令和6年国際平和協力シンポジウム「国連平和維持活動の教訓と展望~アフリカ4大ミッションを例に~」結果概要

 2024年8月28日(水)、内閣府国際平和協力本部事務局は、国際平和協力シンポジウム「国連平和維持活動の教訓と展望~アフリカ4大ミッションを例に~」を三田共用会議所にて開催したところ、結果概要は以下のとおりです。

1 出席者

  • (1)ニコラス・ヘイソム 国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)事務総長特別代表(ビデオメッセージ)
  • (2)西田一平太 笹川平和財団上席研究員
  • (3)ジョン・コッケル カナダ外務省
  • (4)山下光 静岡県立大学教授
  • (5)上江洲佐代子 明治大学大学院客員研究員
  • (6)タティアナ・カリアニス プリンストン大学国際関係・テクノロジー顧問
  • (7)井上実佳 東洋学園大学教授
  • その他、聴衆として、実務者、研究者、在京大使館関係者等約80名が参加しました。

2 概要

  • (1)冒頭挨拶では、吉田孝弘内閣府国際平和協力本部事務局次長から、アフリカにおける4大ミッションのうち2件が撤退となったことに触れつつ、現状PKOの課題と今後の展望について議論する必要性について述べました。
  • (2)ニコラス・ヘイソムUNMISS事務総長特別代表が基調講演(ビデオメッセージ)を行い、国連PKOは多くの課題に直面しながらも、依然として国際的な平和維持のために重要で不可欠な手段であり、国連だけでなく全ての関係者の団結により任務を達成することの必要性が述べられました。その後、西田一平太笹川平和財団上席研究員のモデレートによるパネル・ディスカッションが行われました。
  • (3)議論の概要
  •  最初に国連PKOにおける代表的な安定化ミッション(MINUSTAH, MONUSCO, MINUSMA, MINUSCA)の課題が整理された後に、事例検証としてマリにおける国連PKO(MINUSMA)の撤退過程を振り返り、テロ活動の台頭を前にPKO要員が現場で直面した課題やリソースの不足により主要マンデートであった文民保護の遂行が困難になったことなど、PKOの政策的・戦略的脆弱性が指摘されました。他方、MINUSMAが多様なアクターとの間で仲介を行い、紛争予防の努力をしたことにも言及されました。
  •  その後、アフリカの平和活動における新たな展開としてアフリカ連合や准地域機構によるミッションが増加しているなか、今後国連がアフリカの地域機構とどのようなパートナーシップを構築するのかについて活発な議論がされました。昨年の12月に国連安保理で採択された決議2719についても議論され、国連は資金的にアフリカ連合を支援するだけでなく、人材育成など多面的に支援していく必要性も提案されました。そのような転換点において、日本はTICADやTPP等を通じて貢献可能であることも専門家から提起されました。会場の参加者からは、資金不足の問題が深刻であると指摘があり、各国によるウクライナやガザへの支援が増加するなか、アフリカにおける平和活動について議論を継続することの重要性や、多くの関係者が連携することの必要性などが提案されました。
  •  閉会の挨拶では、齋田伸一内閣府国際平和協力本部事務局長から、上記議論を振り返りつつ、関係者間の建設的議論が重要であるとし、引き続きの連携が呼びかけられました。

3 レセプション

 シンポジウム後は聴衆を含めたネットワーキングのため、工藤内閣府副大臣出席の下、レセプションが開催されました。

 

(シンポジウム)


基調講演(ビデオメッセージ)

パネル・ディスカッションの様子①
 
 

パネル・ディスカッションの様子②

パネル・ディスカッションの様子③
 


 

(レセプション)


工藤内閣府副大臣による挨拶

レセプションでの懇談の様子①
 
 

レセプションでの懇談の様子②

レセプションでの懇談の様子③