後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年3月22日

(令和5年3月22日(水) 9:56~10:11  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 本日開催されました、第8回「物価・賃金・生活総合対策本部」の概要について御報告をいたします。
 本日の会議では、前回の本部で総理から御指示のあった新たな追加策について取りまとめを行い、その概要について私から説明させていただきました。
 今回の追加策については、これまでの原材料価格の上昇や円安による影響等による物価高が依然として続いている状況を踏まえ、引き続き、エネルギー・食料品に的を絞るとともに、地域の実情に応じたきめ細やかな取組への支援や物価高の負担感の大きい低所得者層への支援策を重点的に講じております。
 具体的には、エネルギーについて、電力の規制料金の改定申請への対応について、最新の燃料費・為替を反映して再算定を求め、4月という日程ありきではなく、厳格かつ丁寧な審査を行うこと。再エネ賦課金の改定により、標準家庭でおおむね月平均800円に相当するご負担の軽減となる見込みであること。
 また、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を増額し、特別高圧契約者向けの支援やLPガス利用者支援に加えて、医療・介護・保健施設、保育施設、学校施設等の電気代等の負担増への支援、学校給食費負担軽減の取組への支援等、地域の実情に応じたきめ細やかな支援を一層強化すること。
 食料品につきましては、配合飼料価格の高止まりを踏まえ、1-3月期の緊急対策を拡大するとともに、4月以降についてはコストの急増を適切に抑制するための新たな特例措置を創設すること、輸入小麦の政府売渡価格の激変緩和を講じ、価格上昇幅を半分以下に抑制すること、物価高の負担感が大きい低所得者層への支援として、住民税非課税世帯への1世帯当たり3万円を目安とする支援を行うこと、これに加えて、ひとり親世帯など低所得の子育て世帯に対して、児童1人当たり5万円の給付金をプッシュ型で支給する内容といたしております。
 以上の支援策を迅速にお届けするために、物価対策本部の本部長代理である松野官房長官から、年度内に、コロナ対策と合わせ、2兆円強のコロナ・物価予備費を措置するとの発言もあったところでございます。
 また、成長と分配の好循環の実現の転換点となる春闘については、先週、連合による第1回の集計結果が公表されました。平均賃上げ率は3.80%と、6月末時点の最終集計との比較とはなりますが、30年ぶりの高水準となっています。また、有期・短時間・契約等労働者の引上げ額も比較可能な2013年以降、最高の水準となっております。
 こうした賃上げの流れが、今後、賃金交渉が本格化する中小企業や小規模事業者に波及させていくことが重要と考えています。先般の政労使の意見交換の場におきましても、中小・小規模事業者の賃上げの実現には、労務費の適切な転嫁を通じた取引適正化が不可欠である点について、基本的な合意がありました。
 引き続き、政策を総動員して、価格転嫁対策や生産性向上の支援などに取り組むとともに、継続的な賃上げに向けて三位一体の労働市場改革に取り組んでまいります。
 物価高を克服し、民需主導の経済成長を実現するため、関係大臣と緊密に連携し、総合経済対策・補正予算の全事業の執行をさらに加速させるとともに、今回の追加策について、一体として進捗管理を徹底し、迅速な執行に努めて、一刻も早く国民の皆さまの手に対策の効果をお届けしていきたいと考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)これまで物価高対策に関しては累次の対策を打ってこられたわけですけれども、今回追加の対策をこのタイミングで打たれる理由についてお伺いしたいと思います。また、予備費から措置されるということですけれども、現在、新年度予算案が国会で審議されているタイミングではありますけれども、その審議を経ない形で支出される予備費から巨額の財政支出を伴うということについては、財政民主主義に反するという指摘もあろうかと思いますが、この点についてのお考えをお聞かせください。
(答)まず、今回の物価高騰対策でございますが、今回の物価高の主因がエネルギー・食料品であることを踏まえ、政府はこれまでガソリン・小麦等の価格高騰対策などエネルギー・食料品に的を絞った対策を講じるとともに、低所得者の方々に重点的な支援も講じてきたところです。
 こうした中、総合経済対策・補正予算に盛り込んだ電気・ガス料金の負担軽減策によって、東京都区部の消費者物価指数が1月より1%ポイント上昇幅が縮小するなど、対策の効果が現れてきていると感じています。
 他方、これまでの原材料価格の上昇や円安の影響による値上げが続いている。また、電気料金の今後の見通しに対して、国民や事業者が不安の思いを持っていると、そうした声が届いております。
 このため、国民生活・事業活動を守り抜くため、引き続き、物価高の主要因であるエネルギー・食料品に的を絞った対策を講じるとともに、負担感の大きい低所得者の方々の生活をしっかりと下支えするための方策を講じていくことが必要である。こういう理由で今回の物価高騰対策を行っております。
 それから、今般のコロナ・物価予備費の使用でありますが、足下のエネルギーや食料品の物価高騰等に対し、臨機応変に対応するためのものであり、予見し難い予算に充てるために設けられている予備費の制度趣旨に対して、適切な対応であると考えています。
 その上で、令和4年度予算に計上されているコロナ・物価予備費につきましては、年度内の予見し難い予算の不足に充てるために、予算の一部として国会で御審議をいただいてきたこと。予備費の支出は憲法・財政法の規定に従って、事後に国会の承諾を得る必要があることなどから、財政民主主義に反するものではないと考えています。
 また、予備費の詳細については、財務省にお尋ねいただくことだと思いますが、コロナ・物価予備費の使用については、国会のご判断を踏まえ、予算委員会の理事懇談会等で報告を行っているところです。
 今後も、財政民主主義の観点から、憲法・財政法の規定を踏まえ、適切に予備費の使用を判断していくとともに、予備費の使用について、国会や国民の皆さまに対して説明責任を果たしていくために、国会の御判断も踏まえつつ、丁寧な説明に努めてまいりたいと思います。
 いずれにしても、今回の追加策について、迅速な執行に努め、一刻も早く国民の皆さまに今回の対策の趣旨を踏まえ、お届けしていきたいと考えています。
(問)低所得者への給付についてなんですが、今回給付することの効果についてはどうお考えでしょうか。過去の給付金について、先日の会見では効果があるとのお考えでしたが、具体的にどれほどの効果があったのかは検証しないのでしょうか。よろしくお願いします。
(答)低所得世帯におきましては、収入に占めるエネルギー、食料品の割合が相対的に高く、今般のエネルギー・食料品を主要因とする物価高の影響をより大きく受けていると考えています。
 こうした方々に、迅速に支援をお届けし、生活を下支えする必要があると考え、これまで講じてきた現金給付は、その他の価格高騰対策とあいまって、低所得世帯の生活の下支えに寄与していると考えています。
 他方、これまでの原材料価格の上昇や円安の影響による値上げが続いているわけであり、電気料金の今後の見通しに対して、国民や事業者の不安の声が届いております。
 このため、引き続き、エネルギー・食料品に的を絞った対策を講じるとともに、負担感の大きい低所得者の方々の生活をしっかりと下支えするために、きめ細やかな対策を講じていくことが必要であると考えています。
 こうした観点から、今回の追加対策では、低所得の方々への支援として、住民税非課税世帯へ1世帯当たり3万円を目安とする支援、またこれに加えて、ひとり親世帯などの低所得の子育て世帯に対して、児童一人当たり5万円の給付金をプッシュ型で支給することとしているわけです。
 こうした低所得者に対する対応ですから、過去の給付についても、もちろん低所得者の生活の下支えの効果があったと考えておりますし、今後とももちろん他の対策と同様、対策の執行状況をきめ細かくフォローアップしつつ、効果的な施策の実施に向けて、不断の検討は必要だと考えておりますが、今回の3万、5万円の低所得者世帯に対する対応は、こうした過去の判断に基づいて現状に対応するものとして、行っているものです。
(問)2兆円超の予備費の件なんですけれども、閣議決定が必要かと思うんですが、年度内ということでもうあと数回ぐらいしかないと思うんですが、例えば28日ですとか、どれぐらいの時期に決定するかといった見通しはありますでしょうか。
(答)今日は対策の取りまとめを行ったことになりまして、予備費の具体的な執行の手続については、これは財務省において進めて、年度内にと申し上げているので、そういう時期に閣議決定が行われることになると思っています。
(問)もう1点同じく、予備費の関係で、松野官房長官がコロナ対策費と合わせて2兆円超というようなお話し方をされたのですけれども、大体物価対策が2兆円超のうちどれぐらいで、コロナ対策がどれぐらいみたいな規模感は今お持ちでしょうか。
(答)今日政府として取りまとめをしている内容は、コロナ・物価予備費のうち、エネルギー価格高騰等への対応ということで7,000億円。それから物価高騰の負担感が大きい低所得者層への支援ということで、3万円で5,000億の1.2兆円程度。そして合計で2兆円強という言い方でございます。
 今日のところはそれ以上は申し上げていないということになります。

(以上)