後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年11月15日

(令和4年11月15日(火) 13:53~14:10  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 それでは冒頭、一言ご発言をさせていただきます。
 本日公表しました2022年7-9月期のGDP速報では、内需は引き続きプラス寄与となったものの、輸入増に伴う外需のマイナス寄与を背景といたしまして、実質成長率は前期比マイナス0.3%、年率に換算するとマイナス1.2%となりました。これを受けた私の談話については、既にお手元に配布しているとおりでありますが、供給制約の緩和等による輸入増や、対外サービスの一時的な支払い増がマイナスに寄与したものの、設備投資が企業の積極的な投資意欲等を背景に引き続き増加するとともに、個人消費が、ウイズコロナの下での経済社会活動の正常化の進展によりまして、夏場に感染拡大があったものの、前期比プラスを維持するなど、民需を中心として景気は緩やかに持ち直しているという姿に変わりはありません。
 先行きにつきましては、景気が持ち直していくことが期待されています。ただし、物価上昇が続く中で、家計の実質所得の減少、企業のコスト上昇など、家計・企業を取り巻く環境には厳しさが見られ、さらに欧米おいて金融引締めが続く中で世界的な景気後退懸念に注意をする必要があります。
 政府としては、総合経済対策を着実に実行し、物価高等の難局を乗り越えて、未来に向けて日本経済を持続可能で一段高い経済成長経路に乗せていくことで、日本経済の再生を図ってまいりたいと考えております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)本日、7月から9月期のGDPの速報値が公表されまして、前期比の年率換算でマイナスとなりました。4期ぶりのマイナス成長となりました。改めて公表結果の受け止めと、大臣として大きなマイナス要因について見解をお願いいたします。
 また今後は新型コロナ感染再拡大への危機感の高まりや、円安や物価高による影響で、GDPの約6割を占める個人消費の減退も懸念されます。今後の景気観測、景気減退、懸念されるポイント、またそうしたことへどのような対策を重点的に実施していくか、改めてお考えをお聞かせください。
(答)繰り返しとなりますが、本日公表した2022年の7-9月期のGDP速報では、内需は引き続きプラス寄与となったものの、輸入増に伴う外需のマイナス寄与を背景として、実質成長率は前期比マイナス0.3%、年率に換算するとマイナス1.2%となっています。
 内訳を見ますと、供給制約の緩和等による輸入増や、対外サービスの支払いの増加、これは一時的なものでありますが、こうしたものがマイナスに寄与したものの、設備投資は、企業の積極的な投資意欲を背景に、コロナ禍で先送りされてきた機械設備の新設や工場・倉庫の建設など、様々な前向きな動きが表れています。個人消費は、夏場に感染拡大はあったものの、ウイズコロナの下での経済社会活動の進展によりまして前期比プラスが維持され、感染拡大が落ち着いて以降は、特に外食や旅行等のサービス消費の改善が続いている。こうしたことから、民需を中心として景気が緩やかに持ち直しているという姿は変わっていないと考えています。
 今回の対外サービスの支払いの増加は、一時的な要因によるものでありまして、また、ウイズコロナの新たな段階への移行が進められる中で、今般の総合経済対策を含めた各種政策の効果もあって、先行きについては景気の持ち直しが続いていくことが期待されます。
 一方で、物価上昇が続く中で、家計の実質所得の減少や、企業のコストの上昇など、家計・企業を取り巻く環境には厳しさが見られ、さらに欧米において金融引締めが続く中で、世界的な景気後退懸念に注意が必要であるという先行きの見通しであります。
 このため、政府としては、総合経済対策を具体化する令和4年度第2次補正予算の早期成立に全力で取り組んでまいります。その上で、対策に盛り込まれた各施策を国民の皆さまの手元にしっかり届け、生活を支えていることを実感していただけるように、迅速かつ着実な執行に全力を尽くしてまいります。
 特に電気料金等の上昇に対して、激変緩和措置を講じまして、家計や企業の負担軽減を図ること、物価上昇に負けない継続的な賃上げの実現、インバウンド消費の速やかな回復や全国旅行支援等を通じた国内観光の活性化などによりまして、物価高等の難局を乗り越えるとともに、人への投資の抜本強化や成長分野への投資の拡大等によりまして、未来に向けて日本経済を持続可能で一段高い成長経路に乗せて、日本経済の再生を図ってまいりたいと考えています。
(問)交易利得、海外への所得流出の関係でお伺いしたいです。年率換算7-9月で19兆円マイナスで、前期差からも3.6兆円損失が拡大していて、その結果、実質のGDIのほうが、これも前期比年率3.9%マイナス、要は実質のGDP以上のマイナスが続いている状況です。この海外への所得流出が続いている状況は、国内の購買力の低下などをもたらすと思うんですが、このあたりの大臣としてのご見解をお願いいたします。
(答)やはり経済全般のことからいうと、賃上げをしっかりしていく、そこが全ての基本になるのではないかと思っています。世界的な供給制約の問題、あるいは世界経済全体の動き、そうしたこともありますが、我が国としては、やっぱり賃上げをしっかりと進めていくことが一番だと考えています。
(問)大臣の冒頭にもありました海外の景気減速ということについて、IMFの見通しだとアメリカは2022、今年1%台、ユーロ圏は23年に0%台などの予測が出ていて、中国もゼロコロナ政策で生産とか消費関係に影響が出ていると。今後、要因がそれぞれ一様ではないと思うんですけれども、どのタイミングで日本経済に下押し圧力がかかるのか、どういったルート、経路で下押し圧力がかかってくるのか、海外景気と日本経済の関連、影響、そのあたりをお願いできますでしょうか。
(答)幾つかのリスクということで、一つは、物価上昇が続く中で、国内において家計の実質所得の減少や企業のコスト上昇が進んで、家計、企業を取り巻く環境が悪くなるという国内要因。それからもう一つは、欧米において金融引締めが続く中で世界的な景気後退懸念が生じてくる。そういう可能性に十分注意を払っておく必要があると申し上げています。
 いずれにしても、どういうタイミングで、どういうことが起きていくのか、しっかりと経済の実態を見極めた上で対応していくことだと思います。
(問)2つあるんですけれども、終わった7-9の実績の要因について、円安の影響はどういうふうにご覧になっているか。繰り返しになるかもしれませんがお願いいたします。
(答)経済全般ということからいうと、為替の円安の問題。主にエネルギー価格と食料ということであれば、輸入量ということからいうと、さほど大きな影響が出ていないということなのではないかと。基本的な構図については、そういうことだろうと思っています。
(問)2点目です。防衛費の問題で、財源の関係で特に与党の先生、財政健全化を重んじる公明党の先生なんかを中心に、法人税、所得税、いろんな税目について上げる議論が今、されていると思います。このタイミングの日本経済で増税が議論されているということが、企業、家計に何らかの影響を与える可能性はあるのか、ご心配されているのか、特にそこまで心配するほどではないということなのか、何かご所見あればお願いします。
(答)防衛費の問題は、これは従来から申し上げているとおりではあるのですが、ともかく、どのぐらいの規模のものを、そしてどういった内容のものを防衛費として増やしていくのか、そのタイミングがどういうものであるのか、その内容をよく見極めた上で財政の健全化にしっかりと対応していくということだと思います。
 それから、財政の安定は非常に重要な課題ですし、政府の信任もしっかり守っていかなくてはいけないということは当然のことであります。しかし、何よりも優先すべきは経済だと思っています。ですから、経済がまず先にあって、しっかりと経済を立て直すこと、そしてその後に責任ある財政健全化という目標も付いてくると。
 基本的には、その考え方に従って、経済の状況と、そして財政健全化の問題、そして具体的に、増税の問題を大きな枠として、どこを増税するみたいな話じゃなくて、もう少し丁寧に、今言ったような内容を丁寧に分析した上で検討していくべき課題であると思っています。
(問)GDPの個人消費に関してご質問させていただきます。7-9月期で0.3%増ということで、大臣は先ほど前期比プラスを維持ということでしたが、0.3%ということで低い伸びでした。まん延防止等重点措置などがない、行動制限がない夏でしたが、先ほど家計、企業を取り巻く環境も悪くなるという懸念も指摘されていました。今後の個人消費の先行きについて、大臣はどのように考えているか教えてください。
(答)まず個人消費ですが、全般として見ると外食や旅行、宿泊等のサービス消費の改善が続くなど、緩やかに持ち直していると、全体としてはそう見立てています。ただ他方、今ご指摘がありましたが、物価高が実質所得の減少を通じて家計の消費に与える影響に十分に注意していく必要があると、そのように考えています。
 政府としては、物価上昇の要因の大半を占めるエネルギーと食料品等に的を絞った価格高騰抑制策や、特に家計への影響が大きい低所得者世帯への支援策など、これまでもやってきたわけですが、今回、間を空けることなく総合経済対策を速やかに実行します。例えば家庭の電気代について言えば、1月から来年度初冬に想定される平均的な料金引き上げ額を実質的に肩代わりする。前例のない思い切った負担緩和策を行うとともに、ガス料金についても同様の措置を講じていきますし、現在1リットル当たり約30円引きとなっているガソリン価格についても、来年も引き下げを継続していくということで、そうした価格対策も一方でやっています。
 そして、目下の物価高に対する最大の処方箋が、先ほどからも申し上げている、物価上昇を十分にカバーする継続的な賃金の引き上げを実現することであると思います。中堅、中小企業等への引き上げの支援策や、あるいは価格転嫁対策の強化を図っていくということで対応を進めていきたいと思います。またインバウンド消費の速やかな回復や、全国旅行支援、各種イベントへの支援策等、需要喚起策も講じていくという対応にしております。
 また新型コロナにつきましては、今週以降の感染拡大がオミクロン株と同程度の感染力や病原性の変異株によるものであれば、新たな行動制限を行わずに社会経済活動を維持しながら、高齢者を守ることに重点を置いて感染拡大防止策を講じていくという、そういう基本姿勢で臨むということで基本的な方針を発表しているわけでありまして。これらによりまして物価高等、足元の難局を乗り越えて継続的な景気回復につなげる、消費マインドの落ち込みを抑えて消費者マインドを好転させる、そういう道筋に持っていきたいと考えています。

(以上)