後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年11月10日

(令和4年11月10日(木) 19:49~19:58  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 それでは私から一言申し上げます。本日、第12回新しい資本主義実現会議が開催されましたけれども、企業間の労働移動の円滑化などの議論をキックオフいたしました。主な内容は以下のとおりです。
 来年6月の「労働移動円滑化のための指針」に向けて、労働者に成長性のある産業への転職の機会を与える労働移動の円滑化、そのための学び直しであるリスキリング、これらを背景にした構造的賃金引上げ、この3つの課題の解決を目指していく必要がある。
 第二、構造的賃金引上げを行うために労働者の立場に立って、企業間・産業間で労働移動したい方は、円滑に移動できる労働市場を作り上げる。そして労働者本人の意思を尊重する市場となるように、労働者が転職・キャリアアップについて相談をし、正確な情報を得て転職するプロセスを、一気通貫で支援する仕組みを官民協力して作り上げる。
 また、労働者自身が主体的にリスキリングの在り方に関与できるように、政府が支援を行うにあたっても、個人への直接支援を強化する。さらに失業者に対する支援とともに、在職者に対する支援や兼業・副業の促進を強化する。経験者採用を進めていくためにも、個々の企業の実情に応じて、日本型の職務給への移行等の賃金の在り方を検討いただく。
 岸田総理からは「来年6月までに労働移動円滑化のための指針を取りまとめるので、関係大臣および委員のご協力をお願いする。」との発言がありました。以上です。

2.質疑応答

(問)賃上げについて伺います。来春の賃金交渉に向けては、連合が5%程度の賃上げを要求しているということですけれども、これに対して経団連の十倉会長が「数字に驚きはない」と述べるなど、労使間の議論が徐々に進んでいるような印象を受けます。政府は構造的賃金引上げということを掲げているわけですけれども、この構造的賃金引上げというのは、何%程度の賃上げがどの程度続けば、達成できるとお考えでしょうか。教えてください。
(答)今日も総理から申し上げているように、来春の賃金交渉に向けた賃金引上げについては、物価上昇を特に重視すべき要素として掲げ、これに負けない対応を労使の皆さんに強くお願いしたい、ということに尽きるわけです。
 具体的な数字は、個々の労使が議論していくべきことでありますので、数字を申し上げることは差し控えたいと思います。
(問)2点お願いします。1点目なんですけれども、本日の会議の開始が、当初予定より大幅に遅れ、会議時間自体もかなり短縮になったかと思いますが、どういった事情からだったかを教えていただければと思います。
(答)私のほうは、開始の遅れた事情については承知をいたしておりません。官邸の会議でございますので、官邸の会議のほうでのロジで遅れるということでございました。
(問)2点目なんですけれども。今日の会議はかなり論点が多く、民間の賃金のあり方など、かなりハードルの高いような議論もあろうかと思いますし、連合などからは「安易な労働移動を促すべきではない」といったような意見も出ていると思いますけれども、今後、官民で指針を作ることについて、どういったハードルですとか課題があるというふうにお考えか、お伺いできればと思います。
(答)来年6月の指針に向けては、先ほども申し上げましたけれども、労働移動の円滑化、リスキリング、構造的賃上げの3つの課題を同時に解決していくという、そういう方針でおります。
 具体的には、例えば企業間・産業間で労働移動したい方は移動できる労働市場を、官民で作り上げること。第二に、それが労働者本人の意思を尊重する市場となるように、労働者が転職・キャリアアップについて相談をし、正確な情報を得て転職する支援の仕組みを作り上げること。
 また第三に、労働者自身が主体的にリスキリングの在り方に関与できるように、政府が支援を行うにあたっては、個人への直接支援を強化すること。第四に、失業者に対する支援とともに、在職者に対する支援や兼業・副業の支援を強化すること、といった政策が課題になると思います。
 具体的な政策の内容については今後、具体化に向けて取り組んでいきたいとに思いますが、全般的に労使双方とも、今日の議題のリスキリングの問題について、前向きな取り組みに対する意欲を持っているという、そういう印象でありました。
 また、時間が短くなりましたが、1時間15分であっても、これだけ委員の方がおられると、なかなか時間が短いわけでありますけれども、それぞれ割り振りました持ち時間の中で、エッセンスを的確にきちんとお述べいただいたなという、そういう印象で、非常に良い会であったと私は受け止めました。
(問)新しい資本主義のほうの話ではないんですけれども、経済財政諮問会議のほうの下に、「マイナンバーの利活用拡大のための検討タスクフォース」というのが昨日設けられて、初会合が開かれたと思いますけれども、この会合では、今後に向けてどのような論点とか方向性とかが見えてきたか、教えていただけますでしょうか。
(答)「マイナンバーの利活用拡大のための検討タスクフォース」では、11月2日の経済財政諮問会議で総理からご指示を頂󠄀いたロードマップの策定に向けて、経済財政諮問会議資料にある民間議員からの提起、これは別紙ということで、前回提起されているわけでありますが、そうした提起を踏まえて、国民の利便性の向上につながる取り組みを中心に、内容の具体化を図っていくということで進めています。
 具体的には、国民的理解の拡大。行政事務の効率化。所得等の情報の活用による、給付の迅速化などの問題への対応を検討しておりまして、昨日の第1回会合では、こうした課題を中心に委員と省庁間の間で議論をいたしました。

(以上)