim)
南アフリカ・エイズ研究プログラム・センター(CAPRISA)次長、米コロンビア大学メールマン公衆衛生大学院教授(疫学)及びクワズル・ナタール大学副学長代理(アフリカ保健)。

CAPRISA、米コロンビア大学及びクワズル・ナタール大学(南アフリカ共和国)に所属するサリム・S・アブドゥル・カリム博士及びカライシャ・アブドゥル・カリム博士は、30年以上にわたるアフリカでの画期的な研究と科学的リーダーシップの功績により、第4回野口英世アフリカ賞(医学研究分野)を受賞するに相応しい人物です。この期間、カリム博士夫妻は科学者夫婦として二人三脚で研究に従事し、科学的にも政治的にも厳しい障害を克服しながら、深刻な疾病の研究に取り組んできました。野口英世の精神を体現したカリム博士夫妻の功績は数多くあります。同夫妻は相当な職業的リスクを冒しながらも、エイズを否定し、後ろ向きな政府の政策に立ち向かって、救命のための抗ウイルス治療を行い、女性たちが自分自身を守れるようなHIV予防アプローチを開発したのです。同夫妻は、共同研究機関のHIV研究センターを設立し、国際的な協力パートナーたちとワクチン、免疫病原性研究、消毒薬、抗ウイルス治療の研究に取り組んできました。

彼らは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の大流行について科学的に厳密な研究を続け、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)に対する早期警戒を始めるとともに、証拠に基づく予防の促進や新型コロナ・ワクチンに関する誤情報との闘いに取り組んできました。また、両博士は、コロナウイルスの疫学的追跡を行いながら、新型コロナウイルス感染症拡大の波の周期性を解読し、将来起こり得る感染拡大の波について正確な予測を提供するとともに、アフリカが保健管理体制や経済・社会体制に対するパンデミック圧力にしっかりと準備できるよう支援を行ってきました。サリム博士は南アフリカ共和国の新型コロナウイルス感染症(Covid-19)大臣諮問委員会における共同議長を務め、また、カライシャ博士も同諮問委員会の委員を務めるなど、カリム博士夫妻は同国政府の新型コロナウイルス感染症対策における中心的な役割を果たしてきました。

CAPRISA のホームページ(英語)

CAPRISA本部のサリム・S・アブドゥル・カリム教授とカライシャ・アブドゥル・カリム教授

ネルソン・マンデラ医科大学のキャンパスにあるCAPRISA本部のサリム・S・アブドゥル・カリム教授とカライシャ・アブドゥル・カリム教授
(写真提供 : Matthew Henning)

CAPRISAメインラボのサリム・S・アブドゥル・カリム教授とカライシャ・アブドゥル・カリム教授

CAPRISAメインラボのサリム・S・アブドゥル・カリム教授とカライシャ・アブドゥル・カリム教授
(写真提供 : Matthew Henning)

【医療活動分野】

ギニア虫症撲滅プログラム
(Guinea Worm Eradication Program)

史上2番目のヒト疾患の撲滅を目的とした、カーターセンター主導の下でのアフリカ関係者とのパートナーシップによる国際的なキャンペーン。

ギニア虫症撲滅プログラムは、第4回野口英世アフリカ賞(医療活動分野)を受賞するに相応しい取組です。カーターセンターは、1986年に同プログラムの主導を開始し、今日では協力パートナーと共に、人々を衰弱させるこの病気の惨劇を根絶するために活動しています。この寄生虫感染症は汚染された飲料水の摂取により拡大するため、地域コミュニティでの啓蒙教育や濾過水の使用、感染した際の適切な治療により対処することが可能です。ギニア虫症を治療又は予防するためのワクチンや薬は存在せず、コミュニティ・レベルでの行動変容と信頼構築しかありません。しかし、撲滅を達成するためには、遠隔地に赴き、紛争地域でも取り組み、アフリカ大陸全域で現地の医療従事者や衛生労働者といった膨大な社会基盤を強化させることが引き続き必要です。1980年代には、ギニア虫症の撲滅を目標に掲げることは大胆な発想であり、簡単なことではありませんでした。実現するためには、継続的な資金拠出と数十年にわたるコミットメントが求められることになるからです。ギニア虫症の症例件数は、2021年までに、年間推定350万件からわずか15件へと減少し、8千万人以上の人々の発症を回避することができました。しかし、これらの残された地域や感染リスクのある地域での安全な水へのアクセスは、特に対象地域で動物の感染が確認されていることもあり、引き続き最優先事項とされています。野口英世アフリカ賞委員会は、カーターセンターに対して、そして、コミュニティ・レベル、地域レベル、国家レベル、国際レベルで同プログラムに携わった全ての関係者に対して、その素晴らしい功績を讃えるとともに、史上2番目のヒト疾患撲滅をほぼ達成させたことに祝意を表します。我々は共々に、古くから存在してきたこの病気をもはや過去のものへと確実に追いやるため、引き続き粘り強く警戒しなければなりません。

ギニア虫症撲滅プログラム 概要
1980年に開始。
[ギニア虫症撲滅認定国](16か国):
ベナン、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ共和国、コートジボワール、ガーナ、
インド、ケニア、モーリタニア、ニジェール、ナイジェリア、 パキスタン、セネガル、トーゴ、
ウガンダ、イエメン
[対象国: 現在](5か国):
アンゴラ、チャド、エチオピア、マリ、南スーダン
[感染停止 及び/又は 認定前](2か国):
スーダン、コンゴ民主共和国(DRC)
主導団体:米カーターセンター
主な協力機関: アフリカ各国の地域コミュニティ及び中央政府、並びにNGO、WHO、
米CDC、ユニセフを含む多くの国内及び国際的なパートナー

ギニア虫症撲滅プログラムのホームページ(英語)

ギニア虫症撲滅プログラム

南スーダンでの戦争避難や遊牧民生活様式のため、男女や子供に配給されたパイプ・フィルターはギニア虫症感染対策上の重要な道具となっている。
南スーダン・テレケカ郡・クセダムにて。
(写真提供:カーターセンター / L Gubb)

コミュニティ・ヘルス・ワーカー

報奨金イニシアチブについてアコルニ村(南スーダン共和国)の村人に語るギニア虫症撲滅プログラムのコミュニティ・ヘルス・ワーカーたち
(Regina Natube、Morris Abure、Lokore Arkangeloの3名)。
(写真提供:カーターセンター / C. Marin)

   

受賞者の詳細については、「第4回野口英世アフリカ賞受賞者」のサイトをご覧ください。

■「国際開発ジャーナル」誌への記事の掲載■

「国際開発ジャーナル」誌2022年7月号(7月1日発行)に野口英世アフリカ賞の記事が掲載されました。9月号でも掲載予定です。
「国際開発ジャーナル」誌のウェブサイト
2022年7月号の記事 (写真提供:国際開発ジャーナル社)(左側)

■「アフリカ」誌への記事の掲載■
一般社団法人アフリカ協会機関誌「アフリカ」誌2022年夏号Vol.62(6月30日発行)に野口英世アフリカ賞の記事が掲載されました。見開き6ページの紹介です。次号でも掲載予定です。
「アフリカ」誌のウェブサイト
2022年夏号Vol.62の記事の始めの見開きページ
(写真提供:一般社団法人アフリカ協会)(右側)

TICAD8の開催に合わせて授賞式が開催される野口英世アフリカ賞を、アフリカの社会、政治、経済等に関心を持つ研究者、行政機関、企業、学生の皆様をはじめ、多くの方々に知っていただければ幸いです。

国際開発ジャーナル誌の画像アフリカ誌の画像

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  • 野口英世アフリカ賞基金への寄付実績(2007年~2022年7月時点までの累計)
    638,849,513円  [個人2,046件、法人532件(計2,578件)]
    うち、2021年4月~2022年7月の実績(2022年7月時点)
    113,367,567円 [個人28件、法人163件(計191件)]

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