第22回 消費者安全専門調査会 議事録

日時

2013年5月13日(月)15:30~18:14

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
松岡座長、中川座長代理、齋藤委員、佐竹委員、佐野委員、田澤委員、鶴岡委員、
中嶋委員、中村(晶)委員、中村(均)委員、横矢委員
【臨時委員】
戸部委員
【消費者委員会委員】
小幡委員
【説明者】
消費者庁  増田食品表示課長
厚生労働省  鶴身食品安全部監視安全課長補佐
東京都福祉保健局  田﨑健康安全部食品監視課長
高橋健康安全部食品監視課食品安全担当係長
【事務局】
原事務局長、小田大臣官房審議官

議事次第

1.開会
2.消費者安全専門調査会の今後の調査・審議の進め方について
3.食品リコールの現状について
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:63KB)
【資料1-1】 消費者安全専門調査会の今後の進め方(案)(PDF形式:513KB)
【参考資料1-1】 食品の安全確保に関する主な法令とリコールに関する記載内容(PDF形式:166KB)
【参考資料1-2】 FAMICの自主回収件数のカウント方法(PDF形式:300KB)
【資料2-1】 現行の食品表示に関する法律(PDF形式:242KB)
【資料2-2】 現行法の執行の流れ(PDF形式:83KB)
【資料2-3】 食品表示法案の骨格(PDF形式:162KB)
【資料2-4】 食品表示法案の執行の流れ(PDF形式:72KB)
【資料3-1】 厚生労働省説明資料(PDF形式:330KB)
【参考資料4-1】 平成25年度東京都食品衛生監視指導計画(PDF形式:486KB)
【参考資料4-2】 自主回収報告制度リーフレット 【参考資料4-3】 自主回収報告制度説明会資料(PDF形式:296KB)
【追加資料】 机上配布資料(東京都福祉保健局説明資料)(PDF形式:412KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、時間も参りましたので始めさせていただきたいと思います。
 本日は、皆様お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会消費者安全専門調査会(第22回)」の会合を開催いたします。
 消費者安全専門調査会については、平成25年1月末に「消費者事故未然防止のための製品リコール案件等の注意喚起徹底策」についての報告書を策定し、消費者委員会に2月に報告をいたし、検討いたしたところです。ただ、皆様もメンバーでしたからよく御存じのとおり、後半の議論のところで製品全般をカバーする審議をしておりましたけれども、なお、やはり食品、自動車、市販の医薬品など、こういったものについての踏み込みも必要ではないかという御意見なども出ていたところでありますので、夏までという期間ではありますけれども、再度、調査・審議を再開したいと考えました。
 なお、食品分野に知見のある新開発食品部会の戸部委員、食品表示部会の澁谷委員の2名に新たに臨時委員としてお加わりいただいて、調査・審議を進めていきたいと考えております。
 また、本日は、内堀委員、片山委員、担当の夏目委員、澁谷臨時委員が御欠席となっております。
 それでは、松岡座長、議事進行をどうぞよろしくお願いいたします。

○松岡座長 消費者安全専門調査会の座長の松岡でございます。
 本日の会議につきましては公開で行います。議事録についても後日公開とすることといたします。
 では、議事に入る前に事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

○原事務局長 配付資料ですけれども、座席表の次に配付資料の一覧をお配りしております。
 資料1といたしまして、「消費者安全専門調査会の今後の進め方(案)」をお示ししております。
 参考資料1-1といたしまして、食品の安全確保に関する主な法令とリコールに関する法令上の記載事例をつけております。
 参考資料1-2といたしまして、後ほど御説明いたしますが、その資料の中でFAMICが自主回収件数としてどういうカウント方法をしているかということを参考のためにおつけしております。
 それから、資料2の関連ですけれども、消費者庁から御提出をいただいた、現行の法律の規定の中ではどういうふうになっているかということの関連の資料になります。
 それから、資料3といたしまして、厚生労働省から御提出をいただいた資料で、食品衛生法に基づく規定というものが、どういうふうになっているかの資料になっております。
 それから、参考資料4の関連ですけれども、枝番がついておりますが、東京都から御提出をいただいた資料ということで、これも後ほど御紹介をさせていただきたいと思います。
 配付資料は以上ですけれども、不足がございましたら審議の途中でお申し出いただければと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。

○松岡座長 それでは、ここまででもしカメラがございましたら御退出のほどお願いいたします。

≪2.消費者安全専門調査会の今後の調査・審議の進め方について≫

○松岡座長 それでは、1月以来しばらくぶりでございますが、よろしくお願いいたします。また、期間も限られていまして、8月までということでかなり集中的に審議ということになりますが、御協力のほどお願いいたします。
 それでは、実際の審議に入りたいと思いますが、議事次第の「製品リコール案件等の注意喚起徹底策」報告書における今後の課題と消費者安全専門調査会の今後の調査・審議の進め方につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。

○原事務局長 資料1-1に基づいて説明させていただきたいと思います。
 まず、1枚目の下の段、2ページになりますけれども、製品安全に関する消費者安全専門調査会での審議・建議の概要について御紹介をしております。
 消費者安全専門調査会では、昨年の4月から今年の1月までかけて審議を進めておりまして、「消費者事故未然防止のための製品リコール案件等の注意喚起徹底策」について検討いたしました。その結果、製品の回収措置に関する情報や注意喚起の情報を的確かつわかりやすく消費者に伝える仕組みの構築、事故の未然防止のあり方について提言をしたところです。提言は1から5までございますけれども、皆様御承知のところですのでごご覧いただければと思いますが、先ほども申し上げましたけれども、全般にわたる提起ではありましたけれども、なお食品リコールの部分とかリコール基本法の話などが後段に出ました。それが持ち越しの課題というふうには考えております。こちらの建議については、消費者委員会で8月にフォローアップを行うこととしております。
 それから、その次をあけていただきたいのですが、今の実態としてはどうなっているかということなのですが、3ページになりますが、「2.食品リコールに関する消費者への情報開示状況」。もちろん、これ以上にたくさんあるのかもしれませんが、私どもで把握した範囲のことになります。消費者庁のホームページ、厚生労働省のホームページ、食品産業センターのホームページ、国民生活センター、民間のリコール情報サイト、それから、ここは東京都を挙げておりますけれども、各自治体のホームページなどに挙げられております。それから、新聞社告ですとか、それぞれの会社のホームページ、報道で私どもは知り得るというような状況に置かれております。
 それから、4ページに入って、「3.食品リコールの自主回収件数推移」ですが、その次のページとともに、FAMICと食品産業センターと2つ並べております。幾つかサイトがあるのですけれども、この2つが内容についても分類をされて掲載されているものですから参考になると思ってお示ししております。
 FAMICがどういうふうにカウントをしているかということは、先ほど参考資料1-2でお示しをしておりますけれども、これはホームページ上にも掲載されておりまして、掲載情報の収集ルート、整理方法ということで分類をされております。
 また4ページに戻っていただきたいのですが、件数が大きく伸びているところがありまして、それについても説明がされておりまして、平成18年から19年は食品偽装事件により増加、それから、平成22年から23年については福島第一原子力発電所の事故で放出された放射性セシウムの暫定規制値の超過等による自主回収が152件含まれているということで数が多くなっております。
 この中を見ていただきますと、色分けしてありまして、異物混入、規格基準不適合というあたりが多いことがわかると思います。
 5ページに入りまして、これは食品産業センターの食品事故情報告知ネットですが、これがFAMICより数が少なくて、どうしてこういうことが起きているのかということを問い合わせたのですけれども、食品産業センターは各社のホームページの数はカウントしていないので、その分の数が少なくなっているということになります。ここも実際にどういう内容でというのは色分けをされております。茶色いところが表示関連以外の法令違反、それから、不適切な表示、期限表示の誤記といったようなものが多くなっております。
 それから、6ページに入りますが、これは「法令に基づく回収件数推移」ということで、食品衛生法違反での回収件数ですが、実際にはそれぞれの自治体のホームページでも公表されておりますけれども、今回厚生労働省のホームページから出させていただいたのは、輸入食品の回収事例がどれぐらいあるかというところで、こういった数が挙げられているということで御紹介させていただきました。
 それから、その次の7ページ、8ページですけれども、今後の専門調査会の審議の進め方ですが、案として提示をしております。食品リコールの現状を把握して整理をしたいということです。目的については、先ほど申し上げましたので重なります。今回は、特に食品について行政、事業者及び消費者団体等から広くヒアリングをして、その現状を把握した上で課題を整理したいというふうに考えております。
 ヒアリング項目としては、食品リコールは、どういう基準・判断で行われているか。食品の特性に応じた製造事業者の食品リコールへの取り組みと、その課題。食品の特性に応じた流通事業者への食品リコールへの取り組みと、その課題。それから、消費者への情報周知。これは、これまでの審議したこととも重なりますけれども、消費者への情報周知はどうあるべきかということをヒアリング項目としてはどうかと考えております。
 それから、今後の進め方のスケジュールですが、本日、第1回目を開催しております。本日の場でもヒアリングを予定しております。それから、6月、7月、8月と、地方公共団体、流通事業者、食品業界団体、消費者団体などに対し、現状ヒアリングを行って、8月末の委員会で報告をしたいというふうに考えております。
 それから、9ページは調査審議メンバーということで、消費者安全専門調査会の委員に加えて、お二人ほど臨時委員に加わっていただいているということと、担当委員の御紹介をしております。
 それから、裏のページになりますけれども、参考ということで載せておりますが、ヒアリングのイメージということで2つお示ししております。上のほうの11ページの部分ですが、NACSが調査をなさった部分からヒントを得まして、こういう形でできるのかなというふうに整理をしているものです。
 健康危害の度合いが高いものから低いものまである。それから、法令違反の有無です。法令違反があった、なかったというところでの、こういった仕分け方というのが1つ考えられるかと思います。
 それから、12ページは健康危害の度合いということで、低いから高いということでクラス分けをしております。食品産業センターとか長野県のウエブサイト、アメリカ農務省食品安全・検査部では、こういった考えで分類しているということですので、参考ということでおつけいたしました。
 それから、参考資料1-1ですけれども、これは、まだ事務局で取りまとめたものなので、これで正確なのか完全なのかというところはまだ精査していかなければいけないというところですけれども、「食品の安全確保に関する主な法令とリコールに関する記載内容」ということで、消費者基本法、食品安全基本法、消費者安全法、次のページで食品衛生法、それから、いわゆるJAS法、次のページで健康増進法、それから、まだ未制定ですけれども食品表示法案の規定を掲載しております。
 それ以降については割愛をさせていただきますけれども、そういったものが大きいものとしてはあるということで御参考にしていただければと思っております。
 以上、これまでの経緯と今後の調査会の進め方ということで御提案をさせていただきます。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 それでは、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。
 中村委員、どうぞ。

○中村(均)委員 前回の積み残しの中から食品を特に取り上げた理由のプライオリティーですが、影響が大きい、それと、国民の口の中に入るものだから非常に大きな問題だということでこれが取り上げられたのかどうか、その辺が1つ確認したいのと、それから、前回は出口だけを議論しましたけれども、今度は入り口、出口含めて課題を精査するのか、その2点を教えてください。

○原事務局長 先ほど、食品以外に自動車と市販の医薬品を掲げておりまして、ほかにも雑貨類のようなものとか施設のようなものもありますけれども、自動車については消費者委員会親委員会で最初の建議事項にしておりまして、その後のフォローアップもしております。一応、一つの仕組みとしてはあるというところです。
 それから、医薬品については、これも販売のところが、今、ネット販売の解禁とかという話も出ておりますけれども、やはり製造のところではきちんとメーカーも把握されていて、原則、薬局や何かでの販売、ドラッグストアでの販売ということで、御質問の中に入れておられましたように、やはり食品というところが私たち消費者にとっては一番身近で、これが一体どういう状況にあるのかというのをまず把握してみないといけないのではないかということで、食品を最優先で取り上げたということです。
 それから、前回のときは消費者へのリコール情報を含む注意喚起情報の徹底ということで議論をさせていただいて、出口のところの議論を中心にさせていただきましたけれども、もちろん食品リコール、先ほどヒアリング項目の中に判断基準の話も入れておりまして、法令に基づく判断というところもありますけれども、もちろん多く自主リコールもされておりまして、そこもどんな状況なのかというのは、できれば把握をさせていただければと考えております。

○松岡座長 ありがとうございました。
 中嶋委員。

○中嶋委員 今、リコールに関してどうして食品が選ばれたのかという御質問は、僕も同じ思いを持っておりまして、いわゆる食品の事故は、製品とか他のものに比べると一桁小さいのですね。重篤度もかなり小さい。にもかかわらず、こういうふうに取り上げられるというのは、消費者の関心が高いというのはわかるのですけれども、被害の実態というのがそれほど重篤でないものを早急に取り上げないといけないのかというふうな疑問があります。
 もう一つは、食品は、たしか強制的なリコールはないと思うのです。製品については強制リコールがあるのですけれども、食品は自主リコールしかないのですね。僕も自分が製品分野なのではっきりしないのですが、そうすると、いわゆるリコールを考えるときに自主リコールを中心に考えていくときに、本当にここでリコールについて自主回収件数が多い、少ないという話を議論する必要があるのかどうかというのもあります。もっと言えば、表示に関してとか、いわゆる印刷のミスであるとか、そういうものが圧倒的に多くて、トータルソーシャルコストとしては非常に負荷が大きいので、それは許すほうがいいのではないかという議論もあるわけです。それをここで議論できるのであれば大賛成なのですけれども、そういう視点でのこの話をやっていただけないかなというふうに、こちらのほうは御提案です。初めのほうは疑問点がありますということで、以上です。

○松岡座長 関連して何か御意見。
 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 私も同じようなイメージを受けておりまして、要するにここの目的と位置づけがよくわからない。前回の報告書における今後の課題というものを出した中での食品や施設について検討するのならわかるのですが、ここで食品だけ取り上げて食品リコールはどういう基準・判断で行われているのかという、今まで製品では全くやってこなかったことを急にやって、これが今までの報告書の附属書になるのか。どういうふうなことになるのかよく見えないということがありまして、ちょっと不思議に思っているところがあります。
 それから、進めるに当たっても、ヒアリングをする際、どなたをヒアリングするかということも、それはここで話し合いの上で決めるべきものではないかなと思います。今回3つの省庁、自治体にはヒアリングをさせていただくわけですけれども、背景というか中が見えないのです。なぜ急にここに来てしまったのかをもう少し説明していただかないと、どうやってこれから検討を進めていくのかというのがよくわからないということです。

○松岡座長 どうも貴重な御意見、根本的なことから皆さんで御議論しないといけないのかなという感じになりましたが。

○原事務局長 すみません、事務局です。2つですけれども、最初、中嶋委員がおっしゃられた、全部自主リコールでしょうというのは、食品衛生法は、先ほどの参考資料1-1の2ページ目ですが、確かに法律の条文の中にはそういう「回収」という文言が出てくるわけではなくて、「必要な処置をとることを命ずることができる」というような言い方になっているわけですが、ガイドライン、指針のほうに回収、廃棄という言葉が入っていて、法律的な規定が何もないというところではないです。それから、今回新しい食品表示法ができますけれども、これについても回収の規定というのが入ってくるということになります。
 それから、佐野委員がおっしゃられたところは、実際のところ、ここでもうちょっと議論をしたいというのがあるのですけれども、消費者庁が発足する前の段階で、国民生活審議会でこういった製品や食品の回収についての議論というのを進めておられて、基本方針というのでしょうか、それを出されていて、そこは食品と製品と並列させた形での議論というのを今までしてきております。そこではクラス分けの議論もしてきていると。そういう観点から言うと、この1月まで議論していた半年間のところは、そういう意味では余り食品のところに重きを置かずに、後段は製品のほうに重きを置いたような議論をしていたので、もう一回最初に戻って、どういう実態なのか、どういう法体系にあるのか整理をしてみたいというふうに考えたというところです。ただ、これからの議論の進め方ですので、事務局がこう考えたからということではなくて、ちょっと審議をしていただければと思います。

○松岡座長 どうもありがとうございます。
 小幡委員、よろしくお願いします。

○小幡委員 消費者委員会の担当委員の小幡でございます。
 既に消費者安全専門調査会の皆様には、製品リコールについて精力的に御議論いただいて、報告書もまとめていただいて、大変ありがたく思っております。
 いろいろな考え方がありえまして、それをさらに徹底して詰めていくべきであるという思いを持たれている方もいらっしゃると思うのですが、もう一つの議論として、あのときには製品のリコールというところに特化した話になりまして、それでは、食品のリコールはどうなっているかということについて抜け落ちていたということがございます。確かに中嶋委員がおっしゃるように、食品はすぐに消費されてしまいますし、それほどの健康被害はないかもしれませんが、ただ、アレルギーなどの問題はあるかもしれません。また、表示ミスの場合の回収をどう考えるべきか、など、いろいろ製品と違う部分がありまして、食品は食品なりに特性があるということもございますので、今回、行政や事業者とか消費者団体等から実態についてヒアリングを行って課題を抽出するというのは、それなりに意味のあることではないかと考えてこの調査会にお願いしたいということなのですが、いかがでしょうか。

○松岡座長 どうもありがとうございます。
 そういう背景で、ここで審議して問題点等を抽出できればという考えでもって皆さんにお集まりいただいているところなのですが、いかがでしょうか。

○佐野委員 そうすると、前回の報告書の続き、「その2」みたいに、いわゆる合本みたいにされるのか、これはこれで全然違うのか、どういう位置づけになるのでしょうか。

○松岡座長 私の印象というか考えでは、合本ではなくて、新たに審議しまして、問題点を抽出していただければと思っております。というのは、調査会が8月末まであるのですが、その間審議何もなしで第3次の消費者委員会が始まってから、やおら何かを始めようとなると、世の中にとってもかなりロスがあるのではないかなということで、せっかく英知のあります委員の皆さんがいらっしゃいますので、そこで審議していただいて、何が問題かということを整理していただければ、その後の第3次でもって、またスムーズに話が進むのではないかというふうに考えておりますが、いかがなものでしょうか。
 中嶋委員。

○中嶋委員 そうすると、前回のと言いますか、今回の専門調査会の報告書の別冊という形で、同じレベルでは議論していないということを明確にして新しい報告書をつくりましょうと。そして視点としては、もう少しフランクに考えてもいいのではないかと。いわゆる、性格はかなり違うので、同じ商品とはいえ、食品と製品は違うから、食品の特性を踏まえて、本来これはどうあるべきなのかと、リコールも含めて適切な処置をとるべしというふうに法律はなっているのですけれども、その中身は一体何なのだというふうな議論をやるということであれば、松岡先生が言われている意味で取り上げる価値は十分にあるというふうに思います。

○松岡座長 戸部委員、どうぞ。

○戸部委員 きょうから加わらせていただきます戸部です。
 今、皆さんのお話をお伺いしていて、私、今までいろいろリコールの実態を少し見てきた立場から言わせていただきますと、確かに食品のリコールの対象になっているものというのは、先ほどお話がありましたように、表示の間違いですとか、必ずしも大きな健康被害につながるものではないものもあるという状況であるので、そこは他の製品とは少し実態が違うのではないかと思います。逆にそういった被害の程度がさほどでないものとか、全くないというふうに考えられるものがあることによって、本当は大事なリコールというものが埋もれてしまう可能性ということも少し危惧されると思います。
 あと1つは、こういうこともあって、食品のリコールというのが安全性を確保するという目的の中では手段の1つであって、本当はリコールすれば解決するというものではなくて、リコールした後のどういう対応をとっていくのか、再発防止をどうしていくのかということのほうが大事なこともあると思いますので、今、中嶋委員がおっしゃったように、出口だけではなくて、もう少し背景の部分の議論はしないと、多分、この現状に対して改善するという出口が見つからないのではないかと思いますので、少し広目に議論できればいいなというふうに思っております。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 何かほかに。
 そういうことで、出口に限らず、かなりフランクに入り口も含めて広く、新たな食品ということですと何が問題であるかという基本から立ち返って皆さんに議論していただいて、今回は前回と違いまして、きちんとした最終的な形の報告書をまとめるというものではなくて、問題点をうまく整理して指摘していただければいいと思いますので、かなり自由に御議論ができるのではないかと考えておりますのでよろしくお願いしたいと思います。皆さん、よく知った仲で、いろいろと御議論がしやすいのかなと思います。食品が緊急かどうかという問題もありますが、まだまだ議論がなされていなかったということで、ここで取り上げていろいろやることに意義があるのではないかということですので、食品についてやっていくということでよろしいでしょうか。

○齋藤委員 今の点は理解しました。それであれば話はいろいろ出てくるだろうと思いますが、ゴールが8月なのですね。そうすると、最初の段階、きょうとは言いませんが、早い時期に、大体このようなことについて議論を網羅します、というのが見えていないと、最終段階でこれが落ちているではないか、ということになる。その第3次ですか、そこでまた一から蒸し返しになると困ると思います。主なテーマとしてこういうものを列挙しますと掲げ、その中で関心事を皆さんに議論していただき、整理していくのが良いと思います。他に漏れている項目はございませんか、と1回聞くチャンスを与えていただけると最後にまとまると思うのですが、いかがでしょうか。

○松岡座長 その辺、いかがでしょうか。

○原事務局長 きょうの皆さんの御意見は大変参考になりましたので、またそれをきちんと整理した形で、少し方向性も見えるような感じで整理したものをお見せしたいと思います。

○松岡座長 そうしますと、そういうような、ここの検討会でどこの範囲をどれだけやりたいかということを、本当は皆さんで審議をする時間をできるだけ早く、本当は今回少しできるといいのですが、時間的な都合もありますし、整理すべき材料がないとなかなかしにくいと思いますので、そうしますと、その辺は今回のヒアリングとか議論を踏まえて事務局のほうで少し材料を整理していただいて、それを事前にメール等でもって配付していただいて、皆さんに考えていただいて、次回の冒頭にでもその辺を議論して。

○原事務局長 そのように進めたいと思います。

○松岡座長 では、いろいろお願いしましたが、そういうようなことで進めることにしまして、早速、ヒアリングのほうに入りたいと思います。

≪3.食品リコールの現状について≫

○松岡座長 それでは、次の議題になりますが、議題3「食品リコールの現状について」ということで、行政サイドから、食品一般を対象としている食品衛生法、JAS法に絞ってヒアリングを実施したいと思います。
 まず、食品リコールに関して、法令に基づく法的枠組みの説明を消費者庁及び厚生労働省からいただき、その後、法令に基づく行政処置、行政指導の運用状況について、東京都福祉保健局から説明をいただきます。
 では、まず消費者庁から食品衛生法、JAS法の表示部分における法的枠組みについて、消費者庁食品表示課より御説明いただきたいと思います。説明時間は短くて申しわけないのですが、10分程度でよろしくお願いいたしたいと思います。
 では、増田課長、よろしくお願いします。

○増田消費者庁食品表示課長 食品表示課の増田でございます。よろしくお願いします。
 私のほうからは、資料の中のほうに「現行の食品表示に関する法律」と、後ろに「食品表示法案の骨格」と是正措置の流れが書いてある表がございます。これからすると、食品表示は、言ってみれば、回収しろという規定が少なくとも現行ではございません。そういうことも含めて、どういう是正措置になっているのかということを御説明したいと思います。
 まず、現行、食品一般を対象とした表示のルールとして、ここに書いてあります食品衛生法、JAS法、健康増進法という3つの法律がございます。それぞれ法目的に従って表示基準というものを策定すると、事業者が表示基準に従って一定の事項を表示しなければならないという義務がかかるというのがこの表示基準の仕組みでございます。
 めくっていただいて、そういった表示基準に合わない表示等がなされた場合にどういった措置がとられるかという点が、この2枚目の資料2-2のところでございます。食品衛生法については、表示基準に合わないところというのは左側だけなのですけれども、営業停止命令等の命令をかけることができるということになっております。こういった命令の中で表示の是正等を行わせるということがなされているというふうになっております。
 そのほか第20条で、これは表示基準に直接ではないのですけれども、ここにありますように、公衆衛生に危害を及ぼすおそれがあるような虚偽または誇大な表示を行ったような場合には、行政庁が廃棄命令、その他必要な措置をとるべきことを命ずることができるという規定がございます。
 それと、次にJAS法の部分、食品衛生は安全にかかわる部分があるものでございます。一方、JAS法は品質に関する表示ということになっておりまして、基本は品質を示すための表示事項、原材料、原産地等を書いております。このJAS法については、基準に従った表示をしない場合については行政庁が指示を出す。この指示というのは、表示基準を遵守して表示しなさいという指示を出すということで、基本的に将来にわたっての表示の是正を求める措置でございます。指示に従わなかった場合には命令、命令に従わなかった場合には罰則がかかるということになっておりますが、JAS法の基本は、違反があった場合には、言ってみれば、将来に向かって表示を直させる、これ以降はちゃんとした表示で販売してくださいねということを指導するというものであります。
 健康増進法は、今、栄養表示を規定しておりますけれども、こちらも基本的にはJAS法と同様で、基準に合わなかった表示をした場合には勧告という形で基準遵守を求めるということで、あとは勧告に従わなかった場合は命令、命令に従わなかった場合は罰則というふうになっております。
 これが現行の規制のルールでございます。
 今、国会に出しております食品表示法案は、この3つの法律を基本的に束ねるような形で法律をつくるということを提案させていただいております。これも骨格は資料2-3のとおりですけれども、特に是正措置のところを抜き書きしているのが資料2-4でございます。
 資料2-4のところに是正措置の規定がありまして、基本としては表示事項を遵守しなかった場合というのは、この黄色で書いております指示を出す。指示の内容は、現行のJAS法と同様、表示を遵守しなさいということで、言ってみれば、将来に向けて表示を直させるということをしております。それと、直罰ということで、産地偽装等一定の場合には、違反した場合に罰則がかかるということを書いております。
 それともう一つ、食品表示法案においては、安全性に関する表示について表示基準に違反した場合、かつ、生命または身体に対する危害の発生または防止に必要がある場合には回収等の命令を発出することができるということにしております。例えばアレルギーの表示などが欠落していた場合で、現に被害が発生している、あるいは被害が発生するような具体的な危険があるといった場合には、こういった回収なりの命令がかけられるようにしてございます。
 私のほうも、ここで私が説明を求められている事項がいまひとつよくわからないところがあるのですけれども、いずれ現行の表示の法律においては、回収を直接行政機関が行政措置として求めるようなルールはございません。ただ、現実の世界を言えば、もちろん表示の違反、ミスがあった場合に、各事業者の方が自らの判断として回収されるというような例はもちろんございますけれども、数等については特段把握しておりません。
 以上でございます。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 それでは、御質疑、御討議をお願いいたします。
 ちょっと質問でよろしいでしょうか。基本的なことなのですが、今、表示に関することでもって御説明いただいたのですけれども、例えば消費者基本法ですと「安全を害するおそれがある商品」というふうになっておりまして、これは商品ですから食品も含むのかなとは思うのですが、基本的に考え方が違うわけですね。表示がどうこうではなくて、安全そのものがどうこうでもって、危ないときには回収等の処置をとるということに、一番上に書いてあるのですが、あと、消費者安全法でも、たしか表示ではなくて、何か安全そのものに起因するものというような感じだと思うのですが、その辺が根本的に違うのかなという感じがしたのですけれども、いかがなものでしょうか。

○増田消費者庁食品表示課長 法規制の内容としては、今回の食品表示法で手当てした部分もございますけれども、多分、基本的には、ここで義務づけている表示そのものが直ちに安全性を左右するものではないという前提に至って、もし食品そのものに例えば危険な物質が入っているとか、そういったものであれば、それはむしろ表示のルールではなくて、多分、後で説明があると思いますけれども、食品衛生法上の規格基準とか、そういったものの中身の安全性の問題だと思います。
 例えば、表示の問題で安全性が問われるのは、先ほど申し上げましたアレルギーとか、あるいは、今の食品衛生法第20条の関係で言えば、もし「レバー肉などについて生で食べられます」のような表示がしてあれば、それは、まさに危険を及ぼすような虚偽の表示だと思いますけれども、そういった特殊な場合以外は表示そのものが直ちに安全性に影響を与えるという場面は余りないのではと思っております。ただ、ここにあるように、まさに安全を害する場合には何か必要な手当てをするという意味においては、新しい食品表示法においては、そういった具体的な生命・身体に危害が及ぶような場合には回収等の命令を発出できるような規定は設けております。
 お答えになるかどうかわかりませんけれども、多分、表示そのものの一般的なことを言うと、直接、安全に直ちに影響を及ぼすものは比較的少ないということだと思います。

○松岡座長 齋藤委員。

○齋藤委員 質問ですが、資料2-2の食品衛生法のところで左から2つ目の「公衆衛生に危害を及ぼすおそれがある虚偽又は誇大な表示を行った場合」は、廃棄命令等を措置できるとなっていますが、この廃棄命令の対象になる範囲は、事業者だけなのか、要するに、事業者の手元にある部分だけなのか、流通業者に渡ったものも含むのか、消費者の手元に行ったものまで含むのか、これはどうなのでしょうか。

○増田消費者庁食品表示課長 明確なお答えはわからないところがあるのですけれども、少なくとも流通業者が持っている分までは何らかの措置は、廃棄命令で言うのか、必要な措置で流通業者から回収しろと言うのかはともかくとして、そこまでは対象と思います。

○松岡座長 中川座長代理。

○中川座長代理 これも増田課長に聞くべき問題かよくわからないのですけれども、今の廃棄命令の関係ですが、第54条2項の条文を見ると、営業者もしくは当該職員に廃棄させ、処置をとることを命ずることができるとあります。営業者というのは事業者ですから、廃棄、その他処置をとることを義務づけるという命令だと思うのですが、「当該職員」というのは、行政がみずからやるという意味なのでしょうか。食品衛生法の第54条の第2項ですが、営業者もしくは当該職員に廃棄させ、その他必要な処置をとることを命ずることができるというときの「当該職員」というのは。

○小幡委員 それは、営業者を会社だとしたら、そこの職員のことですかね。

○中川座長代理 当該職員は行政職員ではないかと思うのですが、どちらに対しても命令でいいのですかね。

○小幡委員 私が答えることではないですけれども、済みません。

○増田消費者庁食品表示課長 ちょっと明確にはわかりませんが、もしかしたら次の厚生労働省も条文は同じですので、明確なお答えができるかもしれません。

○中川座長代理 このタイプの条文というのは幾つかありますので、後でも構いませんが、確認をお願いしたいと思います。

○増田消費者庁食品表示課長 はい。

○中川座長代理 それから、現行法の食品衛生法は廃棄命令で、新しくできる食品表示法では回収等命令というように、言葉が変わっているみたいなのですけれども、回収と廃棄というのはどう違いというイメージですか。

○増田消費者庁食品表示課長 いずれにしろ必要な措置で両方カバーできるのだと思いますけれども、食品表示法案でイメージしているのは、まさに売った消費者の方から回収しなさいということを命じられることを念頭に置いております。要するに、強制的に消費者から回収することはできませんけれども、例えばホームページなどで回収を働きかけるとか、そういうことをやらせるということを念頭に置いて書いております。

○中川座長代理 廃棄命令というのは、具体的に。

○増田消費者庁食品表示課長 廃棄は、第54条第1項、第2項で対の文になっております。中身は同じなのですけれども、確かに表示の違反は安全性に問題がない場合ももちろんありますけれども、第54条でいくと、第54条の第1項に当たる部分というのは、多くの場合、安全性そのものに問題がある場合だと思います。そういう意味では、まさに捨てろということだと思うのですけれども、第1項、第2項で多分同じ書き方をしているのだと思います。そういう意味では、表示そのもので直ちに廃棄がそんなにあるかというと、そこはイメージが少し合わないところがあるのかもしれません。

○中川座長代理 表示そのものというか、安全にかかわる場面を念頭に置いているのですけれども、回収と廃棄というのは余り変わらない、どちらにしても回収して廃棄するケースなのですけれども。

○増田消費者庁食品表示課長 結論としてはそうなのかもしれませんけれども、食品表示法のイメージは、まさに一たん売ったものもちゃんと回収ということをやりなさいねということがまず言えるようにすること、そこをメーンの念頭に置いて書いているということでございます。

○松岡座長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 そうすると、食品表示法案のほうで、資料2-4の「回収等命令」のところで、これは今どういう話になっているかお伺いしたいのです。食品の場合には消費期限とか賞味期限とかが表示されていますから、それが過ぎたものについてはもう廃棄しているとみなすという扱いもあり得るかと思うのですけれども、この法案の中ではそのようなものについてどう議論されたのでしょうか。

○増田消費者庁食品表示課長 回収の命令は、まさに現実の危険性を踏まえて命令を出せるということになっております。したがって、賞味期限が切れたから直ちにもうないものとして命令を発しないということを明示的に書いたり、明記していることはございません。ただ、おっしゃるとおり、例えば消費期限が3日だったら3日のものについて、1か月ぐらい後でわかったから命令をかけるかどうかみたいな話になれば、それは現実の危険性との関係で具体的に議論して必要がなければしないということだと思いますけれども、余り形式的に超えたら出さないとかというふうにはなっておりません。

○齋藤委員 食品と耐久消費財の対比において、いつも感覚がずれるのが、残存率がどのくらいあるかということです。耐久消費財の場合は出荷したものは全部残っている前提で、何%を把握したかが問題になるわけですけれども、食品の場合には消費期限が過ぎると存在しないものとみなして、一応100%措置済みだという議論があるのです。このあたりは今後どのようにしていくつもりなのでしょうか。

○増田消費者庁食品表示課長 ちょっとお答えになるかどうかわかりませんけれども、まさに回収の命令を発出するかどうかは、現実の危険性との関係だと思います。確かにおっしゃるとおり、先ほどの例のように、短い消費期限のものが何か月もたった先に残っていることを前提に何か命令を出すことも不合理だと思いますけれども、一方で、期限が切れたら直ちにその日から存在しないものとして扱うというのも、それはそれで多分現実には合わないので、そこは具体的な危険ということを加味しながら考えていくべきだと思います。

○松岡座長 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 食品表示法案についての回収等命令の場合は要件がかなり絞られるかと思うのですけれども、表示されていなかった場合に必ずこの指示条項を発動するのかどうか、あるいは発動しない場合もあり得るのか、あるいは発動しない場合に行政指導みたいなことも想定されているのか、このあたりはいかがでしょうか。

○増田消費者庁食品表示課長 表示基準に反して、あるいは表示すべき事項が表示されていない場合は指示することができるといって、これは今のJAS法でも同様の規定になっております。違反があった場合に全て指示するかどうかについては、今のJAS法でも、その違反が軽微で、基本的に過失によるものと認められるようなものについては、今のルールで言いますと、事業者がみずからこういう違反がありましたということを店頭やホームページで明らかにするということを前提に、そういった場合には指導にとどめますということをしております。
 そういった意味で、違反があって、特に消費者の方に間違った情報が伝わった部分については、何らかの形でそれは間違っていましたということをお伝えする必要はあると考えておりますけれども、そういうことがなされるのであれば、逐一全て行政が指示をするということはしないというのが今のルールになっております。

○鶴岡委員 そうしますと、指示条項を発動する場合の要件というのはどういうふうに。

○増田消費者庁食品表示課長 そういった意味では、言ってみれば今の裏返しになるわけですけれども、軽微なミスと言えない場合、あるいは事業者が自らそういったことを公表しない場合には、基本は指示を出すというふうに考えております。

○鶴岡委員 そうしますと、軽微なミスで、例えば誤記とかそういうことを想定されているかと思うのですが、軽微でない場合というのは、虚偽表示とかそういうことでしょうか。あるいは、重大な影響を及ぼし得る誤記とか表示とかですか。

○増田消費者庁食品表示課長 軽微かどうかというのは、確かに具体の事案ごとに判断しているので必ずしも明確に線があるわけではありませんけれども、例えば原材料でも主要な原材料がそもそも違っていたとかという場合と、原材料を重量順にずっと並べていくわけですけれども、後ろのほうにあるものが1個欠落していたというものでは大分違うと思いますし、産地など消費者にとって非常に関心が高いものについては、余り軽微なミスとして扱わないことが多いと思います。ただ、一方で一過性のものということも過失の場合は言っていますけれども、そういうミスがたびたび繰り返されていたということが確認できる場合と、たまたま1回限りだったということもあります。そういったことも加味しながら、あとは、もちろん事業者が当然、自らちゃんと消費者にお伝えするということを前提に、そういうときには指導にするというふうにしております。

○松岡座長 中村委員。

○中村(均)委員 ちょっと教えていただきたいのですけれども、食品表示のとき、表示項目に原産地みたいなことが書いてあるのですけれども、例えば資料2-1に書いてある一つの例で、スナック菓子の原材料名で「じゃがいも」とあります。そうすると、じゃがいもなんかは中国のものもあれば韓国のものもいろいろなものがあると思うのです。これは当然書いていない。そうすると、どういうときに書いて、どういうときは書かなくていいというのは基準の中にあるのですか。

○増田消費者庁食品表示課長 例えば原産地なら、どういう場合に原産地を書くかというルールは、全て表示基準の中に書いております。例えば、生鮮食品ですと、原則原産地表示をするということになっております。加工食品については、例えばこのスナック菓子ですと、加工食品の原産地は、加工食品をつくった場所を原産地と言っております。これについては、輸入品については輸入国を書くということになっておりますけれども、国産の加工品については、わざわざ国産ということを明記しなくてもよいということになっております。

○松岡座長 よろしいでしょうか。
 中嶋委員。

○中嶋委員 今までは回収命令等がなかったわけで、今度は新しい表示法ができると回収命令が出せますというふうになっているのですけれども、現状、大手の加工食品メーカーというのは、誤記があっても回収をするというスタンスが結構ありますから、それほど大きな問題は出てこないと思うのですけれども、例えば中小なんかの場合で、アレルギー表示の欠落があった場合は当然だということはあるのですけれども、アレルギー表示について意図的に小さく書いていたというものについてはどういうふうに、悪意で小さく書いている可能性もあるわけで、そういうときはどうされるのですか。

○増田消費者庁食品表示課長 食品表示については、例えば字のポイントなども基準の中で定めております。したがって、ポイントが小さいと少なくとも形式的には表示基準違反にはなると思います。ただ、ここの規定は、基本的には、まさに実態として危険があるかどうかというのを一つの要件にしておりますので、単純に全て基準に違反していれば発動するというのではなくて、そこは、そういった違反という事実と、もう一つは具体的な危険というのを両方要件にして、両者が満たされたときに発動するということになると思っております。

○中嶋委員 ですから、アレルギー表示というのは、ある意味、危険性が非常に高いというふうになった場合に、表示はしているけれどもポイントが小さいとか、パッケージが小さいものだから書けませんでしたとかみたいなことがあった場合にはどうされますか。

○増田消費者庁食品表示課長 実際には個別の事案ごとの判断ということになるのだと思いますけれども、まず、アレルギー表示であってもミスがあったときに全て回収命令の対象になるかというと、これは入っているアレルギー物質の量ですとか、あとは、今、アレルギーは7品目が義務ですけれども、アレルギーの品目ごとに重篤になるものかどうかというのも違いますので、そういったものも踏まえて考える必要があると思います。
 あともう一つ、字の大きさも、今は原則8ポイントで、8ポイント未満であれば確かに違反なのですけれども、例えば6ポイントで書いてあって、それは特にアレルギーを持っている方は当然注意してそれなりに見ますので、そういった目で見て特に問題がないというか、ちゃんと識別できるよということであれば、それはもちろん、ちゃんとこれからは8ポイントで書きなさいという指示を出すとか指導をするということはありますけれども、それが直ちに回収命令になるかというと、そこは直すということだけをやるけれども命令は出さないということはあると思います。

○中嶋委員 ここから先は単に私の考えていることなのですけれども、ISOなんかでもそうなのですけれども、マークを利用します、ですね。アレルギーの物質が入った食材が原料として使われていますというときに、表示だけではなくて、表示プラスマークみたいなものがあると非常にわかりやすいのですけれども、そういうことはお考えになられたことはあるのでしょうか。

○増田消費者庁食品表示課長 アレルギーはいろいろ品目がございます。今、義務で7品目ですけれども、そのほかに18品目を推奨で書いてもらうということをしております。マークという趣旨が不明ですけれども。

○中嶋委員 要は、この商品にはアレルギーに関する物質が含まれていますよというマークをつくって、それをぽっと入れておけば必ずアレルギー表示を見るというふうに消費者はなりますね。そういう意味での何かマークということを考えられたことはないですかという意味です。

○増田消費者庁食品表示課長 7品目なり、7プラス18品目のいずれかが入っているというマークを具体的に検討したことはありませんけれども、どうやったらアレルギー表示というのが消費者の方にわかりやすく伝えられるかということは、内部的にはいろいろ勉強とかもしているのですけれども、いろいろな人に聞くと、人によってアレルギーの程度も違っていて、ある人は一括にアレルギーだけ表か何かを示してあって、これは入っている、入っていないという丸をつけているのがわかりやすいという方もいらっしゃいますけれども、一方の方では、例えばアレルギーがどの程度、その物質が入っているかどうかというのは、原材料は重量順に書いているわけですけれども、原材料の欄に書かないとなかなか正確なところがわからない。だから、アレルギーというのは原材料を書く原材料欄の中に例えば何とかと書いて、卵を含むとか、ずらっと書いていくことがアレルギーの患者の人にとって最もよいデータなのだとおっしゃる方もいて、この辺については内部的にはいろいろ勉強はしていますけれども、なかなかアレルギーの関係の方でもいろいろ御意見があって、今これがわかりやすいのだということの結論には至っておりません。

○松岡座長 鶴岡委員。

○鶴岡委員 加工食品についてですけれども、特に最近、主要な原材料の原産地表示について関心がかなり高まってきているかと思うのですが、法案の取りまとめの過程ではそういう議論はなかったですか。

○増田消費者庁食品表示課長 加工食品の原料原産地、今、22品目とプラス4品目について義務表示になっております。原料原産地については、この法案の前段階を議論した検討会でも、その前からでも消費者の方々、あるいは消費者団体の方からは非常に強い関心を持っていろいろ御意見を言われている分野でもあります。ただ、一方、原料の原産地を表示するに当たっては、原料の切りかえ等における包材の切りかえなどの問題があって、そういった生産の効率とか正しく表示することの困難性ということが、これは原料原産地の表示が始まったときからずっと一方で言われている意見でございます。
 今回もまさにその両方の意見が出て、結論としては、その場では結論には至らず、また改めて検討する今後の検討課題として整理されたということで、消費者委員会の食品表示部会の中でも議論されましたけれども、何度か議論はされておりますけれども、なかなか結論に至っていないというのが現状でございます。

○松岡座長 それでは、佐竹委員。

○佐竹委員 食品の表示の中で初めて回収等命令が入ったということで、これについてもう少し具体的に教えていただきたいのですが、今の御説明ですと、アレルギー表示のような表示が欠落していると、アレルギーがない方には何の健康被害もないのですが、小麦でもアレルギーを持っている人には、その表示がなかったことによって召し上がると、それで非常に重篤な事故になるわけです。そういう実態があると思うのですが、この回収等命令の中で、今御説明があった実態に伴って回収をするというふうにおっしゃったのですが、では、表示義務違反があったとしても、全てが回収命令となるわけではなくて、要するに表示義務違反があったことによって重篤な健康危害の事故がどの程度起こっているかによって回収になるということになるのでしょうか、そのあたりを教えてください。

○増田消費者庁食品表示課長 説明がちょっと舌足らずだったのかもしれませんが、発生または拡大の防止を図るために緊急の必要があると認めるときというのは、もちろん発生している場合のほかに、発生をする具体的な危険があるときということを考えております。という意味で、発生がない段階でももちろん命令は発出できるというふうに考えておりますけれども、ただ、一方において、例えばアレルギーについて欠落があれば、すべからく回収命令がかかるのかといえば、それは入っている量とかそういったものも含めて検討するということで、アレルギーだったら直ちに全て回収命令というようなことを考えているわけではないということを申し上げたかったわけです。

○松岡座長 戸部委員。

○戸部委員 やはり、今お話を伺っていて、回収なり指示なりの判断基準というのでしょうか、考慮される要素というのがいろいろあって、かなりケース・バイ・ケースだということが非常によくわかってきたのですけれども、それが実際これまで余り見えてこなかったということがあると思うのです。もし可能であれば、基準を示すところまでは難しいかと思うのですが、こういう要素を考慮していますよという整理は何かできそうですか。もしそれがあれば非常に議論がしやすいと思うのです。例えば、期限表示の間違いと不具合がわかった時期の関係、それが販売した量に対してどの程度残っているのか、表示内容の間違いである場合は、産地表示の場合とアレルゲンの場合、それらが、主要原料なのかどうかというようなところで判断が少し変わってくるというようなことがあったかと思うのですが、そのあたりのこういうことを確認して判断していますというようなところが整理されると非常に助かります。

○増田消費者庁食品表示課長 指示と命令については、指示と命令の基準というのが現につくられていて、これは公表もされております。そういった意味で、そこの部分はある程度、現に今、運用している部分でもあるので明確なのですけれども、ここの回収命令のところは、まさに今、法案で初めて盛り込んだ部分ということもあり、今後、もちろん明確化のためにいろいろ検討していくべき課題は多いのだと思っておりますけれども、現時点でそこを明確化したものはないということで、我々も今、今後の課題として整理すべき事柄だと思っております。

○松岡座長 戸部委員、どうぞ。

○戸部委員 多分これからいろいろ議論していくと、行政での判断の要素と、事業者の判断を考慮する要素と、流通事業者、消費者、それぞれで判断する要素や基準があって、それがあってないと、多分、回収率が低いとか、本来回収しなければいけないものが回収されないとか、不要なものまで回収されるということになってくると思うので、そのあたりの整理ができると非常に議論しやすいのではないかと思いました。

○松岡座長 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 今の議論の続きなのですけれども、新しい法律、食品表示法案の執行の流れの中に権限の委譲というのがあります。これは内閣総理大臣から消費者庁長官、都道府県知事、農林水産大臣というふうに委任されて、なおかつ、その先の今度は地方支部局、これは省内ですね、それから、あとは都道府県の知事となっていますね。これは、権限の委譲が行われた場合に、ほかの例えば労働災害なんかでもそうなのですけれども、本省の意見と解釈と地方の局の意見が違うということがありまして、これは判断基準が明確になっていないからというのが非常に大きいのです。もし今のようなお話の中で判断基準が明確でないというふうにお考えでしたら、この権限の委譲というのは混乱の原因になります。極端に言えば、全部本省で一度は検査、チェックをした上で、こういうふうにしますよというふうに出していただかないと、地方部局は大変に混乱されるでしょうし、委託を受ける都道府県もどうやっていいかわかりません、みたいなことになりかねない。一方で、食品会社のほうはかなり積極的に自分たちで、もしミスがあったらやろうとするところのほうが多いと思うのです。例えば、今、実際に自主リコールをかけて回収率はどうなっているかというと、リコールをかけた段階で、3分の1ぐらいは消費されてしまっていて、残っているものは6割ぐらいしかなくて、そのうち半分は捨てられて、リコールで回収できるのは3割だとか。一般論ですが、というのが我々の議論の中にあるのですけれども、もしそういうふうなことがあったとしても、いわゆるこの権限の委譲の問題と、官庁側の判断基準が明確に示していただけなかったら逆に混乱が起きるかもしれないという危惧を考えるのです。

○松岡座長 どうもありがとうございました。

○増田消費者庁食品表示課長 この回収命令はほかの指示と違って、法律上は内閣総理大臣だけが権限者となっております。ただ、これは保健所の組織を念頭に置いてありますけれども、都道府県には委任することができるという仕組みになっていて、法律ができてから施行するまで2年間というかなり長い期間があるのですけれども、実運用の段階では保健所に委任することを考えております。
 ただ、それに当たっては、今、委員がおっしゃったとおり、やはり統一的な運用を図るべく、ガイドラインなのか、もうちょっとそういった発動に当たってのメルクマールというのは当然つくっていく必要があるというふうには思っております。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 このように具体的に考えていきますと、やはりいろいろな問題がありそうだなということが大分浮き彫りになってきたと思います。引き続きまして、検討会で議論していきたいと思います。
 では、消費者庁の食品表示課におかれましては、お忙しい中どうもありがとうございました。

(説明者入れかえ)

○松岡座長 引き続きまして、厚生労働省から食品衛生法における法的枠組み等につきまして説明いただきたいと思います。説明時間は10分ぐらいでお願いしたいと思います。厚生労働省の食品安全部監視安全課課長補佐、鶴身様です。よろしくお願いします。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 鶴身でございます。よろしくお願いいたします。
 お手元の資料3に基づいて御説明をさせていただきます。
 食品衛生法に規定されております回収命令等について説明をというリクエストがございましたので、お手元の資料のほうにまとめさせていただいております。
 先ほど来からお話のありましたように、第54条について、まず1ページ目に記載をしています。「厚生労働大臣又は都道府県知事は」というふうになっております。「営業者が第6条、第9条」云々と記載がございますけれども、これらに違反した場合において、その食品の廃棄、またはその他食品衛生上の危害を除去するために必要な処置をとることを命ずることができるというふうに規定されております。
 厚生労働大臣は、輸入食品の関係もあり記載されておりますけれども、現実的には国内に流通する食品ということで都道府県知事、これは中核市、保健所設置市までおりておりますけれども、知事、市長が命令をすることができるという規定になっております。
 それぞれの条文は次のページで御紹介をさせていただきたいと思います。
 先ほどお話がありました廃棄、回収につきましては、基本的には流通しているものについては、この条文で回収の命令をして、回収されたものについては廃棄をするというのが一般的な流れだろうと思います。当然、流通をせずに倉庫に保管してある場合には、当然、廃棄だけの命令になるということになるのだろうと思います。
 以降は、先ほど消費者庁から話がありましたように、表示に関するところですので割愛をさせていただきます。
 次の2ページになりますけれども、先ほど第54条に出てきました主な条文の内容について御紹介をさせていただきたいと思います。
 まず、第6条が不衛生な食品、添加物の販売の禁止ということで、腐敗をしたもの、病原微生物に汚染されているとか、もしくは有害物質を含むようなものということで、括弧の中に例示を記載させていただいております。
 第9条は、病肉の販売の禁止。人獣共通感染症等、規定がされている疾病にかかった獣畜の肉、臓器、骨等の食用としての販売の禁止ということになります。
 第10条に参りまして、添加物の販売の禁止ということで、厚生労働大臣の指定を受けていない添加物を使った食品、添加物そのものもそうですけれども、そういったものの販売の禁止。
 それから、第11条になりまして、食品ごとに成分の規格でありますとか、もちろん安全上に関する規格・基準になりますけれども、製造基準であるとか規定がされておりまして、それらに適合しない食品の販売の禁止でございます。右側に例として、残留農薬でございますとか、大腸菌群でございますとか、そういった規定に違反するものということになります。
 第18条は、同じように器具、容器包装で規格・基準が定められているものについて、それに適合しないものということになります。
 次に参りまして、平成23年度衛生行政報告例ということで表を掲載させていただいております。こちらは厚生労働省の大臣官房統計情報部において作成されているものです。半分から上の第29表というものは、まず、許可を要する食品関係営業施設について行った措置ということになります。営業の種類によって政令で定められております34業種については、それぞれ都道府県知事の許可が要るという規定がございまして、その34業種の許可を要するものの中で監視をしたものとか措置をしたものということになります。半分から下がそれ以外の業種で、許可を要しない関係業種ということになります。
 上側の表の少し色を塗っておりますが、真ん中より少し右側にございます「物品廃棄命令」は、第54条に基づいて措置をしたものがこの中に入ってくるだろうということでございます。23年度総数で19件ということになっております。実際上、若干数字が少ないかなという感じがされるかと思いますが、事実上、命令等の措置を発動しなくても廃棄がされているとか、十分な措置がされているというような場合には、恐らく発動までは至っていないだろうと。したがって、この件数に上がってきていない例があるのだろうというふうに思っております。
 それから、半分から下側が許可を要しないですが、許可を要しない施設なので全てが網羅されているという状況ではございませんけれども、統計上、このような数字が計上されているという状況でございます。
 次のページに参りまして、食品衛生法に違反する食品の回収情報のホームページということで、回収等の情報について、厚生労働省のホームページでも御紹介をしているというものです。当然、都道府県知事等が回収等の命令をした場合には、それぞれの自治体で公表されているという状況になりますけれども、それらを厚生労働省のほうにもお知らせをいただいて、厚生労働省のホームページでも紹介をしているというものです。
 目的といたしましては、回収情報を広く周知するということで、掲載の内容は回収命令とか、自主回収が行われて自治体で報道発表を行った事例を厚生労働省のホームページでも公表しているというような状況になっております。
 説明は以上でございます。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 それでは、御質疑、質問等がございましたらよろしくお願いします。
 中川委員。

○中川座長代理 廃棄命令の具体的なイメージを教えていただきたいのですが、先ほど、倉庫にあるものは廃棄命令で、流通にあるものは回収をさせて、回収させたものは事業者において廃棄するという命令の出し方をおっしゃいましたが、裏面の第29表にいろいろな例がありまして、例えば仕出し屋・弁当屋というのが2件あります。それは、仕出し屋・弁当屋に対してシラミ潰しにお前のところのこれは廃棄しろという命令なのか、製造者に対して回収命令をかけるということなのか、両方やるのか、そこら辺はどんなふうにやるのかというイメージを教えていただきたいのですが。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 この2件の個別の事例は、今手元にないので一般的なお話になろうかと思いますけれども、仕出し屋・弁当屋は、そのところでつくっている事業者になりますので、その方が製造者になります。多くの場合は食中毒を出して、同じ製造日のお弁当が残っているとか、もしくは売ったものを回収しなさいとか、食中毒が起こってからはなかなか追いつけないかもしれないのですけれども、その事業者に残っているものとか、そういったものに対して発動している例があるのだろうと思います。多くは、やはり下のほうにある流通食品で検査をして、規格・基準の違反が見つかるようなケースというのが多いのだろうと思います。

○中川座長代理 そうすると、回収と廃棄の両方を命ずるのですか。今あるやつは当然廃棄して、売ったやつは可能であれば回収しろという。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 もちろんそうです。

○中川座長代理 両方かけるというイメージですか。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 実際上、同時に紙に書いているかどうかというのは別にしまして、回収したものは当然廃棄させるということになると思います。

○松岡座長 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 関連の質問ですけれども、第29表の物品廃棄命令は19件ということですが、改善命令は55件、この数字の差というのはどういうふうに解釈すればいいのでしょうか。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 実際に物品の廃棄命令まで至らなかったということが主なのではないかと思います。詳細は東京都さんからお話しいただければありがたいのですが、実際に食中毒などを起こして、その施設の改善であるとか、改善の措置の命令はするけれども、実際に残品がない、商品がないような場合には回収の命令まで至らないと思います。ですから、指導はしたけれども、実際に回収命令等は発動していないというケースがあるのではないかと思います。

○松岡座長 中村委員、どうぞ。

○中村(晶)委員 ちょっと教えていただきたいのですけれども、今いただいている資料のシート4、「食品衛生法に違反する食品の回収情報ホームページ」のことですけれども、先ほど御説明いただいた中に、四角が3つ並んでおりまして、その一番上のところだと思うのですが、「回収命令又は食品等事業者による自主回収が行われ」「報道発表を行った事例」というふうになっていましたけれども、「報道発表を行った事例」というのは回収命令と自主回収の両方にかかるのですか。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 そうです。

○中村(晶)委員 そうすると、報道発表がないケースではホームページにも載らないですか。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 はい。基本的にそれぞれの自治体で報道発表しているものを厚生労働省のホームページでも掲載をしますというものになります。

○中村(晶)委員 この公表の基準なのですけれども、これはどこにその基準というか根拠があるというふうに理解すればよろしいでしょうか。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 もちろん、食品衛生法の何らかの条文に違反するものとして行政処分を行ったものというものは基本的に公表の対象になります。

○中村(晶)委員 条文はあるのですか。食品衛生法に公表の条文というのはどういうふうに。いただいている法令集ではガイドラインが出ていて、そこには自主回収がされた場合の、必要に応じ、注意喚起等のために公表について考慮することというガイドラインの一条項が引かれているのですけれども、これは自主回収の場合ですね。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 管理運営基準のガイドラインのところの10番のところだと思いますけれども、ここの(1)にもございますように、「販売食品等に起因する食品衛生上の問題が発生した場合において」となっていますので、基本的に食品衛生法上で定めているものは、衛生上の観点でという範疇であるということです。だから、衛生上以外の観点でもし自主回収云々というものがありましたら、ここには入ってこない可能性は当然あります。

○中村(晶)委員 そうすると、いただいている資料のシート4の「回収命令又は」「自主回収が行われ」というこれを2つに分けまして、回収命令がなされた場合で報道発表されない場合というのはあるのですか。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 公表に関するガイドラインというものを出しておりまして、基本的には危害の拡大の防止のために公表するというくだりになっていたのですが、済みません、今手元にないもので、改めて事務局のほうを通して。

○中村(晶)委員 わかりました。そうすると、根拠になるガイドラインというのがあって、それで振り分けておられるのですね。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 公表に関するガイドラインについてはそうです。

○中村(晶)委員 自主的なほうについては、ここのお配りいただいている法令集の中の指針というのがまた別にあるということになりますか。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 先ほど申し上げました公表に関するガイドラインは、それぞれの地方自治体の方々がどういうものを公表するかというものについてガイドラインとして示しているものです。

○中村(晶)委員 名宛て人は自治体なのですか。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 そうです。ここにある管理運営基準というものは、それぞれの事業者が遵守すべき、どちらかというと衛生的な取り扱いという観点で定めているもので、それぞれはまた自治体さんが条例で規定しているということになります。

○中村(晶)委員 そうすると、厚生労働省は、自治体がそのガイドラインに従って公表したか、または衛生上の問題に関して自主回収をした業者が自主的に何らかの公表をしたようなものの中から厚生労働省ホームページの回収情報部分に載せていらっしゃるということですか。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 特にこちらで選別をするというわけではなくて、それぞれの自治体が行政処分を行っておりますから、それぞれに基づいて公表したものを厚生労働省のホームページにも載せています。

○中村(晶)委員 そうすると、健康上の問題に関して、衛生上の問題に関して生じたことで回収命令が発せられたようなもので、この回収情報ホームページに載らないものは実際、問題はないのでしょうか。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 基本的に通知のお願いベースで行っておりますので、万が一、漏れが出るという可能性は否定できないかもしれないですけれども、基本的には御連絡いただいているものは全部載せています。

○中村(晶)委員 そうすると、消費者はこの情報ホームページをチェックしていれば、一応の安全は守れるというふうに理解してよろしいですか。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 そのよう御理解いただいて構わないと思いますけれども、ただ、先ほど来からお話のありましたアレルギーに関しては、こちらのほうでは対処しておりませんので、それはまた別にということになるかもしれないです。

○中村(晶)委員 わかりました。ありがとうございます。

○松岡座長 齋藤委員。

○齋藤委員 この第29表の中で質問があります。処分件数のレベルで許可取り消しから始まってその他までランクがあります。営業停止命令と改善命令、物品廃棄命令と並んでいる数字を比べてみたのですけれども、営業停止命令の条件の中に多分、改善条項はみんな入っているはずで、関係する物品があれば全部廃棄しろというのも入っているだろうと思います。恐らく改善命令の中にも入っている。物品廃棄命令というのは、改善命令の中にもかなり入り込んでいるのではないか、オーバーラップしているのではないかと思うのです。けれども、そう理解するとわからない点があります。乳処理業と下のほうの食品の冷凍または冷蔵業があります。これは、改善命令も営業停止命令も出ずに、物品廃棄命令だけ出ているというケースがあると読めそうです。物だけ放ればいい、ということなのかどうか。どう理解したらいいのでしょうか。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 後ほどまた御連絡させていただくということでよろしいでしょうか。済みません。

○松岡座長 ちょっと教えてほしいのですが、食品衛生法違反となった食品というのは、どうやって見つけるのでしょうか。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 1つは、一義的には事業者に衛生上の確保の責任というのはもちろんあります。当然、事業者が製造する中で食品衛生法に抵触する可能性があるものは保健所に通報することということになっていますから、それで連絡が来るケースが1つあります。
 もう一つは、それぞれの自治体において厚生労働省が示す監視指導指針に基づいて年間計画を立てて監視指導をしています。これは収去、サンプリングをして検査をするとか、工場に年に何回立ち入るとか、そういった計画を立てて監視をしております。後ほどの東京都福祉保健局の資料でもその部分になっておりますけれども、そういった観点で流通品の検査で違反を見つけるというケースもあります。

○松岡座長 そうしますと、そういうサンプリングの検査でもって、事前に何かが起こる前に見つかるというのはかなりの件数あるのですか。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 全体の数を把握しているわけではないので何とも申し上げられないのですけれども、手持ちの数字がございませんので済みません。

○松岡座長 それでは、もし何かありましたら後で情報をいただければと思います。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 参考に、収去、サンプリング検査で不良なものが見つかったものは、先ほどの衛生行政報告ですと、23年度は979件という統計の数が出ております。

○松岡座長 ありがとうございます。
 中川委員。

○中川座長代理 廃棄命令は、恐らくこれは指導しても聞かない業者に対して出しているのだと思うのですけれども、つまり、向こうがなかなかやってくれないから命令に至っているのではないかと想像しますが、実際、命令した後、どうなっているのか。つまり、やはり廃棄しないということもあるのではないかと思うのですが、その後どうするのですかという質問です。法律上は罰則しかなさそうですね。そうすると、当該食品はそのままずっと倉庫にあるということになるのでしょうか。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 先ほど事務局の資料にありました、罰則の規定は第71条で3年以下の懲役・300万以下の罰金というのがございます。おおむねそのようなことはないのではないかとは思っています。回収の報告であるとか、廃棄の報告というのは、それぞれの自治体がいただいているということになります。

○中川座長代理 では、もし報告をしてこないとか本当に悪質な業者がいた場合、制度的には対応策はないということですか。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 罰則を発動するというのが。

○中川座長代理 唯一の方法ですか。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 そうだと思います。

○松岡座長 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 第29表の見方を教えていただきたいのですけれども、営業施設数というのが左端にありまして、総数が250万となっているのですけれども、それからずっとその他までは、どちらかというと製造業者ではなくて、飲食店とかそういう外食系というのですか、出しているところがあってというふうにあるのですけれども、ここまでで120万ぐらいあるので、足してしまうと250万を超えるのです。そこから下、その他の下をずっと足していくと、どれぐらいの職種があるかわからないのですけれども、多分50万ぐらいはひょっとしたらあるかもしれない。そうすると、左側の端の営業施設数の総数というのと内訳が合わないのですけれども、これは一体どういうことなのでしょうか。どう読んだらいいのかなというのが、ダブってやっていますとかいうのがあるのかもしれないので、その辺がちょっとわからないなというのと、もう一つは、処分件数というので、命令というのがついたのばかりがここに挙がっておりまして、その中で廃棄命令というのはリコールに関係があると思われて廃棄というのでここに網かけをされたのかもしれないのですけれども、その他というのは改善の勧告であるとかということになるのでしょうけれども、これが3,500ぐらいあって、今度は告発というのがありまして、告発というのは、どういうふうに摘発をするのか、ちょっとわからないのですけれども、要は処分をするというふうになったときの処分の一般的な流れ、いわゆる、例えば加工業者が自主的に、こんなことになりましたので申しわけございませんと保健所に言っていくのか、それとも、それは保健所が立ち入りで見つけて、言ってみたら改善命令まではいかないけれども、こういうふうにしなさいねと指導・勧告をしたとかいうふうになるのが普通なのか、厚生労働省さんの監視行政というのはかなり評判が高いといいますか、なかなかきついというふうにも伺っているのですけれども、だから、この統計表がおかしいとかと言うつもりはなくて、数字がどういうふうに見たらいいのかとか、どういうふうに処分の流れを見たらいいのかとか、その辺のことをちょっと教えていただきたいなと思ったのです。
 仮に食品に関して言えば、250万社ありますと。生鮮食品、加工食品、仕出し弁当とかレストランを入れて全部ありますというと、恐らく日本の会社の数の半分が食品関係だということになるのですけれども、ちょっとその辺を教えてください。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 この一般食堂、仕出し屋、旅館、その他というのは、飲食店営業の内数になっているものです。

○中嶋委員 そういうことですか。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 それで、告発の関係ですけれども、実際上は、それぞれの自治体が、営業者を所管する自治体になりますけれども、それぞれの警察と相談をして告発をするということになろうかと思います。

○松岡座長 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 回収情報の周知の件ですけれども、新聞社告の場合、一般の工業製品ですとリコールハンドブックに模範ケースみたいなことが紹介されていまして、大分わかりやすいものがふえてきているのです。ところが食品関係ですと、これも一般的な評価ですけれども、非常に字ばかりで、しかもその字が小さくて読みにくいとかわかりにくいというケースがかなり目立つのですが、その辺について役所のほうから何らかのアドバイスなり指導なりされているのかどうか、いかがでしょうか。

○鶴身厚生労働省食品安全部監視安全課課長補佐 特にこちらの方からそういった観点での指導というのは、これまでないと思います。それぞれの自治体で、それぞれの事業者に対して個別にというのは、もしかするとあるかもしれないですけれども、そこまで把握はできていないです。

○松岡座長 それでは、まだいろいろあるかと思いますが、厚生労働省におかれましては、ここまでで打ち切りたいと思います。どうもありがとうございました。

(説明者入れかえ)

○松岡座長 では、続きまして、東京都福祉保健局より、食品リコールに関連した法令に基づく行政処置、行政指導の運用状況等につきまして、情報入手から実施に至るまでの判断基準や意思決定、さらには食品リコールが発生したときの関係自治体、流通事業者、消費者などへの周知のあり方について御説明をいただきたいと思います。説明時間は15分ほどでお願いいたします。
 東京都福祉保健局健康安全部食品監視課課長の田﨑様、それから、食品安全担当係長の高橋様、よろしくお願いいたします。

○田﨑東京都福祉保健局健康安全部食品監視課長 東京都の食品監視課長の田﨑でございます。
 お手元の委員限りの資料を見ていただけますでしょうか。こちらの「本日の内容」についてですが、詳細については後ほど担当係長から説明させていただきます。はじめに、食品の監視体制とあります。先ほど厚労省から話がございましたが、各自治体が作成する年間の監視指導計画、自治体との各連絡調整と、食品衛生法に基づく回収の内容と、あわせて自主回収報告制度を条例で決めさせていただいております。これらの内容について簡単に御説明させていただきたいと思います。
 では、高橋のほうから説明を差し上げます。お願いします。

○高橋東京都福祉保健局健康安全部食品安全担当係長 東京都食品監視課の高橋と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、委員の皆様方だけの配付資料となっておりますけれども、「食品衛生法及び東京都食品安全条例に基づく食品の回収」といった内容で御説明させていただきたいと思います。
 本日の内容なのですけれども、食品の回収といったところがメーンでございますが、食品衛生法に基づく措置につきましては、食品衛生に関する監視指導体制といったものと密接に関係がございますので、まずそういった全体的な概要を御説明させていただきまして、具体的な食品の回収の流れといったものを説明させていただきたいと思っております。
 「東京都の食品監視体制(組織)」になるのですが、私ども東京都福祉保健局の中に健康安全部という部署がございます。こちらが、いわゆる本庁機能でございまして、書いてありますとおり、健康安全課、それから私どもが所属しております食品監視課がございます。
 食品監視課では、食品衛生関係の予算ですとか人事、議会対応、施策の企画・立案、そういったものをやってございますが、ここら辺は連絡調整業務がメーンとなっておりますので、いわゆる現場に行って監視するといったものは事業所のほうで行うといった流れになっております。
 具体的な事業所はどういったものがあるのかといいますと、大きく分けて東京都に4つございます。1つは保健所でございます。こちらは、東京都多摩地区に5か所、それと島嶼地区、伊豆諸島から小笠原諸島まで、こちらも東京都の範囲に入りますので、その島嶼の保健所が1か所、合わせて6か所の保健所を東京都で所管しております。
 食品衛生法では、基本的な行政の単位が保健所を設置する自治体ということになってございます。こちらは地域保健法に定めがございまして、都道府県、保健所を設置する市、特別区が保健所を設置する自治体になっております。東京都の中では、都道府県としては東京都、それから、保健所を設置する市としては八王子市と町田市、それと23の特別区といった形で、同じ自治体の中で26の自治体が食品衛生法を所管しております。
 もう一つ、東京都には健康安全研究センターがございます。こちらは、昔、都立衛生研究所と呼ばれていたところでございまして、食品の検査をやっていたのですけれども、こちらの検査部門と監視部門といったのが今は一体となっておりまして、健康安全研究センターといった名称になってございます。
 それと、市場衛生検査所は、中央卸売市場を主に管轄しておりますけれども、こちらのほうが築地、大田、足立にそれぞれございます。
 そして、最後に芝浦食肉衛生検査所ということで、食肉市場内でと畜検査、BSE検査といったものを主にやっている部署があります。
 以上4つが東京都の主な食品衛生を現場で監視・指導している部門になります。
 次が、地図上であらわしたものでございます。右のほうに23区が色分けされておりますけれども、そちらと八王子、町田、これがそれぞれの市もしくは区で保健所を設置していて、それぞれで食品衛生法に関する監視・指導を行っています。食品の回収ですとか、そういった措置についても、これらは区、市それぞれで実施しています。
 次に、「東京都の食品監視体制(流通)」とございますけれども、具体的な流れに沿って、どういった監視をしているのかといったものが示してあります。
 まず、農畜水産物や輸入食品、そういったものが都内に入ってきます。最初に入ってくる場所としては、卸売市場ですとか、輸入品であれば倉庫ですとか、まずそういったところに入ってまいります。そちらの監視につきましては、監視の立入検査、衛生指導、収去検査と書いてありますけれども、こちらを、今申し上げました市場であれば市場衛生検査所、食肉衛生検査所、健康安全研究センターの広域監視部門といったところが実施しております。実際には、食品衛生法に基づく食品衛生監視員といった職員が衛生指導に当たっております。ここで書いてあります収去検査ですけれども、こちらは食品衛生法に基づく規格・基準に適合しているかどうかといったものを検査するために、食品とかを事業者のほうから必要量を無償で取り立てて行って検査をすることです。この検査の結果、違反が見つかるといったケースがあるということでございます。
 その次に流れていきますと、食品の製造業や問屋、いわゆる食品の流通業といったものが次にございます。こちらについては、保健所、健康安全研究センターの広域監視部門とそれぞれ分かれて監視指導を実施しておりますが、規模によって分けておりまして、比較的小規模なものについては保健所で行う、大規模なものについては健康安全研究センターの広域監視部門で行うといった形で分けてございます。
 次に進んでいきまして、さらに地域的な流通業者、小売業者、スーパーですとかそういったもの、それから飲食店、こういったものについては保健所のほうで監視指導を行っているという流れになっております。
 具体的なそれぞれの部署の監視指導内容につきましては、記載のとおりでございます。
 続いて「食品衛生監視指導計画」といったものがございます。こちらは、食品衛生法24条と食品衛生に関する監視指導の実施に関する指針(平成15年厚生労働省告示)に基づいて、各保健所を設置する自治体が毎年度策定しているといったものでございます。具体的な中身につきましては、抜粋といいますか簡単に書いてございますけれども、平成25年度、東京都では、重点監視指導としては食中毒対策、輸入食品対策、食品表示対策、食品の放射性物質対策と4点挙げさせていただいております。それから、その他の監視指導としては、夏期・歳末の一斉監視、それから、ことし、国民体育大会・全国障害者スポーツ大会が東京都で実施されますので、それに合わせたスポーツ祭東京2013に関する監視指導、健康食品対策、食品の汚染実態調査等があります。
 立入検査実施予定数としては21万2,500件を予定しておりまして、検査実施予定項目数としましては12万1,330項目を予定しております。
 お手元に平成25年度の東京都の監視指導計画全文があろうかと思います。違反食品に対する措置が記載されているところがございますので、御紹介させていただきたいと思います。
 「東京都食品衛生監視指導計画」の5ページ目をごらんください。こちらに「第5 監視指導の実施内容」といったものが記載してございます。
 「1 監視指導の実施に関する基本方針」の半分から少し下のところ、「(3)食衛法違反等への対応」といった記載がございます。ここの「(ア)違反発見時の対応」といったところでございますけれども、「立入検査により法違反を発見した場合は、直ちに改善を指導する」と記載がございます。
 そして、3行下にくだっていただきますと、「収去検査により法違反を発見した場合は、当該法違反の食品等を収去した食品等事業者に対して、当該食品等が販売の用に供され、又は営業上使用されないよう指導を行い、必要に応じて厚生労働省や消費者庁、関係自治体と連携して、廃棄や回収等の措置を講じ、迅速に市場から排除する」とあり、こちらで廃棄や回収の措置に関して記載してございます。
 6ページ目のほうに行っていただきますと、処分のことが少し前段に書いてございます。「これらの法違反への対応においては、必要に応じて法第28条に基づき、食品等事業者から文書により報告を徴収するほか、食品等事業者の改善措置状況の確認及び記録を適切に行い、確実な改善を図る。また、必要に応じて法第54条、第55条又は第56条に基づく処分を行う」と記載しております。
 法第54条につきましては、先ほど御説明があったとおりでございまして、危害除去命令ということで廃棄処分ですとか、回収命令といった規定がある条文でございます。第55条は、食品の営業許可の取り消しですとか、禁止・停止といった規定があります。第56条については、営業許可に当たって施設基準あり、これに違反した場合の命令ですとか、営業の禁止・停止といった条文でございます。
 そして、回収のところで、先ほど公表のところが出てきましたけれども、(イ)のところに続いて書いてございます。食品衛生法は第63条に公表の規定が設けてございます。具体的には、食品衛生法の違反、それから、食品衛生法に基づく処分に違反したものについて、公表の努力規定が設けてございます。これに基づいて東京都においては、食品衛生法または法に基づく処分に違反したものの名称等を、私ども食品監視課のホームページに掲載して公表しております。
 もう一つ、自主回収の報告制度といったものが東京都にはございます。その内容が、6ページの真ん中のウに書いてございます。「食品等事業者による自主回収への対応」ということでございまして、「食品等事業者自らが食品等の回収を行う場合には、東京都食品安全条例に基づく自主回収報告制度による報告の徴収等により、事業者による自主回収情報を的確に把握し、回収状況を確認する」となってございます。具体的な自主回収報告制度の中身については、後ほど御説明させていただきます。
 資料に戻っていただきまして、「他自治体・行政機関との連絡調整」といったところでございます。
 まず、東京都の中には、今申し上げましたとおり、実際に現場への立ち入り調査を実施している保健所等がございます。それから、都庁、私ども食品監視課を初めとしまして、監視指導の計画や立案をしている部署がございまして、連絡調整を行っております。そして、東京都内には保健所を設置する自治体として特別区、八王子市、町田市がございますので、こちらについてもそれぞれ連携協力して当たっています。
 例えば、東京都で違反を発見して、製造者が都外の自治体にあるといった場合は、そこの製造者を所管している道府県のほうに通報いたしまして、調査や違反品の措置を依頼しているといった流れになります。必要に応じまして、農林水産省はJAS法や米のトレーサビリティー法といったものの所管がありますので、農林水産省と厚生労働省と消費者庁といった国の機関とも連絡調整を行いながら実施しているということになります。
 めくっていただきまして、本日は「食品の回収」に関する具体的な流れになります。大きく分けまして2つございます。1つは「食品衛生法に基づく処置」といったものでございます。2点目は、東京都独自の制度でございますけれども、東京都食品安全条例に基づく自主回収報告制度といったものでございます。
 まず、食品衛生法に基づく処置でございますが、食品衛生法により法に違反する食品の廃棄処分や危害除去命令といったものが法律の条文上、規定されております。
 具体的な処分の手続といったものにつきましては、東京都の場合は、東京都食品衛生関係不利益処分取扱要綱、実施要領といったもので規定しております。
 2点目の自主回収の報告制度ですけれども、こちらは条例に基づく都独自の制度でございまして、平成16年の11月から施行されています。これは、食品の生産者や製造者などが健康への悪影響を未然に防止する観点から食品等を自主回収する場合に都への報告を義務づける制度でございまして、先ほどの最初の資料にありましたけれども、報告された内容を東京都のホームページに掲載して都民への情報提供を実施しているといった内容でございます。
 これ自体は、自主回収をした場合、報告を求めるといったものでございまして、自主回収の実施を義務づけるとか、そういった性質のものではないといったところに留意していただければと思います。
 続いて、基本的な食品衛生法に基づく処置でございますけれども、例えば厚生労働省ですとかほかの自治体が、東京都内にあります製造者や輸入者が取り扱っている食品を検査して、食品衛生法の規格・基準を超えていた、違反していたといったような情報が東京都の本庁にあります食品監視課のほうに通報がございます。その通報を受けまして、先ほど申し上げました実際に現場で監視指導をする都の保健所、健康安全研究センター、市場衛生検査所、芝浦食肉衛生検査所に食品監視課のほうから通報いたしまして、具体的な調査を行うという流れになります。製造者ですとか輸入者、そういったところに調査を行うわけですけれども、例えば調査内容としては製造工程を確認したり、製造記録や自主検査結果を確認したり、そういったことを行っております。その場で実際には口頭での指導という形になりますけれども、例えば違反品を販売しないように指示するとか、回収を指示する、廃棄やそういった措置の指示をするといったことと、それから、数量や廃棄の確認、違反品の措置、違反原因調査に関する書類の提出を指示したりといった口頭指導を現場で行うことになります。
 このような調査を行いまして違反を確定いたします。違反となる対象品やそのロットといったものを確定して認定いたします。そして、東京都の場合は、ここで回収の指示といったことを行います。これは、回収指示書といったものを交付しておりますが、書面による行政指導という位置づけでございます。その横に公表という規定がありますけれども、東京都の場合、先ほど申し上げました食品衛生法63条に基づく規定については、書面による行政指導をしたもの、それから、法に基づく処分をしたもの、処分に違反したもの、その三者を公表するといった規定しておりますので、この回収指示書を交付した時点で食品衛生法63条に基づく公表を行っております。その後、事業者のほうが回収した製品を確認したり、その数量、どれぐらい戻ってきたのか、それから、販売されないように封印といった形の措置をしまして、その後に販売禁止命令といった処置を行います。ここで販売禁止命令書といった形で交付を行っておりまして、これが食品衛生法第54条に基づく処置となっております。その後、封印解除、また、廃棄します。輸入品の場合は必ずしも廃棄するということではなくて、例えば原産国のほうに船で積み戻し(シップバック)をするといったこともございます。そういったことを確認します。
 実際の違反品が回収されるところは倉庫といったところになるわけですけれども、それが必ずしも東京都内にあるとは限りませんので、ほかの自治体の管轄にあるところにつきましては、その都度関係の自治体に依頼して確認をしていただいています。
 続きまして、東京都食品安全条例に基づく自主回収報告制度でございます。こちらは、東京都食品安全条例に基づいて定められている制度でございまして、食品による健康への悪影響を未然に防止することを目的としたものでございます。
 中身につきましては、お配りしました自主回収報告制度の1枚紙のリーフレットを使って御説明させていただければと思います。
 あけていただきますと、見開きで大きく書いてございます。右上のほうに「どんな食品が対象なの?」と言っておりますが、こちらは報告の義務対象としているのは、全ての飲食物、食品添加物、器具、容器包装といったものになります。
 実際、義務づけを行っているケースとしましては、まず、食品衛生法に違反している場合、それから、食品衛生法に必ずしも違反していなくても健康への悪影響のおそれが考えられる場合です。東京都の制度でございますので、都内に流通しているといったものを自主回収する場合に報告を義務づけています。具体的には、例えば食品添加物の使用基準に違反している。あとは、表示のところになりますが、賞味期限・消費期限を長く誤って表示してしまった。それから、アレルギー物質の表示が漏れてしまった。例えば異物混入ですと、ガラス片が複数の製品に混入しているとか、そういったケースが報告の対象となっております。
 まず、「手続きの流れ」というのが下に書いてございます。簡単に御説明しますと、まず、事業者で自主検査をして、添加物や残留農薬の基準の違反を発見したとか、あとは、消費者の方から苦情みたいな形で異物が入っていたとか、そういったものが寄せられることがあります。それをもとに事業者のほうで、保健所のほうにも相談が来るのですけれども、自主回収するといったことを決定いたします。その場合に、自主回収に着手したことの報告をいただくという流れになっております。
 報告をいただきましたら、東京都のホームページに自主回収に着手した内容を掲載しております。右のほうに書いてあるようなイメージのものでございます。その間、食品の回収を事業者のほうでやっていただきまして、自主回収が終了しましたら、その終了についても改めて報告していただきます。報告がありましたら、これは終わりましたということでホームページのほうにアップします。終了報告から2週間、ホームページにはそのまま掲載されております。そして、回収した食品については、その後、管轄の保健所等が指導して処置の確認を行っております。
 以上が東京都の自主回収報告制度の流れになります。雑駁ではございますが、私からの説明は以上でございます。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 それでは、質疑応答をお願いいたします。
 鶴岡委員。

○鶴岡委員 この自主回収報告制度については意義があると思うのですけれども、その報告の要件のうちの健康への悪影響のおそれが考えられる場合ということは、法律との関連で自主回収報告という措置にとどめておられるのかと思うのですが、健康への悪影響のおそれがあると考えられるということになると、法律の範囲に含めた規制のほうが適しているのではないかという感じは持たれておられませんか。

○田﨑東京都福祉保健局健康安全部食品監視課長 基本的に自主回収が行われるケースは、事業者が自主検査で違反を発見するケースがあります。自主検査を行って、添加物とか微生物系の違反が出るケースが、一番わかりやすいと思います。例えば顕著な病原微生物、サルモネラとか腸炎ビブリオとかそういったものだけではなく、微生物のコンタミネーションがしてしまう。その中で事業者の方が判断をして、そういった病原微生物は検出されないはずだが、製造ラインに問題があったかもしれない。そういったコントロールできない点で衛生的に問題だとすれば、これは自主回収することになり、必ずしも食品衛生法に違反しているというケースではなくても自主回収した場合は都に報告する仕組みになっています。確実に食中毒を起こすような病原微生物が入っていなくても安全性を事業者が疑えば自主回収で対応できる仕組みとしています。

○鶴岡委員 確かに自主回収ということですから範囲は広目にとられているということだと思うのですけれども、健康への悪影響のおそれというところで見ますと、やはり消費者側から見れば回収の対象とすべきではないかという見方ができるのかと思うのです。そうしますと、条例ではもちろん対応できないわけですけれども、そのあたりを法律のほうで対応したほうがいいのではないかという御感想はお持ちではないですか。

○田﨑東京都福祉保健局健康安全部食品監視課長 ケースによって、それは必要かなと思います。例えばボツリヌスとか非常に有害な微生物が入っていて、しかも公衆衛生上の問題が大きいケースであれば行政が介入します。しかし、通常の違反で、回収が行われる場合、行政が判断するためには、行政が確固たる検査を行って、きちんとした証拠をとらまえて、それからの対応になります。それに比べて自主回収のほうが対応が早いケースもあり、スピーディーな対応が可能という点で優位な自主回収制度を導入させていただいています。
 もし、今の委員のお話であれば、非常に毒性の高いものとかそこら辺があれば、改めて検査をするなり、状況証拠を確実に行った上で行政処分という形にするのが適当かと思います。

○松岡座長 ほかにございますか。
 佐野委員。

○佐野委員 どうも説明ありがとうございました。
 東京都の自主回収報告制度というのは、私はとてもいいものだと思っています。ぜひこれは消費者庁にやっていただきたいなというふうに思っているのですが、この報告制度の中で、確かに情報はホームページにアップされるのですが、返品方法に、例えばアイスクリームを冷凍タイプの宅配便の着払いで送り返せなど、瓶も同様ですが、そんなことを消費者に求めること自体が無理。事業者がみずから自主回収しているのですから、しようがないといえばしようがないのかもしれませんが、本当に実行不可能なようなことも多々あるのです。東京都は、そこまで踏み込めないのか。要するに、社告の出し方とか、返品方法の仕方をもう少し現実的なものに合わせるような指導をできないのかなということをお聞きしたいのと、それから、自主回収の終了というところで、たった2週間で削除されてしまうというのは非常に残念で、もう少し長くできないものなのかということをお聞きしたいです。
 もう一つお聞きしたいのが、東京都の食品監視体制のところです。いろいろと立入検査をされているということなのですが、これはどういう形でやられるのか。突然いらっしゃるのか、事前にきちんと行くぞという連絡をした上でやられているのかということをお聞きしたい。
 もう一つは、食中毒を出した施設に対しては、発生後1年間に12回以上さらに立入検査をされているということなのですが、そのほか違反を確認した後は立ち入り回数が多いということは書かれているのですが、それは立入検査実施予定数の中に組み込まれているのか、それとも全く別途それをやられるのかということを教えてください。

○松岡座長 よろしくお願いします。

○田﨑東京都福祉保健局健康安全部食品監視課長 大きく分けて4点だと思います。 まず、自主回収の現実不可能な部分というのですか、先ほどおっしゃったアイスクリームの回収とかは、通常ですと返品で送り返してもらうというケースと思うのですけれども、現場で食品の形態に応じて保健所あるいは私どもの広域監視部門などで指導し、適切な回収方法を指導させていただいています。中にはそういった、消費者の方に負担をかけるような形というのが見受けられると思います。できる限り改善すべきことであり、私どもとしても、指導の中で改善したいのですが、あくまでも事業者の自主回収ということで、指導項目として今後の課題とさせていただければと思います。
 それから、2週間という掲示の期間なのですけれども、基本的に自主回収が完全に終了したことを行政が確認します。また、他の自治体にも確認を依頼して、完全に終了したということを伝票等で確認を終えた後に、2週間という形で、消費者の方に完全に違反品が全部回収されたということを行政が確認した上での2週間という期間です。ですので、例えば回収されなければ1か月でも2か月でも、場合によったら半年以上ずっと掲載され続けるということはございます。回収された後の2週間のホームページへの掲載ですので、罰則ではありませんので、終了して2週間、最終的にホームページから落とさせていただいております。もちろん、違反の内容につきましては個人情報は全て削除しますけれども、そういった自主回収があったということについてはホームページの中には事例として掲載させていただいております。
 立ち入りなのですけれども、あくまで基本的にですけれども、立ち入りについては事前連絡なしで立ち入るというのを原則にしています。ただ、ケースに応じては検査をする品物がたまたま無かったケースについては、いつごろその製品を仕入れているのかなど情報を事前に聞き、収去検査などを行うケースもございます。また、食中毒などについては完全に事前連絡なしに立ち入ります。事件あるいは事故関係のものについては全て一切事前連絡なしで、場合によったら夜間でも立ち入るケースもございます。
 それから、食中毒についての発生の年12回の立ち入りですけれども、これは再発防止ということで、基本は行政処分などを行って再発防止の施設改善命令とか取り扱い改善命令を行った上で立ち入りを行います。その上で年間、その後、きちんと改善されたとおりに営業しているのかどうか、義務がちゃんと履行されているか、ということを含めて12回実施しています。これは、予定日数の中には組み込まれておりません。
 以上でございます。

○松岡座長 齋藤委員。

○齋藤委員 今お伺いしたのは、恐らく日本の中でもトップクラスの水準だと思うのですが、参考に2つほどお伺いしたい。1つは、食品監視課の活動を今御紹介いただいたと思うのですけれども、何人ぐらいいて、予算規模がどのくらいのものかということ。もう一つは、参考資料4-1の6ページのところに「輸入食品対策」ということで輸入食品等の検査、収去検査を4万5,000件やっているということで、すごいなと思っております。先ほどの御紹介の中で、検査するときに輸入拠点が東京でないことがあり、そのときに他府県などに協力してもらって連携していると伺いました。その後のマーケット対策の面でも連携が要りそうな感じですが、そのあたりはどのような活動をされているかということと、国との連携はあるのかということについて伺いたい。

○田﨑東京都福祉保健局健康安全部食品監視課長 食品監視課の現員数は38名です。それぞれ役割分担があります。予算規模のほうは今手元の資料がないかもしれません。お許しください。
 他の自治体への連携ですけれども、先ほど高橋のほうから説明させていただいたところで、例えば国で厚生労働省が行っている輸入食品対策の中でモニタリングの検査で違反が出るケースがございます。検査は時間がかかりますので、食品が流通した後に違反があったということで、国から連絡がきます。例えば東京都内に輸入食品事業者がいた場合は、国から連絡を受けた後、直ちに輸入業者に連絡をして、販売を止めます。ただし、輸入食品が既に内貨になっていて、さまざまな地方自治体に販売され、散らばっているケースがありますので、それは東京都が各自治体に連絡をさせていただいて、商品がどんなものか、どんな荷姿なのか、ロット、製造日とか、あるいは賞味期限はいつか、個々の形態がどんなものかということを各自治体に連絡を入れています。輸入業者を所管している東京都のほうで取りまとめて、最終的には処置されるケースもあります。また、すでに売られて食べられてしまったというケースもあるので、その現状を全部把握した上で、食中毒とか極端なものは別にして、添加物違反などについては全て国のほうに報告させていただいて、結果については各関連の食品を販売していた自治体のほうに連絡しています。
 あと、連携という意味では、先ほどの監視指導計画をごらんになっていただけますか。6ページに重点課題で食中毒対策、輸入食品、表示とあります。この監視指導計画は東京都の監視指導計画でございまして、実は特別区は23区で全部独立した自治体になっているものですから、それぞれ監視指導計画をつくっているのです。区あるいは市と連携をしながら、例えば夏期帯の食中毒が起こりやすい時期とか、最近ノロウイルスが流行ですので、どちらかというと冬期のほうが多いのですけれども、食中毒対策を協力して同じような事業形態で行っている事業者に対して監視指導をするとか、こういった形で連携をさせていただいているところでございます。

○松岡座長 齋藤委員。

○齋藤委員 今お伺いした中で、38人ということでしたが、この件数を見ると10万件とか20万件とか挙がってきています。それはいろいろなところで作業したものを集計するとこうなるということですか。

○田﨑東京都福祉保健局健康安全部食品監視課長 私の38人というのは食品監視課のメンバーで、都区市全体の職員としては、約700名監視員がおります。

○齋藤委員 もう一つ、東京都で発見した場合には他の府県にも連絡するけれども、この逆のケースもあるのですか。

○田﨑東京都福祉保健局健康安全部食品監視課長 ございます。例えば東京都の施設が違反食品を製造したり輸入したりしたケースで、他の自治体で発見された違反の通報が東京都に来る場合もございます。

○齋藤委員 連携してマーケット対策をとるとか。

○田﨑東京都福祉保健局健康安全部食品監視課長 そうです。

○松岡座長 戸部委員、どうぞ。

○戸部委員 このリーフレットの中で自主回収について回収終了の確認をされるということなのですが、原因によってかなり100%に近い回収率とそうではないものとか、これで終了したという判断というのはすごく難しいと思うのですが、その辺のどういう基準でもって判断されているとか、何かグレードというかクライテリアがあるのかどうかというあたりを教えていただけますか。

○田﨑東京都福祉保健局健康安全部食品監視課長 基本は、事業者のデータを見てということになります。違反食品の販売が行われている末端で既に消費者に売られてしまっていて回収しようがない、その際にこの自主回収報告制度があって、自主回収報告制度で広報することで、できる限り多くの消費者の方に知っていただき、自分の冷蔵庫にあったものとか保管しているものが違反だったらそれを送り返していただくことになります。それでも、全ての方々に知っていただくことは不可能ですから、基本的には販売した伝票、各店舗あるいは販売者の伝票の確認と、赤伝といって、返品伝票とかを事業者はとりますので、その数と売られた数がきちんと合っていることを確認した上で、最終的に自主回収が全て行われたとします。消費されてしまったものはやむを得ないものですから、そこが基本的な判断になっております。ただし、明確にわからないケースも実際にはあります。

○松岡座長 それでは、中村委員、どうぞ。

○中村(晶)委員 リーフレットの2ページ目の下のほうに「緊急性を考慮して報道機関への発表を行う場合もあります」という記載がございますけれども、報道機関への公表というのは条例に何か定めがあるのですか。

○田﨑東京都福祉保健局健康安全部食品監視課長 条例に記載がございます。先ほどちょっとお話しさせていただいた、食中毒に結びつくのではないかとか、危害が大きく広がるのではないかとか、例えば町中の小さな販売店のその日に20個とか30個ぐらいしか出ていないものについての情報提供と、生産量がかなりの量になって、しかも事故のおそれがあるケースなどについては全て緊急性があるという判断をしております。

○中村(晶)委員 そうすると、その発表の要件などについては、報道機関への公表のガイドラインのようなものはつくっていらっしゃるのですか。

○田﨑東京都福祉保健局健康安全部食品監視課長 食衛法の基準も、条例の自主回収についても、基本ベースはホームページ公表なのですけれども、緊急の場合については、政策的な対応となり、記者会見を開いてプレス発表を行うということもございます。

○中村(晶)委員 緊急性というのは、ここで例として出ているような「通常の食べ方では健康への影響はありません」というような事例ではなくて、それを摂取すると何らかの緊急な症状が出るおそれがあるとか、何かそういうような安全性のベースでの判断があるわけですか。

○田﨑東京都福祉保健局健康安全部食品監視課長 可能性があれば直ちに公表するということになります。

○中村(晶)委員 報道発表をするかどうかについては、その業者さんの意向などは考慮されないのですか。

○田﨑東京都福祉保健局健康安全部食品監視課長 考慮しておりません。

○松岡座長 中嶋委員。

○中嶋委員 僕はうまく理解ができなくて、基本的なことを教えていただきたいのです。まず、法律、食品衛生法がありますね。それから、東京都の食品安全条例がありますと言われて、食品安全衛生法については、いわゆる処分としては、例えば営業許可の取り消しだとか、営業禁止命令とかの命令が出せますというふうになっています。その中に回収命令も含まれるのでしょうか。それから、もう一つは、自主回収ということについては食品安全衛生法にはないように思うのですけれども、これはどうなのでしょうか。
 それと、なぜ東京都さんは食品安全条例をつくられたのか。それで、食品安全条例をつくられて、このパンフレットを読む限りは自主回収報告制度というのは条例に基づいていますということは、食品安全衛生法に基づいているだけでは、ひょっとしたらこれはできないのかというのは、例えば平成25年度の食品衛生監視指導計画は食品安全衛生法に基づくものですね。委託事務といいますか、委託業務ですね。だから、そういうふうに考えると、自主回収報告制度というのは東京都独自のものであって全国一律ではないとういうふうに読めるので、そうしたら、僕の生まれた大阪府とか、本籍地のある鳥取県はどうなっているのだろうかというふうに疑問が湧くわけです。これはどうなのでしょうか。基本的に法律の関係と制度の関係をもう一度おさらいをさせてほしいと思います。自主回収制度というのは、食品安全衛生法の中にあるのでしょうか、ないのでしょうか。もしないとしたら、厚生労働省さんが挙げておられるホームページというのは一体何なのかということになるわけです。自主回収ではない回収が掲載されているのでしょうかとか、その辺の基本的なことがよくわからなくなってきて、そこを整理していただけないですか。

○田﨑東京都福祉保健局健康安全部食品監視課長 まず、食品衛生法の中には自主回収報告制度というのはありません。ただし、先ほど鶴岡委員にお話しさせていただいたのですけれども、自分たちでメーカーさんが自主検査を行って、実は添加物の違反が過量に使ってしまっていたといったときに、通常の行政が立ち入ってみずから検査をして違反を問うと。これは難しい条件がいっぱいあって、GLPにのっとった検査をきちんとやっているとか、行政処分をかけるにあたって手続きができるのかなど、いろいろな要件がクリアできなければなりません。一方、事業者のほうは、自主検査ですから制度とかそういったものに問われないという話なので、そういった意味で事業者が自分たちのチェックのために検査を行っていて、その結果、これは自主回収しなければいけないなと判断したときに、東京都の制度をつくっていまして、この自主回収制度にのっとって広く公表する方が早い対応となります。
 過去に、異物混入社会問題となった際、そのときに社告をすごくいっぱいメーカーさんがされていたのですけれども、社告には、コストが大きくかかります。大手のメーカーさんでしたら各メディアに大きな記事を載せることはできても、零細企業ではとてもできないですし、みずから公表するというのはなかなか難しい。そういった点をカバーする制度としても利用していただけるのではないか、そういった部分もございます。
 なお、自主回収報告制度については、東京都以外では約30の自治体が今、制度をつくっております。お手元の資料の参考資料1-1をごらんください。

○高橋東京都福祉保健局健康安全部食品安全担当係長 事務局さんのほうからお配りしていただいた参考資料1-1「食品の安全確保に関する主な法令とリコールに関する記載内容」です。そこの最後のページに、参考としまして東京都の食品安全条例が掲載されておりますけれども、その最後の行、一番右端の「参考」の欄に、事務局さんのほうでまとめていただいた、30近い自治体がこういった義務づけの報告制度をつくっているとなっております。

○中嶋委員 もう一つ追加で、今、多分、戸部さんのところもやっておられると思うのですけれども、生団連あたりも食品ロスを防ぐために、印刷がちょっと汚れているとかの理由による食品回収はやめたほうがいいのではないかという話があるのです。これが、例えば日付がちょっと見えにくいとかというのがあったりした場合に、この東京都の条例にひっかかるので、これは回収をするのか、しないのかという判断をする場合に、いわゆる厳しくやるというのも一つですけれども、その辺のルーズさはあってもいいと思うのです。
 東京のやっちゃばに入ってくる食品の総量のうちの半分は廃棄されているという、これはクリーンジャパンセンターのデータにそういうふうに出てくるのです。やはり、産廃と民廃を合わせて生鮮食品の50%ぐらいが廃棄物として出るというのは非常にロスが大きいと思うのです。だから、そういう意味では、食品のロスは防ぐというのがあっていいわけで、そうなったときに自主回収をやるべきだとかといって強引に、今までは食品がやっていたのだけれども、これが強制化されるのかどうなのか。食品は自主回収だったのですよと。でも、自主回収の制度ができてしまうと、条例で決まってしまうと、これはもう法律ですからやらなければいけないのかということで、そこで食品ロスについて議論がとまってしまうかもしれない。この辺はどうお考えですか。

○田﨑東京都福祉保健局健康安全部食品監視課長 1つは、自主回収をするかどうかという事業者の判断がまず1つあって、例えば表示が汚れている程度では回収報告義務にはあたりません。ただ、期限表示について、例えば1か月もつところを間違えてその次の1か月後の期限にしてしまった場合は、表示の機能としては、古いものを食べてしまう可能性があるので、これについては対象となります。あくまでも自主回収だけれども、その辺についての対応は、事業者のコンプライアンスにかかっている部分です。。報告があれば消費者に確実に情報提供をさせていただくという仕組みだと考えていただければと思います。

○松岡座長 中村委員。

○中村(均)委員 消費者のほうから、ある飲食店で飲食したもので食中毒になった可能性があるというふうな話があったときに、それが本当にその飲食店が原因だったのかどうかというのはどうやって調べていくのか、そこを教えてください。

○田﨑東京都福祉保健局健康安全部食品監視課長 患者さんから苦情という形でおなかが痛くなったという通報やお医者さんから通報のある場合もあります。そういった通報があれば、確実に都内の飲食店であれば保健所の食品衛生監視員は現場に行って、まずその飲食店の調査をします。例えば、同じお総菜とか食材を食べた方、あと、同じものがどのくらいの量で販売、提供されているのかとか、ほかに同じような苦情があるのかどうか、そちらも確認をします。多くの場合ですと、お医者さんにかかっている人が、1家族ではなくて複数の家族で患者さんが出ているとか、そういった疫学調査を行って、その家族達の共通性のある食材あるいは食品が、その飲食店あるいは販売店にあった場合は、食中毒の可能性が極めて高いということを判断しています。また、拭き取りなどの細菌検査、あるいはウイルス検査を行います。仮に複数なくても、類似症状という同じような症状とか疫学調査の結果から見て、必要性に応じて例えばそこの従業員の検便を行うとか、患者さんの検便も行う、いわゆる微生物学的検査を行います。それと疫学調査など、周辺の発生状況なども併せ含めて、調査を行って感判断をしていくという格好になると思います。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 それでは、最後に横矢委員。

○横矢委員 資料4-1の10ページに書いてある最後の廃棄の確認についてなのですけれども、ニュースなどで、汚染されたものがどこかで加工されて違うところで売られてしまったとか、そういったニュースというのを、東京都がとかいうことではないのですが目にした気がするので、ちょっと不安に思うところなのですが、この廃棄の確認というのはどの程度のことをされているのかというのを教えていただきたいのと、先ほど、輸入品は船でもとの国に戻すのもありとおっしゃっていましたけれども、例えば添加物が日本ではだめだけれども違う国ではオーケーという場合、A国から入ってきたものをA国に戻さずに、その添加物オーケーのB国にやってしまうというようなことは東京都で許可されたりするのでしょうか。そこまで確認されたりしているのでしょうか。

○田﨑東京都福祉保健局健康安全部食品監視課長 廃棄については、例えば添加物の違反があれば、再利用とかいうケースもあるのですが、今ほとんどは廃棄処分されています。例えば産廃事業者に廃棄をお願いして、マニフェストですか、いわゆる処理証明というのをつけて、廃棄を確認しています。昔は現場まで行って、それを焼却されるとか廃棄して処理するところまで監視員が立ち会って見ていたことが多いのですが、最近、細かい違反については全部産廃業者でマニフェストを確認して、確実に食用としない、あるいは廃棄されたということを確認しています。
 それから、2つ目の御質問では、シップバック(積み戻し)というのがあります。これは、我々は地方自治体なので、むしろ厚生労働省のほうが詳しいかと思うのですけれども、シップバックは確かにされていて、今、横矢委員がおっしゃるとおり、全然違う国に、例えば日本では使用してはいけない添加物だけれども、規制のないほかの国に販売されるということはありえます。ただ、大抵シップバックする場合は、国の検疫所で検査をして、そこで戻してしまうケースだと思いますので、例えば東京都などで検査して、それをもとに戻して積み戻しというのはまれです。中毒とかを起こすようなリスクの高いものは別にして、販売されてしまい、すでに消費済みというケースもあります。規格基準のような規格が決まっている食品についてはシップバックして販売されるというより、回収、廃棄ということだと思います。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 もう委員会の時間が大分過ぎてしまいましたので、まだまだいろいろあるかと思いますが、この辺で終わりにしたいと思います。
 東京都福祉保健局におかれましては、どうもお忙しい中ありがとうございました。

 それでは、次回以降、本日のヒアリング、なかなか有効にできたと思いますが、どのように進めていくかということも冒頭いろいろ議論がありましたが、事務局にもお手伝いいただきまして、委員の皆様方で少し意見を交わしながらまたやっていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、本日の議題は以上ですが、次回以降につきまして事務局から確認事項をお願いいたします。

○原事務局長 本日は、ヒアリングをお願いいたしまして、御協力ありがとうございました。大変熱心な議論、それから、冒頭幾つかまた御意見をいただきましたので、進め方も含めて事務局で整理をしてお示ししたいと思います。
 それから、次回日程ですが、まだ予定ですが、6月20日、本日と同じころの時間帯でお願いすることになるかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
 以上です。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

≪4.閉会≫

(以上)