後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年1月23日

(令和5年1月23日(月) 10:31~10:43  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

  本日の閣議におきまして、令和5年度の政府経済見通しが閣議決定されました。昨年末に閣議了解した政府経済見通しに、令和5年度予算案等を踏まえて、政府支出に係る係数の追加等を行っております。
 経済成長率等の数値は閣議了解時と同じで、令和5年度は実質で1.5%程度、名目で2.1%程度の成長率となっております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)本日招集の通常国会では、感染症危機管理統括庁に関する法案、フリーランス保護に関する法案、それから日本学術会議に関する法案の3法案を提出のご予定とのことですが、それぞれの法案の意義と、どのような国会審議を期待したいかについてお伺いしたいです。よろしくお願いいたします。
(答)本日招集された第211国会におきましては、私の担当分野からは3法案の提出を予定しております。
 1つ目のインフル特措法の改正及び内閣感染症危機管理統括庁の設置に係る法案につきましては、国・地方一体となって、次の感染症危機に迅速・的確に対応するために、政府対策本部長の指示権の発動可能時期の前倒しや統括庁の設置等、政府の感染症危機管理に関する司令塔機能の強化等を図るものであります。
 2つ目のフリーランスの取引適正化に係る法案は、働き方の多様化が進む中で、個人がフリーランスとして安定的に働くことができる環境を整備するために、フリーランスに業務委託をする事業者に給付の内容等の明示を義務付けるなど、取引関係の適正化を図るものであります。
 3つ目の日本学術会議法の改正については、日本学術会議が国民から理解され信頼される存在であり続けるために、活動や運営の透明化、ガバナンス機能の強化を図るとともに、政府・産業界や広く社会・国民等の問題意識や時間軸等を共有しつつ、中長期的・俯瞰的分野横断的課題に関し、時宜を得た質の高い科学的助言を行う機能等を強化するものでございます。
 いずれの法案についても、提出に向け着実に準備を進めるとともに、国会におきまして十分にご審議いただいた上で、速やかに成立させていただけますよう努力してまいりたいと考えています。
(問)2点お伺いします。
 まず1点目なんですけれども、本日連合と経団連の会長がトップ会談をして、春闘が事実上スタートしましたけれども、物価高対策を指揮される大臣として、今回の春闘、どういった水準での賃上げを期待されているか、改めてお考えをお伺いします。
(答)目下の物価高に対する最大の処方箋は、物価上昇に負けない継続的な「賃上げ」を実現することだということはたびたび申し上げたとおりでありまして、基本的考え方はそのとおりであります。
 本日、経団連会館において、経団連と連合との懇談会が開催され、事実上の春闘がスタートしたと思います。連合は、賃上げ要求について、「定期昇給相当分を含め5%程度」という方針を表明しておりまして、経団連は各企業に対し、「ベースアップの目的・役割を再確認しながら前向きに検討する」方針ということであると承知をいたしております。
 賃上げ自体は、各企業の支払い能力を踏まえながら、個別に労使交渉し、合意した上で決定されるべきものでありますが、そうした中での最大限の賃上げを期待したいと考えています。
 そのために政府としても、総合経済対策において、価格転嫁対策や中小企業支援等によりまして、民間企業の賃上げに向けた取組を後押しするとともに、賃上げを継続的なものとし、構造的賃上げを実現するために、リスキリングによる能力向上の支援、職務に応じてスキルが正当に評価され、賃上げに反映される日本型の職務給の確立、成長分野への円滑な労働移動を進め、働く人の立場に立って三位一体の労働市場改革を進めるということを政府としても後押しをしていきたいと考えています。
(問)関連してもう1点お伺いします。本日閣議決定された政府経済見通しの中で、令和5年度の雇用者報酬について3%の伸びということを公表されていらっしゃるわけですけれども、今回の春闘の賃上げ率としては、どういった程度の賃上げが前提となるのか、お伺いできればと思います。
(答)本日閣議決定した政府経済見通しでは、雇用者全体の賃金総額である「雇用者報酬」について、今ご指摘があったように、来年度は3.0%程度の上昇率になると見込んでおります。
 雇用者報酬は、一人当たり賃金に雇用者数を乗じて算出されますが、その推計に当たっては、現下の経済・物価状況を踏まえまして、一人当たり賃金については、賃上げに向けた企業の前向きな動きや、総合経済対策をはじめとする「構造的な賃上げ」に向けた各種政策効果の発現も見込んだ上で、2.8%程度の上昇率。また、雇用者数については、経済回復に伴う労働需要の拡大などを見込むことにより、0.2%の増加率になると推計をしております。
 ただし、一般に「賃上げ率」という場合は、従業者個人に着目して、勤続年数等に応じた定期昇給分を含む月例賃金の伸び率を指すことが多いわけで、まさに今お尋ねのあった連合5%というのも、こうした水準になるわけでありますが、その場合、上記の一人当たり賃金上昇率とは、その数字自身は異なるということなので、2.8%がそのまま賃上げ率の議論ではないということでございます。
 我々、春季労使交渉において決定される賃上げ率について、特段の想定を置いているものではないわけですが、物価上昇に負けない賃上げが実現することを期待しているということです。
(問)日銀が本日、昨年12月に開催した金融政策決定会合の議事要旨を公表しています。その中で、政府側の出席者から一時中断を申し出る発言がされています。なおかつ、再開後に内閣府の出席者から政策の丁寧な説明を求めるよう発言もされています。中断の申し出があるというのはめったに見られないような光景だと思うんですけれども、こうした中断の申し出、なおかつ政策の丁寧な説明を求める発言、こうしたことの意図について教えていただけますでしょうか。
(答)政府の出席者もしっかりと責任のある立場で日銀の政策決定の議論に参加しているわけですから、例えば中断して確認をするというような事態も、決して間違っているとか、あり得ないということではない。珍しいことなのかどうかということの認識は少しはっきりいたしません。その辺の事情については、今現在、私自身が承知しておりません、どういう事態だったのか。
 しかしいずれにしても申し上げられることは、最終的には関係者が合意をしながら議論が進んだということであります。当然、決定会合において一致して、あるいは段取りとしてきちっとセットされて決まったものであるということについては間違いのないことだと思います。
(問)大臣は厚労大臣からコロナ担当をやられていると思うんですけれども、今回の賃上げも厚労大臣だし、危機管理庁も厚労大臣だし、ある意味で2類・5類も、やはりこの通常国会を迎えて、両方大臣を経験されて、厚労大臣が異常に負担が多すぎるように思うんですけど、普通に国民はそう思うと思うんですが、その辺はどうご覧になりますか。
(答)それぞれ大臣は責任を持って自分の所管事項を当たるということでありますから、私も厚生労働大臣をやってはおりましたが、確かに仕事は少なくないということの認識については、否定するものではありませんが、大臣として自分の所管事項に全力を尽くしてやっていく。歴代厚生労働大臣もそのようにやってきたし、これからもそうだろうと思います。

(以上)