後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年1月27日

(令和5年1月27日(金) 19:17~19:41  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 先ほど、新型コロナウイルス感染症対策本部において、今お手元に配付しております「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更等に関する対応方針について」及び基本的対処方針の変更について決定いたしましたので、全体の概略を御説明させていただきます。
 感染症法上の位置づけの変更についてでございます。
 新型コロナにつきましては、本日の厚生科学審議会感染症部会の議論のとりまとめを踏まえ、オミクロン株とは大きく病原性が異なる変異株が出現するなどの特段の事情が生じない限り、5月8日から「新型インフルエンザ等感染症」に該当しないものとし、5類感染症に位置づけることといたします。これは医療体制の万全な移行や、自治体などにおける準備に3か月程度要するとの専門家の意見を踏まえたものであります。
 なお、位置づけの変更前に改めて感染症部会の意見を聴き、予定している時期で位置づけの変更を行うか、最終確認した上で実施をいたします。
 位置づけの変更に伴い、これまで講じてきました各種の政策・措置について見直しを行います。
 現在講じている医療費の自己負担分に対する公費支援も見直すことになりますが、急激な負担増が生じないように、自己負担分にかかる一定の公費支援について、期限を区切って継続することとして、今後、具体的な内容を検討いたします。
 医療体制については、幅広い医療機関で新型コロナ患者が受診できるように、必要となる感染対策や準備を講じつつ段階的に移行してまいります。そのための、各種措置の取扱い等を含めた道筋について、具体的な内容の検討・調整を進めます。
 今申し上げた、医療費の自己負担分に対する公費支援、医療体制については、3月上旬を目途に具体的な方針をお示しします。
 なお、基本的な感染対策のうち、マスクについては、屋内・屋外を問わず個人の判断に委ねることを基本とするとともに、政府は着用が効果的な場面を周知するという方向で検討し、感染状況等も踏まえて、今後、早期に見直しの時期も含めてその検討の結果をお示しいたします。
 また、新型コロナが新型インフルエンザ等感染症に該当しないものとなり、5類感染症と位置付けられた場合、新型インフル特措法第21条第1項の規定に基づいて、現在設置している政府対策本部は廃止されることになります。
 廃止後においても、感染状況の変化や新たな変異株の発生等に迅速かつ的確に対応するために、必要に応じて、既に設置されている「新型インフルエンザ等対策閣僚会議」を開催いたします。
 また、5類感染症に位置付けられることに伴い、特措法に基づき実施している住民や事業者等への感染対策の協力要請等の各種措置は終了します。特措法の協力要請を前提に実施しております無料検査の一般検査事業も終了いたします。
 次に、基本的対処方針の変更についてご説明いたします。主な変更点はイベント開催制限の見直しでございます。
 イベント開催制限については、これまでの取組によりまして基本的な感染対策が業界全体に定着いたしております。
 ウイズコロナの取組を更に進める観点から、引き続き基本的な感染対策が実施されることを前提に、「大声あり」の場合は収容率上限を50%とする制限を廃止することとし、基本的対処方針を変更いたしました。
 このイベント開催制限の見直しに関する基本的対処方針の変更は本日より適用し、実際の運用は都道府県の取扱いの変更をもって開始いたします。
 詳細については、この後また事務方からもブリーフィングをいたします。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが2類から5類に変わる件について1点質問いたします。5類移行に伴って政府の対策本部は廃止されます。必要に応じて閣僚会議を開いて対応されていくとの方針ですが、特措法による協力要請等もできなくなります。仮に感染力が強い新たな変異ウイルスが現れた場合に、政府の対応が遅れて感染が急拡大するリスクも懸念されます。感染が急拡大すれば経済にもマイナスの影響を及ぼします。こうしたリスクを回避するために、どのような対策を現時点で検討していらっしゃいますでしょうか。お聞かせください。
(答)今回の新型コロナの位置づけの変更後においても、オミクロン株とは大きく病原性が異なる変異株が出現するなど、科学的な前提が異なる状況になれば、ただちに対応を見直すことが重要だと考えています。
 このため、位置づけの変更後においても、厚生労働省においてゲノムサーベイランスを継続し、新たな変異株の発生の監視を引き続き行うこととしているところです。
 今後、仮に感染力の強い新たな変異株が発生した場合であって、科学的知見や専門家の意見等を踏まえ、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められ、感染症法上の位置づけが再度見直されることとなれば、速やかに特措法を適用し必要な措置を講じてまいりたいと考えています。
 また、こうした対応を迅速かつ的確に行うために、必要に応じて、「新型インフルエンザ等対策閣僚会議」を開催することとしており、位置づけの変更後の対応にも万全を期してまいりたいと考えています。
(問)マスクについてお伺いしたいです。今回、個人の主体的な選択を尊重しという形で、個人の判断に委ねるような形の方針が示されましたが、こうした個人に委ねるというふうに判断した理由について教えていただけますでしょうか。
(答)基本的には、マスクにつきましては屋内・屋外を問わず個人の判断に委ねることを基本とし、政府は着用が効果的な場面を周知するという方向で検討し、感染状況等も踏まえて、今後早期に見直し時期も含めてその検討の結果をお示ししますので、そういう意味での今後の対応について検討した上で、できる限り早くに今後、その検討の結果を示していくということであります。
 いずれにしても、5類になることになれば、いろいろな行為規制等もなくなっていくわけでありますが、基本的な感染対策自体が全く必要でなくなるというわけではありません。今回の方針でも書かれておりますように、基本的な感染対策、手洗いだとか、手指の消毒だとか、そういったことについては積極的に取り組んでいただくということにもなっております。
 そういう意味で、マスクにつきまして見直しをするにあたっても、今後どういうふうにしていくか考えていくということで、今の段階では皆さんにお話しをしております。
(問)追加で1つすみません。マスクですけれど、マスクの見直し時期について、5月8日に必ずしも縛られていないという理解でよろしいのかというところ。あと、子どもに関して発育、発達の妨げにならないような配慮が必要であるというようなことも今回、対応方針で示されているのですが、これは子どもと大人でマスクの対応について、また別途分けて考えることもあり得るという理解でよろしいんでしょうか。
(答)まずマスクの着用ルールの見直しですけれども、これは類型変更と同時ということを必ずしも考えているわけではありません。感染症法上の位置づけの変更については、感染症部会においてお話し申し上げたように、3か月程度の準備期間が必要との御意見を頂いたことを踏まえて、5月8日から実施するということとしたわけでありますが、マスクを含めた基本的感染対策については、過剰な対応はできる限り早くに見直しすべきだということでありますが、新型コロナウイルス感染症の特性を踏まえた有効な方法については、引き続き丁寧に情報発信すべきという御意見も頂いているわけであります。特にマスクの取扱いの見直しは準備に特段の時間を要するというわけでもありませんので、前倒しで実施するということも考えられるということであります。
 いずれにしても、見直しの時期も含めて、どのような形でということについては早期に検討して、早期にその結果をお示ししたいと考えています。
 それから感染症部会においては、マスクを含む基本的な感染対策について、できる限り早期に見直しをしつつ、感染症の特性を踏まえて、有効な方法については引き続き丁寧に対応するという先ほど申し上げた話のほかに、子どもの健やかな発育・発達の妨げにならないような配慮も必要という御意見も頂いているところであります。
 マスクの取扱いの見直し時期等については、この子どもの問題も含めて今後、感染状況や感染者の御意見等を踏まえて、その結果を早期にお示しすることとしたいと考えています。ですから、子どもの取扱い等についても検討の対象として今後、早期の検討に進みたいということであります。
(問)イベントの開催のところで、引き続き感染防止安全計画を求めていくことになっていますけれども、5類になった場合に基本的対処方針がなくなるわけで、その後、この計画をどのように実効性を持たせていくというふうにお考えでしょうか。
(答)基本的には、基本的な感染対策は業界全体に定着していると考えています。それを前提にして、今回、基本的対処方針の変更を行いまして、収容率上限を50%とする制限について廃止するということにしたわけです。
 適用は本日ということになりますが、実際の取扱いが運用開始されるのは、この措置の主体である都道府県が的確に運用ルールの取扱い変更を決めて、それを提示したときからということになります。
 基本的対処方針そのものは、もちろん感染症法上の分類が5類になって特措法の適用が変わればなくなることになるわけでありますが、そうした基本的な感染対策については、しっかりと適応していただきながら、イベントの開催制限を今回緩めたということであります。
(問)それはどのように担保していくことになるんですか。文言というか、決まりがなくなるわけだと思うんですけれども。
(答)基本的には、今やっていただいている基本的なガイドラインについても、それぞれの団体に応じてしっかりと感染対策という形で、基本的感染対策のルールとしてやっていただいているということであります。基本的感染対策のルールそのものについては、別に政府のほうで、特に自主的にやっていただくということでお願いをしているということです。
(問)1点、3月上旬を目標に公費支援の在り方ですとか、医療体制の在り方の具体的な方針を示すということが決まっておりますが、これについての検討というのは、今後どのような場で行われるかを確認したかったのですが。よろしくお願いします。
(答)全体を御説明させていただきましたが、担当としては厚生労働省ということでありますので、厚生労働省のほうに聞いていただいたらいいということになります。
 都道府県においてはワーキングチームみたいなものをつくっておりますし、医療関係団体と関係者との意見交換会もすることになると思いますが、実際のその問題についての取扱いは厚生労働省になりますので、そちらのほうに詳しくは聞いていただきたいと思います。
(問)今回の見直しも感染症部会の御意見に基づいてということを首相もおっしゃったと思いますが、基本的には同じように厚労省の部会等で議論いただいて、それを最終的には政府で方針として出すというような形になるということでよろしいのですか。
(答)通常はそういうような形に。もちろん専門家の意見を聞くという意味での手続は、やっていくことになるとは思いますが、関係者と話をする必要もあるという意味で今、申し上げました。
(問)国民の中には、5類への移行によってコロナ禍が終わって前の生活に戻れるというような認識が少なからずあるように思うんですけれども、政府としては5類への移行によってコロナ禍が終わるという認識でいらっしゃいますでしょうか。
(答)新型コロナの5類感染症への移行に伴い、特措法に基づく各種措置は終了するほか、患者等への対応や、医療提供体制等についても必要な見直しを行うことになります。
 しかし一方で、本日の感染症部会の取りまとめにおいては、位置づけの変更によって、新型コロナの特徴が変わるわけでないことから、今後も感染拡大が生じうることを想定して、高齢者や基礎疾患のある者など、重症化リスクの高い者を守ることも念頭に、必要な感染対策は講じるべきであるとされています。
 また政府対策本部決定においても、医療機関や高齢者施設でのクラスター対策は継続するとされているとともに、基本的な感染対策、消毒だとか、手洗いだとか、あるいは換気だとか、そうしたものまで全てを不要とするものではないということは触れていまして、その点については御留意をいただいて。
 もちろん今、5類への移行という議論はこういう形で進んでいますけれども、新型コロナが出現して、そしてウイズコロナで暮らしているということでありますから、コロナが終わり前の生活に戻れるという、コロナが終わり前の生活という意味がちょっと分かりづらいですが、行動については、もちろん5類感染症に変わることで規制等が変わっていくわけですが、そういう意味では丁寧に対応する必要があると思っています。
 それから念のため申し上げると、オミクロン株とは大きく病原性が異なる変異株が出現するなど、科学的な前提が異なる状況になれば、ただちに対応を見直すことにもなるわけであります。
(問)もう1問お願いしたいです。5類への移行を契機として、コロナ禍の3年間を振り返って感染症対策以外の社会的な生活についての課題を整理したり、検証したりする必要があるというふうにお考えでしょうか。また、この3年間の経験や知見から、5類移行後も生かしていくべきとお考えになるようなものがありましたら教えてください。
(答)新型コロナで、我が国の経済社会は、もちろんこれだけの感染症の拡大があったわけですから大きく傷ついた一方で、今ちょっとご指摘のあったような、これまで進んでこなかったデジタル化が急速に進むなど社会が変わっていく、そういう確かな予感が生まれているという認識は皆さんもお持ちだと思います。
 今こそ、科学技術の恩恵を取り込むとか、コロナとの共生を前提とした新しい社会を創っていく必要はあると考えています。
 新しい資本主義では、様々な社会課題を成長のエンジンへと転換して、力強く成長を続ける持続的な経済を作っていくということを目指しているものでありまして、新型コロナにより顕在化したデジタル化、サプライチェーンの強靱化などの課題についても対応を進めてきているところであります。
 また、孤立などの問題についても、新しい資本主義が目指す包摂的な社会を実現していくという方向に向けて、総合経済対策においても少子化対策、こども・子育て世代への支援や、孤独・孤立問題に対する支援などにも取り組むこととしていまして、こうしたこともしっかりと目配りをしていきたいと思います。
 引き続き、社会変革の芽としての意味を生かしながら、新しい資本主義の実現に向けた取組を加速していくために、人への投資、また成長分野への大胆な投資の拡大等も含めて、経済構造の変革も進めるとともに、新しいコロナ後の社会を目指して、日本の新しい姿にもしっかりと挑戦していくという気持ちが大切だと思います。

(以上)