後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年5月17日

(令和5年5月17日(水) 18:17~18:37  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 本日、総理を議長とする、「こども未来戦略会議」の第3回の会議を開催させていただきました。
 本日の会議では、こども・子育て政策の強化として、加速化プランに沿って検討すべき項目を中心に、具体的な制度設計や、更に検討を深めるべき課題などにつきまして、構成員の皆様から、それぞれ、忌憚のない御意見をいただきました。
 主なご意見について、その概要についてご説明、ご紹介申し上げたいと思います。
 まず、児童手当に関してです。児童手当の所得制限は全てのこども・子育て家庭を経済的に支え、子育て家庭の間の分断を生じさせない観点から撤廃すべきだという御意見が複数から出ました。
 また、児童手当は財源に限りがあるために、手当を増額するのであれば対象者を重点化すべき、これも複数の方から御意見がありました。
 また、児童手当の金額について、第3子以降に対する手当額を重点的に引き上げるべきだというご意見も複数の方から出ておりました。
 また、全てのこども・子育て世帯を対象とするサービスの拡充に関しまして、「こども誰でも通園制度」を早急に全国で実施して、未就園児を含めた全てのこどもの生育環境を確保できるようにすべきだと。
 出産費用の保険適用、産前・産後のケアの拡充、幼児教育・保育の配置基準等々、更なる処遇改善、新・放課後子ども総合プランの着実な実施など、各種施策について、具体的な制度設計に向けて検討を着実に進めるべきというようなご意見が出ています。
 また、共働き・共育ての推進につきまして、自営業者・フリーランス等の国民年金の第1号保険者に対する育児期間中の保険料免除措置の創設は重要であり、早急に実施すべきであるというご意見が出ています。
 時短勤務を選択した場合の新たな給付制度は、創設に向けて、男女の家事分担の観点や、適切な所得保障の程度といった観点を踏まえて、労働政策審議会で丁寧に検討すべきであるというご意見。
 また、中小企業での両立支援・働き方改革を進めるため、中小企業に対する助成措置を強化すべきであるという趣旨のご発言がありました。
 このほか、加速化プランの内容は早急に実現すべきだが、中長期的にはPDCAサイクルを回しながら、政策の優先順位について柔軟に見直しを図るべきである。
 少子化対策の財源については、徹底した歳出改革が大前提であり、社会保障費の適正化・効率化などを通じて新たな負担を軽減すべきであるというようなご発言がありました。
 会議の最後、岸田総理からの締めくくりの発言につきましては、皆様もお聞きいただいたとおりだと思いますが、少子化は我が国の長年の問題であり、これ以上放置することのできない「待ったなし」の課題である。
 経済的支援の強化、サービスの拡充、共働き・共育ての推進、意識改革、こうした4つを通じて、全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援する「総合的な制度体系」を構築すべく、今後3年間の「こども・子育て支援加速化プラン」の各種施策を速やかに具体化し、財源の確保とあわせて実行に移す必要があるというお話でありました。
 また、そのために次回の会議では、「加速化プラン」を支えるために必要となる安定的な財源の在り方について、集中的に議論をしてほしいという発言もありました。
 さらに、6月の「骨太の方針」までに、本会議におきまして、「こども未来戦略方針」を取りまとめるようにという指示がありました。
 本日の会議の内容のご紹介は以上でありますが、引き続き構成員の皆様とともに、迅速かつ精力的に議論を進めて、こども・子育て政策、また財源併せて、しっかりと結論を得るように進めていきたいと考えています。
 なお、詳細については、またこの後、事務方からもブリーフィングを実施いたしますので、どうぞ御質問いただきたいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)財源の部分について、今日、総理から、次回の会議で集中的な御議論をというお話がありましたけれども、時間も迫っている中、今後どのように議論を展開していかれるおつもりなのか教えてください。また、財源について、特別会計をというような報道ですとか、また医療保険料に上乗せする案が出ているといった報道がありますが、そのあたりの審議等についても教えてください。
(答)先ほども御説明したように、本日の会議では、まず加速化プランに沿って検討すべき項目、こども・子育て政策の強化の内容について議論していただきましたが、あわせて、こども・子育て政策の強化のための予算や財源の在り方などに関しても、ご意見があったところです。
 今、申し上げたように、会議の最後に総理からもお話がありましたが、「たたき台」の「こども・子育て支援 加速化プラン」に掲げられた各種政策は、財源と一体的に具体的に議論を進める必要があることから、これらの御意見も踏まえつつ、次回の会議では「加速化プラン」を支える安定的な財源の在り方について、ご議論いただく予定であります。
 6月の骨太の方針までに、財源も含めた「こども未来戦略方針」を取りまとめるべく、鋭意議論を進めていきたいと考えています。
 それから、今、特別会計の創設についてどうなのかという御質問でありましたが、本日の会議で特に「特別会計の創設を検討すべき」との発言はありませんでしたが、こども・子育て政策を強化するための安定的な財源を考えていく際には、その在り方、国民にとって給付と負担の全体像が分かりやすいようにしていくことが重要であるということは、私も同感であります。
 次回のこども未来戦略会議では、こうした観点から、財源の在り方と併せて、国民にとって給付の負担の全体像が分かりやすいようにする仕組みの構築についても、御議論いただくことになるのではないかと思っています。
(問)こども未来戦略会議のことでお伺いしたいのですが、次回、財源論ということですが、骨太までにあまり日数もないと思うのですが、大体、財源論については何回ぐらい議論をされる予定で、残り何回ぐらいこの会議を開かれる予定なのか教えてください。
(答)今後、構成員の皆様、関係大臣で議論をしながら進めていく会のことですから、あと何回で終わるということを決めているわけではありません。
 少なくとも次回は財源の問題を議論して、また、その財源の議論についての収束の状況等を見ながら。それにしても、今、御指摘のとおり、6月にしっかりと骨太までにまとめるということでもありますし、今日、総理から指示がありましたように、「こども未来戦略方針」というのをこの会議でまとめるということですから、少なくとも骨太の前にそうした方針案をまとめるということで進めたいと思いますから、それも含めて、通常ですと6月の中旬になる骨太までの間に、鋭意作業を進めていきたいと思います。
(問)今日、児童手当のことについて、所得制限撤廃は廃止すべきだという意見や、第3子以降には重点的に増額という話も出ていたかと思うのですが、いわゆる児童手当の中身、どういう中身で最終的に決めるのかというのは、今日の議論をもって政府案がまた考えられるという理解でいいですか。それとも、財源とまた併せて議論されるということはあるのでしょうか。
(答)多子世帯の手当額、児童手当の所得制限の撤廃、先ほど両論あったことは御紹介しているとおりなので、そのことについては改めて繰り返しはしませんが、どの程度の政策拡充ができるかということは、どの程度の財源を確保するかということと切り離して議論することはできません。少なくとも加速化プランで提示されている政策について検討すべきものは引き続き検討するとしても、やっていくものについて、どの程度の規模の政策ができるかということは、どの程度の財源が確保できるかということとセットなので、給付と負担を完全に分けて議論するということはできません。
 そういう意味では、今後、引き続き併せて議論をするということですが、これまでは、いわゆる制度論的な政策論を中心にやってきましたけれども、これからはそれを財源というかたちでしっかりとまとめる議論に入っていく。そして、どういうかたちで財源を確保していくのか、これを議論することになると思います。
 これまでも申し上げているように、歳出改革が前提でありますし、こども・子育てというのは未来の投資でもあり、社会全体、あるいは国民一人一人で支えていく必要がある。そういうことは全世代型社会保障の報告でもまとめられていることで、そうしたことを考え合わせながら、そして、どれだけの政策をやるのかということと併せて、先ほど言った期限までにしっかりまとめていきたいと思います。
(問)今の大臣の御説明にも関係するのですが、冒頭、総理から御指示があったという、こども未来戦略方針のお話もありましたが、どれぐらい具体的なものにするイメージなのか教えていただきたいです。例えば、予算規模とか歳出改革でどれぐらい出すかという規模感まで掲載するものなのかとか、加速化プランも全て実行するというものでもないと思いますけれども、今の議論を踏まえて、何をやる、いつまでにやるというロードマップみたいなものも示されるのか、そのあたりのイメージを教えてください。
(答)これからまだ議論するところなので、どの程度のイメージのものをまとめるかということを、私が今ここで私の考えを述べることは不適切だろうと思いますので、委員の皆さんや関係の皆さんとよく調整しながら、そのことも含めてまとめていきたいと思います。いずれにしても、総理からは、予算の倍増の道筋の大枠を示すということでありますから、少なくとも何らかのかたちの数字的な大枠の説明みたいなものは、それは当然含まれていることだろうと思いますが、どの程度のことをどの程度にまとめていくかということは、これからしっかりと皆さんと相談しながら、できる限り具体的で、できる限り分かりやすいものをまとめたいと思います。
(問)総理の発言にあった、次回、安定的な財源について集中的に議論するという部分ですけれども、次回は、例えば政府としての案を示すことがあるのかということが1点。あと、このこども未来戦略方針と骨太方針の関係性というか、この戦略方針がそのまま骨太の中に盛り込まれていくものなのか、その関係性を教えてください。
(答)次回の議論ですが、政府から具体的な案をお示しするとか、そういう予定はありませんし、考えていません。
 それから、骨太との関係ですが、どういう形式、体裁であるかということまでは別として、基本的にはここでまとめた方針、こども未来戦略方針を骨太の中に取り込んでいくということで考えています。
(問)すみません、午前中の会見で聞けなかったもので、GDPのことで関連でお聞きしたいのですがよろしいでしょうか。
(答)資料を持ってこなかったけれども、どうぞ。
(問)国民総所得、GNIについてお聞きしたいのですが。10年前の日本再興戦略ですと、1人当たりの名目の国民総所得、GNIについて、150万円ほど10年後に増加するという目標を掲げられておりましたが、10年後、今回の結果を見ますと、1人当たり半分の75万円ほどになっておりますが、これについてどのように受け止められるか教えてください。
(答)いずれにしても、GNIの話はまた改めてしっかりとお答えしたいと思っておりますが、今、我々、国民の所得をできる限り実質賃金を上げるかたちで、分配を増やすというかたちで取り組んでいこうということでやっています。これまでそうしたかたちでうまくこの20年間、10年間が回ってきたのかということについては、政府としては割合にはっきりと、従来のままでは駄目だということを国民の皆さんに御説明した上で、今、新しい取組にも取り組んでおります。外との関係、内外(うちそと)の関係とも関係がありますし、また改めて御説明させていただきます。
(問)今日の資料を見ておりますと、委員の方から、国民の理解を求めることが重要であるというような趣旨の指摘が幾つかあったと思うのですが、現状、各種世論調査とかアンケートとかを見ていると、必ずしも政府の子育て政策に対する期待というのは高まっていないです。
 例えば、昨日、毎日新聞のネットの調査だと、政府の子育て政策に対する期待しているという人が7%で、期待していない人が90%という、かなり開きがあったりとか。そこら辺、どういうふうに今後理解を求めていくのか、何か具体的に考えていらっしゃることがあるのか。このままだとあまり変わらないような気がするんですけれども、いかがでしょうか。
(答)こども・子育て政策に期待していないという言葉の意味ですが、政府の政策の規模に期待できないから期待していないのか、それとも、こども・子育てという政策、こども・子育てという日本の国が今抱えている政策課題に本当に興味がないのかということを分けて考えたほうがいいかなと思います。
 私はやっぱり今、日本の国にとって、このこども・子育ての問題というのは非常に重要な課題で、国民の多くの関心がある課題だと私は認識しています。もし国民が、政府はそうは言っていても大した対策もやらないだろう、金もないし、どうせ何もやらないのだろうという意味で、今、御指摘を受けたような話だとすれば、それは誠に残念なことで、我々としては、国民の皆さんがどう異次元なのかということをしっかり認識していただけるように、きっちりとこども・子育て政策を、将来の倍増という道筋も含めて示せるようにしていきたいと考えています。

(以上)