後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年6月2日

(令和5年6月2日(金) 10:42~10:52  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 それでは、私のほうから最初に「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」の最終報告について、冒頭発言をさせていただきたいと思います。
 多様な社会課題に、個人が自らの価値観に基づいて主体的に取り組む社会を実現するために、「公」の担い手たる公益法人の活性化を目指すことは、極めて重要であります。
 こうした認識の下で、昨年10月に「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」を設置し、これまで11回にわたりまして御議論いただいたところでありますが、先ほど、雨宮座長と高山座長代理から、公益法人制度改革の方向性を取りまとめた「最終報告」を頂きました。これが最終報告であります。
 最終報告では、公益法人は自らの経営判断で、その潜在能力を最大限に発揮して、社会課題の解決に機動的に取り組むことができるようにするために、今回、3点の大きな制度改正を提言されております。
 第1の視点でありますが、それは公益目的事業に求められる収支均衡の期間を2年から5年に拡大する。過去の赤字も通算して均衡を判定することなど、こうしたことから公益法人が活動しやすい財務規律に見直すというのが第1点です。
 それから第2に、公益性に大きな影響がない事業変更の届出化。これは、従来は公益認定をいちいち受けなければならないということで大変だったわけですが、事業変更の届出で済むようにする。それから合併手続、これも社会が非常に変わっていく中で、公益法人等の合併や組織変更等が行われる必要が出てきました。そうしたことで合併手続などの柔軟化、そうした組織運営の柔軟化を可能にする。これが2番目でございます。
 一方で、こうした柔軟化を担保する信頼性確保のために、第3に、一元的情報提供プラットフォームの整備などによる透明性の確保やガバナンスの充実を進める。こうしたようなことを制度改正の報告書として今回、御提示いただいています。
 これらの改革は、「新しい資本主義」が目指す、「民間も公的役割をしっかりと担う社会」、「多様な主体による社会課題の解決」、そうしたものの実現を具体的に図るものと言えます。今回の報告は、2006年の現公益法人制度創設以来の大がかりな制度改革となります。この最終報告を踏まえまして、今後、次期通常国会への法案提出を目指して作業を進めてまいります。
 詳細については、内閣府公益法人行政担当室にお尋ねいただきたいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今日、手交されました公益法人改革の方向性、最終報告ですね。こちらはかなり大がかりな改革だと思うのですが、これによって、新しい資本主義にのっとってどのような公益法人活動が盛んになっていくのか、活発になっていくのか、どこに期待されるか教えてください。
(答)今回の最終報告というのは、「公益法人」をより使いやすい形に、今の社会のニーズに適合させる形で公益法人の潜在能力を最大限に発揮できるようにすることで、行政部門や民間営利部門だけでは解決できない多様な社会課題に柔軟に対応できるようにするものです。
 そういう意味で、「新しい資本主義」が目指す、「民間も公的役割を担う社会」、あるいは「多様な主体による社会課題の解決」の実現を図れる社会、そうした新しい資本主義が目指すものを実現していく上で重要な役割を果たすものだと考えています。
 最終報告を取りまとめる過程で実施されたパブリック・コメントでも、公益法人や多くの国民の皆様から260件に及ぶ意見を頂きまして、今回の改革への大きな期待が寄せられていると思いますし、公益法人協会による「中間報告」に関するアンケート調査によっても、中間報告書全体の評価として「肯定的に評価」という回答をされた方が4分の3以上、76.1%を占めるという結果でもありました。そうした社会にある様々な課題解決へのニーズ、公的な役割に対する社会のニーズ、こうしたものにしっかりと応えていけるものだと考えています。
 お尋ねではなかったかもしれませんが、最終報告を踏まえまして、この制度改革をしっかりと実現していくために、公益法人認定法、そして、この中にも書かれております、従来から検討してまいりました公益信託法の改正法案も、次期通常国会に提出することを目指して作業を進めてまいりたいと考えています。
(問)少子化対策について伺います。昨日の「こども未来戦略会議」のほうで、方針の素案に児童手当の所得制限を撤廃し、多子世帯にも加算する方針などが打ち出されました。ただ、児童手当の拡充が少子化対策につながるかどうかというのは疑問的な見方もあります。昨日、検証の観点から記者会見で質問があったかと思いますが、現時点で少子化への実効性についてどのようにお考えになられているか、大臣の期待感も含めて所感をお願いいたします。
(答)今回、所得制限を児童手当について撤廃するという議論になったのは、少子化の背景に、子育てや教育にかかる費用負担の大きさというのが最も多くして寄与されてきたことでありまして、こどもを生み育てたいと思っても希望がかなわない一番大きな障壁が、こうした費用負担の重さであるということで、経済的に支援をするということが必要だろう。そしてまた、これまで待機児童の問題が顕在化したことがきっかけとなって、いわゆる現物給付である保育所の受け皿、保育園、そしてまた幼稚園の幼児教育・保育の無償化の問題だとか、現物給付を重点的に充実してきた経緯もあるわけでありますが、国際比較においても、相当に相対的に現金給付の割合が日本は低いというようなこともあります。
 そうした中で、全てのこどもの育ちを支える経済的な支援の基盤を強化する、そういうメッセージをしっかりと社会に出していくということで、児童手当の所得制限の撤廃、高校卒業までの延長と、多子世帯の経済的負担を踏まえた手当額の拡充を行うこととしたところです。
 そういう意味からいえば、現金給付によって、子育てに伴う様々なニーズ、負担に柔軟に対応することができるという効果があると考えておりますし、また、今申し上げたように、全てのこどもの育ちを社会全体で支える、そういう新しい考え方、普遍的に理念の社会をつくることによって、こどもの育ちをしっかりと支えていく、そういうことからこどもを生み育てやすい、そういう社会が実現できることを通じて、こどものいわゆる少子化対策、それに効果があるのだと考えています。

(以上)