後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年1月20日

(令和5年1月20日(金) 15:06~15:21  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私から、今日は2点、冒頭発言をさせていただきたいと思います。
 まず新型コロナウイルス感染症について申し上げたいと思います。新型コロナの発生から3年が経過をいたしました。この間、感染拡大防止と社会経済活動維持のために国民の皆さま、医療・介護で従事されている皆さま、エッセンシャルワーカーの皆さま、自治体の関係者、事業者の皆さまにも大変なご協力、ご尽力をいただきましたこと、心から改めて感謝を申し上げたいと思っております。
 本日、総理及び関係閣僚と協議を行いまして、先ほど総理の会見でもありましたが、新型コロナウイルス感染症について、原則としてこの春に、感染症法上の「新型インフルエンザ等感染症」から外して、5類感染症とする報告で厚生科学審議会感染症部会で議論を進めることを確認いたしました。
 新型コロナ対策につきましては、感染症法に基づく対応に加えまして、新型インフル特措法に基づいて住民や事業者の方々の感染対策の協力要請等を行い、感染拡大防止と社会経済活動のバランスをとりつつ取り組んできました。
 今後、感染症部会の議論の結果、「新型インフルエンザ等感染症」から外されて5類感染症となった場合には、第1に現在設置している政府対策本部について、特措法21条の規定に基づき廃止されることになります。
 また第2点として、特措法に基づき実施をしている感染対策に関する協力要請等の各種施策、これも終了することになります。感染症部会の議論の結果を踏まえて、平時の生活を全面的に取り戻すことができるように取り組んでまいりたいと考えています。
 他方で、現在の感染状況は、新規感染者数は減少傾向にあるものの高い水準が続いております。国民の皆さまには、引き続き適切なマスクの着脱、効果的な換気、手指消毒など、基本的な感染対策へのご協力をお願いしたいと思います。これが第一点でございます。
 第二点ですが、ダボス会議、TPP関連のバイ会談についてご報告をしたいと思います。1月17日から1月19日にかけてスイスに出張しまして、世界経済フォーラム年次総会、ダボス会議に出席するとともに、TPP関連のバイ会談を行いましたのでご報告をいたします。
 ダボス会議では、18日水曜日に日本の経済政策に関するセッションにパネリストとして登壇しまして、足元のマクロ経済政策、新しい資本主義の取り組みなど、日本がどのような経済財政運営を目指しているかを中心に説明をさせていただきました。
 具体的には、第一にマクロ経済政策については、政府経済見通しでお示しした、実質で1.5%程度の民需主導の堅調な成長を実現するために総合経済対策を迅速に実行して、電気・ガス料金等の上昇の負担緩和や、物価上昇に負けない継続的な賃上げの実現、成長分野への大胆な投資拡大に取り組むこと等を説明いたしました。
 第二に、「新しい資本主義」については、まず、これまでの日本の状況を説明しまして、グローバルな競争が激化する中で、日本企業がコストカット重視の経営を続けたために人への投資が不足し、デフレ下で賃金も上がらず、研究開発投資も抑制されてきたと。そういう中で、その現状を打破するために、「新しい資本主義」を掲げることによって成長と分配の好循環を成し遂げ、社会の活力を取り戻して、分厚い中間層を復活させるための処方箋として提起をしているということ等をご説明いたしました。
 また第三に、海外からの人材や資金をより一層呼び込むということで、対日直接投資について、2030年までには対日直接投資残高を80兆円という目標を掲げて高みを目指していくことを説明し、是非日本へ、海外の民間の企業にも投資の目を向けてほしいというお話もさせていただきました。
 今回の出張で得られたこうした知見につきましては、今後のマクロ経済政策、また骨太方針の策定や、今後の経済財政運営に生かしてまいりたいと思っています。
 また、CPTPPを所掌する大臣としまして、このダボスの日本セッションの後、現在加入を検討されているところの英国のベイデノック国際貿易大臣、また本年のTPPの委員会の議長国であるニュージーランドのオコナー貿易・輸出促進担当大臣と会談を行いました。
 両大臣とは、現在進行中の英国のCPTPP加入プロセス等につき議論を行いまして、各国と引き続き緊密に連携して、英国の加入交渉の早期妥結の実現に向けて取り組んでいくことを確認いたしております。
 関係国とともに、CPTPPの着実な実施とハイレベルを維持しながらの拡大に積極的に取り組んでいきたいと考えています。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)内閣府は中長期の財政経済を試算するなど、財政健全化を所管されていますが、その内閣府の大臣として、今自民党で起きている国債の60年償還ルールの見直しを求める動きというのをどのように見ていらっしゃいますでしょうか。ご見解をお願いします。
(答)与党において、ご指摘のような議論がなされているということを承知しております。党における議論に関して予断をもってコメントすることは控えたいと思います。
 その上で申し上げますと、仮に「60年償還ルール」を見直した場合に、債務償還費の繰入れが減少する分、赤字国債は減るものの、借換債が増えることから、国債発行額としては変わることはなく、このルールを見直しつつ、政策的な経費が増えると、その分は国債発行額も増えるということには留意する必要があると思っています。
 防衛力強化の財源については、自民党でしっかりとまたご議論をいただきたいと思うわけでありますが、いずれにせよ、経済財政運営全体を担当する立場としては、これまでも申し上げてきたとおり、現下の経済にしっかり対応し、経済の再生を図るとともに、中長期的な財政の持続可能性への信頼が失われないように、責任ある経済財政運営に努めていきたいと考えています。
(問)コロナの5類への引き下げということで、これによって対策本部が廃止されるということですけれども、今後、季節性インフルエンザと同程度以上の重症化を伴うような変異株が出た場合の対応についてお伺いします。
(答)先ほど申し上げたように、いずれにしても感染症部会の議論に従って考えていくわけでありますが、仮に変異株がまた新たに発生して科学的知見や専門家の意見等を踏まえて感染症法上の位置づけが変わってくるということになれば、それに応じて特措法を適用して必要な措置を講じることになると考えられます。
 特措法の適用は、新型インフルと、あとは指定感染症、それから新感染症、こうしたものについて適用することを検討するわけでありまして、そういう事態が発生して、新感染症、指定感染症、あるいは新型インフル等感染症、こうしたものとして感染症法上の位置づけが復活するとなれば、当然その時に特措法上の必要な措置を講ずるということになります。
 いずれにしても、感染症部会の議論が行われていくところでありまして、それに応じて適切な特措法上の対応をしていくということになります。
(問)今回の5類への引き下げで、経済面でどのような影響が出るとお考えでしょうか。またどのような影響を望みますでしょうか。
(答)5類になることによりまして、従来から感染対策と、そして経済活動を両立させていくということでやってきましたが、より自由な経済活動が認められるという方向になっていくわけで、そういう意味では経済効果は出てくるものだと思っています。
 もちろん、先ほども質問が出たように、新しい変異株が生じるとか、また感染症法上、専門家の皆さまから特別な感染対策が必要になるということになれば、そのことについて考え直すということはもちろんあり得るわけでありますが、少なくとも5類になることによって、様々な形での経済活動を救出するということは少なくて済むことになるわけです。
 それから政府側も、先ほど申し上げたみたいに特措法上の法律に基づく様々な協力要請等は法律上できないということになります。その辺のところは、経済的には、感染が軽くなり平時を取り戻していくにつれて、より高い経済活動と、よりよい経済パフォーマンスがどんどん生じてくることを希望しています。
(問)5類引き下げに伴って、今後の海外からの旅行者の水際対策のところをこれからどのように考えて取り組まれていくかという考えをお聞かせください。
(答)基本的にいえば、今は水際対策も緩和の方向で検討してきました。一部、急速な拡大やゲノム解析等の透明性等を考慮した水際の対応も行ってきてはおりまが、基本的には全体の感染の状況に応じて、それは海外の感染状況も含めながら考えていくことだと思いますが、いずれにせよ、国内における様々な対応については緩くなっていく。国際的な感染の状況や、それに対するサーベイランスの状況等を踏まえながら水際対策は考えていくことになると思います。詳しくは所管の大臣に聞いてほしいと思います。

(以上)