後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年11月28日

(令和4年11月28日(月) 19:52~20:08  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 本日、「スタートアップ育成5か年計画」と「資産所得倍増プラン」を第13回新しい資本主義実現会議において決定いたしました。主な内容は以下のとおりでございます。
 スタートアップは、社会的課題を成長のエンジンへと転換して、持続可能な経済社会を実現する新しい資本主義の考え方をまさに体現するものだと言えます。今回決定した「スタートアップ育成5か年計画」は、官民によるスタートアップ育成策の全体像と5年間の具体的なロードマップを示したものであります。人材、資金供給、オープンイノベーションの3本柱を一体にして推進し、スタートアップへの投資額を5年後の2027年度には10兆円規模と10倍増にすることを目標にしております。
 新しい資本主義が目指す分厚い中間層を形成する上で、家計の賃金所得に加え、金融資産所得を拡大することが大切です。今回決定した「資産所得倍増プラン」では、NISAの拡充・恒久化、iDeCo制度の改革、そして消費者が信頼できるアドバイスの提供の仕組みの創設を中心に取り組みを推進することといたしております。
 こうした取り組みを通じまして、第1に投資経験者の倍増を目指して、NISAの総口座数を5年間で3,400万へ倍増することを目標にし、第2に家計による投資額の倍増を目指してNISAの買付額を倍増させることを目標にしております。これらによりまして、資産運用収入そのものの倍増を見据えていくことにいたしております。
 岸田総理からは、「この2つの新たな計画の新しい資本主義実行計画への取り込みを含めて、来年6月にフォローアップを行った上で、実行計画の改訂を行う。」という発言もありました。そうした方向に向かって、しっかりと取りまとめた、決定いたしました案を実行に移していきたいと考えています。
 以上です。

2.質疑応答

(問)資産所得倍増プランについてお伺いします。口座数倍増の目標を掲げていますが、目標達成のためにどのように制度を周知徹底していくお考えか、お聞かせいただけますでしょうか。
(答)資産所得倍増プランの目標に明記したように、投資経験者については5年間でNISA総口座数を現在の1,700万から3,400万へと倍増させることを目標としています。投資の増加については、5年間でNISA買い付け額を現在の28兆円から56兆円に倍増させ、その上で家計による投資額244兆円への倍増を見据えるということでございます。
 今回の資産所得倍増プランでは、税制上の対応とともに、投資の未経験者が投資を行わない理由に、消費者が信頼することができるアドバイザーがいないことが大きな原因となっていることを勘案しまして、特定の利害関係のない中立的なアドバイザーを認定し、その育成を支援していく枠組みを新設することにして、次期通常国会に関連法案の提出を行うことといたしております。
 こうした点や金融経済教育の推進も含めて、投資についての知識不足や不安払拭のために、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。
(問)2点お願いしたいです。まず1点目なんですけれども、先ほど新しい資本主義の実行計画について、来年6月にフォローアップをして改訂していくというお話をなさいましたけれども、これに関してはどのように今後進めていかれるのか、またその考え方ですとか、柱とか、どういった点を重視していかれるのか、お伺いできればと思います。
(答)新しい資本主義実行計画自身のフォローアップ、改訂については、これから考えていきたいと考えています。少なくとも、今回、スタートアップ育成5か年計画と資産所得倍増プランを取りまとめ、決定したわけですから、これについては織り込んでいくということになります。今後、様々な形でいろいろな検討も進んでまいりますから、そうしたことを含めて全体としての新しい資本主義実行計画のフォローアップ、改訂を来年6月はしっかりと取り組みたいと思います。
(問)もう一点、フリーランスの保護に関する法案に関連してお伺いしたいと思うんですけれども、先日、25日に東京都労働委員会がウーバーイーツの配達員を「労働者」と認める決定がありました。まずこの決定に関する受け止めと、あと、こうしたギグワーカーと言われるような働き方の人たちが新法の保護対象になるのかどうかという見解についてもお伺いできればと思います。併せて法案の進捗について、お伺いできればと思います。
(答)ウーバーイーツ配達員の団交権は都労委が認定という記事のことをおっしゃっていると思いますが、個別の事案については、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
 一般的に労働組合法上の労働者であるかについては、労働委員会や裁判所において個別の事案に応じて判断されるところになります。労働組合法上の労働者に該当する場合には、同法上の労働組合を結成することができて、使用者が労働組合による団体交渉を正当な理由なく拒むことが不当労働行為になるという仕組みになっているわけですが、個別の事案についてのコメントは差し控えさせていただきます。
 フリーランス保護に関する法案については、現在、党でご議論をいただいているところでありまして、党で了承を得た上で国会に提出したいと考えております。党の議論の結論を待ちたいと思っています。
 いずれにせよ、働き方の多様化が進む中で、雇用者としてだけではなく、フリーランス、ギグワーカーなど個人が安定的に働ける環境を作ることは重要だと考えておりまして、取引関係の適正化・環境整備が必要だと考えています。
(問)確認ですけれども、今のご回答なんですが、こうしたギグワーカーと言われるような単発の仕事を請け負うような働き方というのも、新法の保護対象にはなるという、そういう理解でよろしいでしょうか。
(答)ギグワーカーというのとフリーランスというのは、用語法的には同義に使われているように思いますし、諸外国においては、あまりフリーランスという言葉はそもそも聞かないです。そういうことでありますが、傾向的には継続性があるのか、一時的に単発で契約をしたのかというイメージに差があるかもしれませんが、先ほど申し上げたように、今回、フリーランス、ギグワーカーなど個人が安定的に働ける環境を作ることが重要だと考えるということから、今回の取引関係の適正化・環境整備の法案化に取り組みたいと申し上げています。
(問)資産所得倍増計画についてお伺いいたします。NISAの拡充で、5年で56兆円にした場合、それでもまだ個人金融資産の約2,000兆円のうちの2.8%に当たると思います。新しい資本主義が掲げる目標が、まず所得倍増から、今度、資産所得倍増になって、これで口座倍増と、だんだん目標が小さくなっているようにも感じるんですけれども、これについてはどのように受け止めていらっしゃるでしょうか。
(答)資産所得倍増ということで、今、直接ターゲットにしているのは、まさに国民の幅広い投資家を相手の議論という形で資産所得倍増、特にNISA、iDeCoの議論等は進んできていると思います。そういう意味では、資産性の所得を幅広い国民に対して分厚い中間層をつくっていくという、そういう目標にも沿うようにしっかりと進めていくということが大切だと思っています。
 ですから、そういう意味での資産所得倍増計画、大きな意味があると思います。また一方で貯蓄から投資へだとか、そういう意味での新しい投資をしっかりサポートしていくという、そういう考え方も含めて、もちろん金融市場の問題等々いろいろあると思いますが、差し当たり今ここでNISAの倍増だとか、そういう議論をしているのは、幅広い国民の皆さんに対して分厚い中間層をつくっていくという意味での資産性所得をしっかりとしていくということだと思います。その他に幅広い貯蓄、金融商品の問題、そうしたことに輪が広がっていくという位置付けだと思います。
(問)NISAの投資条件額の拡大のところでお伺いします。今回の資産所得倍増プランでは、一般とつみたてのそれぞれについて、年間の上限額が今設けられているものを引き上げて、また生涯にわたる累計の投資額というものについても上限を設けるという方向感が示されました。具体的な額については、年末の与党の税制調査会での議論を踏まえて決めるということになるかと思いますけれども、大臣も党の税調でのご経験が長いので、そうしたことから現時点でどのようなイメージを持っていらっしゃるか、教えていただけますでしょうか。
(答)税制措置については、今後の税制過程においてしっかりと検討して結論を出すということになっています。ここにおいてはNISAの抜本的拡充や恒久化の問題、それぞれ具体的な提案をしていますし、非課税保有期間の無期限化の問題だとか、それから投資上限額の増加の問題だとか、まさにここに指摘したとおりです。
 我々、資産所得を倍増していくということの目標のために、資産所得分倍増科会においては、こうした点を検討課題として、そして明確に検討の方向性を打ち出しています。これに従って、税の問題についていえば税制調査会に、またiDeCo等の問題についていえば今後の年金のほうの改正時等に合わせて検討していくということになります。
 そういう意味で、税のことについていえば、ここで書かれているのは実現すべき課題として分科会において議論として取り上げられ、今後、税制当局との話もしっかりとまとめた上で結論をしっかり出していきたいと思っています。
(問)スタートアップのことでお伺いしたいんですけれども、2027年度投資10兆円というのはかなり大きな目標だと思うんですが、具体的にどういう道筋で達成していくのか、プロセスを具体的に教えてほしいということが1つ。あと地方のほうの産業にはどう波及していくのか。一部の大学に偏って、地方大学のほうから本当にスタートアップがどれだけ生まれるかということもあると思うんですけれども、地方に対してスタートアップ、産業の変革とか、どのようにつながっていくのかも教えてください。
(答)どういう道筋かということのためにこれをまとめたので、まさにスタートアップ育成5か年計画、これが道筋そのものだと思います。スタートアップ育成分科会にはスタートアップのまさにプレーヤーたちも集まり、またそれをしっかり支えるシーズの提供者や、あるいは経済を引っ張っている人たち、金融の人たち、いろんな実践の場で活躍している人たちに参加してもらいました。そういう方たちにまとめていただいたスタートアップ育成5か年計画でロードマップ付きでありますから、まさにこれをしっかりと実行していくということが道筋だと考えています。道筋を示したものだと、そういうつもりです。
 それから、地方の大学等も含めて、あるいは地方経済の中でのスタートアップということも、まさにここに入っているところです。スタートアップの目標としても、地方の大学において50社を1大学につき起業し、1社はIPO、M&A等のエグジットを目指そうという目標も掲げているわけで、ここで言われているのは、単に大都市の、そういうスタートアップだけではなくて、まさに地域における幅広いスタートアップ、その人たちにみんなに挑戦をしてもらおうということで考えています。

(以上)