スーダン住民投票監視国際平和協力業務

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スーダン監視団隊員日記(1) ~スーダン住民投票監視団隊員の活動の様子など~ 

2011年1月24日 スーダン日記最終号

報告会の様子
 ハルツーム隊・ジュバ隊、それぞれ20日・21日に無事に帰国しました。そして今日は監視団としての任務完了の報告を内閣府国際平和協力本部事務局(PKO本部事務局)に行いました。石井団長から滞りなく監視活動を終えられた旨を報告、羽田PKO事務局長より、全員が無事に任務を終え帰国しよかった旨のお言葉がありました。皆、神妙な面持ちですが、たまには朗らかな雰囲気にもなりました。物品返却

 その後、各自、PKO事務局より支給された物品を返納しました。懐中電灯にトランシーバー、衛星携帯、蚊帳……。皆、健康で無事に帰国でき、よかったです。

 これでスーダン住民投票監視団隊員日記は、終わりになります。住民投票の監視活動を終えて、スーダンの平和と安定が続いてほしい、民主化がさらに進んでほしい、と思います。日記を毎回読んでくださった皆さま、温かいご声援ありがとうございました。(執筆:津矢田)



2011年1月25日掲載 番外編:スーダンの女性たち



 今回の住民投票では、多くの人の熱気と興奮がひしひしと伝わってきました。今回は、女性たちの熱い思いをご紹介したいと思います。ポスターとスーダンの女性

 街のいたるところに住民投票に関するポスターがペタペタ貼ってありました。その中に、おばあちゃんが先頭に立って、投票に行こう! と呼びかけているものもありました。

 実際におばあちゃんに話を聞いてみました。「1月9日に投票所にみんなで行くんだよ。この土地を二つに分けるんだよ。」

投票に並ぶ人々
 待ちに待った1月9日。投票日には、早朝から列に並んで待っている女性たち。投票所によっては、男女分かれて列を作っていました。みんな綺麗に着飾って、晴れの舞台へ!(写真左)

 

スーダンの女性1

 投票はどうやってするのだろう? と戸惑う場面も。そんな時は、投票の仕方を説明する投票センター長、お世話大好きジュディットさんの出番です。「投票用紙はこうやって折るのよ。指紋を押して。あ、折り曲げる時にインクが付かないように気を付けてね。」普段は、政府行政官だそうです。(写真右)スーダンの女性2スーダンの女性3



 病気の子どもの面倒を見たり、みんなの朝ごはんを作ったり。家事の合間を縫って、投票にやって来ました。投票中は、投票所スタッフにベビーシッターをお願いしちゃいました! (写真右上)

 

スーダンの女性4


 「皆さん、投票に来てください!」と投票のお知らせをするために村々を回る女性の姿も見受けました。ちょっと休憩中。(写真右)

 

スーダンの女性5


 投票所では、投票が終わった人の指に、インクを付けました。インクは、投票をしたという大事な印です。でも、気が付いたら、投票所のスタッフの手が真っ黒になってしまうというハプニングも! (写真左)

 みんな、今回の住民投票に関わることができ〝ハッピー〟だと、素敵な笑顔を見せてくれました。これからに向けて、希望と期待で満ち溢れています。(執筆:小川)



2011年1月18日 記者会見がありました



 6時30分起床、ホテルのレストランへ。誰もいない。30分ほど待って現れたウェイターにオレンジ・ジュースとトーストとオムレツと紅茶を注文。赤と緑のピメントで彩られたいつものオムレツは出てこない。
 7時50分ホテル発、団長とともに大使館へ。現地職員を交え、8時から所感のアラビア語チェック。訳が洗練されるにつれて脱落。
 10時、団長とイブラヒーム・ハリール南部スーダン住民投票委員会委員長のアポイントメントに同席。彼には住民投票に先立つ4日にも会ったはずだが、まったく顔が思い出せない。再び大使館に戻って記録を作成。
 11時30分、団長、河西隊員、山野隊員と、記者会見場のあるロターナ・ホテルへ。一昨日、昨日とダウンしていた山野隊員も復調。昨日の点滴が効いたのだろう。二度とスーダンで食べものは口にしない由。団長差し入れのピザすら口にしようとしない。感心するほど徹底している。記者会見の様子

 13時、記者会見でのスピーチを保存していた団長のパソコンがフリーズ。いつもは穏やかな団長の顔に焦りが見える。ゆうに10分をかけて復旧を試みるも挫折。額に脂汗のにじむ団長を横目に記者会見を開始。

記者会見の様子
 13時40分会見修了、大使館へ。メールを開き、津矢田隊員が書簡の英語訳をプレスに送付していることを確認するも、数分後に「添付ファイルが開かない」旨の苦情が3件。どうやら彼女はパスワードを解除することを忘れたらしい。

 15時、団長とラマトッラー国民統一政府外務次官のアポに同席。ここで出された洋ナシとミントのネクターがとろけるように甘美で、思わず記録をとる手を休め、肝腎の部分を聞き逃す。
 16時過ぎに大使館に帰着。未だに壊れたパソコンを諦めきれない団長を尻目に記録を作成。
 18時ホテル着、帰国のため空港に向かう河西隊員と山野隊員に遭遇。あんなに晴々として透きとおるような山野隊員の笑顔は、着任以来見たことがない。ホテルの部屋に戻って靴を磨き、スーツにアイロンをかける。無心になれるこういう時間が好きだ。明日のフライトでまた皺だらけになるだろう。歴史は繰り返すし、妙薬はない。

隊員
 19時30分、大使公邸で内輪の食事会。団長の人生観と余生の過ごし方。帰りの車の中で団長が、「今日は満月ですね。」とつぶやく。「ジュバの星空はきれいでしたね。」と答える。微妙に会話が噛み合っていない二人。ジュバではオリオン座が見えると津矢田隊員が言っていた。視力の悪いぼくには見えない。それもまた一つの人生だ。正解はない。

 22時前にホテル着。明日は6時20分ホテル発、国連機で再びジュバへ。15時15分発ナイロビ行きにうまく乗り継げるだろうか。経由地のナイロビやアムステルダムで隊員たちが羽目を外さないだろうか。帰京するまで心労は続く。(執筆:山田)



2011年1月17日 総括会議を行いました



総括会議の様子
 今日は、総括会議を行いました。15日に投票が終わり、開票作業は順調に進んでいます。我々の監視活動も終盤にさしかかってきました。隊員たちは、これまでの監視活動を通じて感じたこと・評価について、それぞれ意見を出し合いました。例えば、投票手続きがスムーズに進んでいたか、投票に必要な資材が揃っていたかなどなど……。

 

住民投票に関する所感

 ここで出た意見なども、監視団としての住民投票に関する所感に反映しました。そして、この所感は、明日18日にハルツームで予定されている日本監視団の記者会見にて、石井団長によって発表されます。こうして、ジュバでは所感作り、ハルツームでは会場設営の準備が並行して行われています。

 

アフリカ連合とアラブ連合の会見の様子

 他の監視団も同様に、所感を発表し始めます。それを聞きに行き、他の監視団が住民投票にどのような評価を出したかを情報収集するのも私たちの役目です。今日は、アフリカ連合(AU)とアラブ連盟が会見を行いました。

 そして、私たちの石井団長も、明日予定されている日本監視団の所感の発表のために、首都ハルツームに向け出発しました。記者会見が成功しますように!(執筆:津矢田)



2011年1月16日 住民投票が終わりました



 先遣隊にとっては12月24日、本隊にとっては1月1日から開始した住民投票の監視ミッションですが、間もなく終わろうとしています。

 昨日投票が終わり、多くの投票所で即日開票が始まりました。集計が終わるまで夜中の3時近くまでかかった投票所もあり、投票所スタッフの疲れもだいぶ溜まっています。疲れが溜まっているのは、日本政府監視団の縁の下の力持ちである運転手と現地アシスタントも同じです。集合写真



集合写真(総勢およそ30人)(写真左)

 

チームD




チームDの隊員と現地アシスタントと運転手(写真右)

 本日夜、慰労会が催され、現地アシスタントと運転手には感謝状が贈呈されました。朝早くから夜遅くまで、本当にお世話になりました。(執筆:寺脇)





2011年1月15日 住民投票最終日



投票の様子
 1週間にわたった住民投票も、いよいよ本日終了です。

 

投票箱

 開票は、投票所によって今晩または明朝から始まります。夜明け近くまで作業の続く投票所も多い模様です。「統一」か「分離」か、満杯になった投票箱たちも結果を心待ちにしています。(執筆:渡邉(謙))

 

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