後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年5月25日

(令和5年5月25日(木) 18:24~18:33  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要を報告いたします。今月は「景気は、緩やかに回復している。」と判断を上方修正しています。
 これは、これまで弱含みが続いてきた生産や輸出が足下での持ち直しの兆しや底堅さをみせていること、また、新型コロナの5類移行等をもって、これまで景気の自律的な動きを制約してきた要因が解消され、賃上げの動きと個人消費の持ち直しなど好循環が進展していることなどを受けたものです。
 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクや、物価上昇、金融資本市場の変動等による影響に十分注意が必要です。
 この他、会議の詳細については後ほど事務方から御説明をいたします。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)月例経済報告についてですが、今月は項目別では個人消費などを上方修正したわけですけれども、一方で実質賃金という点で見ると、2022年度は前年度比マイナスで、家庭向けの電気料金も6月分から値上げされることが決まっています。
 今回、月例では先行きについて、緩やかな回復が続くと期待されるとしていますけれども、今後についてマイナス要因とか不透明な要因も幾つかある点について、どのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
(答)足下の個人消費についてみると、供給制約の緩和に伴う生産増を受け、新車販売が増勢を強めていることや、消費者マインドが改善する中で、外食等の増加が継続し、また、ゴールデンウィークの国内交通の利用実績もコロナ禍以前の水準まで回復していることなどから、全体として持ち直していると考えています。
 先行きについても、新型コロナの5類移行により、度重なる感染拡大と行動制限等の景気の自律的な動きを制約してきた要因が解消されまして、賃上げを通じた所得の改善が消費へ波及することで自律的な動きが進展すると見込まれるなど、電気料金の値上げ後も消費の増加傾向が継続すると期待されます。
 なお、途中、ご指摘のあった電気料金の値上げについては、今年度(23年度)のFIT賦課金の低下分や直近の燃料価格の低下を踏まえた燃料費調整額、また、電気料金の激変緩和措置を加味すると、7社中5社が値上げ申請前よりも低い料金水準となるなど、その影響は緩和されていると認識いたしております。
(問)基調判断は、今回、緩やかに回復ということで引き上げられたわけですけれども、GDP統計などを見ていますと、マイナス成長の後も低い成長が続いているような状況がございますけれども、実体経済を見たときに回復と言えるのかどうかという点について、大臣としての御見解をお伺いできればと思います。
(答)実質GDPの成長率については、2四半期マイナス成長だったということは認識しておりますが、2022年の7-9月期のマイナス成長は対外サービスの一時的な支払い増、すなわちこれは輸入の急増ということですが、そうした要因、また、10-12月期は在庫投資の大幅な減少といった一時的な要因による数字であると考えておりまして、むしろ個人消費は4四半期連続の増加、設備投資も2022年10-12月期を除いて増加は続けているなど、輸入物価の急激な上昇という逆風下にあっても、総じてみれば内需は持ち直しており、今期はプラス幅を拡大したものと認識しています。
 その上で、今回の上方修正の背景、理由でありますが、個別項目の動きをみると、生産や輸出について、供給制約の緩和に伴って自動車が増加傾向を強めていることなどを背景に上方修正。また、個人消費について、新車販売が増勢を強めていることや、消費者マインドが改善する中で、外食等が増加傾向で推移し、ゴールデンウィークの国内交通もコロナ禍以前の水準まで回復していることなどを背景に上方修正しています。
 今回、前回と比べてみて、上方修正の理由というのは個別具体的にはこういう項目を見て判断しています。
 さらに、景気動向の基調ということからこのことをもう少し補強しますと、先ほどからちょっと申し上げていることで恐縮ですが、コロナ禍では度重なる感染拡大と行動制限によって、景気の自律的な動きが制約される状況が続いていましたが、今般、新型コロナの感染法上の位置付けが変更されたことに伴って、そうした制約がなくなったということ、それから、足下では春闘において30年ぶりの高い賃上げとなる中、個人消費が持ち直すという好循環の兆しがみられることなど、景気全体として、コロナ禍からの「持ち直し」のフェーズから、自律性をもった動きが進んでいることを踏まえて、「回復」という判断をしたということであります。3段に分けて説明しました。
(問)先行きのところで教えてください。先行きで、海外経済の下振れリスクであったり、あと、金融資本市場の変動というものが挙げられています。5月の頭にも米国のファースト・リパブリック・バンクの破綻などがありました。改めて海外経済の先行きについてどうみていらっしゃるか、教えてください。
(答)3月以降に生じました欧米金融機関の問題に対しては、各国の金融当局によって迅速な対応がなされたものと認識しています。
 また、我が国の金融機関は、総じて充実した流動性や資本を有しておりまして、金融システムは総体として安定しているものと認識をしています。
 こうした中で、我が国経済にも大きな影響は生じておらず、景気は緩やかに回復して、先行きについても、雇用・所得環境の改善が続く中で、景気は緩やかな回復が続くことが期待されます。
 一方で、ご指摘もありましたが、欧米各国で金融引締めが続く中で、金融資本市場の変動などのリスクには引き続き十分な注意が必要であると考えています。
 政府としては、金融資本市場に様々なリスクがあり得るということを念頭に置いて、それらの動向と我が国経済への影響について、引き続きしっかりと注視をしてまいりたいと考えております。

(以上)