後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年3月22日

(令和5年3月22日(水) 18:20~18:26  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 それでは冒頭、私のほうから一言申し上げたいと思います。月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要を報告します。
 今月は、景気は一部に弱さがみられるものの緩やかに持ち直していると、先月の判断を維持しています。先行きにつきましては、ウィズコロナの下で景気が持ち直していくことが期待されます。ただし、世界的な金融引締め等が続く中で、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、また物価上昇や供給制約、金融資本市場の変動等による影響にも引き続き十分注意が必要です。
 なお、資料の中にもありますけれども、今年の春闘の賃上げ率は、第1回集計値で3.8%と、1993年以来30年ぶりの高い伸びとなりました。今後も労使交渉の動向を注視してまいりますが、デフレ脱却と民需主導の持続的な成長の実現に向けては、物価上昇に負けない継続的な賃金上昇が重要です。
 政府としても政労使の意見交換で基本的に合意されたとおり、労務費の適切な転嫁を通じた取引適正化に向けた環境を整備すべく、労務費の転換の在り方について仕様をまとめてまいります。
 加えて、女性の賃金の引き上げも重要であります。女性の年収は正社員と非正社員との間で大きな差がありまして、また正社員の定期給与は年齢が上がるほど男女間格差が拡大しています。多様な働き方の拡大などの取組も含めた女性の正社員化や管理職への登用の促進、育児参加を含む働き方改革、同一労働同一賃金の徹底などの取組は、平均的な賃金水準の押し上げにもつながるものであり、政府としてはしっかりと取り組んでいく必要があります。
 この他、会議の詳細につきましては後ほど事務方から御説明をいたします。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)本日まとまった月例経済報告では、先行きのリスクとして金融資本市場の動向が挙げられております。アメリカの銀行の相次ぐ破綻ですとかクレディ・スイスの経営問題など、先日、主要中央銀行が資金供給を決めておりますが、改めて世界経済、日本経済への影響についてお伺いします。
(答)米国における銀行の経営破綻処理に続きまして、19日日曜日にスイス当局の支援の下で、大手投資銀行UBSによるクレディ・スイスの買収が決定されるなど、各国の金融当局によって迅速な対応がなされているものと承知をしています。さらに我が国を含む6か国・地域の中央銀行が協調いたしまして、米ドルの流動性供給を拡充する措置を20日月曜から開始しております。
 現時点では、今回の米国の銀行の経営破綻やUBSによるクレディ・スイスの買収、それ自体が我が国経済に大きな影響を及ぼすとは想定しておりません。引き続き国内外の金融資本市場の動向や、それらが世界経済や日本経済に与える影響等について、強い警戒心を持って注視していきたいというふうに考えています。
(問)よろしくお願いいたします。
 今回の月例経済報告について、黒田日銀総裁が在任期間中最後の機会だったかと思います。その点について、御本人や出席者の方からは何か発言があったでしょうか。
(答)日銀総裁からは、信用状況について特段のコメントはありませんでした。それから、主要中央銀行による金融機関に対する米ドルの流動性供給を拡充する措置については言及がありました。
 それから今お尋ねだったのは、最後の出席であることに対して何か発言があったかという御質問ですね。その点については会場から特段の発言があったわけではありませんけれども、会議の終わりに進行していた官房長官より、「日本銀行総裁におかれましては、在任中最後の月例経済報告等に関する関係閣僚会議への御出席となります。ありがとうございました」という御発言がありまして、会場から自然と拍手が起こったということなので、そのことは御紹介いたしたいと思います。

(以上)