後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和4年10月28日

(令和4年10月28日(金) 19:05~19:23  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 それでは、私から冒頭の発言をさせていただきます。本日、臨時閣議が行われまして「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を閣議決定いたしました。
 先日、総理からご指示をいただいたとおり、「物価高・円安への対応」、そして「構造的な賃上げ」、「成長のための投資と改革」の3つを重点分野として取りまとめを行いました。
 「物価高・円安への対応」につきましては、標準的な世帯で総額4万5千円の負担軽減となる、電力・ガス料金、燃料油価格の高騰に対する激変緩和措置等を講じ、物価高から国民生活を守り抜くこと、また、インバウンド消費、年間5兆円超を目標の速やかな達成に向けた集中的な政策パッケージの推進や、先端半導体等の「攻めの」国内投資の拡大など、円安を活かした地域の活性化や経済構造の強靱化を図ることとしております。
 「構造的な賃上げ」については、リスキリングへの支援など、「人への投資」の施策パッケージの5年間で1兆円の拡充とともに、企業間・産業間の労働移動円滑化を推進し、賃上げが高いスキルの人材を惹きつけ、企業の生産性を向上させ、さらなる賃上げを生むという好循環の形成を図っていくこととしております。
 「成長のための投資と改革」については、科学技術・イノベーション、スタートアップの起業加速、GX、DXの4分野の重点におきまして、官の投資を加速し、それを呼び水として民間投資を大胆に喚起するとともに規制・制度改革を大胆に進め、経済社会構造の変革を実現していくことといたしております。
 また、妊娠時から出産・子育てまで一貫した伴走型支援の充実を図るとともに、妊娠・出産時の計10万円相当の新たな経済的支援を組み合わせたパッケージの継続的な実施など、少子化対策、子ども・子育て世代への支援を強化することとしております。
 対策の規模については、財政支出で39.0兆円程度、事業規模で71.6兆円程度、補正予算が29.6兆円程度、うち、一般会計歳出は29.1兆円程度となっております。また本対策による直接的な経済押上げ効果は、実質GDP換算で4.6%程度と見込んでおります。また電気・ガス料金や燃料油価格等の負担軽減策を通じまして、消費者物価は1.2%程度以上の抑制が見込まれます。
 今後、本対策が具体化する補正予算の編成が進められることになりますけれども、できる限り早期の成立を目指すとともに、対策に盛り込まれた各施策を国民の皆さまの手元にしっかり届け、生活を支えていることを実感していただけるように、速やかな執行に全力を尽くしてまいります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)2点ございます。まず1点目なんですが、今回の、今説明いただいた経済対策も昨年並みのかなり大規模なものとなりました。補正予算の編成に向けて、財源の確保についてどのようにするのか。赤字国債発行で対応するのか。財政健全化との兼ね合いも含めてお聞かせください。
(答)財政健全化の問題について言えば、財政はもちろん国の基でもありますから、市場や国際社会において財政の持続可能性への信認が失われないように、責任ある経済財政運営を進めていく必要があります。
 ただし、経済財政運営の基本は経済あっての財政でありまして、今般の経済対策を含め、必要な政策対応と財政健全化に取り組むことは決して矛盾するものではないと思っています。しっかりと経済を立て直して、そうした中で財政健全化を図っていくという道筋を進めていくということが重要だと考えています。
(問)もう1点。ちょっと細かい点なんですが、今回、国費の支出35.6兆円に対して、補正予算で積まれる一般会計のほうは29.6兆円になっていると思います。この差額の6兆円については何で手当てしていくのかというところを教えていただければと思います。
(答)35.6兆円と29.6兆円、この差額に6兆円ありますが、これは計算上は、例えば既定予備費のカウントだとか、あるいは既定経費留保分、例えば既に経費として支出しているもの、そうしたものの計算の差額になると思います。
 いずれにしても今後、補正予算の作成に向けて、しっかりとそうしたことも詰めながらやっていくということになると思います。
(問)まず補正予算案の件なんですけれども。先ほど総理会見で、なるべく早く補正予算を編成してお届けするとおっしゃっていましたけれども、スケジュール感としては、いつごろまでに補正予算の閣議決定を目指して、いつごろまでに成立させたいかとかいった、そういった目算はおありでしょうか。
(答)まさに私からも先ほど申し上げたとおりで、総理もおっしゃいましたが、できる限り早期の成立を目指すということが大事だと思います。
 もちろん経済対策の過程でいろんな政策について詰めてはいますけれども、例えば数字の問題、あるいは量の問題、対策の時期の問題、そうしたことで補正予算額っていうのは大きく変わっていきますので、そういう意味では、そうしたことをしっかり詰めながら、また補正予算関係の書類の整備等の時間もありますから、そういったことをできる限り早く進めて、国会のご審議がいただけるように準備をしていくことが必要だと思っています。
 そのことが一日も早く国民の皆さんの手元に、こうした経済対策あるいは原油価格の引き上げ等をはじめとした燃料価格や電力・ガス、そうしたことや、あるいは様々な対策が手に届いていくということにつながっていくということだと思います。
(問)もう1点、中身に関する質問ではなくて大変恐縮なんですけれども、後藤大臣は25日に就任されて、3日間でこちらの対策を取りまとめられたということですけれども、そこにあたっての大変さとか、頑張ったところとかはありますでしょうか。お願いします。
(答)大臣になったのは3日ですが、基本的に言えば、われわれ、いろんな形で党の活動を通じて経済対策に関わっています。例えば子どもの関係とかそういうものは、私、元々党の責任者でもありますし、厚生労働大臣の時からずっと引き続きやってきたこともあります。ですから、3日間でゼロから始めたわけではないという気持ちでありますけれども。
 それでも、本当にもう最後の段階で、ちょっとでも大臣が代わったことによっていろんな作業の日程が遅れることがないように、そのことは非常に重要なことだと思いました。そういう意味では、こうしてイレギュラーな形の大臣の交代だと私も思いますが、しかし月内に経済対策を取りまとめると、そしてなおかつ、この週末に向けて取りまとめるという、そういう目標でやってきましたので、そのとおりできたことは良かったと思っています。
(問)2点お願いします。まず1点目なんですけれども、コロナ禍以降、経済対策が巨額化しているような状況が常態化しているわけですけれども、そういった状況を財政規律の点からも懸念する声もあろうかと思いますし、コロナが比較的感染が落ち着くような中で、正常化させていくような必要性をどのように考えていらっしゃるか、またその道のりについて、どのように進めていかれるようなお考えがあるか、お伺いできればと思います。
(答)先ほども申し上げたのですが、やはり経済あっての財政であると思います。また新型コロナ感染が広がる中で、令和2年以降、非常に大きな経済対策、感染対策をやってきましたけれども、これはやっぱり国民の命と暮らしを守ること、あるいはポストコロナを見据えて日本の新しい資本主義をしっかりと実現していくと、そういう目的のために必要なものについては、やはり経済、あるいは国民生活ということで財政を支出するということだろうと思います。そして、その財政出動によって、やはり経済が、例えば成長にしても、もう一段の経済の拡大の中で財政が健全化するという道筋も見えてくるのではないかと考えています。
 それから歳出については、もちろん必要なものの支出はしますが、これは経済財政一体改革を着実に推進するっていう観点からは、歳出全般にわたって無駄を排除しながら予算の中身を大胆に重点化することとか、あるいはそれぞれの効率化を図れるところについて効率化を行ったり、システム化を行ったり、そうした財政努力も、社会の仕組みの努力も含めて、しっかりとやっていかなければならないと思っています。
(問)もう1点、財政健全化のお話でお伺いしたいんですけれども。プライマリーバランスを25年度の黒字化というのを目標におかれている一方で、こういう経済対策も歳出が拡大していますし、防衛費等、歳出圧力も大きい。こうした中で、PBの黒字化についての目標について検証する必要性があると考えていらっしゃるか、見直しの必要性があるかどうかについて、どのようにお考えかお伺いできればと思います。
(答)2025年度プライマリーバランス黒字化を目指すと、そして債務残高比を安定させていくということは、これは財政の健全化目標で、この財政健全化目標自身は、これはしっかりと取り組むという姿勢に全く変わりありません。そういう姿勢の中で、例えば防衛力強化や子ども施策、そうしたものの追加的な歳出をやっぱりしっかりと見ていく必要があると思っています。
 財政健全化目標と、追加的な歳出のいろいろな関係等については、それは試算等の作業を通じてしっかりとチェックをしていく必要はあると思いますけれども、財政健全化目標に取り組むという姿勢を崩さず、今後も取り進めていきたいと思っています。
(問)先ほどの大臣のご答弁に関して追加でお伺いしたいんですけれども。先ほどの歳出のところ、無駄を排除しながら予算を大胆に重点化し、効率化を図れるところ、システム化を図ってしっかりとやっていくということでしたけれども、具体的にどういうことなのか。やはり聞こえてくるのは、どんどんお金を使う話ばかり、切り詰めるところの話というのはなかなか聞こえてこないところではありますけれども、大臣の現時点でのお考えで、どういったところをどれぐらいの規模で歳出を削っていけるとお考えなのか、そのあたりを教えてください。
(答)具体的にどういう分野をどの程度見直しができるかっていうことは今後、予算編成の作業の中で。行革の観点やいろいろなことで議論もされていると思いますが、歳出をカットするということの他に、例えば規制改革をきちんと進めるとか、あるいは新たなルールを作ること、そういう標準化みたいなものも含めて、幅広い観点で効率化ということを捉えていく必要はあるだろうと思います。
 いずれにせよ、そうした具体的な項目については、今、私がここで私見を言うということではなくて、しっかりと関係者の皆さんと詰めていくということだろうと思います。
(問)ちょっと話は変わりまして、今後議論になっていく防衛費についてなんですけれども。こちら、財源として法人税の引き上げなども候補の一つとして挙がっているかなと思います。一方、これに対して経団連や経済同友会の代表からは、平等ではないのではないかという反論の声も挙がっていますが、こちらについては大臣、どのように受け止めていらっしゃるでしょうか。
(答)防衛費、今の国際情勢等を考えたりすると、防衛力を強化していくということが国民の命を守っていくために必要だという議論が非常に強くなっていると思いますし、従来に比べて国民の防衛力強化に対する理解も少し広がっているようにも感じているところです。
 ただし、しっかりと財政健全化で進めていくといっても、まずは防衛費というのが一体どのぐらいの規模感なのかとか、それからどれぐらいの内容で、どういった性格なのか、そういったことをきちっと決めていくことで、財源をどうしていくかっていう問題は考えていくべきだと思います。
 白地の請求書を出されて、それで増税を議論するような、そういう形では国民の理解は得られないのではないか思いますし、こういう事態でありますから、こういう経済状況の中でありますから、なおのこと安易な単なる負担論をそろばん合わせでやるということは難しいだろうと思います。
 いずれにせよ、財政健全化ということを基本としながら、まずどの程度の規模で、どのぐらいのタイミングで、何をやるのかと、そこをしっかりと見極めながら財源の話は、やっていく必要があると思います。

(以上)