後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年4月12日

(令和5年4月12日(水) 19:35~19:46  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 第16回の新しい資本主義実現会議について、御説明いたします。
 本日は、6月までの指針策定に向けて、労働市場改革の方向性について議論を行っていただきました。
 議論を踏まえまして総理から取りまとめの御発言がありました。内容については、皆さんもう既に聞いておられるとは思いますが、第一に、リ・スキリングによる能力向上支援。
 現状で、「企業経由」が75%となっている在職者への学び直し支援策について、効果を検証しつつ、5年以内を目途に過半が「個人経由」での給付が可能となるようにする。
 その際、企業を問わずスキルの証明が可能なように、Off-JTで学び直しに重点を置いていく。
 また、雇用調整助成金について、在職者によるリ・スキリングを強化するため、休暇よりも教育訓練による雇用調整を選択しやすくするよう、支給率等の見直しを行う。
 第二に、個々の企業の実態に応じた職務給の導入。
 6月までに取りまとめる指針において、ジョブ型雇用の目的、人材の配置・育成・評価方法、社内公募のポスティング制度などについて整理するとともに、企業の実態に合った改革が行われるよう、多様な事例集を取りまとめる。
 第三に、成長分野への労働移動の円滑化についてです。
 失業給付制度について、自己都合による離職者の場合、会社都合の場合と異なり、一定期間、失業給付を受給できないとされていることを踏まえ、要件を緩和する。
 また、労働移動の円滑化を阻害しているとの指摘のある、退職所得課税制度についての見直しを行う。
 さらに、海外の事例を参考に、我が国においても、民間人材会社・ハローワークが保有する求人・求職情報等について、加工をして集約し、キャリアコンサルタントに向けて提供することで、働く方々のキャリアアップや転職の相談に応じられる体制を整備する。
 第四に、格差の是正についてです。
 中小・小規模企業の賃上げ実現には、先日の政労使の意見交換の場でも合意があったとおり、労務費の適切な転嫁が不可欠であり、取組を強化する。労務費の転嫁のあり方についての指針を取りまとめる。
 以上のとおりでございます。

2.質疑応答

(問)今日、労働市場改革の方向性についての議論が行われ、リ・スキリングやジョブ型雇用などについて、総理からの御発言もありましたけれども、6月までの策定に向けてどのような点を重視し、またスケジュール感で議論を進めていくお考えなのか、大臣のお考えをお願いします。
(答)三位一体の労働市場改革については、新しい資本主義実現会議の場において、昨年の11月に議論を開始し、今年2月にも議論を行い、論点についていろいろ各委員の皆様方から議論をいただいてきているところです。
 本日は、これらの過去の議論結果を踏まえまして、事務局から具体的な論点案を提示し、労働市場改革の方向性について、議論を行っていただきました。
 個々の委員によって、もちろん若干の差はありますし、細部についてまだまだ議論が必要なわけでありますが、全体としていえば、今日提示した論点案について取りまとめの御議論については、総理が取りまとめられたような段階にきていると思います。
 したがって、今日、総理より取りまとめ発言をいただいた方向に則って、今日の議論も踏まえて、策定方針に向けた更なる検討を深めるとともに指針を作っていくということになります。
 細部の詰めも必要になりますし、今後まだまとまっていないような点についてのまとめ方も必要だと考えますので、かねてよりお話しをしている専門家による分科会を設け、その場での御意見も参考にしながら指針案を作成し、新しい資本主義実現会議で御議論をしていただき、まとめていくことになります。
 5月中旬には実現会議の場で、指針を御議論いただきたいと考えています。
 なお、この分科会につきましては、具体的な課題もまだまだ多いので、6月以降も継続して指針の細部、あるいは進め方等について御議論をいただくということになります。
 指針策定にあたって、どのような点を重視するかということについては、今日、論点を提示しているので、どれも重要な論点だと思いますが、かねてより、三位一体の労働市場改革と申し上げているとおり、まずは第一の柱として、リ・スキリングにより能力向上支援をどういうふうにきちんとやれるか。第二の柱としては、個々の企業の実態に応じた職務給の導入、これをどういうふうに円滑に進めていくか。それから第三の柱としては、成長分野への労働移動の円滑化、それをどのようにスムーズに行うような制度やルールを作っていくか。そういった点が今後重要でありますし、それぞれの柱、改革そのものが互いに連携している、そういうことでありますので、それぞれを同時並行的に、一体としてしっかりと働くように検討をしていくということだと思います。
(問)今、細部の指針については専門家による分科会での議論というふうにお話しになりましたが、人選を含めた検討状況についてお伺いしたいと思います。
 今回の論点案では、失業給付制度の見直しなど、労働者のセーフティネットに関わるような点も議論になるかと思いますけれども、分科会の人選に当たっては、公労使の三者構成の原則などについても、ここも含めて人選を構成されていくようなお考えがあるかどうか、どういった人選を考えていらっしゃるか、お伺いできればと思います。
(答)まず最初に分科会でありますが、それ自体は本体とともに指針を検討することもいたしますし、その分科会については6月以降についても具体的な指針の内容や、その実現等を併せて議論していただくように開催をしようと考えています。
 時期については調整が終了次第、できるだけ早期に第一回目をやりたいと考えています。
 それから構成員については、お尋ねの労使の専門家、いわゆる労使の立場に立って議論できるような、そういう専門家、それから人材関係の専門家や学者など、そうした方たちを入れながら議論するということなので、あくまでも御質問の趣旨からいえば、労使の意見を踏まえた議論ができるような方をきちんと選んでいきたいと考えています。
(問)厚労省の労政審のように、ILOの定める、公労使三者の平等な構成というものが労働法制なんかでは求められているわけですが、今回の指針の策定に当たっては、そういった点は配慮されるようなお考えはあるのでしょうか。
(答)もちろん厚生労働省で制度問題をやるときに労政審をきっちりと、法律であれば必ず諮問、答申をもらうということになっていますし、それに関わるものについて議論をしていくということでありますが、ここについては基本的にいえば、政策論として労働、また雇用の問題、経営の問題、そうしたことを議論する場としてやっておりますが、いずれにせよ使用者と労働者側の双方から納得のできない、そういう政策論をやっても、それは意味がないので、双方の立場をしっかりこなした上で十分に政策として成り立つような、そういうものを議論としてもやっていきたいということです。手続の問題として労使の皆さんを呼んでいるということではありません。

(以上)