後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年2月17日

(令和5年2月17日(金) 10:54~11:07  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 (冒頭発言なし)

2.質疑応答

(問)1月の貿易赤字について伺います。昨日財務省から、主に資源高が影響して過去最大の赤字という発表がありました。この資源高が今後も続くのかという見通しと、それから国民生活への影響、後はさらに経済対策の可能性があるのか、この辺りまとめて受け止めをお願いします。
(答)まず、昨日公表された貿易統計によりますと、1月の貿易収支は原数値で3.5兆円の赤字となり、単月の赤字幅としては過去最大となっています。
 これは、世界的な価格上昇を受けた原油や天然ガス等の鉱物性燃料の輸入額が増加したことで、輸入金額が前年同月比でプラス17.8%と増加したこと等によるものです。
 ただし、1月は例年輸出が少ない月であり、そうした季節性による振れを調整した値、季節調整値でみると、1月の貿易収支の赤字額は1.8兆円と、11月・12月からほぼ横ばいであり、さらに7月から10月には2兆円を超える赤字であった状況からは、原油価格の低下等を受けて、わずかに改善している状況であります。このため、1月の貿易赤字が単月の原数値ベースでみて過去最大であったこと自体をもって、過大に評価する必要はないと考えています。
 それから、貿易収支は、内外の経済情勢や資源価格の動向など、様々な要因に影響を受けるものであり、先行きを予断をもってお答えすることは困難でありますが、その上であえて申し上げれば、鉱物性燃料が必須輸入品であって、その価格が直ちに大きく低下するとは考えにくいことから、貿易収支は、当面は赤字基調が続く可能性が高いと考えられます。いずれにしても、資源価格の動向も含め、今後の動向については注視してまいりたいと考えています。
 それから、物価高についてでございますが、総合経済対策・補正予算に盛り込みました電気・都市ガス料金負担緩和策によって、1月使用分より家庭においては電気料金の2割程度を値引きするなどにより、エネルギー価格高騰の負担を軽減いたします。
 また、目下の物価高に対する最大の処方箋は、物価上昇に負けない賃上げであって、拡充した賃上げへの支援策を速やかに実行するとともに、独禁法や下請代金法のより厳正な執行など価格転嫁対策を強化していくということで取り組んでまいります。
 その上で、今後の経済・物価動向を注視して、必要な政策対応には躊躇なく取り組んでいきたいと考えています。
 また、物価高対策にとどまらず、総合経済対策・補正予算には我が国経済の体質強化を図るための様々な対策、例えば省エネ、それから肥料、飼料、穀物等の国産化への取組、また戦略分野への国内投資7兆円規模の「攻め」の国内投資、それから中小企業、農林水産物の輸出促進、インバウンド消費、そうしたことについても取組を行っております。
 これらの施策を総合的に展開することで、経済構造の強靭化を図って、持続可能な経済成長にもつなげていきたいと考えています。
(問)学術会議法改正法案についてお聞きします。今週の火曜日に吉川弘之元会長以下歴代5人の会長が学術会議との協議や国民との対話もなく、必要な検証も行わないまま一方的に改革を強行されたと、学術会議がこれまで確立してきた国際的評価を毀損することを非常に強く懸念する声明を発表いたしました。大臣はこれをもう読まれたかということと、歴代の5人の会長がこのような形で声明を出したというのは戦後初めてですが、このことの重みを含めて受け止めをお聞かせください。
(答)声明については、私もよく承知いたしております。学術会議の見直しにつきましては、学術会議自身においても、いろんな関係者との議論を通じて、令和3年4月に「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて」をまとめられまして、それに基づいて会話を進めてこられたところであります。
 改革の基本的な方向性は、例えば行政、産業界、地方公共団体等との対話機能の強化、それから中長期的・俯瞰的・分野横断的な科学的助言機能の強化、会員選考における透明性の向上、こうしたことを基本的な方向性として述べておられるわけであり、そうした方向性は政府と共有されていると認識いたしております。
 今回の見直し自身は、学術会議におけるこうした改革の成果を着実に法律に取り組み、今後の安定的な運用を担保しつつ、透明性を担保するという趣旨のものでありまして、学術会議が示された考え方の基本的方向性、そうしたものと相違するものでもないし、学術会議にとっても重要なものなのではないかと考えています。
 それから、学術会議は先進国では唯一国費で賄われる国の機関の一部として独立して職務を行うということになっており、国民から理解され、信頼される存在であり続けるためには、透明化とかガバナンスの機能の強化を先延ばしすることはできないと考えておりまして、こうした点についても、会員選考における透明性の向上を掲げられた学術会議の考え方と一致するものではないかと考えています。
 いずれにしても、梶田会長、そして歴代の会長をはじめとする御指摘、学術会議の御懸念を我々としてもしっかりと受け止めつつ、一層丁寧に説明し、十分に御意見を聞きながら検討を進めていくように考えています。
(問)一部で政府が新型コロナウイルスの名称を変更する方向で調整しているとの報道がありました。直接的には厚労省で進んでいる話かとは思いますが、新型コロナウイルスを担当する大臣として、事実関係と名称変更の必要性についてお願いいたします。
(答)私自身はこのことに所管をしていないので、直接お答えをすることは差し控えておきたいと思います。
(問)再びですけれども、産業界等々と地方公共団体との関係性の強化を方向性としては打ち出されていますが、これはメンバーを選んでいるときに、科学者以外の人を入れるという文脈で言っているわけではなく、再三申し上げていますけれども、一番学術会議側が懸念しているのが、この法案の目玉となっている選考諮問委員会、ここのメンバーが科学者である必要がなく、科学者でない人たちで構成される可能性があるという、ここが結果としてまさに独立して職務を行うことを毀損しうるのではないかということです。
 大臣お分かりのように、政府がたくさん作っている有識者会議や諮問会議とは全く別の性質をなした学術会議という団体の中に、このような選考諮問委員会を入れてしまうことの弊害、問題、いわゆるナショナルアカデミーということが難しくなるのではないかという懸念、この点についてどうお考えなのか。これはいろいろ説明はされているんですけれども、科学者会議がやりたいことをサポートする諮問委員会なんだという言い方をされていますが、この法案の概要を見ている限り、そうではないという受け止めを皆さんしていますし、もし見解が一致していたら、これほど歴代の会長が声明を5人で出すということはあり得なかったと思います。この諮問委員会のところ、私も取材している限り双方聞いていますが、非常に大きな問題ではないかと思うのですが、その点改めてお願いします。
(答)まず、これは国会でも明確に答弁をさせていただいていることでありますが、選考諮問委員会の詳細はもちろん検討中でありますが、委員は科学や科学の研究環境などについて、広い経験と高い識見を有するものについて一定の手続を経て、学術会議の会長自身が任命することを今想定して検討いたしております。
 そういう意味においては、科学や科学の研究環境などについて、広い経験と高い識見を有するものとして、どういう方を選ぶかは会長が任命するということだと思います。また、会員等の候補者を最終的に決定するのも、これは従来どおり学術会議であるということを変えることを考えておりませんので、選考の独立性ということからいって、選考諮問委員会が選考の独立性を侵害するようなものだとは考えていません。
 ただし、選考における独立性を妨げるということではなくて、むしろ学術会議が国民から理解され信頼されるために、どうした選考基準によってどういう人をどういうプロセスで選んでいくかということをより明確に説明していく重要なツールになるのではないかと考えています。学術会議の独立性について手を加えたい、修正したいという意図は全くありません。

(以上)