後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年5月17日

(令和5年5月17日(水) 11:36~11:49  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 本日公表の2023年1-3月期のGDP速報値では、実質成長率は前期比プラス0.4%、年率に換算するとプラス1.6%となりました。
 これを受けた私の談話は、お手元に配布しているとおりでございますが、供給制約の緩和を通じた自動車生産の回復やウイズコロナの下で、個人消費が4四半期連続のプラスになったこと等を受けて内需がプラスとなっており、アジア向け輸出の減少等により外需はマイナスとなったものの、全体として景気の緩やかな持ち直しが続いていることが示されている結果となりました。
 また、名目GDPの水準は570.1兆円となり、コロナ禍以前の最高水準を3年半ぶりに上回り、過去最高となっております。
 世界経済の下振れ等には注意が必要であるものの、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行等を受けたマインドの改善、それから30年ぶりの高水準となっている春闘の賃上げ率、また、企業の高い投資意欲等を背景に、緩やかな持ち直しが続くことが期待されています。
 政府としては、こうした前向きな動きを拡大し、賃金上昇やコストの適切な価格転嫁・マークアップ率の確保を伴う賃金と物価の安定的な好循環へとつなげていきたいと考えています。
 あわせて、グリーン、イノベーションをはじめとする計画的で重点的な官民連携投資の拡大を進め、「成長と分配の好循環」の実現に向けて取り組んでまいります。
 こうした取組を通じて、デフレに後戻りしないという認識を広く醸成しつつ、デフレ脱却と持続的な民需主導の経済成長を実現していきたいと考えています。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)個人消費の先行きに関して伺います。談話にもありましたが、コロナの5類移行で、さらにサービス消費を中心に回復が続いていくと思いますが、そこに関して大臣の御期待とかがあればお願いいたします。ただ一方で、電気代が値上げされて、結構家計に負担になると思うのですが、こちらが個人消費の抑制になるのではないかという懸念もあります。ここに対する大臣のお考えと、もし例えば、今もう既に激変緩和措置をやっておりますが、追加で何か対策を打っていかれるお考えがあるかも教えてください。
(答)足下の個人消費についてみますと、ゴールデンウイーク中の鉄道・航空等の利用者数の回復が鮮明になるなど、旅行や飲食などのサービスを中心とした回復が継続しておりまして、全体として緩やかな持ち直しが継続しています。
 また、個人消費の先行きについては、電気料金の値上げに限らず、物価上昇の家計への影響に注意する必要があるわけですが、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行等を受けたマインドの改善が続いていることや、春闘の賃上げ率が30年ぶりの高水準となっていること等を背景に、引き続き緩やかな持ち直しが継続すると考えています。
 今回の電気料金の引き上げについてお尋ねがありました。今年度(23年度)分のFITの賦課金の低下分や、直近の燃料価格の低下を踏まえた燃料費調整額、また、電気料金の激変緩和措置を加味すると、7社中5社が値上げ申請前よりも低い料金水準となっていますが、こうした電気料金の値上げを含めた物価の動向や国民生活・事業者への影響をしっかりと今後も注視していきたいと考えています。
 政府としては、これまで累次講じてきた物価高対策の着実な執行に加え、持続的な賃上げを実現することにより、消費者の安心につながる経済財政運営に万全を期してまいりたいと思います。
(問)輸出についてお伺いしたいのですが、今回、事前の民間予想なども超える大幅な減少になったわけですけれども、これに関して、世界経済に対する見方ですとか、先行きも併せて、どのような御見解かお伺いできればと思います。
(答)今おっしゃったのは、実質GDP成長率の政府見通し1.7%と実績1.2%の話ですか。輸出についての話ですか。
(問)GDPの中の需要項目の中の輸出が4.2%の減少ということで。
(答)分かりました。今おっしゃったみたいに、これは裏表な話なので申し上げると、今回のQEで2022年度の実質のGDP成長率が1.2、名目成長率が1.9%になりまして、名目成長率は政府見通し1.8%程度を上回ったものの、実質成長率は政府見通し1.7%程度を下回っているわけであります。
 もちろん、実質成長率が下回った背景としては、政府見通しの想定に比べ、設備投資について、世界的な半導体市況の軟化を受けた投資先送りの動きがあったということがありますが、これについては今後、企業の高い設備投資意欲を背景に増加していくことを期待しています。
 なお、政府見通しについては、原油価格等を、昨年11月平均で横ばいという形で想定しています。これは、毎回、経済見通しをつくる場合には、物価については上振れ、下振れ、双方とも基本的には物価の状況というのは割合に安定的に前提を置いて推計しているので、昨年11月平均で横ばいということを前提にして今年の1月の政府経済見通しもつくっています。それで、その後、足元の原油価格の下落等により、輸入デフレーターの低下、これはGDPデフレーターにはプラス寄与になりますから、GDPデフレーターの差となっているということであります。原油価格が下がってきたことのインパクトが大きいということだと思っています。
 いずれにせよ、今後の国際経済ということを考えてみたときに、やはり世界的に見た経済の状況、そうしたものの影響を、もちろん我々、注視していかなければいけないと思います。金融の状況や、また金利引き上げの実体経済に対する影響とか、そうしたことについても丁寧に目配りをしながらやっていくということだと思いますが、今回のGDPの発表に当たって、今御指摘のあった外需寄与度等に関することについて御説明させていただくとすれば、今言ったようなことだと考えています。
(問)GDPの発表などを受けて、マーケットのほうだと株価などが3万円に一時乗ったりなど、非常に実体経済の好調ぶりみたいなものを反映しているのかなと思うのですが、大臣のマーケットへの受け止めをお願いします。
(答)マーケットの動向について、私のほうから特にコメントをすることはいたしませんが、民間の平均よりも政府の数字が少しよかったということは、これは平均値として示されている民間のデータというのは、推計はばらつきがあったということだろうと思います。
 我々としては、今後、設備投資が世界的な半導体市況の軟化を受けた投資先送りの動きが見られたようなこともありますが、消費、そして投資双方について堅調な動きを見せてくれるものと期待いたしております。
(問)名目のGDPが過去最高水準になったという点について伺います。過去最高水準ということ自体、おめでたいような感じもするのですが、経済そのものが成長したということとは別に、物価高で押し上げられている面があると思うのです。この点を大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)そういう面は、もちろん名目が570兆、実質が549兆ということでありまして、まだ実質でいうと追いついていないということもあろうかと思います。しかし、まずは今、賃金をしっかりと引き上げていくにあたっても、輸入物価の影響が徐々に剥げる中で、今後しっかりと価格のマークアップを行いながら実質賃金を引き上げていくこと、また、そうした好循環が生じていくということも非常に大切なことだと思いますし、投資が拡大することによって経済が拡大していくと、そういう一つの経済回復、そして好循環の端緒に立っているという認識を持っています。

(以上)