後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年12月23日

(令和4年12月23日(金) 15:34~15:52  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 最初に、新型コロナウイルス感染症に関しまして、私のほうから2点説明させていただきます。
 まず、岐阜県の「医療ひっ迫防止対策強化宣言」についてです。現在、全国的に、新型コロナウイルスの新規感染者数が急速に増加しておりまして、岐阜県においては、1日当たりの新規陽性者数や病床使用率が今夏の感染拡大と変わらないレベルに推移し、入院・外来ともに医療の負荷が高まる状況にあります。
 こうした状況を踏まえて、本日、岐阜県が「医療ひっ迫防止対策強化宣言」を発出するとともに、国としても先月、11月18日に政府対策本部において決定した枠組みに基づきまして、岐阜県を「医療ひっ迫防止対策強化地域」として位置付けました。
 「医療ひっ迫防止対策強化宣言」は、新たな行動制限は行わず、社会経済活動を維持しながら感染拡大防止を図るという基本方針の下で、保健医療への負荷が高まった都道府県が地域の実情に応じて宣言を行い、住民や事業者に対して感染拡大防止等に関する要請、24条9項の要請や呼びかけを行うことにより、感染拡大防止の取り組みを強化するものであります。国としても、このような県の取り組みを支援するために、強化地域として県と緊密に対応をしてまいります。これが第1点でございます。
 次に、年末年始の感染対策に関して、国民の皆さまへのお願いでございます。現在、全国的に感染者数が急速に増加しておりまして、年末年始は人との接触機会が増加いたします。社会経済活動を維持しながら感染拡大防止を図り、国民の皆さまが安全・安心に過ごしていただくために、以下の5点をお願いいたしたいと思います。
 1点目は、地域の感染動向を踏まえた行動のお願いでございます。各都道府県において、感染状況は異なっておりまして、地域の実情を踏まえて感染防止策や受診行動に関する要請・呼びかけが行われております。お住まいの地域や訪問先における要請・呼びかけに沿った行動をお願いしたいと思います。
 2点目は、オミクロン株対応ワクチン接種のお願いでございます。オミクロン株対応ワクチンには、従来型ワクチンを上回る重症化予防効果等が期待されています。冬は帰省や受験など、多くの人にとって大切な時期でありますので、ご自身や大切な方を守るために早期に接種をお願いしたいと思います。
 3点目は、外来受診・自宅療養についてのお願いでございます。各都道府県においては、いわゆる第8波への備えとして、発熱外来や電話診療、オンライン診療の体制を強化しております。高齢者や基礎疾患のある方、妊婦の方は、喉の痛みや発熱などの症状が出た場合、発熱外来を受診していただきたいと思います。小学生以下のお子さんにつきましては、かかりつけ医をはじめとした地域の小児科医などにご相談をしていただいて、発熱外来・小児科等を受診していただきたいと思います。
 それ以外の重症化リスクの低い方については、同時流行や感染拡大が生じた場合、重症化リスクの高い方や子どもを守るため、新型コロナ抗原定性検査キットによる自己検査や、地域の健康フォローアップセンターの活用をお願いしたいと思います。
 受診を迷った場合、また症状が重いなど、受診を希望されるような場合には、地域の受診・相談センターにお電話をいただきまして、かかりつけ医・発熱外来の受診や電話診療・オンライン診療をご検討いただきたいと思います。
 また、体調不良に備えて、国が承認した新型コロナ抗原定性検査キットや解熱鎮痛剤等の早めの購入や、電話相談窓口などの連絡先の確認等の準備もお願いいたしたいと思っています。
 4点目は、日ごろから体温や健康状態のセルフチェックをしていただくとともに、適切なマスクの着脱、手指消毒、換気などの基本的な感染対策の徹底をお願いいたします。
 特にエアロゾル感染に対しては換気が有効です。冬は暖房器具使用のため窓が閉め切りとなりますが、定期的に窓を開けて換気をお願いいたしたいと思います。
 最後に5点目でありますが、年末年始期間中、帰省される場合には、地元での高齢の親族の方などとの接触機会が多くなりますので、出発前、また帰省先から戻った際等、検査をしていただくようお願いしたいと思います。
 明日12月24日から1月12日まで、全国1万3千カ所あります無料検査拠点の他に、主要な駅周辺や空港等において、126カ所の臨時の無料検査拠点を設けますので、是非ご活用をいただきたいと思います。
 社会経済活動を維持しながら、感染拡大防止を図るために、国民の皆さまにおかれては、これらの取り組みにご協力をお願いしたいと思います。
 なお、今申し上げた国民の皆さまへのお願いの内容については、お手元に資料もお配りしておりますが、内閣官房のホームページにも掲載予定でございますので、ご覧いただきたいと思います。
 それから、第2番目でございますけれども、TPPについて申し上げたいと思います。
 CPTPPでございますが、12月23日、チリがCPTPP発効のための国内手続きを完了した旨を寄託者、これは条約の事務管理や条約製本の管理等を行う国ということでありまして、締結時にニュージーランドということで決まっておりますが、寄託者であるニュージーランドに通報をしました。これによりまして、2月21日、チリがCPTPPの10番目の締結国となる予定でございます。
 CPTPPの重要なパートナーであるチリがCPTPPの締約国に加わりまして、メリットの実現がさらに進むことを大変喜ばしく思っております。他の未締結国についても、可能な限り早期に必要な手続きの完了を期待したいと思っております。
 私のほうからは以上でございます。

2.質疑応答

(問)先ほど発表になった国民経済計算年次推計について伺います。一人当たりの名目GDPがOECDの加盟国中で20位となりました。大臣の受け止めをお願いします。
(答)本日公表された国民経済計算年次推計によれば、2021年の我が国の一人当たり名目GDPは、米ドル換算で3万9,803ドルでありまして、OECD加盟国38カ国中で日本の順位は20位となっております。
 我が国のOECD内での順位は、1990年代以降の長い目で見て下落傾向となっておりますが、この背景には何よりもバブル崩壊以降の長引くデフレが挙げられます。この間、企業は投資や賃金を抑制し、消費者は所得の伸び悩みなどから消費を減らさざるを得ず、その結果として需要が低迷し、デフレが継続するという悪循環が続いたものと認識しています。このように低い経済成長率と下落する物価の中で、我が国の一人当たり名目GDPの伸びは、主要先進国に対して劣後してきていると言えると思います。
 政府としては、あらゆる政策を総動員して、持続的な経済成長を実現するべく、新しい資本主義の下、従来コストとされてきた人やGX等への投資を未来への投資と再定義して、社会課題の解決を通じて新たに市場をつくることで、成長と持続可能性の二兎を実現する。さらに、そのようなイノベーションや人への投資を進めることによって、生産性や付加価値を向上させるとともに、適切な価格付けを通じて、各企業や業界全体のマークアップ率を高めて、それによって賃上げや下請け企業等がコスト上昇の転嫁をできるよう、適切な支払をしっかりと確保していくと。
 こうした政策をしっかりと実現していくことによりまして、連続的に拡大が続く成長と分配の好循環を築き上げていくことが必要だと考えています。しっかりとこうした点、申し上げているわけでありますが、今後とも取り組むことによって、一人当たりGDPの議論と、しっかりと新しい地平が見えるように、新しい資本主義の下、取り組んでいきたいと思います。
(問)コロナでお伺いしたいんですけれども。岐阜の宣言は、新しい仕組みになって全国で初めてだと思いますけれども、国のほうで、さらなる宣言の対象地域などを調整されているところはあるのでしょうか。それが1点。
 もう一つ、宣言の地域を、先ほど国も岐阜ということで位置付けたというふうに大臣はおっしゃったと思いますが、そうなると、リエゾンの派遣などの調整というのは今後、検討されている部分はあるんでしょうか。
(答)まず「医療ひっ迫防止対策強化宣言」については、これまでいくつかの自治体から問い合わせ等は受けていますが、個別のやりとりについてはお答えを差し控えさせていただきたいと思っています。
 いずれにしても、都道府県とよく連携して、各地域の保健医療の状況や社会経済活動の状況等を注視しながら、我々としても適切な対応をしてまいりたいと思っております。今、お尋ねのことについては、今は決定をしていることはありません。
(問)リエゾンは。
(答)それは決定いたしておりません。都道府県とよく連携して、それぞれの地域の状況を考えながら、対応ぶりについては検討していきたいと思います。
(問)今のに関連して確認です。リエゾン以外にも特に検討をしているものはないという認識でよろしいんでしょうか。国として指定をした後、具体的に何か取る対策というか、取り組みがあるのかどうか教えてください。
(答)基本的に「医療ひっ迫防止対策強化宣言」というのは、それぞれの都道府県における要請だとか、あるいは呼び掛け、そうしたものに対して国として応援をしていく、国としての宣言を、各地方公共団体とともに地域の方に対して話ができるようにしていくということであります。
 いずれにしても、この間申し上げたとおりでございますから、今後、どういうような形で協力ができるのかは相談をしていきたいと思います。今のところ、特に具体的なことで、どういう支援ということで決定していることはありません。
 支援ということから言えば、最大の支援は、岐阜県がこれまで岐阜県自体の宣言をやってきました。それに対して、今度は「医療ひっ迫防止対策強化宣言」という国の制度に乗せた上で、そうした要請をしていくと。そのこと自体が宣言、あるいは岐阜県の要請や呼びかけに対する県民の皆さんへの注意喚起や、あるいは影響を高めるという意味は大きいと思います。
(問)予算案のことで伺えればと思うんですけれども。予算案成立見込みの受け止めと、過去最大の歳出となる中で、財政再建への道について大臣の所感をお願いいたします。
(答)まず財政再建については、基本的な考え方から言えば、やはり経済をしっかりと立て直すことが大事であると。その後で、しっかりと信頼される、マーケットからも信認を受けられるような財政健全策をしっかりとやっていくということが基本的な考え方だと思います。そういう意味では、投資の拡大や、様々な対応をしているということだと思います。
 それから、今回の予算について、非常に特徴的な点について言えば、それはやっぱりウクライナの情勢、また日本周辺の様々な国際状況の緊張関係からいって、やはり日本の防衛力を高める、そうしたことによって抑止力をしっかりと発揮できるような、そういう防衛の体制を整えていく必要があるということが大きな予算の目玉になっていると思います。
 そういう意味で、社会保障についても、基本的なルールに従って、いわゆる高齢化のスピードに合わせて支出の伸びをきちんと管理するという形ではありますが、伸びも大きくなっておりまして、そういう意味で言えば、114兆円の最大の規模になっていると思います。
 一方で、税収等の好調もありますから、国債等については減額になっていると。そういう意味で言えば、財政についてもそれなりに配慮のできている結果であると思います。今後とも、できる限り早くに予算を仕上げて、国民の手にしっかりと予算が行き渡っていくようにやっていきたいと考えています。

(以上)