後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年8月25日

(令和5年8月25日(金) 11:25~11:49  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 冒頭、私から「新型インフルエンザ等対策推進会議令の一部を改正する政令」及び「感染症に係る緊急事態に対する政府の初動対処について」の閣議決定について申し上げたいと思います。
 まず1点目、推進会議令の改正につきまして。本日、「新型インフルエンザ等対策推進会議令の一部を改正する政令」が閣議決定されました。これまでは、推進会議の下に新型コロナウイルス感染症対策分科会や基本的対処方針分科会等の4つの分科会を設けまして、各分科会においてコロナ対策等に係る議論をしていただいておりましたが、新型コロナが5類感染症となって特措法の対象から外れたことにより、コロナ分科会等はその役割を終えたこと、今後は当面、新型インフルエンザ等対策政府行動計画の見直しが主たるテーマとなることに鑑み、分科会という細分化された会議体ではなくて、推進会議で俯瞰的、総合的に調査審議を行っていただきたいこと等を踏まえ、今般、これらの分科会を廃止し、今後は推進会議本体でのご議論を基本としていくことといたしました。
 また、これに伴い、推進会議の委員につきましては、お配りした資料のとおり15名を委嘱することといたしました。委員についてでありますが、保健衛生関係者としては、感染症の専門家に限らずウイルス学、臨床医学、危機管理といった幅広い分野から、また、社会経済関係者としては、政治、経済、法律、リスクコミュニケーションといった分野のバランス等を考慮して、また、引き続き主要な労使及び自治体関係者からそれぞれ選任いたしました。
 具体的には、小児科医で、感染症や予防接種等に関する幅広い知見をお持ちである、国立成育医療研究センター理事長の五十隆氏、地方自治や行政組織論をご専門とし、実務にも精通されている、早稲田大学教授の稲継裕昭、新型コロナ対応に加えて、臨床の現場でエボラ出血熱やMERS等の国内疑い事例にも対応経験のある、国立国際医療研究センター国際感染症センター長の大曲貴夫氏、日本医師会常任理事の釜萢敏氏、ウイルス学をご専門とされている、東京大学国際高等研究所新世代感染症センター機構長の河岡義裕氏、日本経済団体連合会危機管理・社会基盤強化委員会企画部会長の工藤成生氏、東京商工会議所議員の幸本智彦氏、感染症危機管理をご専門とし、WHO委員等を歴任されている、国立感染症研究所感染症危機管理研究センター長の齋藤智也氏、マクロ経済学に関する実証研究等をご専門とされている、学習院大学教授の滝澤美帆氏、医療分野に詳しい弁護士である、霞ヶ関総合法律事務所の中山ひとみ氏、リスクマネジメント・リスクコミュニケーションをご専門とされている放送大学教授の奈良由美子氏、全国市長会からは、三重県津市長の前葉泰幸氏、日本労働組合総連合会副事務局長の村上陽子氏、公衆衛生学、特に疫学をご専門とされている福島県立医科大学理事兼副学長の安村誠司氏。
 なお、これら14名に加えまして、都道府県知事が委員に就任予定であり。合計15名となる予定であります。
 今後、9月1日に正式に委員として委嘱し、できるだけ早く推進会議を開催しまして、政府行動計画の見直し等の議論を進めていく予定でございます。
 次に、2点目の初動対処の閣議決定について。本日は、「感染症に係る緊急事態に対する政府の初動対処について」が閣議決定されました。感染症危機管理については、これまで初動対処は内閣危機管理監を中心として、いわゆる事態室が担ってまいりましたが、先の通常国会で成立いたしました、新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律の施行によりまして、本年9月1日に内閣官房に設置される内閣感染症危機管理統括庁が初動対処から一元的に感染症危機管理を担うこととされました。
 今回の閣議決定は、このことを受けまして、感染症に係る緊急事態に関し、統括庁及びその長である内閣感染症危機管理監を中心として、政府の初動対処に当たる旨を定めることとしたものであります。
 統括庁の設置を9月1日に控えているところでありまして、その準備をしっかり進めるとともに、次の感染症危機に迅速かつ的確に対応するべく万全を期してまいりたいと考えております。
 また、もう一点、8月21日から23日まで、オーストラリアに出張してまいりました。
 8月22日に、メルボルンにてCPTPP担当大臣であるファレル貿易・観光大臣と会談を行いました。なお、当初はエアーズ貿易担当補佐大臣との会談も予定されておりましたが、こちらについては先方の日程上の都合により中止となりました。
 また、この機会にクッタバル海軍基地を訪問し、第2次世界大戦中の日本軍の特殊潜航艇による攻撃の犠牲者を追悼するとともに、その後の日豪の和解の象徴の一つでもある「クッタバル記念碑」に、オーストラリアの基地司令官とともに献花を行いました。
 ファレル大臣との会談では、先月のニュージーランドで開催されたTPP委員会の閣僚会合での議論も踏まえて、CPTPPをめぐる様々な議題について率直な議論を行い、引き続き緊密に連携していくことを確認いたしました。
 CPTPPにおいて、我が国の重要な同志国であるオーストラリアとの連携は非常に重要であり、かねてから大臣間での議論を深めたいと考えておりました。今回、初めて直接お会いしてじっくりと腰を落ち着けて議論を行うことができたことは、日豪の連携を一層強化する上で大変有意義であったと考えています。
 今般の議論も踏まえて、オーストラリアをはじめとする他の締約国とも密接に連携をとりつつ、CPTPPのハイスタンダードの維持に向けた取組等をしっかりと行ってまいりたいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)物価高対策について伺います。岸田首相は数日前に与党に対して、ガソリンなどの燃油高対策を指示されました。このほか、電気・ガス代など支援の継続を求める声が与野党から出ていますが、後藤大臣として、追加経済対策の必要性についてどのようにお考えでしょうか。お願いします。
(答)先日(22日火曜日)に総理から与党に対して、ガソリン価格の推移が国民生活や経済全体に与える影響を踏まえて、物価高対策第1弾として、ガソリンを始めとする燃料油価格対策について緊急に検討を行い、月内に与党として一定の方向性を提案するよう指示があったところであります。
 政府としては、与党とも連携して、この燃料油価格対策について今月中に成案を得ることとし、その上で、物価の状況等も見ながら9月以降、経済対策についても検討していくこととなると考えています。
 いずれにせよ、これまでも申し上げているとおり、物価・経済の動向やその国民生活への影響を見極めつつ、必要があれば機動的な対応を講ずるなど、国民目線に立った対応を進めてまいりたいと考えています。
(問)新型インフルエンザ等対策推進会議についての発表がございまして、これに関連して2点ほどお伺いしたいと思います。まず1点目なのですが、9月1日に委員として皆さん就任されて、できるだけ早い時期に会議を開催されたいというお話だと思うのですが、9月中にやるのかなど、もう少しスケジュール感が分かれば教えていただきたいのと、この中から議長というのも選任されると思うのですが、その辺の手続はどうなっているかということを、1点目、お伺いしたいと思います。
(答)できる限り早くに推進会議を招集したいと、9月1日に新体制が発足したあと、そのように考えています。
 また、会長の選任については、これは委員の互選ということになっておりますので、今のところ申し上げられる状況ではありません。
(問)関連しまして、もう一点なのですが、今回、新たな委員が就任されるということで、これまで議論をいろいろとされてきた尾身氏も退任されることになると思うのですが、尾身氏に関しましては、いろいろとコロナ対策に御尽力されたと思いますし、メディア等々でもいろいろ発信されてきたと思います。大臣のほうから、尾身氏が退任するに当たって何かコメントやメッセージのようなものがあれば教えていただけますでしょうか。
(答)尾身先生とは、本当に、これまでコロナ分科会をはじめ、様々な場面におきまして意見交換をさせていただいてまいりました。私は前職が厚生労働大臣だったということもあって、本当に専門家の会合等も含めて大変に御指導をいただき、有益なサジェスチョンを受けてきたと思っています。政府と専門家が一体となってコロナ対策に取り組んできたと思っております。
 今回、10年以上にわたって、新型インフルエンザ等対策推進会議の前身である新型インフルエンザ等対策有識者会議、そのときからずっと議長をお務めいただきまして、本当にその御尽力、御功績には感謝しているところであります。
 今回の交代については、尾身先生御自身とも事前にご相談させていただいた上で対応いたしておりまして、本当にこれまでの尾身会長の大きな御努力、御功績に対して、改めて心から感謝申し上げたいと思います。
(問)関連で委員のことでお伺いしたいのですが、特措法上ですと35人まで選べることになっていると思うのですが、15人というふうにしている人数、この人数でその後変わるのかとか、今、この人数というのがなぜこの人数なのかというのがあれば教えてください。また、岡部さんや押谷さんといった感染症の方もこれまで推進会議に入っていたと思うのですが、今回、人数的に全体が減っている部分もあって感染症の専門家も減っていると思うのですが、この辺の感染症の専門家の数についても、どうして今回こういった人数なのかについて教えてください。
(答)先ほども冒頭発言で申し上げたわけでありますが、これまで大変大きな人数の推進会議の委員を任命した上で、実際は、会議の運営上も含めて、その中から分科会をつくって分科会中心の運営をしてまいりました。分科会の設置と、それから分科会の決議は推進会議の決定とできることに会議規定上なっておりますから、そういう形で分科会中心の運営をしてまいりました。
 今後、新型インフルエンザ等対策政府行動計画の見直し、あるいはそうした事前の準備が主たるテーマとなってくるということであるので、分科会という細分化された会議体ではなくて、推進会議で俯瞰的、総合的に議論していくと、そういう方針に従って推進会議の運営に適した対応にしているということです。
 具体的には、感染拡大防止と社会経済活動の両立の観点から、新型インフルエンザ等対策全般について議論していただくために、これまでも感染症の専門家や医療関係者のみならず、関係団体も含めて、経済、法律といった様々な分野の専門家から幅広く選任しています。
 保健衛生関係者として感染症の専門家に、もちろん入っていただいておりますし、ウイルス学、臨床学、危機管理といった幅広い分野からも選任していると。そういう意味で、感染症の専門家にも十分に入っていただきご議論していただくように全体としてダウンサイジングをしているということは事実でありますが、これは今申し上げたような、そうした今後の推進会議を全体として俯瞰的、総合的に進めていくということを前提としての対応であります。
(問)私からは2点お伺いします。一つは、先ほどお話のあったTPPなのですが、オーストラリアのファレル大臣との会談の中身について。特に、今申請が出ている6エコノミーについてどのような議論があったか。端的に申し上げると、中台をめぐってどのような議論があったかというのを、もう少し分かるように教えていただければと思います。
(答)ファレル大臣との間では、先月のニュージーランドで行われたTPP委員会の閣僚会合、これはイギリスの加盟を確認した閣僚会合でありますが、そこで確認したハイスタンダードの維持、それから、またトラックレコードの精査、また、コンセンサス主義で締約国で運営していく、そうした原則を再度確認いたしたところです。
 そうした視点に従って、6つの申請エコノミーに対してどういう対応を取っていくのか、同志国であるオーストラリアとの間での連携も密にしながら今後、進めていくということで議論したところであります。
 個別のファレル大臣との会合の内容について、私からお話しすべきではないと思いますが、ファレル大臣は、オーストラリアの中国の輸入制限等について交渉を行っている担当大臣ではあります。
(問)先ほど物価高関連のお話がありまして、9月以降の経済対策なのですが、電気・ガスですとか、あるいはそれ以外の物価高騰対策、食品などもかなり上がっていますが、そうしたところについて論点になってくるのかなと思うのですが、その辺についての大臣のお考え、あるいは政府での検討状況をお話しいただけることがあればお願いします。
(答)9月以降の経済対策の検討に当たっては、今後の物価の状況等も見ながら、物価・経済の動向と、その国民生活への影響を見極めつつ、必要があれば機動的な対応を講ずるなど、国民の目線に立って対応していくということであります。政府として、どういう内容のものを検討していくかということについては、今言った考え方に沿ってしっかりと対応していくということであると思います。
 今、私の個人的私見を申し上げるのは控えさせていただきたいと思います。
(問)今の物価高対策について関連で質問なのですが。総理は第1弾でガソリンということをおっしゃって、第1弾ということは第2弾を9月に検討していくのかなというふうに思っているのですが。9月末で消えるものとして電気・ガスというものがあると思うのですが、大臣は先ほど、いろいろ総合的に検討していくようなお話だったと思うのですが、電気・ガスの値段について、現状の認識として大臣はどのようにお考えになってますでしょうか。
(答)現状の認識から言いますと、今、安定していた原油高が少し進んできているという認識は持っています。原油が高くなれば、もちろん調整にしばらく時間はかかるとしても、電気・ガス、これは価格設定という意味で上がってくるということは予定されますし、電気・ガスが上がるということになれば、国民生活への影響は大きいということでありますから、今後、第1弾に続く第2弾というご指摘でありましたが、そういう点から言うと、原油、ガス等に対する対応ということも非常に的確に対応していくべき重要な項目であるという認識を持っています。
(問)少し話題が戻ってしまうのですが、尾身会長が退任される件について、先ほどの御回答の中で、今回の交代については事前に尾身会長とも相談した上で対応されたということだったのですが、尾身会長が今回の推進会議のメンバーに入っていないというのは、尾身会長御自身が固辞されたということなのでしょうか。
(答)どちらがどうということはありませんが、事前には人選についてご相談させていただいた。それ以上のやりとりについては、特に申し上げないということでございます。
 いずれにしても、これまで、先ほども申し上げたように、本当に前身の新型インフルエンザ等対策有識者会議から見れば、10年以上にわたって議長を務めていただきまして、今回の新型インフルエンザと新型コロナでの対策に、陣頭に立って、本当に専門家としての活動をしっかりしていただいたことに対しまして、本当にその御尽力、御功績に対して大変感謝しておりますし、尾身先生の様々な場面における意見交換を通じて、政府と専門家の関係を緊密にしながらコロナ対策に取り組んできたと考えています。 

(以上)