後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年8月15日

(令和5年8月15日(火) 10:32~10:45  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 それでは、私のほうから2点申し上げます。
 本日公表の2023年4-6月期GDP速報値では、実質成長率は前期比プラス1.5%、年率に換算するとプラス6.0%、また、名目成長率は前期比プラス2.9%、年率に換算するとプラス12.0%と、いずれも3四半期連続のプラス成長となりました。なお、実質GDPの水準は過去最高となっております。
 内訳を見ますと、供給制約の緩和による自動車生産の増加やインバウンド需要の回復に伴う輸出の増加等により、外需が2四半期ぶりにプラスとなったほか、設備投資が、デジタル化の進展等を背景としたソフトウエア投資の増加により、2四半期連続のプラスとなっております。
 一方、個人消費は、実質でマイナス0.5%と3四半期ぶりにマイナスとなりました。これは、経済社会活動の正常化が進む中で対面サービスが回復した一方で、物価上昇の影響もあり、食料品や家電等が減少したことなどによるものです。
 雇用・所得環境をみますと、実質雇用者報酬が前期比で7四半期ぶりにプラスとなり、今後も、30年ぶりの高水準となった春闘の結果の賃金への反映等を通じ、改善が続くと見込まれます。また、企業の設備投資計画では、高い投資意欲がみられます。これらを背景に、先行き、景気の緩やかな回復が続くことが期待されます。
 ただし、物価上昇の影響や海外景気の下振れリスクには引き続き十分注意が必要であると考えております。
 政府としては、「骨太方針2023」及び「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」に基づき、物価高に負けない賃上げに向け、コストの適切な転嫁を通じたマークアップの確保による「賃金と物価の好循環」、さらには、一過性でない構造的な賃上げの後押しや国内投資の拡大を図って「成長と分配の好循環」を実現してまいりたいと思います。
 引き続き、経済・物価情勢を注視しつつ、必要があれば機動的に対応を講じるなど、国民の目線に立った対応を行ってまいります。
 2点目についてでありますが、8月21日から23日まで、オーストラリアに出張いたします。
 オーストラリアにおけるCPTPP担当大臣であるファレル貿易・観光大臣及びエアーズ貿易担当補佐大臣と会談を行います。先般の英国のCPTPPへの加入決定も踏まえつつ、CPTPPの着実な実施とハイスタンダードの維持に向けた今後の取組等について議論する予定であります。
 詳細は事務方にお尋ねいただきたいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)私からはGDPで1問と、TPPから1問お伺いします。
 GDPですが、実質前期比1.5%増、年率で6.0%増と高い成長を記録したかと思うのですが、反面、中身を見ますと個人消費が落ち込んでいます。また、設備投資もプラス0.0%と低い伸びであった。更には、輸入のところがかなり成長に効いてきているという部分もあり、率直に申し上げると、やはり数字ほどいい内容でもないのかなという印象を持つのですが、この辺に関する大臣の見解を伺いたいのが1点です。まず、それからお伺いします。
(答)本日公表の2023年4-6月期のGDP1次速報値では、個人消費が実質でマイナス0.5%と3四半期ぶりにマイナスとなりました。0.2、0.6と伸びた後での3四半期ぶりのマイナスということではあります。
 足元までの消費の動向を見ると、経済社会活動の正常化が進む中で、飲食、あるいは宿泊等の対面サービスが回復している一方で、物価上昇の影響もあり、食料品や家電等で弱さが見られるという状況になっています。
 先行きについてですが、物価上昇の影響等に十分引き続き注意する必要があると考えておりますが、実質雇用者報酬が前期比で7四半期ぶりにプラスとなり、今後、30年ぶりの高水準となった春闘の結果の賃金への反映等により、雇用・所得環境の改善が続くことが見込まれるほか、今、足元の様子を見ておりましても、消費者マインドの持ち直しが引き続き続いていること、また、コロナ禍の活動制限下で積み上がりました貯蓄が、経済活動の正常化が進む中で取り崩されて消費に向かうことも期待されることなどを背景に、個人消費は持ち直しが続くことが期待されると考えています。
 また、企業設備についても、ソフトウエア省力化などが少し良くなった反面、研究開発等で少し今月足踏み等もありますが、基本的には0.0ということでありますし、御指摘のような心配の面はないと思っています。
 政府としては、物価高に負けない賃上げに向けて、コストの適切な転嫁を通じたマークアップの確保による「賃金と物価の好循環」、さらには、一過性でない構造的賃上げ、それから国内投資の拡大を図っていくということで、「成長と分配の好循環」をしっかり実現してまいりたいと思います。
 引き続き、経済・物価情勢を注視しつつ、必要があれば機動的に対応を講じるなど、国民の目線に立った対応を行っていきたいと思います。
(問)もう1点はTPPなのですが、今、オーストラリア出張をされるというお話がありまして、今後の取組についても担当大臣と議論されるということなのですが、端的にお伺いすると、今、6か国が申請されている中で、その辺の加入の取扱い、中・台を含む申請国の加入の取扱いについて、どうしていくかという議論をなされる予定だということでよろしいでしょうか。
(答)今後のCPTPPの進め方の中に、英国加入ということになりましたので、その後、新規加入要請エコノミーに対してどういう対応をしていくのかということも、もちろん率直な議論の中には含まれるだろうと思いますが、今の段階で、新規加入要請について一体どんな議論をするのかとか、具体的にどういう議論が予想されるかと、そういったことについては予断を持って申し上げることは差し控えたいと思います。
(問)GDPの消費と物価上昇の関係ですが、これを受けて、基本的には、物価上昇に負けない賃上げ実現の支援に政府として全力を尽くすということなのか、9月に終了が見込まれているようなエネルギー補助金的な、あまり構造的ではない一過性の政策であっても、消費の下押しを防ぐためには、全力でいろいろ国民目線で対応を打ち続けますということなのか、方向性を現時点でお話いただければ。
(答)今後の物価動向や賃金の動向は、これまで申し上げたような前提でありますから、時期を見て、物価に負けない賃金の水準が達成されるものと考えています。
 物価高につきましては、政府はこれまで電気・都市ガス料金の負担軽減をはじめ、いろいろな、ガソリン、肥料、低所得者世帯への対応など、累次にわたって対策を講じてきて、電気・ガス料金の負担軽減策によって消費者物価指数の上昇幅を1%ポイント程度抑制するなどしてきました。
 他方で、食料品を中心とした消費者物価の上昇で、個人消費の弱さが見られることに留意する必要がありますが、引き続き物価・経済の動向やその国民生活への影響を見極めつつ、必要があれば機動的な対応を講ずるなど、国民の目線に立った対応を進めていくという姿勢です。
 10月以降のガソリン・電気・都市ガス等への対応等については、引き続き、物価・経済動向、国際的な燃料価格の動向等などを踏まえて、今後、適切に対応を考えていきたいと考えています。
(問)今回、輸入が結構大きくマイナスになりまして、GDP全体の押し上げ要因になったと思うのですが、こちらの背景としては、内需の弱さを反映したものではないかという見方もできると思います。こちらの輸入の落ち込みについて、大臣はどのようなお考えをお持ちでしょうか。
(答)輸入について言えば、3四半期連続のマイナスになっています。その内容として言えば、鉱物性の燃料、原油だとか、LNGだとか、そうしたものが減っている、それから、ワクチンをはじめとした医薬品の輸入等が減っている、その他、携帯電話等が減少しているということであり、前期比の数字でありますから、それ以前の水準が高かったということもあると思います。
 そういう意味で、全体として消費、あるいは内需が拡大する中で輸入が減っているというのは、そういう要因によるものだというふうに考えています。

(以上)