後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年4月7日

(令和5年4月7日(金) 19:13~19:39  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 本日、総理を議長とする新たな会議体である、「こども未来戦略会議」の第1回の会議を開催させていただきました。
 この会議は、総理の目指す「次元の異なる少子化対策」の実現に向けて、小倉大臣の下でとりまとめられた「こども・子育て政策の強化について」の「試案」を踏まえ、必要な政策強化の内容、予算、財源について検討を深めるため、全世代型社会保障構築本部の下に設置されることとなったものです。
 私は、全世代型社会保障改革担当大臣として、小倉こども政策・少子化対策・若者活躍・男女共同参画担当大臣とともに、本会議の副議長を務めます。
 今後、6月の骨太の方針までに、将来的なこども・子育て予算の倍増の大枠を示せるように、迅速かつ精力的に議論を進めてまいりたいと思います。
 会議には、関係閣僚に加えて幅広い方々にご参画いただいているわけでございます。有権者構成員の名簿については、本日の会議資料の2―2を御覧いただきたいと思います。
 本日の会議では、冒頭、私から、この会議の設置の趣旨などについてお話をさせていただきました。続いて小倉大臣から「試案」の説明を行いました。
 その後に構成員の皆様から、それぞれ、こども・子育て政策の強化について、忌憚のない御意見を総論的にお伺いすることができたと考えております。
 主な御意見について、その概要を御説明申し上げます。まず、現状の認識として、少子化や人口減少の進行は日本の社会経済や、社会保障制度に深刻な影響を与える問題であるという指摘がありました。
 また、政権の最重要課題として少子化対策が位置づけられ、今般、こども・子育て政策の強化についての「試案」がとりまとめられたことを評価したいという御趣旨の発言もありました。
 また、政府が政策を推進するだけでなく、中小企業を含めた企業が、子育てする職員が働きやすい環境を整えることや、「社会全体が子育てをする」という意識に社会全体が変わっていくことが必要であるというような意見が出ています。
 男女が共に働き、共に子育てをしていくことができるように、柔軟な働き方の推進や、多様な働き方と子育ての両立への支援が必要である。
 これまで子育て支援が手薄であった非正規やフリーランスを包摂して、全ての若者に支援が届くようにすることが重要であるという御指摘もありました。
 こども・子育てに関わる既存の制度は縦割りとなっており、若者・子育て世帯に対して、妊娠・出産・子育てを通じた切れ目のない包括的な支援を提供できるように、総合的な制度体系を構築するという視点が重要であるといった趣旨の発言も出ました。
 こども・子育て政策の強化に関する財源につきましては、恒久的、安定的な財源の確保が重要である。財源は広く社会全体で支え合うべきである。あわせて、こども・子育て政策の意義をしっかりと発信して、国民の理解と協力を求めることが重要であるといった趣旨のご指摘がありました。
 会議の最後は、岸田総理からの締めくくりの発言がありました。これはお聞きいただいたとおりだと思いますが、6月の骨太の方針までに、将来的なこども・子育て予算の倍増に向けた大枠を示すために、世代や立場を超えた国民の御理解と御協力を得ながら、精力的かつ迅速な議論を着実に進めていきたいとの趣旨の発言がありました。
 本日の会議の内容の紹介は以上でありますが、今後、この新しい会議におきまして、構成員の皆様とともに、迅速かつ精力的に議論を重ねてまいりたいと思います。
 なお、詳細につきましては、この後、事務方で実施するブリーフィングに質問をいただきたいと思います。
 私からはまず以上です。

2.質疑応答

(問)本日のこども未来戦略会議での議論を踏まえ、政策強化の内容、必要な予算、財源について、今後どのように議論を進めていかれるのでしょうか。総理は、世代や立場を超えた国民一人一人の理解と協力を欠くことはできないと発言されました。大臣のお考えをお聞かせください。
(答)第1回の会議を本日開催した後の具体的な検討スケジュールについては未定でありますが、「こども未来戦略会議」では、6月の骨太の方針までに、将来的なこども・子育て予算の倍増の大枠を示せるように、必要な政策強化の内容、予算、財源について、迅速かつ精力的に具体的な検討を進める必要があると考えています。今日のところはまだキックオフの状況であり、総論的な御意見を伺ったところです。
(問))もう1点だけ。大臣自身は、国民の世代が違う方の理解を得るためにはどんな点が必要だと思いますか。
(答)私自身の意見を聞かれたので申し上げるとすれば、やはりみんなで支え合うということが必要だろうということだと思います。そしてもう1つ言えば、今日、委員からの御意見でも出ておりましたが、やはりこども・子育てに使うという、この使う目的について国民にしっかりと説明することによって、国民のいろんな財源の負担や、あるいは負担を分かち合うことについての前向きな御理解が得られることにつながるのではないか、そういう御指摘もありましたが、私もそうだろうと思います。
 こども・子育て政策の重要さ、そしてそれが未来の投資として本当に今やらなければもうチャンスがないというぎりぎりの瀬戸際である、そしてそれが我々の未来にとって明るい展望につながるということを、国民の皆さんにしっかりとお互いに分かち合っていただいて、その上でどのように財源も含めてそれを進めていくのか、そうした議論を進めていきたいと思います。
(問)財源の議論についてお伺いします。自民党の茂木幹事長が少子化対策の財源について、増税や国債は現時点で考えておらず、様々な保険料の拠出は検討しなければならないとの考えを述べられています。この発言に対する大臣の受け止めと、今日の会議で安定的な財源の確保との指摘があったとのことですが、子ども予算倍増に向けて、財源確保について政府の考え方を教えてください。
(答)こども・子育て政策の財源については、総理が国会でご答弁されているのは御承知だと思いますが、その施策の内容に応じて、各種の社会保険との関係、国と地方の役割、高等教育の支援のあり方など、様々な工夫をしながら、社会全体でどのように安定的に支えていくか考えていく必要があるとおっしゃっています。私もそのとおりだと思っております。
 どのように議論をしていくかということは、正に今日、「こども未来戦略会議」を始めたところでありますが、必要な政策強化の内容、予算、財源について、これを一体的に迅速かつ精力的に具体的な検討を進め、6月の骨太の方針までに、将来的なこども・子育て予算の倍増の大枠を示せるように対応していきたいと思います。
 なお、先ほど本日の会議での各委員からの発言等で紹介しましたとおり、安定的・恒久的な財源の確保の必要性。財源は広く社会全体で負担すべきである。あわせて、こども・子育て施策の意義をしっかりと発信して、国民の理解と協力を求めることが重要である。このような趣旨の御指摘が今日の会議で出たということを、改めてもう一度申し上げておきます。
(問)会議について何点か教えていただきたいのですが、会議についてはどれくらいの頻度、ないしは回数を想定されているのでしょうか。
(答)今後どういう進め方をどうするかということについても、また今後考えながら進めていきたいと思っています。次回の予定とか次の段取り等はありませんが、基本的に言えば、先ほど検討をすべき内容としていくつか、例えば必要な政策強化の内容、予算、財源とかと申し上げておりますが、それを総合的に最後はまとめてあげるように議論をしていく、そういうことだと思っています。
(問)本日の議論も踏まえて、次回議論されるテーマとして想定されるようなものはあるのでしょうか。
(答)今はまだ決まっていません。
(問)最後に総理のほうでお話が出ている、予算倍増の大枠というふうな言葉を使っていると思うのですが、大枠というのは具体的にはどこまでを示すと考えればいいですか。
(答)大枠ということをどういうふうに捉えるかということも含めて、しっかりとまとめていきたいと思います。
(問)今回の会議の最終系というところでちょっと伺いたいんですけれども、前回の小倉大臣のところでは、たたき台の試案というかたちでまとまりましたけれども、この会議の最終的にはどういうかたちで提言なり何がまとまるのかという、成果物はどういうかたちになるか、伺えますでしょうか。
(答)先ほどから申し上げているように、議論の進め方とか、あるいはどういうかたちで最終的にまとめるのかというイメージも、今、固まっているものがあるわけではありません。
 ただ、1つ言えることは、試案としてまとめた叩き台は、これは政策の重要な項目について、特に最初の3年間を中心としてまとめて集めて、選択、拾い上げたものであります。だけど、そこには財源の問題等がありませんが、少なくともどういうかたちでまとめるかは別としても、政策と、そして財源、そのこともあわせながら、しかし、将来に向けた予算倍増の大枠を示していくということなので、その辺のところも国民の皆さんにしっかりと伝わるような、どういうかたちのまとめ方がいいのか、そのことを含めて考えていきたいと思います。
(問)今の質問の関連ですけれども、小倉大臣の試案、たたき台では、財源規模については示せないということでしたけれども、今回の会議としては、大体必要な政策についての必要な財政規模についてはこれくらいだと示したりとか、それに対してこういうような財源確保のあり方がよいとか、そういったところまでをゴールにするということなのでしょうか。
(答)今回まとめる時には、先ほどから申し上げているように、将来的なこども・子育て予算の倍増の大枠を示していくということを申し上げているので、当然、財源の議論を含めた、そうした姿をまとめるということは申し上げられますが、それ以上のことは今後しっかりと検討していきたいと思います。
(問)有識者の構成員の選び方、どういう観点でお願いされたかというのは、全体をまずお願いいたします。その上で、経済団体の方とかに入っていただいた背景を御説明いただきたいのと。もう1点、ちょっとこれは私の感覚かもしれませんが、女性が多い、若い女性も含めていらっしゃる一方で、若い男性という視点がないような気がするので、その辺について大臣のお考えをお聞かせください。
(答)「こども未来戦略会議」は、「次元の異なる少子化対策」の実現に向けて、総理を議長として、国民各層の幅広いご理解・ご協力を賜りながら、必要な政策強化の内容、予算、財源に関する議論を深めていこうということで新たに設置されたものです。
 こうした考え方から、この会議には、こども・子育て政策に関係する閣僚、有識者、子育ての当事者・関係者、さらには関係団体からの参画もいただいているところです。
 有識者としては、例えば関係の審議会、全世代型社会保障だとか、あるいは社会保障審議会だとか、経済財政諮問会議だとか、また新しい資本主義実現会議だとか、そうした今、こども・子育て政策というのが非常に幅広い外縁を持って議論されて、社会のあり方、未来の私たちの目指すべき社会というものを議論しようということになっているので、有識者についてもそうした周辺でいろいろな重要な議論をしている関係の方にもお入りいただいているということであります。
 それから地方関係も、現実の子育て、あるいはいろいろなかたちでの国民生活に密接した行政サービスをしていただいている地方や、あるいは社会経済活動、また雇用の問題等もありますから、そうしたようなかたちで幅広い方たちを選んでいるということだと思います。
(問)若い男性というのはどうでしょうか。大臣のお考えで結構です。
(答)確かに若い男性、結果として見ると、こども・子育てをしている世代の現場の方という方で拾いましたが、結果としては女性の若い子育て中の方、でも、それは働きながらいろいろな活躍をされている方、それから有識者の皆様にも当然子育てされている方もいるわけですし、そういう意味でなるべく幅広く声を拾うということで選択させていただいているつもりです。
(問)財源の負担に関する部分ですけれども、負担が増えれば増えるほど、特に低所得の世帯とかで、男女、結婚を更にしなくなってしまうんじゃないかというような懸念もできると思います。そうした負担増に伴う結婚控えとか、そういった問題について、そもそも低所得世帯の方にとれば負担が増えること自体、結構痛手だと思うのですが、そういったところに対してはどういった視点で議論をこれから進めていかれるのでしょうか。
(答)先ほどから申し上げているように、議論はこれからなので、私が自分の意見を語りすぎるのも差し控えたほうがいいと、まだキックオフの事態でありますけれども。認識からいえば、やはり未婚のままでいるということが子どもが生まれない、子どもができないということの一つの大きな原因になる。しかし、それはどうしてかというと、やはり若い世代にしっかりとした収入がなければ駄目だという指摘は今日の議論でも出ていました。
 そういう観点から、やはりしっかりと働ける、支え合って働ける、社会がそれを受け入れる、そういう若い人たちが子どもを育てながら働ける、暮らしていける、そういう条件をしっかりと議論していくことが大事だという認識は持っています。
(問)もう1点よろしいでしょうか。新しい資本主義とか経済財政諮問会議とかとの関係ですが、先日、小倉大臣の会見の中で、収入のアップとかそういったお話はそっちのほうでということがありました。今回、それらの会議に入っていらっしゃる方も含まれているのですが、今回の新しいこども未来戦略会議とそれらの既存の会議との関係性、連携はどのようにやっていくのか、教えてください。
(答)いろいろ目指すべき社会がどんなものかと考えて、未来にどんな社会を築いていくか、そういう意味で少子化というのは非常に幅広い外縁を持っています。
 例えば、さっき御指摘のありました、若い人たちに収入をしっかり確保していかなきゃいけない、そういう御指摘もあって。正にそのとおりなわけでありますが、そういうことになれば、今、必死で取り組んでいる、例えば生産性を高めることとともに、物の価格をしっかりとマークアップすることによって、給料の引上げ、そして支払いの引上げが行われて、中小企業も含めて全体としての経済の好循環が生まれるような賃上げ、そして、それを継続的に実現できるための構造的な賃上げの問題、そのための労働市場の問題、こういったことは新しい資本主義実現会議のほうで議論しているわけでありますが、そういったことはそういったことでしっかりと新しい資本主義実現会議で議論をします。
 そういうことまでみんな少子化に関わることは全部ここでやるというわけにはいかないので、それぞれの重点をかけながら、例えば先ほど申し上げたような、そういう就業構造だとか、あるいは労働市場改革だとか、そういうことはこれまで中心に新しい資本主義実現会議でやっているので、そちらのほうでやるということになるということだと考えています。
 もちろんそれぞれの社会保障に関わる問題、こういったことについて社会保障審議会は議論しているわけですし、全世代型の社会保障ということで来るべき未来に向かって、どういう社会保障制度の給付と財源をしていくかということは、昨年も全世代型社会保障で議論してきました。
 そういうことを重ね合わせる中で、今回のこども未来戦略会議、中心としてこども・子育てという点でまとめていくということになります。
(問)子ども関連予算の財源についてお伺いいたします。先ほど委員の方から、広く社会全体で支えるべきであるといった趣旨の御発言があったということですけれども、例えば増税が望ましいということであったり、あるいは社会保険料は避けるべきなどの具体的な発言はあったのでしょうか。
(答)今回は増税とか社会保険料の引上げとか、そういうような具体的な御意見は基本的には出ていません。もちろん中には、例えば、結局、負担増によって、賃上げのせっかくのモメンタムを傷つけてはいけない、そういうような御指摘はありましたが、特に具体的な財源の項目の具体的な御発言はなかったと思います。
(問)ありがとうございます。もう1点、先ほど、少し質問とかぶってしまうところもあるのですが、政府内で社会保険料から拠出することの検討があるなどの一部報道もありますけれども、社会保険料から拠出する場合のメリット、デメリットなどを含めて、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)先ほども申し上げたように、社会保険との関係とか、国と地方の役割の問題だとか、高等教育の支援のあり方とか、そういった点を具体的に申し述べましたが、今日はここはこども未来戦略会議のブリーフィングの場でもあるので、そういう意味ではそうした観点を踏まえて、これから議論をしていくと私から申し上げたいと思います。

(以上)