第4回 地方消費者行政専門調査会 議事録

最新情報

日時

2010年7月28日(水)10:00~12:15

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【専門委員】
 片山座長、稲継座長代理、国府委員、斎藤委員、菅委員、田中委員、
 沼尾委員、野口委員、馬場委員、圓山委員、矢野委員、山下委員
【担当委員】
 佐野委員、下谷内委員、日和佐委員、山口委員
【オブザーバー】
 池本弁護士
【説明者】
 消費者庁 川辺地方協力課長
【消費者委員会事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.地方自治体の事務区分と消費者行政(斎藤委員)
3.相談員の実態と処遇のあり方について
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:70KB)
【資料1】 地方自治体の事務区分と消費者行政(斎藤委員提出資料) 【資料2-1】 消費生活センター・相談窓口の設置状況、相談員の配置状況について (PDF形式:181KB)
【資料2-2】 相談業務の概要 (PDF形式:79KB)
【資料2-3】 消費生活センターの設置に関する根拠規定について (PDF形式:90KB)
【資料2-4】 消費生活相談に関する資格について(消費者庁提出資料) (PDF形式:203KB)
【資料2-5】 消費生活相談員(配置・資格)について(地方消費者行政の現状分析(概略版)(平成22年7月消費者庁)4頁(抜粋)) (PDF形式:244KB)
【資料2-6】 消費者行政の推進に関する世論調査(内閣府大臣官房政府広報室)(平成20年10月)(抜粋) (PDF形式:147KB)
【資料3-1】 「地方消費者行政の現状分析」のポイント(消費者庁提出資料) (PDF形式:216KB)
【資料3-2】 地方消費者行政の現状分析(概要版)(消費者庁提出資料) 【資料3-3】 消費生活相談員の採用形態、勤務形態、待遇について(消費者庁提出資料) (PDF形式:399KB)
【資料3-4】 「地方消費者行政活性化基金」のより効果的な活用に向けて(消費者庁提出資料) (PDF形式:111KB)
【資料3-5】 「基金」の見直しについて(消費者庁提出資料) (PDF形式:96KB)
【資料3-6】 「基金」について(消費者庁提出資料) (PDF形式:101KB)
【資料4-1】 相談員の処遇改善のために(論点) (PDF形式:174KB)
【資料4-2】 論点に関連する第171回国会における議論について (PDF形式:178KB)
【資料5】 「相談員の実態と処遇」に関して(圓山委員提出資料) (PDF形式:152KB)
【資料6-1】 消費生活相談員の役割と処遇改善のあり方(池本オブザーバー提出資料) (PDF形式:146KB)
【資料6-2】 新しい専門職任用制度の提案(池本オブザーバー提出資料) (PDF形式:79KB)
【資料7】 布団次々販売被害の事例(池本オブザーバー提出資料) (PDF形式:172KB)
【資料8】 地方分権改革推進委員会第1次勧告(平成20年5月28日)(要約)(池本オブザーバー提出資料) (PDF形式:460KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 おはようございます。暑い中、朝早いところお集まりいただきましてありがとうございます。ただいまから「消費者委員会 地方消費者行政専門調査会」の第4回の会合を開催したいと思います。今日も盛りだくさんの内容になっておりますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、座長、どうぞよろしくお願いいたします。

≪2.地方自治体の事務区分と消費者行政≫

○片山座長 おはようございます。それでは早速議事に入りたいと思います。今回は相談員の実態と処遇のあり方について議題として取り上げたいと思っておりますが、その前に、これまでの専門調査会におきまして、自治事務や法定受託事務についての議論がある程度出てきたところでありますので、地方自治について研究されておられます斎藤委員のほうから、6月に閣議決定されました地域主権戦略大綱のことも踏まえて、自治事務に対する国の関与のあり方についてのこれまでの流れ、今後の考え方などについて御説明いただければと思います。斎藤委員、よろしくお願いします。

○斎藤委員 それでは、お手元のレジュメに従いまして簡単に説明したいと思います。この間、私は地方分権改革推進委員会のワーキンググループで義務付け、枠付けの見直しの若干のお手伝いをしたものですから、それと自治法の研究者としての立場から手短に申し上げたいと思います。
 まず自治体の事務として、自治事務と法定受託事務がございます。この両者の違いがどうなっているか、これを簡単に示したものが、1枚おめくりいただいて(別紙1)です。これは「国・地方間の係争処理のあり方に関する研究会」の事務局資料から拝借したものです。これが簡単によくまとまっているものですから自治事務については、そこに書いてある内容です。これは自治法における定義から抽出してきたものです。自治体の処理する事務のうち、法定受託事務を除いたものであって、自治事務の中にも、その次にあるように事務処理が義務付けられるものと、そういう義務付けがないもの、いくつかいろいろなタイプがあります。そして自治事務については、国の関与は比較的緩やかで、是正の要求までにとどまっております。
 それに対しまして法定受託事務は、そこの下に自治法の定義から抽出してあります。これらは事務処理が義務付けられる。主な例も載っております。国政選挙であるとかパスポートの交付。そして、この法定受託事務については、自治事務に比べればより強い関与、内容を特定しての是正の指示でありますとか代執行というものが要件を満たせば認められる。昨今問題になりました宮崎県で口蹄疫の牛を処分すべきか。県知事がもし処分しなければ、国のほうで代わってやるぞというのは、これが法定受託事務なので、要件を満たせば強い関与が認められているということであります。
 それでは、法定受託事務についてはどのようなものがそれとして認められるか。これは1枚おめくりいただいて(別紙2)です。これは第1次地方分権改革のときの閣議決定である「地方分権推進計画」、ここで法定受託事務のメルクマールが示されています。ですからこの分権推進計画以後の法律で、法定受託事務を設定しようとすれば、このメルクマールのどれかに該当したものでなければならない、こういうことになります。相当程度限定がされています。
 具体的にどういう状況なのか。レジュメのほうで「法定受託事務の設定はそれなりに抑制的」であると書きました。法定受託事務は自治法別表に載っておりますけれども、目の子で計算いたしますと、平成12年までの法律で第一号法定受託事務を規定しているのが180余りです。それに対して、平成13年以降、法定の新しい法律、あるいは法改正で法定受託事務が新設されたのは法律としては26です。条文の数としてもそれ以前のものがかなり多いわけで、それなりに抑制されています。
 それに対して自治事務で自治体にあれこれ義務付けているもの、つまり今回の改革委員会の見直し作業の対象になった法律がいくつあるかといいますと、これが482ですので、法定受託事務の総体の数自体はそれなりに減っていることになります。
 そして消費者法分野では、法定受託事務がどのように設定されているか。レジュメの次に1つ例を掲げました。あちこち行って申しわけありませんが、消費者安全法の第23条第2項、これはこの委員会でも何度か出てきていますが、報告・立入検査権限についての規定で、非常に限定されたものです。これについてだけは消費者安全法において法定受託事務になっています。
 そして現在では、そういった義務付けがある場合の経費負担はどうなるかといいますと、多分に建前的なところもありますが、一般論としては、次の「※」で、「事務の処理を義務付ける場合においては、国は、そのために要する経費の財源につき必要な措置を講じなければならない」。分権改革前は委任事務についての規定だったのですが、現在は自治事務、法定受託事務を問わないという規定になっています。
 次に、それでは自治事務について、自治体の自由度が上がって、思うような業務ができているかといいますと、1次分権改革後も、自治事務でもあるにも関わらず、あれこれしばっているものが多い。レジュメで書きましたのは、「法令による規律密度」が高い。ああせい、こうせいと縛られていて、自主性・自律性を阻害しているということから、今回の改革推進委員会では、そういった義務付けが許容されるものは限定すべきであるということで自治事務についてのメルクマールを設定しました。義務付けてよい、しかも条例によるプラスマイナスを認めないで、国でこうやれと決めきってしまうことができるのは、以下のメルクマールがある場合だけだというふうに設定をしました。
 これが今回の大綱に参考資料として付いていますが、資料の全体のページ数で言うと11ページ、11/25ページになります。11/25ページを見ますと、委員会の第2次勧告が示した許容のメルクマール、先ほどの法定受託事務のメルクマールと類似しているものもありますが、そこで11ページから13ページに挙げた指標、これに該当するものに限って一義的な義務付けを認める。ですからこれに該当しないものについては義務付けを廃止する。あるいは条例による基準の設定を認めるという方向での勧告がなされました。
 そしてレジュメにありますように、全体としてこういった義務付けを現在のところ行っている1万57条項のうち4,076条項はこの要件に該当しない。ですから何らかの見直しが必要であると、こういう勧告をいたしました。
 ただ、若干ここに留意点がありまして、レジュメで「※」を2つ付けております。この作業は基本的には2007年12月の調査法律が対象になっております。ですから2009年に成立した消費者安全法は、このマル・バツを付ける対象になっていません。しかし、勧告との整合性という観点で考えますと、2007年以降に成立した法律についても法改正をする、あるいは見直しをするのであれば、この委員会のメルクマール、そして、この後、申し上げるより具体的な勧告に整合しなければならないということはもちろんです。
 それから、もう一つの「※」ですが、組織の必置規制についてです。こういった組織を置きなさいという必置規制については、今回の義務付け・枠付けの直接の調査対象からは外れております。それは議会を置くとか、長を置くといったようなものまで必置規制として取り上げていますと際限がなくなるということもあり、これは調査対象から外したので、組織自体の必置規制は対象外です。しかし、これはレジュメには書きませんでしたが、組織の必置規制に伴う職員の必置規制・義務付けですね。あるいは組織の必置規制に伴う基準の義務付け、これらは対象にしております。
 もう一点、これも今日のこの後の議論にも重要な点だと思いますが、組織自体を義務付ける。つまり消費生活センターを置けというような規定については今回の見直しの直接の対象になってないから、何もルールがないのかといいますと、前回の分権改革のときの分権推進計画、先ほどの法定受託事務のメルクマールが現在も生きているように、必置規制についての地方分権推進計画のルール、これまた生きております。これは全体のページ数でいいますと、23/25ページ以下で掲げてあります。自治体に対していろいろな組織を義務付けたものをこの基準に従って見直した。その後も閣法についてはこの基準に基づいて法案の作成がなされているはずです。
 この調査会の議論との関係で特に重要だと思われる点は、例えば23ページの真ん中からちょっと下の(イ)職務を行う上での資格は、この時点で既にかなり限定することになっています。民間共通の資格が必要とされる場合や法律条例に根拠を有する場合に限定されています。
 それから、その次の24ページの(エ)、これもマルを付けていただいたほうがいいかもしれません。ある職務について専任にするというような必置規制が当時かなりあったわけですが、これについては自治体ごとに専任かどうか判断すべきであって緩和しなければならない。こういうことが述べられております。
 (オ)職員の数、これについても警察及び学校以外については廃止する、こういうことになっています。
 それから、その次のイの(ア)組織の名称についても一義的に義務付けるのではなくて、自治体ごとに工夫ができることを原則とする。このルールも生きているということに留意が必要かと考えます。
 次に、今回レジュメの1ページ目から2ページ目にかけて関連する消費者安全法の規定を挙げておきました。例えば消費者安全法第10条でセンターについて「政令で定める基準に適合するものであること」とありますが、これも今回の勧告なり大綱の考え方でいうと、この政令に定める基準が本当に必要なのかどうかというのは見直す必要があるということになります。具体的には4日以上業務を行わなければならないというのが義務付けとしてどうか、ということになります。
 そういった職員・基準の必置規制の点も含めての具体的な勧告ですが、2次勧告の段階ではマル・バツを付けた。見直しなさいと言っただけで、具体的にどう見直すべきか、全ての条項については判断しておりませんでした。そうすると、バツに対して、ミニマムな改正をしただけでやったぞと言われるおそれがありますので、レジュメのマル2に挙げましたように、重点3事項、これは自治体にとって非常に重要であり、国による縛りは特におかしい1から3の事項についてはより具体的な勧告が第3次勧告でなされました。
 「施設・公物設置管理の基準」というものについてだけ時間の関係で見ますと、これが大綱でいうと、90ページ以下ですので、全体のページ数でいうと14/25ページ以下ですが、ここで自治体の施設や公物について国が一義的な基準、従うべき基準を示すことができるのは、16ページの(イ)でマル1からマル3、これだけに限定しています。マル1利用者の資格のうちの基本的な事項、マル2性格・機能等に関する基本的な枠組み、マル3民間共通の士業等の資格について、特に「従うべき基準」を示す場合。ですからこれ以外の場合には国が決めきることは許されないと、こういう立場に立っております。
 そこで、それを受けまして、政府でどう行っているか。これはレジュメにお戻りいただいて、マル3法改正へ、まず第1次分は地方分権改革推進計画、昨年12月でありまして、ここで重点3事項についての見直しが121条項について示されました。そして今回の戦略大綱におきまして、そこに挙げたかなりの数、528条項の見直しが示されています。
 そこで、なお残るものがありますが、それについては、次期の大綱でまた見直しを行うことになります。
 以上、客観的な説明についてのまとめをいたしますと、どのような行政分野であれ、例えば現在自治事務として位置付けられているものを法定受託事務にするとか、あるいは自治事務として義務付けていないものを新たに義務付ける。仮にそのような見直しを行うのであれば、今まで述べました諸基準、法定受託事務のメルクマール、義務付け・枠付けで示されたメルクマール、重点3事項についての具体勧告に適合的でなければならないことになります。そことの適合性を判断した上で、なお、やるのかどうかということになります。
 あと、1分だけ若干のコメント、これは主観的なコメントということになりますが、お許しください。レジュメの「・」で書いたとおりでありまして、一般的にいえば、北風と太陽の話ではありませんけれども、国で、ああやれこうやれと、例えば従わなければ是正の指示をするぞというような関与をいたずらに強化しても、現場における行政を強める保証はありません。政府全体として、地方の自主性・自律性を尊重しましょうということは、大綱の1ページ以下、総論部分で確認されているところでもありまして、それと抵触するおそれも大いにある。現に、全然分野が違いますが、農地法については、こういった方向性にも関わらず義務付けを強化する、あるいは農業委員会の権限を強化するというような改正がなされまして、甚だ私は疑問に思っております。そのあたりは机上配付資料で配っていただきました都市問題の論考を参照していただければ幸いです。むしろ自治体がやりやすくなるように、障害を除くという方向での検討も必要ではないか。
 例えば、先ほどの相談業務を4日以上行えという義務付けです。これは市町村がセンターを設置する場合も、設置は努力義務になっていますが、置いた以上は4日以上行えと義務付けている。これは一体何を保護しているのだろうか。うちは3日しかできないというところがあったとして、置かないよりは3日やれるほうがいいではないかという印象も持ちます。ですからそういった義務付けなり枠付けを見直すのも必要でしょうし、コメントのもう一つの「・」、自治体間の連携手法の開発も重要で、この点についても、従来は行政の内部組織の自治体間の共同設置というのは自治法上認められてこなかった。委員会の共同設置はできますが、内部組織の共同設置はできない。これは自治法の縛り・義務付けでして、しかしこれは片山座長が副会長で、私も参画しました地方制度調査会の答申に基づきまして、今年の自治法改正案、継続審議になっていますが、ここではそういったものも共同設置できるようにしましょうという改正案が出ていますので、そういった方面でのサポートも重要ではないかと考える次第です。
 若干、時間超過して申しわけありません。以上です。

○片山座長 ありがとうございました。それでは、今の斎藤委員の御説明に対して質問でありますとか御意見がございましたら伺いたいと思います。

○池本弁護士 池本でございます。今後の議論を進める上で視点が整理されて参考になりました。その資料を参照しながら2つの観点で発言したいと思います。
 まず、今の資料の11/25~12ページの「義務付け・枠付けの存置を許容する場合等のメルクマール」、今後議論するとき、こういう観点で議論していく必要があるのだろうと思います。これを消費者行政に当てはめてみた場合、どう考えればいいかということで見ますと、12ページの「e」のところで、「都道府県に対して国への情報連絡を義務付けるもの、市町村に対して国・都道府県への情報連絡を義務付けるもの」というのがあります。これは消費者安全法第12条で「重大事故情報は直ちに国に通知すること。その他の消費者事故情報も通知するものとする」と定めてありまして、直ちにというのは、その日のうちに電話なりファックスなりで直接連絡しなさい。その他の消費者事故情報はPIO-NETへ入力するという方法で代えることができるとなっております。その意味ではPIO-NETの入力というのは、国への通知義務をいわば具現化するものと見ることができるのではないか。
 それから、ここの一番下のviとある囲みの一番下で、「広域的な被害のまん延を防止するための事務であって、全国的に統一して定めることが必要」というものがあります。これは典型的には、先ほども御紹介があった口蹄疫のような伝染病防止ということになるのかもしれませんが、例えばインターネット通信販売、訪問販売、そういった取引被害の分野でも全国的に被害が拡大することを各地域で特消法や景品表示法、こういう法律は各都道府県に執行権限が付与されているわけですから、早く地域で悪質商法をたたくという意味では、こういうところにも関連するのかなと、こういうふうにして読み取ることができるのではないかというのがまず第1点です。
 2点目は、少し理念的な問題になるのですが、この5/25ページに、「地域主権戦略大綱」の基本の理念、意義というところで、「明治以来の中央集権体資から脱却し、この国の在り方を大きく転換する改革である」と大きく位置付けてあります。まことにそうだろうと思うのですが、実は同じように、消費者行政一元化という問題も、平成20年6月27日の消費者行政推進基本計画の閣議決定の中で、明治以来の産業の保護・育成を中心とする行政のあり方から、安心・安全な市場の確保へと行政の役割を大きく転換するものであるという位置付けになっております。
 そして、そういう議論をきちんと踏まえたと考えられるものが、今日の配付資料の資料8をご覧いただきたいのですが、これは今話題になっています地方分権改革推進委員会の第1次勧告であります。その第1次勧告のこれは要約文ですが、4ページの下をご覧ください。「現下の重要二課題について」という中の(2)で、消費者行政の一元化について、「消費生活センターを法的に明確に位置付け設置を促進するとともに」云々と、これについては「思い切った支援措置を行うべきである」と書いてあります。つまり明治以来の大きな行政の転換点において、消費者行政はこれまで国が各地方自治体を支援するという制度が全くなかったところへ初めてこういう動きが出始めていた。これは各自治体の自主性云々以前の状態からまず全国で基盤をつくる必要がある、あるいは一定の水準を確保する必要があるのだということをこの委員会でも承認しておられるのではないか。その意味で、この地方消費者行政の強化ということについては、より積極的に方向付けを出していただきたいと思います。
 以上です。

○片山座長 今のは斎藤委員に対する御質問ですか、意見の開陳ですか。

○池本弁護士 はい。意見です。

○片山座長 ほかにありませんか。

○山下委員 先生に教えていただきたいのですが、この問題、素人なので、今、出ていた資料の12ページの「e」、これの読み方なのですが、「国・地方自治体間、地方自治体相互間の情報連絡・意見聴取に係る規定のうち」の後、いくつか「当都道府県に関して情報連絡を義務付けるもの」とか、いろんなものが続いていますが、最後に、「・・・以外のもの」となっていますね。この読み方としては、国・地方自治体間、地方自治体相互間の情報連絡・意見聴取に係る規定は全て義務付けができるけれども、それ以下にあるものは除かれるというふうに読むんですか、これは。その読み方がちょっとよくわからなかったので教えていただければと。

○斎藤委員 これは確かに、先ほどの御指摘だと、これによって国が都道府県に連絡を義務付けたり、県が市町村に対して連絡を義務付けるということが読めるというような御指摘でしたが、確認しないといけませんが、そういった上から下にの義務付けというのは問題だというので、それ以外の情報連絡、意見聴取を対象にしていると記憶していますけど、ですから、山下委員おっしゃるとおり、「うち」の以下の、都道府県に対してこれを義務付ける、市町村に対してこれこれ、これこれというのは、義務付け存置はだめで、それ以外のものということですね。ですから水平的な連絡であるとか、あるいは国が都道府県に情報提供しなければならないとか、都道府県が市町村に提供しなければならないということに限定したと記憶していますが、それは確認いたします。

○山下委員 ありがとうございます。

○国府委員 斎藤先生のレジュメの1ページ目、真ん中の「※」のところなのですが、「事務処理を義務付ける場合においては、国は、そのために要する経費の財源につき必要な措置を講じなければならない」というのは、具体的にどういうふうな財源措置を講じる形になるのか教えていただきたいのです。というのは、問題意識としましては、PIO-NETという形で国に被害情報を上げるという取組が今推進されているわけですね。大阪などでは、従来、自治体にとって使い勝手のいいやり方をやっていたのが、国から統一的な基準でこのPIO-NETの方式に従って情報を上げるようなことになってきたわけですね。そういう形で義務付けがやられているわけですが、そのために非常に入力コストというか、手間暇がかかるようになってきたという不満があるわけですね。
 私、今の斎藤委員のご説明を伺って思ったのは、こういう情報提供方式について義務付けをされることによって手間暇が余計にかかるようになったのであれば、そういったことに対する財源措置がこの条項によって可能なのかという点について教えていただきたいと思います。

○斎藤委員 先ほども申しましたように、これは多分に理念的あるいは一般的な条文でして、具体的な事務についてどういう経費負担で行うのかというのは、この条文は地方財政法ですと第13条に入っていますが、具体的な分野での経費負担については、第13条以前の第10~第12条で具体には決まっているんですよね。例えば義務教育費の場合はどうかとか。ですので、今の御指摘のPIO-NETについて、どの範囲で国がどういう費目で負担するかというのは、第13条だけでは具体には明らかになってこないということですね。
 逆に言いますと、そういった財源措置があるのだから義務付けるのだ、つまり国のほうで幾ばくかお金を出すから義務付けが当然だと、こういう考え方もできるだけやめましょうというのが改革推進委員会の考え方なんです。第2次勧告の中でも、税財政上の措置があるのだから義務付けを認めましょうという、こういうメルクマールは立てませんでした。それはなぜかというと、若干考え方を説明しますと、そういったものについては国が相応の税財源を移譲して自治体の自主財源によるものとした上で、自治体の判断で行うこととすべきである。それが困難な場合であっても、自治体の裁量の余地を許容する。または国による財源措置は実施に要した費用でなく、標準的な費用に対して行う等の見直しを行うべきである、そういう考え方に立っていると考えます。

○片山座長 それではよろしいですか。

○圓山委員 圓山です。細かな質問と漠然とした質問です。1つはレジュメの1ページにお書きいただいた消費者安全法第23条と第24条の法定受託事務ですけれども、消費者安全法の法案が出たときにすごく感心したというか、びっくりした点ではあるのですが、これは法定受託事務のメルクマールでいうとどこに位置付けられるというか、それをお教えいただきたいと思います。

○斎藤委員 私もその折りの議論を詳細には存じませんが、私のレジュメで言いますと、4/25ページ、先ほど申しました法定受託事務は、内閣提出法案であれば、ここに限定される。もちろん議員立法でも、議員立法だから太陽が西から上っていいわけではないと思いますから、ある程度これに沿わざるを得ないと思いますけれども。それでどれで読むのかというと、1つ考えられるのは7ですか、つまり消費者安全法で国自体がいろいろ事業者に対して権限を持っている。そのうちの報告立入調査の一部についてだけ県なり、市町村にお願いをする。それだけでは消費者安全法の行政権限の行使としては完結しないという点では7ですね。
 あと、これは法定受託事務としてもかなり特殊な規定で、たしか知事なり市町村長の同意があって行わせるという規定になっていて、なおかつ法定受託事務にしたものについても、並行して国もできるということになっていますよね。かなり特殊な限定をかけた事務だとは思います。

○圓山委員 ありがとうございます。2つ目は、漠然とした問題意識というか質問で恐縮なのですけれども、地方自治体の消費者行政で予算や人員がすごく削減されているということは、予算編成や人員配分の過程で、消費者行政以外の行政分野は義務付け・枠付けで守られていて、人は減らない、予算も付けないといけないという義務付けがある。消費者行政はそれが全くないので、財政難になると真っ先に切り込まれてなくなりつつあるというメカニズムが働いているわけですね。
 その中で、今の義務付け・枠付けの見直しということで、国と地方自治体の関係で義務付け・枠付けが完全に撤廃をされると、他の行政分野と消費者行政分野の予算取り、人員取りの競争条件は同一になるわけですけれども、今は、他は守られていて消費者行政は守られていないという格差があるわけですね。
 その問題意識から言うと、義務付け・枠付けは完全撤廃されたほうがいいわけですが、それはいつ完全実施されるのかということをお尋ねしたい。かなり先になるのであれば、一種の永久革命論、千年王国論というか、何十年も待ちなさい、それまで消費者行政は何の支えもないところで予算切られっぱなしでいいんじゃないかとなっては困るので、私は、できれば消費者行政にある程度の義務付け・枠付けはつくったほうがいいのではないかと、そういう発想で申し上げているわけです。そういう全体的なタイムスケジュール、あるいは完全撤廃される間は義務付け・枠付けのない行政分野はどうやって生き延びていったらいいかというあたりで何か御示唆がいただければありがたいと思います。

○斎藤委員 レジュメの2ページ目で書きましたように、マル3の「法改正へ」というところですね。そこで昨年末の推進計画の段階では条項数としてもかなり少ないものしか対象になっていませんでした。それでも地方要望分についてはかなりですが、121条項取り上げられています。今回の戦略大綱では、より政治主導ということもありまして、528条項が上がっています。そして、3次勧告の残り、それから2次勧告で何らか見直しをしなさいと。バツを付けただけになっているものについては、今回の戦略大綱の次のフェーズの課題として政府のほうでは上げていて、ですから次の大綱、ですから来年度ですか、どういう名前になるかわかりませんが、第2次的な大綱において、2次勧告でバツを付けたものについても、一般的な指標を設定する何なりして、ある程度進むはずです。
 御懸念の点については、もう一点は、ですから財源です。国が一方で義務付けで縛っておいて、それにだけしか使えないという財源とリンクがあるものがあるのですが、これはむしろ財源のほうの改革が重要になる。今回の大綱では、補助金の一括交付金化というのがある程度方向性が出ていますけど、それに加えて、第2次の大綱において、税源移譲とか、自主財源の拡充とか、一括交付金化というのがどれぐらい進むのかというのに連動するのではないでしょうか。

○片山座長 ありがとうございました。先ほどの圓山委員の前提については認識が違うなと私は思うんです。消費者行政だけが丸裸で、他は全部規制で守られているということでは実態はないです。規制で守られているのは、例えば警察官の数などは政令で決まっていますから、これは自治体が、県がどうこうすることはできないんですね。だけど、例えば図書館などは、そういう規制はなくて、司書を置くということは書いてあるけれども、規制がないから、今、正規の司書はどんどん減らされているんですね。だから消費者行政だけが何か一人だけ除け者にされているというわけではないんですね。
 かつ規制があっても、実は実態が空洞化している面もあるんです。例えば教職員の定数は政令で決まっているのですけれども、これすらも実は内部が正規職員から非正規職員にかなり変わっていまして、非常勤の教師なんかが随分増えているんです。実は規制が、警察はちょっと別ですけど、それ以外はあってもなくてもかなり減ったり、減らなくても空洞化しているという面はあるんですね。私1回言ったことがあると思うのですが、いわゆる集中改革プランなんかを通じて、国はとにかく自治体の職員定数を減らせ減らせ、5%減らせという指導をやっているものですから、その一環としてどういったしわ寄せが来ているかという論点を取り上げるのがふさわしいのではないかと思いますけれども。
 それではよろしいでしょうか。斎藤委員に御説明いただきましたこの点については。地方自治体と国との関係を論じる場合に、現在の一番の基本ルールみたいなところなものですから、これを逸脱すると多分具体的に何か制度化しようとしたときには、現実の問題としても動きづらいということがあるんですね。全くこれを外れちゃいけないということではないんですが、現実は今こういう流れの中で来ていますから、多分動きづらいだろうなと、そういう認識を持っていただければと思います。
 それでは、ありがとうございました。

≪3.相談員の実態と処遇のあり方について≫

○片山座長 次に、事務局と消費者庁から、議題に関連した説明を順次行っていただいた後に一括して、御意見、御質問をいただきたいと思います。初めに事務局から消費生活センター相談窓口の設置状況や相談員の配置状況、相談員の業務内容について説明をいただきたいと思います。

○齋藤審議官 消費者委員会事務局の齋藤でございます。資料2-1をご覧ください。
 消費者庁におきましては、現況調査ということで、地方消費者行政の体制、予算等についてかなり網羅的な調査をされまして、その結果は既に発表されておりますけれども、その中から、本日の議題に関連しまして、相談員の配置に関するデータをピックアップしたものでございます。
 全国47都道府県ありますけれども、消費生活センターが全ての都道府県に設置されておりまして、この47都道府県には相談員は必ず配置されております。それから政令指定都市が18ございまして、その18全てに消費生活センターが設置されておりまして、その中には相談員が配置されている。市区町村全国1,772ありますが、そのうち消費生活センターが設置されておりますのは349ありまして、この349の消費生活センターには相談員が配置されております。それから、その下の1,010、これは相談窓口でありまして、消費生活センターではないのですけれども、相談窓口が設置されている数が1,010ございまして、ただし、この中で相談員が配置されておりますのは、「*2」にございますように367市町村となっております。比率としましては36.3%。
 その下のグラフの一番左端のところに、全体というところの棒グラフの上のほうに数字が出ておりますが、相談窓口における相談員配置率ということで数字をとりますと、36.3%となります。これを人口規模別で見たのが右肩の棒グラフでございまして、人口が大きくなりますと、この配置率は20万人以上では100%になると。ただ小さい規模、例えば3万人以上5万人未満といったところでは約半分しか設置されていないということで、更に小さいところ、1万人未満となりますと、1割未満のところしか設置されていないという状況にございます。
 次のページをご覧いただきまして、これは参考でございますけれども、相談員を配置している市町村におきまして、どのような配置体制がとられているかということを推し量る参考になる資料でございます。「相談対応人日/週」当たりとなっていまして、例えば30万人以上というところでは20.89人日と、21人日に近いわけですが、例えば3人の相談員の方が配置されておりますと、週7日できる体制が組める。4人であれば、週5日の体制が組めると、そういった体制が組めるような状況になっている。ただし人口規模が小さくなってきますと、かなりその体制が弱くなってまいりまして、真ん中辺ご覧いただきまして、5万人以上7万5千人未満といったところになりますと、1人の方が4.5日対応するといったような体制になります。1万人未満というような小さなところになりますと、1人の方が1.76日、2日未満の相談をするような体制ということで、かなり体制的には弱くなる。
 その下のグラフは、今の相談対応人日と相談件数の関係を見たものでございますけれども、相談対応体制がある程度しっかりしたものになれば、相談件数もそれなりに多くの相談を受けることができるという正比例の関係が読み取れます。
 続きまして、資料の2-2をご覧いただきたいと思います。相談員の方がいろんな仕事、非常に多面的な仕事に従事されているということについて、イメージを抱いていただくためにつくった絵でございまして、ここには国民生活センター、都道府県の消費生活センター、市町村の消費生活センターのそれぞれに相談員の方がいらっしゃいますが、この絵の中では市町村の消費生活センターで働いていらっしゃいます相談員のお仕事の概要、こんなお仕事をされているということをお示ししたものでございます。消費者と事業者との間で紛争が生じたときに、消費者からの相談をまず受けるわけですが、その受けた相談について消費者に対していろいろ助言をすると。クーリングオフのやり方でありますとか、そういう助言をします。助言で済まない場合にはあっせんということで、事業者との間に立って仲立ちをするというようなこともされます。
 また、相談員と行政職員との連携の中で、もう少し一般的な形での普及啓発活動、消費者教育活動といったものに従事されるというようなこともございます。
 また、他の行政分野との間での情報提供・連携ということで、例えば民生委員の方が高齢者の消費者トラブルに巻き込まれたといったような情報を相談員の方に届けていただくとか、あるいは相談員の方がいろいろ受け付けてきた苦情の中で特定の業者の問題が浮かび上がってきといった場合にはそれを執行部門のほうにつなげていくといったような形での連携というものがあるということでございます。
 また、その右肩のほうにPIO-NETの端末の絵が書いてございますけれども、相談員の方が受けられた相談の情報を入力していただきまして、それが全国的に集計をされる。その集計した結果を使って個々の相談を処理するに当たりまして、他に同じような例がないかとか、どのような処理をしているかといったようなことを参考にするといったようなことをされているわけでございます。
 また、上の都道府県からの矢印、国民生活センターからの黄色い矢印がございますけれども、そういったところとの関係、情報提供を受けたり、研修を受けたりといったようなことも行われているということでございます。
 これが別に全てというわけではございませんが、主立ったところはこのような形の仕事をなさっていると考えています。
 資料2-3は、今の「消費生活センターの設置に関する根拠規定」でございまして、これは消費者安全法の中に、第10条第1項第1号のところに、相談について専門的な知識及び経験を有する者を従事させるという規定がございまして、この規定を受けて消費者安全法施行規則、その下でございますが、どういう人かといいますと、次に掲げるいずれかの資格を有する者、また、これらと同等以上の専門的な知識及び経験を有する者とするということで、第1号から第3号までの資格が列挙されております。
 これはその次の資料2-4でございますけれども、そこに挙げておりますような3つの資格がございまして、それぞれ実施機関は異なっておりますが、いずれも相談員の資格として認められているものでございます。この後ろに県別にどういった分布、何人いらっしゃるかということが資料として付けてございます。首都圏でありますとか、近畿といったところはかなりたくさんいらっしゃいますけれども、それ以外の地方ではかなり少ない人数のところもあるというところがわかるものでございます。
 それから、資料2-5は、下のほうをご覧いただきますと、相談員の方が資格を持っていらっしゃる方がどれくらいいるかということでありますけれども、実際の資格を持っていらっしゃる方は全体の中では76.4%でありまして、これを地域別に見ますと、かなり高い比率のところと低い比率のところがあり、バラツキがあるのが読み取れるかと思います。
 その次の資料でございますが、資料2-6で、これはユーザーサイドの見方ということで参考までに付けております。センター等も含めた窓口体制について、利用者としてどういう問題を見出しているかということですが、サンプルが少ないのですが、その中では専門性のところ、あっせん、紛争までやってもらえないとか、相談時間が短い、電話がかかりにくいといったようなところで、相談員の専門性の問題でありますとか、体制の問題を挙げているものが多いということでございます。
 それから、その次のグラフ、図21でありますが、これはもう少し一般的に消費者問題に対する施策としてどういうものを望むかというところでありますが、多いのは相談できるところをつくってほしい。情報提供を充実してほしい。相談体制を充実してほしいということで、ここでも相談体制、情報提供の要望が強いことがわかります。
 私のほうからは、以上でございます。

○片山座長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、地方消費者行政の現況調査に基づいて、相談員の採用形態や待遇、その改善の動き、更には最近行われました基金の見直しについて、消費者庁の川辺地方協力課長から御説明をいただければと思います。

○川辺地方協力課長 地方協力課長をやっております川辺でございます。よろしくお願いいたします。資料3-1、3-2につきましては、お時間の関係もございますので、資料配付ということで対応させていただきます。今、委員会の事務局からいくつか御紹介ございましたが、これはこの現状分析などに基づいて説明されたものでございます。
 資料3-3をご覧いただければと思います。「消費生活相談員の採用形態、勤務形態、待遇について」、基本的には、今申し上げた地方消費者行政の現状分析に基づいて引用させていただいたものでございます。
 まず消費生活相談員の採用形態でございます。これは前から言われていることでございますが、いわゆる非常勤職員の方が多い。ここで見ますと、非常勤職員と言われている方が上の76%ぐらいございます。法人委託、いわゆる委託で出されているという方が大体16%。それから、今回やってわかったのですが、個人的に請負という形の方がいらっしゃいまして、これは個人委託が5.6%ぐらいということでございます。そういう状況になってございます。
 それから、非常勤職員の方が、地方公務員法その他含めてどのような形態で採用されているかということでございます。これにつきまして、一番最後のほうに別紙1を付けておりまして、少し制度について説明させていただきますけれども、今のところ短時間勤務をされる職員に関しては4つほど制度がございまして、1つは非常勤職員としまして、特別職の非常勤職員、一般職の非常勤職員それぞれ地公法の異なった条文に書いてあるのですけれども、もう一つ、臨時的任用職員とございます。
 まず特別職の非常勤職員でございますが、これはいわゆる参与とか顧問、嘱託の方、調査員の方、こんなようなイメージでございます。
 それから、一般職の非常勤職員は、職員の職に欠員を生じたときにやるということになっておりまして、イメージ的にされるのは産休などで欠けたときに代替的にされる、そんなようなイメージでございます。
 それから、臨時的任用職員の一般職、これは6か月以内で更新可、割と短期に必要な方をお雇いすると、そういうようなことでございます。
 それから、これとは別枠で、任期付短時間勤務職員という制度がございまして、これは別の法律で任期付法と書いてございますけれども、そこで規定されているものがございます。それは基本的には常勤の職員と待遇その他については同等という形になりますけれども、任期が3年以内、必要がある場合は5年以内という形になっている。
 そういう意味ではこの4つが今のところ短時間職員に関する制度でございます。
 最初のページに戻っていただきまして、今申し上げた嘱託とか調査員と呼ばれている、そのようなイメージの職である特別職非常勤職員が81%、一般職非常勤職員が12%、臨時的任用職員が4.6%。その他、先ほど言いました任期付短時間勤務職員がほとんどいらっしゃいませんけれども、0.2%。その他という形になっております。
 実際にいろいろとお話を聞いてみると、どういうメルクマールでこの形態でお雇いしているのかというのはなかなかきちんとしたメルクマールがあるみたいではなくて、自治体ごとによって算段をされて雇っていらっしゃる。統計で調べているわけではありませんけれども、ヒアリングなどではそういうふうにお聞きしているところでございます。
 次のページへまいりまして、消費生活相談員の契約上の雇用期間でございます。これは大半の契約が1年、92.8%が1年契約ということになっています。
 それから、更新回数制限の有無、いわゆる雇い止めと言われているものでございますが、相対的に都道府県では高いのですが、基本的に全体として制限があるのが18.3%、ないとお答えになったのは80%強、こういうふうになっております。
 それから、更新可能回数、何回できるかという決めがあるかと思いますが、大体全体で5.5回程度ということです。大半の契約が1年ということを考えますと、5~6年程度と推定がされるということでございます。
 それから、消費生活相談員の勤務形態の中で勤務時間でございます。勤務時間を見ていただくとわかりますけど、6時間から7時間程度で大体半分くらいというイメージでございます。あとはここに書いてありますように、それ以上長い方がそのままいらっしゃる。
 それから、マル2でございますけれどもから、消費生活相談員の勤務状況で、実際にその方が主たる、実際にその人が家計を支えているかどうかということを聞いているわけですけれども、80%弱の方が主たる生計維持者ではないとお答えになっています。
 経験年数でございますが、経験年数かなりバラツキがございますが、これを見ますと、5年から20年ぐらいの方が合わせまして大体半分ぐらいと、そういうことでございます。
 それから、消費者生活相談員の待遇でございます。これは報酬でございますが、これは相談員の方の採用形態とか勤務形態かなりバラツキがありますので、こちらのほうで、1日7時間仮に働いたとしたらというふうに換算計算をして、1日の日額を示しておりますけれども、見ていただきますと、特別区は高いのですけれども、基本的には政令市が高く、大体1万円前後となっております。
 時間外勤務手当につきましても、あると言われたところにつきましては、全体で4分の1程度になっております。
 社会保険(雇用保険)でございますが、ここに書いてありますけれども、全体で56.8%。都道府県、政令市でございますと8割を超えた方が雇用保険に入られているという状況でございます。
 それから、次のページでございます。消費生活相談員の待遇改善(報酬引上げ)の動きでございます。これは私ども(4)につきましては、今申し上げている地方消費者行政の現状分析によって明らかになったものではございません。どういうことかといいますと、次に説明いたします地方消費者行政活性化基金の中で、事業計画を出していただくことになるわけですけれども、その中で待遇改善しましたと、こういうふうにお書きいただいた方にヒアリング・相談をして確認をしたものでございます。私どもが把握している範囲では、平成21年度は都道府県では10団体、市区町村では65団体が報酬を引上げをされたということでございます。
 下に書いてありますけれども、報酬の引上げについては、基本的には平成21年度につきましては、自主財源で措置されているところでございます。それから、一律に上げたということではなくて、例えばベテランの方を新たに「主任相談員」として位置付けて、報酬を引上げたようなところもございますし、資格を有する相談員について報酬を引上げた、というところもあります。報酬の引上げ方についてもいろんなパターンがあるということでございます。
 平成21年度報酬を引下げた地方公共団体につきましては、私ども特に把握をしているわけではありませんけれども、一般事務職員の給与改訂、いわゆる全体のベアが下がったにつれて引下げを行った事例が2団体あるということは承知をしております。ただ、ほかにどの程度あるかについては把握をしておりません。
 これが消費生活相談員の採用形態、勤務形態、待遇についての御説明でございます。
 引き続きまして、資料3-4をご覧ください。3-5、3-6につきましては、これを詳細に書いたものでございますので割愛させていただきますけれども、今回7月21日に地方消費者行政推進本部、大臣を本部長とします本部を開催いたしまして、基金の見直しについて消費者庁として決定をさせていただきました。主に3つの点で見直しをさせていただきました。
 1つは「期限」でございます。今まで集中育成・強化期間(平成21年~23年度)に基金を使うということになっておりましたけれども、都道府県からこういう計画を出していただいて延長してほしいと御要請があった場合には1年延長を可能にするというふうに見直しさせていただきました。
 それから、使い道なのですけれども、使い道として論点になったのは、現在の消費生活相談員の報酬引上げに活用できないか、こういうような御指摘と、賃料とかリースみたいなものに使えないのか、こういうのがございました。そこにつきまして、右の絵で説明させていただきます。今までは相談員を新たに配置するとか、例えば今まで週3だった方を週5にお雇いするときにプラスアルファの2日分などには使うことが可能でございました。今回の見直しにつきましては、報酬単価の引上げの部分、ここについて活用を可能にするというふうになっておりまして、これは説明を申し上げますと、消費者庁及び消費者委員会ができまして、新たな消費者行政がスタートしたわけですけれども、それに伴って各種増加する業務があるのでというのが基本的な整理でございまして、そういうことで、今までは人数の増加とか、日数の増加について手当てをさせていただいたところでございますが、実際にあっせん案件の複雑化とか、相談員さんが増えておりますので、そういう方への助言とか指導、そういう意味では質的な意味での業務の増加ということもございますので、それに対応しまして、今回引上げの部分に関して、そういった方に対して対応して、引上げの部分に対しては活用が可能になる、そういうふうに整理をさせていただきました。
 それから、いわゆる事務所の賃料とかパソコンのリースですけれども、パソコンを買った場合、今までそれは認められていたのですけれども、リースの場合には認めないということでありましたので、そこは同じように使っているのにおかしいのではないか、こういう御指摘もございまして、いわゆる事務所の賃料とかパソコンのリースみたいなものについては「基金」を活用可能にいたしました。
 それから、取崩し「金額」。取崩し限度の「2分の1」は維持をという問題がありまして、自主財源を地方消費者行政というのは国の支援と地方の自助努力は多分両輪だということでございますので、今まで2分の1、基金を取り崩すためには同額の自主財源を持っていくとなって、それを使うということが限度になっています。これ自体については維持をさせていただくというふうに考えております。ここをもう少し運用について改善を図るということで、これはたしか圓山委員から御指摘あったかと思いますけれども、例えば専任化した場合、それは消費者行政予算から外れてしまうので、かえって基金の取崩し額が減ってしまうというような御指摘があったと思いますけれども、そういうことについては運用において、それも消費者行政予算の中に反映させることによって、そういうことをなくすと考えております。
 その他、運用において、2分の1の基準の改善を図っていくということを考えてございます。
 以上でございます。

○片山座長 ありがとうございました。続いて事務局から、相談員の処遇改善に関する論点について御説明をお願いします。

○齋藤審議官 再び事務局でございます。資料4-1でございますが、「相談員の処遇改善のために(論点)」ということでまとめたものでございます。
 最初の論点でございますけれども、「相談員はどのような能力、資質が求められるか」ということで、相談員の方々のなさっているお仕事、その能力に比べて、それに見合った処遇が得られていないということが言われているわけですが、翻ってどのような能力、資質が求められているのかということが1つの論点かと思います。そこに掲げておりますのは、一定の専門性に加えてコミュニケーション能力、交渉能力、経験等の総合力が求められるのではないか。
 それから、専門性といった場合に、どの程度の専門性が求められるかということもあるのではないかと思います。各分野の専門家がバックアップでいろいろ支援するという体制を組んでいるセンター等もございますけれども、そういうバックアップを受けながら問題解決に当たるということができるということが必要ではないか、そういう考え方もあるのではないかということでございます。
 それから、論点2でありますが、これは制度的な面で多様な働き方に応じた選択肢を用意すべきではないかということでありまして、(1)それを少しブレークダウンしたものでありますけれども、一人ひとりの希望する勤務形態、(週何日、何時間勤務)といったようなこと。あるいは経験、能力の差に応じて処遇の制度にも多様な選択肢が必要ではないか。これは一般論でございますけれども、現実には1年更新の非常勤という形で採用されている方がほとんどでありますが、そういう形では専門性や経験を生かして長期間働きたいという相談員の方々のニーズに応えることはできないということがあります。
 また(3)で挙げておりますのは、新しい仕組として任期付短時間勤務職員というものが平成16年に導入されておりますけれども、この場合は待遇の面でも、あるいは期間の面でも非常勤よりはかなり改善されるわけですが、ただし業務が一定期間内に終了するという制約がありまして、実際にはほとんど使われていないという状況がございます。総務省の研究会におきましても、この後の参考資料に付けておりますけれども、より柔軟な任用制度が導入できないかという問題意識も持っておるようでございますので、そういった観点からの改善も考えられるのではないか。
 それから、(4)でありますが、任期の定めのない常勤職員、これは普通の公務員になるという選択肢もあるわけですが、それについてどう考えるか。なかなか普通の公務員になるということですと、人事異動もありますし、定数面の制約もあると、こういったことをどう考えていくか。あるいは全く新しい制度として任期の定めのない専門職任用制度を考えたらどうかという御提案も出されておりますけれども、そういうものについてどう考えるか。
 それから、論点3でありますが、これはむしろ今ある制度の中でどういう改善が可能かという観点からの論点であります。
 (1)では、条例や要綱で定めれば、ある程度対応できるものなのか。現実にも経験年数でありますとか、資格の有無を反映した報酬の設定の仕方ということを考えているところもございますので、ある程度は対応できるのではないかということがございます。
 それから、他の職種とのバランス、これがなかなかバランス上改善するといっても難しいといった御議論がありますので、これについてどう考えるか。
 3つ目に、新たな国家資格として、今3つあるわけですけれども、それとは別に新たに国家資格を設けるということが待遇改善にとって、さっきのバランス論との関係もありますけれども、有効ということはあるのではないか。もちろん国家資格とすることの1つの他の理由として、相談員の方が実際にいろんな方と向き合ってお仕事をされていく中で国家資格というものになれば、更に仕事がしやすくなるという面があるわけですが、それに加えて待遇改善というものにも有効ということが考えられるのではないかということであります。
 それから、論点4、最後の論点でありますが、処遇改善するに当たっては人件費の問題があるので、これをどう考えるかという点が非常に大きな問題としてございます。
 (1)にありますのは、そもそも国が相談員の待遇改善を支援することは可能かということでありますが、先ほど「基金」の説明にもありましたが、そもそもこの基金を設けて基金の使途を考えるときに、人件費に充てるということについては国会での議論もかなり昨年の春先にございまして、そういった議論を踏まえて集中育成・強化期間において増大する業務に係る人件費等に充当するということは可能であるということで発足いたしましたが、このたび基金の見直しの中で、既存の相談員の報酬引上げにも使えるということになったわけでございますが、こういった経過も踏まえまして、将来どういう支援を考えていくべきかということが1つの論点でございます。
 また(2)に挙げておりますのは、また違う角度でございますけれども、相談員の方々がなさっている事務は、地方の事務という性格に加えて国の事務としての性格も持っているのではないか。例えばPIO-NETへの相談情報の入力というものは、そういう情報を集めて施策に反映させていくと。国としてそれを把握するということは国の行政を進めていく上で非常に重要な意味を持つものであるということで、国の事務としての位置付けも可能ではないか。であれば、それを国として支援するということもあり得るのではないか、そういう論点であります。
 それから、(3)は、更に、そもそも相談員を配置することについて、国の施策としての意義を認めて、国が何らかの基準を設け、その人件費を国が支援すると、そういう意見もございますが、そういうものをどう考えるかといったようなところでございます。
 あとは参考資料として、先ほどちょっと申しましたが、総務省で行われた「短時間勤務の在り方に関する研究会報告書」を付けております。
 それから、地方財政法の10条、16条の関連条文を参考資料として付けております。
 また、資料4-2で、昨年の春先に行われました相談員の関係、待遇、待遇改善にどういうことができるかということに関しての議論で参考になるものをピックアップしてお手元にお配りしてございます。
 私の説明は以上でございます。

○片山座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの一連の御説明に対して質問や御意見のある方は御発言をお願いします。矢野委員。

○矢野委員 川辺課長と事務局のほうにまず1点、お尋ねしたいと思います。今回の相談員の処遇改善に関しては、制度面ということで、消費者庁のほうで既に制度ワーキングが設置され、川辺課長がその取りまとめ役になっていらっしゃると思いますが、当初の予定では、7月中に取りまとめが出て、恐らくこの調査会のところでも流れとしてはその取りまとめを受けた形で今回の論議に付せればより有効な資料にもなるかなとは思っていましたが、実際には取りまとめがまだ出ておりませんので、少し消費者庁の制度ワーキングの流れといいますか、今のところの進捗状況と、それから、事務局のほうには、今日の論議のテーマと、今の制度ワーキングの進捗状況との関係性から、結果的には現時点では 活かせない論議になるわけですが、重複した論議になっていかないか、その辺を懸念はしておりますが、事務局のほうでどうとらえられているか、お聞きしたいと思います。
 それから、もう一点あります。もう一点は具体的な質問ですが、これは川辺課長のほうにお聞きしたいと思います。先ほど資料3-4です。これも先週消費者庁のほうから活性化基金のワーキングとして取りまとめられた対応が出されたわけですが、使途についての部分で、今日論点の4の(1)にも関係はしますが、消費生活相談員の既存の相談員の報酬引上げにも活用可能になってきましたが、ここのところ活性化基金というのは、期限が終わった後に本来の自主財源のほうでそれを取り込まなければいけないということで各自治体のほうもなかなかこういったところには手をつけたがらなかったと思いますが、今回こういうふうにして処遇改善にも使えるということは、実際の自治体の反応も考えて対応されたのか、その辺はどういうふうに考えていらっしゃるのでしょう。以上2点、お聞きしたいと思います。

○川辺地方協力課長 制度ワーキンググループについては少しおくれております。基金ワーキンググループのほうに重点を置いたところもございまして、少しそこはおくれているということでございます。それにつきましては、論点、先ほど私のほうで短時間勤務職員の制度について説明しましたが、こういったことについて調べているところでございます。少しおくれているということで、そこについては申しわけございません。なるべく早く論点整理をしてお示しできればというふうに考えておるところでございます。
 それから、処遇の件なんですけれども、これは難しいのはかなりいろんなところから、こういうふうに活用してくださいというふうな御希望があったのでそれにお応えをしたところでございます。どのぐらい、これを受けて対応していただけるかというのは、これからの我々の働きかけとか、自治体の中でどのぐらいこれに取り組んでいくかということにももちろん依存するかと思います。一応いろいろ聞いていますと、これでありがたいというところもございますし、これでもなかなか踏み切れないというようなところもございます。ここはかなり自治体によって差があるのではないかと思います。

○齋藤審議官 制度ワーキンググループの報告書が間に合えば非常にタイミング的にはよかったなと思って準備しておりましたが、結果的に間に合わなかったということでございまして、いずれ何らかの形で制度ワーキングの形でまとまれば、こちらの場にも御報告いただきたいと思っております。
 後先になりましたけれども、今日この場で御議論いただいたことは、恐らく制度ワーキングの中での検討にも生かされることに多分なるだろうと思いますので、その辺はそういう形で、またよく連携をとることもできるのではないかと思います。

○片山座長 いかがでしょうか。

○野口委員 今日は御説明をありがとうございました。資料4-1の論点1を議論する前提になる件で2つほど質問をさせていただきたいと思っております。御説明のあった資料2-5と2-6のクロス集計のようなものをとられているのかというのが第1点目でありまして、趣旨は、資格を保有している相談員さんがたくさんいらっしゃるということと、ユーザーの側の満足度というのが相関しているのか、していないのかというあたりについて、資格保有者と利用者の満足度との相関関係の分析はとられたことがあるのかという点です。第二点目は、資格を保有していない相談員の方、資格に準ずる知識を持たれているという方は、例えば具体的にはどういう経歴の方なのかという点です。これを知ることによって、今後相談員に求められる能力とか資質の方向性というのが見えてくるのかなという気がいたしますので、そのあたりのもしデータがあれば教えていただければと思います。

○川辺地方協力課長 すみません、地方公共団体に聞いておりますので、満足度のデータというのはとってございません。先ほど言ったのは、別の状況から説明した別の調査でございまして、国民の皆さんに直接聞いたものでございますが、この調査ではそもそも自治体に聞いておりますので、満足度というのは聞いてございません。

○野口委員 国民に聞いたというデータの要素として、回答をした方がどのくらいの人口規模の自治体に属する方なのかというあたりをとられていれば相関できると思うんですけど、そういう分析はない、ということでしょうか。

○川辺地方協力課長 すみません。今、おっしゃったのは、国民の人口規模で満足度というデータがあるかということでございますね。そこについては、私ども把握をしておりません。それから、2番目のことはちょっと難しいので、これも特にそういうことを調べておりませんので、ヒアリングなんかをしていくということかもしれませんけれども、今、ここで答えられる情報を持っておりません。

○片山委員 いかがでしょうか。

○斎藤委員 1点質問で、もう一点は意見なのですが、1点目は、相談員の方々が2つの自治体の相談員を兼ねるとか、そういうことはどれぐらいあるのかということです。もちろん地方で距離が遠かったりすると無理かと思うのですが、1つの自治体で4日以内で何日か働いて他でも働くということで、2つ合わせればある程度の処遇になっているというような例があるのかどうか。あとは1つのところで雇い止めになった場合に、自治体が他の自治体に紹介する、この人は非常にスキルのある人だから、そちらでもどうかというような、そういうネットワークみたいなものがあるのかどうか。データがあったほうがより議論が客観的になるかなと、それが質問です。
 もう一点は、論点についてのコメントなのですが、論点4の(2)PIO-NETへの入力は、国の事務として位置付けることも可能ではないかという指摘なのですが、これは先ほど私が最初説明した分権なり自治の大きな方向性で言いますと、自治体の公務員がやっていることだけれども、国の事務なのだという仕組は、いたずらに複雑で、なおかつ責任の所在もあいまいになるということで、そういうものはやめて、第1次分権改革のときにも国の事務、自治体の事務というのは切り分けましょうという発想の下で今日までやってきているのですね。機関委任事務をなくしたというのもそれですから、自治体の職員として位置付けられている相談者の方がやっている事務の一部についてだけ国の事務が入りこむというのは、そぐわないのではないかというのが、これは意見です。

○片山委員 いかがですか。

○川辺地方協力課長 すみません、まずデータはございません。これは地方公共団体に聞いておりますので、地方公共団体でお雇いしている方一人ひとりに、相談員の方に、どこで別に働いていますかとか、そういう質問をしないと、今のデータは出てきません。しかもそれは全部照合しないと多分データとしては出てきませんので、それはございません。
 ただし、私がいろいろ話を聞いている限りでは、そういう2つでやっていらっしゃる例はよくお聞きいたします。ただ、どの程度の割合かといわれると、データ的にお示しすることはなかなか難しいと思います。
 それから、ネットワークのことなんですけれども、これは非公式なのは多分かなりあるのではないかと思います。東京圏とか近畿圏とか、そういったところでは結構消費生活センターいっぱいありますから、当然2つ、お勤めの方もいらっしゃるでしょうし、終わった後、別のところへ移るということもございます。それから、よく聞くのは県庁所在地ですと、県のセンターもございますので、県のセンターをやめられた方が県庁所在地の市のセンター、逆に県庁所在地の市のセンターをやめられた方は県に移るというお話を聞きます。ただ、それは数字の割合的にどのくらいと言われるとなかなかお答えすることはできない、そういうことでございます。

○下谷内委員 私は全国消費生活相談員協会からの人間でありますので、全国の消費生活センターと、今、御質問がありました件に少し関連して、その点について補足をしたいと思います。
 まずネットワーク、相談員の配置等についてのネットワークというものはございません。それから、行政はそれぞれのセンター、それぞれの立場で個々に募集をいたしておりますので、相談員の中で、あそこで募集しているわよと言って動くことはあります。動くことによって、毎年動くのは、五月雨式に動いていくということもあります。ある県によりますと、県の相談員さんがたくさんいらしたのですが、実はそこの県の市町村のところで、センターを設置しまして、給料がすごく上がりました。そうしますと、やはり人間ですから、給与の高いところに移動してしまいまして、センターが手薄になって新しい人材を募集するということがあります。それぞれの行政でやっておりますし、相談員は口コミだとか、お互いの情報のやりとりとか、そういう形ではやっております。ですから行政が紹介するとかということは全くございません。大体あそこのセンターは雇い止めがあるとか、ないとかというのも相談員はみんなわかっておりますので、そのような形で動いております。
 それから、1つ、斎藤先生に御質問をしたいのですが、今、PIO-NET、論点4の(2)のところで、これについては該当しないようなことをおっしゃられていたのですが、私は先ほどの先生のレジュメの別紙等を拝見いたしまして、12/25ページなんですけれども、池本オブザーバーもおっしゃられておりましたのですが、ここにまさに該当するのではないかなと、eもv、viもそうなのではないかと、非常に期待をしたのですが、地方自治といいましても、このPIO-NETというのは非常に行政の執行にも関わってまいりますし、国の執行にも関わってまいりますし、あるいは被害のまん延を防ぐために早急に手だてを受けるために非常に役立っているものです。本来は相談員さんが相談をするために必要なPIO-NETだったのですが、それを大きくいろんなところで情報を共有して、国の施策に有効に活用しようということで、このような状態になったわけですので、私は論点4の(2)については、十分に位置付けができるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○原事務局長 補足をしたほうがいいかと思いますので、2点補足をいたします。斎藤委員の発言についての2つですけど、1つは、2つの自治体を兼ねていると、それなりの報酬になっているのではないかということですが、それぞれの報酬単価が低いので、ある自治体で2日勤め、ほかの自治体で2日勤めても報酬としてはやはり低いだろうと思います。それから、今問題になっています論点4の(2)についてですが、以前、こういう形で財政の援助というのでしょうか、財政支援というものがされていたものですから、今、斎藤委員が先ほどおっしゃったような経緯で廃止をされています。ただ、PIO-NETの機能は、そのとき以上に充実をしてきているというところがあって、復活ということで4の(2)ということは可能性としてあるのではないかということで論点に掲げさせていただきました。
 以上です。

○齋藤審議官 ちょっと参考情報で。すみません、いろいろ補足を付けて申しわけございませんが、PIO-NETの端末設置費用というのは、これは国が持っておりまして、各自治体に設置しているコストは国が負担しているということで、その上で入力する経費の部分、この部分を国として経費部分を見てもらえないか、そういう要望がございまして、その部分をどうやって理屈づけるかということで、入力事務というのは国の事務としての性格もあるので、その部分の面倒を見てもらうということは可能ではないか、そういう御議論がございます。

○下谷内委員 すみません、いいですか。今、2つ、複数のセンターを兼務しているというのがありますが、実は私も当初複数兼務しておりました。それはセンターが設置されまして、開設が週1日とか2日とかというところもございましたし、非常に日数は少ないものであったわけです。そういうふうにしてやっているものは結構あります。ですから日数がある程度複数になりますと、2か所には行かなくて1か所で十分しっかりとやれるのではないかというふうに思っています。ただ、今現在、地方におきましては、なかなか相談員さんがいらっしゃらないものですから、複数兼ねている方はいらっしゃることは事実です。
 それから、すみません、PIO-NETなんですが、当初、5年間は国から補助がございました。5年目に切られております。ですからもとに戻って十分できるのではないかなというふうに思いますが、よろしくお願いします。

○片山座長 それでは斎藤委員。

○斎藤委員 大枠の話で、まず自治体の事務か国の事務かというのは、現在ははっきりと切り分けられているのです。先ほど御指摘になった11ページ、12ページのメルクマールは、自治体の事務で、なおかつ自治事務だけれども国が義務付けていいもののメルクマールです。ですから仮にここに該当するとなれば、自治事務だけれども、国は義務付けることはできる。ですからそれに対して財政的な支援というのが結び付き得ることは確かです。でもだからといって、端末で入力をしておられる行為が国の仕事・事務だということにはならない。それが国の仕事だということになると、それは1次分権改革前の機関委任事務とか、あるいは地方事務官制度みたいなものであって、これらは非常に問題があるというので、1次分権改革のときに大変先人が御苦労なさって、国の事務と自治体の事務をやっとこさ切り分けたのですから、自治体の事務だけれども、国のサポートが受けられるのはどういう事務なのかという切り口のほうがまだ筋がいいのではないかと思います。もちろん、現状では、自治体の事務だからといって、全部自治体で自前でやってくれということにはなりません。それは前提ではあります。

○馬場委員 質問と意見です。まず質問のほうですが、資料2-1のII-3-マル1の平均相談対応人日/週の件なのですが、これは時間という要素は含まれているのでしょうか。例えば1日8時間換算で、こういう人日/週になっているというのかどうかですね。アクセスのしやすさというのが、利用者側にとっては重要になってきますので、あいている時間が非常に短かったら、日にちがあいていても使いにくいというと思うので、ある一定の基準で、例えば人日/時間、1日平均8時間というような集計になっているかどうかという点がお聞きしたいと思いました。
 それとアクセスのしやすさと利用のしやすさということでいくと、こういう受付が、この中に、例えばメール対応もあるか。私も先日神戸市で聞いても、メールでの問い合わせなんかが5~6%ぐらいしかないというんですけど、メールであれば、夜間でも情報発信できますので、そういう受付のものまで、こういう中にどういうふうに取り込んで集計していくのかという点がお聞きしたいという点が質問です。
 それから、あと資料4-1で、相談員さんの能力、資質などにつきましては、私も地方自治体の方とお話ししていましても評価の仕方が非常に難しいと聴きます。よくできる方は評価をして、待遇改善して、多くの賃金を支払ってスーパーバイザー的な仕事までしてもらうというふうな使い方をされている。ところがそれを客観的に評価する方法はなかなか難しい。今おっしゃられたように、ここに書いているコミュニケーション能力というのはどういうふうに判断するのでしょうか。交渉能力というのは多分あっせん率の問題とか、そういうものでとらえていいのかどうかとか、その辺は自治体ごとに決めているというのが、でもそれも確たるものがないそうです。評価もできれば、こういう論点に入れていただいて、なおかつこの制度見直しのときに加えていただき、それを待遇に反映させる。ちょっとできない方については給与カットとか、そういうのも当然必要かなと思います。全部がベースをもとにしてということではなくて、能力評価みたいなところを論点としても入れていただければと思いました。

○片山座長 どうですか、何かありますか。

○川辺地方協力課長 これは消費者庁の資料なので、私のほうから答えさせていただきます。まず事実としても、相談対応人日に時間を考慮しているのかというのは、これは考慮しておりません。いわゆる何日ということに対して人日で考えています。ただ、ちょっと申し上げますと、すみません、先ほど説明をいたしませんでしたけど、資料3-2の、地方消費者行政の現状分析の5ページをご覧ください。
 5ページのところに、円グラフが書いてございます。これは先ほど説明させていただいた、全体で平均勤務時間/日が6.4とございます。これで一律にというのはなかなか難しいのですけど、6.4時間平均勤務時間があれば、それなりにあいていて対応していると考えてよろしいのではないでしょうか。
 それから、メール対応の話、メール対応についても当然どのぐらいあるかというようなデータはございません。ただ、私がこれまでヒアリングで聞いているところでは、あまりメール対応自体についてはそれほどおやりになっているところはなくて、それは聞いていると、相談員、電話の対応だけでいっぱいいっぱいで、なかなかそこまでは難しいというようなことはヒアリングでは聞いております。

○馬場委員 メールの対応なんですけど、大体一般企業ですと、ホームページ等も非常にオープンにしていますので、今、10~15%ぐらいがメール対応になっております。夜間とか、時間に関係なく送ってこられています。例えばメールでしたら在宅勤務みたいな形で相談員さんが、例えば産休で休んでいるとき、家でできるとか、何か雇用形態をもう少し広げることができるのではないかというふうに思うのですが、また、御検討いただければと思います。

○日和佐委員 私が担当しております横浜市の消費生活総合センターではメール対応を始めたんですね。そうしますと非常にたくさんのメールでの相談が来る。しかしながら、その対応がとても大変なんです。文章で残ることと、メールのやりとりでは限界があります。ですからいただいたメールに対して齟齬のないように、それから文章で残りますので、後で2次クレームにならないようにきちんと整合性、法律と整合性のある回答をするということになりますと、電話よりも回答文の作成に時間がかかります。それで始めたのはいいんですが、今、実は非常に困っている状況にあります。
 やり方としては、1回はメールでお返事をします。でもその後も再度という場合には電話をいただくというやり方です。メールというのは確かに消費者側からは使いやすいのですけれども、対応する側からはかなりの配慮が要るやり方だということで、よその都道府県からは「よくやっていますね」と言われているという状況、をお話いたしました。

○菅委員 メールに関しては、私どもも朝行ってメールが入っていると、もう少しポイントを絞って、あるいは深く聞きたいことがありますので、必ず御連絡をいただきたいということで、その回答のみにします。やはり連絡をいただいたときに、全く書かれている短い文章と違っていたりとか、そういう齟齬は必ずありますので、そこは電話で受けるよりも、慎重に対応はしております。確かにメールというのはそんなに多くはないんですね。
 それともう一つ、付け加えさせていただきたいのは、PIO-NETの国の事務がというところなんです。私どもPIO-NETの初期の段階では、相談員さんのための国センとツールであるということで出発しましたので、今ほどに4日以内にとか、次の日には入れろとか、そういう指令は来ていませんでした。やはり相談員と相談員のスキルの足りないところとか、それから、国センさんに件数を、その陰では私たちも件数の集計とかは大変助かりましたけれども、最近は国の省庁でも何カ所かが、私どもが入れたものを閲覧できると。それが功を奏して指導とか勧告とかそういうことにも使われているようですけれども、それらから考えると、相談員にとっては、中途半端な入力はできない。それこそメールと同じできちんと把握したものを入れていかなければいけないということで負担はかなりあります。ただ、鉛筆で消してまた翌日書くというわけにもいきませんし、私が勤務していたのは、役所の開庁時間と同じで相談時間が8時間でした。5時15分までの勤務拘束時間なのですが、5時ごろお客様さんが来ても、それから2時間ぐらい対応しなければいけない。それは現状です。去年あたりから相談窓口の時間が長くなっているようですね。今度全相協としては相談員の実態調査もしなければいけないと感じておりますけれども、そこら辺では2か所勤務というのは、アクセスの問題から地方では全く考えられない。
 それから、都内などでも、私たちが処遇改善ということで、ある一定の報酬をいただくとすれば、1日とか2日とか、そういう勤務体系ではなくなってきているのは実情のようですので、PIO-NETについては、相談員としては、早く言ってしまうとかなり負担ですので、そこら辺を考えていただければなということで申し上げます。

○片山座長 どうぞ。

○国府委員 あまり時間がないので、今日机上配付いただいています私の発言メモに従って、本日の論点に関していくつか申し上げたいと思います。
 今日予定したこの発言メモは、前回、「今後のスケジュール(案)」というペーパーで事務局から示されておりました本日の論点に関するもので、必ずしも本日配付された資料4-1に対応する形にはなっておりませんので、一部省略しながら報告したいと思います。
 まず相談員の資格の点で、これを国家資格にするかどうかという点について、私は今の相談員の資格、3つの資格が安全法施行規則では前提にされておるようですが、これでは不十分だと、国家資格にするべきだと思います。相談する消費者の目から見ても、どういう資格の人たちが相談に答えているのかということがはっきりするほうがいいと思います。
 それから、最近、特に法律問題についての相談が増えているようですが、例えば事業者側の顧問弁護士などが出てきて、特定商取引法についての法解釈はこうなっていると相談員が言っても、弁護士が、あんたどういう資格で法律の議論をしているのだと、私は弁護士だと、いうふうなことで、なかなか相談員の説得も聞いてもらえないといった現象もあります。そういった問題をクリアするためにも、今の専門性の高い相談業務に対応する資格として国家資格化していくことが大事だろうと思います。また、そのことは待遇の改善にもつながっていくだろうと思っております。
 次に、私の発言メモの第4項に飛びます。任用期間の問題について、ぜひこの専門調査会では、今後の展開に資するような議論をしていきたいと思っております。先ほどの川辺課長の御報告によりますと、約5年ぐらいでの雇い止めが2割ぐらいあるというふうな報告でした。我々弁護士もそうなのですが、資格をいくら持っていても、何年間か実務を積まないことには有効な戦力にはならない。弁護士でいうと、3年から5年はかかるだろうと。相談員の方たちも3年ぐらい現場で経験積まないと一人前にならないと思います。そのようにして経験積んできた相談員が5年で雇い止めということは、非常にロスが大きいということと、相談員の意欲をそいでしまうという問題があるかと思います。実際消費生活センターなどに聞いておりますと、センターの所長などは、現場で経験積んできた相談員を5年の雇い止めになった時点でもう一度採用したいので、選考採用という形で採用し直すといったことで任用を長期化するために苦労されているようであります。
 ですからもっと長期間の雇用が実現できるような制度が必要だろうということです。発言メモに「シンポ資料」と書いておりますのは、ことし4月17日に東京でやられたシンポの資料が前々回の配付資料であったのですが、その中のページ数を引用しております。我が国の法制度の中では、短時間勤務職員制度については、任期付きの制度があるのですが、これは例えば東京オリンピック誘致実行委員会という一時的な業務のためにそういう職員・非常勤職員の採用の制度が予定されているわけで、消費生活センター相談員のように、高いスキルや長い経験が必要となって求められる人たちに適した制度ではない。そういった意味では、相談員の雇用形態にふさわしい任用制度が予定されていないという法制度上の欠陥があるのではないかと思います。こういった問題があることに留意して、任期の定めのない短時間勤務職員制度といったものができないのかどうかといったことを専門の先生方の御意見も聞きながら考えたいと思います。
 それから、相談員の処遇・待遇の問題についてもついでに触れておきたいと思います。御承知のように、先ほどから御報告されている相談員の待遇は、大体年収は200~300万ぐらいだろうと思います。これを揶揄する言い方で、官製ワーキングプアというふうな言い方がされていることが多いわけで、もちろん消費生活センター相談員だけではなくて、地方自治体に勤務する非常勤職員の多くがそういう状態に置かれているわけですね。消費者とすれば、、生活するのが困難な給料の相談員ではなくて、それだけで生活やっていけるくらいの給料をもらって、相談員としての身分に誇りを持っている、そういう相談員の人たちに我々市民として相談したいということだろうと思います。そういった意味で待遇改善のための措置が必要だという点では、国会で数々議論されてきたところで、異存ありません。
 私はこの場合に、1つの問題だと思うのは、地方自治法の第3条でいう非常勤特別職という位置付けで、給料ではなく費用弁償という形になっていくわけですね。審議会の委員だったらば、そういう形でわかるのだけれども、1日8時間近く、週4日働く相談員というのは、まさにそれで生活しており、専務的な就労形態をとっているわけですから、これは労働者として位置付けられるわけですね。そうすると非常勤であったとしても、これは労働基準法の適用が法律上あるんですね。ところが非常勤の特別職だということで、あたかも労働基準法の適用がないかのような扱いがまかり通っていると。私はこれは労働基準法違反だというふうに思っております。
 そういう意味で、我々としては、まず現場の実態が労働基準法に違反して、時間外手当も払われていない、そういった潜脱がされている。それは地方の財政が厳しい中で、非常勤のほうに逃れていっている一種の潜脱の方法なのだといったことを明らかにしていく必要があるのではないかということで、この点でも地方に対する財政的支援を考えることによって待遇改善ができるのではないかと思っております。

○池本弁護士 池本です。資料6-1をご覧いただければと思います。今の国府委員の発言にも関連するのですが、そもそも消費生活相談員の処遇をなぜもっともっと高くする必要があるのか、あるいは高度の専門性というのはどういうものか、まず入口のことを1つ。それから提案の話に入りたいと思います。
 消費生活相談窓口で相談者から話を聞いて助言をするという、もちろんそれ自体、さまざまな消費者問題の特別法や最新の情報を入手して知識を習得しておく必要があるのですが、実はそれだけではない、2番目に記載した紛争解決する、あるいは被害を救済するという機能が大きいのではないかと思います。
 そうすると、具体的事案に法律を当てはめるとなると、相談者からきちんと法律の要件を満たす事実があるかどうかを聞き取らなければいけない。国民生活センターの研修でよく強調するところですが、消費者は何が重要かわからない、むしろ法に当てはまるかどうかを相談員の側がきちんと質問を的確にしなければいけない、ということが言われています。そして、3番目に事業者に対してはわかりやすい言葉で説得しなければいけない、単なる知識ではだめだということをよく強調されています。
 先ほどメール相談はどうかという議論がありましたが、メールはアクセスしやすさという意味では活用できるのですが、横浜の例にあったように、メールのやりとりでは大事なポイントが聞けない。あらわれたものだけで助言すると間違った回答になることもあり得るということではないかと思います。その意味では、広い意味での裁判外紛争解決機関を担うものという位置付けが必要ではないか。
 更にそういう個別事案の解決だけではない、そこから事業活動の中の違法行為を分析・発見して事業者規制につなげたり、あるいは地域の中で被害防止のための啓発活動をやったりという、そういう総合的な能力が消費生活相談員には必要です。
 専門家だから、それは資格を取れば、あとは自分でやればいいではないかという言い方をされることもままあるのですが、4ページをご覧ください。これは過去10年間の消費者問題関連法の制定・改正の主なものだけピックアップしたのですが、これだけ法律があるのです。相談員の資格を取るための勉強するときに、大体ここへ挙がっている法律は勉強することになっていますし、例えば特定商取引法は10年間で4回改正があります。したがって、資格を取るとき1回勉強しておけばいいのではなくて、毎年毎年法が変わり、被害状況が変わり、それを本当にフォローしていかなければいけないし、あっせん能力、聴取能力というのは実務の中で鍛えていかなければいけない。最近は国民生活センターも、単なる知識だけではなく、あっせん能力、交渉能力、聴取能力ということも意識してケーススタディー型の研修をやったり、工夫をしています。そういう消費者問題の紛争解決から防止へ向けた総合的な力を持つ専門職をどう確保して処遇していくかという観点で検討していただきたいと思います。
 そこで、先ほど国府委員からも紹介していただいたのですが、資料6-2をご覧ください。これが本年4月17日に東京でシンポジウムを開いたときの新しい専門職任用制度の提案というものであります。これまでは左上の一般の正規職員と右下の非常勤職員という両極端の制度の中でほとんどの人が非常勤職員であった。総務省から任期付きフルタイム職員、あるいは任期付き短時間勤務職員という制度が提案されていますが、いずれも任期がある、あるいはそもそもある一定期間の業務を前提としたものということで、必ずしも消費生活相談のように、恒常的な専門職にはなじまないのではないか。なおかつ特定分野の専門職として位置付けるとすると、一般職ともやはり違ってくるということで新しい提案として専門職の任用制度というものです。常勤型と非常勤型と2つ選択の余地はあっていいのではないかと思います。
 問題は任期の定めがない専門職が1か所へ配属されていると、その人の能力によって自治体間の格差が出てしまう、それをどうするのかという話が危惧論としては出てまいります。シンポジウムでもそういう議論をしました。そのあたりは、むしろ先ほど申し上げたような国民生活センターなりの本当の専門家としての力量を検証する定期的な研修なり、チェックというものをどう組み合わせていくかということではないかと思います。
 このような制度が提案できないかということについて、ぜひ御意見をいただきたいと思います。ただ、この専門調査会でこういう制度が望ましいという将来像だけ提案しても、これはすぐに実現できることではありません。総務省や地方公務員全体の議論になると思いますから、当面の対応策としては、レジュメの3ページの上のところにも書いておきましたが、数年前から非常勤職員の雇い止めを明確に運用せよという総務省の指示があって以来、今雇止めが増えている状況がありますし、消費者庁ができ、この専門調査会の動きがあるので、各自治体は今、様子見をしているところです。ですから将来的なあり方の問題とともに、当面仮に非常勤職員だとしても、雇い止めということは職務の性質上適切でないということをまずアピールしていただく必要があると考えます。
 以上です。

○片山座長 ありがとうございました。

○圓山委員 意見が2つあります。1つは、今の池本オブザーバーの提案に対する補足です。ちょうど資料6-2が出ていますので、その表をご覧ください。ここには一般職、正規職員とか、新提案の「専門職非常勤職員」と書かれていますけれども、これは地方公務員法の言葉で言いかえると、現行のところは事務系の一般職常勤職員だと思います。囲みの新提案のところは技術系の一般職常勤職員だと思います。新提案とされている専門職常勤職員、つまり技術系の一般職常勤職員というのは、土木職とか建築職とか農学職とか、既に地方自治体でたくさん採用されていますので、これは特に新しくはなく、制度をつくろうと思ったらできる話だと思います。
 事実、兵庫県では、昭和40年代から既に40年以上、この職種、つまり生活科学職の常勤職員がいます。現在8人在職しています。二十数人は定年退職で卒業されましたけれども、現在8人。しかし、財政難等で人数が減っていますので、このまま行くとろうそくの灯が消えるかもしれないという状況だと思います。
 私が兵庫県の消費生活センターで働いていましたときに、私自身は事務系でしたけれども、隣の机に、技術系の生活科学職の方がいました。技術系の生活科学職の採用試験を受けて採用され、20人ぐらいの人員ボリュームがあって、県立の生活科学センターを転勤しながら昇進をして、いずれは所長になられる方はなって定年退職されるという勤続30年選手、40年選手が多数おられます。経験の蓄積の面からいくと、大変いい制度だと思います。ただ、私が横で見ていますと、これを全国で展開なさるとすると、2つぐらい工夫が要ると思います。
 1つは、先ほどの御提案に反しますけれども、消費の専門職種で採用された場合には、10年ごとに1回、2~3年程度、例えば福祉に行くとか、広報に行くとか、他の行政分野に転勤をして、2~3年終われば、また消費生活センターに戻ってくるという形で、人事異動する必要があると思います。そうでないと、消費のみの縦割り意識が強まって、「タコつぼ化」することになりますので、他分野との人事交流は必要だと思います。
 2つ目は、人事管理上の人数の観点から、専門職種の採用単位としては、50人から60人は必要だと思います。兵庫県において減っていったのも20人程度では転勤なり何なりに支障や制約が出ますから、人のやり繰りがしにくくなったこともございます。各市町村で、専門職種は1人か2人、ということでしたら、いくらいい提案をしても人事課等から1人や2人雇ってどうするのだと言われることになると思います。
 すると、1つのモデルとしては、小・中学校の先生のように、市町村立の小・中学校の教師の人事権を県に持たせて、県が一括採用して、A市からB市、B市からC町へ市境や町境を越えて転勤をして、それで職場の活性化なり昇進がされています。このように、専門職種で採用すると人事異動権限は県が持って、自治体を超えて県から市へ、市から市へ転勤していくということが考えられます。もしそれが地方分権等と抵触するということでしたら、県庁と市役所が人事交流協定を結んで、例えばほぼ5年を目安に県から市へ、市から市へ、専門職種で転勤や人事交流をするということにして、職場を変わっていくと、当然昇進もできますし、定年まで勤めることができるということになると思います。
 ただ、最後の問題は、地方公務員の定数管理、総務省、それに抵触します。条例定数の中で消費者行政の人数を増やす話なので、現在だったら、ほかの分野から人を引きはがして、こっちで採ってもらうことにする。ここをどういうふうに総務省と検討して位置付けをしていくのかというところだと思います。それが1つ目の意見です。
 すみません、2つ目は簡単に申します。相談員の位置付けです。資料2-2の消費者委員会がおつくりになった図があります。「相談業務の概要について」という図は市町村を中心に作図なさったということはわかりました。この市町村のところを見ると、行政職員と相談員のところの矢印が「連携」となっています。現状は確かにこうなのですけれども、教科書的に言うとあり得ない話です。
 直営の消費生活センターでは相談員は非常勤であろうと公務員ですから、知事や市長の補助職員として相談業務をしている。センター所長等の管理職・行政職員の指揮命令と管理監督の下に勤務をしています。何も対等な立場で連携しているのではないです。相談業務は、知事や市長の名の下に助言なりあっせんの権限を行使する。これが「連携」と書かれているのは、行政職員である管理職が相談員を管理監督できなくなっている現状が、はしなくも現れています。業務の内容について、常勤の行政職員が把握できなくなって、相談員さんのほうがずっと詳しくて、中には相談員を「先生」と呼んで働いてもらっているセンターもあります。全然把握、グリップできてなくて、お任せ状態になっているという問題があります。相談員は公務員として役所の指揮系統の中で働いているのだという面の位置付けが必要だと思います。
 もう一つは、この「連携」が禁止されているセンターがあります。それは民間委託されているセンターです。民間委託のセンターは増えてきました。それは市役所が、ある団体に相談業務を委託して、その団体が雇用した相談員に、市の施設に来てもらって働いています。そこで行政職員が指揮命令や管理監督をすると、労働者派遣事業法の登録を取ってない団体が派遣した相談員が、役所の職員の指揮監督を受けて働くということになり、労働局が乗り込んできます。既に問題化している市が結構出てきています。なので、民間委託センターでは「連携」ではなくて、衝立を立てています。常勤職員の場所と相談員の机の間に衝立を立ててしゃべれないようにしてコンプライアンスやっているわけですね。
 そんなことで、どうして連携ができるのか。これは先ほどと同じ問題意識で言うと、役所の中にきちんと位置付ける必要があります。民間委託は廃止をして直営に戻すということを、この調査会は今後20年、30年の計を立てるところだと思いますので、御議論をいただければありがたいと思います。
 以上です。

○片山座長 まだおありかもしれませんが、時間もきましたので、そろそろ収束させたいと思いますが、私からちょっと気のついたことをコメントしておきますと、今、圓山委員からもお話がありましたが、先ほどの資料6-2の黒枠囲みのところの上は、これは先ほど話がありましたように、今でもあるんですね。似たようなものは何かと思いますと、多分小さな町村の図書館の司書とか、小さな町村の保健師、昔の保健婦さん、こうした職種は大体同じような状況に置かれているんですね。保健師ですから保健の仕事しかしない。職場は限られるわけです。小さな町村ですから転勤もない。そうすると、先ほど池本さんが懸念を示されたような、あまり向かない人を雇ったときにどうするのかという話は実は既にあるんですね。相談員だけではなくてあるんです。ですから、ここは相談員の位置付けとしては法的にはあり得るわけです。
 ただ、常勤化を自治体はすごく嫌がるんですね。どういうわけか、相談業務なんていうのは常勤化を嫌がるんですね。そこを少しえぐっていくという作業が必要なのでないか。なぜ非常勤でなければいけないのか。いろいろ理屈はあるんです。例えば変な理屈は、一般の職員ではできないからなどということを言う人もいる。でも、それはすごく倒錯した議論なんです。それだったらもっと給料を高くしたらいいのではないかとこう思うんですけど。それから、本人が望んでいるんだと言う人もいます。もちろん、そういう人もおられるかもしれないけれど、望んでない人も多い。そこを意識の問題等含めて、なぜ常勤化できないのかという事情はえぐっていったらいいと思うんです。
 その中で、1つは、例えば総務省、さっき圓山委員から総務省の定数管理の話が出ました。これを理屈に言うところも多いんです。定数がもう増やせないからとか、減らさなければいけないからと言うんですけれども、それはそれ自身が実は間違っています。さっき斎藤委員の御説明がありましたけれども、定数管理なんていうのはまさに自治事務でありまして、これに対して総務省がやいや言うというのは根拠がないわけです。法的に何の根拠もないんですね。単に通達で、向こう5年間で5%減らせというようなことを言ってきて、それを自治体が真に受けているだけなんです。無効な通達で、それを真に受けているという、こういう奇怪な現象が今あるわけです。
 ところが最近の事情を言いますと、総務省のほうも実はこれをもてあましていまして、違法な通達だというのは明らかだし、これ以上続けられないなという認識はある。そこで、あの通達のことを早く自治体は忘れてくれたらいいのになと、実は思っているんですよ。こんな雇用情勢で、何とかの一つ覚えみたいに、減らせ減らせだけでは世間の物笑いになるというのはわかっているものですから、実は早く無視してくれないかなという気持ちがあるんですよ。「だったらそう言えばいいじゃないか」と言ったら、「いやあ、今さら言えませんし」というようなことです。これはここだけの話ですけれども、そういうことなので、定数管理の話は総務省がどうだこうだというのは、自治体からそういう発言が出たとしても、それは全く根拠のない話だし、時代おくれのものだと、そういうふうに認識をしておくべきだろうと思います。
 それから、非常勤というのは、経緯から言うと、実は自治体の中では出だしのところは、ごくわずかの例外的なケースとして存在し得たポジションなんです。本来は昔でいう、ちょっと表現が悪いのですが、昔、小使いさんてありましたよね。そこまで含めて全部常勤職員だったんですよ。非常勤というのはそれになじまないようなごく例外的な場合があり得るというので位置付けがあったんですね。したがって、仕事もそんなに難しい仕事ではなくて、勤務形態だけを類型化したわけです。そこにどんどんいろんなものが入り込んできて、実は今非常勤というのはものすごく多様性に富んでいまして、仕事の面ではひと括りにできないんですね。経験の差とか年齢の差とか、仕事の繁閑とか難易度とか、資格の有無とか、そういうものを全く無視して非常勤という呼称で1つの受け皿をつくっているわけです。何が共通点かというと、勤務時間がフルタイムではないというだけなので、全く知的な整理ではないんですね。仕事はまるっきり違うわけです。
 ところが自治体のほうは、往々にして給与単価・報酬単価決めるときに非常勤は月額いくら、13万5,000円とか決めちゃうものですから、どれもこれも全部それに入ってしまうということになってしまう。それで例えば消費生活センターの相談員の単価を上げたらどうですかという話になると、いや、みんな上げなければいけないからお金がかかって大変なんですと忌避反応を示す。みんなというのは受付の案内をしている人とか、お茶だしの人も含めて、えっ、みんなこんな単価にするんですかと、すぐそういう固定観念にとらわれるんですね。もっと細分化をして、難易度の高い仕事は高くする。そうでないものは低くてもいいとか、経験の有無によって変えるとか、そういう操作をすればいいのですが、そういうきめ細かいことはしたがらない。そこをちょっと穴をあけて開いていくということは必要だろうと思いますね。実際現にやっているんです。公立病院の医者も非常勤の医者がいるんですね。それなんかはすごく単価高くしているわけです。だって来ないですから、13万5,000円では。
 だから、ちゃんと実は便宜上やっているんですけれども、医者とか以外は全部その他で括っているもので、そこを分けましょうねということを鳥取県なんかはやったんですけど、そういうことを注意喚起して普及していくということは必要なのではないかと思いました。そうすれば、現状でも処遇改善は予算措置だけでできるんです。もちろん条例を変えれば一番いいですけど、それをしなくても、予算だけでも予算単価というのが決めますから、それでもある程度解決できるのではないかという気がします。
 それでは、もう時間も来ましたので、今日のところはこれで終わりたいと思います。いろんな御議論をいただきまして、今日論点の中に、あらかじめ事務局で用意していただいた資料4-1の論点にも少し厚みが出てきたのではないかと思います。これは、皮肉ではないですよ。豊富な意見が出てきたのでよかったなと思います。これをまたまとめておいてください。

○原事務局長 わかりました。

≪4.閉会≫

○片山座長 それでは、最後に事務局のほうから、次回の日程について。

○原事務局長 今日は充実した議論、ありがとうございました。今日取り上げた課題は、また引き続きか、少し改めてになるかもしれませんけれども、議論は深めていきたいと思っております。
 次回は、8月30日の15時からということで、論点としては、次の情報のネットワークについてということで審議をしていただければと思っております。
 事務局からは以上です。

○矢野委員 進め方について、いくつか要望あるのですが、今日はたくさんは言わないで、今回、資料4で論点が事務局から示されたことでかなり具体的な論議を進めるには役立ったかなと思っておりますが、これが1週間前ではなくて、できれば終わって1週間後ぐらいにお願いしたいです。今日のことを踏まえて、次の会のために恐らく皆さんいろいろ準備をされると思うんですけど、今回みたいに1週間前に大量にメールが届く状況でなく、それから、それぞれが更に論点を深めるためには一定の期間も必要でしょうし、本来なら1つの論点に2回分ぐらいはかけるべきではないかとは思っております。そういったことも含めて今後のスケジュールを少し是正をしていただきたいのと同時に、論点に関しては早めに提供をぜひお願いしたいと思います。

○片山座長 できるだけ。なかなか事務局のほうもいろいろ諸事情これありでしょうが、できるだけ。

○原事務局長 工夫したいと思います。

○片山座長 それでは、今日はこれで終わりたいと思います。お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)