「第12回国際平和協力シンポジウム」の開催について

令和8年3月10日(火)に第12回国際平和協力シンポジウム(研究員研究成果報告会)を開催しました。
本シンポジウムは、国際平和協力研究員(以下「研究員)という。)がその業務を通じて調査・研究した成果を発表し、国際平和協力分野の関係者に広く周知するとともに、その調査・研究を一層深化、発展させることかつ事務局の国際平和協力業務に資することを目的として開催しております。
今回のシンポジウムでは、研究員3名からの発表に加え、元国連事務総長特別代表の山本忠通氏より基調講演を賜り、静岡県立大学教授の山下光氏にもご講演いただきました。また、UNMISS司令部要員として任に当たった自衛官(喜田3佐及び皆川3佐)から、国連PKOの現場での経験を踏まえた日本の国際平和協力活動についての報告もいただきました。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

  • 日時:令和8年3月10日(月) 15:00~18:00
  • テーマ:揺らぐ国際秩序と我が国の国際平和協力活動をめぐる現状と課題-国際平和協力研究員からの報告
  • 主催者:内閣府国際平和協力本部事務局
  • 参加費:無料
  • 言語:日本語
  • 開催方法:対面(招待者)のみ

シンポジウムの様子

  • 若山慎司 内閣府大臣政務官
  • 山本忠通 元国連事務総長特別代表
  • 山下光 静岡県立大学教授
  • 右から喜田3佐及び皆川3佐
  • 福島安紀子 東京財団上席フェロー
  • 右から梅津研究員、波多野研究員、川端研究員
  • 集合写真

プログラム:
15:00~15:05   開会挨拶 森川徹 内閣府国際平和協力本部事務局長
15:05~15:35   基調講演:挑戦を受ける国際秩序維持制度:国連と日本の役割は?
  山本忠通 立命館大学客員教授/元国連事務総長特別代表
【第1部】国際平和協力の現状と課題
モデレーター:吉田孝弘 内閣府国際平和協力本部事務局次長
15:35~15:55   基調講演:国際平和協力の変遷と展望
  山下光 静岡県立大学教授
15:55~16:25   国連PKOの現場から
  元UNMISS司令部要員(喜田一磨3等陸佐 / 皆川桃子3等陸佐)
16:25~16:40   質疑応答
16:40~16:55   休 憩
【第2部】国際平和協力研究員成果報告
モデレーター:福島安紀子 東京財団上席フェロー
16:55~17:40   「武力紛争後の環境修復における国連PKOと我が国の貢献可能性」
  梅津茜 国際平和協力研究員 
  「国際平和協力における情報空間の脅威と制度的対応-テクノロジーと法の
  交差点における多層的ガバナンスの可能性-」
  波多野綾子 国際平和協力研究員
  「国際平和協力活動における非心理専門職者による精神保健・心理社会的支援」
  川端雪乃 国際平和協力研究員
17:40‐17:55   質疑応答
17:55‐18:00   閉会挨拶 若山慎司 内閣府大臣政務官

研究員の発表タイトル及び概要

※本シンポジウムの発表内容はあくまでも研究員個人のものであり、我が国政府や当事務局の見解を代表するものではありません。

氏名 梅津 茜(うめつ あかね)
タイトル 武力紛争後の環境修復における国連PKOと我が国の貢献可能性
概要 前回までのシンポジウムにおいて、現体制における紛争汚染の対応不足を指摘し、いずれの国及び機関も取り組んでいない早期除染の実施について提言した。今回、未だ定義づけが曖昧な紛争汚染の種類、形態、経時変化を精査するとともに、国際的な動向を整理し、紛争汚染対策において取り組むべき領域を明らかにした。また、国連PKOにおける取り組みとして、DDRと概念を同じくするRES(Remediation for Environmental Security)とともに、退役軍人や元戦闘員の除染プログラムへの参画を提言する。最後に、紛争汚染に関する研究の日本の立ち位置に言及することで、我が国における環境研究の進展を促したい。
氏名 波多野 綾子(はたの あやこ)
タイトル 国際平和協力における情報空間の脅威と制度的対応-テクノロジーと法の交差点における多層的ガバナンスの可能性―
概要 近年、国際平和協力の現場においては、誤情報・偽情報の拡散、ヘイトスピーチ、サイバー攻撃など、デジタル情報空間を舞台とする脅威が深刻化している。これらの問題は、選挙支援や和平プロセス、国連PKOや人道支援活動の信頼性や正当性に影響を及ぼし得るものであり、従来の平和構築や安全保障の枠組みのみでは十分に対応しきれない課題となっている。
本研究では、国際法、政策、人工知能(AI)を含む新興技術の観点から、国際平和協力における情報空間ガバナンスの現状と課題を整理する。具体的には、国連やUNESCO等の国際機関、グローバル・プラットフォーム企業、国際司法・人権機関、市民社会組織の取り組みを概観し、複数のアクターが関与する制度的対応の在り方を比較・分析する。
氏名 川端 雪乃(かわばた ゆきの)
タイトル 国際平和協力活動における非心理専門職者による精神保健・心理社会的支援
概要 本研究の目的は、国際平和協力活動における非心理専門職者による精神保健・心理社会的支援(Mental Health and Psychosocial Support: MHPSS)について現状を包括的に調査した上で、国際的な既存マニュアル・枠組みの導入及び応用の可能性を検討し、国際平和協力活動従事者のMHPSS能力強化、国際平和協力活動におけるMHPSSの統合促進、さらに国際平和協力活動従事者の心理的ウェルビーイングの向上に貢献することである。非心理専門職者による支援の提供を想定した緊急時の人道支援の文脈における国際的なMHPSSの枠組みやツールの概要、国連平和維持活動派遣前研修におけるストレスに関するモジュールの概要などについて報告した上で、国際平和協力活動従事者のセルフケアに関する提言を行う。