後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年2月7日

(令和5年2月7日(火) 10:27~10:40  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 本日は、「新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。
 この法律案は、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、感染症の発生及びまん延の初期段階から政府対策本部が迅速かつ的確な措置を講ずるための仕組み等を整備するとともに、内閣官房に内閣感染症危機管理統括庁を設置し、感染症の発生及びまん延の防止に関する施策の総合調整等に関する事務及び政府対策本部等に関する事務を所掌することとしたものです。
 今回の法改正により、政府の感染症危機への対応に係る司令塔機能を強化し、次の感染症危機に国と地方が一体となって迅速かつ的確に対応できる体制を整えてまいります。
 今後、本国会において速やかに御審議をいただくよう、お願いしたいと考えております。
 以上であります。

2.質疑応答

(問)冒頭の御発言があった改正案についてですけれども、今回の改正案の中で、例えば総理の指示権の拡大などが入っていますが、まだ実際今回のコロナ禍でそういった指示権が発動されるようなケースはなかったと聞いております。今回の改正で、国民にとって何がどう変わるのか、そういった面で分かりやすく御説明をお願いします。
(答)昨年5月から6月にかけて開催されました「新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議」において、指摘が幾つかなされております。
 例えば、感染初期等に、政府と都道府県との間において、特措法に基づく時短要請等のあり方等について、調整が難航した事例があったことから、初動期等において、政府と都道府県が一体となって危機対応ができる仕組みづくりが必要であるという指摘。
 それから行政機関でクラスターが発生し、庁舎を閉鎖する事態が生じたことから、感染が著しく拡大した場合も行政機関の機能を維持できる仕組みづくりが必要であること。
 それからもう一つ、次の感染症危機に備えて、司令塔機能を強化するとともに、一元的に感染対策を指揮する司令塔機能を整備することが必要であるといった指摘がなされたところです。
 今回の法改正は、このような新型コロナウイルス感染症への対応の経験と課題を踏まえて、政府の感染症危機への対応に係る司令塔機能を強化し、次の感染症危機に国と地方が一体となって迅速かつ的確に対応できる体制を整えるものであります。
 具体的には政府対策本部長の指示権の発動可能時期を前倒しして、政府対策本部が設置されたときから行うことができるようにするとともに、地方公共団体の事務の代行等について、要請可能時期及び対象事務を拡大し、感染症法に基づく事務も含め、政府対策本部が設置された時から行うことができるようにするなど、感染症の発生の初期段階から迅速かつ的確な措置を講ずるための仕組み等を整備することとしています。
 また、内閣官房に内閣感染症危機管理統括庁を設置し、感染症の発生及びまん延の防止に関する施策の総合調整等を担うこととしており、こうした内容により、次の感染症危機への備えに万全を期すことができると考えています。
(問)関連してもう一問お伺いします。今のお話の中にも出てきましたけれども、コロナに対する政府の対応については、有識者会議の検証というのがこれまでありましたけれども、この3年余りのコロナ禍における政府の対応について、改めて検証するお考えがあるかどうか。去年の有識者会議では、例えば安倍政権の閣僚の方、安倍元総理含めて聞き取りがなかったり、菅元総理に関する聞き取りがなかったことなども指摘されていましたけれども、そういった政権の幹部中枢の方々への聞き取り等も含めて、検証作業というのはどのようにお考えでしょうか。
(答)昨年5月から6月にかけて開催された「新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議」においては、それまでの新型コロナ対応を踏まえて、次の感染症危機に向けた中長期的な課題に関する報告書を取りまとめていただいたわけです。
 政府としては、本報告書を踏まえ、本日、「新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案」を閣議決定したところです。
 また、新型コロナについては、現在1月27日の政府対策本部決定に基づいて、オミクロン株とは大きく病原性が異なる変異株が出現するなど特段の事情が生じない限り、5月8日から「新型インフルエンザ等感染症」に該当しないものとして、5類感染症に位置づける方針で取組も進めているところです。
 政府としては、現時点において、昨年の有識者会議のような検証を行う予定はありませんが、まずは、新型コロナ対策の終息に向けた取組を進めると同時に、有識者会議報告書も踏まえ、内閣感染症危機管理統括庁の設置を含めた次の感染症危機への対応を具体化していくことが重要だと考えています。
(問)今の御発言の中で、昨年の会議のような検証を行う予定はないということだったんですけれども、先ほど指摘したような政権中枢の方々への聞き取り等も今後される御予定はないということでしょうか。
(答)今の状況ではそういうことをする予定はないと申し上げています。まずは、新型コロナ対策の終息に向けた取組にこの5類相当に変えること、こうしたことにしっかりと進めると同時に、有識者会議の報告書を踏まえて、今回の法律をしっかりと通して具体化をしていくということが重要だと考えています。
(問)話題が変わるんですが、4月に任期を迎える日銀の黒田総裁の後任人事について、政府が雨宮副総裁に打診して、2月の同意人事提出に向けて党と調整に入った段階と認識しております。
 報道を受けて、マーケットは円安に進行して、一定程度緩和路線を継承するとの思惑が広がっていると思いますが、経済財政を預かる大臣として、まだ報道段階ではあるんですけれども、今回の人選の受け止めと、今後の日銀に期待する金融政策、この辺りをお願いできますでしょうか。
(答)報道は承知していますが、そのような事実は承知していません。
 いずれにせよ、黒田総裁の任期は4月8日までとなっておりますので、その後任人事については、日銀総裁に最もふさわしいと判断する方をその時点で任命することが基本であると考えています。
 また、日銀については、2%の物価目標を安定的に達成すること、それからまた一方で、賃金の引き上げを伴うしっかりとした経済の運営、こうしたことに政府、日銀協力して取り組んでいくと。日銀は金融政策として安定的な物価対策をしっかりと今後ともやっていってもらいたい。
 また政府としても、そういう意味では継続的な実質賃金をしっかりと引き上げていけるような、そういうマクロ経済政策の運営をしていく必要があると考えています。
(問)話が全く変わってしまうんですけれども、先日更迭された荒井前秘書官の関連について、3点手短にお伺いします。
 今回荒井前秘書官は同性婚を認めたら国を捨てる人も出てくるなどの発言をしましたけれども、この発言の受け止めがまず1点。
 もう一つ、それに先立って、岸田総理が国会で同性婚の法制化は社会が変わってしまう課題だというような御発言をされていますけれども、この発言に関する受け止め。
 そして3点目、大臣御自身は同性婚の法制化に関して、賛成か反対かお立場をお伺いします。よろしくお願いします。
(答)まず荒井元総理秘書官の一連の発言については、不当な「差別」と受け止められて仕方がないものだと思っておりますし、政府の方針とも全く相容れないと考えています。
 それから、先だって総理が、社会が変わってしまうというような発言をされたということにつきましては、同性婚制度の導入については、親族の範囲やそこに含まれる方の間に、どのような権利義務関係を認めるかといった、国民生活の基本に関わる問題であって、国民一人一人の家族観とも密接に関わるものだという認識はしています。
 その意味で、総理は、社会全体に影響を与えうるものとの認識を示されたものであって、総理も同性婚をめぐる議論を決して否定するということではなくて、まずは国民各層の意見、国会における議論の状況、同性婚に関する訴訟の動向、地方自治体におけるパートナーシップ制度の導入や運用の状況等注視していく必要があると、その旨を述べられたものと承知いたしております。
 閣僚として私自身も国民各層の御意見や状況を注視していく必要があると認識しています。また、性的指向の問題等についての考え方というお話もありましたが、多様性が尊重されて、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にしながら、生き生きと人生を享受できる、そうした共生社会の実現に向けて我々は努力しなければいけないと思っています。

(以上)