後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年12月21日

(令和4年12月21日(水) 10:39~10:50  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要を報告いたします。
 今月は「景気は、緩やかに持ち直している。」と、先月の判断を維持しております。これは、サービス消費を中心とした個人消費の緩やかな持ち直しや、好調な企業収益を背景とした設備投資の持ち直しが続いていることなどを踏まえたものです。
 先行きについては、ウイズコロナの下で、景気が持ち直していくことが期待されます。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが、我が国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響や中国における感染動向に十分注意する必要があります。この他、会議の詳細については、後ほど事務方からご説明をいたします。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)月例経済報告について伺います。
 個人消費は緩やかな持ち直しということで、判断自体に変更はありませんでしたが、ウイズコロナの進展や全国旅行支援などの政策の効果もあり、サービス消費を中心に持ち直しが続くということになりました。一方で、年末年始の旅行動向などをみると、まだまだコロナ前の水準からは程遠いというような統計も見受けられます。今後の消費喚起策の在り方についてどのようにお考えか、教えてください。
(答)旅行・宿泊への支出や訪日外客数は、ウイズコロナの下で経済社会活動の正常化が進展する中で、全国旅行支援や水際対策の緩和などがありまして増加傾向となっております。
 消費の先行きについては、引き続き持ち直していくことが期待されるわけでありますが、物価上昇の下で実質総雇用者所得や消費者マインドは弱含んでいる点には注意が必要であると考えています。
 政府としては、総合経済対策を速やかに実行いたしまして、今後想定される電気料金等の上昇による負担を直接的に軽減する前例のない思い切った負担緩和策について、1月の使用分から支援を開始するなど物価高対策を講じるとともに、インバウンド消費の速やかな回復や、年明けにも再開される全国旅行支援等、国内需要喚起策の実施等を通じて、消費の持ち直しの動きを確かなものにしていくということで対応してまいります。
 さらに、目下の物価高に対する最大の処方箋である、物価上昇を十分にカバーする継続的な賃上げに向けて、賃上げに取り組む中小企業への支援を大幅に拡充するとともに価格転嫁対策を強化していく。また、人への投資の抜本強化や労働移動の円滑化を促進することによりまして構造的賃上げを実現していく。こうしたことによりまして、持続的な消費の拡大を実現していくように対応していきたいと思います。
(問)昨日までの日銀の金融政策決定会合に関して伺います。
 政策を日銀が修正して、市場では事実上の利上げの決定をしたというふうに受け止められています。日銀は市場機能の正常化ということを説明していますが、金融の引き締めであれば、景気へのマイナス要因というのも考えられると思います。この辺り、今回の日銀の決定について、大臣の考えをお願いいたします。
(答)黒田総裁は昨日の会見で、第一に短期の政策金利をマイナス0.1%、そして10年物国債の金利目標を0%程度というイールドカーブ・コントロールの基本は全く変わっていない。そういう意味で経済に対する刺激効果、経済成長を促進し、経済の拡大を図っていく効果に基本的な変更はない。また、こうしたYCC(イールドカーブ・コントロール)の運用の手直しによって企業金融への波及がよりスムーズに、安定的に起こることで、景気にはむしろプラスだと思うと、このように発言されたと承知しています。
 今回の決定は、黒田総裁が昨日の記者会見で述べておられたように、金融緩和の修正や「出口」を意味するものではなくて、金融緩和の効果をより円滑に波及させる、すなわちイールドカーブ・コントロールを起点とする金融緩和の効果が企業金融などを通じてより円滑に波及していくと、そういうこととともに金融緩和の持続性を高めるものであると承知いたしております。いずれにしても、実体経済への影響については、今回の決定の影響も含め、引き続ききめ細かくみてまいりたいと思っています。
 また、今申し上げたとおりのことでありまして、先ほど「事実上の利上げ」というようなご発言もありましたけれども、先ほど言ったような日銀の政策決定の対応の意味からして、昨日の黒田総裁の会見でも述べられているように、今回の措置は、市場機能を改善することでイールドカーブ・コントロールを起点とする金融緩和の効果が、企業金融等を通じてより円滑に波及していくようにする趣旨として行うものであって、利上げではないと、明確に利上げを否定していると承知しておりますので、そのことも付言させていただきます。
(問)関連して、内閣府側からも決定会合に出席されていると思うんですけれども、今回の決定会合で何かしら政府側の意見として伝えたことはあるのかというのと、あと今日の月例経済の会議の中で、総裁から決定内容の説明だったり議論があったのか、この2点をお願いします。
(答)政策決定会合の内容についての発言については、私のほうから申し上げることは控えておきたいと思います。
 それから、今日の月例経済報告関係閣僚会議では、日銀の総裁から、金融市場の動向やイールドカーブ・コントロールの運用の見直しの内容について、政策決定の背景、例えば海外市場のボラティリティ上昇の影響で、我が国の債券市場の機能が低下していると。具体的には、各年限間の金利の相対関係が、10年物と8年・7年物で相対関係が崩れていることや、現物と先物の裁定の問題とか、そうしたことが金融環境に悪影響を及ぼす恐れがあって、国債金利は社債や貸出金利の基準となるものですから、そうしたことが起きないように、きちんと金融緩和の効果が企業金融などを通じてより円滑に波及するように、そのことは金融緩和の持続性を高めることで物価安定の目標の実現を目指していくと、そういう説明がありまして、それに対する特に発言はありませんでした。
(問)日銀の政策決定会合の関係で、もう一点お伺いします。
 今回、長期金利の上限が0.5%程度まで引き上げられたことに伴って、金利の上昇というものが考えられわけですけれども、国債費がそれによって今後上振れていくような可能性をどのようにお考えなのか。また、そうした場合に財政への影響というのをどういうふうにお考えか、お伺いできればと思います。
(答)今回、利上げであるかどうかということについては、日本銀行の立場について先ほどご説明したとおりであります。変動幅、今までのプラス・マイナス0.25をプラス・マイナス0.5にしているということであります。
 今後とも金融緩和の姿勢を日銀は続けていくということで、今回の政策決定会合でありました。今後の諸情勢をみながら運営をまた日銀もされていくことだろうと思いますし、政府としてもしっかりと実体経済の動向に対応するように臨んでいくことだと思います。
 金利が引き上げになった時に財政に対してどういう一般的な効果があるかということについては、もちろんご指摘のとおりだと思いますが、そうしたことも含めて経済の全体の動向の財政に対する影響、そうしたことも含めて総合的に判断することだと思います。

(以上)