第23回 消費者安全専門調査会 議事録

日時

2013年6月20日(木)13:30~15:33

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
松岡座長、内堀委員、片山委員、佐竹委員、佐野委員、田澤委員、鶴岡委員、
中村(均)委員、中村(昌)委員
【臨時委員】
澁谷委員
【消費者委員会委員】
小幡委員、夏目委員
【説明者】
公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会  常任顧問 古谷由紀子
群馬県健康福祉部食品安全局  食品安全局長 大澤一之
食品安全課 補佐(企画支援係長) 浅野春仁
衛生食品課 補佐(監視指導・表示対策係長) 手塚 秀
【事務局】
原事務局長、小田大臣官房審議官

議事次第

1.開会
2.消費者安全専門調査会の今後の進め方
3.食品リコールの現状について
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:70KB)
【資料1-1】 消費者安全専門調査会の今後の進め方(案)について(PDF形式:241KB)
【資料1-2】 第22回消費者安全専門調査会における質問事項について(PDF形式:75KB)
【参考資料1-1】 平成23年度衛生行政報告例 第29表(PDF形式:85KB)
【参考資料1-2】 食品衛生法第63条に基づく法違反者等の名称等の公表について(PDF形式:137KB)
【参考資料1-3】 自主回収情報を公開している自治体一覧(PDF形式:240KB)
【資料2-1】 食のリコールガイドラインの提案(PDF形式:578KB)
【資料2-2】 食のリコールガイドラインの提案(報告書)(PDF形式:591KB)
【参考資料2-1】 商品回収に関する判断フロー(PDF形式:85KB)
【資料3-1】 食品関係法令に基づく食品等の回収について(PDF形式:594KB)
【参考資料3-1】 食品等回収情報提供システム(PDF形式:223KB)
【参考資料3-2】 群馬県食品安全基本計画概要版 【参考資料3-3】 ぐんまの食品安全DATABOOK
表紙(目次)(PDF形式:412KB)1~2ページ 食品の安全確保の仕組み(PDF形式:527KB)
3~4ページ 食中毒等の発生状況(PDF形式:567KB)5~6ページ 食品安全に関する監視指導等の実施状況(PDF形式:556KB)
7~8ページ 食品検査の概要(実施形態別)(PDF形式:562KB)9~10ページ 食品検査の結果(微生物学的検査)(PDF形式:533KB)
11~12ページ 食品検査の結果(理化学的検査)(PDF形式:541KB)13~14ページ 食品検査の結果(理化学的検査)(PDF形式:482KB)
15~16ページ 食品検査の結果(理化学的検査)(PDF形式:567KB)17~18ページ 食品検査の結果(理化学的検査)(PDF形式:558KB)
19~20ページ 食品検査の結果(理化学的検査)(PDF形式:613KB)21~22ページ 食品検査の結果(放射性物質検査)(PDF形式:654KB)
23~24ページ 食品検査の結果(放射性物質検査)(PDF形式:553KB)25~26ページ 食品検査の結果(食肉等の検査)、県内中核市保健所管内の食品検査状況(PDF形式:507KB)
【参考資料3-4】 第22回消費者安全専門調査会議事録抜粋(PDF形式:206KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、遅れておられる委員の方がいらっしゃいますけれども、時間がまいりましたので、始めさせていただきたいと思います。
 本日は皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会消費者安全専門調査会」第23回の会合を開催いたします。
 本日は、中川座長代理、齋藤委員、中嶋委員、横矢委員、戸部臨時委員が御欠席です。御欠席者が多いところで申しわけなかったのですが、6月は、どの日をとっても同じような状況だったので、きょうの日で設定をさせていただきました。
 それから、前回、御欠席でしたけれども、本日から、食品表示部会から澁谷委員に御参加いただいております。一言、何かございますか。

○澁谷委員 愛知県豊川保健所長の澁谷でございます。よろしくお願いいたします。

○原事務局長 ありがとうございました。
 それでは、議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 配付資料につきましては、議事次第と書かれた紙の裏側に載せておりますけれども、座席表がまずあります。
 資料1-1といたしまして、事務局で準備いたしました、「消費者安全専門調査会の今後の進め方(案)」です。
 資料1-2といたしまして、前回、委員から質問をいただいておりました質問事項についてということと、その回答。参考資料で3枚、その裏側からおつけしておりますけれども、回答の出典の資料ということでおつけしております。
 資料2-1と2-2は、「食のリコールガイドラインの提案」ということで、本日、ヒアリングをお願いしております公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会からの資料になります。
 資料3ですが、これも3-1がございまして、参考資料がついておりますけれども、群馬県健康福祉部食品安全局で御準備いただきました、「食品関係法令に基づく食品等の回収について」の資料になります。参考資料は、分厚いものですので特にナンバーを打っておりませんけれども、枝番1~3まで。参考資料3-4で前回の議事録をおつけしておりますのは、前回、東京都のヒアリングをいたしましたので、東京都がどういう話をされたかということを、参考のために見ていただければと思います。
 それから、席上に参考という形で置かせていただいていますけれども、今後の進め方についての案を事前に委員にお示ししておりまして、委員から御意見をいただいたものを一覧ということで準備させていただいております。
 もう一つ、傍聴の方には行き届いておりませんで、大変恐縮ですが、群馬県からの「食品表示ハンドブック」です。これはベストセラーになっておりますけれども、御提供いただいておりますので、御参考にしていただければと思います。
 審議の途中で、不足ございましたら、お申し出いただければと思います。
 それでは、松岡座長、議事次第をよろしくお願いいたします。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 本日の会議につきましては、公開で行います。議事録についても、後日、公開とすることといたします。
 それでは、早速、議事に入ります。

≪2.消費者安全専門調査会の今後の進め方≫

○松岡座長 議事次第2、「消費者安全専門調査会の今後の進め方について」ということで、前回の議論の再確認を行いたいと思います。前回の専門調査会での議論と、その後の事務局から送付された事務局案に対する皆さんの御意見、いろいろ出ておりましたが、それを踏まえまして、進め方の整理を修正いたしました。変更内容確認並びに方向性を認識してもらう目的で、まず、事務局より御説明をお願いいたします。

○原事務局長 資料1-1をごらんになっていただきたいと思います。前回、この専門調査会を再開したわけですけれども、どういうことで食品リコールを取り上げるのかということで、これまで、製品中心にリコールの現状、課題をやっておりましたので、それの別冊というような言い方をしておりましたが、前回報告書の補足の位置づけとして、課題を整理していってはどうかと考えております。
 資料1-1ですが、前回から肉付けした部分と修正をした辺りを中心にお話ししたいと思います。ページをあけていただきまして、3ページですが、食品リコールをテーマにしようと至った背景です。ことしの1月末、リコールについて報告書を取りまとめておりますけれども、この中で、「製品以外の食品、自動車、医薬品などの議論がまだ十分ではない、今後の課題」と挙げておりました。
 特に食品に注目したのは、消費者に非常に身近だということ。それから、食品に関する法令は各省庁に法律の所管がある。法執行は地方自治体。それから、自主回収もかなりやられておりまして、年間700~900件あるということです。
 内容につきましても、アレルギーの表示ミスで重篤な健康障害を引き起こす例、軽微な印刷ミスのようなところまで、幅広い理由で回収されている。件数とか、実施理由とか、そういう統一的な指標が余り明確ではないのではないかということで、食品リコールの現状を把握し、課題を整理してはどうかというふうに考えました。
 4ページは、「2.食品リコールの流れとヒアリング項目」ということで、ヒアリング項目については前回お示ししていたのですが、今回、この専門調査会でどこの議論をするのかというお話が出ていたものですので、今回の審議範囲を明確化いたしました。右側、判断・実施・終了、再発防止というところを視野に入れて、御意見をいただければと思います。
 5ページと6ページは、リコールの判断、実施の場面、終了、再発防止の場面に分けて、5ページの「リコールの判断」のところは、法令に基づくリコールと法令には基づかないリコールと分けて、そこでどういう判断がされているのか。課題があるのかどうかということ。6ページに入りますけれども、「リコールの実施」というところでは、リコールの範囲、協力体制、情報周知。それから、けさ、御意見をいただいたので、まだここに盛り込めていないのですが、齋藤委員から、(4)に、報道の在り方というのも加えてはどうかという御意見をいただいております。
 7ページと8ページは、余り大きく変更した点はございません。8ページでは日程だけお願いしておりますけれども、調整中ですので、空欄とさせていただいております。
 参考資料のほうですけれども、11ページ、12ページは前回お示ししたものです。
 13ページは、食品リコールの実施理由の分類方法というのを比較してみまして、FAMICと食品産業センター。食品産業センターのほうが詳細に分類されていますけれども、こういう分類のされ方をしているというのを抜き出してみました。
 14~17ページですけれども、実際にどんな理由で回収がされているのかというので、幾つかの事例を抜き出してみました。この後、NACSさんからのヒアリングでもお話があるところだと思いますけれども、規格・基準の不適合の事例1と事例2がありますけれども、事例1は、食中毒で死亡事故まで発生し営業禁止処分まで至った例です。その下は、健康被害は発生しない規格・基準不適合の事例です。
 15ページは、数字の不適切ということで、期限表示の誤記の場合です。
 16ページは、表示の不適切で、これはアレルギー表示の場合ですが、回収(着払い)+返金、事業者HP、販売店頭によるお知らせ実施ということです。品質不良について。
 17ページで、異物混入、包装不良というのを出してあります。
 いろいろな理由で食品リコールは行われていて、対応も、さまざまな対応のされ方をしているというので、事例として御紹介させていただきました。これを付記させていただきました。
 少しお時間をとって恐縮ですが、委員の皆様からいただいた御意見を席上に配付しております。まだすべて受け止めきれておりませんので大変恐縮ですけれども、意見一覧ということで、取りまとめのイメージのところでは、「明確にリコール基本法などの法的整備の必要性を念頭に置いた検討方針を持つべきである」という御意見。2つ目のところでは、「勉強会で終わってしまう可能性があるので、意見交換や実質的な検討が可能かどうか疑問」と。これは、検討の時間を設けてほしいということです。
 それから、「消費者委員会のほうで現状の課題を整理し、何を検討すべきかを提示すべきではないか」という御意見をいただきました。先ほどのものが、少しそれに答えたものではあります。4番のところで、「報道の在り方はどうか」というのを追加してはどうかということで、これは先ほど御紹介したところです。6番の御意見は、現在の法制度における課題ということで、「監視指導と回収の基準を同じ物差しでよいのかどうかを議論する必要があると思います」。7番は、「アレルギーを持つ人には確実に情報が行き渡り」、ここについては目配りしていただきたいという御意見でした。
 裏にまいりますけれども、9番の御意見は、最初の2行に書いてございますように、「いかに回収するかということよりも、回収の本来の目的である安全性を確保するための選択肢の一つとして回収を位置づけてから、対象や範囲を議論するのがよいように思います」ということで、こういうふうに分けてみてはどうでしょうかという、参考になる御意見をいただきました。13番の御意見は、流通事業者ですが、「プライベートブランドを持っている業者でも、商品にどこの連絡先を書いているかということでは考え方や対応が異なるのではないかと思います」という御意見をいただいています。
 これをすべて引き受けて今後の進め方の中には盛り込めていませんけれども、皆様からこういった御意見がありましたことは御紹介させていただきたいと思います。
 それから、前回の専門調査会で宿題をいただいておりまして、それも御紹介したいと思います。資料1-2をごらんになっていただきたいと思います。主なものだけで恐縮です。読んでいただければ大体わかると思いますが、法律の読み方のところ、数字が違う理由、公表に関する規定について、自主回収制度は東京都独自のものなのか、そうではないのかということで、これは、後ほど群馬県からお話をいただくかと思います。これは、回答等、資料を見ていただければ大体のことはおわかりになるのではないかと思いますので、このぐらいにとどめたいと思います。
 お時間をとりまして、大変恐縮です。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 食品を取り上げた理由、何を検討していかなくてはいけないか、その辺のことを明確に御説明いただいたと思いますが、それでは、御質問、御意見、よろしくお願いいたします。
 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 私も意見を出した中に入れてはいなかったのですけれども、ここまでいろいろ見てみますと、いわゆる食品のリコールとか、回収の健康被害だけであって、財産被害が何も入っていません。それをどうするかということも考えたほうがいいのではないか。法律が別々ですので、JAS法だと品質、食品衛生法だと健康被害になっている。では、景品表示法はというと、あそこには表示とかいろいろ入るわけで、やはり財産被害というのも大きなテーマで、そこをどう入れられるのかというふうに思っています。財産被害についても検討を進めたいと思います。
 それには、法律がばらばらなので、私は何回も言うようですけれども、リコール基本法のようなものをきちんとつくって、それに当てはめていくべきではないか。前回は製品で、今回は食品で、今度はサービスなのか何なのかという、そういうふうに行く前に、できたら基本法のような形で整理をし、いろいろな法律に落としていったらいいのではないか、という意見です。

○松岡座長 事務局、御意見はございますか。

○原事務局長 即答みたいになってしまいますけれども、うまく盛り込めるかどうかわかりませんが、確かに財産被害というのも視点としてあるかと思います。それから、製品をやって今度は食品やって、次は医薬品とか自動車とか、そういうことは余り考えてはいません。食品だけはちょっと特殊な感じがしたので、現状どうなのかというのを整理してみないと次のステップに行けないなというということで、これは、委員間打ち合わせでもそのように話をしたところです。

○松岡座長 ほかに何か御意見はございますか。
 それでは、佐野委員の御意見もありましたので、それも組み入れた形で、基本的にはこのような形で検討を進めていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○松岡座長 では、そういうことで、皆さん、よい議論ができますように御協力のほどお願いいたします。

≪3.食品リコールの現状について≫

○松岡座長 続きまして、議題3にいきたいと思います。本日は、食品リコールに関しまして、公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会、群馬県健康福祉部の二者へのヒアリングを行うことにしております。
 まずは、公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会、古谷常任顧問から御説明をいただきたいと思います。2010年2月に発表されました、「食のリコールガイドラインの提案」の説明をいただきます。説明は、申しわけないですが、15分程度でお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会古谷常任顧問 戸部委員の代わりにということで、説明をさせていただきたいと思います。資料は、パワーポイントの資料と報告書の資料がありますが、報告書の資料をもとに説明いたしたいと思いますので、資料2-2です。よろしくお願いいたします。
 まず、「はじめに」のところで問題意識を書かせていただいています。皆様、十分御存じのように、食品の回収が非常にたくさんなされている現状において、本当に消費者の安全が確保されているのだろうかという、まず基本的な問題意識があります。その食品の回収が、「持続可能な未来」、「持続可能な社会」という観点で考えたときに有効な回収になっているだろうかという2つの問題意識で、3パラにありますように、私たちは消費者問題を専門とする立場から、消費者の安全の確保とあわせて、環境負荷や経済的損失も考慮した「食のリコールガイドライン」を提案したいということで、調査をして、提案をしております。
 時間的経緯ですが、実は2009年から調査を始め、2010年に一度中間発表をし、2011年に最終報告という形で発表させていただきました。
 最後のパラにありますように、私たちだけで調査研究、提案をいたしますと、実態とかけ離れてしまう懸念もございますので、事業者の方々へのヒアリングも含め事業者の方に現状の調査について御協力いただく形で進めて、実行可能なものにするように進めていったものになります。
 次に、3ページに「食のリコールガイドラインの概要」として6つの内容を提案しております。あとで詳細を一つずつ説明いたしますが、まず項目として、1つ目としては、健康被害の可能性があるかどうかで、回収するかどうかを決めるべきではないだろうかという提案です。
 2つ目の基準として、事業者は、従来の基準に加えて、経済的損失や環境配慮を考えるべきだということです。
 3つ目は、回収の判断主体は事業者とするということです。ここはいろいろな考え方があろうかと思いますが、情報を一番持っている事業者が自ら主体的に判断すべきであるということです。もちろん、そのための条件というのはありますが、それはまた後ほど述べます。
 4つ目は、回収することだけで、消費者の安全が確保されるわけではないので、事業者と行政が、消費者への注意喚起や消費者の適切な行動を促すものにしていかならなければいけないということを提案しています。
 5つ目は、事業者は説明責任を果たすということです。これも詳しくは後で述べますが、現状を説明責任という観点で考えたときには十分ではないということで基準としました。
 6つ目は、データベースです。これは簡単ではないのですが、適切な回収の実効性を確保するためにはそのためのデータベースが必要という形で提案をしています。
 次に、4ページで、リコールガイドラインを提案するに当たって、実はリコールの言葉がかなり広く使われているということで、そこの定義づけをしっかりする必要があるということでの説明の記載になっています。まず最初に、「リコール」というのは、何か問題があったときに、商品による影響を最小限にするための必要な是正措置というということで、かなり広い範囲を含めて定義をしました。
 その上でマル2の「回収」というところですが、消費者の手元から回収することをまさに回収ということにし、もう一つ、新しい提案として、「新規販売停止」というのを加えました。これは、消費者の手元からの回収というのは必要ないけれども、何らかの法令違反や問題があって、新規に売ってはいけないというものを別にしたほうが有効ではないかということで挿入しています。
 次に、先ほど6つ述べましたガイドラインの一つずつ、これも概略になりますが、説明をしていきたいと思います。
 まず、ガイドライン1について、回収そのものの判断基準は、消費者への健康被害の可能性があるかどうかで決めるべきではないかということです。解説にあるように、現実の日本で行われている食品の自主回収がかなり広範囲な理由に基づいて行われておりまして、健康被害がないものもあったり、法令違反があったりなかったり、いろいろなパターンがあります。最初に問題意識で述べましたように、現在のものが望ましい解決法とは言い難いのではないかと考えています。
 この提案をするに当たっては事前調査をしております。別添資料になっていますが、18ページになろうかと思います。NACS調査と書いてあるか所である。今から見ますと少し古い資料になっていますが、健康被害と法令違反を軸に4つのカテゴリーに分類して、例えば左側の一番上は、健康被害があって法令違反はない。その下は、健康被害はない、法令違反もない、どちらもないというものです。右上は、健康被害のおそれがあって法令違反もある。右下が、健康被害がなくて法令違反はあるという形で分類しましたところ、健康被害の可能性のあるものは全体の約4分の1になっています。
 厳密に言いますと、例えば、回収をするときに企業が社告などで公表しますが、それを見て判断をしたため、上記の分類ができないものが数多くあるため合計があわなくなっています、これらがわかったもののうち、健康被害のあるものが全体の約4分の1ということです。
 それでは、5ページ、ガイドライン1の説明に戻っていただきたいと思います。このような現状の中で、回収は、消費者の安全を確保するということが一番大切ですので、健康被害の有無を基準とするとしています。では、回収という措置だけでいいかというと、回収は、消費者の手元から回収する以外にも新規販売停止を提案しています。法令違反などをそのまま売り続けることになるからです。回収そのものは、健康被害の有無で基準を設け、それ以外については、新規販売停止という形での措置という形で解決できるのではないかと考えました。以上が、健康被害の有無での判断基準で回収を行うべきだということの内容になります。
 先ほどの調査の結果を見ていただいてわかるように、例えば、残留農薬や抗生物質等の基準違反という問題について、ADI(1日摂取許容量)との関係で、それを超えるのは法令違反ではあるけれども、必ずしも健康被害ではないというものもある。
 あるいは、毛髪、紙、ビニールという形で異物混入について、健康被害のあるものもありますけれども、健康被害がないのに回収しているものもあるということです。何でもかんでも異物であれば回収すべきとするのは、最初の問題意識からすると望ましくないのではないかということになります。
 また、賞味期限の印字ミスなど、確かにミスという形で法令等の問題はありますが、健康被害ということで考えたとき、健康被害にかかわらないものまで回収する必要があるのだろうかということで、最終的に私たちの判断は、回収の判断基準は健康被害の可能性があるかどうかとすべきで、そのほかの付随する問題は、別の解決方法を取るべきという提案をしています。
 3番目に「課題」と挙げていますが、このときに難しいのは、事業者がなぜ健康被害にないものまでも含めてやっているかというと、法令に抵触すると回収せざるを得ないという実態があり、回収をしてしまうということがあるので、実は法令との関係が解決すべき課題ではないかと考えております。
 米国の事例等は、時間もあるので簡単に言いますと、米国、海外の事例は、基本的に健康被害を基準にして決めているところが大きく日本と違うところです。
 7ページは、「事業者は環境配慮および経済的損失に配慮する」ということです。これは説明するまでもなくおわかりいただけると思いますが、現在行われている回収が、環境配慮、経済的損失まで考えているかどうかというところは疑問もありますので、これを一つ、ガイドラインとして提案すべきだろうと考えました。
 8ページの調査についてあとで参考にしていただきたいと思います。先ほどの消費者委員会の資料にもありましたが、どれぐらいの自主回収があるかというのも調査しております。
 真ん中に表がありますが、これは事業者の調査結果を利用したものです。消費者の意識についての調査結果になっています。「リコールした食品を廃棄するのはもったいない」などの意見が表れています。環境意識や経済的損失などについて消費者の現状がしめされています。
 食品ロスの現状についての記載もありますが、現在では十分認識されているところだと思いますが、食品ロスの問題が今の日本での社会的な課題になっているということの調査結果になっています。
 9ページは、「回収の判断主体者は事業者とする」ということで、ここは、事業者が責任を持って判断してほしいというところです。ただ、最初に述べたように、事業者に任せて問題はないのかというともあろうかと思いますので、適切な判断するための提案をしています。
 私たちが提案したものは、例えば、判断部分の明確化であるとか、どういう判断材料でそれを判断したのかを事前に決めておく。あるいは、情報が的確に上がってくる仕組みをきちっとつくっておく必要がある。それと、「事業者としてぶれない判断」も提案しています。これが、現在、事業者の業界の中でも基準というのは既にありますが、場合によっては消費者の無理な要求もあったり、社会のあつれきで回収せざるを得ないこともあり、結局、基準はあっても判断が変わってくることがあるということです。消費者の要求に沿うことがかえって消費者のためにならないということも、実際にはありますので、ぶれない判断をしてほしいということで、判断過程を明確にする、それを明文化するということを提案しております。
 その上で、「事業者全体で統一された判断に基づく実施」ということで、事業者ごとに判断の基準が違うことのないようにしてほしいということです。例えば望ましいとされたガイドラインが提案されたとしても、判断がぶれることによって、最終的には変わってしまうことにならないようにということです。
 「消費者と事業者との信頼性の醸成」というところは、情報の開示であるとか、消費者教育を事業者にはやってほしい。消費者団体もやらなければいけないことですが、消費者教育にも力を注いでほしいということを提案しております。時間の関係でここは省きます。
 11ページにガイドライン4ということで、「事業者と行政は消費者への注意喚起と適切な行動を促す」ということを入れました。現状の消費者へのリコールのお知らせや注意喚起については、事業者あるいは行政ともに十分ではない、お知らせはしているけれども、適切な行動を促せないものになっている現状もありますので、注意喚起とともに、消費者が適切な行動ができるような形で、あらゆる手段を講じてほしいということを提案しております。
 11ページから12ページにかけて、「わかりやすく伝えるための提案」ということで、例えば「リコール分類マーク」、赤い丸と黄色の三角という形を提案しています。現状では、食べていいのかいけないのか、法律違反があるのかないのか、あるいは、情報提供だけなのかどうかなどを、明確にマークなどで示すといいのではないかということを提案しています。
 13ページにガイドライン5ということで、「事業者は説明責任を果たす」ということを入れました。これは、問題発生時にリコールをしますということで、社告なりホームページなどで報告はせざるを得ないということで、していますが、その後、消費者に進捗を報告しているか、たとえば回収が終わったときに、どのように責任を果たしたのかということをきちんと説明しているかというと、実は説明していない。事業者は行政には説明をしています。でも、本来、利害関係者で最も重要なのは消費者であり、消費者への十分な説明が大事なので、説明責任をきちんと果たしてほしいということを述べております。
 14ページは、全体の今まで言ったことをフローにして、わかりやすく提案しております。
 15ページですけれども、ガイドライン6ということで、今まで提案したガイドラインを適切に有効にやっていこうとすると、データベースが要ると考えています。具体的な活用の仕方として、データベースがあることによって、例えば事業者が回収をするとき、今まではどうだったかとか、メディアがそれを利用するときとか、消費者が利用するというような形の活用の仕方が考えられます。
 リコールについて、今までのやり方でいいのかどうかということを、例えば、消費者団体などがデータベースにもとづいて常に検証・評価することが可能になるのではないかと思います。今後、よりよいリコールをしていくということで考えれば、データベースが将来的には必要になるのではないかと考えています。
 そのほかの詳しい調査とかもありますが、時間の関係で質問などをお受けしながら、補足などをさせていただきたいと思います。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 それでは、今の御説明に対して、御質問、御意見のある方はよろしくお願いいたします。
 澁谷委員。

○澁谷委員 丁寧な御説明、ありがとうございました。このガイドラインの中で使っている事業者というのは、製造業者という意味で、その会社にかかわる流通の業者は入っていないと考えていいのでしょうか。
 それから、9ページから10ページにかけて、業者全体で統一された判断基準を持つべきだということの中で、それぞれの自治体の条例等でその判断基準が左右される部分があって、全国で統一的な基準をつくったとしても、やはり最終的にはどこの自治体にある企業かということで、その判断基準、あるいは、全国ネットの企業かどうかということで変わってくるのではないかと思います。その辺のことについて、何か御示唆いただけるようなことはありますでしょうか。

○松岡座長 よろしくお願いします。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会古谷常任顧問 最初の事業者ですが、私たちは基本的には、製造事業者と流通業者両者を含めております。なぜかというと、メーカーだけの責任にしますと、流通業者の考え方、やり方が、かなり実際のメーカーのリコールなどに影響しておりますので、基本的には責任主体ということから考えると、流通業者も同様に同じような目的で責任を果たすべきだと考えております。
 2つ目の統一したガイドラインですが、これは、全国区であろうが、地方特有の企業であろうと、基本的には一つにするべきだと思います。逆に言うと、統一した適切な基準が設けられたとしても地域別に設けることでその基準が崩れていく可能性があるので、基本的には統一した基準を行政も持つべきだろうと思いますし、事業者も持つべきだろうと思います。
 ただ、現実には商品によってはかなり違ってきます。そこで、例えば、行政というのは大枠な基準にならざるを得ないので、その大枠の基準のもとに、事業者なりが業界ごとにより詳細な基準を設けていく必要はあろうかと思います。

○松岡座長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 どうもありがとうございました。私、古谷さんの説明を聞いていて理解したのは、法令違反だが、健康被害がなければ回収する必要はない。よく社告などに出ているのは、例えば、海外では許可されているけれども、日本ではこの添加物は使ってはいけない。「大丈夫だけど回収する」という、私たちには非常に理解しづらいものがあるのですけれども、それをどう思われるのかということ。
 もう一つは、最初に申し上げたように、健康被害だけではなくて、食品リコールは財産被害も考えるべきだと思っているのですが、その辺りをどうお考えになるのか、お聞かせください。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会古谷常任顧問 ありがとうございます。まず、最初の法令違反云々との関連で言うと、私たちの主張が非常に誤解されやすいのですが、回収する目的というのは、やはり消費者の安全確保を大きな目的にすべきだと私たちは考えていまして、法令違反かどうかではないのではないかと思っています。法令違反があっても責任はないのか、ということとは別問題だと思っています。それはきちんと説明すべきですし、社告がいいのか、別の形がいいのかは別にして、法令違反についての責任はとるべきだし、消費者に説明すべきだと思いますが、回収するかどうかということになると、まさに健康被害に問題があるものだけを回収することによって、例えばよくわからないものが回収されて、本当に重要な、重篤な、場合によっては被害が起きるかもしれないというのが埋もれてしまう。そういうことがないように、そういう観点で私自身は法令違反を基準にすべきではないと考えております。
 2つ目ですが、財産被害。今、私自身も初めて問題意識として伺ったのですが、この考え方からすると、財産被害も別途考えるべきだというふうに思います。これでリコールをすべきだとは思いません。なぜならば、最初の問題意識であるように、消費者の安全確保が第一。それと、このままの現状だと、ありとあらゆるものが回収されて、それが環境負荷を与えたり、経済的損失を与える。経済的損失というのは、もちろん事業者の経済的損失になるとは思いますが、最終的にはコストが上がることで消費者にも影響がかかってくると考えております。そういう全体的な視点から考えると、財産的被害は重要な救済すべき問題ではありますけれども、リコールするか、回収するかどうかという形では、やはり安全、健康被害を基準にして考えるのが妥当ではないかと私は思います。

○松岡座長 佐野委員、どうでしょうか。

○佐野委員 世の中の市場にいわゆる法律違反の食品がたくさんあっても、健康被害にならなければいいということなのですか。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会古谷常任顧問 そこが誤解されるのですが、そこで新規販売停止というのを挙げたのは、回収というのは、消費者の家庭にある、手元にあるものを回収するかということなので、現実に法令違反があっても、健康被害は全く関係ない。もちろん、消費者に対しておわびをしなければいけなかったり、何らかの説明をしなければいけないことは事実です。でも、それを回収するかどうかと考えたときには、それは必要ないのではないかということです。
 ただ、法令違反が現実にあるのに、今から流通に置けということまでは言っておりません。販売を続けたり、流通に置くべきではありませんし、それは止めるべきだと思います。しかし、手元にあって、健康被害に何の関係もないにもかかわらず、法令違反という言葉だけで、わざわざそれを事業者のところに持っていく必要があるのかどうかということです。

○佐野委員 健康被害になるかならないかというのは、わからない。法律でここまでだということを決めているわけで、それ以上のものが入っている場合に、健康被害にあるかないかというのは人によって違うのではないか。だからこそ法律で決めているのではないかと思うのです。それを、どうでもいいように言われると、世の中にそういう商品があふれてしまってもいいのか。要するに健康被害にならなければ、法律違反のものが出てしまってごめんなさいで済むのかというと、私はそうは思いません。法令違反というのは、それは越えてはいけないというふうに考えるべきで、そこが一つの線引きになるのではないかと私は思います。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会古谷常任顧問 趣旨はよくわかります。事業者の責任を不問に付す意味では私は使っておりません。手元から回収するかどうかの基準を私たちは言っていて、私は法令について全部周知しているわけではないので、間違っている可能性もありますけれども、法令は安全の基準だけで決められているわけではないと思います。例えば、消費者の選択という意味での法令の基準もあろうかと思いますし、必ずしも安全がすべてではないので、回収するかリコールするかどうかというのは、まさに安全ではない、健康被害をもたらす可能性があるから回収するというふうにするのがいいのではないかと考えています。
 もちろん、佐野委員が疑問を持ったり、不安に思ったりすることは、私も事実思っておりますし、それは別途、どういう形で事業者に責任をとってもらうのがいいのかというのを考えなければいけないだろうと思います。あくまでもリコールに関してはそういうふうに考えているということです。

○松岡座長 中村委員、どうぞ。

○中村(均)委員 どうもありがとうございました。今のお話は、私は事業者側ですが、事業者としては、物をつくるときに法律というのは非常に重要で、それをクリアーしないものを出すことは事業者側の良心にとがめるわけです。我々としてはNACSさんのお考えはわかりましたけれども、やはり法律違反はリコール対象だと思います。そうでないと、何を基準に物をつくっていいかわからなくなります。無駄がいっぱいあるとか、いろいろあるでしょうけれども、健康に影響しないならば、法律を改正するほうに動くべきであって、その法律が生きている間は、法律違反もリコール対象にすべきという意見でございます。

○松岡座長 私からも質問ですが、そうしますと、健康被害なし法律違反ありの場合には、店頭からすぐ収去するということですか。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会古谷常任顧問 今後、売ってはいけないということなので、店頭からは回収してほしいと思います。

○松岡座長 12ページにマークが4種類あって、右下のマークがありますね。これは使う場所がないということですか。店頭にはもう商品はないのですから、家庭にあるものにわざわざ貼るわけではないわけですね。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会古谷常任顧問 消費者にとっては、家庭にあっても、この商品がどういうような問題があるか。それはまさに利害関係があると思います。知る必要があると思います。

○松岡座長 そうしますと、回収はしないけれども、このマークを配布するという考えですか。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会古谷常任顧問 配布するか、お知らせのときにきちんと明記すべきであると考えます。

○松岡座長 わかりました。
 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 10ページ、ガイドライン3の説明の上から3行目に、「事業者全体で統一された判断基準が必要である」と。実際にこういう判断基準が設けられていれば非常にわかりやすくなるだろうとは思いますけれども、こういう判断基準を取りまとめるプロセスとか、どういう形で取りまとめられると思っていらっしゃるか、その辺のイメージはいかがでしょうか。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会古谷常任顧問 従来、事業者が業界で取りまとめているのは、基本的に事業者だけで決めているので、やはり専門家であるとか、利害を持つ消費者側というのを参加させた上でのガイドラインはつくるべきだと思います。

○松岡座長 鶴岡委員、よろしいでしょうか。

○鶴岡委員 はい。

○松岡座長 ほかに御意見、御質問、ございますでしょうか。
 小幡委員、どうぞ。

○消費者委員会小幡委員 いろいろありがとうございます。確かに、ただ回収するというときに、消費者の立場から、どういう理由で回収されるのかを知りたい。単に回収というと、健康被害の重篤なものの回収と表示が間違っていたものの回収と、区別ができないので、回収について、協力する姿勢といいますか、消費者のほうからもどの程度注意して対応するかについても渾然としてしまう。そういう問題点もあるのではないかと思って伺っていたのですが、やはり気になるのは、佐野委員のおっしゃるように、例えば表示が間違っていた。原産地が国産だと思っていたら違っていたという場合、健康被害はないかもしれませんが、それは消費者としては買いたくなかったということは当然ございますね。そういうものについて、どういうふうにお考えでしょうか。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会古谷常任顧問 ガイドラインとしては、今回、私が説明したような趣旨ですけれども、現実に選択するときに、その産地だったら買わなかったというのが、場合によっては財産的被害になるのかもしれませんが、やはりそれは別途手当する必要はあると思います。
 ただ、回収するかどうかという観点は、あくまでも安全なり健康被害にしないと、確かにおっしゃるように、法令違反で全部回収してしまうと明快は明快です。ですが、もっと違う利益を考えたときに、私たちは問題なのではないかと考えます。本当に食品の回収というのは多くて、こんなものまでというようなものが多かったり、本当に大事なものが埋もれているのではないかというのを、いろいろな回収事例を調べたときに実感したのです。そういうことを含めたときに、回収のお知らせを見たときに、自分たちの身を守るという観点から考えたときも、明快に健康被害があるかどうかを基準にして、その後、事業者の責任であるとかいうのは別途の考慮をしてくれたほうが、確実に消費者の安全は守られるのではないかというふうに私たちは考えました。

○松岡座長 よろしいですか。

○消費者委員会小幡委員 なかなか難しいところですね。回収義務を課すとか、その辺りの問題なのかと思いますが、ただ、消費者としては、このようなものであれば買いたくなかったから回収してほしいという希望というのは、健康被害でなくてもあり得るわけです。それをどのように回収という同じ言葉で区別するか、あるいは、ここでおっしゃっているような多少の分類がさらにできるかという問題ではないかと思って伺いました。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会古谷常任顧問 ちょっと補足させていただければ、基準として決めるのは、今、言ったような基準で妥当だと思いますけれども、例えば消費者の不利益が生じたということであれば、それは事業者が、例えば申出があったときに、不満なり苦情の解決として取りかえるなり返金するというのは、自主的な取組みとして決して私は否定しておりませんし、むしろそうすべきかもしれません。
 ただ、それと、統一的な基準を決める際にすべてやれということとは、やはり明確に区別しないといけないだろうと思います。何をこのガイドラインで目指すのかということです。それを考えたときには、違反していて問題があるから全部回収しろと迫るのではなくて、本当に目的に沿ったものを回収して、責任については別途考えるというふうにしたほうが、より消費者の安全が確保されるのではないかと考えたことからの提案です。

○松岡座長 田澤委員、どうぞ。

○田澤委員 私は消費生活相談員をしているので、今のNACSさんの提案というのはとてもよく理解できる。というのは、おっしゃるように、環境負荷とかいろいろ考えない。そして、大事なことが、例えば社告などでもたくさんあるから、埋もれてしまって知らなかった。逆に、ほかのことで何でもない、という言葉は語弊がありますけれども、そのようなことでも全部リコールにすべきだと、大変力を込めて主張する相談者の方がいる。そういう方たちの御意見をどのように整理していくかということに時間をかけている現場の感覚から言うと、とてもよくわかるし、石を投げたことだと思うのです。法令に違反しているものも回収しないと書くのは、とても勇気の要ることだろうと思うので、私は、この調査会で検討するときの、石を投げられた、と言うと語弊がありますけれども、そんな形でまた委員で議論していったらよいかなというふうに思います。

○松岡座長 中村委員、どうぞ。

○中村(均)委員 関連して、いただいた資料の18ページに「健康被害と法令違反との関係による分類」がございます。私は、法令違反のほうは割合わかりやすいと思うのです。先ほどお話ししたように、法令違反をしたか、していないか。ところが、健康被害の低から高というのがどういうニュアンスで書かれているのか、教えてほしいのです。我々が一番気になるのはここなのです。要は、健康被害でもそれほど問題にならない、要するにリコールまでいかないのではないかと。健康被害でも、死者が出るというのは大変なことで、それは当然リコールですが、ここの縦軸の尺度というのはどういうふうにお考えなのか、教えていただきたいと思います。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会古谷常任顧問 
正直言いますと、これは調査をするときに私たちも大変悩んだところです。異物混入などの例がわかりやすいかと思いますが、海外だと大きさで決めています。小さくて飲み込んでしまっても、例えば器官等が傷つくおそれがないものは、基本的には健康被害がないのではないかということで回収しないのです。でも、日本は、異物混入は、髪の毛が入っていたということでも回収します。そのようなことを検討しながら、その事例が本当に健康被害のあるものかどうかということで、1件1件、洗い出してやって判断しました。
 もちろん内容によって、カビの発生などは物にもよるだろうし、量にもよるので、実際の事例をもとにわかるものはそれで調べていった。わからないものはここに入っておりませんので、少なくともこの事例の中で、カビであれ異物混入であれ、ここは健康被害がないものだったということで分類しております。ここだけ取り出すと、問題のあるものも入っていそうな感じがすると思いますが、私たちは具体的にそれを調べてわかる範囲で分類をしましたので、あくまでもここには健康被害がないものとして入れています。

○松岡座長 ちょっとお聞きしたいのですが、食品ですと、消費まで非常に短時間で行うものも中にはあります。そうした場合には、回収の迅速性とか、これが危ないという判断をするための迅速性、その辺が必要になってくると思いますが、その辺のことについてはガイドラインにうまく記載してあるのでしょうか。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会古谷常任顧問 例えばそういう問題を事業者も瞬時に判断しなければいけないので、それがデータベースに役立つのではないか。例えばこういうものに関してどう考えるべきかというときに、自社だけの例を考えてしまうと、つい過剰になったり、逆になかったりということがあるので、そこは積み重ねていって、問題があるのかないのか、これはすべきなのかというところをデータとして残していくことで、瞬時に適切な判断が徐々にできていくのではないかと思います。いきなりは難しいと思います。

○松岡座長 回収体制についてはどうですか。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会古谷常任顧問 回収体制については、事業者が責任を果たすという意味で、判断部分は当然要るし、判断基準を設けていると思いますが、それを公開しているところは余りないのです。基本的にそれが消費者など外部にわかる形で、その判断がいいのかどうかも含めて評価をされる体制になることで、事業者がより適切な判断基準に持っていくだろうというところも期待して、体制づくりというのを提案しております。

○松岡座長 それから、これは出てから2年ちょっとたっています。その間、活用とか、どのような反響になっているとか、その辺はどうですか。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会古谷常任顧問 当初、事業者の方が協力してくれたのも、実は事業者では基準を決めているけれども、第三者性といいますか、信頼性という意味でなかなか実行できないので、私たちに協力してくれたのだと思います。そういう意味で、事業者はすごく参考にしてくださいました。しかし、やはり一消費者団体が提案したのに我が社は従いますといっても、ほかの社が従わなかったときは、逆に不利益になることもあるので、なかなか使いにくいということを事業者の方から伺いました。そういう意味で、公に基準ができることでこれはうまく機能するのではないかということで、事業者の方はおおむね好評だったと思います。
 あと、自治体にも幾つか伺いまして御説明したときにも、基本的にはこれがいいのではないかという御意見をいただきました。

○松岡座長 ほかに何か御意見はございますか。
 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 要望ですけれども、こちらのパワーポイントのほうの12ページに、「参考:自主回収に関する情報提供」というのがあります。そこに是非、写真か図柄を入れておいてくださいというお願いです。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会古谷常任顧問 わかりました。

○松岡座長 どうぞ。

○鶴岡委員 先ほどの事業者全体で統一された判断基準の件ですけれども、これが発表された後、作成というのは進んでいるのでしょうか。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会古谷常任顧問 基本的には事業者の方は賛成だと思います。また、自分たちも基準を持っていますけれども、例えば公の基準にならない限り、自分たちがそれをつくっていくのは難しいということで、内々には賛成でも、公にならない限りは、それに基づいてつくるのは非常に難しいということを言っていらっしゃいます。

○鶴岡委員 公になるというのは、例えば行政が絡むとか。

○公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会古谷常任顧問 そうです。

○鶴岡委員 わかりました。

○松岡座長 どうもありがとうございました。まだいろいろと質問はあると思いますが、この辺で打ち切らせていただきます。
 どうもお忙しい中、おいでいただきまして、ありがとうございました。

(説明者入れ替え)

○松岡座長 続きまして、群馬県健康福祉部食品安全局より、食品衛生法に基づく行政指導や回収事例等、群馬県の実情について、御説明をいただきたいと思います。

○群馬県健康福祉部食品安全局大澤食品安全局長 群馬県健康福祉部食品安全局長の大澤でございます。
 きょう、群馬県がヒアリング先に選ばれたというのは、全国食品安全自治ネットワークというのがございまして、そこの事務局を預かっているということでお聞きしています。ネットワークは平成14年に設立いたしまして、現在、47全都道府県と3政令都市に中核市で構成いたしまして、自治体間の情報交換、ホームページの運営、年1回の全国会議や、本日、委員の皆様にお配りしております「食品表示ハンドブック」、この作成などを行っております。
 「食品表示ハンドブック」については、現在、食品表示にかかわる三法に分かれている制度を各地方自治体では運用しているわけですけれども、必要に迫られて消費者のためのわかりやすいハンドブックを作成いたしまして、その結果、好評を博しているということです。今後、食品表示の関連法令が一元化されるときは、是非、消費者庁のほうでつくっていただきたいと切に要望いたしまして、きょうは特別に持ってきましたので、皆さんごらんになって、よろしくお願いいたします。
 本日は、食品リコールの現状を把握して整理するというテーマのもと、食品リコールはどういう基準、判断で行われているか。また、食品の特性に応じた消費者への情報周知はどうすべきかをヒアリング項目として伺っております。説明は、全国自治ネットワークを代表する意見ではなく、あくまでも群馬県の意見としてお聞きしていただければと思います。
 現状の説明になろうかと思いますので、あとは係長から説明をお願いいたします。

○松岡座長 それでは、説明にいきますが、参考資料3-4で、前回の東京都の議論の抜粋、詳細な議事録がありますので、もし参考にしていただけましたら見ていただきたいと思います。
 説明は20分ぐらいでお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。

○群馬県健康福祉部食品安全局衛生食品課手塚補佐 群馬県衛生食品課の手塚と申します。
 私のほうから、資料3-1により御説明させていただきたいと思います。
 食品関係法令に基づく食品等の回収について、群馬県の食品衛生行政の体制から御紹介させていただきます。
 群馬県は、知事を議長とする部局横断型の「食品安全会議」というものを設置しております。食品衛生は最も重要な行政課題の一つという認識のもとに、全県庁内の総合行政という形で対応しているものでございます。食品安全会議の事務局は食品安全局に置いておりまして、食品安全局の中には、消費者向けに食品の安全等の情報提供を担当しております食品安全課と、主に食品の取締りを担当しております衛生食品課の、2課の体制で行っているところでございます。
 次のページにいきまして、「食品供給行程の各段階でのチェック」と題しておりますが、参考資料で「データブック」というものをお配りしております。こちらの1ページ目がこちらと同じ内容になっておりまして、食品衛生行政は、食品供給の全行程でチェックがかけられているということでお示ししているものでございます。ただ、我々の部局は流通関係にのったものが対象となりますけれども、農産物の生産段階においても、いわゆる農政部が出荷までの管理を行っているというところで、全行程でチェックを行っているというものでございます。
 我々のチェックの仕方というのは、食品等の収去検査というものによります。その次の資料でございますが、食品の収去検査は食品衛生法第28条に基づいて行うものでございまして、検査項目としましては、規格・基準を検査項目としております。逆に言うと、規格・基準以外の検査項目は行っていないのが実際のところでございます。
 検査機関は、検査の信頼性の確保が図られた検査機関に限られております。
 検査の計画というのは、都道府県は監視指導計画というものを毎年度当初に立てておりまして、これに基づいて計画的に行っているという内容でございます。
 収去検査の中身につきましては、先ほどのデータブックの中に、詳細な検査項目あるいは検査結果をまとめて掲載しております。
 次のページにいきまして、回収の話になりますけれども、収去検査で違反品が見つかったとき、それが不良食品の発見、また検査によらず、体調を崩された方がいらっしゃって、食中毒のようなケースでございますが、そういった健康被害を発生した場合に不良食品の探知が行われたという形になります。これを端緒にしまして、食品の製造所が県内にある場合には、群馬県の保健所が現地に参りまして立入りの調査をし、原因を特定した後に、回収命令や廃棄命令、または営業停止等の行政処分が行われております。また、食品の製造所が他の自治体にある場合には、管轄する自治体へ通報しますと、同様の措置がとられるような連携した体制が全国でとられています。
 不良食品のうち食中毒にかかわるものにつきましては、厚生労働省が食中毒処理要領というものを示しておりまして、これをもとにして群馬県では食中毒対策要綱というものを定めております。これは、各自治体において同様に地域の実情を踏まえて、それぞれの対策要綱なりを設けているところでございます。現在、食品の流通は非常に広域化していることから、厚生労働省は本年3月29日付で、広域または大規模な食中毒の対応について、この食中毒処理要領の一部改正を行ったところでございます。それに合わせて、本県の食中毒対策要綱も一部改正をしたところでございます。
 次に、回収命令のお話をさせていただきたいと思います。回収命令というのは、不良食品のうち、飲食店等で提供された食事というものでなく、いわゆる加工食品であった場合に保健所長から回収命令がかけられます。この回収命令につきましては、回収状況や回収結果について、製造者に保健所長が報告を求め、確実に行われるように行政が関与をしているものでございます。
 回収命令の対象となりますのは、行政機関によって違反事実が確認されたものだけになります。ですから、違反した範囲を特定して、それと同一のロットと認められるものだけが回収命令の対象になっています。自主回収は、自主検査などによって製造者が食品衛生法の違反のおそれがあると気がついた場合、自主的に回収を行うというものなので、特に回収結果などについての報告は積極的には求めておりませんけれども、いずれにせよ、行政の助言指導を受けて円滑に実施するべきと考えております。
 回収命令につきましては、食品衛生法の違反の形態がさまざまですし、また、それの公衆衛生に与える影響の大きさも大小さまざまですので、どうしても目的裁量という余地があるのが実際でございます。ただ、合理的な範囲で多種多様なものに類型化していくことが必要だと考えておりますので、実際に我々が使っております7つのチェック項目というのを、ここに掲げさせていただきました。この7つの質問をチェックリストとして、優れた目的裁量を行う努力をしているところでございます。
 続いて、JAS法に関するお話をさせていただきます。食品衛生法とJAS法への対応は実は全く違いまして、JAS法においては回収命令という規定がありません。実際にJAS法ではどういう対応をとっているかということですけれども、JASに基づく表示違反の対応につきましては、農林水産省から「指示・公表の指針」というものが示されています。この指針に基づいて行っておりますが、基本的には、指示・命令によって表示違反については対応するというのがありますけれども、資料の2ポツにあるとおり、「軽微な違反で、常習性がなく過失による一時的なもので、直ちに改善方策を講じている場合は『指導』」ということになっております。
 この改善方策の中に、商品の撤去、または、自主回収などが含まれていますので、実際に指示・命令の対象となっているものは悪質な偽装表示のようなもので、偽装表示の場合は警察に告発するケースもございますので、JAS法違反は非常に目につきにくい形にはなっているかと思っております。
 次のページに移ります。回収命令がかけられた場合の情報提供について、御紹介したいと思います。回収命令が行われますと、報道機関への資料提供と県ホームページに掲載するとともに、当該品が流通している流通先の自治体に情報の送付を行っております。消費者からの問い合わせには、各自治体において対応していただけるような連携が図られていると思っております。
 自主回収では報告がどうなっているかということですが、事業者から自主回収の申出があった場合には、自主回収情報について、県のホームページを通じてこの情報を提供するシステムというものを運用しております。参考資料でシステムの紹介をしたものをつけさせていただいております。また、回収品が流通先となっている自治体へは、自主回収情報として情報提供をし、同じように消費者の問い合わせには対応していただく形になっております。この自主回収情報提供システムは、自ら新聞の広告とかそういうものが打てない規模の小さな事業者の方が、自主回収を円滑に効果的に行うために、行政が支援するシステムとして運用しているというふうにお考えいただければと思います。
 では、全国食品安全自治ネットワークについてです。食品は県境を越えて広域に流通しているということで、今までも、他自治体との連携のお話をさせていただきましたが、そういった情報交換や連携を目的に平成14年から、自治ネットワークというものを群馬県が事務局となって運営をしているところでございます。
 具体的には情報交換が主ですけれども、一つの地域で発生した課題はやはり全国共通の課題ということになりますので、御紹介した「くらしに役立つ食品表示ハンドブック」というのは、表示制度の正しい知識の普及を目標としまして、この自治ネットワークを通じて、21道府県の連携事業として作成したところでございます。おかげさまで好評をいただいておりますので、最後に御紹介させていただきました。
 説明は以上でございます。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 それでは、御質問、御意見、お願いいたします。
 最初に口火で、参考資料の10ページの自主回収システムですが、これは、中小のところが自分たちでできないのを県のほうが支援してくださるというお話です。これは、基本的にはこちらにお願いすれば無料で載せてもらえるということなのでしょうか。

○群馬県健康福祉部食品安全局食品安全課浅野補佐 無料で掲載しております。全く負担は求めていないです。

○松岡座長 片山委員、どうぞ。

○片山委員 同じ10ページですが、この回収情報のページは実際に消費者の方にどの程度利用されている現状にあるか、もしわかれば教えてください。

○群馬県健康福祉部食品安全局食品安全課浅野補佐 わかりやすいので言うとアクセス数だと思いますけれども、どれくらい見たかというのを昨年度の例で言いますと、月平均1,469アクセス、年間で1万7,630です。

○片山委員 もう一点、9ページに記者発表の例が挙がっています。食品の場合、消費者が本当に安全を確保するために、必要な範囲の情報は漏れなく出さないといけないし、消費者が過大にリスクを受け止めるような報道も大変問題だと思いますが、記者発表をする際に常に配慮されている点というのがあれば教えてください。

○群馬県健康福祉部食品安全局衛生食品課手塚補佐 字が小さくて申しわけないのですが、記者発表例の下のほうに、クラス1~クラス3ということで危害情報のクラス分類を行っております。これは、これを食べたからといって重篤な症状が予想されるというものから、これだけ食べてもまず考えられない場合という、その情報として示しているものでございます。やはり我々の情報提供というのは後手に回ってしまいます。先ほどのお話にもありましたとおり、食品の場合は、賞味期限が切れた後から情報提供をするケースも多いので、既に食べてしまった方がやはりいらっしゃるので、そういった方に向け、こういった情報を一つの安全情報として付記して提供しているところでございます。

○松岡座長 よろしいでしょうか。
 佐竹委員、どうぞ。

○佐竹委員 どうもありがとうございました。2点ほど教えていただきたいのですけれども、5ページの食品等の回収フローチャートのところで、不良食品が発見された場合に、保健所が立入調査、回収命令等を行うというところの御説明の中で、回収命令あるいは廃棄命令とか、行政処分というような御説明があったかと思います。こういうのは、今回は回収命令、今回は、先ほどのNACSの古谷さんからの説明にもあったように、回収するけれども新規販売停止までさせないとか区別する、基準を持っていらっしゃるのかどうか。
 あとは、食品等の回収で、食品衛生法違反があると回収命令を出されるという明確な説明があったと思いますが、食品衛生法違反と言いましても、危害の行程の縦軸のところで言いますと、アレルギー表示の欠落ということであると、アレルギーを持っていらっしゃる方は重篤な事故になると思いますし、単純に賞味期限のミスではそんなに重篤な事故にもならないとも考えられますが、一律、食品衛生法違反ということで、回収命令の措置をとられているのかどうか、その辺りを教えていただきたいと思います。

○群馬県健康福祉部食品安全局衛生食品課手塚補佐 回収命令の対象となる規格というのが決まっています。規格・基準が、例えば残留農薬の量、食品添加物の量、そういったものは回収命令の対象となっております。逆に、回収命令の対象になっていないものの代表的なものが、表示の違反ということになっています。ですから、表示違反に対して回収命令というのは、法令上、かけられないことになります。
 どんな場合に回収命令をかけるかというと、申し上げたとおり、回収命令の対象となっている違反があった場合には必ず回収命令をかけております。実際に生鮮物、野菜などで残留農薬を検出したような場合には、完全に市場には残っていないというのがわかっていても、回収命令をかけているというのが実際のところでございます。

○松岡座長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 10ページの回収命令、自主回収のところで、圧倒的に自主回収のほうが多いわけですけれども、自主回収をされた後のフォローアップ、進捗状況、その結果の報告を要請されているのか、または、何らかの形で確認作業をされているのかということが一つと、回収をしたときの一番の処理の方法。いわゆる消却してしまうとか、どういう形が一番多いのか、もしおわかりになったら教えてください。
 それから、最後のページに食品衛生法、JAS法、景品表示法と3つがあって、縦割り典型ということで、今度一つになればいいなと思っていますけれども、景品表示法は今回食品表示法には入らないということになっております。群馬県では、関連法を食品安全局で一元所管と書いてありますけれども、ここに景品表示法も入ってまとめて一元的に何かやられているのか、そこのところを教えてください。

○群馬県健康福祉部食品安全局衛生食品課手塚補佐 まず、自主回収における報告の内容でございますが、自主回収の場合は、着手報告と終了の報告と2つをいただくという形になっております。終了の報告の場合には、当然、何でここで打ち切るのかということを確認しますので、幾つ回収して、もう市場には残っていないというのを確認できたという、そういった根拠を製造者の方に確認をした上で、終了という形をとっているところでございます。
 それから、回収品の処理ということです。これは、余りはっきり言ってしまうと語弊があるかなというところはありますが、例えば牛乳から大腸菌が出たというようなケースがあったとき、その牛乳を回収した後、もう一度開けて殺菌してパックをするということは、法的には問題はないのです。もちろん、好ましいこととは私も思いませんし、そうしなさいとも言わないですけれども、そういったこともありますので、はっきりとは聞いておりませんけれども、多くの場合、当然ですが、廃棄されていると思っております。牛乳の場合はもう一回やればいいですけれども、残留しているようなものは絶対にだめなので、そういったものについては、廃棄命令は出さないですが、ゴミ処分場に投げ込むところまで確認するケースも、回収命令の場合は実際にはあります。
 それから、景表法の関係ですが、所管としては、景表法の食品の部分だけは私どものほうであわせて所管しておりますので、当然、同じように対応をとっているということであります。群馬県の体制としてはそのような形で対応しているということで、よろしいでしょうか。

○松岡座長 夏目委員、どうぞ。

○消費者委員会夏目委員 2点ほど、お聞かせください。まず、5ページの回収フローチャートの不良食品の発見のところで、規格・基準違反と健康被害の発生が挙がっています。規格・基準違反というのは非常にわかりやすいところだと思いますけれども、健康被害というのはどういったレベルなのか。食中毒だったり、例えば保健所から出てきたり、医者のほうから出てきたりとか、さまざまなケースがあると思いますけれども、群馬県は、健康被害の発生というのはどういった基準でとらえるのか、ということが第1点の質問です。
 もう一点は、7ページの、群馬県さんがなさっている「行政処分を行うための7つの質問」チェックリスト。これは非常に大切なことだと思いますけれども、全国食品安全自治ネットワークというのは、47都道府県と3政令指定都市が加わってやっていらっしゃるわけです。例えば、この群馬県方式のものが全国的に、有効性があるのかどうか、トップを行っているような形なのか。そうではなくて、ほかの自治体はもっと違うチェックフロートを持っているというようなことがあれば、教えていただきたいと思います。
 行政処分にかかるときの基準はなかなか難しいところがあるかと思います。現状を見ていますと、食品は、ある意味行き過ぎた自主回収が多いという問題がございますけれども、ここは自治体の行政処分ですから、基準がないと非常にわかりにくいかと思います。群馬県さんの様子はわかりましたので、もしわかりましたら、ほかの自治体のお話も情報として教えていただければというふうに思います。
 以上でございます。

○群馬県健康福祉部食品安全局衛生食品課手塚補佐 まず、健康被害の発生というか、健康被害の探知ということになろうかと思いますが、県民の方から保健所等へ申し出がある場合が一番多いです。本当にそれはただの端緒であって、それが不良食品の発見に結びつくには、ある程度疫学的な調査というものが必要ですし、特に不良食品のように、冒頭の事務局さんの例で、札幌市の浅漬けのような件がありましたけれども、ああいったものに結びつくケースというものは、ある程度の調査をしないと特定ができないということになろうかとは思います。
 医療機関からの通報というのはもちろんありますが、医療機関からは、ある程度複数の患者さんが発生した場合に通報いただく形になりますので、県民の方から直接お申し出があるケースが一番多いと思っております。
 それから、回収等の対応のお話で、目的裁量の余地が存在すると申し上げましたけれども、目的を果たすための裁量というのはどこの自治体にもあろうかと思っております。群馬県は、まじめというか、融通がきかないというか、基準を超えたものは必ず回収命令と、強権を発動する形でやらせていただいているので、きっちりとその範囲をつかんで事業者の方に説明できる内容でやるために、こういう対応をとらせていただいています。ほかの自治体においては、たとえ収去検査の結果であっても、その結果を事業者の方に説明し、事業者の方の対応として自主回収を申し出られた場合には、そのような対応で命令をかけないケースも実際にはあるというふうに聞いております。

○群馬県健康福祉部食品安全局大澤食品安全局長 行政処分をするための手順、GLPの手順ですけれども、各自治体において規格・基準違反の検査をする場合には、自治体はGLPに基づいた検査をした後でないと処分はしていないと私は確信しています。

○松岡座長 澁谷委員、どうぞ。

○澁谷委員 いつも全国食品安全自治ネットワーク情報をありがとうございます。二、三、お伺いしたいことがありますが、その前に、先ほどの質問で、47都道府県でこれは役に立っているのかということですが、愛知県では役立たせていただいているということと、それから、ここに入っていない中核市なども、県下の中核市には情報が行くという形で、ここに直接参加をしていなくても、情報が共有できる仕組みをそれぞれの県では持っているのではないかと思っていますので、これは大変ありがたいシステムだと思っています。
 それから、対象になる食品等ということで書かれていますが、群馬県さんのこの基準の中には、例えば子どものアクセサリーとか、おもちゃとか、そういうものは対象にはなっていないと考えていいのでしょうか。
 また、7つの行政処分を行うための質問というのがありましたが、やはり科学的な検査をした上でないと行政処分はかけられないので、手順としては、その証明がないと行政処分はどこの県も出していないと考えています。説明の中で、同一のロットの部分というお話がありましたけれども、では、違反が考えられる別のロットの場合、自主回収をして、改めて収去検査をして違反を確認した上で、さらに回収命令をかけるというようなことはないのでしょうか。
 3点、お願いします。

○群馬県健康福祉部食品安全局衛生食品課手塚補佐 回収の対象としておもちゃなどというお話で、データブックの中に多分あると思いますけれども、PCBとかそういった有害物質についての検査もやっております。あと、割り箸とかの検査もやっておりますし、そういった食品以外の器具、包装に当たるものについてもやっておりますので、申し出があった場合には同様に自主回収情報システムのほうで取り扱うということです。

○群馬県健康福祉部食品安全局大澤食品安全局長 データブックの18ページを見ていただきたいのですけれども、容器包装の成分規格ということで、食品安全検査センターでやった、割り箸とペットボトルの容器についての検査結果が載っています。この程度のものをしているという形です。

○澁谷委員 こちらのシステムもそうですけれども、食品衛生法だと、乳幼児のアクセサリーとか、おもちゃとか、そういうものが対象になっています。ここにはその言葉が書かれていなくて、スプーンだとか、食器類だとか、食品を包む容器などは、もともとこちらには書かれていますけれども、それでちょっと伺ったのですが。

○群馬県健康福祉部食品安全局食品安全課浅野補佐 群馬県の今までの自主回収情報には、おっしゃるようなものを自主回収で掲載したことはございません。

○群馬県健康福祉部食品安全局衛生食品課手塚補佐 ロットのことですけれども、特に農産物では、このロットの考え方というのが非常に我々も神経を使うところであります。我々が命令をかけるのは、極端に言えば、検査をしたその一個が本当は命令の対象になるのですけれども、それと同じ日につくったとか、同じ畑で同じように農薬をまいてつくったというのを、一つのロットとして考えて、回収命令の対象にしているところでございます。
 御指摘のあった、例えば前日に出荷した分はどうかとか、そこの部分は、はっきり言って、おそれがあるというふうには思いますが、事業者の方に、自主的な検査をして安全を確認した上で出荷をするということで指導しておりまして、それに対しての検査をするということはやっておりません。

○松岡座長 その点、よろしいでしょうか。

○澁谷委員 はい。

○松岡座長 それでは、片山委員、どうぞ。

○片山委員 回収情報提供システムのパンフレットを拝見しましたけれども、3枚目のところで、「自主回収情報提供システムの利用希望について確認します」と書かれています。要するに自主回収ですから、回収着手情報が入ってきても、このシステムにアップするかどうかというのは事業者の意向を確認する、そういうことだと思います。ほとんどの方が、この要件に該当すれば情報システムに載せることを希望しておられるのが現状か、必ずしもそうでもないのかという、そこのところをお聞きしたいのが一つ。
 それから、事業者が希望しても全部ここへ載るわけではなくて、ホームページイメージの回収情報の3のところに、「次の場合は対象外」ということで、表示基準の違反があっても、健康への悪影響のおそれがない場合には載せないというルールがつくられているようです。そういうルールをつくられたときの理念といいますか、何でもかんでも載せるのではなくて、一定の目的なり理念を持ってこういう基準をつくられたように思いますので、その辺りをお伺いしたいと思います。

○群馬県健康福祉部食品安全局食品安全課浅野補佐 まず、自主回収情報システム掲載を希望された数、どのくらい載せているかということだと思いますけれども、24年度、県外から届く情報も含めて、この件数のうち36%ぐらいがホームページ掲載をしてくださいと。掲載しないで報告という形の未掲載、これが残りの63%ぐらいとなっております。

○片山委員 例えば、ホームページイメージのところでも、健康面の影響で、アレルギーの方には身体症状が発症するけれども、通常の人への影響はないとか、工夫した書き方をされたり、基準もいろいろつくられているようなので、どういう議論なり、どういう考え方、ポリシーでこういう整理をされたのかという経過がもしわかればと思いましたので、後からでも、何かあればお教えください。

○群馬県健康福祉部食品安全局大澤食品安全局長 報告させていただきます。

○松岡座長 ほかに。鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 6ページの自主回収についてですけれども、回収命令を含めて、「行政の助言指導を受けて、円滑に実施することが望ましい」というところです。自主回収の場合、強制力はないということで、行政側から助言指導を行っても、それに従わないというケースは今までありましたでしょうか。

○群馬県健康福祉部食品安全局衛生食品課手塚補佐 基本的にはないと思っております。特に製造業者さんであれば、自主検査を定期的にやるというのは当然だと思いますので、問題ないのですが、一番心配なのは実は生産者の方です。生産または採取をされている方々はなかなかないので。ところが、今は農協さんなどを中心とした生産団体がそういった部分も担っていただいているので、今のところ、そういったケースはありません。

○松岡座長 中村委員、どうぞ。

○中村(均)委員 ちょっと教えてほしいのですけれども、加工食品というのは、どんなものでも消費者はロット番号がわかるようになっているのですか。

○群馬県健康福祉部食品安全局大澤食品安全局長 なっているところと、なっていないところがあります。

○中村(均)委員 例えばこの物は回収というときに、消費者は何を見て回収すればいいのですか。同じ物だったら。もし、このロットAが原材料で悪いと決まるとしたら、そのときに、Aというロットのものを自分が買ったのか、Bというロットのものを買ったのかというのは、どうやって消費者は判別すればいいのですか。

○群馬県健康福祉部食品安全局衛生食品課手塚補佐 範囲を指定する中には、ロット番号で指定するケースはもちろんあります。その場合、どこにどういうふうに書いてあるというのは、写真などで示せるものは示して対応しているところです。

○中村(均)委員 済みません。自分が知らないだけなのですけれども、例えば製品だったら、必ず製品番号がわかるところに書いてあって、今でもリコールでよく見ますけれども、加工食品というのはすごく小さいですね。あれのどこに一体書いてあるのかと思って、それがすごく疑問だったのですが。

○群馬県健康福祉部食品安全局大澤食品安全局長 ロット番号を書いてある食品は確かにありますけれども、ロット番号を書いていない食品の回収については、例えば賞味期限が何月のこの製品というものしか、実際はつかみようがないです。大きな企業になればなるほど釜ごとにロット番号をつけているところもありますけれども、そこだけとは限りませんので、中小の小さなものというと、やはり賞味期限を打った日にちを一つのロットと考えるしかないということです。

○中村(均)委員 ありがとうございました。

○松岡座長 ちょっとお聞きしたいのですが、14年からこの活動をやっていらっしゃるわけですね。

○群馬県健康福祉部食品安全局大澤食品安全局長 自治ネットワークでございますね。

○松岡座長 それ以前に比べて多くやったことによって、効果というか、何がどういうふうになったかとか、そういうものはデータとか何かあるのでしょうか。

○群馬県健康福祉部食品安全局大澤食品安全局長 自治ネットワークの会議は、たしか平成13年ごろに、BSEとか、食肉の偽装か何かが出まして、そのときに消費者の不安が一気に拡大して、どうにかしなくてはいけないという形で、群馬県、岐阜県、佐賀県が提案して全国の自治体に呼びかけて始めたのがこの制度です。
 うまく自治体間の意思疎通が図られているのではないかと思います。

○松岡座長 具体的に大きな事件にならずに事前にうまく処置できたとか、そういう事例が大分あるのでしょうか。

○群馬県健康福祉部食品安全局大澤食品安全局長 そんなに大きな事件がありすぎては不安でしょうがない。そんなことはないですけれども、いざというときにはそういうシステムがとれるということです。そんなにあったら日本の食品が不安になってしまいます。

○松岡座長 どのような効果があったかということで、お聞きしたかったもので。
 ほかにございますでしょうか。
 それでは、大分いろいろと討議していただきまして、ありがとうございました。いろいろなことを参考に、また、こちらの討議に役立てたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 群馬県の健康福祉部食品安全局におかれましては、お忙しい中、ありがとうございました。

 以上で本日のヒアリングは終わりますが、まだ少し時間がありますので、ここで、御自由に意見交換を持ちまして、今後の進め方等を考えてみたいと思います。よろしくお願いいたします。
 私の感想ですが、日程がかなり詰まっておりまして、皆様には、お忙しいところを何回も来ていただくことになります。また、予定から見ますと、ヒアリング等がぎっしりと詰まっているような感じがしますので、取りまとめに向けての打ち合わせというか、意見交換等をうまくやっていきたいと思っている次第でございますが、皆さん、その辺はどうでしょうか。次回は12日にまたありますので、よろしくお願いしたいと思います。
 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 改めてNACSさんの報告を伺いまして、工業製品と食品についてはかなり共通点が多い。以前論議した、リコール基本法を含む法的整備の問題は、今後の課題として専門調査会の報告書にも記載されておりますので、何らかの形で機会をつくっていただけるものと強く期待しております。

○松岡座長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 今の発言に続いて、製品、食品を見ても、大枠はそんなに変わらないということで、私も、次はサービスなのか何なのかと最初に申し上げましたけれども、共通部分が多いということを踏まえると、基本法みたいな形のものを考えていったほうが、すべて網羅したものができるのではないか。そこから一つひとつ落としていって、食品は食品、もう少し細かく製品は製品、サービスはサービスという形でやっていくほうが効率的ではないかと思うので、そちらのほうの観点も取り入れていただけたらというふうに思います。

○原事務局長 消費者庁・消費者委員会ができ上がる前の国民生活審議会で、製品回収と食品回収、両方一緒に入れた形の検討というのをやっておられて、佐野委員と鶴岡委員はそのときの委員ですね。あのときも、ガイドラインですか、一応、共通項を括ったような形のものをまとめておられます。その後、消費者庁、消費者委員会ができるような話になったので、そこでちょっと止まっているのではないかという感じがしますが、あのときの議論はどういう形でやられていたのでしょうか。

○佐野委員 随分前なので、私も急に言われても正確なことは言えませんが、私は製品のところに出ていまして、原さんは確か食品だったかと。

○原事務局長 それは、福田元総理が総理になって、国民生活審議会で、「作る」「守る」「食べる」とか5つぐらいのグループに分けてやっていた話で、製品の安全やリコールのところをやっていましたが、その前の国生審です。

○佐野委員 多分、その当時と今とは随分考え方が違うと思います。あの当時は製品と食品が中心になっていたけれども、今は施設とか、サービスとか、特に消費者庁ができたことによって、いろいろな部分が随分集約されたと思うのです。だから、そこから見ていかないと、食品と製品だけをここでやるという形は、何年か前だったらそれでよかったかもしれないけれども、やはりそれは広げていく必要があると思います。消費者庁ができたからこそ、もっと消費者に関連することをまとめようということになると思うのです。だからこそ基本法のような形で、総合的にまとめられる部分はきちんとまとめておいたほうが、これからますます、いかに消費者に情報を伝えるかという部分も考えると、それは役に立つのではないかというふうに思います。

○松岡座長 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 私の当時の認識は、要するに、自主リコールの基準を新しくするといいますか、かなり煮詰めたものに仕上げていく、そういう段階だったというふうに認識しています。その結果の自主基準などがつくられた。しかしながら、その後の経過を見ていきますと、前にも申し上げましたが、自主的な対応がしっかりした企業も出てきているけれども、かなり差も目立ってきている。したがって、自主リコールを含めた基本法的な、包括的な法律が必要ではないか、こういう問題意識です。

○松岡座長 確か1月までの調査会のときに、参考資料として皆さんに配付しておりますね。拝見しましたが、いろいろな項目が網羅的に全部出ていますが、理念的な面が結構強いような感じがして、具体的にどうこうとか何とかというところまではまだ詰めていない。実際にそれをガイドに沿って何かやろうとしても、それがどの程度参考になるかというのは難しいところがあったけれども、土台としては非常にいい資料なので、それをもとにもう少し煮詰めるということだったら、比較的簡単に、と言ってはあれですが、現状に即して、どういうところが問題かというのは議論はできやすいと思います。ただ、非常にたくさん項目がありましたね。そうでもないですか。

○原事務局長 項目としてはそんなにではないです。判断するところ、実施するところ、周知のところみたいな感じでしたから。周知のところも、製造の段階とか、わかりやすさみたいな話は入っています。

○松岡座長 ですから、製品と食品の両方を念頭に置いて、もう一回ざっと見直すということは可能かと思います。その辺はどうですか。佐野委員。

○佐野委員 食品と製品というのは大きな部分かもしれませんけれども、サービスもどんどん出てきているし、施設、遊具、公園、いろいろなものがどんどん出てきているので、その辺りを、ここで外すのではなく、一緒に入れて一元的にしたほうが効率的かなと思います。

○原事務局長 食品の話に戻させていただきたいのですけれども、ちょっと確認をしたいと思っています。自治体といいますか、法令ではこういうことと書いてあっても、その判断基準というのは、都道府県とか保健所で微妙にずれているものなのかどうか。ここは食品特有なものがあって、きょう、群馬県のお話もお聞きして、澁谷さんとのやり取りをお聞きして、少しその辺を感じたのですが、補足的に聞かせていただけたらと思います。

○澁谷委員 基本的には、都道府県でそれぞれの食品衛生法なら食品衛生法の県の条例をつくります。それに沿った形で処分を出すことになるので、回収命令というものと自主回収というのは全然違うので、法律、条例に基づいて命令はかけます。
 自主回収については、自主回収の基準というものを愛知県でもつくっています。前回出席できなかったのですが、東京都さんのものと同じような考え方で、愛知県もほぼ同じような形のものをつくり、愛知県のホームページにも公表しております。ですから、保健所ごとに判断が違うということはありません。条例に基づいて処分をするわけです。
 では、自主回収は何に基づくかというと、それをもとにして業者さんが自主的に判断をするという形になります。ですから、もとは一緒なのですが、どのレベルで回収するのかという判断が異なってくるのは、業者さん側の要因で変わってくる問題が大きくあると思います。

○中村(均)委員 我々事業者側が、リコールで一番気になるしわからないところは、回収の判断なのです。きょう、NACSさんが非常にわかりやすく健康被害と法令違反という話をされましたけれども、リコール基本法をつくっても、判断基準はなかなか難しいと思います。判断基準が決まった後どうするかという、この前から佐野委員がおっしゃっている、そういう意味のリコール基本法ならいろいろなものに共通項はあるけれども、判断基準をどう求めるか。
 きょうのお話の中でも、事業者が事業者としてぶれない判断と書いてありますけれども、これがなかなか決まらない。これがなかなか決まらないところが一番悩ましいところなのです。だから、リコール基本法という話に行くのも私は反対ではないし、それでいいと思うけれども、そこに行こうとしても、これは任すだったら、何かちょっと、画竜点睛を欠くというふうな感じになるのではないかというのが私の気持ちです。

○松岡座長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 その気持ちはわかりますけれども、やはり自主回収ですから、今度、国がこういうときにリコールをしろと言ったら、反発が出たり、それは会社によって考え方は違うし、品によっても違うし、タイミングによっても違うと思うので、ガチガチに法律で決める必要は全然ないし、それは自主的に考えるべきだと思います。それでなかったら、業界団体で同じような見解を出すこと。どこか例えば国が決めてしまう、それで自主回収というのは、ちょっと違うのではないかというふうに思います。
 どういうときに自主回収をするかということによっても、私たちはその会社を選んだりするわけですから、是非、お手本となるようなガイドラインを会社でおつくりになって、それを広めていくとか、業界の中でもう少し整理をしていただくほうがいいと思います。いつやるかというのを誰かが決めるということより、自主回収というのはそういうものではないかなと思います。

○松岡座長 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 確かに判断基準のところはグレーゾーン的な部分があるので、非常に難しいかと思いますけれども、先ほどのNACSさんの資料の10ページ、私が質問したところですが、「事業者全体で統一された判断基準が必要である」と。確かにそのとおりなんだけれども、実際にこういう判断基準の取りまとめに当たっては、事業者そのものでまとめるのは難しいという話を先ほどされたと思います。やはりここに、行政が何らかの形でかかわれる根拠のようなものも必要になってくるのではないかと思います。

○松岡座長 行政が、こういう判断でやりなさいと強制するわけでは全然ないけれども、これが妥当な線ではないかとか、要するにガイドラインを具体的に出していただけると、自分たちはそれをもとに、それとは多少違っていても、こういう判断でやりました、やりませんという根拠はあるから、やりやすいのではないかというのが中村委員の御提案ですね。そのような意味合いだと思いますが。

○佐野委員 でも、それは一つではなく、やはり食品と製品は違うわけだし、いろいろ違う中で、そこはどうするのかということを考えると、ある程度業界がまず中心になって、どうするか考えるべきではないか。頼るほうが楽なんですね。誰かが決めてくれたら、そのとおりにやる。そうではなくて、自主的に自分たちで考えて、例えば製品だったら、経済産業省がガイドラインを作成するというなら、その辺では調整しながらということはあり得るけれども、自ら動こうという事業者が中心になる方法もあるのではないかなと思います。

○松岡座長 中村委員、どうぞ。

○中村(均)委員 性善説でお話しなさっていて、変な言い方ですけれども、大手のメーカー、大手の食品会社だったら、自主で全然問題ないです。我々が一番やばいと思っているのは、そこではないのではないですか。要するに、それにきちっとのってこないところをどうさせるかだと私は思っています。

○佐野委員 引っ張るのは大手ではないですか。

○中村(均)委員 それは、我々も先頭を走りますけれども、それでついてくるとは私はとても思えないです。それだけでは。

○松岡座長 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 まさにおっしゃるとおり、私の問題意識は、自主回収のところで、積極的に取り組む事業者さんとそうでない事業者さんの格差がかなり目立ってきている。したがって、何らかの法的な裏づけをもってきちっと自主回収をしていただく場合とそうでない(拘束義務的回収の)場合、そういった区分を法的な裏付けでもって整理していく必要があるのではないかと思います。

○松岡座長 いろいろ議論が出ておりますが、事務局あるいはこの調査会でも、食品を取り上げて始めておりますので、次回も、事例として食品を挙げて検討していきたいと思います。それで、全体のガイドライン的なものである程度案が出せれば、それでとにかくまとめる。難しいですが、時間の制約があるので、次回、次々回でもって大体議論を尽くさないと問題なので、そういう意味で、事務局で出していただきました資料1-1に沿って進めていきたいと思います。申しわけないですが、皆さん、御了承いただければと思います。そういうことで進めさせていただきます。
 それでは、本日のヒアリングと、今までの議論をもとに、次回以降、進めていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 きょうはこれで終わりましたので、事務局から、確認事項をお願いいたします。

○原事務局長 どうもありがとうございました。ヒアリングもどうもありがとうございました。
 次回は、7月12日(金曜日)15時30分から予定しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上です。

○松岡座長 それでは、本日の審議はこれにて終わりにいたします。お忙しいところをお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

≪4.閉会≫

(以上)