第6回 消費者安全専門調査会 議事録

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日時

2011年2月1日(火)14:00~16:00

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
宇賀座長、中川座長代理、赤松委員、阿南委員、片山委員、齋藤委員、佐竹委員、田澤委員、鶴岡委員、
中尾委員、中嶋委員、中村(晶)委員、中村(均)委員、西村委員、橋本委員、松岡委員、横矢委員
【消費者委員会委員】
中村(雅)委員長代理、佐野委員
【説明者】
NITE 製品安全センター 事故リスク分析室 酒井主査
消費者庁 坂田消費者安全課長
【事務局】
消費者委員会 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.前回までの議論の整理
3.R-Map分析手法を用いた製品事故のリスクアセスメントについて
4.事故情報の分析について(第5回から引き続き議論)
5.その他
6.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:62KB)
【資料1】 事故情報の分析に関する前回までの議論の整理 (PDF形式:108KB)
【資料2】 R-Map分析手法を用いた製品事故のリスクアセスメントについて (PDF形式:526KB)
【参考資料1】 生命・身体被害に係る消費者事故情報の収集、分析、再発防止について (PDF形式:104KB)
【参考資料2】 身の回りの製品などによる事故対策の強化 (PDF形式:179KB)
【参考資料3】 事故情報分析タスクフォースについて (PDF形式:554KB)
【参考資料4】 遊具、本棚に起因する重大事故等の情報提供について (PDF形式:624KB)
【参考資料5】 事故調査機関の在り方に関する検討会について (PDF形式:107KB)
【参考資料6】 「自動車リコール制度に関する建議」に対する国土交通省の実施状況について(国土交通省提出資料:第44回消費者委員会資料より抜粋) (PDF形式:151KB)
【参考資料7】 「自動車リコール制度に関する建議」についての実施状況の報告について(消費者庁提出資料:第44回消費者委員会資料より抜粋) (PDF形式:107KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、ちょっと遅れておられる委員もいらっしゃいますけれども、時間になりましたので、始めさせていただきたいと思います。お忙しいところを皆様お集まりいただき、ありがとうございます。
 ただいまから「消費者委員会消費者安全専門調査会」の第6回の会合を開催いたします。本日は、専門委員の杉山委員、吉岡委員が御欠席となっております。
 会議の前に、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。議事次第の裏のページに配付資料の一覧を載せております。
 資料1「事故情報の分析に関する前回までの議論の整理」。
 資料2「R-Map分析手法を用いた製品事故のリスクアセスメントについて」に関わる資料になります。
 参考資料として、参考資料1「生命・身体被害に係る消費者事故調査の収集、分析、再発防止について」ということで、データがわかる図をお付けしております。
 その後、参考資料2、参考資料3、参考資料4、参考資料5といたしまして、これは消費者庁から審議のために御提示をいただいている資料になります。
 参考資料6、参考資料7は「自動車リコール制度に関する建議」を消費者委員会として昨年国土交通省と消費者庁に行っておりまして、それについては10月13日の第4回の消費者安全専門調査会において御報告をさせていただきましたけれども、建議に対する国土交通省、消費者庁からの御回答が年末にございましたので、回答状況について、参考資料6、7としてお付けしております。
 審議の前に、このたび消費者庁では前任の野村消費者安全課長に代わり、坂田消費者安全課長が着任されておりますので、御紹介させていただきます。

○坂田消費者安全課長 どうぞよろしくお願い申し上げます。

○原事務局長 それでは、宇賀座長、議事進行をどうぞよろしくお願いいたします。

○宇賀座長 本日は、消費者委員会の事務局から原事務局長のほか、齋藤審議官、消費者庁からも坂田消費者安全課長に御出席いただいております。
 なお、本日の会議につきましては、公開で行います。議事録についても後日公開することといたします。
 それでは、議事次第の「2.前回までの議論の整理」について、資料1「事故情報の分析に関する前回までの議論の整理」に基づいて、事務局より御説明をいただきたいと思います。

≪2.前回までの議論の整理≫

○齋藤審議官 事務局の齋藤でございます。お手元の資料1という横長の資料をごらんいただきたいと思います。「事故情報の分析に関する前回までの議論の整理」と題した資料でございます。黒字で書いておりますところは第1回~第4回までの意見でございます。表の下の方に注が付いております。第5回の意見は青字ということで、本日は第5回の意見について御紹介したいと思います。
 1ページ目、2ページ目はずっと黒字で書いておりまして、分析体制に関するものということで整理したものでございます。
 3ページ目に入りまして、分析内容、対象に関するものというところで、上から2つ目のポツのところ、青字で入っております。ここは前回の専門調査会で委員の方から御指摘がありまして修正を施したものでございます。安全対策をとらないのに警告表示でここは危険、取扱説明書でこう使ってはだめと書いて逃げてはいけないと規格で決めてある。つまり、対応がとれるものはとった上で、とれないものは警告表示を行うということであると直しております。
 4ページ目、5ページがずっと青字で書いてございまして、この部分は前回の専門調査会で中尾委員からのプレゼンテーションを受けまして、相当活発な御議論がございましたので、それを整理したものでございます。「言語処理による情報検索(連想検索)について」というタイトルでまとめておりますが、最初の2つのポツで書いておりますのは、連想検索の特徴といったようなことが書いてございます。
 次の固まりが3つまとめてございますけれども、こういった検索を消費者庁あるいは政府としてどういうふうに使うのかということでの御意見、御指摘が整理されております。
 その次の5つほどの固まりにまとめておりますけれども、ここは連想検索をするデータベースに、事故例だけではなくてどういう対策をしたかということが書いてあるといろいろ参考になるという御指摘がありましたけれども、他方で、そういう対策を出すとなると、情報を企業が出すのかという点でネックがあるのではないかという御指摘もございました。
 その次の固まりでございますけれども、この辺りでは実際に連想検索をどういうふうに使っていくかという観点からのいろいろな御発言があったものを整理したところでございます。
 最後、5ページ目の7つほどポツでまとめたものがございますが、ここは実際どういう人が連想検索による検索システムというものを使うのかということを想定しながらのいろいろな御意見、御発言があったところでございます。一つひとつは御紹介いたしませんけれども、大体そんなような御議論があったかと存じます。
 以上でございます。

○宇賀座長 ありがとうございました。資料1につきましては、もし御自身の発言の趣旨が必ずしも反映されていないということがございましたら、事務局の方におっしゃっていただいて、次回までに加筆修正をしたいと思います。
 本日は、前回議論する時間がありませんでした事故情報の分析について議論を行う場とさせていただきます。なお、本日はNITEの方より「R-Map分析手法を用いた製品事故のリスクアセスメントについて」を御説明いただく関係で、前回同様、座席の配置を変えておりますので、恐れ入りますが、お名前をおっしゃってから御発言いただければありがたく思います。
 それでは、今の御説明につきまして、委員の皆様の趣旨がもし十分反映されていないという点がありましたらお聞きしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。すぐに見あたらないようでしたら、また後日、事務局の方にお伝えいただければと思いますが、今は、特によろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、議事次第の3、NITEの製品安全センターの事故リスク情報分析室の酒井健一様から「R-Map分析手法を用いた製品事故のリスクアセスメントについて」を御説明いただいて、それを踏まえて議論を行いたいと思います。
 NITEでは年間5,000件程度の製品事故情報を受け付けまして、全件分析調査をしております。そこで、調査分析機器の効率化の観点から、限られた職員や機器のリソースを活用するために、このリスクマップ分析手法によって各案件をリスクの高いものから低いものにクラス分けをして、リスクの高いものを優先して分析したり、あるいはすぐに調査の済むリスクの低いものを優先する等、製品事故情報を整理する過程でこの手法を活用されています。このR-Map分析手法を情報解析の1つの手法として参考にしていただければと思います。
 それでは、NITEの製品安全センターの事故リスク情報分析室の酒井健一様より御説明をお願いします。

≪3.R-Map分析手法を用いた製品事故のリスクアセスメントについて≫

○酒井主査 ただいま御紹介いただきました、NITE製品安全センター事故リスク情報分析室の酒井と申します。今日はよろしくお願いします。
 今、御説明があったんですけれども、私どもの方は事故情報というものを毎日受け付けまして、それのリスクというものを計算しまして評価する。いわゆるリスクアセスメントというものを行っておりますが、それの中核的といいますか、中心の業務としてなっているのが事故リスク情報分析室というところでございます。
 今日はリスクマップ、R-Mapと呼ばせていただきますけれども、それについて分析手法としてどのように活用していくのかということを簡単ではありますけれども、なるべく具体例も交えながら御説明したいと思います。
(PP)
 それでは、まず2ページ目をごらんください。R-Mapの概要ということで、次の4点を挙げさせていただきました。R-Mapにつきましては、マトリックス手法と呼ばれている手法を採用しておりまして、縦6、横5列のマトリックスでリスクを表現してございます。
 この手法は財団法人の日科技連さんの方で開発された手法でして、NITEにおいては2008年4月から導入しまして、昨日まで大体1万1,000件ほどの案件についてリスクをアセスメントして計算しております。
 R-Mapの特徴につきましては、後ほどまた御説明しますが、最大の特徴としましてはやはりリスクの可視化といいますか、見える化の実現ということが第1に挙げられるかと思います。
 簡単に申し上げますと、リスクの大きさと低減効果が目に見えて、視覚的につかみやすいということでございまして、例えば原因が不明であっても再発防止の手がしやすくて、ハザードですとかリスクの低減効果が迅速かつ的確に行われたかどうかということがすぐにわかるというのが1つの点かと思います。
(PP)
 3ページ目のスライドでございますが、R-Mapの基礎マトリックスということで挙げさせていただきました。縦軸が発生頻度、横軸が危害の程度ということで、こちらについては領域ごとに色分けをして判断しております。
 ピンク色、赤色の部分がA領域、リコール領域ということです。黄色から白の部分が様子見といいますか、ハザードは高いんですけれども、発生頻度はそれほどでもないということで、リコールには至らないけれども、様子を見ようという領域です。
 水色の部分がC領域と呼んでいまして、特に問題ない、安全領域というふうに呼んでございます。
 発生頻度につきましては、先ほど6段階と申し上げたんですけれども、一番下の0レベルと言われているものが10-8、1億分の1の確率で事故が発生したというところを安全領域と考えておりまして、ここまでリスクが下がれば問題ないと考えております。
 危害の程度につきましては、人的被害と火災について分けて設定しておりまして、これについては後ほど説明します。
(PP)
 発生頻度の御説明ですが、4ページ目のスライドをごらんください。先ほど3ページ目のリスクマトリックスの方で縦軸が発生頻度と申し上げたんですが、発生確率とはせずに発生頻度というふうに記載させていただきました。これについては数値で扱うことよりも、頻度という表現にした方が実態はわかりやすいということで、確率ではなくて発生頻度という表現にしております。
 計算方法ですけれども、事故件数を累積稼働台数で割ったものというところを計算で出します。累積稼働台数につきましては、受付情報等から事業者さんの方から販売台数ですとか販売期間、そういったものを入手しまして推定をしています。
(PP)
 5ページ目ですが、発生頻度につきましては、今のところ10-8を基準に発生頻度の0レベルを設定しております。この5ページの下にも書いていますけれども、0レベルは製品によって異なるということですが、一般の消費生活用製品につきましては今のところ10-8で採用しておりますが、ほかの製品については10-6ですとか10-7という形で、やや甘めに評価するということも考えております。
(PP)
 6ページ目ですが、発生頻度の考え方をまとめたスライドでございまして、R-Mapにおきましては発生頻度を数値化するということで、0レベルから1つずつレベルが上がると10倍ずつ発生確率が上がっていくということで、数値上は10のマイナス乗ずつ減少するということになります。
 言い換えますと、10-8という意味は、年間100万台流通している製品につきましては、100年に1回死亡事故が発生しない限りは安全とみなすところに落ち着きまして、それはどこを意味するかというと、見にくいですけれども、マトリックスで言うと0と4の交わるところの右下のセルのところが安全領域と考えております。
(PP)
 7ページ目につきましては、危害の程度というところで、人的危害と火災について2本立てと先ほど申し上げたんですが、これの分類をお示しした表でございます。
 人的危害の場合は無傷から死亡まで、火災の場合は発熱程度から全焼に至るまでという形で、段階を追って5段階の分類をしてございます。
 重大製品事故につきましては、火災認定がされればNITEの方にも情報が送られてくるんですけれども、消防の火災認定とR-Mapの分析上の危害の程度III(火災:周辺焼損)は定義が異なっているということを御承知おきいただきたいと思います。
 具体的には消防さんの方の判定で拡大すると判断されれば、発煙程度ですとかこげ程度でも火災認定される場合があるやに聞いておりますけれども、NITEにおいては事実において周囲が焼損するというところまでいかないと火災とはとっておりません。ですので、重大事故であっても必ずしも被害の程度IIIとしているわけではありません。
(PP)
 8ページ目以降は個別の事例ごとにR-Mapを御説明させていただきます。まず高リスクの事故としまして、生ごみ処理機の発火、火災事故について御説明させていただきます。
 生ごみ処理機というのは、御存じかと思いますけれども、家庭で出る生ごみはいろんな処理方法がありますけれども、それを分解して処理するという製品なんですけれども、その際に生ごみ以外のものを消費者の方がその製品に投入しまして、その処理槽を傷つけて中から漏れ出た内容物が電気系統に悪さをして火災に至るという事例です。
 最初は3つほどプロットがしてございますけれども、右端の単なる製品が火を出したという事故が1件だけだったんですが、2件目の事故が周辺まで焼くという火災認定の事故が続けて起こりました。このときに事業者の方は1回目のリコールをして部品交換の対応をされたんですが、残念ながら対策品でも今度は置いてあった倉庫が全焼するという火災が起きてしまいましたので、2回目のリコールを行って、最終的には自社の製品ではなしに他社の製品と交換という非常に大きなリコールだったという事例です。
 これを見ておわかりかと思いますけれども、R-Map上でプロットされているリスクが左から右に、危害の程度が弱いものから強いものに平行移動しているというのがおわかりいただけるかと思います。
 ですので、なかなか難しいことだと思いますけれども、最初の1件の事故が起きた時点適切な対応が取れていれば、後発の拡大被害にいたるような事故が防げた可能性があるというのが示唆されますし、消費者の方が生ごみ以外のもの、金属片ですとか、貝殻とかかたいものを投入するということも誤使用不注意のたぐいということも言えるかと思うんですけれども、これについても想定可能な誤使用ではないかということが示唆されるということがわかります。
(PP)
 R-Mapの方は全件先ほど御紹介がありましたように、リスク室の方で分析はしているんですが、必ずしもA領域になったからといってリコールしているわけでもありませんし、量済みのB3領域、B2領域でもまた何もしないわけではありません。その事例として被害者の方が、いわゆる高齢者の方、お子さんが被害者の場合に、バイアスをかけて、重みづけをしてリスクを計算することをやっております。
 例としてそこに挙げさせていただいた歩行補助車につきましては、当初は通院加療程度のパイプが折れてけがをされて病院に通われたという事故でB3程度の事故なんですが、やはり高齢者の方が専用に使う製品であるということで、B3ではあっても実質的にはリコール相当事故であろうということでNITEとしましては経産省にリコールをするように提案いたしております。最終的にはこの製品もリコールになりました。
(PP)
 10ページ目のまつげカーラーですが、皆様よく御存じかと思いますけれども、いわゆるハインリッヒ則に従って事故というものが発生するというのはよく知られていることなんですけれども、実際にR-Map上でもそれを具現化するということが、たまにではありますけれども、見られます。
 その例として、昨年リコールされた事例ですが、まつげカーラーの事故というのがございます。全部で100件ほど起こっているんですが、いわゆるヒヤリハットの事故につきましては84件で、軽傷、顔にけがを負われたという事故が10件程度。重傷の事故、これはこの製品にも由来するかと思うんですが、女性の方で顔をけがされたということでかなり治療に時間がかかったということで重傷になったという案件が1件ございますので、それをプロットしますとこのような直線状にリスクが現れるということが目に見てわかります。
 この直線を延長しますと、死亡事故といいますか、例えば両目を失明するような重篤な事故が起きる可能性が予想されるんですけれども、実際にまつげカーラーというものは自発的に使用者の方が使うような製品ですので、それが両目を突き刺すというような失明まで至るような事故に至るというのはリスク室の方ではそこまでは至らないだろうと考えておりまして、リコールそのものは不要ではないかとは考えていたんですけれども、この事業者の方は最終的にはリコールをされたという事例です。今のところ重篤な両目失明とかそういう事故は起きておりません。
(PP)
 エコブームというわけではないんですけれども、ガスコンロに代わってIH調理器の普及というのも近年目覚ましいですが、11ページにそういったものでも事故が起きているということで、リスクを計算した事例です。
 例として誤使用、不注意の事例で挙げさせていただいたんですが、燃焼器具関係は誤使用、不注意という事故が結構多くございまして、残念ながらIH調理器、安全な製品と思われがちですけれども、事故は多くございます。
 今回お示ししたのは、ヒーターの上にカセットコンロを置く。初期のIH調理機は土鍋ですとかそういったものは使えないというのがありましたので、カセットコンロを併用して使うという御家庭も多かったんですけれども、その流れで料理をする際に置く場所がないのでヒーターの上に置いて誤ってスイッチを入れてしまったということで、ラジエントヒータの上でカセットコンロが熱されて破裂したという爆発火災の事例です。
 リスクそのものですとA領域ということでリコールとなってしまうんですが、今、申し上げたように誤使用、不注意ということでB3領域というところまでのリスクと考えておりまして、リコールまでには至らないと思っております。
 余談ですけれども、年間数千件分析しておりますが、誤使用、不注意の事故というのは危害の程度IIあるいはIIIのB3領域のところにプロットしますとたくさん出てくるということが経験上わかっております。ですので、今回のIH調理器についてもこの辺りに出てきたということで、リスクとしては高いけれども、実際にはリコールまでは至らないと考えております。ただし、これも多発してくれば何らかの対策が必要ということは言えるかと思います。
(PP)
 先ほどの生ごみ処理機の方はリスクが高くて後発の事故も続いたわけなんですけれども、1件しか事故が起きていない場合にどう対応するのかということで考えた事例として、12ページの照明器具の事例がございます。
 1件だけですと製品発火のリスクということでB3相当なので様子見領域なんですけれども、これが10分の1の確率で火災に至るとリスク室の方は、いわゆる最悪シナリオの推定ではありませんけれども、仮定しておりまして、その場合にこの製品自体にあらかじめ備わっている安全装置ですとか、防御装置があるかないかというのを検討します。
 今回の照明器具の場合は、金属で電源回路基板がおおわれて不燃化がされていたということと、電流ヒューズが回路上にあって遮断されていたということで、拡大しないであろうということでB3からB2までリスクを下げて様子見が妥当と判断した事例です。
(PP)
 R-Mapだけで判断するということではなしに、いろんな手法を組み合わせて使うこともやっておりまして、余り事例は多くないんですけれども、FTAの手法も組み合わせて活用した事例を13ページに挙げさせていただきました。
 これは電気洗濯乾燥機の事故でして、リコールは最終的に3回ほど行われております。原因も2つありまして、ヒーター回路の接続端子とリード線のカシメ作業の不備とヒーターリード線の屈曲疲労等というのが2点なんですけれども、実は最初のヒーター接続端子のカシメ作業部分で社告対応の際に現場の作業員の方がミスをしまして、それの再社告というのもありましたので、合計3回社告をしたという訳ありの案件です。
 これについては、リスクが21件ということでそれぞれいろんな事故があるんですけれども、最終的には全焼の事故が5件ありますので、A1相当のリスクがあろうということで、リコールするのは妥当であるという判断になっています。
 ただし、事業者の方で対応している対策が妥当かどうかという検証もする必要がありましたので、FTAの手法を活用しました。
(PP)
 FTAの手法というのは、事故の内容から事故発生の要因を抽出して、効果的な対策を考えるということで、14ページに載せてございますけれども、今回の場合は洗濯機で火災が発生したということで、最初に左端のところに洗濯機の火災という事象を置きまして、原因を抽出してそれの確率を計算して効果的な手法、対策を検討したという事例です。
 洗濯機の火災につきましては、見にくいですけれども、一番上に衣類の自然発火。油脂が付いてそれが発熱して火災になるという事故と、本体から電気系統の異常で火災になるという事例。あとコンセント部分から発火するという3つが主な発火の原因であろうと考えまして、それぞれ一番効果的な対策として挙がってきましたのが、接続部を不燃化して難燃樹脂等を採用するということが対策として挙がってきました。
 そうしますと、当初は対策前は10-5、10万分の1程度の事故が発生すると推定されたんですけれども、1,000分の1までリスクが低減されまして、10-8まで、100万分の1までリスクが下がるというふうにFTAから推定されました。
(PP)
 これをR-Map上で確認したのが15ページのマップでして、発火ということで危害の程度IIIのところで10-5はA領域のところにプロットされるんですが、事業者が提案してきた難燃樹脂あるいは不燃材、難燃性の絶縁キャップ、この3段階のリスクの低減措置を施しますと、C領域まで下がるということで、今のところこの対策で問題ないであろうと判断したという事例です。
(PP)
 以上がR-Mapの活用事例なんですが、参考までに16ページにNITEの方で実施しております事故情報解析フローを簡単に映させていただきました。これについて説明は省略させていただきます。
 以上、駆け足で恐縮ですが、これで説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○宇賀座長 酒井様、どうもありがとうございました。それでは、御質問、御意見のある方は御発言をお願いします。
 中川委員、どうぞ。

○中川座長代理 どうもありがとうございました。質問は2~3点あるんですけれども、1つはR-Mapをつくる事故類型といいますか、例えば8ページであれば生ごみ処理機から発火したという事故についてR-Mapをつくろうというふうに最初に事故類型を決めと思うんですけれども、それはどのようにして決めるのか。分析対象を決めるための手法はあるのかというのが1つです。
 もう一つは、R-Mapをつくる元データというのはNITEがお持ちのデータだと思いますので、恐らく製品安全法に基づいてもともと企業から来たものなので、かなりきちっとしたといいますか、様式にのっとって過不足なく情報が書いてあるものと思うんですけれども、この同じ手法を,仮に消費者庁が持っている行政全体から集めた情報に適用できるものでしょうか。それは精粗さまざまな情報が混在一体となっていると思うんですが、そういうデータ状態ではこれは使いにくいのか、それとも、それでもある程度の件数があればリスクがわかるものなのかという点。
 この2つについてお願いします。

○酒井主査 最初の御質問なんですけれども、私どもの方が事故情報として受け付けたものは原則的にR-Mapの方は全部やることにしております。誤使用、不注意であっても、そうでなくても、わからなくても、とりあえずリスクとしてまずプロットをしてみてそこから考えるというやり方を採用しております。
 ですので、先ほど9ページ目でバイアスというところで御説明しましたが、機械的にA領域だからリコールというわけでもないですし、逆に様子見だから何もしなくていいというわけでもありませんので、その辺りルーチンといいますか、そういう手法として確立しているところも完全ではありませんので、試行錯誤しながらやっているというのが実態だと御理解いただきたいと思います。
 2点目の話なんですけれども、情報の精度というところなんですが、毎年5,000件程度情報がまいりまして、そのうちの8割、9割ぐらいはR-Mapが書けるんですけれども、残りの1割はマップが引けない状況です。
 また、1件だけでしたらいいんですけれども、何件も事故が来た場合ですとか、今、御指摘がございましたように、事業者さんあるいは輸入業者さん等々からいろんな情報がまいりまして、さまざまな数値が出てまいりますし、事故が発生したそのときの台数ですとか期間というものもありますので、精度については真の値といいますか、そういうものを突き詰めた場合には確かに疑問はあるんですけれども、このR-Mapをプロットしたといいますか、使ってみたところではよほど大きな違いがない限りは大体同じようなところに落ち着くのかなというのは、感覚的な話でありますけれども、実感はしております。ですので、リコール案件といいますか、そういったものを見逃すというのはないのかなというのを直感的には思っているんですけれども、それが定量的にどうなのかと言われると、まだ検討の余地があるかなと考えております。

○宇賀座長 ほかにいかがでしょうか。
 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 ありがとうございます。2つあります。6ページ目のところですが、科学工業、医療機器、自動車、家電、重要保安部品で10-8~10-5まで違うレベルで評価、基準を設けているわけですけれども、これはどういう考え方でこういうことをやっているのかということ。
 第2点目は、ここに挙がるような数量がある程度出ている製品だと、このマップの中のどこに位置するというのが多分わかると思うのですけれども、全く新しい製品についてどのようなプロットの仕方をするのかということを教えていただければと思います。

○酒井主査 最初の御質問、6ページの0レベルの話でございますけれども、この決め方というのは、日科技連さんの方で決められたと聞いておりますが、基になっているのは過去のリコール事例から判断してございます。
 その中でも特に一番リコールがされていて効果がわかっているのが自動車ということで、そういったものからまず10-7というのを出して、一般の家電製品ですというものについては10-8ということで厳しめの基準を採用して、実際にNITEの方では約3年にわたって10-8でやってみて、先ほど申し上げたように見逃すというところはないのかなと思っておりますので、その辺りは説明的には弱いかと思いますけれども、そういうところで御理解いただければと思います。
 もう一つの方は、全く新規の製品の場合にどのように扱うかというところなんですけれども、10-8というのはかなり厳しい0レベルといいますか、基準でございますので、これを使っている限りは先ほど申し上げたように見逃すということはないのかなと思っています。

○宇賀座長 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 まず、これは事故調査の優先度、順番を判断する際に役立つ面があるなという感じがしましたけれども、その優先度を決める考え方の1つとして、社会的影響の大きさという非常に抽象的なんですけれども、これをはかる判断として、定性的な表現の部分で被害拡大範囲の広さという考え方は盛り込めるかどうかということと、被害の定量的な表現に関してだと思いますけれども、発生頻度の早さ、速度はどのくらいの期間でというところで、示されているのではベースが年ですけれども、これを例えば月に早められるかどうか。なぜかといいますと、部品の共通化などから欠陥による事故が発生した場合にかなり早い速度で事故が多発する可能性があり得るのではないか。電気乾燥機の場合は21件という数字が出ていますけれども、年をベースにした場合に、このリスク評価で早くするためには年ではなくて月にした方がいいのかなという気もしないでもないんですけれどもこの辺りはいかがでしょうか。

○酒井主査 順番は前後しますけれども、発生頻度のところで年単位でやっているというのは、特に私どもの行政といいますか、そういうところの考えからやっているところでありまして、月単位にやるというのは勿論やぶさかではございませんので、計算しますとこれの10倍ぐらいになるのかなと。1つ上に上がるぐらいで大体外れはないかなと考えています。
 あと、社会のリスクといったものについては、なかなかこのR-Map上では判断が難しいことであります。例えばハザードといったものは余り大したことはないんだけれども、世の中でたくさん出回っている製品についてどう考えるかという話になってきますと難しいような側面もありますので、なかなか悩ましいところでありますけれども、今後の課題なのかなと考えています。
 例えば13ページの電気洗濯機ですと、これも年単位でやっているとB3ぐらいのところで、最終的には全焼の事故が5件ありましたのでA領域に飛び込んでいるんですけれども、それ以外はそんなにどうかなと思われるようなリスクではあるんですけれども、これは型式といいますか、残存台数ですとかそういったものを細かく考慮していくとA領域に入ってくるというのがわかってまいりましたので、リコールするというのはB3であっても妥当かなと当初から考えておりました。
 あとはそれ以外のもっと下の方のリスクで件数が多発しているものですとか、1件しか発生していないんだけれども、A領域に飛び込んでいるものとか、台数が少なくて販売期間が短いのでリスクが見かけ上高くなっているのはどう扱うかとか、そういったものは課題かなと考えております。
 後者の方につきましては、短い期間で販売台数は数千件程度で1件重大事故が起きたというのは確かに1件だからいいではないかという見方もあるんですけれども、それぐらいの少ない台数でもそういった事故が起きるのは何がしかの欠陥が潜んでいると考えるとリスク室の方では判断しております。
 以上です。

○宇賀座長 松岡委員、どうぞ。

○松岡委員 6ページの先ほど議論ありましたマイナス8乗とかマイナス5乗に関連して、1つは、この例では年間100万台流通している場合に100年に1回ということで、これがもし年間1,000万台流通している場合には10回になりますが、その場合でもマイナス8乗を基準として考えるのかどうかということです。
 あと、マイナス8乗等の値は日科技連さんからということで、根拠は余りわからないということで仕方ないとは思うんですが、この数値自体はマイナス8乗はかなり低い値とは思うんですが、いわゆる安全目標と関連している数値だと思うんです。これは決めている根拠がはっきりしないといけないことではないかと。本質的には結局消費者との間の合意がないことには一方的に決めてこれでいいんだというわけにはなかなかいかない問題ではないかなと常々考えていますが、いかがでしょうか。
 もう一つ、FTAについての質問です。14ページで技術的な細かいことになって申し訳ないんですが、上の方に油が付着した洗濯物という脇に線が入ってきています。これが取説・注意ラベルで注意喚起ということですが、この線の入り方は阻害という考えで入っているんですか。
 その上の黄色いORのマークですが、これは乾燥温度上昇と付着した洗濯物とのANDではないかなと思うんですが、同様のことで下の方のコンセントコードから発火というところに脇から線が入っていますが、これは耐トラッキングプラグの使用で、これが阻害要因でもって入ってきているのではないかなと考えますが、細かいことで申し訳ございません。
 以上です。

○酒井主査 ありがとうございます。まず最初の10-8の根拠はというところなんですが、私の方も検証までは申し訳ないですがしてはおりませんで、あくまでツールとして使うというところでこの値を採用しておりまして、先ほども申し上げたんですけれども、使ってみてそんなに問題のない結果が得られておりますのでいいのかなと思っております。
 この辺りは先ほどもちょろっと申し上げたんですが、社会が決めるリスクといいますか、逆に10-8では不十分であるということであれば9乗とか10乗とかどんどん厳しくしていけばいいとは思うんですけれども、そうするとどんどん製造する側にとっては非常に技術的に現実論として困難な場合が生じてくる可能性が高くなってきますし、その辺りはどこまで、今日は御説明しなかったんですけれども、許容されるリスクとして受け入れるところはどこまでかという話になってきますので、当然、現時点では10-8という記載をしておりますけれども、これが何年かしますと厳しくなったりあるいは甘くなったりする可能性は当然ありますので、それは否定するわけでは勿論ありませんし、これで固定という考えでもありません。
 勿論、日々こういった分析の上で妥当かどうかというのは見てはおりますので、その辺りはもう少し時間をいただければと考えております。
 FTAの方ですけれども、こちらは御指摘のようにANDと阻害のところがわかりにくくなっております。これは右側のところにもっと細かいところが付いておりが、私が抜粋して、それを大分削ってこちらに載せましたので、その際に間違った可能性もあるんですが、油の付着については10-1ということは10分の1程度の効果しかないであろうと。発火するという事象に対してどれぐらい低減効果があるか。いわゆる阻害要因と考えていただければいいかと思います。コンセントについてもトラッキング防止のプラグを使うことで同じように10分の1の効果を見込んでいると考えていただければいいかと思いますので、そうするとANDで来るのが妥当かどうかと言われると、これについてはこの場合修正かどうかというのは正式なFTAを見てみないとわかりませんので、持ち帰って確認させていただけないでしょうか。済みません。

○宇賀座長 中尾委員、どうぞ。

○中尾委員 このR-Mapはすごく美しくできていて、階段状になっているんですけれども、私もこういうのをやってみたときにどこでリコールするのかといったときに、致命的だと思われると確率が低くてもリコールに走るから、この致命的という部分は段階状にぎざぎざときれいだけれども、実際はここのところで危ないと思ったらリコールに入って、リコール領域になってくるのではないかなと。
 自動車の場合は0件でも、ブレーキやパイプが折れる可能性があるとしたらもうリコールに入るから、実際にはこういうふうにやると理想的には美しいグラフだけれども、最後の致命的なところだけは全部リコールに入るというような感じになるのではないかなと。
 発生頻度のときに年で割るんだけれども、累積台数のグラフというか、年ごとにどういうふうに変化しますかというのは容易にわからない話だから、この年で割り算をするときに適当に近似しなければいけないんです。こういうカーブになるとなかなか難しいです。どうなっているのかだれもチェックしていないから、そうすると大体事故が起きたときと精算をやったときの中間ぐらいのところの年数で割り算するのかなということになると思うんですけれども、私がプロットした限りでは、同じようなことをしたんですけれども、10-7とか10-6でもリコールに入っているから、危ないと思ったときにはリコールに入るというような感じが実際なのではないでしょうか。5,000件のデータをプロットするとどんな感じですか。

○酒井主査 今日はお持ちしなかったですけれども、例えば昨年度、平成21年度ですと、B3以上の領域が半分を超えているような件数が上がってきておりますので、そういう意味からもR-Map上でプロットした場合にどの辺りの分布が多いのかなと言うのを見てみたんです。

○中尾委員 分布したところにリコールはこれだというようなプロットの仕方をして、リコールだとB3でもB2でも、もしかしたら危ないと社会が思われたらしようがない、リコールしてやると。危険度の色は確かにこのとおりだと思うんです。

○酒井主査 お手元の机上配付資料で業務報告会のところで、見にくくて申し訳ないんですが、81ページ、82ページに全案件のリスクレベル分布ということで、これは重複は抜いてあるんですけれども、81ページの下のスライドで言うと10番が分析結果の分布でして、3ページのリスクマトリックスの上から俯瞰的に見ていただくような図になります。その中でリコールした案件のリスクというのを見てみたところ、A領域以外でも結構リコールがあるというのが82ページ。

○中尾委員 ゼロ領域に近いところにもリコールする人がいるんですか。

○酒井主査 います。

○中尾委員 リコールは危険度に係わらず雰囲気で決まるような感じがする。

○酒井主査 これについては例えばリコールをした利用者の方が過去にこういう事故がありましたということで持って来られたものを書いていますので、余りハザードの強さは影響しないというのはあります。

○中尾委員 そうすると、社会的にどういうふうに見られるかということに対する対応としてのリコールというのはまた出てくるから、私はこの場合はリコールすべきかどうかというところは、その業者がこのリスクとはまた関係なく社会的にどう見られるのかというのをプラスして考えなければいけないということなのでしょうか。

○酒井主査 そうです。その事例として10ページ目のまつげカーラーですと、そんなに重篤にならないと思ったんですけれども、事業者の方がブランドイメージからか、リコールしました。

○中尾委員 それは一番左のところでもリコールをしてしまったわけですか。

○酒井主査 左のこれですか。

○中尾委員 そのCの領域のところで。

○酒井主査 これでリコールです。最初は微妙な重傷事故があったんですけれども、最初にこれが来て、その後、事業者の方がこういう事故がありましたということでこちらを持って来られたんです。それで最終的にはリコールになった。

○中嶋委員 一番左端の一番上がリコールになったんですか。

○酒井主査 違います。そういう意味ではリコールになったというのは最初に重傷事故の報告があって、その後、その類似事故ということでこういうヒヤリハットの事故も含めて報告があってリコールになった。

○中嶋委員 時系列的に見てどれが一番初めですか。

○酒井主査 それは事故の発生ということですか。

○中嶋委員 報告。

○酒井主査 報告はこれが先です。

○中嶋委員 では、この矢印から横に動いているわけですか。

○中尾委員 同時発生的に。

○中嶋委員 ではこの矢印は間違えやすい。

○酒井主査 これは私がそういう意味で誘導したというのが正しいんですけれども、そういう重傷、致命的な事故に至るかどうかというのをお示ししたというだけですので、このとおりに推移したという意味ではありません。それは御指摘のとおりです。

○中尾委員 NITEさんがやったので一番すばらしいのが82ページの11の図で、リスクとは関係なくリコールが出るというのがすばらしいデータなのではないですか。リコールを何で決めるのかよくわからないんだけれども、社会的なところと鶴岡さんがおっしゃっていたけれども、それがこれを言っているのではないかなという感じがして、すごくすばらしいデータだと思います。

○酒井主査 ありがとうございます。それはなかなか難しいところでして、事業者さんの方の都合というか、いろんなお考えがありますので、逆の状況もあります。リコールをするべきではないかというのもなかなかしていただけないというのもありますので、あくまでリスクを見積もるというツールという意味では有効なんですけれども、必ずしもそのとおりには現実社会はなっていないというのは事実です。

○宇賀座長 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 中嶋です。3ページの絵をもう一度見ていただきたいんですけれども、ISO/TC199委員会、機械安全で労働安全現場を扱っているわけですけれども、このR-MapをTC199でも採用しようかといって、一応資料の中には含まれているんですけれども、これには賛否両論があるんです。
 これは中尾先生が先ほど言われたように、一番右端、致命的というところでもってなぜ安全なのか。いわゆるリコールの対象外になる安全領域Cが出てくる。様子見のB2が出てくる、B3が出てくる。例えば日本で一番大きい自動車会社は、致命的なところに関しては投資の金額のいかんにかかわらず何らかの対策をとれとはっきりと指示をしておりまして、例えば構造上変えられないという場合であれば、そこに近寄れないように柵をつくってきっちり対策をとる。もともとこのR-Mapというのは保険会社が出してきて、発生頻度もしくは確率とひどさ、この2つからリスクを考えていけば、合理的に対策はとれるという考え方なんです。
 ですから、例えば10-8という1億分の1について言えば、リチウム電池で火災事故がこれに当たります。リチウム電池自体をこれ以上の信頼性を持った製品につくり変えることができるかどうか、物すごいお金が要る。だから、そういう意味では対策をとりにくいんだということを示す意味でこのCというのはよくわかるんですけれども、火災事故が起きれば何らかの対策はとらないといけない。
 そうすると、消費者にどうやってこれを説明するんだという問題が起きます。中尾先生が言われていたようにR-Mapは非常にきれいです。このようなマトリックスの絵は、そこら中に出ているんです。例えば米軍のMILもこれを使っています。ですから、そういう意味ではR-Mapは一般的な考え方なんです。よく出来ています。
 さはさりながら、その評価の仕方がみんなばらばらなんです。極端に言うと、一番右上だけはみなさん共通です。発生確率が多くて死ぬと言ったら絶対に対策をとるんです。でも、この右端の一番下はみんなばらばらなんです。NITEさん、日科技連さんはこれをつくられたのは10年か20年前ですね。なぜ、まだ、このままこれを使うのかというのがよくわからない。
 私はTC199委員会でこれをこのまま入れるのはおかしい、いわゆるリスクの評価というのは社会が変われば変わっていかないといけない。私たちの収入が増えれば当然それに応じて変わっていって当然である、また、社会の状況が反映されていないといけない。なぜかというと、消費者の心理も変わっていくわけですから。だから、そういうふうに考えると、消費者のまず合意をとれるようなR-Mapをつくらないといけないのではないか。その上でどのように評価していったらいいのか、を考える必要があります。
 勿論1億分の1以上の信頼性を持つような製品とか部品というのは、現実問題としてコストの問題とかいろいろ考えると非常に大変なことになります。それは社会コストとして消費者が受け入れますかということも含めて一緒に考えないといけない。そうすると、中尾先生が言われたように、致命的なところは全部赤に塗って、でも何らかの対策は考えるようねと。でも、そこから左に行くにしたがって社会コストとの関係でどういうふうに見ますか。これを私は中身をちゃんと消費者・国民に明示して、NITEさんもしくは経済産業省さんがお使いいただかないと、いわゆる消費者の不信とか不安というのはいつまで経ってもなくならないのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○酒井主査 3ページのマトリックスのところで、今日は余り細かく説明しなかったんですが、この部分の御指摘かと思うんですけれども、私は日科技連の方から説明を受けたので、ここについてはおっしゃるように確かにハザードが大きいんですけれども、発生頻度が1億分の1というのは、一口に1億分の1はぴんとこないかもしれません。非常に低い、考えられないような頻度になりますので、そうするとここについては確かにハザードとしては非常に大きなものであるけれども、現実問題として受け入れざるを得ないリスクではないかと考えるのを具現化したところだというのでマトリックス、R-Mapの1つの考え方をよく表している部分だと説明を受けております。

○中嶋委員 リチウム電池は1億個以上つくられていますね。それで10件ぐらい事故が起きて、火災事故が起きて、リコールされました。だから、そういうふうに考えると、NITEさんが言われているように、致命的なところ、火災が起きるようなところでも1億分の1だったらOKだとはだれも考えていない。企業だって考えていないと思うんです。
 もっと言えば、これから電気自動車が出てくる。電気自動車がリチウムイオン電池の台数たるやすごいことになります。そうすると、これだけでももう一度見直さないと大変なことになるというふうに思いますけれども、いかがですか。

○酒井主査 その辺りは今まさにリスクは社会が決めるというところなので、何もNITEの方もこのマトリックスに固執しているわけではありませんので、あくまでもツールとして使っているということがありますので、そこは検討の余地が当然残されていると思います。
 話を戻して恐縮なんですけれども、この辺りについても、当然被害者の方の賠償責任はまた別の問題として存在すると考えておりますので、先ほど私は安全領域で何もしないと申し上げたのは、製品として対策をとるかどうかという話になりますので、被害者の方についても何にもしないということは勿論ありません。
 10-8が甘いというのであれば、下げるあるいは発生頻度の区分、マトリックス自体を考え直すべきではないかと、いろいろ議論は当然ありますし、それは受け入れるべきだと思いますけれども、申し訳ないですけれども、NITEにおいてはあくまで毎日50件、60件とかという件数が来まして、それを打ち返さないと、という場面に直面しておりますので、真の姿といったものは当然見極める目というのが必要だと思います。とにかく真の値ではないけれども、確からしいといいますか、それは微妙なところなんですが、そういうところの判断するツールとして今のところは有効ではないかと思っています。

○中嶋委員 今のところは有効というのは私も了解しますけれども、ヒストグラム方式がリスク分析についてありますね。そのヒストグラム方式で評価をすることもあって良いのではないでしょうか。

○酒井主査 済みません、勉強不足でヒストグラム、ほかの方法等の有効性について検証しておりませんので、そこは勉強させてください。

○宇賀座長 中尾委員、どうぞ。

○中尾委員 細かい話なんだけれども、83ページのこれをやったときに、全案件とリコール案件の棒グラフがあるんだけれども、全案件のリコール案件でパーセンテージをとると、このマトリックス上の中に入ったリスクに対して、リコールまで至った比率というのはほとんど同じになってしまう。例えばA3のところがみんなリコールしてCのところは少ないだろうとみんな思っているんだけれども、そうではないデータが出てきてしまう。だから、今このデータを見ると、リコールするときにはリスクとは関係なく決まるという答えが出て来ないかなと。

○酒井主査 そこは検証したいと思いますけれども、あくまで事故情報として得られたもの、それはヒヤリハットは入っていないですから。

○中尾委員 分析というのはまず理想的なのを持ってきて分析しましたと。当然リコールはAのところに出てくるに決まっているとみんな思うけれども、やってみたらそうではない。Cのところでも出るんです、Bのところでも出るんです。比率をやってみるとそんな有意差はないですと言ったら、これで日本はチェックするものではなくて、何だか知らないけれども、それぞれの企業がやばいと思ったらリコールにくるんだという社会的な要件、自分の会社はどういうふうに対処をとるべきかという気持ちが一番強いんだという結論にならないのかな。今このデータで定規ではかって割り算してもいいけれども、大体同じなのではないか。

○酒井主査 その辺りは、一旦よほど報告されている事故の種類ですとか製品群というものもかなり偏りがないところもありますので、そういう意味では先ほどから話がありますように0レベル、今10-8をやっていますけれども、製品群によってはもっと変えてもいい可能性はあると思います。ですので、マップの分布というのは変わってくる可能性があります。

○中嶋委員 87ページのデータはすごくいい。中国製とかが悪くない評価になっているのです。

○宇賀座長 阿南委員、どうぞ。

○阿南委員 簡単でいいのですけれども、R-Mapを使ってリコールにつなげる仕組みはよくわかりましたが、では消費者への注意喚起ですとか、情報提供についてこれがどのように連動しているのか。どこにラインが引かれているのかということについて、教えていただきたいのです。

○酒井主査 R-Mapを基に消費者の方に啓発といいますか、情報提供というのは今のところはNITEの方ではスキームというのはございません。あくまで分析手法といいますか、事故原因究明のツールとして使っているにすぎません。
 ただ、そうは言っても担当は私以外に数人いるんですけれども、その中で例えば先ほどのIH調理器のように、最近の製品で安全をうたっているような製品なんだけれども、事故は相変わらず多いとか、そういうトピックスという形でこういうものがありますというのはNITEの方でメールマガジンとか、そういう広報の担当の人間に随時提供はしておりますけれども、定期的に何か決まったものがあってやっているというわけでは残念ながら今のところはないです。

○阿南委員 今は、個人の力量に任されていますね。考えていく方向はあるでしょうか。

○酒井主査 そういう意味では直感的なところはあります。

○宇賀座長 松岡委員、どうぞ。

○松岡委員 先ほどの中嶋委員の御発言に関連して申し述べたいのですが、例えば10-8という事象でも、母数が非常に大きくなると年間に必ず被害者が何人か出てくる。その場合に、被害に遭った消費者の当事者にとってみればそれは耐えがたいことだろうという議論は必ず出てくると思います。
 リコールをするということは何かと言いますと、その製品を回収してそういう被害が発生しないように改善してしまうという作業だと思うんです。ですから、リスクマトリックスでも致命的なところというのはある程度消費者の納得がいくような事象が起こらないようにリコールをすべきところはするということで、致命的なところで一番下がCになっていますが、それがすべて赤くなるのが妥当だという考えも出てくるのではないかということで、単純にこのリスクマトリックスを使うというところに危険性があるのかなということで、この辺はNITEさんに言うことでもないんですが、私どもの方でもいろいろ考えていく必要があるのではないかと感じております。

○酒井主査 これについては今までの議論と勿論重複しますので、このマトリックスが完全になくなるとは思っておりませんで、先ほどから常々申しておりますのは、リスクというのは社会が決めるものですから、このマトリックスの内容が変わるものについては特にこだわりは今のところありません。
 被害者の方の話につきましても、個別に対応するというのは必須の事態ですので、それはなしにするというのも考えておりませんし、一旦、重大事故が起きてしまえば何らかの対策が必要というのはまた別のスタンスで別の見方から当然出てくることだとは思いますので、これについては検討したいと思います。
 ただ、繰り返しで後向きな見方かもしれませんけれども、危害の程度がIVのところで発生頻度が低いという事故が、NITEは毎年数千件受け付けているんですけれども、そんなに出てもいませんし、正直申し上げますと、死亡事故でC領域になったというのはありませんので、そういう意味では今のところ必要がないというか、そういう場面に直面していないので検討はしていないということは事実です。

○宇賀座長 橋本委員、どうぞ。

○橋本委員 何回も繰り返されることなのでお答えはいいんですけれども、やはり表だけではないところで一番決まっているのではないかというのが今までの議論の中で私が得た結論なんです。これ以外のところの社会的というところをどういうふうに数値化したり消費者に見せるような内容にするかというのがこれからの課題なのかなと思います。
 これについては私の意見ですのでよろしいのですが、1つ質問なんですけれども、13ページのところの説明の中で、本当は社告で2回リコールすればいいところを3回になってしまったという話があったんですけれども、先ほど阿南委員からも消費者に向けての説明のところで、結局はリスクが増えたのかなというところがあるんですが、そういうのはこういったところには反映されないのでしょうか。

○酒井主査 今日はあくまでさわりの部分ということだけでしたので、今の時点で電気洗濯機がどれぐらいのリスクかというのを計算した。おっしゃるように1回目、2回目、3回目のリコールの時点あるいはその作業の不備があった時点でのリスクというのは計算可能ですので、それでやってみることは可能です。
 やってみたんですけれども、やはり1けたぐらいリスクが上がりますので、B3だったA領域という形で上がる。当然のことなんですけれども、リスクは上がりますので、リコールというところに関しては問題ないのかなと思います。

○宇賀座長 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 中嶋ですけれども、先ほど、数千件事故情報が来て、危害の程度がIVのところのC領域に分類したものの中で1件も死亡事故は起きていない、だからこの表は大丈夫ですというお話があったんですが、この考え方は労働現場では受入れられません。労働現場では、大体1万分の1~10万分の1ぐらいの安全性、信頼性があれば、工場長の任期中5年間は事故が起きないと我々は考えているんです。しかし、それでもって大丈夫かとはだれも考えていなくて、かなり保守的な私のいた会社であっても、そういう考えでは安全は実現できないと、はっきりとトップの方から指示が出ます。
 安全を実現する上で、一番やってはいけないことは安全を確率で語ることです。もっと言えば、1万分の1だから、10万分の1だから、それでもって現実に事故が起きていないから大丈夫ということはあり得ないことです。危険源がどこにあるのかをまず探すこと、危険源のリスクを評価することが一番実直なやり方である。そして、それに対してどういう対策をとるかです。
 ですから、私も中尾委員も松岡委員も言っているのは、「これはシステムとして大丈夫なんですか」という問題提起をしているわけです。私自身もそう思うんですけれども、R-Mapがこんなにきれいな形になっていることに疑問を感じます。現実に合わないところも出てきていますし、消費者にどう説明するかの問題もあります。ですから、もう一度、NITEさん、経済産業省さん、もっと言えば文部省(日科技連)さんを含めて御議論をいただきたいと思うんです。現にそういう意見がいろんなところで出ています。TC199委員会の中でも出ているわけで、そういうことをもう一度お考えいただきたいと思います。
 以上です。

○酒井主査 その話をし出すと時間がなくなるんですけれども、リスクがどこまで受け入れられるのかという話に最後はなってしまうかと思うんですけれども、ツールとして問題ないという意味で、今起きていないから大丈夫ですと申し上げたつもりだったんですが、これが世の中の真のリスクというものに対して適切ではないのではないかという御質問については、そういうこともあるかもしれませんとしか言いようがありません。
 先ほどの繰り返しですけれども、勿論これを絶対変えませんとか、これから外れることはないとは私も考えているわけではありませんので、何とか製品安全については事故を減らすという理念で私も日々仕事はさせていただいているつもりなんですけれども、皆さんの御意見を賜って、よりよいものに変えていければと考えております。ありがとうございました。

○宇賀座長 中尾委員、どうぞ。

○中尾委員 私はR-Mapはすごいなと思うんだけれども、リスクと言ったときには何か起きたときの損失金額×確率と言われているんだけれども、ある鉄道会社で、これは書かないでほしいんだけれども、JR東日本さんがやっているのはすごくて、いろんな事故があったときにアンケートを取っているんです。この事故で頭にきますかととったら、運転士さんが暴走したのが頭にきたとかが出ていたとか、酒を飲んでいたとか、それには物すごく頭にくるけれども、風が吹いてきたり地震があったときに脱線しましたというのはしようがないと思っているんです。
 だけれども、同じ損失が出たりするのは同じなんです。いろいろやってみたら、JR西日本さんが甘酒で暴走したようなものはみんな頭にきて、新聞なども徹底的にたたいたけれども、例えば酒田の方で羽越線が脱線したものはしようがない。だけれども、そういうようなところで先ほどもう一軸必要かというのがあって、それが何なのかなと思ったのは、そういえば鉄道会社の場合は何をしているかといったら、その事故が起きたことによって経営危機になるかどうかというパラメータがほしいという。そのときにやったもう一軸というのが日本の社会が何に頭にくるかというものをまずわからないからアンケートを取った。
 先ほどまつげをやったようなものをリコールにするかというのは、会社はその製品だけつくっていて、これがだめになったら会社は倒産になるから、仕方ない、リコールするかと思ったのかもしれないし、これは何だかもう一軸を加えてみたときに、そこのリコールに至るまでの社会的要因というのが一言に言えるようになったらこのデータはすばらしいデータだと思います。
 何か事故が起きたときにうちの会社はこれをリコールしなかったらもう経営危機になるからやっていけない、世の中にたたかれてしまうというような指標が1つできたら、それはそれですばらしいのではないかと思います。私はいいデータをまとめてくれたのではないかなと思います。

○宇賀座長 佐竹委員、どうぞ。

○佐竹委員 NACSの佐竹です。
 私ども、今日NITEさんの方でR-Mapというものの分析でリスク評価がされているということを初めて知ったのですが、このリスク評価された上で、個々の事故情報についての原因究明をしていただけると思うのですけれども、順序としてリスクの重いもの、あるいはすぐに調査ができるものというようなことで原因究明していただいているということなのですが、実際、この表で言うとどういう順番で個々の原因究明、調査をしていただけているのでしょうか。
 私ども、相談現場で日々NITEさんに相談で受けた事故情報に基づいてテスト及び原因究明依頼しているのですが、NITEさんからは、依頼時にああいうことも教えてください、こういうことも教えてくださいと言われるのですが、残念ながらNITEさんからのその後のフィードバックが殆どないのです。ですから、今日までR-MAPというものがあるということもわかりませんでした。相談を受けた消費者の方に対しても、なかなかNITEさんからの連絡が来ないので、出した原因がどういうことだったのかを1年経っても2年経っても伝えられない事案もあるのです。もう少し「このようなリスク評価マップがあって、この案件はこういうところにあるので、順番的にはこれぐらいの順番で事故情報の調査ができます」とか、途中段階でもいいですから、是非センターにもフィードバックしていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

○酒井主査 優先順位の付け方については、B3以上のものについては優先的にやると考えております。逆にC領域のものについては基本的には重みづけからするとかなり軽めに後回しにしても差し支えないものはそのようにすると原則としてはやっておりますけれども、先ほどもまつげカーラーの話もありましたけれども、多発するようなものですとか、消費者生活センターさんの案件ですと、そもそもマップが書けないものも当初の受付の時点では多うございますので、そういったものは担当の者がハザードだけになりますけれども、そういったもので判断しながらやっているというのが現状です。
 フィードバックの話ですけれども、これについては私の部署の方はアセスメントの方は中心にやっているんですけれども、各情報提供者の方とのやりとりというのは、そこまでは手が回っておりませんので、そこは保留という形でまた今後対応したいと思います。よろしいでしょうか。

○佐竹委員 よろしくお願いします。

○宇賀座長 片山委員、どうぞ。

○片山委員 今お話のあった、例えば消費生活センターからの情報については、必ずしもR-Mapですぐに分析できないものがあるということですが、このR-Mapが適切に機能するために、どういう形での情報収集システムが必要だというところの考え方の整理ができておられればお教えいただきたいんですが。

○酒井主査 そのR-Mapを動かすのについては、4ページ目のスライドにもありますように、発生頻度がまずわからないと分母がわかりませんので、縦軸が決められませんので、販売台数と販売期間がわかれば、輸入製造台数でも構いませんけれども、そういった情報がないと分析はできないと思います。
 あとは危害の程度で言うと、やはり被害者の方のお話の内容にもよるかと思うんですけれども、火が出たとか、けがをしたというだけではなかなか危害の程度が決められないというのもありますので、具体的に報告の基本と言えば恐縮なんですけれども、どこがどのようになったのかというのをまず教えていただかないと、危害の程度も決められない状況です。

○宇賀座長 中川委員、どうぞ。

○中川座長代理 先ほどの中尾委員と中嶋委員の発言に絡めての質問なんですが、リコールが起きるかどうかというのは、結局企業の側が経営危機が起きると判断するかどうか、つまり,消費者ないし人々が何に頭にくるかだということをおっしゃっていました。しかし,将来消費者庁がこういう分析をやる場合に、企業が経営危機に陥るかというのは基本的には関係のない話ですね。
 では、中嶋委員あるいはNITEさんがおっしゃった社会が受け入れられるリスクとは何かといった場合に、10億分の1は十分なのかといった場合に、企業の経営危機以外に,一体何を考えればいいのかということが先ほどから伺いながら気になっていたんです。企業が考えるべきことはどうぞ企業で判断してリコールしてくださいと。それはそれとして,では,国として、あるいはNITEとして考えるべき社会が受け入れる限度とはなにか、人々が怒るかどうかということなのか、しかし人々が怒るということは結局企業のレピュテーションの話ではないかと堂々巡りをして、切り分けがうまくできないような気もするんです。そこら辺もし御教示いただくことがありましたらと思って御質問です。

○酒井主査 今日のところはその話までいくとは思っていなかったので事前の準備も全くしていないんですけれども、リスクをどのように考えるかということになってきますと、今のお話のように皆さんいろいろ御意見もお持ちですし、なかなかまとまりもつかないと思うんですが、繰り返しですけれども、NITEの方はとりあえず第1の目標としては事故を減らすということだけに特化して考えておりますので、その辺りについては検討させてください。

○宇賀座長 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 中嶋ですけれども、今、佐竹委員から非常に重要なお話があって、これはまとめて考えると、経済産業省の事故情報の収集制度によって上がってくる事故報告に関しては、企業の事故報告にR-Mapを使うための情報が全部入っているから、R-Mapを使用できるとのことですが、このことは「企業から出される情報をうのみにして、これだけの台数がありました、これだけの件数がありました」と重みづけをして、リスク評価をしていると考えられますね。これで良いのでしょうか?
 もし輸入販売業者が過大な売上申告、販売台数の申告をした場合には、リスク評価は非常に甘くなりますね。その報告をNITEさんは検証されるんでしょうかという問題があります。一方、生活消費センターの方から上がってくる情報というのは、企業の情報ではありませんから、言ってみたら販売台数は把握しないままに調査依頼が出ている。そうすると、それをNITEさんの方は販売台数をメーカーに問い合わせて、これはどれぐらいの確率だと、いわゆる販売件数があって、事故発生頻度はどれぐらいだというような判断をされるのでしょうか。もしそれをしないということになると、経済産業省ルートから来るものについてはR-Mapに乗っかるけれども、消費者庁ルートからのものはR-Mapに乗っからない。ということになるのですが、この辺はいかがですか。

○酒井主査 まず、収集したデータの精度というのは、先ほど申し上げたように本当かどうかというのは私どもが確認しようがないので正しいものとして見ております。そのまま使ってアセスメントをしております。
 消センの方からいただいた案件については、受け付けた時点では勿論データがない場合が多いですのでR-Mapは書けないんですけれども、その後、NITEの方で調査するということになりますと、事業者さんに問い合わせて、わかった時点で速やかにアセスメントをして、担当等にはデータベースがございますので共有化はしております。
 ただ、先ほど御指摘がございましたけれども、消センの方には勿論提供するというスキームはありませんので、その辺りを今後の課題だと思います。見せ方等につきましても検討したいと思います。

○宇賀座長 中尾委員、どうぞ。

○中尾委員 また済みません。先ほど中川さんがおっしゃっていたんですけれども、企業のあれとか考えないというのはそのとおりであって、今例えばマスコミがこれが危ないのではないかと言っているものとか、リコールしたから何とかというものは、本当に危ないのかどうかわからないですね。
 例えばこんにゃくゼリーが危ないと言っているけれども、事故で犠牲者の方はそんなにおらないし、どのくらい売れているのか。だけれども、何となく見えているのが、こんにゃくゼリーは危ない。このマップのどこにある。それよりおもちの方が危ないのではないかと。機械でこね過ぎて、ちょっとやっただけでとろとろになるようなおもちは年寄りの方で詰まってしまうから、あれだってもとかたくつきあげろとしてもいいけれども、しようがないので、これはだれも社会は言っていないです。だから、そういうようなパラメータを引き算して、本当に危ないリスクはどこなんだろうというのを見ようとしたときには、これは役に立つのではないかと思うんです。
 だけれども、第3のファクターが何なのかなというのは、今初めてこのデータをマップしてみたら、Cのところでもリコールしているというのがあるから、リコールということだけでマスコミの方も私たちもあれは危ないのではないかと走ってしまっているのではないか。これはキャンセルすべきではないかなと思います。国がやるところは、本当に危ないところというのを投資して今直していこうというところなのではないかなと思います。

○宇賀座長 田澤委員、どうぞ。

○田澤委員 田澤でございます。話が戻るようなんですけれども、先ほどの赤になっているにもかかわらず、逆にいえばリコールされていないんですね。CまたはBの領域にあるものが何らかのいろいろな要因でリコールされていますと出ているけれども、赤のまずいのではないかという部分のものが83ページの上段を見るとリコールされないままになっている。そういうことですね。
 私はそちらの方がとても気になったんです。それはこういう評価した後で、赤の部分だけれども、そのままになってしまっているものに対してはどんなふうにこの先は進んだりしているんでしょうか。

○酒井主査 例えば今の御質問ですと、スライドで言うと11ページのIH調理器に誤使用、不注意の類ですね。あるいは燃焼器具関係はリスクは高いけれども、リコールしない案件が多いです。よくよく見てみると、被害者の方に何がしかの問題があるというケースが結構多く報告されていますので、それが機械的に見てしまうとA領域であっても何も対策しないという案件もあります。勿論、全部が全部そうではないですけれども、先ほど少し申し上げましたが、台数が100台とか10台とかそういうものも報告がありますので、それで重大事故になれば当然すごいリスクが高くなってしまいます。
 ただ、そういった案件については欠陥ということで対応していただくのが通常の考え方だとは思うんです。

○田澤委員 私ども消費生活相談の窓口で消費者の誤使用という言葉をまず頭に出すような対応をしないように、できるだけ注意深く一体何が起きたのかを見るようにしているものですから、ありがとうございました。

○宇賀座長 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 今までの事故を通じての私の意見ですけれども、分析の優先度基準についての考え方として、まず対策が求められることが大きな前提になるだろうと。リスクが高くて、かつ発生頻度も高いというのは本当に優先度が高くなると思うんですけれども、リスクが低いケースでも多発性あるいは発生の期間が非常に短期間かつ発生の地域が広いとか、そういった社会的な影響と先ほど言いましたけれども、そういった要素も考えて分析の優先度を判断していく必要があるのではないかと思います。
 以上です。

○宇賀座長 横矢委員、どうぞ。

○横矢委員 弱者の事故という9ページのところがわからないので教えていただきたいのですがいいでしょうか。弱者の定義は決まっているのでしょうか。何が言いたいかというと、子どもとかは弱者に入るのかというのが知りたいのと、9ページの例は歩行補助車を弱者が使ったということになるんだと思うんですけれども、例えば生ごみ処理機をお年寄りが使ったとかといった場合は、弱者の事故としてカウントされるんでしょうか。

○酒井主査 まずNITEのリスク室の方の弱者の定義というか決めごとなんですけれども、高齢者の方というのは60歳以上を念頭に置いています。子どもさんの方は10歳未満ということで、あくまで定義がどうのという話ではなしに決めごとでこれぐらいでいいでしょうということで採用しています。
 あともう一つは、今回の9ページの歩行補助車のように、高齢者の方あるいは身体に不具合の方が使うような製品であれば当然そのようなリスクは強めに見るんですけれども、通常の生ごみ処理機とかシュレッダーとかそういうようなものでお子さんとか高齢者の方が被害に遭われた場合に考慮するのかというのは、原則はそういうことはしておりません。ただし、例えば生ごみ処理機とうたっているが、実態として使うのが高齢者ばかりとかお子さんばかりというのであれば勿論考慮入れると思います。その辺りは適宜事実関係を確認しながら、機械的ではなしに対応しているということになります。

○横矢委員 それこそシュレッダーの事故のように、子どもが使わないと思っていたのに意外と近づいたりすることがあったものとか、そういったものに危険度が高いのかなと思うので、そういったものをどういうふうに反映されるか、これから考えていただきたいことだと思います。ありがとうございます。

○宇賀座長 それでは、まだ御質問はあるかもしれないですが、時間の関係で、もしこれ以上御質問がある場合は、後で事務局を通じてでも書面で追加で出していただければと思います。酒井様、どうもありがとうございました。
 それでは、議事次第の4、事故情報の分析についての議論を行いたいと思います。前回、消費者庁より御説明いただいておりますが、事故情報の分析について御説明いただいた内容から変更がありました部分につきまして、消費者庁より改めて御紹介いただきまして議論に入りたいと思います。
 それでは、坂田課長より御説明をお願いします。

≪4.事故情報の分析について(第5回から引き続き議論)≫

○坂田消費者安全課長 それでは、参考資料1、2、3、4、5をお出しいただきたいと思います。まず参考資料1については、前回の御議論で行政措置についての記述が抜けているのではないかとの御指摘をいただきましたので、左下の薄緑色の経済産業省の権限の部分について追加しているということでございます。それが変更点の1つでございます。
 参考資料2の変更点につきましては、右側の一番下の赤い丸囲みがございますが、前の資料では8名増員を要望となっておりましたが、現在、予算案を国会で審議中でございます。8名増員という数字は変わっておりません。3名、5名増という下の部分も変わっておりませんけれども、「8名増員の人件費を予算案に盛り込み」というふうに修正しております。
 参考資料3、参考資料4は変更がございません。
 参考資料5は、事故調査機関の在り方に関する検討会につきましては、3.の進め方、4.の今後の予定について直近の状況に記述を更新しております。
 私の方からは以上でございます。

○宇賀座長 ありがとうございました。それでは、御意見のある方、御発言をお願いします。
 中川委員、どうぞ。

○中川座長代理 単純な質問なんですけれども、PIO-NETが参考資料1の中のどこにあるかを確認させてください。例えば情報収集という水色の箱がありますけれども、ここに来たものなのか、それともその上の左上から矢印が出てきていますけれども、いろんな消費者センターと消費者庁を結ぶ電子的なネットワーク、データベースなのかという辺りでしょうか。情報解析というのを今回わたしたちのテーマにしていますけれども、情報解析の対象となるデータベースというのはPIO-NET+製品安全法から来たものであるのかどうか、そこら辺の説明をしていただけると少し頭の整理ができるかなと思いました。

○坂田消費者安全課長 御指摘の点につきましては、消費者安全法、消費生活用製品安全法に基づくもの、医療機関ネットワーク等について記述しており、PIO-NETについてはここでは特段位置づけておりませんけれども、PIO-NETに入力された情報は消費者安全法の通知とみなすというみなし規定がございますので、強いて申し上げれば消費者安全法の、特に自治体等から寄せられる情報と位置づけられるかと思います。

○中川座長代理 そうしますと、左上の部分の自治体に限るわけですか。

○坂田消費者安全課長 PIO-NETに入っている情報というのは基本的に各地の消費生活センターから寄せられた情報ということになろうかと思いますので、その場合には自治体ということになります。

○中川座長代理 そうすると、情報収集という水色の部分はPIO-NET経由のもの、他の国の行政機関のもの、製品安全法に基づき企業から来たもの、医療機関から来たものという大きなデータベースがあって、それに対して今日の御説明があったR-Mapができるのだろうかとか、そういうふうなイメージで考えていけばいいんですか。

○坂田消費者安全課長 そうでございます。

○中川座長代理 わかりました。他方で,事故情報データバンクというのは、消費者が検索できるように公開するというものですね。

○坂田消費者安全課長 はい。行政機関から、ないしは自治体等から集められた情報を一般の皆様に、国民の共有財産という観点から公開しているということでございます。

○宇賀座長 ほかはいかがでしょうか。
 中尾委員、どうぞ。

○中尾委員 中尾です。
 これに付いているような事故情報分析タスクフォースでも非常に面白いデータが出ているんですけれども、先ほどのR-Mapではないけれども、本当に頻度から言ったらどのくらいで起きているものを、この事故自体はどういう基準でピックアップしたのか。今、もうそんなことを言っていられないのでできるところから先にやってしまおうというお考えだったらなるほどねとは思うけれども、そこは何でこんなに遊具に気合を入れなければいけないのか。それはたくさん能力のない子どもがいるからねと言われてみればそうなんだけれども、国としてそんな無限に予算があるわけではないから、どれもこれもというわけにはいかないだろうけれども、その辺は選択しているんですか。

○坂田消費者安全課長 遊具については、ここでも指摘をしておりますけれども、実際、事故が発生しても十分な対応がとれない。これはいろいろな場合があろうかと思いますけれども、どのように解消するかといった視点がなかなか関係機関の方では十分に周知されていないというような状況もあろうかと思いますので、そういう観点からこういったケースについてはこういう修繕をしましたということを関係の機関等に通知したということでございます。暫定的な補修事例はどういうものかということで、財政が厳しい折から、そういったところをまずお示ししたというのが1つあろうかと思います。

○中尾委員 それは遊具をつくった民間企業のところがすごく中小企業でとてもリコールして全部やりますなどと言えないから、では、簡単に分析は私たちがやってあげると、それは仕方がないねと。パナソニックがつくっていればパナソニックが遊具も分析すればいいではないか、もう彼らの責任ではないからこれをやるような小さなメーカーはそんなのはできないから、仕方ない、国が代わりに分析してやろうと。それだとしたら、それはそれでいいんです。そういうのをピックアップしたらこういうような分析すべき事故事例というのが出てきました。そういうような意図があったんでしょうか。

○坂田消費者安全課長 参考資料3の3~4ページ目にかけまして、要注意事案の抽出の考え方について、重要性ですとか必要性ですとか実効性という観点。未進展事案が目立つようなケースについては追跡確認を実施しているということで、こういった軸を基に整理をしておるということでございます。

○中尾委員 これだとそこのところにやっていたタスクフォースのメンバーを決めた時点でこの事例が決めるような。私はこういうのをやりたいと言ったけれども、これに入らないと国から助けてもらえないんですかと言ったら悲しいですね。

○坂田消費者安全課長 その辺りは少しずつ広げていく。事故調査機関の在り方も今検討しておりますので、まずはやれるところからやらせていただいているということでございます。

○中尾委員 それが答えなんですね。やれるところからやっていると。

○坂田消費者安全課長 済みません。やれるところ、特にこういった軸をベースにして検討して、今の事故情報の通知状況等も踏まえながら検討したものということになるかと思います。

○宇賀座長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 以前に火災の事例を申し上げたのですけれども、頻度の高いものからあげると放火が多い。意外だったのは、コードとか電灯電話等の配線の火災が結構多い。火事が怖いとか、それによる死亡が怖いという状況をなくしていこうということであれば、優先順位はその辺りが上の方に来ると思うのです。人がない、金がないという中でどのような優先順位を付けるかというときに消費者庁に要求したいのは、先ほどのマトリックスのようなものをつくって、どれだけ優先順位が高いのかを考えることです。一つの軸は、被害の重篤さと件数です。もう一つの軸は、ヒトとカネがどれぐらいかかるのかというもの。この2軸でマトリックスをつくったときに、先ほどのような真っ赤なところは最優先。これは真っ赤ではない水色のところに入っているけれども、だれもやる人がいないからあえて公共の金を使ってやるというテーマもあっていい。それはそれで、また納得できるかもしれない。そういうのがないと、先ほど言われたように集まった人によってテーマが決まっているということがいつまでも続くと思います。そこは改善していくべきだと思います。

○宇賀座長 中川委員、どうぞ。

○中川座長代理 今、齋藤委員の発言に関しての確認なんですが、先ほど私がNITEさんに質問したことも同じなんですが、どんな事故を分析対象として取り上げるのかというのにR-Mapは使えるのかというところが疑問で、先ほど私がそれを質問したら,全件を分析対象にするということだったのですけれども、結局,R-Mapというのはある類型の事故がどういう形で起きているかという分布を知るものであって、そもそも何を分析すべきかを決定するための手法ではないというふうに理解したんですが、それとも,R-Mapは分析対象のピックアップにも応用可能なのでしょうか。

○齋藤委員 先ほどのR-Mapとは違います。1つの企業で重点投資をどこにするかということを検討するときには、マーケットの大きさ・重要度の軸と、自分たちの持っている力の軸でマトリックスをつくります。どの位置にあるからどういう戦略をとろうとか、あるいはこの分野はやめる方がいいとかを考えるのです。そういう検討をマトリックスを用いて行うので、ちょっとイメージしたのです。これが皆の前に提示されるとコンセンサスが出来、結論が出てくると思ったのです。

○宇賀座長 中村委員、どうぞ。

○中村(晶)委員 どういう視点でR-Mapをここで使うかということについてなんですけれども、先ほどの御説明ではR-Mapでは、発生頻度と危険の大きさを指標として1つの危険性の分布をつくっているわけですが、それに対して実際に企業がどのようなリコールの仕方をしているかというと、企業の論理で、経営判断としてあの数字を基に必ずしもリスクの大小だけとは違う判断をしているということがあるわけですが、消費者目線でR-Mapを基にして考えるとすれば、消費者の論理をあの上に乗っけて、数字はわかりました、企業の判断もそれはそれとしてあるかもしれない、しかし、消費者はこうは考えない、こういうふうに考える、というものを盛り込んだものをまたもう一つつくってみるということがあればよろしいのではないかと思います。
 つまり、消費者は数字の大きい小さいだけではなく、例えば同じ数字であっても将来のある子どもに被害が起きるものについてはもう少し慎重に考えたいとか、別に御老人を軽く見るつもりはありませんけれども、同じような数字であって、しかも人的な資源もお金もないときに優先順位を付けてやるとすれば、将来のある子どもを先にケアしようとか、そういう選択というのは消費者としてあり得るところだと思いますので、消費者目線を盛り込んだものというのを少し考えてもらえればと思います。

○宇賀座長 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 今の中村委員のお話については、消費者目線を盛り込むというのもあるんですけれども、実は商品別に考えないといけない。というのは、食品は死ぬことがほとんどない。食中毒で死ぬ人というのは年間に1名とか2名とか。1960年ごろは2桁だったんですけれども、今は1桁になっている。今年度、2010年度はきのこで死んだ人がいるからと言っても、やはり1桁なんです。一方、製品の方はというと、これは火事だとかいろんなことが起きるので、同じレベルでは評価できないので、食品についてのR-Mapと医薬品についてのR-Map、そうするとどこまで分類すればいいのかというのはあるんですけれども、消費者目線で考えた上で、なおかつそういう商品別というのが本当は要るということがあると思います。
 私の質問。もともとこういうお話をされる前に、消費者庁の方に確認したいことがあるんです。参考資料1で、いわゆる情報の収集源が、法律が3つ挙げられている。医療機関ネットワークが今度できたので13機関入れて、3つ挙がっているんですけれども、これは日本で起きている消費者の事故のすべてをカバーしているのかどうかというのを知りたいということなんです。
 例えば中尾先生の方からは資料3についてなぜ子どものことばかりこんなにたくさん出てくるんだと言われたんですけれども、消費者安全法を説明されるときにはすき間事案と説明されました。その1つにこんにゃくゼリーがありますねというお話があったんですけれども、要はほかの官庁が対応していることについてはそこの官庁にとりあえずお任せをして、消費者庁としてはすき間をと考えると、本箱が倒れたとか、遊具の問題とかになってしまうのかなと。でも、資料1で挙がっている事故情報の収集の制度は、実際にどこまで機能しているのか。消費者事故を100%カバーできているんでしょうか。
 例えば国土交通省の管轄下にエレベーター、エスカレーターとかがあります。ここでも事故は結構起きているんですけれども、ここでも経産省みたいに消費者の誤使用は事故から外すとかになると、とてもではないけれども、カバーしきれないというか、事故に対してのカバーがちゃんとできなくなってしまう。
 先ほどのNITEさんの場合でも、経産省の情報、データベースにすると、消費者の誤使用は事故情報制度の収集例から外されているので、83ページのような事例が起きるんです。A1、A2、A3で起きているのに対応はしません。なぜならば誤使用だから。
 ですから、そういう意味では一番大事なことは、参考資料1の上段の3つ(消費者安全法対応、消費生活用品安全法対応、危害情報通報ダイアル対応)が消費者事故を全部カバーしているかなんです。それに対してPIO-NETはどういうふうに機能しているのか。これは私からの質問で、議事録には載せなくても良いのですが、
 また、余りデリケート過ぎる問題なので突っ込みたくはないんですけれども、国民生活センターが消費者庁さんの絵の中に入ってこないんです。仮に参考資料2というのは、8名の増員だとおっしゃっているんですけれども、国センがもし消費者庁と合体すると、ここに180名近くの人が増えるということになるんでしょうか。
 国センはNITEとは全く違う動きをしているので、私は個人的には国センの動きも非常に大事だと思っているんです。私が申し上げたいことは既存の機関を上手に使いましょうということと、消費者事故情報を100%収集できていますかということの2点です。

○坂田消費者安全課長 まず情報がすべて来ているかということですけれども、消費者安全法が施行されてまだ2年も経っておりません。そういう意味ではすべての消費者事故が集まっているかというところは検証してみないといけないと思っていますし、私どもはすべて来ているとは必ずしも思っていません。これからそういった制度があるということを徹底していくということも大事だと思っておりますし、そういう点ではこれから努力が必要だと思います。
 2点目の国民生活センターについて、この表に入っていないのではないかということですけれども、消費者安全法に基づいては、国民生活センターも通知元と位置づけられておりますので、実は行政機関、自治体等の中に入っております。そういう意味では通知元であり、かつ国民生活センターの受け付けた相談情報についてもPIO-NETに入力をされておりますので、情報収集の重要な機関の1つということになろうかと思います。
 現在、消費者庁と国民生活センターの方で、国民生活センターの在り方についてタスクフォースで検討しているところでございますので、ここで私どもそこの先取りの御説明をすることは残念ながらできませんけれども、その結論を踏まえて、今後消費者庁と国民生活センターの関係については決まっていくのではないかと思っております。

○中嶋委員 つまり、資料2のところの8名増員が変わるんでしょうか。

○坂田消費者安全課長 消費者安全課にとっては非常に大きな数字だと思います。これまで消費者庁立ち上げ以降、死に物狂いでやってきましたけれども、この増員というのは非常に大きいと思いますし、まだ予算が通っておりませんが、これが通った暁には十分このメンバーを活用していけるように体制を組んでいきたいと思っております。

○中嶋委員 この8名は分かりました。国センはどうでしょうか。

○坂田消費者安全課長 済みません。国民生活センターの方は、私ども予算を把握しておりませんけれども、増員はたしか認められていないということだったのではないかと思います。申し訳ございません、正確なところはわかりません。

○中嶋委員 私が言っているのは、国センが消費者庁の中に入れば、消費者安全課の大きな力になりますね。そういうことを申し上げたんです。

○坂田消費者安全課長 消費者安全課に組織的に入るということが適切なのかどうかというのはこれからタスクフォースの方で御議論いただくということになるかと思います。独立法人の形で今あるわけでございますけれども、それが消費者庁に入った方が望ましい機能も中にはあるのかもしれませんし、別にしておいた方がいいものもあるのかもしれません。その辺り、私どもタスクフォースの議論はフォローしておりますけれども、私が担当ではございませんので、その点については、発言はこれ以上できませんので申し訳ございません。

○中嶋委員 立ち入ったことを伺いまして済みません。どうもありがとうございました。

○宇賀座長 片山委員、どうぞ。

○片山委員 先ほどの中嶋先生の指摘もそうなんですが、情報解析にR-Mapを使うにしろ、何を使うにしろ、どうしても事故発生件数というのが影響してくると思います。そういう意味では、収集のところでも議論されましたけれども、確実に日本の社会で発生している事故の状況を反映するということがすごく大事で、一番問題なのは、消費者からの事故情報が上がっていないこと。それは佐竹さんの御指摘にもありましたけれども、消費者は事故を報告しても何もしてもらえないというあきらめ感がありますから、肝心な事故情報が消費者から上がってこない。
 そこを埋めるためには、事故が発生して治療のために病院に行ったとか、救急車が発動したという情報を病院や消防署などから確実に集めないと、本当の意味での発生状況というのは把握できないということかと思います。

○宇賀座長 阿南委員、どうぞ。

○阿南委員 今のことと関連しますが、この調査会の最初の方で、消費者安全法の通知の要件について考える機会がありましたが、当面は法改正も難しい。それで運用として、その他事故情報というものを寄せてもらうということになったわけですね。そのことはここに反映されているのかということと、たしか附則か附帯決議だったかの中に、消費者安全法の通知の要件を見直すことが課題として上がっていたと思うのです。それはこの調査会の1つの重要な役割だと思いますし、そのことをここにはっきりと書く方がいいのではないかと思います。
 以上です。

○宇賀座長 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 参考資料1についての質問なんですけれども、情報収集のところで、他省庁において原因究明に取り組む事故について、消費者庁は追跡調査をするとあるんですが、追跡調査の中身なんですけれども、これは発生した事故の内容についての調査なのか、あるいは他省庁が行う原因究明についての追跡調査なのか、そこの辺りはどういうことなのでしょうか。

○坂田消費者安全課長 この部分については、原因究明自体を評価するというところまでは残念ながら至っておりません。

○鶴岡委員 そうしますと、この追跡調査というのは、事故の内容を確認するということでしょうか。

○坂田消費者安全課長 関係行政機関と情報共有して、必要な措置等とっていくための追跡調査となろうかと思います。

○鶴岡委員 原因究明についての追跡調査の考えということですか。

○坂田消費者安全課長 今、事故調査機関の在り方の検討会の中で検討していただいていますけれども、そういったことについてもこれからできる限り取り組んでいきたいとは思っております。

○宇賀座長 橋本委員、どうぞ。

○橋本委員 事故情報データバンクについてなんですが、私は相談員をやっているので、PIO-NETの方でこの事故情報データバンクをチェックさせていただいているんですが、最近、行政向けと国民向けというふうに分かれていて、行政向けにはかなり細かい業者名であるとか場所とかがあって、私ども相談員が使う上では使いやすくなってきたのかなと思うんですけれども、ただ、先ほど中川委員がおっしゃっていたのですが、この情報をこの委員会で、相談員をやっていれば毎日のように見られるんですが、委員の皆さん、一般向けのホームページ上からは見られるんですけれども、そういった内容が共有できていないのではないかなと、先ほどのお話で大丈夫かなと思ったんですが、もしそういうデータを見られない委員の方にもそういう情報、こういうふうになっていますというのを適宜出していただければと思います。
 以上です。

○宇賀座長 ほかはよろしいでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。いろいろと貴重な御意見が出されましたので、本日の議論を整理して今後の検討に生かしていきたいと思います。
 最後に、事務局から次回の日程について御発言があるとのことですので、お願いします。

≪5.その他≫

○原事務局長 どうもありがとうございました。次回は3月に皆さんお忙しいということで4月になりまして、4月12日火曜日の10~12時を予定しております。次の論点であります製品事故の公表の在り方に論点を移させて議論を進めていただきたいと思います。
 4月以降、月1回の開催のペースを上げて議論を進めていただけたらと思っております。
 事務局からは以上です。

○宇賀座長 それでは、本日の会議はこれで終了とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

≪6.閉会≫

(以上)