後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年12月16日

(令和4年12月16日(金) 18:49~19:05  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 本日、第12回全世代型社会保障構築会議及び第5回全社構築本部を開催いたしました。
 第12回全世代型社会保障構築会議では、清家座長から会議における報告書を取りまとめた旨、ご説明をいただきました。
 引き続いて開催いたしました第5回全世代型社会保障構築本部では、清家座長からその概要をご説明いただきまして、報告書に基づき、全世代型社会保障の構築に向けた取組を、今後、政府として着実に進めていくことについて、本部として正式に決定をいたしました。
 その後、岸田総理から、特に「こども・子育て支援の充実」については、報告書に記載の内容を含めて、今後、こども家庭庁の下で必要なこども政策が何かをしっかりと議論をした上で体系的に取りまとめて、社会全体での費用負担のあり方の検討とあわせて、取り組んでいく必要があること、来年度の「骨太の方針」には、こども予算の倍増を目指していくための当面の道筋を示していくこと、足元の課題として掲げられた医療保険制度や医療制度の課題について、次期通常国会に向けて厚生労働省において速やかに法案作成作業を進めること、足元の課題とともに中長期的な課題について、時間軸と地域軸を持ち、全世代で支え合い、人口減少・超高齢社会の課題を克服するための取組を着実に進めることについてのご発言がありました。総理のご発言に沿って、政府として必要な取組を着実に進めてまいりたいと考えております。
 今回の報告書につきましては、これまで12回にわたる議論の集大成として取りまとめていただいたものでありまして、「全世代で支え合い、人口減少・超高齢社会の課題を克服する」という観点から、今後の目指すべき社会の方向性や、取り組むべき具体的な課題を明確にお示ししていただいたものだと考えております。
 私も毎回、担当大臣として会議に出席し、清家座長をはじめとする構成員の皆さま方の熱心な議論を目の当たりにし、勉強もさせていただきました。皆さまのこれまでの精力的な議論に感謝を申し上げたいと思っております。
 報告書の具体的内容については、この後、事務方のほうからも説明をさせていただきたいと思います。

2.質疑応答

(問)少子化対策は成果が出るまでに20年以上かかるといわれ、一刻も早く根本的に取り組む必要があると様々なところで指摘されています。1年かけて議論してきましたが、子育て支援策について、今回の報告書では、まとめた課題に取り組むための財源確保の具体策に触れられませんでした。関連予算倍増の当面の道筋を示すとしている来年の骨太方針の策定まで約半年ですが、今回の議論の遅れが将来に与える影響は大きくないとお考えでしょうか。
(答)報告書におきましては、少子化は国の存続そのものに関わる問題であって、「未来への投資」として子育て・若者世代への支援を急速かつ強力に整備することが緊急を要する取組であるという観点から、具体的な課題と方向性をお示ししていただいたところと考えています。
 また、財源についても、「恒久的な施策には恒久的な財源が必要」とされた上で、骨太の方針2022に沿って、全ての世代でこどもや子育て・若者世代を支えるという視点から、支援策のさらなる具体化をあわせて検討すべきとのご意見を頂いているわけです。
 政府としては、従来から、来年度の「骨太の方針」にはこども予算の倍増を目指していくための当面の道筋を示すとの方針をお示ししているところでありまして、これに沿って今後、しっかりと対応していきたいと思っています。
(問)今度、全社の会議の報告書がまとまりまして、まさにこの直前ですけれども、例えば経済・財政一体改革推進会が開催されておりまして、年末、改革工程表をまた見直すと思うのですが、この全社の報告書というのがそこに与える影響ですとか、当然盛り込まれることになると、そういう見方でよろしいんでしょうか。
(答)ちょうど経済・財政一体改革推進委員会がたった今終わったところでございまして、改革工程表2022について熱心なご議論をいただきました。取りまとめをしていただいたわけでありますが、この工程表には全世代型社会保障構築会議と、こうした会議の内容を含めたところで議論を反映させて、しっかりと次回の経済財政諮問会議に報告をしていきたいと考えています。
(問)そうしますと、今日の委員会で取りまとめで、経済財政諮問会議としての取りまとめは次回ということでございますか。
(答)ええ。経済財政諮問会議に報告するということで、経済財政諮問会議でまとめます。
(問)今回の報告書に、かかりつけ医のこれからの道筋、制度を整備していくということが盛り込まれましたけれども、今後整備されていくことについての意義やポイント、それから期待されていることについて大臣のお考えをお聞かせください。お願いします。
(答)かかりつけ医機能が発揮される制度整備を進めていく際には、この報告書でもまず最初に記載されていますが、国民、患者から見て一人一人が受ける医療サービスの質が向上していくということが一番大事なことだと考えています。
 このため、報告書では、患者のフリーアクセスは維持しつつ、医療機能情報提供制度を拡充して、医療機関が自らの、かかりつけ医機能に関する情報を住民に今以上分かりやすく情報提供するとともに、特に高齢者については幅広い診療や相談、在宅医療・介護との連携に対するニーズが高いことを踏まえて、かかりつけ医機能を併せ持つ医療機関を都道府県が確認・公表すべきと、そういうふうにしています。これが実現すれば、現状と比べて国民、患者一人一人が医療機関をより的確に選択できると考えています。
 加えて報告書では、治療の医療機関が自ら有する、かかりつけ医機能を都道府県に報告して、都道府県が地域の機能の充足状況を把握して、改善点を地域の議論の場で協議する仕組みを導入すべきと提案されております。
 こうした仕組みの導入を通じて、地域の医療機関が担う、かかりつけ医機能の内容の向上、強化が図られまして、地域全体で必要な医療が必要な時に提供できる体制を構築できると考えています。
 いずれにしても、報告書でも指摘されるように、今回提案された制度整備は、国民一人一人のニーズを満たす、かかりつけ医機能の実現に向けた第一歩と捉えるべきであり、制度整備後も関係者による不断の改善をしていく必要があると考えています。
(問)2点お願いしたいんですが、まず本日の防衛費および税制改正に関してお伺いします。防衛費の増額に関しては、それに伴う財源としての税制措置は実施時期については先送りされたわけですが、歳出削減なども1兆円というかなり大きな規模を予定されています。このあたりの実現の可能性ですとか、今後こういった状況がプライマリーバランスに与える影響などについて、どのようにお考えかお伺いできればと思います。
(答)総理がこれまで述べてきておられますが、抜本的に強化される防衛力を恒常的に強化・維持していくためには、これを安定的に支える財源をしっかりと確保していくことが不可欠であると考えています。
 このため、来年度の与党税制改正大綱では、このための財源確保として、2024年度以降の適切な時期に法人税、所得税及びたばこ税にかかる税制措置が盛り込まれたと承知しております。今般の決定によって、防衛財源の安定確保に向けた具体的な道筋を示すことができたと私自身は考えています。
 もちろん、財政健全化の観点から、それぞれ内閣府においては中長期の試算等でそれをチェックしていくということはもちろんでございますが、財政健全化目標についての政府の方針は骨太方針2022に記載のとおりであって、2025年度プライマリーバランス黒字化、そして債務残高対GDP比の安定的引き下げを目指すという財政健全化目標に取り組む姿勢は崩さずに、今後もしっかりと進めていきたいと考えています。
(問)もう1点お願いします。新型コロナの感染法上の類型見直しで、感染力も含めた評価というのが厚労省では議論されているわけですけれども。特措法において緊急事態宣言等の行動制限措置を行う場合に、重症化率や死亡率に加えて、感染力についても含めて判断できるような法改正を考えていらっしゃるのかどうか、お伺いできればと思います。
(答)新型インフル特措法による緊急事態措置等の行動制限を行うための要件としては、そもそも特措法の適用対象となるためには感染症法第6条に規定する、「新型インフルエンザ等感染症」に該当することが必要であって、それに加えて政府対策本部の設置要件として定められている、「病状の程度が季節性インフルエンザに比しておおむね同程度以下でない」状態であること、及び緊急事態宣言等の要件として定められている肺炎等の重篤な症例の発生頻度が、季節性インフルエンザにかかった場合に比して相当程度高いこと、かつ、医療の提供に支障が生ずる恐れがあることが必要であるとされています。
 緊急事態措置等については、今言ったような条件、要件に基づいて、この適用を判断しているわけでありまして、「新型インフルエンザ等感染症」であっても、特措法上の行動制限の発動要件に該当しないことはあり得ることとなるわけでありますが、特措法は「症状の程度が重篤となるおそれがある」感染症が、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがあることに鑑みて、行動制限を含む経済社会全体にわたる総合的な対策を講じるものでありまして、この点をもって直ちに特措法を改正するということを考えているわけではありません。
(問)先ほどの与党税制改正大綱の関連で伺います。増税実施に向けた岸田総理の検討指示が大綱決定の1週間ほど前だったこともあり、党の税制調査会会合では反対論や、議論が拙速だとの批判も出ました。大臣が就任まで税調のインナーを務めたお立場から、今回の党税調の議論の経過をどのように受け止められたか教えてください。
(答)いろいろ議論の仕方について、党税調で、与党において議論があったということについては私もよく承知をいたしております。ただ、それについて申し上げれば、総理は防衛力強化の内容や、規模や、財源を年末に一体的に決定する方針を一貫としてこれまで述べられてきたと思っています。その総理のご発言を踏まえた上で、国家安全保障会議の他、国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議での議論や与党間での議論など、様々な議論を重ねてきたものと承知をいたしております。
 また、税制調査会も連日、集中的に議論をしているということでございまして、こうした様々な議論を経て今般、防衛財源の安定確保に向けた具体的な道筋が示されたと考えています。

(以上)