第27回 公共料金等専門調査会 議事録

日時

2017年2月13日(月)13:00から15:29

場所

中央合同庁舎第4号館11階第1特別会議室(東京都千代田区霞が関3-1-1)

出席者

【委員】
古城座長、井手座長代理、古賀委員、陶山委員、松村委員、矢野委員
【消費者委員会担当委員】
蟹瀬委員
【説明者】
小熊 竹彦 日本生活協同組合連合会総合運営本部政策企画部長
二村 睦子 日本生活協同組合連合会組織推進本部組合員活動部長
林 弘美 公益社団法人全国消費生活相談員協会関東支部エネルギー問題研究会代表
原田 健二郎 北九州市消費者団体連絡会事務局長
【事務局】
消費者委員会 黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官
消費者庁 福岡審議官、澤井消費者調査課長

議事次第

  1. 開会
  2. 電力小売自由化及び都市ガス小売自由化の現状に関わる消費者団体ヒアリング
    説明者 小熊 竹彦 日本生活協同組合連合会総合運営本部政策企画部長
    二村 睦子 日本生活協同組合連合会組織推進本部組合員活動部長
    林 弘美 公益社団法人全国消費生活相談員協会関東支部エネルギー問題研究会代表
    原田 健二郎 北九州市消費者団体連絡会事務局長
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 定刻になりましたので、そろそろ会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は、皆様、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会第27回公共料金等専門調査会」を開催いたします。

本日は、所用によりまして、白山委員、山内委員、消費者委員会担当委員の長田委員が御欠席との連絡をいただいております。

まず、議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。

お手元の議事次第下部のほうに配付資料一覧を記載しております。もし、お手元の資料で不足等がございましたら、事務局までお申し出いただきますようよろしくお願いします。

なお、本日の会議につきましては、公開で行います。

議事録についても、後日、公開することといたします。

それでは、古城座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.電力小売自由化及び都市ガス小売自由化の現状に関わる消費者団体ヒアリング≫

○古城座長 それでは、議事に入らせていただきます。

本日の議題は「電力小売自由化及び都市ガス小売自由化の現状に関わる消費者団体ヒアリング」です。

今回は、日本生活協同組合連合会の小熊竹彦政策企画部長と二村睦子組合員活動部長、公益社団法人全国消費者生活相談員協会関東支部エネルギー問題研究会の林弘美代表、北九州市消費者団体連絡会の原田健二郎事務局長にお越しいただいております。お忙しいところ、御出席いただき、まことにありがとうございます。

初めに、日本生協連の小熊様、二村様から御説明をお願いいたします。あわせて40分以内でお願いいたします。

○日本生活協同組合連合会組織推進本部二村組合員活動部長 それでは、全体を先に二村から報告させていただき、その後、小熊から補足するという形で進めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。資料は、「電力・ガス小売自由化~消費者の立場からみた課題」、資料1-1ということで御配付いただいているかと思います。それから、大部で大変恐縮ですが、本日の資料の後ろに参考資料をつけておりますので、両方見ながらになりますが、説明させていただきます。

めくっていただきまして、今回、電力小売自由化後の課題ということと、それから、この4月に控えております都市ガス自由化に向けての課題、そしてLPガスの課題と、まとめということで、4つの柱でお話をさせていただきます。

まず最初に、電力自由化後の課題ということで、幾つか問題提起をさせていただいています。

まず、家庭用電気のスイッチング状況ということです。これは、先日行われております電力ガス取引監視等委員会の会合に出されている資料で、半年での新規参入者のシェアが約2.6%という数字が出ています。このとき一緒に、先に自由化しておりましたイギリスやフランスの状況と比べたものが出ているのですけれども、グラフで見ますと、フランスよりは高いがイギリスよりは低いという説明になっております。私どもは、必ずしもこの数字は高いとは思っておりませんし、何より地域的に差が大きいというのが非常に課題だと思っています。

特に、既存電力事業者間の競争が見えないということ、地域間を越えて、何件スイッチングで獲得しているのかということは、こちらの監視委員会の資料を見ても出ていません。もう少し状況をきちんと把握して、今後のスイッチングの推進のための課題、特に行政としてどういう課題があるのかということは、整理する必要があるのではないなかと思います。

この電力ガス取引監視等委員会に出されている資料は、非常に大部で、きちんとしたデータだと思うのですけれども、現状の把握というところまでで終わっており、この後の行政としての課題ということで言うと、もう少し検討なり議論をしていただく必要があるのではないなかと思っております。ですから、スイッチング率については、今の段階で低いのではないかとか、もう十分ではないかという判断をするのは、やや早計で、もう少し状況を見る必要があるのではないかと思っております。

それから、2つ目が消費者としては大変気になります家庭用電気料金への影響ということです。これも資料としては経済産業省からも資料が出されておりますけれども、全てあくまで標準的な料金の料金単価での比較ということになっております。それで、モデル的にこれぐらいの使用量であれば、これぐらいの金額だということになるのですが、実際にはいろいろな割引のシステムがあるなど、消費者が支払う電気料金そのものがどうなっているかということについては、現時点では、実証的に検証するシステムがないのではないかと考えています。

これは、都市ガスやLPガスも同様だと思います。経済産業省で出されているものは、全て事業者の方に聞き取りをして、幾らだということで出されているので、消費者が実際どれだけ払っている、使用量はどれだけだった、したがって、単価ベースで言うとこれぐらいになるということは、調べられていません。この点に関して、私たちは非常に問題だと思っていまして、電気、都市ガス、LPガスと、家庭用エネルギーというのは全部自由市場となるわけですから、価格がどうなっているのかというのは消費者ベースでモニターする仕組みが必要なのではないかと思っています。

総務省の家計調査というのもあるのですけれども、こちらは費目が「電気」「ガス」となっていて、ガスがLPなのか都市ガスなのかも分かりませんし、それから、当然、どの電力会社かということも分かりませんので、どうしても不十分なデータということになります。この点は、新しい課題ということになると思うのですが、今、ITの活用等を行えば、低コストで実施することは十分可能ではないかと思っています。

参考までに資料1、2でつけさせていただいているのが、日本生協連でインターネットを使ってモニター調査をしたものです。「わが家の電気・ガス料金しらべ」ということで、電気とガス、それぞれ幾ら払っているか。それから、どういう領収書かということのデータをとったものです。これなどは、5月、8月と2回やっているのですけれども、ひどくお金がかかっているということもなくて、比較的簡易にやれていると思います。

ただ、御覧いただいて分かりますように、生協でやりますと、地域的に組合員の方が多いところがどうしても多くなるとか、そういった偏りもありますので、私どもはこれが十分とは思っておりません。やはり、消費者庁なり国のほうで、消費者の立場から見た料金について問題提起できるような、生のデータをしっかりつくっていただきたいと思っています。これが家庭用電気料金への影響に関する一番大きな問題意識です。したがって、今時点で自由化して料金が高くなったとか安くなったとかいうことは、軽々には申し上げられないのではないかと思います。

3点目に、消費者への情報提供ということで、電源構成の表示の問題です。これは、取引のガイドラインができるときにぜひ義務化してほしいということで意見書を提出しました。制度設計の委員会でも随分議論になったと思います。最終的には、義務づけということでなく、「望ましい行為」ということでガイドラインには書いていただいています。ですので、そういう意味では全く義務ではないのですけれども、事業者としてはできるだけやったほうがいいということになっています。

実際に見てみますと、取引監視等委員会でも事業者に調査していただいて、その結果を公表しています。やはり本来的には義務化すべきと考えていますけれども、行政の取組としては着実に進めていただいていると思っています。消費者団体や環境団体なども開示状況や開示内容を調査して公表したり、比較情報をインターネットのサイトで提供したり、ということも出てきています。環境団体で言いますと、グリーン購入ネットワークがそういうサイトをつくって、自治体や企業向けに情報提供されています。

それから、小売事業者の比較サイトというのがありますが、これも最初のころは料金しか出ていなかったのですけれども、途中から「電源構成」も見られるようになってきていますので、そういう意味では少しずつ根づいてきていると思います。引き続き、開示状況を把握して、開示しない事業者には働きかけをしていくことが必要であると思っています。

参考までに、資料4に、主な事業者の電源構成を調べてグラフで比較しています。電気小売各社のホームページから調査した範囲での電源構成ということですが、左側がもともとありました大手電力会社で、右側が新規参入の事業者です。見ていただいて分かるように、電源構成は電力会社によって随分違いがあります。北陸電力などは電気料金が安いということが消費者の間でもよく話題になりますけれども、電源構成を見ますと、水力も多いけれども、石炭の火力が非常に多いことが分かります。したがって、二酸化炭素の排出係数も高いということは見ると分かります。沖縄電力もどうしてもそうなりますけれども、そういうことも分かってきます。

それから、新規参入事業者のところでも、再生可能エネルギーの割合が比較的高い事業者もあれば、中には原子力を使っている事業者もあります。これは九州電力から仕入れられているのだろうと、今の時点では推察するわけですけれども、新規の参入者でも原子力発電の電気を使っているところがあるということが分かります。電源構成の開示は余り意味がないのではないかという議論もあったように思うのですけれども、これだけ違いがあるということを消費者の側から見て分かるということは非常に重要だと思っています。ですので、これは引き続き状況を見ながら事業者に開示するようにということを働きかけていただければと思っています。これが1点目です。

それから、情報提供の2点目で、先ほども申し上げましたが、比較サイトの問題があると思っています。小売電力事業者やメニューの比較を行う比較サイトが増えています。それぞれ大変工夫されていて、ユーザビリティーがいいなと思うサイトも幾つかあります。それから、見ていますと、都市ガスの自由化ということで、都市ガスについて比較するようなサイトも出てきているようです。ただ、現状では、こういった比較サイトの運営の信頼性とか公正性というのは全部事業者に任せられており、この点については対策が必要になってくるのではないなかと思っています。

インターネットの世界というのは、少し前にも(電力事業ではない)比較サイトとかまとめサイトが非常にやらせ的な要素があるということで問題になりました。比較サイトそのものが消費者のスイッチングを促していく役割は非常に大きいので、そういったことを考えると、ここの信頼性を担保しておくというのは重要だと思っています。イギリスでは、国がガイドラインを定めて、比較サイトそのものに認証を与えるという仕組みが導入されているということで、これは先日、テレビ番組でも紹介されておりましたけれども、日本でもそういった制度について調査や検討をしていく必要があるのではないかと思っております。

それから、5番目に託送料金の件です。

新規参入の事業者にとって、託送料金というのは一番大きなネックになっていると思います。かつ、公正な自由競争のためには、託送料金は本当に託送にかかるネットワークの部分の費用に限定すべきというのが大前提だと思います。先週の経産省の委員会で、ほぼ決まりということになったようではありますけれども、この間議論されています福島の事故の関連費用や、一般の原発の廃炉の費用を託送料という形で回収するという方法は、電力の自由化を推進するという立場からすると、本当はあるべきではないことです。

それから、既存の事業者の電力料金、特にオール電化向けの料金で、託送料と卸価格の合計を下回るようなレベルの料金設定もあるのではないかということで、これは後ほど分析しました結果を小熊から補足で説明させていただきます。このような点を考えますと、本当に託送料金が適正なレベルで設定されているのかということは、疑わしいとまで言うと失礼かもしれないのですが、きちんと検証すべき分野ではないかと思います。料金の審査をしたので、それでいいということには決してならないということを申し上げたいと思います。

あわせて、今回、託送料金で事故の関連費用を回収する問題で、消費者団体などが集会や学習会をしています。託送料金は実質的には電気料金の一部を構成しており、最終的には消費者が支払う性質のものだと思うのですけれども、その割には、B to Bの取引だということでこれまでの公共料金とは違って、消費者の関与や公開性というものが一段引いた形になっている。これは、制度上そうなっているのですが、託送料金審査の透明性の確保や消費者の関与のあり方はこれでいいのかということは、いま一度議論する必要があるのではないかと思っております。

それから、6番目に公正な競争の確保ということで、事例を2つ載せさせていただいています。これは、私どもがいろいろなところで交流したり、事業者や消費者の方々とやりとりをしているところで聞いていることですので、この事例そのものは本当に事例でしかないのですが。一つ目は、実際に新電力にスイッチングした需要家に対して、切り替えた直後に既存の電力事業者から営業が来るという事例を聞いています。消費者の場合ですと、「どうして変えたのですかとか」「もっと安いメニューがありますよとか」、そういう形で営業が入ったそうです。

これは、確かに自由化なので、どういう営業をしようと自由である、とも言えますが、考えてみると、送配電部門と小売部門の情報の遮断が本当にきちんと行われているのかと疑問に思いますし、遮断されたとしても、もともと独占だったところから移るということになると、第1弾目に移った場合は、廃止通知で、この人は新電力のどこかに切り替えたということは認識できてしまうわけです。それは、実質的に情報を利用していると言っても差し支えなくはないだろうかということで、この競争上の非対称というのは問題ではないなかと思います。

実際にそういうことが行われていないのか調べることなどは必要ではいでしょうか。

もう一つは、これは新電力の事業者の中で、既存電力会社から、「新電力の見積もりを見せてくれたらそれより3%下げる」とか、新電力の特別高圧の需要家に対して、既存電力会社がありえないほどの安い値段を出してきた、といった事例を聞いています。こうした不当かもしれないというような営業の事例が監視等委員会にどれぐらい持ち込まれているのだろうかということを思います。

自由化の下での営業の中で、不当廉売に当たるようなケースはないのか。こういう営業の状態について、監視等委員会や公正取引委員会は、把握や指導・監視をされているのかという点について伺いたいと思います。監視等委員会や公正取引委員会でそういう点が問題になっているということは、私どもは耳にしていないので、もししっかり監視されているのであればよいのですけれども、実際はどうなのかということが疑問に思う点です。

ばらばらといたしましたけれども、電力の自由化はもうすぐ1年というところで、今まで振り返ってみて、以上のような点を問題として思っているところです。

済みません、最後に電気料金の請求トラブル問題を書いておきました東京電力での料金請求関連システムのトラブル、その他の既存電力会社でも誤請求というのが幾つか発生して報道されています。料金の請求というのは非常に基本的な業務ですので、ちゃんとやっていただきたいということと。これは業界としてきちんと原因を明らかにしていただきたいと思っております。

そして、次からが都市ガスの自由化に向けた課題です。こちらは主に2つです。

1つ目は、料金の経過措置解除問題です。これは都市ガスの自由化の制度設計の中で、都市ガス間の競争がなくても、条件を満たしていれば経過措置を解除するということで、実際には204社の中で190社以上が料金の規制は解除されて、この4月から自由料金ということになってしまいます。

ところが、現時点で見てみますと、都市ガス市場への参入というのはほとんどなくて、特に家庭用に参入されるのは今のところ4社ぐらいと伺っています。都市ガス間の競争がない状態ということです。こういう状態のまま、2017年4月からほとんどの事業者で経過措置料金の規制が解除されてしまうことについて、私は制度設計の責任というのは非常に重いのではないかと思っています。自分もガスシステム改革小委員会に出ておりましたので、そういう意味では責任があるのですが、前回の委員会で多分報告されたと思うのですけれども、大石さんと私は消費者代表の委員ということもあって、最後まで反対いたしましたし、消費者団体からも反対の意見が出たのですが、最終的にはほかの燃料との競争があるからという理由で、こういう結果になっています。

しかし、実際に都市ガスの競争がほとんど起きないということを考えたときに、本当にこれでいいのかという点は非常に疑問に思います。今から制度を変えることはできないと思いますが、不当な値上げがないのかなどを把握するための具体的な方策を早急に明らかにしていただく必要があるのではないかと思います。

それから、先ほども申し上げましたが、消費者ベースでの料金監視の仕組みというものが、ここでも必要になってくるのではないかと思います。資料9に、都道府県別に都市ガスの自由料金にどれぐらいの世帯が移行するかという資料をつけています。都道府県別で見ていただきますと、都道府県名に青い印をつけているところは、都市ガスを使っている世帯の方が全部自由料金に移行します。見ていただくと分かりますが、北海道、東北、九州、中国、四国などでは、都市ガスを利用されている方はみんな自由料金になってしまいます。こういう都道府県であります。

なお、単純に料金の値上げ、単価をすぐ上げるだけとは限りませんで、自由料金では料金体系が自由に変更できるということですので、料金体系を変更することによって、使っている方の多くが実質的に値上げになるような料金体系も考えようと思えば考えられるわけです。そういったことについても、監視をきちんとすべきではないかと思っています。

それから、都市ガスの問題の2つ目、託送料金についてです。

都市ガスでは制度設計のときに、託送料金のほとんどの項目がヤードスティック査定ということで、事業者ごとに全部まとめて比較をして不自然でなければいいというような制度になっていますので、個別の査定は行われていません。都市ガスに参入が起きていない要因はいろいろあると思うのですけれども、託送料金が高いということは1つ考えざるを得ないのではないかと思います。

それから、もう一つ問題なのは、都市ガスの中で大手の3社については、監視等委員会の料金審査専門会合で審査されています。こちらは公開の場ですし、消費者の代表も委員とオブザーバーということで、多分2名参加しているはずです。しかし、その他の事業者については経産局ごとに審査を行われていて、実質的に非公開です。その点も考えますと、ガスの託送料金の査定の方法というのは、もう一度考える必要があるのではないなかと思います。

これもガスシステム改革小委員会のときには、時間がかかっても、電気料金と同様の査定を全社に対して行うべきだといったことを申し上げたのですけれども、最終的には時間がないという理由で、こういう形になってしまったのですが、これも現状を見たときに、このままで自由化して託送料金の審査は1回やりましたということで、その後はやらないということは、果たして妥当なのでしょうか。

資料8に、託送料金のときの論議の経過の関連資料をつけています。発言録などもついていますので、御覧下さい。このときも消費者委員などは反対ということで意見を述べましたが、最終的には4月までに全部の社がやるのは難しいこと、大手事業者と小規模事業者の時間的な順序や査定の方法の区別をつけることは法律上できないという説明で、結局ヤードスティック査定ということになっています。

都市ガスの件は、主にその2点です。

それから、LPガスのことは1点だけ書いています。消費者接点で問題の多いLPガスというタイトルにさせていただきましたが、いろいろなところでいろいろな方がおっしゃっているかと思いますが、料金の不透明性とか契約トラブル等、問題が多い業界であると思います。経産省でこの問題についてワーキングを開催して、今、ガイドラインを制定するということで準備され、パブリックコメントもとられています。私どもとしては、新たに制定されるガイドラインは大きな一歩だと思っています。この遵守状況の調査や事業者の取組の支援というものを、きちんと行っていただきたいと思っています。

関連して、今も経済産業省でブロックごとに消費者懇談会を行っていらっしゃるのですけれども、出席された方に伺うと、余り活性化しているとは聞いておりませんで、何となく毎年、定例的にやって、何となく終わるという感じだと聞いております。今度、都市ガスも自由化して、ガスというのは自由に選べるということが消費者にもだんだん浸透してくると、ますます消費者とのコミュニケーションが重要になると思いますので、LPガスの問題については、可能であれば消費者庁等で定期的に情報共有を行うような場を設けることも一案ではないなかと思います。

最後に、まとめということで、共通することも含めて書いております。

公共部門であった家庭用エネルギーというものが自由化する。その中で、消費者の課題としてどういうことがあるか、ということだと思っています。大きくは、消費者の自由な選択と公正な取引や競争を確保するための施策。それから、新規参入と競争を促進するという、その2つです。

前者でいいますと、今まで申し上げてきましたような、消費者ベースでの料金監視の仕組みづくりとか、比較サイトのガイドラインづくり。それから、不当な約款や契約の監視の仕組みをつくること。

それから後者でいいますと、電力の託送料金については、こちらの消費者委員会から昨年出されている調査会報告書の内容を、いま一度きちんと訴えていただきたいということと。都市ガスに関して言うと、託送料金の審査はもう一回きちんとやるべきではないかと思います。そして、電気・都市ガスに共通する課題として、託送料金の決定プロセスについては、消費者の参加や情報の公開を促進すべきではないかと思います。

私の報告は以上で、細かい点について、小熊から補足させていただきます。

○日本生活協同組合連合会総合運営本部小熊政策企画部長 それでは、小熊のほうから報告させていただきます。1-2の資料の裏側を御覧ください。4点御報告させていただきたいと思います。

1点目の託送料金の検証にかかる問題ですが、先ほど二村が申し上げましたとおり、参考資料1の11ページを御覧いただきたいのですが、実はLPガスの料金は「暗黒大陸」と言われているぐらい、全く不透明な世界だったわけですけれども、今回の調査をさせていただく中で、戸建・集合住宅別にLPガス料金が1,000円以上違うという結果が出ています。この資料を発表した後に、これはこういう理由があるのだという背景の説明がいろいろ論議されて、特に集合住宅の場合に全国的に料金が高いということについて、これに対する対策をガイドラインでも検討する必要があるということになり、論議された経過がございます。そうした意味で、生のデータをきちんと集めることは非常に重要ではないかという例として御紹介させていただきました。

次に、資料3を御覧ください。これは9つの電力会社の託送料金と電気料金の分布を示したグラフです。上のグラフでは5月分の領収書をもとにして、5月の各社の託送料金と各社が卸電力市場で取引している価格をプラスした線を入れております。それに、青い三角印のものはガス併用と書いてありますが、通常の電気料金です。黄色い四角はオール電化料金のお宅です。

例えば、1ページ目が北海道電力ですけれども、おおむねオール電化であっても、託送料金、プラス卸電力市場価格平均よりも上回っている。多少下回っている世帯が何軒か散見されますけれども、これはいろいろな誤差とか出てくることもあって、北海道電力の場合は多少問題があるかもしれない、いいかなということですけれども、2ページ目を見ていただきますと、東北電力の場合は、大半の方が託送料金と卸電力市場価格平均を足したよりも下のほうに分布しております。

これは、燃料費調整制度や再生可能エネルギーの賦課金などを全部調整した数字で入れています。極めて多くの方がオレンジの線より下にいることについて、東北電力のほうからどういう御説明があるのかなということを強く感じるデータになっております。

そういう意味では、東京電力とか中部電力とか関西電力、いわゆる大手3社は、オール電化の料金をそれなりにリーズナブルにつくっているのかなという推測はされますけれども、東北電力の託送料金の設定に何か問題はなかったのかということを疑わせるデータが出ております。

料金審査専門会合があさって行われると伺っていますけれども、東北電力は東京電力よりも極めて利益率が高い。3か年平均で6.9%ということで、東京電力も高い利益率を出しているというデータも拝見させていただいております。そういう意味で、この託送料金自体も、現在、低圧では9.71円で、沖縄電力を除けば一番高いわけです。非常に広域であるとか、震災の影響とか、いろいろな理由があるのかもしれませんけれども、こういったデータに基づいて、少なくとも消費者の側から問題提起ができるということで言うと、今日は別に東北電力が悪いと言っているわけではなくて、こうしたデータをきちんととることが、消費者にとって非常に重要だということについて、ぜひ御理解いただきたいと思います。

2点目が、資料6を見ていただければと思います。エネルギー小売事業にかかわる事業者団体というものが幾つかございます。電力業界については、これまで電気事業連合会という連合会がありました。それから、都市ガス業界については、一般社団法人日本ガス協会がございます。LPガス業界については、一般社団法人全国LPガス協会というものがございます。これは小売の人たちが集まっている団体です。それから、石油、ガソリンといったものを扱っている事業者の団体が、全国石油商業組合連合会です。

これらの団体のホームページにおける情報開示の状況を見ますと、電気事業連合会は定款も出していませんし、事業報告・事業計画も出していませんし、電気事業連合会自身の会計書類も一切開示しておりません。一般社団法人であれば、これらの情報は全て基本的には開示するということだと思うのですけれども、こういった情報開示の問題。それから、定款には加入条件が大体書いてあるわけですけれども、日本ガス協会、全国LPガス協会、全国石油商業組合連合会については、全て定款を見ますと理事会の承認ということですけれども、電気事業連合会は任意団体のため、よく分からないということです。

会員数は、ここに書いてありますように、電気事業連合会は10社、日本ガス協会は203社ということで、LPガス協会はちょっと特殊な形態ですけれども、全国にほぼ2万社。石油業界のほうも1万7,000社あるということですが、各都道府県団体が必ず入っています。

現在、電力・ガス取引監視等委員会に登録されている登録小売電気事業者は、2月5日現在で374社です。既に300社を越える電力会社が存在しているにもかかわらず、電力業界だけは全体の9割のシェアを占める10社だけで電気事業連合会があるという状態になっています。このままこういう状態が続くということについては、これが本当にいいのかということについて、ぜひ検討いただけたらと思っています。

これは法的アプローチが非常に難しい問題だというのは重々理解しておりますけれども、このまま行きますと、電力業界にいろいろな事業者団体ができてしまうということが起き得るということで、当然、競争政策上もいろいろ問題点を発生させる危険性もあります。そういう意味では、日本ガス協会には新規参入された電力会社が加盟するようにしていただきたいですし、電気事業連合会には全ての電気小売事業者に入れるようにするのが、一番望ましいのではないかと思います。そうした点について検討するということが、今後のことを考えると非常に重要ではないかと思います。

事業者団体については、ポイントは3つで、1つは、加入・脱退の自由。2つ目には、その事業者団体の会計上の情報公開。3つ目には、この団体が例えば地域別に市場分割していないか。最後の点は公正取引委員会に関わる問題ですけれども、これらの点が非常に重要だと思っていまして、こうした課題について何らか考えていくことが大切ではないかなと思っております。

3つ目に、「過去分」について。これは、今回の託送料金について、福島原発の賠償費用についての過去分という議論があったので、昔、再処理費用の問題、バックエンド費用の問題において、「過去分」という議論があったので、資料5ということで添付しております。ただ、もう時間になりましたので、この点は、もし御質問があれば後でお受けしたいと思います。

最後に、今後のヒアリングについてですけれども、先ほど二村のほうから申し上げましたとおり、とりわけ都市ガスの自由化については大変危機感を持っております。このままで行くと、1%もスイッチングしないのではないかと危惧しておりまして、そうした意味では、経済産業省も含めて、この都市ガスの小売自由化がきちんと公正で透明な市場につくっていけるように、政府としても全力を挙げる必要があると思っています。この調査会でも資源エネルギー庁・電力ガス事業部のガス市場整備室のほうからヒアリングをぜひしていただけたらと思います。また、事業者団体の問題については、ぜひ電気事業連合会や日本ガス協会などからもヒアリングしていただいたらいいのではないかと思います。

私の報告は以上でございます。ありがとうございました。

○古城座長 ありがとうございました。

それでは、御質問や御意見のある方は御発言をお願いします。いつものとおり、座席の前の札を立てていただくことで発言希望をお伝えください。

矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 御説明、どうもありがとうございました。1点質問と、1点は意見です。

1つは、二村さんの御説明の13ページで、都市ガスの競争がないということで、今、小熊さんのほうからも非常に危機感を持っているということが言われましたけれども、一方で、様々新聞報道もされていますけれども、ある新聞などは、今後、全世帯の5割の2,700万世帯に自由化の恩恵が行くのだと、ガスの自由化を非常に歓迎する報道もされていますけれども、危惧されているような競争が起きない状況をもう少し詳しくお伝え願えればと思います。それが1点。

2点目は、16ページに関連してですけれども、経産省がブロックごとに消費者懇談会を行っているけれども、活性化していないということで、消費者庁主催で、こういった様々な関係者が集って情報共有を行うような場が設けられないかということが要望としてありますが、日本生協連でも、過去何回か全国の生協や関係者を呼んで、特にLPガスとか、古くは灯油の問題とか、いろいろ意見交換する場を定期的に設けていらっしゃいましたし、私も時折参加させていただきました。そこで経産省なんかにも、地域の困った状況を説明しているのだけれども、なかなかそれが改善に結びつかないというのがこれまでありました。

一昨年ですが、北海道生協連などがLPガスの実態調査を、北海道生協連だけではなくて、ほかの消費者団体とか、幅広く連携をとりながら実態を細かくデータ化していき、それをマスコミにも出していきました。データをきちんととりながら、それを広く紹介していき、情報を共有化していく中で、今回、経産省のほうもやっとガイドラインづくりに発展したということがありますけれども、今回の報告の中でも、データづくりというか、消費者庁を初めとして、きちんとデータをとっていくことが非常に重要であることもおっしゃっていますので、私もこの点は非常に大事なことかなと思っております。これは意見としてです。

以上です。

○古城座長 ほかにいかがでしょうか。

○矢野委員 1点目は質問です。

○古城座長 はい。

○日本生活協同組合連合会総合運営本部小熊政策企画部長 1点目については御質問でしたので、お答えしたいと思います。

資料7の1ページ目で、ちょっとミスプリントがありまして、下のほうに都市ガス世帯が2,900万世帯と書いてあるのですけれども、これはちょっと古い経産省の資料を引用したので、間違いです。現在、2,700万世帯です。そのうち、東京ガスが1,000万世帯、大阪ガスが700万世帯、東邦ガスが250万世帯でございます。ですので、2,000万世帯ぐらいはこの3大ガス会社が占めているのが現状です。

先ほど申し上げましたとおり、大半のところは経過措置料金が外されて、しかも託送料金の審査でヤードスティック方式をとったために、本当に適正な料金レベルなのかどうかもよく分からない状況の中で、現在、新規参入している電力会社は、家庭向けについては4社しかございません。東京電力、中部電力、関西電力、九州電力の4社だけでございます。ですので、これ以外の地域では、4月1日には競争が起きない可能性が非常に高いと言わざるを得ません。これで取り残される地域は500万世帯以上あると思います。

都市ガス世帯の中で500万を超える世帯が、新規参入もないまま、料金が既存の都市ガス会社において完全に自由化されるということです。都市ガス会社の場合には、低利用者の料金を上に上げて、高利用者の料金を下げれば、全体としては値上げしたという言い方ではなくて、「料金体系の変更」ということで済むわけですけれども、実質的に値上げになる世帯が非常に増えるのではないかということを大変危惧しております。

それから、電力4社の現在の新規参入状況ですけれども、東京電力の2017年度スイッチング目標は4万世帯です。4万世帯というのは、東京電力社員が今、3万5,000人います。自分たちの家族プラスアルファを切り替えれば、ほとんど目標を達成できます。また、東京電力とニチガスが今、提携して都市ガスもやっているのですけれども、ここが11万世帯を目標に、スイッチングするという報道がされております。ということで、もし首都圏で競争が起きるとしても、合計15万世帯の目標でしかない状況で、1,000万世帯に対して競争が起きるという状況は全くないと言わざるを得ません。

ちなみに、50万という報道がされているのですけれども、これはニチガス自らが都市ガス小売事業をすでにやっていまして、32万世帯を持っているのですね。これは、単に卸供給元を東京ガスから東京電力に変えるだけですので、スイッチングではございません。これを加えて、50万世帯切り替えと一部で報道されているんですが、50万という報道をしているところは、これらのことを、よく分かっていないマスメディアだと思います。

それから、関西電力ですけれども、ここは20万世帯を目標とされています。最も競争がまともに行われている地域だと思います。大阪ガスと関西電力が今、値下げ競争をされているので、これは極めて健全な姿であると思っています。

中部電力は、5年間で20万世帯を目標にされています。社員数が1万7,500人ですので、5年間で20万世帯という目標は、東京電力の水準と余り変わらないのではないか。コマーシャルとか、いろいろやっているようですけれども、本格的な競争が起きるのかなと非常に疑問があります。

九州電力は、料金体系が未発表と伺っています。ただ、大変奇妙なのは、オール電化のCMを昨年12月から始めておりまして、本来、都市ガスできちんと競争すべきところ、オール電化のCMを始めるのは御自由なのですけれども、健全な競争が九州で本当に起きるのかなというのも非常に危惧しておるところでございます。

東京にいて、いろいろなところから聞いている情報ですので、多少不正確なところがあるかもしれません。もしあるとしたら、またご指摘いただけたらと思います。ということで、今の数字を合計しても、2,700万世帯の1%である27万世帯に行くのかどうかというのは、非常に危惧されるようなレベルではないかなと思っております。そういう意味で、あらゆる政策をきちんと動員して、見直すべきは見直しをして、都市ガスを健全な、公正で透明で競争的な市場にしていくということが極めて重要だと理解しております。

以上でございます。

○古城座長 それでは、次は陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 いろいろ情報提供を含めて、ありがとうございました。2点、お伺いしたこいとがあります。

まず最初に、消費者への情報提供ということで、比較サイトのことを挙げられておりまして、イギリスでは比較サイトは国が認証していく制度だという御紹介がありました。自由化に当たって、公共料金等専門調査会でも比較サイトについて意見交換したことがございましたが、国がかかわることによって、何らかデメリットというか、懸念されるようなことがありましたら、教えていただければと思います。この専門調査会の中では、自由にいろいろな情報のサイトでいいのではないかということも含めて、いろいろ意見交換されたところです。

もう一点ですが、託送料金に乗せられた使用済み核燃料、過去分の処理費用ということですが、ここで2004年の議事録も御紹介いただいておりますが、昨年度末からいろいろな議論とか情報が提供されていまして、経済雑誌においても、この託送料について扱った特集したものがありました。その中で、2004年度に、乗せるのは1回だけなので、何とか認めてほしいという経過でこれが乗せられたのだという記事もあったのですが、この委員会の中でそういうやりとりとかもあったのでしょうか。付随して、託送料に過去分の使用済み核燃料処理費用が乗せられていった経過について御紹介いただけたらと思います。

以上2点です。

○古城座長 よろしくお願いします。

○日本生活協同組合連合会組織推進本部二村組合員活動部長 では、比較サイトの問題を私から。

国がかかわることでの懸念ということは、あるとすれば、余りに表記の方法や表現方法を縛ってしまうことで、かえって普通の人が見たときに使いづらいサイトになるとか、そういったことは当然考え得るなとなか思いますので、余り細かいところまで定める必要は私はないとは思っています。ほかのテーマでの比較サイトで言いますと、特定の事業者に優位になるような誘導がされているというようなことがあります。消費者の立場から言うと、特定の比較サイトの役員に特定の電力会社の役員が入られているというようなことも、シミュレーションも本当に公正に計算してくれているのか、という疑念が出てくると思います。

ですから、そういったことがないような形のガイドラインがあるとよいのでは、と思います。余り細かい表記の方法とか、こういうことをしてはいけないということを全部決める必要はないと思いますけれども、信頼性を担保されるようなものというのは、あってもいいのではないかと思います。イギリスの例などを見ていますと、細かいことよりは、全体の運営についてのシステム、ヨーロッパ流のものという感じはしますけれども、仕組みそのものを認証しているようですので、いろいろとやりようはあるのではないかと思います。

電力や都市ガスではそこまでひどくないと思いますけれども、LPガスで言いますと、明らかに信用できないサイトが、本当に特定の事業者のところに誘導するような例は、よく聞きます。電気や都市ガスで、そこまでひどいということは今現在はないと思います。

○日本生活協同組合連合会総合運営本部小熊政策企画部長 2点目について、私のほうから御説明させていただきます。

先ほど省略しました資料5を御覧いただければと思います。資料5の3ページに、いわゆる託送料金に含まれる使用済核燃料再処理等費(既発電分)、これがいわゆる「過去分」と呼ばれているもので、3%ぐらいあるという資料でございます。

これを論議したのが、4ページからの2004年の総合資源エネルギー調査会電気事業分科会の制度・措置検討小委員会でございまして、実は私はそのときの委員会でオブザーバーの消費者代表として参加させていただきました。

4ページの下のほうにエネットの井上顧問が御発言されていますけれども、これは後々まで語り継がれる有名な発言で、レストランで後から調味料のコストを請求されたら、普通お金を払いますかという話です。

6ページの中段に小熊政策企画部長、私が参考人ということで発言させていただいております。当然のことながら、井上顧問と同じように、一般の市場経済でこういうことが許されるのでしょうかという発言をさせていただいております。

続いて、10ページ目が親委員会である電気事業分科会での議論です。下のほうに渡辺委員とありますけれども、渡辺は当時、日本生協連の理事をしておりまして、消費者代表という立場で、主婦連の吉岡事務局長と2人で電気事業分科会に参加しておりました。同様に、この「過去分」の問題について、このようなことをしていいのかと発言しています。とりわけ11ページの上の2行目にありますが、「これは1世帯当たりの負担の多寡の問題ではなくて、国民に対して納得のいくような説明責任がきちんと果たされているのかどうかの問題である。一般の消費者が理解できるような責任がある」という発言をしております。

この資料の13ページの中段に鶴田委員というのが出てきます。専修大学の鶴田教授、今、名誉教授になられていますが、鶴田委員が御発言されておりまして、14ページに、この既発電分(「過去分」)について、再処理費用を回収することには賛成していますけれども、「ただし、この費用分についてはどこから見ても透明度の高いものでなければいけませんから、託送料金の中に包摂してしまうような処理の仕方は透明性を低め、かつそもそもの趣旨が違いますから私は賛成しかねます」と述べられています。託送の枠組みを活用して処理費用回収の仕組みをつくるのには賛成するけれども、このときも税方式にするのか、あるいは負担金方式にするのかということで議論して、少なくとも国会で議論するのが重要なポイントだと発言されています。

これらの論議の経過を踏まえて、17ページに取りまとめられたのが最終的な小委員会における考え方についてまとめられた文書でございます。

申し上げたかったことは2点ございまして、先ほどの陶山委員からの御質問の2点目に関わって1点言いたいのは、19ページの「3.既発電分についての取扱い」の2つ目の段落の後半ですけれども、「なお、本制度では、あくまで託送の仕組みを利用するものであり、送配電費用とは性質が異なるものであることを踏まえ、需要家から見た場合に、その点を混同しないように措置することが必要であり、具体的には、請求書等に、既発電分の金額を明記するなどの方法をとることが適当である」という報告をしている部分です。

ただ、実は、これはやられておりませんでした。ですので、昨年の5月に公共料金等専門調査会のもとにつくられた託送料金の検討会でこのことも話題になったと伺っていますけれども、実際に報告書にも載っていることが、結果的にされていなかったということです。この時には、消費者委員会も消費者庁もありませんでしたので、誰もこういうことを監視する立場の人たちがいなかった。このように消費者のために決められたことを監視することこそ、消費者庁、消費者委員会の使命ではないかなと私は思います。

それから、もう一つ、陶山委員から御質問の点についてのお答えですけれども、24ページを御覧ください。一番最後の段落ですけれども、自由化と今回の措置との関係ということで、要は、再処理、いわゆるバックエンドに係る費用については、今回の措置をもって最後とすると言われたのは、この文章のことです。24ページの下から2行目ですけれども、「今後、再処理の具体的な計画を検討することとなる使用済燃料については、電気事業者が具体的な計画を固めるまでの間は規制料金分野を含めてバックエンド費用の料金回収・積立てを行うことは困難である。

この点については、現実的にも、電気事業者が再処理の具体的な計画を固めていないという事実をもって、将来の需要家に再びそれまでの間の発電分の負担を課す可能性を残すことは適切でないことを踏まえれば、今後、再処理する具体的な検討をすることとなる原子力のバックエンド費用について改めて第二の既発電分、即ち今回の措置を講じて以降再処理する具体的な計画が固まるまでの間の原子力発電のバックエンド費用、を回収するといったことは、本制度・措置を前提として、特定規模電気事業者からから供給を受けることになった需要家との関係でも、一般電気事業者の規制需要家との関係でも、ないことが適当である」ということで、いわゆるバックエンド費用について、また繰り返し、この「過去分」の議論はしませんということを、このとき答申でまとめているという経過になっているのです。

ただ、今回の「過去分」の件は福島の賠償費用の問題ですので、バックエンドとは直接関係ありませんので、経済産業省としては、別にこれに該当することではないので、ロジックは非常に類似しているけれども、違うことですという御説明をされているのではないかと思います。

以上です。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 貴重なデータを含めて、御説明ありがとうございました。

報告書の参考資料のほうで3点ほどお尋ねしたいのですけれども、1つ目は、2ページのところで調査結果の特徴ということで書いていらっしゃるのですけれども、ガス料金の特徴ということで、LPガス料金は、集合住宅のほうが戸建てよりも高いというのは、どういう実態なのかというのを教えてください。

それから、電気のスイッチングの件ですけれども、5月と8月にスイッチングについて、全国2,000近い方のアンケート調査をしていらっしゃると思うのですけれども、参考資料の真ん中より大分前の7ページに8月分の切替えのことが出ているのですけれども、5月と8月の調査を比較してみると、4月、5月に73件ぐらいスイッチングされていて、6月、7月、8月の間にプラス65件の方がスイッチングされているのですけれども、多分、生協の関連の方というのは非常に意識の高い方が多いかと思うのですけれども、スイッチングが進んでいない根本的な原因、何をすれば今後、スイッチングが進むとお考えかということと。

それから、この調査で電力会社ごとのエリア比較で気になった点があったら、検証した結果を教えていただきたい。スマートメーターの普及と関係があると考えられるかどうかということも教えていただきたいと思います。

もう一つ、3つ目ですけれども、電源構成についての真ん中よりちょっと前のほうですが、各電気小売会社のホームページから抜粋されて電源構成を調査されていらっしゃると思うのですけれども、その中で新しく電気小売事業をする際に、再エネの割合が多いということを非常にアピールしていらっしゃるところもあると思うのですが、二酸化炭素の排出係数については、これらの小売事業の方たちの中には、未公開のところもあるのですけれども、一般にホームページに公開している方は、請求書にもCO2の排出みたいなものも表示されているかどうかということを、分かる範囲で結構ですので、教えてください。

○古城座長 よろしいですか。

○日本生活協同組合連合会総合運営本部小熊政策企画部長 第1点目ですけれども、資料の2ページの「LPガス料金は、集合住宅の戸建てより高い」というのは、11ページの下にありますように、戸建てと住宅別、(6)の下にその根拠があります。これは5月分ですけれども、集合住宅の場合は平均6,939円、戸建ての場合は5,725円ということで、集合住宅のほうが1,000円以上高くなっています。

御存じのとおり、LPガス料金は自由料金、自由市場でございますけれども、現実的に集合住宅の場合、とりわけアパートの場合には、自分1世帯だけがLPガス事業者を変えられるかといったら、変えられないという問題があります。また、それ以外にもいろいろな背景があると伺っています。これらについては、経済産業省の中でもかなり共通認識になってきているのですが、国土交通省との関係も含めて対策が非常に難しいということで、今回のガイドラインでも一定の措置はとられていますが、まだこれがきちんと同じにはなかなかならない状態なのではないかなと思っております。

それから、2点目ですけれども、スイッチングの話ですが、多分、8月分の7ページの円グラフを見て御質問いただいていると思うのですけれども、この当時の電力広域的運営推進機関が発表していた切替率よりも、明らかに生協のほうが高くなっています。生協のモニターさんを中心にアンケートをとっていますので、関心が高く、切替率が当時の全国平均よりも高かったのではないかと思います。

実は、下のほうに地域別の差がありますけれども、これは明確に申し上げますけれども、一般とはまったく異なる結果になっています。北海道電力エリアと関西電力エリアが非常に切替率が高いのは、これらの地域で生協自らが本格的な事業参入しているからでございます。ですので、これは一般の平均とは全く乖離しておりますので、誤解されないようにしていただきたい部分でございます。

地域別格差については、一番大きいのは、その地域における新規参入者がどれだけあるのかという問題だと思います。

先ほど、電源構成のところで二村が触れましたけれども、全国で新規参入の比率が一番低いのは、沖縄は1社もありませんから、ちょっと別にしますと、北陸電力エリアです。北陸電力の電気料金は非常に安いということが背景にあって、こういうところは新規参入もなかなかしにくいということで、スイッチングが進まないということがあると思います。そういう意味では、ネックは託送料金の問題とか、新規参入を促す取組をどう進めるか。とりわけ、北陸電力はそんなに安い料金だったら、なぜ関西電力エリアで事業展開しないのか、ということをきちんと明らかにしていくことが大切ではないかなと思います。

それから、スマートメーターとの関係は、私どもは特段の知見もございませんので、お答えできません。

最後の御質問が電源構成の話、資料4の関係ですけれども、実は二酸化炭素排出係数をグラフの横につけていますが、これは実排出係数です。実排出係数だけ入れると事業者の方に非常に申しわけないと思いまして、その次のページに、環境省が発表している電気事業者別排出係数について、実排出係数と調整後排出係数の資料を載せましたので、これを御覧いただければと思います。当然、調整後排出係数については、環境省はこのように発表しておりますので、事業者のほうも、そちらの数字は全部発表されていますが、実排出係数については公開されていないところが多いという現状になっているということです。

先ほど御発言ありましたように、新電力の方が再生可能エネルギーの比率が比較的高い傾向にあるというのが、この表から見ても言えるのではないかと思っております。

以上です。

○古城座長 ありがとうございます。

次に、井手委員。

○井手座長代理 二村さんの提出いただいた13ページと14ページですけれども、都市ガス間競争がない中で公共料金を自由化することになって、制度設計の責任は重いという御指摘がございます。これは、その2つ目のところに「不当な値上げ」を把握するため、早急に方策を考えるべきだという御指摘があるのですけれども、料金規制を解除しないところというのは、競争がある程度行き渡っている。だから、不当な値上げをすると競争事業者がとりに行くということで、競争は十分展開されているという前提で料金規制をなくしているので、こういう不当な値上げがあった場合には顧客を奪われる。そういう意味で、ここで経済産業省に具体的な方策を考えろというのは非常に難しいのではないか。

2011年の福島第1原発の後、二、三年、地方のガス会社は30社ぐらい料金値上げをやりましたけれども、公聴会を開いても、消費者団体・消費者は公聴会にほとんど参加しない。そのときに経済産業省は多少の査定をして、料金の値上げを抑えるという役割を果たしましたけれども、今回、そういうこともできないという中で方策を考えるというのは非常に難しいと私は思います。それで、一番下に書いてある、消費者ベースで料金監視の仕組みをつくれとか、具体的な方策をするというのであれば、本来、料金規制は残しておくべきことだろうと思います。

それから、14ページの託送料金のところですけれども、新規参入が起きない理由というのは、託送料金が高いという御指摘がございますけれども、託送料金は既存のガス事業者も同じような料金を負担するので、利益率は低くなるかもしれませんけれども、利益率は低くても参入しようとう事業者が出てこないのは、託送料金の問題よりも、13Aというのをどうやって調達するか。調達先が非常に限られているということと、それから保安の問題。この2つがネックである。託送料金が高いということは、将来的にはこれを安くしていけばガス料金が下がっていくという話で、託送料金をいかに安くしてくかということを考えていく必要があるだろう。

感想ですので、別にお答えは結構です。以上です。

○古城座長 感想ですけれども、何かつけ加えることはございますか。

○日本生活協同組合連合会組織推進本部二村組合員活動部長 制度設計の委員会の中では、都市ガス間の競争が起きないのに公共料金を解除していいのかという議論をずっとしたわけですけれども、そのときのお答えが、LPガスとかオール電化との競争があるということでした。ただし、普通に考えますと、新規で建てるときならば、都市ガスにしようか、LPガスにしようか、あるいはオール電化にしようかということはあるかと思いますけれども、既に住んでいる方、特に、先ほどあったような集合住宅の方にとってみれば、オール電化にするにはものすごくお金がかかるわけです。それから、LPガスにするのも、配管とか器具とかを変えなければいけないので、やはりコストがかかります。そういう状態では、競争状態とは言えないので、本当は、料金規制は解除すべきではないと思います。

ただ、既に料金規制の経過措置を解除するという制度設計にしてしまっています。実際に4月から競争が起きる要素は非常に薄いわけですから、不当な値上げがあれば、ほかのところに顧客が奪われるという図式は成り立たないと思います。不当な値上げをしたからといって、お金をかけてオール電化にできるお宅ばかりではありませんし、LPガスの事業者に乗り替えることは、余り現実的ではないのではないかと思います。その問題について消費者委員会や消費者庁はどのようにお考えのかなということを、むしろお伺いしたいと思います。

○日本生活協同組合連合会総合運営本部小熊政策企画部長 済みません、私のほうからもよろしいでしょうか。

○古城座長 はい。

○日本生活協同組合連合会総合運営本部小熊政策企画部長 1点目ですけれども、今、二村からお話をさせていただきましたように、地方には新規参入が入らないわけです。その時に、消費者が選択できるのはLPガスかオール電化ということですが、今回の調査の10ページ、11ページを見ていただければ分かりますように、全国平均でもLPガスのほうが2割ぐらい高いのです。地域によってはそうではない地域ももちろんあるかもしれませんけれども、わざわざ2割も高い料金に変える人はいないわけでして、LPガスのほうにもし変える競争が存在しているのであれば、何でこんなにLPガスは高いのかということが極めて疑問です。もともと自由市場・自由経済・自由料金の世界ですので、その世界のほうが何でこんなに高いのかというのがよく分からないわけです。

実際には、先ほど言いましたように、全国LPガス協会の方にも伺ったのですけれども、彼らは競争していると言っているし、都市ガスの方も言っているのですけれども、実は本当に競争しているのは新築住宅だけなのです。既築のお宅に営業に行って、都市ガスの配管が入っているところにLPガス業者がLPガスに変えてくれませんかと言って、変える営業がされているのか、少なくとも私は聞いたことがありません。そういう実態を踏まえるならば、当然、都市ガス事業者が新規参入しない限り、事実上、消費者の選択は広がらないということになります。本来、経過措置料金は電気と同じように、基本的にはまずスタート時点においては全ての既存ガス会社全体に入れるべきだったのではないかと今でも思っております。

それから、2点目の託送料金の御指摘は、井手委員のおっしゃるとおりで、資料の14ページの下のほうにも、新規参入が起きない要因の一つに、託送料金が高いというのがあるのではないかということを申し上げていますが、当然、調達の問題ですとか、保安の関係の問題ですとか、いろいろなことがネックになって、現実にはなかなか起きてないという複合的な要因があると思います。そういう意味では、それらの対策も含めて、きちんと一つ一つ丁寧に必要な対策を打っていくことが必要ではないかと思います。

ありがとうございました。

○古城座長 ありがとうございました。

井手委員。

○井手座長代理 料金の問題で、消費者庁とか消費者委員会で何かできるかというと、今、御指摘のあったようなLPの料金が非常に高いことに対して、自由料金の世界で何もできない。それと同じレベルに地方の都市ガス事業者は、料金規制をなくす。それに対して何かできるかというと、私は非常に難しいのではないかという、これは消費者庁とか消費者委員会が今後どういうふうに考えるかということにもなるのですけれども、自由料金の世界で、航空料金だって何かできるかというと、何もできない。そういう意味では、もう自由化のときに料金規制を外したこと自体が問題だったと言わざるを得ないと思っています。

○古城座長 松村委員、どうぞ。

○松村委員 まず、いろいろデータを出していただいたときに、生協の場合にはある種の偏りがあるのかもしれないし、あるいは生協の加入率が高い地域と低い地域があるから均質な情報でないかもしれないということをおっしゃったのですが、それでも今回、示していただいた情報も含めて、とても貴重な情報だと思います。場合によっては、そういう意識の高い人にでもこういう問題が起こっているのだから、意識が低い人ではなおさら問題が起こっているかもしれないということでも使えるかもしれないわけです。仮に特定の地域で高いシェアだったとしても、その地域ではこんな問題が起こっているということを知ることはとても重要なこと。

そこで問題が起こっていることが分かれば、仮に情報が偏っていたとしても、全国で調査する契機にもなるかもしれない。今回のようなデータを出してくださることはとても重要。消費者と接点が近い団体が、普通ではなかなか答えてくれないようなことを引き出して下さったと評価すべき。今後もこういうことをやっていただければ、消費者委員会だけではなく、あらゆるところでとても貴重な情報になると思います。今後ともぜひお願いします。

託送料金が高過ぎるのではないかという疑い。実際に小売料金と比べて、という話はとても重要。これ以外にもいろいろな文脈で重要です。不当廉売という話になれば、それはさすがにこの委員会ではなく、公取、あるいは公取と一緒にガイドラインをつくる経産省の管轄だとは思うのですが、これは競争がうまく起こっていない結果として、一般の消費者に競争の利益が均てんしていないという議論にもつながってくる。消費者委員会が聞いて無駄になることは決してないと思いますから、直接管轄じゃないかもしれないけれども、こういうことがあるということは、今後も今回のように教えていただけるととても助かります。

さすがに不当廉売ではないか。だから、むしろ価格を上げさせろという類いのことは、この委員会では到底言うことはできないので、後発事業者に関して、先ほどの御指摘のような営業があるとすると、この委員会では対応は難しいと思いますが、いずれにせよ、重要な情報だと思います。これからもぜひお願いします。

2点目です。大手電力会社が切り替えた途端に営業に来て、もっと安いプランがありますよと勧める。託送部門との間での中立性が欠けているのではないかという疑念に関して、私が大手電力会社の肩を持つのは変な気がするのですが、これは中立的であったとしても起こり得ます。今まで旧一般電気事業者が100%シェア持っていたので、新しく切り替えた人は、必然的に自分が失った顧客でもある。小売部門のデータとして自分の顧客だったのが顧客でなくなったということは、ネットワーク経由でなくても分かる。それだけ見て、怪しいということは難しい。ただ、いずれにせよ、潜在的にはそういう可能性があるので、今後全く関係ないところでも同じように動くことが出てくるとか、そういうことがあったら、私たちも知りたい。

もう一つは、今まで完全に独占だったということは、そういう意味でもとても大きな優位性がある。つまり、事業者を変えやすい人の動きが必ず分かるわけです。自分の顧客だったのが逃げたということで。逆に言うと、切り替えなかった人との区別がつくわけです。新規参入者は誰が切り替えたのか自分がとった場合を除いて分からないわけですから、どれぐらい動く可能性がある世帯なのかは分からない。新規参入者にはそういう情報上のハンディがあるのは、確かに間違いないことだと思います。したがって、確かに注視しなければいけない点だと思います。しかし送配電分門との間で中立性が欠けた結果ではない可能性も十分あることは、御認識ください。

次に、ガスの市場で競争について危機感を持っているという認識は的確だと思います。都市ガスの場合には、電気に比べても参入のハードルが高いという側面が一般論としてあり、既に表明している4社でも、電力会社はたくさんLNGを輸入していますから入れるかもしれないけれども、そうでない人は一からLNG基地を造って参入するのは極めて困難。電力会社という強力な潜在的競争者がいるという意味では激しい競争が起きるかもしれないけれども、数が非常に限られるという点では、とても脆弱な競争基盤。これはみなが共有している懸念だと思いますから、本当に競争が起きるのかを、今後も是非監視し、今回のように意見を表明していただきたい。

その意味で、生協のように価格の情報を持っているところはとても強い。というのは、経過措置が外れたところで相当大きな価格の上昇があって、リバランスとかで全然説明がつかない状態になっているかどうかは、実際に把握するのは結構難しいわけです。情報を持っておられる方々はそれに気づく可能性がとても高いと思います。その点、今後ウォッチをお願いします。

井手委員は、できることは限られるということをおっしゃったのですが、料金規制を外すときには、一定の競争があり、したがって、そんなに無体には価格を上げられないだろうけれども、一方で、例えば別荘の利用者のように使用量は少ないが通常の住人と同様の固定費がかかる人たちにはもう少し負担してもらわないと公正にならない。だから、リバランスさせてくださいというのはある程度の合理性があるということで、経過措置が外れたという面もあります。競争が働いて常識的なリバランスの範囲を超えた値上げにはならないはずと思って今回の措置になったわけだが、実際には全般に価格が上がってしまって、予想と反する結果になったということが万が一起これば、それこそ料金の規制の復活ということも政策の選択肢としてはあり得る。

その判断のためにも、もし万が一そんなことが起こったら、実際にそういう問題が起こっていることを示すことは、とても重要。自由化後も、今度はガスのほうでも同じように料金のことでいろいろ言っていただければと思います。

次に、先ほど集合住宅のほうがLPガスの価格が高い。一つの可能性は、賃貸住宅で家主が配管とかの設備に、ガス事業者にお金を出してもらったので、それを回収するために借り主に高いガス価格を強いる。だから、借り主が勝手に変えることについて、相当制限があるという可能性がないわけではないというか、昔からの慣習でそうなっているのかもしれない。もしそうだとすると、例えば同じ集合住宅でも、分譲の場合にはそこまで強烈な差はないけれども、賃貸のところが有意に高くなるという情報が出てくると、さらにその説得力を増すことになると思います。実際に情報をとるのはとても大変だと思うのですが、もしそういう区別がつくような情報がさらに加われば、御指摘の問題に対して、さらにアピーリングになるのではないかと思います。

一方で、都市ガスとLPガスを比べて平均的にLPガスの価格が高いということ自体は、これは十分あり得ることです。都市ガスは日本全国に広がっているわけじゃない。需要密度が低く都市ガスの供給がコスト高になってくると、だんだん供給できなくなって、これ以上行くとLPのほうが安いということになって、初めてそこで都市ガスの普及が止まる。ですから、LPガスが主力になっているところは、相対的にコスト高の地域です。その結果として高くなっているという可能性もあるので、LPガスの平均価格のほうが都市ガスより高いことが、LPガスでは競争が働いていないという証拠にはならないと思います。

一方で、競争が働いているかどうかに関して、相当に疑いを持たれている業界であるのは間違いない。今回のように価格のデータをここでも出していただけると、この委員会で仮に対応できなくても、経産省あるいは公取のほうで対応できるようになると思いますから、このようなことも、今後もぜひお願いします。

以上です。

○古城座長 ありがとうございました。

蟹瀬委員、どうぞ。

○消費者委員会蟹瀬委員 今、松村委員と井手委員のほうからほとんどおっしゃっていただいたので、私のほうから2点、お話しさせていただきたいのですが、大変勉強になりました。大変な資料で、この資料を一般の市民・消費者の方がきちんと読むと、どこに問題があって、私たちは何に気をつけなければいけないのかがよく分かると思います。

1点は、消費者ベースでの料金監視の仕組みづくりと、先ほど井手委員もおっしゃいましたけれども、これは大変難しい、どちらかというと民間でやっていかなければいけない、あるいは生活者を見ているほうでやっていかなければいけないというのが、このガス料金の自由化というところで、自由化されてしまえば、法的に見ていくのがなかなか難しくなっていくだろうと思います。ですので、消費者ベースでの料金監視の仕組みづくりということが書いてありますが、これはどのように実際にこれからなさっていくのか、あるいはそれを消費者にどのように伝えていこうとするのか、この辺が大変大きな課題になってくるのではないかと思いますので、もし何か考えていらっしゃることがあれば御意見を聞かせていただきたいと思っています。

それから、もう一つ、電気のスイッチングと電力会社の新規参入者というのは非常に増えました。スイッチングが2.6%しかない中で、ある大きな新規参入した会社のほうに、ガスはいかがですかとお聞きしましたところ、ガスには参入しませんとおっしゃいました。なぜなのかというのはおっしゃいませんでしたが、今、聞いてよく分かったのは、大手10社の電力会社が4割方を占めているという話の中で、大手4社が声を挙げてガスに進入してくるという話になりますと、電力会社の方とガス会社が一緒に電気も合わせ技で安くなりますよと言われると、そこのほうが入りやすい、分かりやすいのです。

ということは、今、新規参入している電力会社は、ますますその会社にスイッチングするのが難しくなる。これは私の意見ですけれども、分かりやすいところに人は動きますので、例えば大阪ガスが電気に参入しましたけれども、そのときに大阪ガスさんもなったのだから、関西電力もガスはいいでしょうという話、自由化になっていくのだと思いますが、消費者にとって、先ほどお話なさった中で、ああ、そういうことだったのかと私はますます思ったのですが、新規の電気事業者、小売事業者は、ますます合わせ技というか、スイッチングしてくださいというのが分かりにくい状態になっていくのだなと、ちょっとお聞きしたのですが、その辺をどういうふうに理解していらっしゃるか、ちょっと教えていただければと思います。

○古城座長 どうぞ。

○日本生活協同組合連合会組織推進本部二村組合員活動部長 前半の部分ですけれども、私どももモニター調査はしばらくは続けようと思っています。ただ、私はこれはそんなに難しいことではなくて、コストもそれほどかかることではないので、現在でも消費者庁などで行っている物価モニターのようなものをもう少し合理的にやれば、十分できるレベルではないなかと思っています。こういう調査はいろいろなところがやればよいので、私どももやらないつもりではありませんが、本来であれば、消費者庁などの仕事の一つということで、ぜひウォッチをしていただきたいと思います。何かそういう仕組みというのはできると思います。

例えば、家計の記録も入手方法についても、いろいろ考えられると思います。家計簿のアプリをやっている会社はデータをお持ちなのだと思います。ただ、どこの電力会社とか、ガスの種別とか、そういうデータがフェイスでとれていないので、それと突き合わすことが必要になります。新規にモニターを募集する方法もあり得るでしょうし、民間で持っているデータやモニターをうまく活用することも考えられると思います。これは知恵を絞っていただけると、方策が出てくるのではないかと思います。

経産省とお話しをして、LPガスの価格なども経産省でも当然調べられているのですけれども、具体的には事業者に電話をして幾らですかと聞いているだけです。それは正直にそのようにおっしゃっていました。経産省は事業者を監督する役割でしょうから、そういうふうになるでしょう。一方で、消費者のデータをどのようにとるかということは、消費者庁等で考え得るのではないかなと思います。

○日本生活協同組合連合会総合運営本部小熊政策企画部長 ちょっと補足させていただきます。

今回の仕組みをつくったのに、イニシャルコストで50万円行っていません。それから、ランニングコスト、年間でも70万円行っていないのですね。一番大きいのが、御協力いただいた方への謝礼。これが図書券、図書カードをお送りしたりとか、いろいろ工夫しているわけで、実はそのコストが一番高かったというレベル感の予算でこれだけの調査は十分可能です。

そういう意味では、物価モニターとか消費者モニター、いろいろな形で持つことは、消費者庁としてもやることは十分可能な中身だと思いますし、今回、私どもは2,000名ぐらいのモニターですけれども、やりようによっては1万人ぐらいの規模でやることは、私は非常に簡単にできると思いますし、ノウハウは幾らでも提供させていただきたいと思います。そういう意味では、消費者庁でぜひ御検討いただきたいというのを強く要望したいと思います。

それから、先ほどの二村の説明で、スイッチング率が2%ちょっと超えたという話がありましたけれども、ちょっと古いデータで申しわけありません。1月末現在はもう4%を超えています。そういう意味では、スイッチングはそれなりに進んでいると思います。

ただ、先ほどの御発言にもちょっと絡むのですけれども、電力会社の場合に、例えば東京電力は4万人しか目標にしていないわけですが、リストラをやりましたので、現場の営業力がないのです。そういう意味で言うと、私ども生協でも地域によって事業参入していますけれども、スイッチングにおける消費者接点というのは極めて重要だと思っておりまして、消費者接点を持つ小売の事業者、東京で言えば東急サプライさんなどは典型例だと思いますけれども、そういったところとエネルギーの産業の方で、住民として競争をもっと活性化させるという方法はあると思っております。

ただ、生協の中でも都市ガス自由化で、私どもの中で生協と新規参入できないかということで御相談するような会合では、私どもはいつも被告席におりまして、こんなシステムをつくったのは一体誰だということで、これは絶対失敗だ、全然新規参入できないという声もいただいておりまして、そういう意味では、電力は全国でもかなり多くの生協が参入していますけれども、ガスはそれだけ非常に厳しい世界があるという状況についても御理解いただきたいと思います。

セット料金になっていくというのは御指摘のとおりでして、その際に、どこからどこまでが電気で、どこからどこまでがガスなのかみたいな話がこれから出てくる可能性が非常に高いと思います。極端な場合に、例えばLPガスで大稼ぎをしていた会社が、その利益を使って極めて安い価格で参入するということとか、それから、電力会社からいろいろ後方支援をいただいて、資金も含めていろいろやるといういろいろな世界が電気通信を含めて、これから出てくる可能性がある。

その場合に、セット料金というのが一つのネックになる可能性があって、そっちの方向に向かうのは間違いないのですけれども、ポイント制度とかセット料金ということで極めて複雑なことがこれから起きてくることについて、消費者の立場からもどう考えていくかというのは、きちんと持つべき必要があるかなと考えております。

以上です。

○古城座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

それでは、ここまでの議論は以上といたします。小熊様、二村様におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

(日本生活協同組合連合会 退席)

(全国消費生活相談員協会、北九州市消費者団体連絡会 着席)

○古城座長 続きまして、全相協の林様、北九州市消団連の原田様からそれぞれ御説明いただき、その後でまとめて質疑応答を行いたいと思います。

まず、林様から御説明をお願いいたします。15分程度でお願いいたします。

○(公社)全国消費生活相談員協会エネルギー問題研究会林代表 全相協の林と申します。エネルギー問題研究会で代表をしておりまして、エネルギーの中で唯一、料金がもともと自由化されておりましたLPガスの相談が多いということで、現場の中から私たちがそこに注目していたという歴史があると御理解ください。私は、相談現場の立場として、今日、お話しさせていただきますので、自由化であるので、価格についての規制を求めるとか、そういうことを私どもは全く訴えておりません。選べる状況の確保です。消費者として商品を選ぶときに、選べる状況であるか。それと、情報の開示が非常に大事だと思っていますので、その観点からお伝えさせていただきます。

まず、第1点が、電力小売自由化の影響についてというところですが、これは国民生活センターのデータの中で、電力の自由化でどのぐらいトラブルがあったのかということを、先般お聞きになっていると思うのですけれども、ここに書いてあるとおり、2016年10月までで1,796件。その間の1月から3月までの間に866件とピークを迎えているということです。その後、ほとんど下火になりまして、相談とかトラブルそのものは非常に減少しております。

昨年末で電力を変更した方が4.1%と聞いておりますので、監視等委員会のほうで分析した結果によると、誤解があって、難しいので切り替えないという御意見もあるようですが、私の考えている点で言いますと、様子を見ている方が一番多いのではないかということ。それと、関心がない方。それと、分からない。それから、安くならない方が多いので、4.1%しか動いていないのかなと、現場のほうとしては感じております。

私自身は、サイトで計算をやるのですけれども、2人暮らしで非常に少ない電力しか使っておりませんので、いろいろなところでやっても、チェンジしたことによって安くなるメリットが全くないという状況に置かれている方も非常に多いのではないかなと思います。メリットのある方というのは、たくさん使っていらっしゃる方が多いのです。その辺も一つの原因ではないかなと思っています。

ここに事例を、次のページも含めて4つ持ってまいりました。これを説明していると時間がかかりますので、割愛させていただくのですが、いわゆるLPガス会社からの勧誘、ケーブルテレビの事業者からの勧誘、携帯のショップで勧誘されたという、実際にここに書いてある事例が出ております。

それが電力のフォローになります。

次に、LPガスを巡る状況で、私もLPガスの石油流通課のワーキングのメンバーとして、今回のガイドラインや政令改正のお手伝いをさせていただいた立場なので、LPガスについての状況の説明が一番ポイントになります。ここに書いてありますLPガス販売の課題は価格とその不透明性。価格が不透明だということがいろいろなところで取りざたされております。もう一つ、取引方法がトラブルの原因になっております。

価格については、高い。このグラフを見ていただくとお分かりになると思うのですが、原油価格が下がっているところで、小売価格は同じように下がっていないのですね。原油価格が下がったというニュースを聞いたとしても、うちのLPガスは何で下がらないのという疑問を持っている消費者は、かなり多いと思います。値下げが自分の家計の実感にはすぐにつながらないというところに非常に不満があるのではないかと思います。

それから、不透明というのは、自分のうちのLPガス料金が高いのか安いのか。隣のうちとどう違うのか。ほかの事業者さんはどうなのかということがほとんど分からない状況に置かれているというのが、LPガス価格の状況ではないかと思っております。

次ですけれども、私どもの団体が、ちょっと古くなるのですが、平成19年に実施したアンケートの中で、LPガスについて、どういうイメージを持っているか、これをお使いになっていらっしゃる方がほとんどですけれども、火力が強いということと、災害時の復旧が早い。価格が高く、料金体系が不明瞭。それから、いいところでは、保安が大切なので、信頼できる地元の事業者が安心であると思っている方がおります。その反面、自由に事業者を選ぶことができない。これは、LPガスは市街地の真ん中で使っていらっしゃる方よりも、山間部とか島とか、いわゆる都市ガスが来ていないところで使っていらっしゃる方が多いので、業者さんそのものが参入するというインセンティブが余りないのです。

しかも田舎のほうに行けば、お心当たりの方もいらっしゃると思いますが、「どこの嫁がLPガス会社を変えた」という、非常に狭い地域社会の中で、今まで契約していた業者を変えるということがとても大変な作業になる。いろいろな圧力がかかってくることなのだというお話を聞いたこともあります。

次、LPガス相談の事例と考察というところで4つ書いてあるのですが、集合住宅に住んでいるが、大家の決めたLPガスを入居時から使っている。近所の人に聞いたらとても高いことが分かった。料金表も分かりにくい。ほかの業者に変えられないのか。この相談は非常に多いです。先ほどからのお話の中でもお分かりだと思いますが、LPガスはボンベを持ってきて、そこに据えつけて供給されています。そのボンベを持ってくる業者さんは、1つの集合住宅で1社です。ほかの業者に変えるということは、その集合住宅全体の業者を変えなければならない。

そうすると、賃貸の場合には大家さんが決めているということがほとんどなので、自分で変えることが全くできないのです。その中で、変えることができないから料金を高くしていると私などは思っているのですが、この辺が非常に問題になってはおります。

それから、これはワーキングの議論の最中に、賃貸借住宅に住んでいる方の不利益ということが話題になったときに、国交省が賃貸契約の重要事項説明の際にLPガス事業者名を告げるようにという通達を出されました。これは、ワーキングをやっているだけでこんなに事が進んだのだなと、非常に感動いたしました。経済産業省のほうがそれをお願いしようと思っていたら、先に宅建業者向けに通達を出されたということで、実際にこれはされております。LPガス事業者さんに聞くと、不動産屋にお宅は幾らで供給するのと、価格を聞かれることが最近増えましたと実感としておっしゃっているので、実態として賃貸借契約のときに不動産屋さんのほうがLPガス業者の名前を告げ、ここは幾らで提供しますよということをお話しされているのかなと思っております。これは非常にいい、すごく早く事態が改善されてよかったなと思います。

それから、訪問してきた業者から安くすると勧誘され、LPガス事業者を変更することにした。費用はかからないと勧誘業者が言ったのに、前の業者から配管代を請求された。契約書を見たら、解約時精算の計算式が書いてある。どちらが信用できるのか。これは、設備費とか配管代を契約時のときに契約書に書かれているのだけれども、説明されていないということで、消費者のほうが把握していないことが非常に多いことからトラブルになります。

それから、切替業者という言い方をするのですが、安くしますよと訪問してきた事業者が、そんなものはどうでもいいから、うちに変えれば、そのことで前の業者はがたがた言ってこないから大丈夫だよ。契約書に書いてあるにもかかわらず、無責任な勧誘をすることが実際あるものですから、こういうトラブルが非常に多いということです。

それから、訪問してきた業者に料金表を見せたら、今より2,000円は安くなると言われ、LPガスを切り替えることにした。委任状にサインしたことを妻に話したら、この業者は近所でトラブルがあったのでやめるように言われた。クーリングオフしたい。LPガスそのものは、特商法で全てのものがクーリングオフの対象になりますので、訪問販売で契約すれば、当然クーリングオフはできます。ただし、今までもLPガスというのはクーリングオフしなくても、やめたいときにはやめられたのです。やめることができたのです。だから、これをクーリングオフが入ったということで非常に特徴的な話にしているのですけれども、今までもやめたいときにはやめられたという実態があると御理解ください。

それから、インターネット上に業者を紹介するという価格サイトがあるが、信用できるのか。これは非常に最近多い、先ほどもお話しされていた価格比較サイトに見紛うような、実際のブローカーだと私どもは思っております。なぜならば、この事業者さんを紹介しますというアナウンスがどこにも書いていないのです。消費者が選ぶというのは、価格だけではなく、その事業者の信用性とか保安とか、そういったものも全部調べた上で決めたいと思うのにもかかわらず、この事業者さんを紹介しますという価格サイトではなくて、この価格であなたに事業者を紹介しますというサイトですから、これは価格サイトとは言えないのではないか。インターネット上のブローカーだと認識しております。

それから、考察ですが、保安が重要であるとの認識から業者を変えることに抵抗がある人もいる反面、集合住宅の場合、事業者変更・価格交渉は難しいというより、これはできないと思っていただいたほうがいいかと思います。もしやるのであれば、大家さんごと、そこの集合住宅全部の業者を変えるということはあります。大家さんを勧誘してくるということは、実際にはあります。

それと、引っ越しや業者からの勧誘があって、初めて価格に関心を持つ消費者が多い。これは、引っ越しというのは、都市ガスの地域からLPガス地域に来た方が、なぜこんなにガス料金が高いのかという相談がものすごく目立つということです。

それから、切替業者といいますか、安く入れるよと言ってきた業者がお宅の料金は高いと言って、初めてそこで消費者が価格について関心を持つというのが現状だと思ってください。ふだんから使っているLPガスの価格を、最近はネットで調べる方もいらっしゃるでしょうけれども、私のうちはどうなのだと熱心に調べていらっしゃる消費者はほとんどないと思っていただいて結構だと思います。

次に、LPガスに係る消費者からの相談の中で、上に書かせていただいたのですけれども、国民生活センターの相談件数も実際に減っております。下に書いてあるのが、いわゆる全国LPガス協会のほうに相談があったグラフと表ですけれども、これと同じように、国民生活センターのほうのPI0-NET情報の相談も23年をピークに減少傾向にあります。

次の相談事例の内容の参考というのは、LPガス協会の資料ですので、後で御覧いただければいいかなと思います。

次のLPガス販売指針の概要も、参考として御覧になっていただければと思います。協会のほうでLPガスの販売指針をつくりまして、LPガス事業者さんに研修というのですか、この指針のとおりに売ってくださいということで研修しているという、業界の自助努力だと思ってください。

次の相談事例件数の偏りという表ですが、この表で突出しているのが神奈川県。それから、東京都と埼玉県、千葉県、茨城県などが目立つのですけれども、東北では宮城県も最近多いようです。これは、使っていらっしゃる方の人数、神奈川は多いのですが、東京だと少ないのです。少ないけれども、相談が多いということで、どうしてこうなっているかといいますと、先ほど申し上げた切替業者がお客さんのところを回って、それでトラブルになって相談に来るということが非常に多いということです。

それ以外の地方の地域では、もともと切替業者が暗躍するという実態がないものですから、ずっと同じ業者さんと契約なさっていらっしゃる方のほうがはるかに多いのではないかと思います。それから、先ほど申し上げたように、田舎の過疎のところに行くと、事業者さんそのものが選べるようにいるわけではないので、配達してくれてありがとうという状況になっていると御理解ください。

それから、LPガス販売の書面交付規定です。これも参考として御覧ください。液石法の中で書面を交付しなければいけないとなっているという、法律的な裏づけです。

次のLP販売の書面交付規定の運用基準というところも、御参考につけてあります。下線がついているところがあると思いますけれども、今回、解釈の基準の変更のときにこれがつけ加わると思ってください。

次のLPガス取引の課題。ここですけれども、私どもが相談の中で非常に感じています課題です。

書面を巡る課題ということで、契約時の書面交付。まず最初に、契約をするときの書面交付というのが消費者に認識されづらいのです。何かを契約するのであれば、訪問販売でもお店に行っても、契約書面を前にじっくりと説明を聞いて契約するというのが通常だと理解されていると思うのですが、LPガスというのはどっちかというと引っ越し当日なのです。栓をあけて使わなきゃならないので、この業者さんと契約しますとやっていたら、その日の夜、LPガスは使えないわけです。

燃料が使えないので、とりあえずあけてくれという話になってしまうと、消費設備とか配管とか、そういうものを誰が負担して、そこに置いたのかということについても説明している暇もないし、聞いている暇もないということで、説明していないだろうと思いますし、聞いていないのだろうなと思うのですが、契約の内容について、お互いに分かり合うということがないので、後々トラブルのもとになっております。

それから、設備費の負担等の記載が分かりにくいというのは、新築住宅を建てたときに、その消費設備とか配管設備は、家を買うときに少しでも安くしたほうが売れますので、いわゆる不動産業者のほうがLPガスの事業者に、おまえのところがこれを負担しろと言って、そうしたらLPガスはお宅を紹介するよという話ができ上がっていまして、そういうことでとりあえず契約書面の中に、設備はどこのプロパンのものがそこに入っていると書いてあるのです。13年なり15年、最近は20年というのがあるのですけれども、それを償却するまでに解約すると、幾らの価格で、この計算式で最終的に残を払ってもらうという計算式が入っているのですが、それがきちんと説明もされていないし、分かりにくい表記だということで、後々トラブルになっております。

それから、価格の変更時の記載が分かりにくいということは、値上げするということのお話が全然ないまま、上げられていた。料金表には一応書いてあるのですが、説明をしないものですから理解されていないということで、トラブルになったりします。それで、後々気がつくのです。お金を払った後に、最初、270円と言っていたのにどうして500円になっているのということに後で気がつくので、払ってしまっているので、それを取り戻すことが全くできない。通常であれば、契約はこの価格でいいですねと聞いて、翌月、そこの業者と契約をそのまま続けるという判断を消費者がするのですが、そういう状況にはとてもないと御理解ください。

それから、価格の情報公開を巡る課題を書かせていただきました。

LPガスは自由料金なので、本来は同じ事業者でも、消費者それぞれに料金が違っていていいのですけれども、それが消費者には理解されていない。契約するときにも説明を聞いていない。不信感を生むもとになっていると思います。

それから、ほかのエネルギーとの競争に生き残るためには、消費者が納得できる料金メニューの公表が不可欠だということがワーキングのほうでも話題になっておりました。要するに、料金メニューが複雑過ぎて、いろいろな料金表があって、価格が本当にまちまちなので、それの理由づけがなかなかできていないというのが現状だと思ってください。

それから、中立性の疑われるインターネット上の価格サイトのようなものが乱立しており、消費者が勘違いすることが危惧されるということが、先ほどから申し上げていますブローカーサイトの問題だと思います。金融商品ですけれども、保険の窓口のようにいろいろなところを紹介しますよと、このごろ金融庁ですと書かなきゃいけないようになっていますので、そこを扱っている事業者が分かるような表示が必要かなと思っております。

次ですけれども、LPガスWGの課題整理と対処も後でお読みください。WGの中で問題になっていたことと、その方策が書かれてあります。

(2)の下に括弧書きで(1)(2)(3)とありますが、こちらのほうが今回、パブリックコメントに付されておりまして、割と好意的な評価が多かったので、恐らくそう変更することはないと思いますが、実際に施行されるのは7月以降になるのではないかと聞いています。当初の予定が4月だったと聞いておりましたので、それが7月になると聞いております。

それから、経済産業省の石油流通課のほうでは、国民生活センターのPI0-NET情報を逐次見ております。その見た内容によって、ガイドラインが交付される前に事業者を既に呼んで指導していると聞いておりますので、かなり本気度が高いのかなと、今回、評価しておりますので、今後の監視も期待しているところでございます。

ここからが都市ガスになるのですが、監視等委員会さんのほうでQ&Aを出していて、ちょっと疑問に思ったのが幾つかあったので出してみました。

特に地方では、自由化後に新規参入がないと規制なき独占が生じ、料金が値上がりするのではないかということに関して、大丈夫ですよとお答えしているのですけれども、実際に料金の経過措置が残るのは、ほとんど新規参入のある大都市であります。そのほか、新規参入がない地方と書いてしまいましたけれども、ないか、あるか、その辺は分かりませんけれども、ほとんど選べない地方では、LPガスのように販売店を変更することができない。十分な競争が働くのかどうか分からないのに料金規制を撤廃して、値上がりにつながらないのでしょうかと私は思っております。

それと、今まで都市ガス料金の相談なんてなかったのに、価格の相談が増えるのではないかと危惧しております。

次の疑問(2)ですけれども、お答えのところに、参入のない地域でも、既存の事業者の自由料金メニューやLPガスへの切替えが可能だと。オール電化に切り替えることも可能ですとお答えになっているのですけれども、複数の都市ガス事業者間の競争間があって初めて消費者が選択できる環境が整ったと考えるべきだと私は思っております。LPガスへの切替えは国土強靱化につながるので、喜ぶべきことだとは思いますが、現実的ではありません。しかもオール電化を選択すると、かなりの費用がかかるということで、安いエネルギーを求めている消費者がそういうことを選択するというのは、ちょっと考えられないのかなと私は思っております。

そこで、都市ガス小売自由化への意見ですけれども、私ども相談窓口では、最近、ひとり暮らしの高齢者からの御相談が非常に多いです。そこが非常に心配される点で、今までずっと公共料金だと御高齢の方は思っていたのです。それを新たにエネルギーもあなたが選べるのです。自由料金です、選択してくださいと言って、果たして理解していただけるでしょうか。高齢者の方を全部一括りにしたら怒られるかもしれませんが、判断能力が不十分な方もひとりで暮らしております。何だか分からなくても選択しなければならないという状況に、私どもは非常に不安を覚えております。

ガス会社も電力会社も悪質業者ではありませんので、何かお金だけ取ってガスを売らないということはないのは分かっているのですが、消費者として選択をするということであれば、全ての方が選択できるような状況を保障していただければと思っております。

それから、まだ知らない人が本当に多いと思うのです。アナウンスが非常に不足しているのではないかと思うので、これからどういうふうになるのか。それが分からない状況の中で、事業者からの一方的な情報だけで契約することになることに不安を覚えます。

意見(2)ですけれども、先ほどから価格の話だけしか出ていないのですが、保安とか安全性というのが一番大事なことなので、安ければいいのかなというところも消費者にPRしていただければと思っております。

それから、セット販売です。セット販売にすることによって価格が不透明になることが非常に心配なので、何らかの規制が必要かなと思っております。

それと、解約料です。解約してほかの事業者に変えようと思ったときに、解約制限の縛りがあって解約が困難になることがあるのではないかなという不安です。特に、アパートの学生さんなんか、目に見えて3年で引っ越してしまいます。そういう方に何らかの解約料とか解約の縛りがあることは、非常に問題かなと思っております。

それから、LPガスと同じように、設備費とか配管代もセット販売で明確ではなくなっていくのではないかという不安があります。

それから、先ほど来話題になっている賃貸の集合住宅で、選べない方に高い料金を押しつけるようなことにならないかという不安があります。

それと、契約時の書面交付ですけれども、書面に書いてあればいいというだけではなくて、ちゃんと説明するという義務を何らかの規制で課していただければと思っております。

それから、家の中に入って点検するのは主にガスですが、その保安とか点検時に勧誘されると、ちょっとどうなのかなと思います。今までは競争がなかったので、家に入っても全く安心だったのですけれども、昨今、聞き及ぶところによりますと、LP業者さんと組むガス会社もいると聞いておりますので、その方たちは勧誘のプロのような方たちもおりますので、その辺の規制が何らか必要ではないかなと思っております。

最後に、価格比較サイトの信用性というのは、何らかの仕組みで、ここは信用できる、できないというのが消費者に分かるような仕組みが欲しいかなと思っています。

次に書いた罰則規定というのは無理だというのは、百も承知の上で書いております。そういう仕組みをつくっていただければなと思っておりますのと。それから、今後も継続した監視を絶対続けなければいけないのかなと思っております。

私の説明は以上です。

○古城座長 ありがとうございました。

続きまして、原田様から御説明をお願いいたします。15分ぐらいでお願いいたします。

○北九州市消費者団体連絡会原田事務局長 北九州市消費者団体連絡会の原田と言います。このような貴重な場をいただきまして、地方の消費者団体として非常に感謝いたしております。時間が余りございませんので、私のほうから、九州(福岡)、それから北九州、地方からの現状と意見を幾つか述べさせていただきたいと思います。

まず、現状というところで、電力自由化について幾つか報告いたします。九州は、当然、九州電力管内になります。九州電力管内でのスイッチング状況ですが、2016年12月末、九電さんに直接お伺いしてきた件数になります。九州内では14.6万件、約1.8%になります。それから、九電さんが発表している新料金プランへの移行件数が13.2万件という状況になっております。

それから、九州電力以外の新電力の選択肢で、消費者から見た場合、どういう選択肢があるかというのは、これは単純にエネチェンジのホームページ、一般的によく使われているのではないかというホームページで、私自身の住んでいる地域、北九州で調べると、約20社出てきます。主な新電力として、ここに幾つか名前を挙げております。

それから、北九州市民から幾つか声が出てくるのは、北九州市も出資している北九州パワーという電力会社があるのですけれども、市民にも売ってくれないのかという声がたまに出たりするのですけれども、残念ながら現在、北九州パワーは、法人かつ高圧受電のみということで、一般消費者には契約できなくて、市民の要望にはなかなか応え切れていないというのが現状です。

電力自由化に向けて、昨年、ちょうど1年前ぐらいから消費者団体としてもいろいろな取組を始めておりまして、16年3月に北九州市の消団連では、消費者から、この電力自由化がちょうど話題で、いろいろ盛り上がっていたところで、どういう制度なのか、どういうふうに変わるのかという声がたくさん出ておりましたので、九州電力さんに協力いただいて電力自由化の制度説明と九電の新料金メニュー説明会というのを開催しました。九電さんに説明していただいたので、制度的なものは概要。あとは、当時は全ての消費者が九電さんと契約しているので、そもそも今、自分の契約が新料金メニューだとどう変わるのかを知りたいということもありましたので、まずは九電さんの新料金メニューを紹介してくださいということで説明会を行いました。

その下に参加者の声を幾つか抜粋して載せております。

競争が起きにくいのは、もともと九州電力の料金設定が低いためではないかという意見もありますし、ひとり暮らしなので使用量も少なく、今までどおりでいいかなと思いますという声が割と多かったです。この当時、九電さんが発表した新料金メニューが、月270キロワットアワー以上になると安くなっていくようなメニューだったので、ひとり暮らしの方は月200キロワットアワーぐらいの使用量なので、余り恩恵を感じられなくて、今のままでいいかなという声がたくさん出ておりました。

それから、一番下もなかなか貴重な御意見としてもらったのですが、たくさんの小売事業者がいて迷う。そのうち燃料が高くなったりして、たくさんの事業者が撤退してしまわないか。そうなったら、主要電力会社だけが残ると思う。そのときに高くならないかという不安の声があります。

次のページに行きます。もう少し地方の消費者の声ということで、私自身、普段の業務の中で多くの消費者の方と接する機会がありまして、事あるごとに電力自由化についてはいろいろ聞くようにしているのですけれども、先ほどの九電さんのデータ、スイッチング件数1.8%で見て分かるように、全国平均と見ても圧倒的に少ないです。新電力に移行したという方に会える機会はものすごくまれです。100人のうち1人、2人で、会うことが少ないです。ほとんどの方がスイッチングしていなくて、理由を聞く中で返ってくる声が、ここに挙げている4つぐらいです。

今の使用量だとほとんど安くならない。どこを選んでも余り変わらない。

それから、口座の手続等、それ自体でハードルが高く感じて、面倒だと思っている。

それから、ほかに変えてもほとんど安くならないことが分かったので、今のままでよいと思う。

もう一つは、これが結構多かったのですが、もっといいサービスが出てくるのではないかというのを期待して、今はまだ様子を見ておこうという声が割と多く聞かれます。

消費者に聞けばこういう声は出てくるのですが、その反面、ほとんど話題に上がること自体、ほぼ1年たってなくなってきました。普段の会話の中で新電力のことというのは、ほとんど出てこないと感じております。

あわせて、九電さんも、いろいろな新電力さんがセット料金メニュー、多かったのが見守りサービス、家事代行サービスがあって、その部分ではすごく当時から興味のある方が多かったのですが、こちらも実際に利用したという方と会う機会がなかなかなくて、状況が聞けておりません。九州電力さんに聞いたら、auでんきに切り替える方が多いですねということを言われておりました。その反対に、新電力にスイッチングして、また戻ってくる方も最近は多いですよということも言われておりました。

確かに九州で、テレビCMで電力の宣伝をしているのは、多分このauでんきぐらいじゃないかなと思います。電気に限らず保険などのCMもauさんはやっていますけれども、その効果も大きいし、新電力といったらほかに思い当たらずに、auさんになるのかなと感じております。

いろいろと情報があるのですけれども、結局、どれが合っているのかというのは消費者としてはなかなか判断しづらい状況があるということを感じております。

聞くと出てくるのが、安いだけでよいわけではない。信頼できる九電と契約を継続したいという声も出てきております。

それらの状況を踏まえて、意見としては、現状の問題点として考えるところで言うと、新電力の情報(料金メニュー等)に接する機会がほとんどないという状況です。消費者からすれば、どこに聞けばいいのか、どこに行けばいいのか、分かっている方はほとんどいないです。

ホームページにいろいろ情報が載っていますよと言いますが、2番目に、逆に言えばインターネット以外、情報が見当たらない。パンフレットなどもほとんど見かけませんし、たまたまというか、私が普段接する方は割と年配の方が多くて、スマホも持っていない、インターネットもしないという方も多いのもあって、そういう方たちからすると、インターネットと言われてもねという声も聞くことが多いです。

あわせて、電力使用量が多い場合のみ、お得感が出るという新料金メニューが多いこともあって、割と努力して節電している家庭にすると恩恵も感じられないということで、どうなのという疑問を持っている方も多くおられました。

これらのことから、地方から見ると、選択の機会と必要な情報が確保される権利ということで言うと、まだまだなのかなと考えておりますし、こちらのほうに来て思うのは、電車の中とかで、いろいろなところで電力会社の広告を見たりするのですけれども、地方はまだそこまで消費者がぱっと目にするようなところまでの競争は見られないところです。

あわせて、地方の消費者団体としては、情報が欲しいというところと、いろいろな事例も含めて情報共有したいというところで、事業者・消費生活センター等と定期的な情報交換・情報共有しながら、こうやってなかなか情報をつかめていない消費者に対しての場をどんどん提供していきたいと思っておりますので、何かそういう制度的なものというか、形づくれればいいかなと思っております。

あわせて、先ほど日生協さんからもたくさん意見が出されましたけれども、託送料金に対する声というのが現在は多くなってきている状況で、北九州市消団連としても、この取りまとめに対する意見を提出している状況です。

電力に関するところは以上になります。

次が都市ガスの現状です。

私の住んでいる北九州市の都市ガス供給事業者は、西部ガスのみとなっております。都市ガス供給戸数は約29万戸で、北九州の世帯数が約42万世帯なので、約70%になります。

自由化後は、九州電力さんが都市ガス小売に参入を表明している。それ以外からは今のところ参入表明がございませんので、消費者からは競争と言ってもねという不安視する声も出ております。

あわせて、西部ガスさんも、先ほどから幾つか話が出ておりましたが、規制解除というところで、消団連としても西部ガスさんを規制解除するのはどうなのかというところで意見書を1つ提出しております。

次のページに行きまして、都市ガス自由化後に九電さんが参入するということはありますが、ほかにない中で、消費者が次に考えるのは、LPガスも競争の中、一つの選択肢として入ってくるのではないかというところで、先ほど、皆さんからたくさん御意見が出ていましたけれども、LPガスについて消費者からのたくさんの不満の声も聞いております。私も一時、12月だったか、経済産業省・LPガス協会が行った消費者懇談会に福岡県の消費者として参加させていただいて、いろいろ意見を述べる機会があったのですけれども、それに向けて消費者の方たちにずっとヒアリングというか、声を聞いて回りました。

その中で出された声が下に書いている主な声というところです。

LPガスが自由料金であること自体も知らなかったとか、小規模導管エリアに住んでいるので選べない。電気料金と同じように、明細書に内訳を記載してほしい。向かいに住んでいる家庭とLPガス料金が全く違うことに驚いた。自由料金も知らない状況です。そんなに違うのという声が聞かれました。あと、おもしろかったのは、料金を下げるためには、事業者と交渉すればよいと聞かされた。電話一本して、何か文句をつけたら安くなるよと、普通に言われておりました。あと、都市ガス自由化に向けた学習会をしてほしいということ。あと、都市ガス供給エリアでないところは、そもそもこの自由化には興味がないという声も聞かれております。

先ほどのLPガス協会と経産省の、消費者懇談会というタイトルだったか、覚えていないのですけれども、出たときに、私も福岡県の状況を調べていろいろと報告しましたが、残念と言っていいのかどうか分からないですが、ほかの各県から消費者代表という方たちがたくさん出てこられたのですが、現状に対して消費者の声を訴える方がほとんどいなくて、中には、私はオール電化なので余り興味がありませんという方が代表で出てきたりしている状況もあって、非常に不満を持って帰った覚えがあります。この場をもって消費者の声をヒアリングしました、受けとめましたというまとめがなされるのは非常に不本意だなというところで、愚痴ではございませんが、報告しておきます。

都市ガス自由化に対しての意見というところで、今回、取引に関する一部改正であったり、ガイドライン案が出されましたけれども、それに対しては賛成する立場からの意見を出しております。その反面、電力の自由化のときほど話題に上がることがない。認知度、話題性というものはかなり低いかなというのが実感です。こちらから振っても、ぴんと来る方もまだまだ少ないところです。このまま消費者の目が向かない状況で自由化が始まることには、すごく不安を感じている次第です。あわせて、早急に都市ガスとLPガスが同じ土俵で競争環境が整えられることを望むと同時に、消費者にその辺が自由化とあわせて周知されるような施策を求めるというところで、意見として出させていただきます。

私からは以上になります。

○古城座長 貴重な御発言ありがとうございます。

それでは、御質問や御意見のある方から御発言をお願いしたいと思います。ところで、3時10分終了予定ですけれども、既に大幅に超えておりますので、目標としては3時30分までに終わりたいと思いますので、絞って御発言をお願いしたいと思います。

矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 御説明、どうもありがとうございました。

では、それぞれに1つずつ質問させていただきたいと思います。

最初に、林さんのほうにですが、資料に通し番号がないので分かりにくいですが、LPガス取引の課題というページに、価格の情報公開を巡る課題というところで、LPガスは自由料金なので本来は同じ事業者でも、消費者それぞれに料金が違っていていい。それが消費者に理解されていなくて、不信感を生んでいるということが書いてありますが、私はこれは意外というか、一方で、価格の透明性が今回のガイドラインでも指摘されているわけですけれども、まず価格の透明性は非常に重要ですが、それでも自由料金だから、消費者はそれぞれ違ってもいいという認識を持たないといけないのかどうか、ここについて御説明いただきたいと思います。

それから、北九州の原田さんのほうに質問ですけれども、地域の情報というのは、東京にいると地域の実態はつかみにくいのですが、情報がなかなか届きにくいという声がありましたけれども、情報がもっと届くために何か御要望があればお聞かせ願いたいと思います。

○(公社)全国消費生活相談員協会エネルギー問題研究会林代表 それでは、価格についてのことですが、今回のワーキングで価格が透明でないということが問題になりまして、価格はできるだけみんなが理解できるような、分かりやすい料金メニューにしなければいけないという認識は持っております。ただ、それまでは、いわゆる自由競争なので、それこそ山間部の方と市街地の方と同じ価格ということは、まずないわけなので、配送のコストとか、そういうこともあって、同じようにはできないと事業者のほうが言っておりました。

それを是とするわけではないのですが、自由料金というのはそれぞれ決めてもいいということになりますので、私としては、隣の家と違っていても、例えば床暖房を使っているとか、いろいろな条件があって、1立方メートル当たりの値段が全部同じということはあり得ない。違うのだけれども、どういう理由で違うのかということを消費者にきちんと説明していないために、不信感を持たせるということですね。うちと隣がどうして違うのかということを聞かれたときに、答えられない。過去の慣習でやっているという部分に関しては、非常にまずいなと思っております。

それから、今回の電力も都市ガスも自由化された中で、価格で競争していかなきゃならない、オール電化との競争というものがあって、そのときに消費者に選ばれるエネルギーであるためには、納得できる料金メニューとか価格を公表するということがどうしても必要になってくるので、これからは前と同じように理由があるのだと言って、それを説明しないというのは通らないという意味で、透明性は大事だと理解しております。

○北九州市消費者団体連絡会原田事務局長 地方に情報をということで言いますと、お話を聞きたい先生方とか専門家の方というのは関東圏にたくさんおられると思うのですが、そういう方たちにお話を聞こうと思っても、九州の地方まで来ていただくということがなかなか難しいというのが1つあります。それなりに交通費だったり、謝礼だったり、いろいろと出費がかさむので、年1回呼べればいいかなというところがあります。

実は、私は全国消団連の理事もやっておりまして、そういうのを何年か前からいろいろ相談しておりまして、インターネットを使ったテレビ会議システムを導入していただきました。これが非常にありがたくて、インターネットを介して映像も含めてやりとりができるようになった。それを私どものほうでは、事務所でプロジェクターを使って大きく映し出して、スピーカーを使ってリアルタイムで話を聞きながら、なおかつこちらからも意見を述べたり、質問したりという環境ができたので、私としてはもっといろいろな方が参加する場として活用していきたいなと思っております。一つの例として、先生方の話を聞く機会であります。

以上です。

○古城座長 ありがとうございました。

古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 済みません、質問ではなくて意見です。林さんのほうから消費者向けQ&Aでおかしいところとして、「ガスの参入が少ない地域では、自由料金メニューやLPガスの切替えが可能、オール電化が可能という答え」となっている点が、今回のLPも含めて、いろいろな都市ガス等、も含めて、自由化をすすめる議論で現実をみていないという点を象徴していると私は思っています。選べないけれども、必需品である都市ガス、それが規制によって料金がある程度抑えられていたのが、自由化と言いながら、実際にはより割高なLPガスやスイッチしにくいものしか選べないのであれば、規制料金が自由料金になることで起きる弊害は同じだと思うのです。

特に、LPガスについてはずっと自由料金だったわけですけれども、消費者団体の中でも非常に苦情や疑問が報告され、現在においても、国民生活センターでも2,000件以上、協会でも5,000件近い苦情等が来ていて対応されているのです。それは今回、都市ガスが自由化されたときに学習材料となるというか、関心をもって、自由化における弊害をそこで検証していかなければいけない部分だと思っています。

特に、今回、西部ガスで規制料金の経過措置から外れるというところですけれども、現在、地方の都市ガスで規制料金がかかるのは12社で、かからないところが30%ぐらい出てくるのですけれども、そこでの料金値上げについてはチェックしていかないと、消費者被害というか、不当なことが起きうると考えています。先ほど井手委員が地方のガス会社30社が値上げしたとき、公聴会に誰も来なかったとおっしゃいました。それは、消費者の関心が低いのでは決してなくて、公聴会の存在を知らなかったためではないかと思われます。今回、都市ガスが自由化されて、LPガスについても新たに価格としてどうなのか、サービスはどうなのかも含めて問題になると思いますので、消費者庁としても料金監視の仕組みというのは提言していく必要があると考えます。

○古城座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。

御協力いただきましたので、これで議論は終わりたいと思います。林様、原田様におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。


≪3.閉会≫

○古城座長 事務局から連絡事項はございますか。

○丸山参事官 本日は、熱心な御議論をどうもありがとうございました。

次回の会合につきましては、確定次第、御連絡をさせていただきます。

○古城座長 今日の調査会は、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

(以上)