第6回 消費者関連情報の提供の在り方検討ワーキング・グループ 議事録

日時

2021年5月27日(木)13:59~17:20

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

【構成員】
新川座長、受田座長代理、片山委員
【オブザーバー】
生駒委員
西田佳史 東京工業大学工学院教授
高巖   麗澤大学大学院経済研究科教授
【参考人】
京都信用金庫 理事長 榊田隆之氏
株式銀行高知銀行 常務取締役・営業本部長 三宮昌子氏
株式銀行高知銀行 執行役員・営業企画部長 深見英治氏
横浜市 政策局共創推進室共創推進課 担当係長 中尾充氏
横浜市 政策局共創推進室共創推進課 中川悦宏氏
【事務局】
加納事務局長、渡部審議官、太田参事官、大岡企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 事業者及び地方公共団体からのヒアリング
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○大岡企画官 事務局です。定刻少し前ですが、皆さんおそろいで、準備が整いましたので、会議を始めさせていただきます。

本日は、皆様、お忙しいところ会議に御参加いただきまして、ありがとうございます。

ただいまから、第6回「消費者関連情報の提供の在り方検討ワーキング・グループ」を開催いたします。本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、テレビ会議システムにより開催いたします。

本日は、新川座長、受田座長代理、片山委員、生駒委員、高委員、西田委員がテレビ会議システムで御出席です。八木委員は御欠席です。

テレビ会議システムによるワーキング・グループの開催に当たりまして、委員の皆様にお願い申し上げます。

1つ目に、ハウリング防止のため、発言者以外の方はマイクをミュートの状態にしていただきますようお願いいたします。

2つ目に、御発言の際には、マイクのミュートを解除し、お名前をおっしゃっていただきますようお願いいたします。発言が終わりましたら再びマイクをミュートの状態にしていただきますようお願いいたします。

なお、御発言のタイミングがつかめない場合には、チャットに「質問」や「発言」などと入力していただきましたら、座長から発言者を指名していただきます。

3つ目に、音声が聞き取りづらい場合には、チャット機能でその旨をお知らせいただきますようお願いいたします。

議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。

お手元の議事次第に、配付資料一覧が記載されております。資料に不備がございましたらお知らせください。

問題ないようですので、続けます。

以後の議事進行は新川座長にお願いいたしますが、この後、もし新川座長が未接続となり、受田座長代理が接続されている場合の進行は、受田座長代理にお願いしたいと思います。また、新川座長、受田座長代理がともに未接続となった場合の進行につきましては、事務局が行いたいと思います。

それでは、新川座長、議事進行をお願いいたします。


≪2.事業者及び地方公共団体からのヒアリング≫

○新川座長 ありがとうございます。

それでは、本日の議題に早速入りたいと思います。本日もこうしたテレビ会議でございますけれども、皆様にはお集まりをいただきまして、ありがとうございました。

このワーキング・グループは、御承知のとおり、消費者関連情報について特に事業者の皆様方と連携して新しい情報提供の在り方を検討しようということで進めてまいりました。今日も本業を通じて地域貢献、地域の課題解決の取組を行っておられます事業者の皆様方からお話をお伺いし、私どものこれからの議論の参考にしていきたいと思っております。

本日は、京都信用金庫理事長の榊田様にテレビ会議で御出席をいただいてございます。榊田様から京都信用金庫様のお取組、とりわけ顧客の皆様方との関係や金融機関としての在り方につきまして、お話をいただき、その後、質疑応答をさせていただければと思っております。20分程度お話をいただきたいと思ってございます。その後、30分程度、私ども委員との質疑応答に御協力をいただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

それでは、恐縮ですが、榊田様には20分程度、まずは御説明をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○京都信用金庫榊田参考人 新川先生、ありがとうございます。

皆さん、こんにちは。そして、初めまして。私は、今御紹介をいただきました、京都信用金庫の理事長をしております榊田と申します。本日は、「『コミュニティ・バンク』がめざす経営姿勢」という形で、今、新川先生がおっしゃったように、お客様との関係性を中心に当金庫が取り組んでいる基本的な経営姿勢について20分ほど、限られた時間ですけれども、お話を聞いていただきたいと思います。

画面共有でパワーポイントの資料をお示しいただきたいと思いますけれども、よろしくお願いします。ありがとうございます。

次のページをお願いできますでしょうか。

私の自己紹介をしている時間があまりないので、御覧いただきたいと思います。京都信用金庫の理事長をしながら、様々な団体のお役職を仰せつかっておりまして、街作り、あるいは人作り、そういうコミュニティとの関係性が私のライフワークということになります。

次のページをお願いします。

私ども京都信用金庫の概略につきましても、この場限りの概略という形でとどめたいと思いますけれども、私どもは、京都と滋賀と大阪の北部に92店舗を有する信用金庫でございます。特徴的なことはここに記載しておりますけれども、特に特徴的なことは、1971年に私どもは日本で初めて「コミュニティ・バンク」という宣言を行いまして、商標登録も私どもが保有しております。コミュニティ・バンクという理念が、これからのお話にもつながってまいりますけれども、結果的に私どもの顧客志向の経営につながっていく、そういった話を少しさせていただきたいなと思います。

次をお願いします。

本日は限られた時間ですので、5つのパートに分けて少しずつですけれども御説明をさせていただきたいと思います。こちらにありますように、1番から5番に基づいて、できるだけ分かりやすく御説明したいと思いますけれども、何分時間が限られているので、少し早口になろうかと思いますけれども、御了承をお願いしたいと思います。

まず最初は、時代の潮流変化を先取りするということからであります。

次をお願いします。

言うまでもなく、時代はどんどん変わってきている。特に20世紀の成長期から21世紀のいわゆる低成長・成熟社会というふうに日本あるいは世界が変わろうとしている中において、特に日本はこのような時代の変化に対して戸惑いを感じながら、一生懸命変化に対応しようとしているけれども、なかなかうまく変化できないというようなフェーズにあるのかなと思います。高度成長から低成長へ、大量生産から少量多品種、社内から社外へ、競争からコラボへ、モノからコトへ、そして業績優先から真の顧客本位へという、本日のテーマはこの時代の変化の中において、特に業績優先から真の顧客本位へという背景には大きな大きな時代の潮流の変化があるという、こういったことをベースに話をお聞きいただきたいなと思います。

次のページをお願いします。

具体的に申し上げますと、例えば働き方に合わせた暮らし方から、暮らし方に合わせた働き方に変わるという働き方の変化。会社人間から社会人間、お金持ちから信用持ち、マネー資本主義から共感資本主義へ、ブラック企業からソーシャル企業へ、そして、へとへとからわくわくに、このように本日御参加の皆さん方にはこのキーワードだけでもお分かりいただけると思いますけれども、現在我々を取り巻く環境は大きく大きく変わってきていて、それに柔軟な姿勢と、あるいは変化への対応力が強く求められるという、非常に難しい時期を迎えていて、この潮流の変化がその背景にあるということが言えると思います。

次のページをお願いします。

そういった中で、我々京都信用金庫を含む金融機関の役割、1番と2番にありますように、従来いわゆるアダム・スミスの、あるいはいろいろなエコノミストがずっと言われてきたようなクラシックな金融機能は、決済機能と仲介機能という2つの金融機関の果たすべき役割がもとからあるわけですけれども、私はこういう時代の変化において、加えて3つ目の課題解決機能、こういったことがこれからの金融機関に強く求められている。お客様の事業の課題を解決したり、あるいは地域の社会課題を解決する機能。こういった役回りを金融機関が果たしていくことが近年特に求められている。これが大きな変化ではないかなと思います。

次のページをお願いします。

そういった中で、私ども金融機関は、社長の頭の中にある4つの経営課題と書いてありますけれども、例えば取引をいただいている企業の社長さんの頭の中をのぞいてみると、実は大きく4つに分かれる。このシルバーの部分ですけれども、もともと金融機関というのはお金の話、つまり財務の管理の話をお客様、社長さんとしていればよかったのが、いわゆる課題解決機能というのはもはや、お金の御相談はもちろんですけれども、それに加えてここにある3つのこと、つまり事業の拡大とコスト・コントロールと人作り・組織の活性化、こういったことも社長の頭の中にある経営課題であって、そういったことを一緒に解決していく役回りが金融機関に求められているということではないかなと思います。

次のページをお願いします。

時代の潮流の変化の話はこれぐらいにさせていただいて、2つ目の顧客志向の経営姿勢を追及するということ。こういう時代背景を踏まえて、私どもはずっと貫いている考え方、これが実は顧客志向の経営姿勢。つまり、金融機関で言うと、皆さん方も御来店いただくロビーのサイドから銀行を見る。銀行のフロアのほうからロビーを見るのではなくて、あくまでもお客様目線で経営を考えるという考え方が、私どもは随分と古くから、これは伝統といいますか、風土に根付いている。これが我々の基本的な経営姿勢であります。

具体的に申し上げると、ここに6つほど記載しておりますけれども、マル1からマル6まで、「心豊かなコミュニティ」の実現に向け、金融サービスを通じて地域社会における「社会的紐帯」、人々の絆を育むことを基本理念とするといういわゆる絆の考え方から、一番下のマル6「強い組織」は職員間のコミュニケーションからという、このような基本的な私どもが目指す経営姿勢をここに記載しております。その中でも本日は時間が限られているので、主にマル3「お客様に評価していただくためには、他の金融機関と同じレベルの接客をしていてはダメ」という、社内用語なので少し御容赦いただきたいと思いますけれども、このような言葉遣いを社内で使っております。

次のページをお願いします。

具体的に申し上げると、他の金融機関さんと同じレベルの接客をしていては駄目ということ。私どもは独自に顧客目線で考えて、お客様のサイドから見たらこのようなことが求められているという中で、例えば全店オールローカウンター、あるいは店頭接客における三種の神器、ながらオペ、コンタクト履歴、くらしのマッチング掲示板、こういう少し聞き慣れない言葉を使ってそういったことを実践しております。

具体的に少し写真を御覧いただきます。次のページをお願いします。

これが私どもの典型的な店頭の風景です。きれいな店舗が写っておりますけれども、何を申し上げたいかというと、全てのカウンターラインがいわゆる着座式。お客様が立って職員が座ったまま接客をするのが従来の金融機関の常識だとすると、私どもはそれは極めて非常識だと思っておりまして、お客様にもお座りいただくという考え方で、今から20年ほど前から全店のオールローカウンター化を進めて、現在、私ども全店がこういう形のカウンターライン、あるいは店舗によってはカウンターラインをなくしてノーカウンターという店舗を2か店設けているところであります。どんどん進化してまいります。つまり、顧客志向で店舗、ロビーの風景も変わっていくということであります。

次のページをお願いします。

ここでは、ながらオペ。いわゆる何々をしながら何々をするということですけれども、金融機関ですから、金融機関がお客様の業務の処理をする、オペレーションといいますけれども、オペレーションをしながらお客様とお話をしては駄目だというふうに従来は我々は言い聞かされていました。なぜなら、お客様と話をしながらオペレーションをするとミスをするリスクがあるからと。私どもはそういった従来の常識をひっくり返そうということで、いわゆるながらオペ。お客様とお話をしながらオペレーションを進めていく。逆にそのようなことができるような端末をどんどん開発していって、誰でも操作できるような端末を開発しながら、今現在、私どもは店頭でながらオペを実践しております。様々なお客様の困りごとをお聞きして、それに対して何かお答えできないかということを、金融のお金の話以外のことも含めて、ながらオペをしながら、お客様と会話を膨らませていっているということであります。

次のページをお願いします。

くらしのマッチング掲示板。これも私どもの一例でありますが、いわゆるくらしに関するお客様の困りごとを解決していこうという考え方です。御案内のとおり、マイナス金利がもう6年間も続いております。金利は魅力ない。従来は粗品をもらえたけれども粗品もくれない。金融機関の店頭というのはそのような魅力がなくなってきていて、お客様自身もライフプランの御相談と言っても、あまりピンとこられない。そんなことよりも生活のお困りごと、家族だとか暮らしだとか将来、こういったことについて皆さん方様々な困りごとというか悩みごとを持っていらっしゃる。これを私どもは店頭に見えたお客様に全て、くらしのマッチング掲示板を活用しながら、細かくお客様のお困りごとをお聞きし、それに対していろいろなソリューションを提供していこうという考え方であります。

これは4月、先月1か月間のくらしのマッチング掲示板のトピック、つまりテーマを立った件数が238件、それに対して全店の約2,000人の職員がおりますが、92店舗が返信をした件数が何と1か月で5,343件に上がります。

次のページをお願いします。

具体的にくらしのマッチング掲示板のリアルの画面ですが、こんな画面になっておりまして、これがくらしのマッチングの掲示板。少しスクロールしていただきますと、様々な、洗濯物の臭いだとか、お父さんとお母さんの関係とか、いわゆる生活のもろもろな店頭でのお話。サンタクロースは何歳までかみたいな、こういうことは決して新聞には出ていないと思いますが、そういうたわいもない会話をお客様からお聞きして、そして、それに対して全店でネットワークを生かして、この掲示板に返信をするという仕組みであります。

一番下の行にマイホーム、これだけはというトピックが上がっておりますが、いわゆるマイホームというのは一生のうちで一番高い買物です。そういうときに、これだけはということを、何をしておけばいいのかというような店頭でのお客様の問いに対しての答えを投稿したところ、次のページをお願いします。こういう形で順番に店舗全店から返信があります。赤字のところだけ御覧いただくと、節水の為に2階にお風呂場、その下にトイレを作った人がいるとか、あるいは、ドアを引き戸にしたほうがいいとか、手すりを付けたほうがいいとか、こういうことですね。ゆっくりと閉まるドアにしたらいいとか、ベビーカーを置くスペースを設けたほうがいいとか、吹き抜けは電球を替えにくいとか、ガスファンヒーターがどうだとか、あるいは庭の芝生は手入れが大変で後々が大変ですよとか、コンセントの位置だとかもろもろですね。このようなことがたくさん返信されて、それをお客様にお返しすると、漏れなくお客様は感動レベルで喜んでいただける。これが顧客志向の接客の現在における金融機関の窓口で期待されている機能ではないかなと。

私どもはこのくらしのマッチング掲示板を通じてお客様との距離を縮めます。そして、お客様の本当に顧客本位の接し方というのはどうなのかということを追及する。それがくらしのマッチング掲示板、これが一つの例ではないかなと思います。

次のページをお願いします。

リレーションシップ・インパクトを実践するというのが3つ目であります。

次のページをお願いします。

いわゆる短期の利益と、私どもが実践しようとしている中長期的な顧客との信頼関係。実はこの時間軸がとても大切であって、簡単に申し上げますと、今の世の中、どうしても短期の利益優先になる。経営者もそのような考え方をするにはどうしてもお客様不在、中長期的な顧客との信頼関係が本来一番大事であって、そういったものを築いた上で、お客様から適正利潤、利益を頂戴するというのが私は経営の本質だと思います。なかなかこの短期と中長期的の関係性がうまくいかないのが顧客あるいは消費者との関係の問題ではないかなと思います。

次のページをお願いします。

私どもは、その件に関しても具体的に、いわゆるリレーションシップ・インパクトという考え方。これでは少し難しいですが、青い縦軸のR、リレーションシップ、そして横の緑のP、パフォーマンス。PとRの関係性。真ん中にミッドポイントとして点線で引いておりますけれども、お取引というのは、中長期的にはこのミッドポイント、点線に近づく。でも、短期的に考えると、例えば緑のPのドットを御覧いただくと、パフォーマンスが優先して、逆にリレーションシップが伴わないお取引。先ほど申し上げた短期の利益ばかり追及すると、どうしてもこういうお客様不在のパフォーマンス優先の考え方が先行します。

そして一方で、青いRです。私どもが実践しようとしているパフォーマンスは今、そこそこしかないけれども、お客様とのリレーションシップをきちんと構築しようとする、いわゆるR。これは中長期的にはミッドポイントである点線のところに近づいていくという考え方からすると、緑のところは残念ながら中長期的に見ると、今はパフォーマンスが合っていても、最終的には少し左のほうにずれてしまう。そして、Rのほうは逆に、今はパフォーマンスは大したことないけれども、リレーションシップをきちんと築いていけば、中長期的にはいわゆるR1と言われる右のほうにずれていく。このような考え方が、私どもはこのリレーションシップ・インパクトとして実際に起こるのではないかなということで経営をしております。つまり、中長期的な関係性を重視する。目先のパフォーマンスだけを追いかけないというのがリレーションシップ・インパクトであります。

次のページをお願いします。

4つ目、顧客との信頼関係構築のために、モチベーションの高い職場風土を目指すという少し毛色の違う話に入りますけれども、私どもは6年前からノルマを廃止したり、あるいは最近ではNHKの番組に取り上げられて、おせっかいバンカーという言葉を頂戴しております。

次のページをお願いします。

NHKが朝6時10分からやっている全国放送「目撃!にっぽん」で先般、私どもが35分間の番組で取り上げられました。是非ともNHKのオンデマンドで御覧いただきたいと思いますが、ここでは私ども京都信用金庫のことをおせっかいバンカーとNHKは名付けました。

次のページをお願いします。

いわゆるお節介とはどういうことか。いい意味で捉えると、人に頼まれてもいないのに世話をするとか、人情深いとか、思いやりがあるとか、人の喜ぶ顔が見たいとか、気を利かせるとか、世話好きだとか、このようなことが言えます。

次のページをお願いします。

相手のために行動する。

次のページをお願いします。

これまでの社内の常識、従来の概念をひっくり返さないといけないと書いてありますが、職員全員の心でお客様のほうを向くためには、従来のノルマとかKPIとかではなくて、おせっかいを焼くとか、ゴールはお客様、お客様が喜んでいただく、役に立つ、喜んでもらいたい、事業を発展させたい、このような気持ちが実は消費者志向の考え方の中においては根底にないと、社内志向のノルマとか業績を軸にした考え方をしている限りにおいては、本質的な顧客本位にはなれないということ。このことを私どもは社内で徹底しています。

そして、そのことを徹底するためには実はやらなければいけないことがもう一つあるのです。それは何かというと、次のページをお願いします。

このトライアングル、理念と風土と人、これを整えること。つまり、理念だけでも駄目。風土だけでも、人だけでも駄目。この3つの条件が整ったとき、会社はいい会社になる。いい会社にならないと、このようなお節介を焼くとかどうのこうのというのは、幾ら言っても念仏のようなものであって、なかなか実践できない。だからこそ、社内の風土をよくする。このことに私どもは必死になって取り組んでおります。

次のページをお願いします。

いわゆる対話型経営。社員が2,000人おりますが、2,000人と徹底的に対話をして、そして、職場のよくないことをみんなで洗い出して、職場のあるべき姿を考えて、それをPDCAとして実践していく。これが私どもの経営スタイルであります。

次のページをお願いします。

具体的には、スピード感と近い距離感というキーワードがありまして、スピード感については次のページをお願いします。

毎朝経営戦略会議をしているということ。いわゆるスピードを高めるために、従来月に1回やっていた会議を毎日に変更しております。

次のページをお願いします。

そして、近い距離感。

次のページをお願いします。

これは具体的に2,000人いる職員とほぼ1年中対話をしております。ダイアログという少人数での集まりを徹底的に行って、そして、その中から出てくる様々なアイデアを経営に生かしていくということ。

次のページをお願いします。

具体的に出てきた、例えばコミュニケーションのテーマで言うと、ここに書いてあること。人作りで言うとこういうテーマ。そして、働き方で言うと、例えばカジュアルフライデーとかバースデー休暇みたいなことが全部、これは職員の誰かが言ったこと。こういったことを取り入れることによって、社内の風土を整えていく。そして、みんなの気持ちを顧客志向に向けていく。このようなことが経営者としては会社全体で取り組んでいくことにしていかないといけないということだと思います。

次のページをお願いします。

最後になります。5つ目、少し毛色が違いますけれども、みんなで寄ってたかってソーシャルな地域を目指す。いわゆるSDGsとかESGとか言われるように、エンバイロメントとかソーシャル、つまり地球に優しい、人に優しい、自分だけよければいいのではなくて、周りのことを思いやるような世の中。こういったことに確実に21世紀は近づいていく。これも時代の潮流の変化です。こういったことをコミュニティ・バンクとしては目指すべき基本的な経営姿勢において、そして、こういったことを社内だけではなくてお客様をも巻き込みながら、みんなで寄ってたかってやっていこうという考え方であります。

次のページをお願いします。

消費者志向の考え方というのは、こうやって消費者サイドと供給サイドがともに変化していく。そして、対話をしながらお互いがみんなで作っていく。そういうエコシステムでないといけない。ソーシャルな世の中というのがこれから広がっていくとすると、我々は、一社一社の企業に私どもがスタートさせているソーシャル企業認証制度、企業がどこでソーシャルだとかエンバイロメントに寄与するのかを可視化して、そして、それが消費者の方々に受け入れられるということをきちんとお客様と対話をしながらアピールしていく。そして、消費者もそういったことを理解して、あえて企業とのお取引をしていく。物を買う。サービスを受ける。このような信頼関係に基づくソーシャルとエンバイロメンタルな地域を作るということを今から我々は一生懸命やっていきたいということで、これをスタートしております。

次のページをお願いします。

具体的には、京都にあるユヌスソーシャルビジネスリサーチセンターというところを公的認証機関として、京都信金をはじめ、近隣の湖東信用金庫さん、京都北都信用金庫さんという3つの信用金庫でタッグを組んで、我々がお取引をいただいている地域の企業の皆さん方、特に中小企業の方が多いですが、そういった方々と一緒に対話をしながら、その御事業がどういう形でソーシャルだとかエンバイロメントに寄与するのかをはっきりと可視化しながら、一定のターゲット、3年後のゴールを決めながら、ソーシャル認証というのを付与していこうという、4月からスタートしたばかりですけれども、4月の1か月間で23社がアプライして認証を取っております。私ども京都信用金庫は、1年間で1,000社、そして10年間で、約2兆円ある融資の資産ですけれども、取引先で言うと約3万社ございます。3万社のうちの8割をこういうソーシャルの認証制度を取得するような企業に変えていきたい。

何を申し上げたいかというと、消費者にもっとフレンドリーで、もっと消費者志向の会社を作っていくためには、例えばみんなでこうやってお互いを見せ合いながらソーシャルな地域を作っていくという、いわゆる寄ってたかってソーシャルという考え方が必要ではないかなと思います。

次のページをお願いします。

今日申し上げた5つのことをベースにして、徹底的な顧客志向の経営を実践していきたいと思います。

次のページをお願いします。

最後に、コミュニティ・バンクとして、私どもはやはりコミュニティが豊かになっていく、つまり、経済的にも発展して、経済だけではなくて社会的にも人と人との紐帯、つながりを豊かにすることによってイノベーションを起こしたり、あるいはみんながつながっているという心理的安全性を地域全体として確保していく。こういったことが必要だと思います。

そのためのキーワードとして5つ。場作り、寄ってたかって、お節介、先駆者のまねをする、他流試合。本日は一個一個説明する時間はございませんが、こういう5か条、いわゆる豊かなコミュニティを形成することが消費者志向の地域に変えていく、そういう一つのキーワードではないかなと思って、この5か条を徹底的に実践していくことを基本的な経営姿勢としていきたいなと思っております。

次のページをお願いします。

ということで、少し時間をオーバーしましたが、御清聴いただきましてありがとうございます。以上です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

ただいま京都信用金庫様のお取組につきまして、榊田理事長様からお話をいただきました。企業としてその地域社会性やあるいは市民性というところを本質の問題として捉え、そこから事業経営、事業展開、全社挙げて取り組んでおられる様子をお話しいただきました。そして、その中でとりわけお客様との関係の中で、まさに顧客のそれぞれの違いやニーズにいかに金融機関として、また、事業者として的確に対応していくのか。この辺りの仕組みについても御紹介をいただけました。私どもにとっても大変参考になるところが多かったのではないかと思いますが、各委員からもいろいろと聞いてみたいところが多いのではないかと思います。御質問がおありの方、どうぞ御自由にお声を上げていただければと思います。よろしくお願いいたします。

生駒委員、お願いします。

○生駒委員 御説明ありがとうございました。

私は今まで京都信用金庫さんの活動を存じ上げなかったのですけれども、今日お伺いして、1971年から、つまり50年前からコミュニティ・バンクとして活動されていたというのは本当に先見の明といいますか、予言的でいらしたなと思っております。活動の内容も、今まさに必要な活動を50年かけて、半世紀かけて構築されてきたのだなというふうに、すばらしい体制を取られていると思いました。

1つ質問なのですけれども、今、社会の二極化がうたわれ、日本でもかつてないような貧困の問題であるとか、生活困窮者の方の問題、それから中小企業がすごくコロナ禍で経済難にあえいでいるような状況があります。今まで日本ではマイクロファイナンスというのでしょうか。小口の融資のようなものはあまり積極的には動いていなかったような印象があるのですが、中小企業に対してとか、生活困窮されている方に対して、ある種の小口のマイクロファイナンス的な方法というのも取っていらっしゃるのでしょうか。その辺りをお聞きしたく思いました。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、榊田様、よろしくお願いいたします。

○京都信用金庫榊田参考人 生駒様、ありがとうございます。

私どもが目指している基本的な金融機関の役割を申し上げましたが、今おっしゃったように、信用金庫というのはいわゆる経済の草の根の底辺を支えているような中小・零細企業とのお取引がやはりメインになってまいります。私は、日本にはたくさんのメガバンクさんから地銀さん、信用金庫、信用組合、郵便局、様々な金融機関がありますけれども、基本的に信用金庫がきちんとケアしなければいけないセクターというのがあって、それはなかなか金融包摂を受けにくい、どちらかというと金融排除を受けるリスクを持つような、いわゆる金融弱者と言われるような方々。こういう方々に対してきちんとした金融を提供する包摂機能というのが私どもに求められている。これが日本版のマイクロファイナンスではないかなと思います。

具体的に申し上げますと、金融弱者というのは、今、生駒様がおっしゃったような事業が小さな、例えば年商で言うと1億円に満たないような規模で事業されている零細企業と言われるような企業は、ともすれば大きな企業よりもファイナンスを受けにくいという社会課題がございます。あるいは何か財務上の問題を抱えている。近年、特にリーマンショック以降そういったことも強く叫ばれていますけれども、それでも財務に何かの課題を持っていらっしゃるところに対する金融というのは、ぴかぴかの企業よりもはるかにお金が回りにくい。このような格差の問題が2つ目にあります。そして3つ目がいわゆるスタートアップ。実績もない、担保もない、何の保証もなければ何もない方々が、せっかくリスクを取って事業を起こそうとしているのに、なかなかこういうお金が回るべきセクターにお金が回りにくい。このようなスモールとスタートアップと経営課題、この3つのセクターを私どもは特にきちんと金融包摂していこうということを全社で申し合わせて、こういった方々に対して積極的な手間と暇をかけてお話をとりあえずお聞きする。そして、お聞きして、できないことはできないですけれども、話したらやっぱりできないことができることに変わっていくことも多いということを私どもは経験として、きちんとこのことをマイクロファイナンスの中で生かしていきたいなと思っております。

もちろん加えて、NPOに対する融資だとか、あるいは先ほどから私が申し上げているようなソーシャルに対する融資だとか、やはりきちんとしたこれまでの金融とは違うような、金融機関もどのようなお金の回り方というか、回し方というか、地域からお預かりしている預金をきちんと地域に回していく仕組み作り。こういったことが私ども金融機関にも強く求められていて、それを分かりやすく地域の方々に御説明していく。こういったこともこれからの経営姿勢の中には必要ではないかなと思っております。

○新川座長 ありがとうございました。

生駒委員、よろしゅうございますでしょうか。

○生駒委員 はい。御説明ありがとうございます。おっしゃるとおり、金融弱者のことがコロナ禍を経て本当に浮き彫りにされて、社会課題として大きくあると思いますので、今おっしゃってくださったような、本当に心を尽くして細やかにフォローしていただける体制があるということ自体はものすごく心強いものだなと思いました。

ありがとうございました。

○京都信用金庫榊田参考人 是非、NHKのおせっかいバンカーを見てみてください。

○新川座長 ありがとうございます。

そのほかいかがでしょうか。

受田座長代理、よろしくお願いします。

○受田座長代理 ありがとうございます。委員を務めております受田浩之と申します。

本日は大変貴重な、また、経営的な理念を明確に打ち出されている姿勢に関して御紹介いただきまして、本当にありがとうございました。大変感銘を受けた次第でございます。

質問は大きく分けて2点なのですけれども、まず1点目に関しては、先ほどのくらしのマッチング機能、ここに関してでございます。現在、私たちが消費者関連情報の提供の在り方検討ワーキングという中で議論しておりますのは、適切な消費者関連情報、昨今では様々な消費者被害等を含めて消費者に現状の注意点や留意すべき点などをしっかりとお伝えしていかないといけないというような焦眉の課題がございますけれども、そういった点も含めて、消費者の皆様にいかに関連した情報を御提供するかということを議論しております。

そんな中で、このくらしのマッチング機能に関しては、恐らく消費者の皆様から様々な困りごとや、もしかすると消費者関連で非常に警戒をしなければいけない案件が入ってくるのではないかと拝察をいたします。いろいろな内容が入っているということは先ほども御紹介いただきましたけれども、消費者行政に関連する情報として、どれぐらいの割合で私どもが議論しているような内容がこのくらしのマッチングの中に取り上げられているのかという数字的なことをお伺いできればと思います。

その上で、解決の方法に関して、例えば消費生活センターであったり、消費者庁関連の行政との紹介やつなぎが必要な案件もあると思うのですけれども、そういった行政との関連、つながりに関して更に具体的な事例をお教えいただければというのが1点でございます。

2つ目でございますが、こちらは京都信用金庫様のもともとの経営のコンセプトとして、コミュニティを取り上げていくという、コミュニティ・バンクというこの姿勢に関してでございます。我々もコミュニティの崩壊が今、地域における非常に大きな課題になっていると認識をしております。一方で、コミュニティ自体をどのように評価していくか。先ほどの御発表の中では、人と人との関係性、絆作り、あるいは紐帯という言葉がございました。京都信用金庫様のお取組によって、地域のコミュニティがつながり、築かれていくということをどのようにモニターしていくのか。こういったコミュニティの評価をどのように考えておられるかを伺えればと思います。その点が、例えば経営的に見ていくと、先ほど預金積立てとか貸出金のお話をいただきまして、極めて高い預貸率を誇っておられるのではないかと拝察をいたしますが、そういった数字にもつながっていくようなこともあるのではないかと思いますけれども、このコミュニティの形成と経営的な点についての数字的なつながりに関して、少し伺えれば幸いでございます。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、榊田様、お答えになれる範囲でも結構ですので、よろしくお願いいたします。

○京都信用金庫榊田参考人 どうもありがとうございます。2つの御質問をいただきました。

まず1つ目のくらしのマッチングの掲示板から発生する適切な消費者関連情報の提供ということであります。もともと私も金融機関として様々な金融商品を取り扱っていて、それに関しては受田先生がおっしゃるように、金融商品の販売にまつわる消費者関連情報といいますか、適正な情報開示というのが厳しく定められていて、そういったことに対して準拠しながら金融サービスを提供しているという、根底にはそういったものがあります。

ただ、ここで私が事例として申し上げたくらしのマッチング掲示板という生活情報。実は消費者というのは、厳格な消費者関連情報と言われるようなサービスや商品の購入の対価としてきちんと説明を受けるべき権利とは別に、ごく一般的にくらしの困りごと、こういったことをたくさん持っていらっしゃって、たわいもない話ですね。そのようなことを解決する知恵袋、ウィキペディアを求めていらっしゃるということを私どもは、いわゆるまちかどの金融機関としてはやはり大事にしなければいけないのではないかなと思って、できたら我々がその知恵袋になりたいという思いでこういう取組をしております。

もちろん、今おっしゃったように、数値的なことでどの割合がという証明はできませんけれども、お問い合わせいただくお悩みごと、お困りごとなどには、例えば行政に関することだとか、あるいはかなり専門的なことも入ってまいります。例えばお子さんを幼稚園だとか保育園に行かせたいのだけれども、その自治体によってどのような制度の違いがありますかみたいなことを、3歳ぐらいのお子さんをお持ちのお母様などは考えていらっしゃったりみたいな、実は誰かに聞きたいのだけれども、誰に聞いていいかわからないというようなことを何でも私どもはサンドバッグのように受けますから、保育園はどこに行かせたらいいのみたいなことも出てきて、そのときには場合によっては私どもは行政機関などに問合せをした上で、きちんと調べた上でその答えをお返しする。

私どもの役回りは、したがって、知恵袋、つまりきちんとしたソリューションを持っている人をどうやったら必要としている人につないでいけるのか。こういうつなぎ役の役割、つまりお節介という言葉にもつながるのですけれども、私どもは専門家で何を聞かれても答えられるというプロフェッショナルではありません。けれども、つなぐ役としては、家族以外に誰かに相談事をするというのは、結構今、人と人との関係性が希薄になっている中においては実はいらっしゃらないのだなと。もはや信用金庫の窓口でそのような会話の中からそういったものを期待されている方がすごくすごく増えてきているということを実感として持っております。

したがって、生活の知恵で解決していくという、その知恵がどこにあるかも含めて、誰かが答えを持っているというようなことに基づくネットワークで生活の知恵を必要な方にお届けするという、これがいわゆるくらしのマッチング機能の醍醐味ではないかなと思います。

2つ目の御質問のコミュニティ・バンクの経営姿勢。人と人との関係性において、どこで違いが出てくるのかということは、私どももこれまた数値的に証明することはなかなか、今現在では難しいのかもしれません。でも、私はこういったことを5年、10年、15年とやっていくと、そういったことをしている地域としていない地域に明確な地域格差が生まれるということには確信を持っております。都市間競争がこれから激しくなっていくことが予想される中において、人と人との関係性を強化して、人と人とが最後に申し上げたようにつながる場があったり、そして、みんなで寄ってたかって考える場があったり、お節介を焼く人がいたりみたいなことの仕組みがある、このような地域社会というか風土作りが実は地域を活性化したり、イノベーションを起こしたり、あるいは都市だとか街の魅力。何もない街よりも、そのような地域に人は住みたがる。つまり、中長期的には人口の増加や減少にも影響を与えるほど、いわゆる地域、都市の魅力作りに人と人との関係性を充実させること、このことがコミュニティではないかなというふうに我々は疑いません。

したがって、預貸率においての御質問について、私どもは全国でも最も預貸率が高い信用金庫の一つでありますが、やはり地域のお金を地域で回していくという考え方。これからは、先ほど最後に申し上げたように、ソーシャルな世の中を作りたいと申し上げましたけれども、やはり京都信用金庫の基本的な信用金庫としての経営姿勢がソーシャルのところにあるということをもっと可視化して、そして、そういったことに賛同いただくお客様を増やしていく。もっとはっきり申し上げると、私の預けたお金がどういうところで使われているか。これまでわからなかったのが、京都信用金庫に預けたら、こういうセクターに自分のお金が回るということがきちんと見える。預金者とお金の提供を受ける事業者をつないでいく、こういった役回りも私ども、ソーシャルの観点でも果たしていきたいなと思っております。

きちんとした数字には現れなくても、評価の面においては、私はそういったことを積み重ねていくことが心豊かなコミュニティにつながるということではないかと思います。

○新川座長 ありがとうございました。

受田先生、どうでしょうか。

○受田座長代理 どうもありがとうございました。

○京都信用金庫榊田参考人 答えになったでしょうか。

○受田座長代理 もちろんです。ありがとうございます。コミュニティに関してはとても可視化することが難しく、そのことがもしできれば具体的ないろいろな手法の評価もできるようになりますし、効果を検証できるようになると思います。途中でいい会社という表現をおっしゃられました。伊那食品工業さんであるとか、会社経営的に見るといい会社を作ろうと。同様にいいコミュニティを作ろう。そのコミュニティが具体的にというふうになれば、極めてそこがつながっていく画期的なモデルになるのだろうなというふうに伺いました。どうもありがとうございました。

○京都信用金庫榊田参考人 ありがとうございます。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、そのほか各委員からいかがでしょうか。

片山委員、よろしくお願いします。

○片山委員 とてもわくわくするお話をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。金融機関さんでこれだけ理念をきちんと据えてやっておられるというのは本当にすばらしいことだというふうに感銘しました。

先ほどのお話の延長になるようなところで教えていただきたいと思います。1つは、くらしのマッチングのところで、大変興味を持ちました。こんなことを、本当にまさにお節介と言われるようなことをきめ細かく対応していただいているというのは、理事長様の気持ちが職員の皆さんにきちんと伝わっているからだというふうに思いますが、これを更に広げていただくということは可能でしょうかというのをお聞きしたいと思います。

というのは、今、このくらしのマッチングというのは、私の理解では、店頭とかお客様との接点の中で出てきたいろいろな困りごとや知りたい情報を、職員専用のイントラネットで情報を交換して、答えを探して、それをお客様に返してあげるというようなイメージで受け止めたのですが、ここに出てくる質問の中には、ほかのお客様も同じことを知りたいと思っておられるとか、例えばコロナ禍でのいろいろな消費者被害につながるような、これはみんな知っておいたほうがいいよねという情報とか、そういうものも多分出てくるのではないかと思うのです。そういうときに、それを質問した人だけではなくて、更に広いコミュニティの皆さんにお知らせするというようなことは現実的に可能でしょうかというのが質問の1つ目です。

同じ観点で、私たちとすると、お客様からの質問というだけではなくて、職員の皆さんが、これってみんなに伝えたほうがいいよねというような消費者関連情報も含めてお客様に伝えるようなツールがこれからの時代に出てきたときに、そういうことの利用にも広げていっていただくということもあり得ることなのかどうか。今は多分、店舗でのお客様とのお話だとか、あるいはお客様の会社等に出ていったときにいろいろ聞かれる質問をベースにくらしのマッチングというのが運用されているかと思うのですが、デジタルでお客様とつながるということも既に始まっているのかと思いますので、お客様とのつながり方が変わっていったときに、お客様に伝える情報を更にお節介を焼いていただいて、幅広くお伝えしていただくことも可能でしょうかということをお教えいただければと思います。

もう一つ、今、私が勝手に店舗とお客さんの会社というところでの接点というふうに考えたのですが、ほかにもコミュニティの中で信用金庫さんのほうが運営しておられるような場というのはあるのでしょうか。その辺のところもお教えいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、榊田様、4点ほどございましたけれども、かいつまんででも結構です。よろしくお願いします。

○京都信用金庫榊田参考人 片山様、御質問いただきましてありがとうございます。1つずつ御説明申し上げたいと思います。

まず1つ目のくらしのマッチング掲示板の機能を更にもう少し広げられないかということについてであります。私どもはもともと、今日はくらしのマッチング掲示板の事例を申し上げましたけれども、これは暮らし、個人のお客様の困りごとに対するマッチング掲示板であります。かなりの頻度でこういったトピックが立って返信がされているので、かなり活性化しておりますけれども、それとは全く別に、私どもはビジネスマッチング掲示板というのを今から17年前から、多分どこの金融機関さんよりも全国で一番早かったと思いますけれども、オンライン上、社内のイントラネット上でこういったものを設けて、いわゆるBtoB、中小企業と中小企業をつなげていくということをずっと続けております。今、全国から私どものマッチング掲示板を見たいということでよく訪問されますけれども、なかなか皆さん来られても、仕組み自体はそんなに難しくないのですけれども、こういったことが実際に帰られてもなかなか定着しないとおっしゃって、困っていらっしゃるのが現状だと思います。

私どもは、先ほど申し上げた社内でみんながお互いを助け合うというか、お客様の困りごとを解決することを信念として仕事をしている。そして、ノルマなんかもほかに何もありませんので、こういった共助の考え方が徹底しているので、多分、マッチング掲示板というのが社内で広くこれだけ活性化しているのだと自負しておりますけれども、ビジネスマッチング掲示板の件数もすごく地域の中小企業の課題解決につながっているということを実感として感じております。

そして、そういったことを直接お客様に、こういったマッチング掲示板を開放して、例えばもっとフリーに見ていただく。こういった議論も随分と何回も社内でしているのですけれども、今のところ、具体的にはその実施には至っていない。なぜなら、これはやはり誰が誰をつなげるべきなのかということについて、きちんとした責任がある行動だと思いますので、この仲介の仕方についてはやはり慎重に、誰とでもユビキタスにつながればいいというものではなくて、やはり私どもはそこで信用金庫らしい、この人とこの人がつながったらきっとうまくいくというような仮説を立てながら、責任を持ってマッチングさせていく。こういったことに、我々の価値というのはそういうところにあるのではないかなという考え方で、あえて社内のネットワークにとどめながらやっているということであります。

ただ、唯一、1か所だけ、私どもがそれに風穴というか穴を開けているところがありまして、それは昨年11月にQUESTIONというビルをオープンしまして、また、今日はちょっと機会がないですけれども、イノベーションを起こすために河原町支店という支店のビルを建て替えて、ビル丸ごとイノベーションを起こすための創発拠点にしようという考え方で、そのうちの6つあるビルの機能のうちの一つとして、いわゆるビジネスマッチングをこのQUESTIONの会員同士で自由に行っていくというような考え方を初めて取り入れています。

でも、それほど私どもは慎重に、誰と誰とがユビキタスにつながればいいというものではなくて、やはりきちんとつながるべき人を誰かが仲介することによってきちんとつなげていくという、こういった考え方が基本にあるということであります。

2つ目の御質問は、DXの活用も含めて、どうやってこれからそういったものを広げていくのか、つなげていくのかという考え方でありますけれども、ここもマッチング掲示板の内容に限らずに、私どもは消費者に対して提供できる情報の中で、例えば若年層で言うと、いわゆる資産形成にまつわるライフプランというものですね。日本国民全員が、熟年層は2000兆円というとてつもない金融資産を保有しながら、一方で若年層、40代未満の方は貧困にあえいでいるという国民間の格差が二極化状態として現れていますけれども、こういった中で、例えば若年層の方々に対してはきちんとした資産形成を10年、20年仕事としてお付き合いしていかないといけない。そして一方で、熟年層の方に対してはたくさんのお金をどうやって残しながら次の代につなげていくのかみたいな、いわゆるお金の資産運用の相談などに答えないといけない。こういったことを私どもはきちんとした消費者情報として提供しないといけないのですけれども、おととしからやり始めていることが、いわゆるリモート接客というのをやっております。今日もリモート会議ですけれども、こういったリモートのタブレットの端末を使ってお客様との接客の担当者、従来はうちの職員とお客様が一対一で面談するという、それが店頭であれ、あるいは訪問営業であれなのですけれども、これにもう一人、第二の接客係が加わって、リモートで参戦するということをし始めております。

まさしくDXの利用という意味において、私は、ヒューマンとデジタルのバランスミックス、融合していかないと、デジタルだけでは無機質です。ヒューマンだけではアナログです。そうではない両方のいいところを融合させていくことが21世紀のこれからの消費者に対するサービス提供、付加価値提供の価値向上につながるのではないかなということを、リモート接客あるいはリモート事務チーフという形で、うちの社内では全ての業務を本部にいる専門のスペシャリストなどが、全店に配置するわけにいきませんけれども、こういった者を呼び出せば、いつでもどこでもその人がリモートで参戦するという仕組みを作って随分とお客様との接客においてそれが効果を発揮して、お客様にも具体的にこれはいいというふうに喜んでいただき始めております。

このような関係、従来の店頭の職員だけではなかなか賄い切れない専門的な知識も、こういうリモートの第二の接客係がタブレットで参入することによって、随分と価値が上がってくるという事例ではないかなと思います。

最後の3つ目の御質問、そういったことをやっている場所として、店頭だとか訪問営業などに加えて、ほかの場所ではどうですかということについては、私どもは様々な、コミュニティというのは何もお取引をいただく方とのコミュニティ形成だけではなく、例えばお取引がなくても、どなたさまでも人と人とが有機的につながっていく機会を想像することが我々のミッションではないかなと思っていて、そういう意味において、場所を問わずいろいろなところにネットワークを広げようという考え方であります。そして、そういったネットワークもリアルでつながるだけではなくて、ふだんはつながっていなくても、必要なときに必要に応じてゆるい関係でつながっている、信頼関係でつながっている人たちが、何か問いが飛んできたときにその問いをみんなに投げかけて、それに対して答えを持っている人がこの指とまれ方式で、その問いに対して、私は実はこのことに答えられますよとか、私は答えられる人を知っていますよとかいうようなネットワーク上でつながることによって、知恵袋になり得るのではないかなと思っております。

先ほどから申し上げているQUESTIONというビルは、実はそのような問いの掲示板という機能を持っていて、どんな問いをお客様というか、京都信用金庫のお客様ではなくてお取引がない方でも、QUESTIONに出入りしていただく方だったらどなたでも、何か問いを投げていただいたら私どもは48時間以内に約200名のアソシエイトパートナーと言われる変な人、いろいろなネットワークと知見を持った人たちのネットワークをそろえていまして、こういった方々と48時間以内に協議をして、そして、何かお答えするという仕組みを持っています。そして、必要に応じて48時間では解決できない問いに対しては、もう少し時間をかけて、その問いを投げた方も含めてプロジェクト方式で、もう数か月、学生さんだとかも含めてプロジェクトを組んで、この問いに対して解決をしていこうみたいな取組もスタートしています。

QUESTIONというビルは、いわゆる世の中にたくさん出てきている個人レベルの問い、あるいは企業が持っている事業の問い、そして、地域が持っている公益型、つまり社会の問い、こういったことをみんなで寄ってたかって考える場を作ろうという、それをリアルの場とともにネットワーク上での仮想の場、こういったことをもってネットワークで社会の課題解決をしていこうという取組を始めておりまして、是非とも一回、QUESTIONのビルにお越しいただきたいなと思います。

すみません。少し長くなりました。

○新川座長 ありがとうございました。

片山委員、いかがでしょうか。

○片山委員 大変イメージがよく湧いてきましたし、理事長様の考えておられる責任ある体制の下でつなげていこうというところも大変共感いたしました。

それから、私は消費者教育というのは、やはりその分野の専門家の事業者にしていただくのがいいというふうに思っているのですけれども、そういう意味でも先ほどのリモート接客の中で専門家がそこに関わっておられるというのも大変すばらしい取組だと思います。ありがとうございました。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、西田委員からも御質問が来ております。西田委員、よろしくお願いいたします。

○西田委員 よろしくお願いします。本当にわくわくする発表をありがとうございました。たくさん参考になるフレーズがあったかなと思います。

1点なのですけれども、ソーシャル企業認証という試みをされているという話があったかと思います。この認証のメリットというか、それを取ると御社からの投資が受けやすいとか、融資が受けやすいとか、何かメリットはございますか。

○新川座長 お願いいたします。

○京都信用金庫榊田参考人 メリットはございません。というか、どうしても皆さん、SDGsとかいう言葉を何か事業のメリットにつなげようというのが私はあまり好きではなくて、例えば金融商品で言うと、ソーシャル認証を取るとお借入れの金利が下がるとか、あるいは預金金利が上がるとかみたいなことは別に、やろうと思ったらできるのですけれども、それでは私は本当の意味でのエコシステム、消費者と供給者、みんなで作っていく社会がソーシャルのほうに変わっていくのではなくて、ただ単に金利が低下することを狙ってソーシャルを取りにいくみたいな、そういう制度にしたくないので、あえて我々はもっと厳格に、メリットは特になくても、企業としてのポリシー、何のために世の中に役に立っているのだということを可視化したり、あるいはもっとはっきり申し上げると、ソーシャルの定義の中には、例えば働いている社員さんの幸せということ。中小企業というのはブラック企業が多いですから、こういったものをもっとホワイトに変えていく。こういったことを可視化していくことも立派な、企業がよくなるすべではないかなと思っています。

それを、何かのメリットを求めてやるのではなくて、企業をよくするため、そして、その企業が世の中の役に立っているということをきちんと可視化するために一緒にやっていって、そういった価値観を地域全体でソーシャル認証という制度を通じて分かりやすく広げていこうというような目的なので、あえてメリットを求めてというふうにはしたくないなと思っております。具体的に4月から始まっておりますけれども、4月に23社取られた中の例えば1社は、具体的にB型就労の支援機能を備えながら、いわゆるリサイクルのお仕事をされているような業者の方ですけれども、これまでずっと自分たちのやっていることが世の中にいいことだと思うのだけれども、それをうまく世の中に伝えることができなかった。今回、ユヌス財団というところをバックにしたきちんとした認証制度を申請することによって、初めて、うちみたいな零細企業でも世の中の役に立っているのだということが社内外に示せることがうれしいというふうに素直に喜んでいただいて、本当にこういうソーシャル認証制度を作ってよかったなと思っていますし、こういった企業が地域の中でどんどん広がっていって、そしてそれを私どもがどんどんアピールしていく。こんな企業もありますよとか、あるいは企業間同士で何か連携を取れるようなことをしていく。例えば一緒に就職の相談会をするとか、あるいはいろいろなセミナーを通じてよりソーシャルなことを極めていくとかみたいな、そういうソーシャル認証を取られた企業同士の仲間作りというかネットワーク。こういったことも広げることによって、やはり結果的にメリット、企業がきちんとした方向に経営を進めていく。それがメリットではないかなと思います。

今申し上げましたが、結果的にでも金融機関としてはそのような姿勢を持った企業は中長期的なお客様との関係性を構築して、そして、結果的に中長期的に反映するのではないかと思っておりまして、私ども目利き人といいますか鑑定人としては、そういったことに理解を示す企業が、どちらかというと金融機関としてお取引をさせていただきやすい企業になるのではないかなとも思っております。

○西田委員 ありがとうございました。

このソーシャル企業認証をされていますけれども、御社自体がまさにこのソーシャル企業というのを先陣切ってやられているのだと思いますけれども、もう1点質問させてください。評価の軸が明確にしずらいという印象を受けましたが、人事評価や別の方法でそういうことをやっている人を褒めるような仕組みは社内にあるのですか。

○京都信用金庫榊田参考人 うちはノルマもなければ、まず期初に活動目標シートといって全職員一人一人が自分で当期の目標を書くのです。それをボスミーティングというのをして、取りあえず所属長に話をして、そして、所属長はそのチーム全体の今期の目標みたいなものを自分たちのチームの中で考えます。ですから、誰かから与えられる目標ではなくて自分たちがボトムアップで目標をまず作るということ。そして、それを翌月以降、1on3ミーティングといって、1対3で、4人で店内チームの中で、これまでは所属長対部下のピラミッドでしたけれども、そうではなくて本当にフラットに、誰と誰が1on3ミーティングするかは毎月変わっていく。でも、自分が期初に立てた目標に対してアセスメントを毎月して、あの人はこんなことをやろうとしているんだみたいなことを、これまでの職場の中ではなかなかお互いが知らないままやっていた。これを徹底的にフラット双方向にして、1on3ミーティングをしながら最終的に期末に360度評価、所属長が部下を評価するだけではなくて所属の構成員が全員でお互いを評価するみたいなことで成績を付けます。最終的にそれがその人の成績表、人事考課につながる。

ですから、全く他店との相対評価もなければ、もちろん後からチェックというのは店舗間調整を一部しますけれども、よっぽど甘い店舗を見に行きますけれども、基本的に自分達で目標も定めて、自分たちで評価する。そして、それを担保するのはお互いのチーム力というか、相互けん制するのはお互いがお互いを見張り合うみたいなことなので、やらされている仕事ではなくて、自分たちで自走できる、逆に言うと、誰からも何も示唆されませんから、自分たちで考えないといけないので、結構ノルマがあるほうが楽なのですけれども、ノルマがないので、何をやってもいいといえば何をやってもいいのですけれども、そこをみんなで考える。

だから、社内の風土がチームを主体としたようなチームビルディングでないと、一匹おおかみ型の組織では多分うちみたいな考え方は通用しないのではないかなと思います。

○西田委員 ありがとうございました。

○新川座長 ありがとうございました。

すみません。ついよいお話なので時間が大分延びてしまいましたが、それでも各委員からもしこれだけはというのがございましたら御発言いただければと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

申し訳ありませんでした。榊田さんには本当に今日は長い時間にわたりましてお取組を丁寧に御説明いただきまして、ありがとうございました。私たちにとりましても、本当にいろいろなタイプの事業者の方々がいらっしゃいますけれども、そういう方々がそれぞれに思いを持って、そして、社会に面と向かって関わろうとしておられる、その姿勢の中に私たちが目指しております消費者の保護、あるいは消費者の権利の回復や、そうしたことをきちんと実現できる、そんなチャンスというのを今日はたくさん見出させていただいたかなと思っております。

本当に今日はコロナ禍の大変な時代の中で御丁寧に対応いただきましたこと、改めて感謝を申し上げまして、榊田様からのお話、聴取り調査は以上にさせていただきます。どうもありがとうございました。

(京都信用金庫 退室)

○新川座長 それでは、次に、高知銀行様のヒアリングに入りますが、若干休憩を置かせていただきまして、ちょっと時間が遅れておりますが、4分ほど休憩を置かせていただいて、15時15分から始めたいと思いますので、よろしくお願いします。

事務局、御準備のほうをよろしくお願いいたします。

(休憩)

○新川座長 それでは、大変遅れてしまいまして申し訳ございませんでしたけれども、引き続きまして、株式会社高知銀行様からのお話をお伺いしたいと思います。

本日は、株式会社高知銀行様から、常務取締役・営業本部長の三宮様、そして、執行役員の営業企画部長の深見様に御出席いただいております。私ども、事業者の方々を通じて消費者情報をいかに的確に伝えることができるのか、そうした点でこれまでヒアリング、また検討を重ねてまいりました。高知銀行様のお取組の中からいろいろとまた御教授いただけるところが多いのではないかと思っております。本当にお忙しいところ、お越しいただきまして、改めて感謝を申し上げます。

この後、20分程度、高知銀行様からの御説明をいただき、そして、30分程度の質疑応答をさせていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

それでは、早速で恐縮でございますけれども、20分程度で限られた時間でございますけれども、高知銀行様のほうからお取組につきまして御説明をいただければと思います。よろしくお願いをいたします。

○株式会社高知銀行三宮参考人 高知銀行常務取締役の三宮と申します。

○株式会社高知銀行深見参考人 執行役員・営業企画部長の深見と申します。よろしくお願いいたします。

○新川座長 よろしくお願いいたします。

○株式会社高知銀行三宮参考人 本日は貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。このような機会をいただいた経緯を少しお話しさせていただきますと、本委員会の受田委員は当行の評価委員会の委員を務めていただいておりまして、今年の3月に開催しました同委員会におきまして、受田委員から、商法などの大型の消費者被害が続発しており、これから感染症の予防接種をめぐる詐欺商法が出てくることが懸念される状況の中、地域金融機関として高齢者などの消費者に対し、有益な情報を発信できるような窓口機能が求められるのではないだろうかとの御意見もいただきました。また、受田氏は、国が設置しているワーキング組織の座長代理として活動されており、消費者庁様と当行等の金融機関をつなぎ、相互に情報連携ができればよい取組ができるのではないだろうかとのお考えから、消費者に対するラストワンマイルのところを金融機関に担っていただけるように御協力いただけないだろうかなどの御意見をいただいております。

当行では、これまで「face to face」で地域にとことん寄り添う銀行として、地域経済の活性化に貢献し、あるべき姿として掲げた地域の価値向上に貢献する金融インフラの実現に向け、取り組んでおります。金融犯罪未然防止の取組については、銀行の窓口において高齢者を狙ったオレオレ詐欺等を幾度となく防いでまいりましたが、少子高齢化が進む中、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるためには支援が必要と思われる高齢者や子供の安全安心のための見守り活動などの推進が重要であると改めて考えさせられるよい機会となりました。

当行は、消費者にとって身近な消費生活相談窓口へアクセスしやすい環境の整備への取組をより一層強化すべきであると認識し、先般、消費者庁が開設している消費者ホットライン「188」の取組の趣旨に賛同し、一般消費者に広くPRするとともに、イメージキャラクターの利用を消費者庁様に申請したばかりの状況でございますが、先日、消費者委員会の方とお話をする機会を通じて本日に至っております。

それでは、最初に、高知銀行の概要とお客様本位の業務運営に関する取組方針をお話しさせていただき、次に、当行のお客様保護の態勢整備について、景品表示、金融犯罪、金融リテラシー、社会貢献活動の4つの視点でお話をさせていただきます。

高知銀行の概要については、2ページのスライドをお願いいたします。

2021年3月末現在で、預金等残高は1兆503億円、貸出金残高は7,502億円、職員数は796名の第二地銀の高知県の金融機関でございます。

次のスライド、3ページをお願いします。

経営理念は、熱意、調和、誠実でございます。高知銀行のシンボルマークは「ビビッドK」であり、右上の赤は地域の皆様を、右下の緑は地元企業の皆様を、そして、それぞれのニーズを受け止める高知銀行を左の青で表しております。また、郷土高知を照らす太陽と熱意の姿勢を赤に、穏やかにそびえる山々と調和への願いを緑に、踊る黒潮と誠実の精神を青に例えております。

次のスライドをお願いします。

当行は、SDGsの達成に貢献するため、【地域】、地域が享受する自然の恵みを守るとともに、農林水産業をはじめとする様々な産業の活性化に努めます。【社会】、コンサルティング機能を強化し、豊かな暮らしの持続やさらなる発展に向け汗を流します。【環境】、環境に配慮した活動を推進するとともに、環境保全につながる皆様の取組をサポートします。【企業統治】、多種多様なステークホルダーと協働することによって、健全な経営を実現いたします。

以上の活動を通じて、共通価値を育み、地域の持続可能性を高めていくことを宣言いたしました。

次のスライドをお願いします。

当行は、質の高い金融サービスの提供に取り組むため、お客様本位の業務運営に関する取組方針を策定し、1、お客様の最善の利益を意識したサービスの提供、2、お客様の立場に立った情報提供、3、お客様本位のサービス提供に向けた態勢整備に取り組んでおります。なお、成果指数(KPI)も定期的に公表しており、必要に応じて内容の見直しを行っております。

次のスライドをお願いします。お客様保護態勢については、まず、お客様に対する適切かつ十分な説明をしていくための顧客説明管理。次に、相談・苦情等に対する適切な対処をするための顧客サポート管理。そして、顧客情報漏えい防止のための適切な管理のための顧客情報管理。最後に、顧客情報や顧客への対応を管理するための外部委託管理を整備しております。

次のスライドをお願いします。

お客様保護等の取組における4つの視点の景品表示については、当行は金融機関としてお客様の様々なニーズに対応した金融商品のサービスを提供するに当たり、登録金融機関業務に係る広告等の表示及び景品類の提供に関する規定により、当行が行う広告等の表示及び景品類の提供に関し、その表示方法、審査体制、審査基準、保管体制等に係る基本的事項を定め、広告等の表示及び景品類の提供の適正化に努めております。

定期的に所管部等は社団法人全国銀行公正取引協議会連合会主催の景品表示法入門セミナー特に参加して、基本的な知識や最近の動向について習得し、景品表示法及び公正競争規約制度に対する理解をより一層深めて、違反行為の未然防止や表示の適正化につなげております。また、情報提供の手段として、適時適切なポスターの提示、チラシの配架・配布及びホームページで情報を発信しております。

次に、金融犯罪については8ページのスライドをお願いいたします。

警察庁発表によりますと、特殊詐欺の被害発生認知件数金額は昨年中、令和2年は1万3,550件、約285億2,000万円で、また、インターネットバンキングに係る不正送金事犯の被害発生件数、金額についても同期間中は約2,000件、約11億円となり、依然として高水準で推移している状況を踏まえ、特殊詐欺等の金融犯罪防止啓発のため、当行はコンプライアンスマニュアルにおいて銀行業務に係る法令等の解説事例編を役職員等に周知することにより、特殊詐欺等の未然防止及び拡大防止に努めるとともに、一般社団法人全国銀行協会より提供されたリーフレット等を活用し、顧客宛て説明や周知活動等に取り組んでおります。

次のスライドをお願いします。

犯罪防止の情報発信については、ホームページに御注意いただきたいコーナーを設け、周知することにより、金融犯罪被害の再発防止に努めております。具体的には、当行ホームページを装った偽サイトや、市役所職員や銀行員などになりすましてキャッシュカード等をだまし取る詐欺を未然に防止するために、お客様への注意喚起のみならず、お客様の不審な行動に対する行員自身の気づきの醸成につなげております。

次のスライドをお願いします。

金融機関の防犯基準に基づく防犯対策の推進や、地元警察や高知県警と連携などにより、金融犯罪の防止活動に取り組んでおります。

具体的な取組としましては、一例には、振り込め詐欺や還付金詐欺被害を未然に防止するため、過去1年間に当行のキャッシュカードによるATM振込の御利用実績がない70歳以上のお客様は、当行のキャッシュカードを使用するATMでのお振込につきまして、平成29年8月14日より停止させていただいております。

次のスライドをお願いします。

2例目は、令和3年2月1日からホームページ等により周知している内容です。全国的に特殊詐欺被害が多発していることから、お客様の預金を守るとともに、犯罪被害を防止することを目的としてATMによる取引を一部制限させていただくことをお知らせした上で、4月5日から70歳以上のお客様を対象に、当行のキャッシュカードによる1日当たりのATM現金引き出し限度額を50万円に引下げしております。

警察庁及び高知県警本部より、振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺撲滅のための予防活動等強化推進期間の協力依頼等もあり、水際である窓口で未然に防止するため、窓口の対応に関する声がけ訓練で声をかけ、上司への報告、警察への通報等、組織的対応がスムーズに行える体制作りを行っております。

具体的には、振り込め詐欺等特殊詐欺の被害防止のアンケートを活用して、被害のおそれがある回答の場合には、詳細を聞くとともに、最寄りの警察署に連絡を行うことを営業店に徹底しております。さらに、振り込め詐欺、投資勧誘詐欺、及びネットバンキング犯罪に係る注意喚起の文言を付したポケットティッシュを各営業店に送付し、窓口で来店客に配布するなどして、効果的な注意喚起の工夫をしております。

このように、金融犯罪防止等に向けて日々の変化するリスクに応じた未然防止策を講じるよう取り組んでおります。

次のスライド、12ページをお願いいたします。万が一不審な請求を受け付けて振り込んでしまった場合などのお問合せ窓口としてお客様相談室を設置しております。サイバーセキュリティリスクへの取組については、情報セキュリティ管理部署を事務システム部とし、金融ISACやIPA、情報処理推進機構などから発信されます情報や、標的型メール対策システム等からの情報の収集・分析を行い、当行へのアクセス状況と照らし合わせ、脅威やそのおそれがあると認識した場合、該当ネットワークからのアクセスを遮断する措置や脅威受診者に対する注意喚起と駆除を行っております。

コロナ感染症拡大の影響からも、インターネットを利用した業務拡大に伴う不正アクセス、漏えい等のリスクが大きくなっていることを踏まえ、サイバー攻撃による被害を受ける可能性のある範囲を整理し、サイバーセキュリティリスクに対する対応態勢を明確化するとともに、攻撃を受けた場合の被害の未然防止や拡大防止に図り、情報システムが安全かつ安定的に稼働するための管理体制の強化に取り組んでおります。

サイバー攻撃は、サーバーやパソコンなどのコンピューターシステムに対し、ネットワークを通じて破壊活動やデータの窃取、改ざんなどを行うことであり、特定の組織や企業、個人を標的にする場合や不特定多数を無差別に攻撃する場合があり、その目的には金銭目的から組織犯罪、愉快的犯行等がありますので、お客様が被害に遭うことを防ぐため、セキュリティ対策等の推奨やお客様の大切な預金を守ることを最優先と考えた対応に取り組んでおります。

また、役職員等が安全にパソコンやインターネットを利用するため、サーバーセキュリティ等の知識レベルの向上を目的としまして、情報セキュリティ理解度チェックを実施しております。

2006年から2020年の14年間の取組の中で、金融犯罪部門の頭取表彰は11件ございますが、内容は、振り込め詐欺未然防止が6件、特殊詐欺が3件、還付金詐欺が1件、窃盗犯罪が1件の状況でございます。

○株式会社高知銀行深見参考人 続きまして、深見のほうから発言させていただきます。

続いて、金融リテラシーについては、13ページのスライドをお願いします。

金融リテラシーとは、金融に係る知識や情報を正しく理解し、主体的に判断することができる能力です。これは社会人として経済的に自立し、よりよい暮らしを送っていく上で欠かせない生活スキルですので、金融リテラシーを身に付けるためには、知識の習得に加え、健全な家計管理、生活管理の習慣化、金融商品の適切な利用選択に必要な着眼点の習得、必要な場合のアドバイスと活用などが重要と言われております。

次のスライド、14ページをお願いします。

当行はよくある御質問への情報発信として、お客様から問合せの多い紛失・変更手続など、ホームページで情報発信しております。

次のスライド、15ページをお願いします。

一方で、金融リテラシー向上策として、お客様向け金融セミナー等を積極的に開催しております。なお、2020年3月期のお客様向け投資信託セミナー、生命保険セミナー、年金相談会、税務相談会の開催数の合計は134回で、行員向けセミナー受講者数は延べ6,018名の状況でした。

次のスライド、16ページをお願いします。

本年1月、高知銀行南支店はタリーズコーヒーを併設した「カフェでバンク」として新築移転いたしました。南支店のスペースの一部を地域住民の皆様の憩いの場として提供し、カフェ内で地域イベントや、個人のお客様や事業主を対象に顧客ニーズに対応した様々な銀行セミナー等を開催するなど、地域とともに歩む金融機関としてリラックスした空間の中で地域の皆様と交流し、幅広い世帯が集まる施設を目指しております。

外部への取組といたしまして、16ページの右側、高知大学との連携を説明させていただきます。高知大学は、多様な社会問題などを今後の教育、研究等に発展、進化させていくために、産学共同、文理融合による新たな取組を企画運営する高知大学希望創発センターを設置し、活動しております。同センターでは、大学関係者だけではなく、企業の目線で同センターの方向性をともに考える人材を必要としており、当行は同大学からの要請を受けて、2017年より現在、地域連携ビジネスサポート部の行員が特任教授として、課題先進県である高知県の状況を背景に、大学・企業・学生で構成されたメンバーとともに地域課題解決に向けた活動を行っております。

次のスライドをお願いします。

当行はこれまで大学生や主婦等を対象とした金融セミナーや事業者向けの勉強会、こども金融・科学教室などを定期的に開催しております。子供から大人まで幅広い世帯に向けて、幅広い分野にわたる最新の情報を提供しており、誰もがお金に対する正しい知識を身に付け、安心して暮らせる社会を目指しております。

次のページ、18ページをお願いします。

こちらは、社会人向けにセミナーを開催しておりまして、消費税インボイス制度導入や、アフター・ウィズコロナを見据えた経営対策セミナーなどを開催しております。

続いて、19ページをお願いします。

先ほど説明しましたこども金融・科学教室で、2008年以降、例年開催しております。地域の子供たちへの金融知識の普及と併せ、科学に親しみながら学ぶことを目的としております。当行と産学連携協力協定を締結している高知工業高等専門学校様との共催によるものです。

次のスライド、20ページをお願いします。

高知県は、全国に先駆け、人口が減少し、高齢化が進行してきたことにより、これまで地域を担ってきた支え合いの力そのものが弱まりつつあります。こうした地域での支え合いを意図的に再構築していくことが必要となっております。このような状況下、当行は店頭での対応力の向上並びに認知症の方やその御家族の皆様が安心して暮らし続けられる地域作りへ貢献するため、毎年新入行員全員が認知症サポーター養成講座を受講し、認知症サポーターとして営業店に配属しております。

次のスライド、21ページをお願いします。

社会的貢献活動として、当行は平成20年度より、高知県、高知県教育委員会、高知県警察本部と協定を締結して「こども110ばんのぎんこう」活動を実施しております。これは、地域の子供を犯罪や事故などの被害や、危険事態から回避をするための安全シェルターとして、当行の高知県内有人店舗を提供するとともに、見守り活動などを実施することによって、安心して生活できるまち作りに貢献することを目的とした活動です。

具体的な活動としては、当行の高知県内58店舗を地域の子供のための安全シェルターとして提供します。

2つ目、避難してきた子供や発見者から事情を聞いて、110番通報や119番通報、必要に応じて学校関係者への連絡を行います。

3つ目、当行行員が車両等を使用して業務を行う際は、子供などへの声かけや地域の危険箇所等の情報提供、地域の見守り活動に努めるものです。

大分時間が押し迫ってきましたが、次の22ページを御覧ください。当行は、競技の普及やジュニア育成を通じて地域のスポーツ振興に貢献していくことを目的としたこどもサッカー教室を、2010年以降例年開催しております。

続いて、23ページをお願いします。

地元のビッグイベントであるよさこい祭りにも例年参加しており、地域の皆様との交流を深めております。平成27年には審査特別賞を受賞するなど、多くの皆様に御好評いただいております。

次のスライド、24ページをお願いします。

毎年新入行員を対象に、社会貢献活動の啓発とおもてなし文化の体験を通じて地域に貢献していくことの大切さを学ぶことを目的とした、こうぎんお遍路ウォーキングを開催しております。当日は当行本店から四国八十八ヶ所霊場第30番札所善楽寺まで片道約6キロを、清掃活動を行いながらウォーキングするとともに、善楽寺においてお遍路さんや観光客へのお接待を行っております。

次のスライド、25ページをお願いします。

当行のボランティア部と当行の役職員が協力して、高知龍馬マラソンや、はりまや橋清掃活動等、各地のボランティア活動に取り組んでいます。

26ページ以降につきましては、当行における働きがいのある職場作りへの取組です。

また後ほど、当行の取組に御質問があれば、遠慮なく申し出てください。

当行はこれからも、ESGやSDGsの観点から様々な取組を通じて、地域社会の発展と持続可能性の向上に貢献してまいりたいと考えております。

以上で当行のお客様保護等の取組について説明を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

○株式会社高知銀行三宮参考人 ありがとうございました。

○新川座長 三宮様、深見様、どうもありがとうございました。

ただいま高知銀行様からは、本当に地域の金融機関として、地域に多面的に関わって、そして社会に大きく貢献しておられる様子をお話しいただきました。そして、その中で特に地域にお住まいの皆様方への様々なサービスの提供、恐らくその中には私どもが狙っております消費者情報の的確な伝達や、あるいは既に金融機関としてしっかりお進めいただいております金融犯罪の防止に関わる様々な活動、また、消費者教育に直接つながってまいりますお金に関わる様々なセミナーや若い方々への教育機会、本当に熱心に取り組んでいただいているかと思います。

ここからは少し各委員から、ただいまのお取組につきまして御質問などをいただいてまいれればと思っております。どうぞ、各委員から、御質問の方はお声を上げていただければと思います。よろしくお願いいたします。

それでは、高委員から質問が上がっております。まず、高委員からよろしくお願いいたします。

○高委員 ありがとうございました。高知銀行さんの取組、非常によく分かりました。もともと銀行さんというのは規制の非常に厳しい業界でございますので、その中でいろいろな体制作りに御苦労されているのだなと思いました。

そういった体制の上に、後半では深見さんから社会貢献的な活動の説明をいただいて、大変勉強になりました。

私は3つほど質問させていただきたいのですけれども、これは深見さんのところに関わってくるかと思います。まず1点目は、特に特殊詐欺に関していろいろな取組をされているかと思うのですけれども、特殊詐欺の注意に関して、例えば店舗内にそういった掲示物を貼り付けるような場所というのは当然あるのだろうなと思っているのですが、そのような理解でいいのかどうかというのが1点目でございます。

2点目は、そういった場所があるとすれば、例えば特殊詐欺については多分警察からいろいろな情報をあらかじめ用意したものをお願いしますということで掲示されるのかと思うのですけれども、仮に消費者被害みたいなものが地域に広がっているような場合に、そういった掲示物を県等がお願いすれば、これは可能なのかどうかというところをお伺いしたいというのが2点目です。

3点目は、これは経営に関わることで、是非高知銀行さんはこういう方向で今後も続けていただきたいと思っているのですけれども、大手の銀行さんは店舗をどんどん畳んでいって、コスト削減ということで今やっておりますけれども、高知銀行さんは71店舗あって、それから地域の安全安心の拠点になっているということでございます。経営的には厳しいところがあるのかもしれませんけれども、今後もこういった店舗を是非維持して、地域に役立つ銀行として活動していただければと思っております。これは質問というよりも私の感想でございます。

以上でございます。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、高知銀行様、お願いいたします。

○株式会社高知銀行三宮参考人 三宮です。

まず、特殊詐欺等のポスター等注意掲示物を店舗に貼り付けられる余裕があるという前提の質問だったと思うのですけれども、そこはなかなか難しい店舗もございますが、極力優先的に貼るように指示をしております。

2点目の掲示物は、県とかの依頼があれば貼ってもらえるか、可能であるかという質問だったと思うのですが、それは大丈夫です。

3点目は、手前どもは地域に寄り添う金融機関でありたいと思っておりますので、多くのお客様に、本当にこれからもとことん寄り添ったお付き合いをさせていただけるような、地域に役立つ金融機関でありたいと思っております。

以上です。

○高委員 是非よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、生駒委員からも御質問が来ておりますので、生駒委員、よろしくお願いいたします。

○生駒委員 本当に地域に寄り添う金融機関として様々な取組、地域に循環し、地域をサポートするすばらしい活動をされていると思いましたが、2つほど御質問したいのですけれども、よろしいでしょうか。

1つは、日本はジェンダーギャップのランクが本当に低い国なのですけれども、こちらではなでしこ銘柄に選定されており、女性を登用する様々なアクションを取られているのですが、実際に今、女性の管理職の割合は何パーセントぐらいでいらっしゃるのでしょうか。

もう一つは、こうした地域に根差した企業としての一つの役割が雇用です。地元の方を雇用するというようなことも言われていると思うのですが、実際にこちらで登用されている人材の地元からの登用される割合などがもしお分かりになっていらっしゃいましたら、教えていただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

○新川座長 ありがとうございました。

いかがでしょうか。

○株式会社高知銀行深見参考人 了解しました。まず、第1点のなでしこ銘柄につきましてですが、本日発表しました三宮常務がなでしこ銘柄の当事者でございます。少子高齢化が進んでいる高知県にとって、女性活躍推進は必要不可欠であると、現頭取がリーダーシップを発揮して、徐々にですが、力を入れてきました。やっとそれが実を結んで、今、女性の役員が2名活躍されております。そういったところで、この10年間で管理者は約3割弱まで増やすことができました。当然、一朝一夕に人数を増やすことはできませんので、継続した教育というのが必要であると認識しております。

あと、2つ目の地元の雇用につきましては、新卒採用の約95パーセントが高知県内の出身者であり、残り約5パーセントが県外出身者ですが、高知の自然や坂本龍馬に魅力を感じた学生が当行に入行しています。しかしながら、少子高齢化で採用は厳しい状況が続いているため、当行では結婚や育児で退職した職員が復職できるキャリアリターン制度の導入や、県と連携したUIターンの就職・転職フェアの開催を実施しており、その結果、いろいろな経験を生かした方が当行へ入行してきているのではないか。最近では、Iターンの方も珍しくはなく、東京で暮らしていた40歳代の御夫婦が、仁淀川の清流の近くで住みたいということで、高知にIターンして、奥様が、当行に入行したケースもあります。

以上でございます。よろしかったでしょうか。

○新川座長 ありがとうございました。

生駒委員、よろしゅうございますでしょうか。

○生駒委員 御説明ありがとうございました。今、厳しい時代の流れのある中で最善を尽くされていると思いますので、これからもその活動に注目させていただきたいと思います。ありがとうございます。

○新川座長 ありがとうございました。

本当に3割の目標に向けて、頑張っておられるなという印象でした。

それはともかくといたしまして、各委員からいかがでしょうか。

よろしくお願いします。

○受田座長代理 受田です。

今日はお忙しい中、三宮さん、深見さん、ここに御参加をいただきまして、また、貴重な発表をお願いいたしまして、本当にありがとうございました。経緯についても御紹介いただきましたこと、心から御礼を申し上げたいと思います。

私もいろいろなお話をお聞きしておりましたけれども、今日、具体的に、例えば17ページにある金融リテラシーに関する大学生や主婦等を対象とした金融セミナーの具体的な事例を御紹介いただいて、とても高い頻度で実施をしておられるなというふうに大変驚いたところでございます。

これを拝見すると、一月の間に不定期なのかもしれませんけれども2回ないし3回、6月は4回ということで、週に1回ぐらいの頻度で開催されているようにお見受けいたします。このセミナーの開催頻度と内容に関しては、どのように企画をされているのかを教えていただければと思います。

特に、企業との連携の話が出ておりましたけれども、例えば自治体あるいは県や市町村との連携、そういった内容等に関してはこれまで開催はされていらっしゃいませんでしょうか。質問でございます。よろしくお願いいたします。

○新川座長 高知銀行様、よろしくお願いをいたします。

○株式会社高知銀行三宮参考人 三宮でございます。

県・市町村とのセミナーについては、ここ1年ぐらいはないように記憶しております。しかし、セミナーは対顧客向けにはしておりませんけれども、いろいろな場面で県・市町村と当行との協定によるセミナーとか情報交換は行っております。セミナーの開催頻度と、どういうセミナーを開催しているかという御質問につきましては、当行は、高知県内の税理士や弁護士、司法書士等により構成されております、一般社団法人ビジネスサポートこうちと「業務連携・協力に関する覚書」を締結し、地域の中小企業者の皆様の経営課題にしっかりと向き合い、課題解決に向けたセミナーに着目を置くという点と、主に個人のお客様を対象にセミナーを実施しております。高知県の人口は全国的にも先駆けて高齢化が進んでおりますが、年齢の高齢化とともに資産の高齢化も進んでおりまして、やはりお客様がこれから先、資産をどうしていくのか、資産をどのように後に残していきたいのか、使いたいのか、いろいろなお悩みがあると思います。そういったお悩みを職員たちが考えて、今の時期はこういうセミナーを開催したほうが喜ばれるのではないだろうかとか、いろいろ工夫をしまして、季節感を持って、ニーズに対応して、時期的な内容も盛り込んで職員たちが考えて企画をしてくれております。

住宅ローン控除を受けるために必要な確定申告の手続きの方法などは、年度末ぐらいがいいのではないだろうかとか、学生さんをお持ちの方は、就職したらどういう金融知識が必要なのだろうか等、いろいろな意見を出してくれていますので、セミナーの機会を通じてお客様との接点の拡大ということにも心がけております。

また、一部説明しましたけれども、タリーズコーヒーを併設した南支店は、地域の皆様と交流を図って、幅広い世代が集まることのできる憩いの場となるようにイベント、そしてセミナーが開催できる店舗を目指しておりますので、いつもセミナーをしている店であるとお客様に思っていただけるように心がけております。あえて何月、何回と決めているわけではありませんが、行事計画は立てております。とにかく季節柄とか、いろいろな旬の話題を盛り込み、常に何かをやっていきたいという思いでございます。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

受田委員、いかがでしょうか。

○受田座長代理 ありがとうございました。金融機関と併設でいろいろな組合せを創造すると、いろいろな方々の集まる拠点になっていくということ。それと、その拠点の特性によって発信できる情報の特性も多様になっていくのかなということで、相当イメージが膨らむお話だったと思います。

三宮さん、深見さん、本当にありがとうございました。

○株式会社高知銀行三宮参考人 このような機会をいただきまして、ありがとうございます。

○新川座長 ありがとうございました。

そのほかいかがでしょうか。

私のほうからも1点お伺いしたかったのですが、子供たちのお金についての学びの機会、子供教室のようなものをやっておられるという話をいただきました。本当に若い頃からこうしたお金に関わる学びの機会、これは消費者契約の基本なのですけれども、いい活動だなと思ってお話を聞いていたのですが、もう少し具体的に、どういう年齢層の子供たちにどういう内容で教室をやっておられるのか、もう少し詳しくお教えいただけませんでしょうか。

○株式会社高知銀行深見参考人 先ほど申しましたとおり、13年前ぐらいから行っておりまして、年齢層といいますと幼稚園の年長様から小学校6年生ぐらいまでの方を対象に、夏休み、冬休み、多いところで年に2回、また出張という形でいわゆる遠隔地、山間部の檮原町とかいったところも出前をしまして、山間部の子供たちを対象とした金融・科学教室を行ったりしております。

内容のほうは、年長から小学校6年まで幅広いものですから、まずは基本的な興味を引くお金の仕組み。特にお金の種類であったり、クイズ形式で質問したりというふうな工夫をして興味を引かせながら、例えば日本銀行の役割は何なのかとかいったところも踏まえて、やりとりをしております。

高学年、5・6年生になってきますと、興味のある方はレベルが変わってこられますので、そういった方は、当行はそういった部署、パーソナルサポート部等の職員もこういったボランティアに参加しておりますので、インターネット投信とかいった説明も個別で行っております。

以上でございます。

○新川座長 ありがとうございました。

本当に各年齢層、子供たちの成長に合わせて丁寧な対応、また、高知県内広うございますので、地域ごとの対応を丁寧にやっておられる様子、ありがとうございました。

そのほかいかがでしょうか。片山委員、西田委員、よろしゅうございますでしょうか。

それでは、そのほか特に御質問がなければ、高知銀行様のお話は以上にさせていただきたいと思います。本日は地域の金融機関として地域に寄り添った活動を本当に熱心に重ねてこられている高知銀行様の話をお伺いしました。これから私たちは、消費者情報というのをいかに的確に事業者様の御協力を得て伝えていくのかというところを考えなければならないのですが、まさに金融機関が持っておられます強み、そして同時に金融機関として社会性を発揮しておられるこの辺り、私たちにとっても本当に今後、消費者情報を的確に伝える上で参考になるところが大変多うございました。

本日は、高知銀行様、本当にコロナ禍でお忙しいところ、わざわざお話をいただいたことに改めて感謝を申し上げまして、高知銀行様のお話は以上にさせていただきます。どうもありがとうございました。

(株式会社高知銀行 退室)

○新川座長 それでは、恐縮ですが、少し時間が押しておりますので、5分程度休憩を置きまして、次のお話は16時10分からスタートをさせていただきたいと思います。16時10分にまた各委員は御参集をいただければと思います。

事務局、よろしくお願いをいたします。

(休憩)

○新川座長 それでは、時間になりました。大体お戻りになられているようでございますので、再開をさせていただければと思います。

ここからは本日3つ目のヒアリングになりますけれども、今日は横浜市様においでいただいておりまして、消費者行政に関わる様々な分野、そしてまた、消費者行政に限定しないでもいろいろな政策分野で公民連携を進めておられるということでございます。そうした横浜市様の公民連携をコーディネートしておられる部局からのお話をお伺いしたいと思っております。今後、事業者を通じての消費者情報の適切な提供ということを考えていく上で、やはり地方公共団体の役割、そしてこうした事業者と行政との連携協力が大変重要になってきますし、その中で新しい活動も生まれてくると考えております。今回は、「共創(きょうそう)」を大きく掲げて事業者等との連携を進めておられます横浜市様からお話をお伺いし、私どもの消費者情報の提供に関わるこれからの在り方、是非それを考えていく上での参考にさせていただければと思っております。

本日は、横浜市から政策局共創推進室共創推進課の担当係長、中尾様、そして、中川様に御出席をいただいております。お忙しいところ誠にありがとうございます。

それでは、少し開始時間が遅れたことをおわび申し上げまして、この後、20分程度御説明をいただければと思っております。その後、できれば30分程度、委員との質疑の時間を取らせていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

それでは、横浜市様から、恐縮ですが20分程度の御説明を早速お願いいたしたく存じます。よろしくお願いをいたします。

○横浜市中尾参考人 よろしくお願いします

御紹介にあずかりました、横浜市役所の政策局共創推進課担当係長の中尾と申します。

2ページ目を開いていただくと、私の自己紹介からさせていただきますと、私はこちらの共創推進室に所属して4年目になりまして、ここに来る前は内閣府のほうにも2年間出向して、休眠預金の活用に関する法律の制定であるとか基本方針の策定に携わらせていただいておりまして、こちらの共創推進室のほうでは、先ほどの御紹介にもあったとおり、民間企業との連携をどうしていくかということであったりとか、成果に応じて委託料が支払われる新しい仕組みとか、そういったものを今、推進しているところでございます。

先ほどの御紹介にもあったとおり、共創推進室というものが公民連携の専門の部署ということで2008年から全国に先駆けて立ち上げました。複雑になってきている社会課題に対して行政だけではもう解決できないということで、民間とどう連携していくのか、まずは民間企業と市役所内部のそれぞれの部局とのハブという形で役割を担っております。民間との共創、共に創るということで新しい価値を生み出すであるとか、社会課題を解決していくということを目指している部署でございます。こちらのワーキングのほうでも、事業者との連携ということと、消費者情報の提供ということを検討されているということで、我々のこれまでの経験とか知見がお役に立てればと思いまして、お話しさせていただきたいと思います。

続きまして、職員の中川のほうから紹介させていただきます。次のページをお願いします。

○横浜市中川参考人 皆さん、こんにちは。中川と申します。私は共創推進室で共創フロントという民間企業等からの提案を受ける専門の窓口の統括をずっとやらせていただいております。著書というところで、例えば建物を建てるみたいなことや運営をしていただく、PFI/PPPと言われる分野ではなくて、今回御紹介するようなソフト的な公民連携の方法論がまとまっていなかったところ、我々の10年少しの経験を形式知化させていただいて、『公民共創の教科書』として共著で出版させていただいたところでございます。事業構想大学院大学という表参道に本校がありますビジネススクールの出版部から出ておりまして、私自身もそこの客員フェローということで、生徒の皆さん、企業の方の新規事業の開発のお手伝いとか講義とか指導をやらせていただいているという状況でございます。

次のページを見ていただいて、横浜市についてです。

人口が日本最大の基礎地方自治体ということで378万人、推計上は一昨年から減少と出ていたのですけれども、実際は昨年度からは3万人ぐらい増えているといった状況でございます。

次のページに行きます。

4年を1期とした総合計画を立てているのですけれども、そこの基本姿勢の中に3本柱がございます。1つ目がSDGsの視点です。2つ目にデータ活用とオープンイノベーションの推進。3つ目に地域コミュニティの視点ということで、この3つの視点が市役所全体で横串を刺す形で基本姿勢ということで位置付けられております。その中でも私どもはSDGs、あとはオープンイノベーションですね。コ・クリエーション、共創に非常に近い意味合いになってきますが、オープンイノベーションというところが我々のミッションにも非常に関わってくるかなというところでございます。

次のページをお願いします。

昨年度、私どもは財政局のほうで長期的な財政の推計をお出ししました。それが45年後に向けての推計ということで、非常に長期的な、これだけ長期的な推計を出すということは全国的にもあまりないのですけれども、あえて長期的な見込みを、今のままでいくとあまり明るい未来ではなさそうだという推計を一定の事実として表に出させていただきました。これは全国の傾向とも一致しますけれども、生産年齢人口がこれからどんどん下降してくるという状況です。

次のページ、歳出のところに行きますと、社会福祉の費用が増大化していくというところとか、あと横浜市はやはりベッドタウンで高度経済成長期に宅地の開発が大変進んでいましたので、それに伴って公共施設、あるいは小中学校とかをたくさん作っていますので、そこの保全とか更新というところで非常に費用的に負担になってくるというところを課題として認識しております。

次のページに行ってください。

いろいろ推計の立て方はあるのですけれども、このままのペースで例年同じような形で予算を編成していくと、45年後には2160億円、収支が足りなくなるという推計が出ております。これはなかなか衝撃的な数字ということで、議会も含めて出すべきかどうかという議論もあったのですけれども、逆に出したほうがいいだろうということで昨年発表させていたということです。

次のページをお願いします。

今までのやり方で続けていくと経営破綻してしまいますので、打つ手を考えていかなければならないというところで、方策はいろいろあるのですけれども、特に真ん中のところを赤く囲わせていただいております。やはり多様な主体との連携を強化してオープンイノベーションを推進していくというところで、新しい価値を作っていくと。加えて、効率的かつ適正な財政運営の推進ということで、限られた財源をより有効に費用対効果を高める形でいろいろな工夫をしていったほうがいいだろうというような方法でこれから45年後を健全な状態で次の世代に横浜という街をバトンタッチできるように目指していきたいなといったところです。

次のページをお願いします。

共創ということで、これは何を意味するかということですけれども、読み上げますと、企業、NPO、大学などの多様な民間の方々と行政とが対話、この対話というのがすごく大事なポイントになっております。対話を通じて連携を進め、それぞれが持つアイデアやノウハウ、資源などを活用することで、社会や地域の課題に対して、新しい価値や解決策を共に創り上げていくということで、共創というふうに定義付けております。

私どもは、公民連携推進課とはしていないのですね。これは意味がありまして、やはり新しい価値を創っていくという目的をミッションにして部署名にしていくというところに重きを置いております。公民連携はその手法でしかないので、手段を目的化するのではなくて、やはり新しい価値を創っていくところを目的として掲げて、オープンイノベーションを推進していくことが必要だろうということで業務に当たらせていただいております。

次のページをお願いします。

図式化するとこんな形で、産官学民、様々なセクターの方々がいらっしゃいますけれども、対話を通じて、お互い立場も違えば、行動原理とか、ウィン・ウィンと言ってもウィンと感じるポイントが違いますので、共通目的を達成するにもお互いを理解し合って、オープンイノベーションを起こして、それがビジネスチャンスも作れるかもしれないし、市民の方々により質の高いサービスを提供できるかもしれない。あるいは地域のブランディングになるかもしれないしということで、いろいろな方々がウィンを取れるようにということを目指して対話をして取組を進めていくというようなビジョンで取り組んでおります。

次のページをお願いします。

そんなビジョンを具体的な形にしていくということで、その機能として対話の窓口機能、あるいはコーディネート機能というので共創フロントという市としての総合窓口を設けさせていただきます。これは簡単に言ってしまうと、横浜市と何か連携したいといった企業さんとか団体さんにまずドアノックしていただく窓口ということになっております。インターネットでもいつでも公募して申込ができる形になっておりますので、市内の企業さんだけとかではなくて、全国の横浜市と何か組みたいと思っていらっしゃる方々であれば、誰でもいつでもどんなネタでもオーケーですということで、フルオープンで募集を常にしているというような窓口でございます。

こちらは大体年間100件ぐらい御提案いただいております。相談も入れるともっと百数十件になるのですけれども、その100件ぐらいのうち、最近で言うと4割ぐらいが実際に実現しているというような数字になっております。

我々は、左下の図を見ていただくと、民間の事業者さんと区局、庁内のいろいろな部署の間に立って、まずは我々のほうで提案を受け止めさせていただいて、やや民間サイドと行政サイドで使っている言語が違ったりしますので、その翻訳をしたりとか、あるいはよりよい形で部局と連携できるようなコーディネート、調整とかいうことをやらせていただく、公民連携のハブという機能で立ち回らせていただいて、それで案件の実現に向けていくということを目指しております。

我々は政策局なので、事業は特に持っておらず、我々が直接実行部隊にはなり得ないので、必ず庁内のどこかの部署と引き合わせて、そことのコラボレーションを進めていくというようなことで、基本的には伴走支援で調整を行うコーディネートとしての役割を担っております。

次のページをお願いします。

私ども、2008年6月にこの窓口を設置しましたが、その後、神戸市さんとか大阪府さんとか、今でもすごく積極的にやられている自治体などが5年ぐらいして出てきました。更にここ最近オープンイノベーションという言葉が公民ともにトレンドになってきている分野でもございまして、SDGsの文脈などもございますので、ここ3から4年ぐらいで急増しております。これは書籍を出すときに調べたデータになっておりますが、今だと、次のページも含めて、これが昨年度末だったので、多分今はもっと増えて、恐らく40とか50の自治体でこういった公民連携の提案窓口を設けているような状況かなと思っております。

次のページをお願いします。

今まで400ぐらいこういった事例を積み重ねてきたのですけれども、そこから類型ということで構造化が少しできましたので、形、パターンとして御紹介させていただきます。

まず一番ベーシックな連携協定というものです。これは私どもが例示するときによくパソコンのOSのような役割というふうに例示しております。まずは引き続き対話をしていく共通のテーブル、OSを作って、なので、これが具体的に取組そのものではなくて、このテーブルを作った上で引き続きの対話の中で具体的な取組を目指していこうというようなスタートラインを作るというふうな位置付けで協定を位置付けております。

2つ目が民間活動への公共リソースのシェアということで、民間さんの通常のビジネスに我々行政とか公共的なメッセージを載せさせていただくというような分類になってきます。これは次に具体事例で御紹介させていただきます。

3つ目が民間のCSRとかCSV型のビジネスなども出てきていますが、そこへの協力ということで、幾らCSRとかCSVで社会貢献することを民間の企業さんがおっしゃっていても、なかなか自分で言うと説得力みたいなところで、せっかくいいことをやっているのに少し注目度が上がらなかったりとか、あとは後続が続かないみたいな状況になったりしますので、その辺りを我々行政のほうでこういった取組、すごく公益に資するのでということでスポットライトを当てさせていただいて、一緒に推進していくということをやらせていただくこともあります。

4つ目がお互いのリソースを出し合った実証実験ということで、これもベーシックな方法かと思います。新しい民間さんの技術を、例えば役所が持っているサービスとかフィールドというようなものでまず実証実験をやっているというパターンです。

5つ目が市民のサービス開発とか向上に民間さんのリソースを活用させていただくということで、既存の行政のサービスをよりよくするために民間さんのプロフェッショナルの知見を活用させていただくということです。

最後に、公益のために民間のライセンスを活用させていただくとか、コンテンツをシェアしていただくということで、これも後ほど事例を紹介させていただきます。

6分類ということで明確に分かれるというよりは、こんな性質を組み合わせて事例というのが成り立っていると御認識いただければと思います。

次のページをお願いします。

ここから事例を少し幾つか簡単に紹介させていただきたいと思います。

ポイントは、民間さんのリソース、特にやはり届けるというチャンネルですね。あとは届きやすい、深いところに届けていくということでの訴求力を生かした連携を中心に御紹介させていただきます。

これら、我々は先ほどの400件全てなのですけれども、行政サイドの費用負担というものは基本ございません。これを出すと別の理屈が必要になってくるという行政独自のルールとかもありますので、費用負担しないということで少しフレキシブルにいろいろな連携を可能にしていると御認識いただければなと思います。

次のページをお願いします。

1つ目が、今、御当地ランチパックみたいなものが結構定着したかなと思いますが、我々も昔からやらせていただいております。これは、横浜は実は農地が多くて、コマツナとかキャベツ、葉物だと関東圏でそれなりにシェアを取っていたりするのですけれども、なかなか一般に認知されませんので、それを認知しようとチラシとかを配ってもなかなか、まさにリーチしないというか刺さらない状況になりますので、これはランチパックという既存の商品開発、サプライチェーン、チャンネル、販売ルートとか、そういったものに我々のメッセージを乗せさせていただくというようなイメージの連携です。具体的には、行政のほうでコマツナを推していたので、パッケージを見ていただくと、はま菜ちゃんというコマツナのキャラクターがいますが、それを横浜のマークとセットにしてパッケージにして、加えて、このときはコマツナも実際に供給するということで、JAさんとか地元の農家さんと我々がつながっているので、そこをおつなぎさせていただいて、素材提供のルートを作り、コマツナというメッセージを関東の何十万食に乗せて販売していただくと、自動的にまさに数十万のチャンネルを使って、横浜は実はコマツナが売りなんだということを少し認知していただく機会にするということです。

民間さんは、これはビジネスそのものなので、新商品の企画を公民連携によりテーマにした、コンセプトにしたということで、そんなに負担感はなく、通常のビジネスに少し変化を付けるというくらいで実現した事例です。

次のページに行っていただくと、今までも何回もやっているということで、この後、実はいろいろ新しい企画に山崎製パンさんがうちに相談に来ていただけるというような関係性も築けております。

次のページに行っていただいて、これは少し毛並みが変わるのですけれども、セブン-イレブン・ジャパンさん、あとは社会福祉協議会という全国組織ですけれども、福祉系の行政の外郭団体、赤い羽根共同募金とかをやられている方々ですね。そこと行政とで3者で組んだ事例になってきます。これは何をしたかというと、セブン-イレブンさんが閉店とか改装をするときに、ものすごい数の商品を引き下げるときに、生鮮とかは捨てるとしても、レトルトとか文房具とか日用品が結構余るのですが、ほかの店舗で売れるかというと、なかなか様々な事情でそうはいかなくて、かなりの数を捨てているという状況が非常に課題ということで御相談をいただきました。

ただ、まだ使えるということもございますし、何か困っている人に届けると非常に価値になるのではないかということで、我々のほうでコーディネートさせていただいて、社会福祉協議会さんが地域で困っている方々とすごくつながっているというところがありましたので、一方で、社会福祉協議会さんは困っている人たちとつながっているしニーズも分かるのだけれども、物資がないとか金銭的な支援が難しいといった事情がございましたので、そこのセブンさんの課題というものが社協さんにとっての価値になって、それがエンドユーザーの本当に生活に困っている方々とかに届いていくということで、これは非常に社会のシステムとして新しい、とてもいいことになるのではないかということで、そういうサプライチェーンを組ませていただいたという事例でございます。

なので、閉店とか改装したときに段ボールが何十箱とか出たものを社会福祉協議会さんの倉庫に一回運んで、社会福祉協議会さんのほうで分類して、それぞれ困っている団体さんや当事者の方々に配るというルートを確立した事例になっています。これは非常にSDGs直結の事例にもなってきますし、いろいろな形で、どこのエリアでも汎用性がございますので、全国に今普及して、少しずつ進んでおります。岡山県ですとか京都、静岡に広まっておりますので、そういったモデルを横浜で最初に作るということをやらせていただいた事例でございます。

次のページをお願いします。

これまた打って変わって、横浜の山下公園という観光でよく注目していただける場所の隣のふ頭です。今、物流機能を終えて更地になった後の再開発を進める中で、暫定的に使っているというのが、この等身大の動くガンダムという企画で、誘致させていただきました。これも公民連携のイベントということになっております。これはたまに少し勘違いされて、行政がお金を出して誘致したということで勘違いされることもあるのですけれども、逆で、むしろ土地の使用料を払っていただいているというような事例でございます。

これはグローバルチャレンジという企画で、国際的なチャレンジという位置付けからスタートしているイベントなのですけれども、これはやはり非常に集客力がありますので、単純にガンダムのイベントをやるということではなくて、我々としては、例えば地域の経済活性化につなげていこうということで、積極的に地場の企業さんとおつなぎさせていただいて、この機会でしか、我々行政が入ることで少し中和剤になって、地元の企業さんの新しいビジネスチャンスにしていただくとか、あと、これは企画検討中なのですけれども、例えばこれをプログラミングの教育の題材にできるのではないかということで、教育委員会と連携して、子供たちのそういったプログラミング教育に資するようなプログラムを一緒に連携してやるとか、そういったことを我々行政が間に入ることで少し考えたりとか実現させたりできるということでやらせていただいております。

あとはいろいろ許認可権とかそういった部分もございますので、その部分で御協力をさせていただいて、地域経済を潤わせていただくということで連携して取り組んでいる事例でございます。

次のページをお願いします。

キャラクター系が続くのですけれども、これはひつじのショーンというイギリスを代表する世界的なキャラクターになっております。このキャラクターを連携した事例というのも、ストレートにキャラクターのビジネスというよりは、イギリスを代表するキャラクターということが非常にポイントでして、我々は今年、東京2020大会におけるイギリスの代表チームの事前キャンプの受入地ということになっているのです。そのときにホストタウンということで、横浜では日本も応援するけれども、イギリスも応援しようと、そういう機運を高めていくということがミッションとして掲げられていました。

ただ、それを実現するというときに、イギリスの文化を知っていただくと言っても、なかなか伝わらない。例えば子供たちにどう伝えるかといったときには、イギリスの文化をいきなり教えるということは、なかなか腹落ち感というか、ストレートに伝わりにくいところを、例えばひつじのショーンに間に入ってもらって、ショーンが紹介するということになると、子供たちに大人気のキャラクターなので、ショーンはイギリスなんだ、イギリスが横浜に来るんだみたいな、そういった連想をする最初の強いきっかけにしていただけるのではないかということで、親善大使として位置付けさせていただいて、様々なシーンでライセンスフリーでこういったビジュアルも、これは専用のビジュアルを今回作っていただいたりとか、これも費用負担は全くなく、これを作っているイギリス本国のクリエーターたちが非常に、横浜のためならばやってあげるよということをおっしゃっていただいて、作っていただいて、それを我々はありがたく使わせていただいて、リーチしていく。我々行政が伝えたいメッセージをショーンに乗せて伝えていくということで連携している事例でございます。

次のページをお願いします。

またキャラクターで別の切り口なのですけれども、プリキュアですね。日曜朝にテレビでやっている東映さんのものです。プリキュアもこれまで横浜が舞台の作品とかもございましたので、様々な観光とかで連携してきたのですけれども、15周年のときには歴代のプリキュアがみなとみらいを行進するパレードをやったりとか、あとはプリキュアの展示会を横浜人形の家という施設がございますので、そこで共同の企画をやったりとかですね。3つ目が今回すごくポイントかなと思っておりまして、救急受診ガイド「#7199」の広報カードの作成・配布ということで、これは病気やけがで救急車を呼ぶかどうか迷うなという方が電話相談できる「#7119」というサービスをやっているのですけれども、それがなかなか普及しないということでございましたので、そういったメッセージを今回の機会をうまく絡めて伝えられないかということを考えてやったのが、ここの右の広報カードというものです。これは「#7119」というのがよく見ると書いてあるのです。このメッセージを発信することと、プリキュアの映画のPRということを併せたダブルメッセージにして、これを東映さんのほうに作っていただくということです。作っていただいたものをリーチするところを逆に行政で、例えば医療機関に配布していただくように調整するとかですね。これは広告代理店さんがどれだけ頑張ってもなかなか難しいところを、行政特有のチャンネルを活用させていただいて、クリエーティブは民間さんに作っていただく。そこに行政のメッセージも乗せることで公的な機関にもネットワークを提供することができるという連携の事例になっております。

これを配布すると、やはりプリキュアのカードなので、お母さん捨てないでみたいな感じで捨てられず残っていたり、そうするとやはり使われる比率も数字にも現れてきておりまして、翌月とかにはこちらの短縮ダイヤルの使用割合が上がったりとか、実際の数字にも出てきているというような事例でした。

次のページをお願いします。

6個目です。これが最後になりますが、これは思いきり消費者関係の近い事例になってきております。最近取り組んだ事例です。来年度4月からの成年年齢の引下げに備えて、少し若い方々に消費者の関係を啓発していこうということで、消費生活総合センターとKADOKAWAさんと連携させていただいて実現したものになっております。KADOKAWAさんとは包括連携協定、先ほどのパソコンのOSみたいなところを実は締結させていただいて、定期的に意見交換とかをさせていただいたのです。その中に実はこの成年年齢が引き下げられるというところで、少し予防的な措置を打っていくときに一緒に何かやれないかということを御相談させていただいて、その中で文豪ストレイドッグスと連携したらどうかということになりまして、このクリエーティブを今回書き下ろしで御用意いただいて、そのポスターを我々が掲示していくというような連携で、早くから注意喚起とか啓発を進めていくということで、この事例が実現したという形でございます。

次のページをお願いします。

これは我々が案件を手がけるときによく使っている、ビジネスモデルとしてどう機能していくかということで使っているリーンキャンバスというものですけれども、ここで言う民間さんと組む、特に今回の切り口などで言うと、どう届けるかというチャネルところですね。あとはこれまでと違うか、要は民間さんの何かリソースを活用させていただくことで訴求力がどれだけ高まるか。行政がやるよりどう優位なのかというようなところを、この辺りがポイントになってくるのかなと考えております。

次のページをお願いします。

というわけで、簡単にだったのですけれども、事例と考え方を御紹介させていただきましたが、いろいろ立場が違う方々と連携を我々はしているということで、大事にしているポイントを1つだけ、共感というところを挙げさせていただきます。やはり対話という言葉もお話しさせていただきましたが、事業には理想形とか構想ということをしっかり共有することで、それを実現するために機能、取組の部分を考えていくということです。この順番が大事かなと思っております。やはりファンクションの部分だけを連携しましょうと言っても、なかなかうまくいかないことが多いですね。なので、なるべく少し上流といいますか、ビジョンのところからしっかり話をしていくと、思わぬ連携が進んでいったりとか、民間の企業の皆さんに当事者意識を持っていただけることにつながったりします。それが1つ目です。

2つ目に、やはりSDGsとか地域活性化といった共通言語もビジョン作りにおいて意識してコミュニケーションを取ることで、関係者との利害関係を調整しやすいと考えております。

最後に3つ目です。これがやはりすごく大事で、通常の受発注の関係とかであればコントロールができると思うのですけれども、そうではなくて、今回御紹介したような共創においては、お互い自立的・自発的に連携を進めていくということで、100パーセントコントロールすることはそもそもできないという前提に立つことが重要です。なので、やはりビジョンで、連携での成果で社会がこんなによくなるとかいうようなことをしっかり意思疎通して、力をお互いに発揮できるような関係性作りということでの共感が大事かなと思っております。

すみません。20分を少し過ぎてしまったのですけれども、我々は共創ということで、何か地域を少しでもよくする、アップデートしていくということを心がけて取り組ませていただいております。

御清聴ありがとうございました。

○新川座長 どうもありがとうございました。

横浜市様からは、共創というキーワードで施策展開をされていく中で、本当に行政と民間の皆様方とが新しい活動を、従来解決できなかったような問題に対して新たな取組方で見事な成果を出しておられる。そういう様子をお話しいただきました。大変興味深い取組です。

各委員から御質問をまたそれぞれいただいてまいれればと思っております。既に高委員、生駒委員から御質問の御希望をいただいておりますので、高委員からよろしくお願いいたします。

○高委員 ありがとうございます。高と申します。

今日のお話をお聞きしまして、中尾さん、中川さんの、やはり若い人たちは頭が柔らかいなというふうに思いました。共創と言われましたけれども、新しい価値を作り出していくコーディネートのうまさというのが伝わってきました。ありがとうございました。

それで、今回の横浜市の取組は、地域活性化とかそれを通して将来の税収を何とか補っていくというところに目標があってやっておられるのでしょうけれども、なかなか活性化につながるかどうかはちょっと分からないのですが、特に事例6ですね。これは今まで我々になかった発想で、あまり考えたこともなかったのですけれども、KADOKAWAさんとの地域包括連携でもってこういうキャラクターを使って成人年齢のキャンペーンをやったというのはなるほどなと思いまして、このポスターは誰でも貼れるようなものにしたのでしょうか。それとも、どこか特定のところにこのポスターを貼ったのでしょうか。その点を教えてください。

○横浜市中川参考人 これは市の公共施設を中心に貼ったものです。

○高委員 なるほど。キャラがいろいろな人に愛されているとすれば、例えば学校でも欲しいとかそういうことはなかったのですかね。

○横浜市中川参考人 恐らく学校も、ちょっとごめんなさい。具体的にどこまで配っていたか、そこの数字が取れていないのですけれども、今回のターゲットを想定すると、公共施設の中でも高校とかへのアプローチは考えられますので、刷れる費用のあんばいにもよりますが、一般的には学校でもポスターを掲示するのは効果的なのではないかと思います。

○高委員 こういう質問をしたのは、消費者関連情報というのを何とか市民とか消費者の方に届けたいと思っていろいろなところにお願いして貼ってもらっているのですが、こういうキャラクターを使えば、うちにも欲しいと言っていろいろなところに貼ってもらえると逆に思ったのですけれども、そういう効果があるのかなと思ってお聞きしました。大きな効果があったかどうかは分からないけれども、そういう一面もあるということですね。

○横浜市中川参考人 そうですね。あとは個人で持つという意味では、ポスターの右にオリジナルみなとぶらりチケットと書いていますが、これは横浜市の交通の乗り放題券みたいなもので、ポスターを貼るだけではなくて、市営交通のキャンペーンと一緒にということで、これを期間限定で購入できるということもセットでやっていて、なので、よりこのビジュアルを欲しいという方はこれを買って、横浜に遊びに来てくれるということを願って、そのタイアップもやっているという形です。

○高委員 なるほど。ありがとうございました。

○横浜市中尾参考人 補足なのですけれども、今の事例6ではないのですが、同じ消費者関連の情報ということで言うと、まさに高校生とかいうところがターゲットだなというのは確かにおっしゃるとおりだと思っておりまして、実は高校との協働の取組もしていて、高校生と一緒にポスターを作って、最寄りの地下鉄の駅に貼るとか、そういった取組もしていることが分かっております。やはり誰に届けるのかというのでターゲットを絞って、そこに有効に届けていくというところで、連携の仕方とかを工夫していくことが大事だと思っております。補足でした。

○新川座長 ありがとうございました。

生駒委員からも御質問が来ておりますので、生駒委員、よろしくお願いします。

○生駒委員 御説明ありがとうございました。

今おっしゃったとおりで、公民共創、まさしく教科書的なお話がお聞きできたなと思っていて、横浜市でロールモデル的な活動が先んじて実現されているなと思いました。私も何度も横浜市には仕事で絡んで出かけていますけれども、横浜の公民共創の一番の強みはクリエーティビティーかなと思っていまして、官民が手を組むときに文化の力というか、クリエーティビティーの力によって飛躍的に広まっていくということは証明されていると思いました。

質問なのですけれども、事例のところで、まさしくクールジャパン的な要素、今、アニメーションも、漫画も世界的に大ブームですよね。鬼滅の刃もですけれども、例えば私はファッションの領域にいるのですが、ラグジュアリーブランドも全部、トトロと組んだり、シャネルもそうですし、大手デパートの伊勢丹も漫画・アニメーションと組むとか、梅田阪急さんもそうです。なので、世の中全体そういう大変なブームもあって、消費者関連情報が本当になかなか思うように届けたいところの方々に届かないという現状があって、こういうした会議が設けられているのですけれども、やはり高齢者向けに発信される場合と若い方々に発信される場合とか、ターゲットによって組む相手とかは選ばれるわけですね。それを質問させていただきたいのです。

とりわけ高齢者の方々というのは情報がすごく届きにくいのですね。若い方はLINEとかSNS、漫画とかそういったことでまだ届きやすいかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。横浜でそういう事例もありますでしょうか。

○新川座長 いかがでしょうか。

○横浜市中尾参考人 御質問ありがとうございます。

届けたいターゲットによって連携する相手方とか届け方というのは非常に重要だというのはおっしゃったとおりでございます。若い人にはアニメーションとか、かわいいとかかっこいいというのがどうしても刺さるということで、行政だけで作るとどうしてもださくなりがちなので、そこは今回の事例のポイントかなと思っております。

高齢者につきましては、事例としては、日本郵便さんと提携して、消費者被害防止ということで特殊詐欺防止とか、悪質販売とか、そういったことを防止するような啓発カードみたいなものを経済局の消費者情報の部局が作りまして、郵便局員さんが配達するときに一つそのカードを添えて御高齢の方であればお渡ししていただく、リアルな接触の場で、最近はちょっと難しくなってきていますけれども、数年前にそういったリアルなタッチポイントというところで、地域の方に身近な郵便局とパートナーを組んでやったという事例がございます。

○新川座長 ありがとうございました。

生駒委員、よろしゅうございますでしょうか。

○生駒委員 ありがとうございます。

あと、昨今、デジタル庁ができて、デジタル弱者というのも出てきている状況下ですので、そういったことに対してもこういった力で情報を届けていただけるようなことができるのではないかなと期待しております。ありがとうございます。

○新川座長 ありがとうございます。

それでは、西田委員からも御質問が来ておりますので、西田委員、よろしくお願いします。

○西田委員 よろしくお願いします。

大変面白い取組で、感心して聞いておりました。

ちょっと確認なのですけれども、プリキュアとかもう一つの事例なんかは、お金の負担という意味では、市からお金を出されているのですか。それとも、基本的にはこういうカードを作る側、東映さんが費用を負担して、そこに情報を載せてもらっているという関係になりますか。

○横浜市中川参考人 2通りどちらもありまして、プリキュアの場合だと東映さんに全部作っていただくということで、製作費との兼ね合いとか、割合としてプリキュアが前面に出てくるということのメッセージ性もありましたので、そういう調整にさせていただきました。ただし、全部それということではなくて、例えばひつじのショーンの案件ですと、そもそも市として伝えなければいけないという役割があったので、伝えなければいけないということでの使命と予算もあったけれども、それをどう伝えればいいかということですね。グラフィックをどうするかということとかが課題になっていたところを、ライセンスフリーで使わせていただくということが連携により調整できたので、印刷とかは市のほうでやるけれども、素材、版下を作るところは、通常だと多分ものすごい金額がかかってしまうところ、この理屈付けでもってフリーで提供していただいたというような形ですので、おっしゃる2通りどちらもあります。

○西田委員 その辺りの情報が非常に参考になるかなと思いました。1つは分量というか役割の比率ではないかもしれないけれども、そういうのに沿って決める場合と、比較的こちら側、市から前のめりの場合には何か向こうから使わせてもらうとか、フリーで提供してもらうというやり方があるということですね。

○横浜市中川参考人 おっしゃるとおりです。

○西田委員 分かりました。それは非常に参考になると思いました。

僕は以前から横浜市さんは非常に面白い取組がされているなと思って、見付けるたびにこういう写真を撮っているのですけれども、これは、歩きスマホの防止に関するもので、三国志のアニメの連携したものですが、2015年頃のものだったと思います。こういうのもよい取組と思っています。昔からこういうのをされていますよね。

○横浜市中川参考人 そうですね。

○西田委員 これは非常にいい取組だと思っています。なので、どういうふうに民間とうまく組めるかというバリエーションに関する資料、もしくは、事例なんかが分かると非常にほかの自治体でも参考になるかなと思いました。

以上です。

○横浜市中川参考人 ありがとうございます。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、片山委員からも御質問が来ております。片山委員、よろしくお願いします。

○片山委員 どうもありがとうございました。委員の片山です。

考え方もそうですし、事例を拝見して本当に、こんなこともできるんだということに改めて驚き感激しました。

お聞きしたいのは、共創推進室というのがハブ機能を担っておられ、恐らくさっきおっしゃっていたように包括連携協定をベースとしていろいろな企業と横浜市との間で結んでおられて、共創のチャンネルが既にたくさんあるということで、どういう事業をするにはどういうところとつながったらいいかというのがかなり準備されているのだろうと感じたのですが、包括連携協定自体はどれぐらいの企業と行っておられて、包括連携協定にまず協力していただくといいますか、参加していただくのにどのような苦労だとか工夫をされているのでしょうか。

もう一つは、共創推進室のほうでどこの企業と連携して実現していくかということを決定されるときのポイントは何でしょうかというのも教えていただけますでしょうか。

それともう一つ、先ほど西田先生も言われましたけれども、こういう取組を水平展開するには何が一番肝でしょうかというところもお教えいただければと思います。よろしくお願いします。

○横浜市中川参考人 ありがとうございます。では、ちょっと順にお話しさせていただきます。

包括連携協定の我々の部署、共創推進課が窓口になって締結しているものが今、18件ございます。これは何かというと、あまりにも多岐にわたるようなものについては私どものほうが窓口になっていて、例えば先ほどお話ししたKADOKAWAさんなどは、やはり文化とか観光の領域のウエートが重いので、それは文化観光の部局のほうに締結をしてもらっているわけです。なので、少し主従がはっきりしているものについては、おのおのの部局でも結んでいるので、我々は18なのですけれども、市全体で言うと、把握し切れていないのですが、もっとあるというような状況です。

例えば大阪府さんとかだと、もっと府の立ち位置として、要は府としていろいろなチャンネル、ネットワークがつながって、府内の市町村が使いやすいような環境作りということで、本当にチャンネルをたくさんつなぐことに特化してやられています。その点が横浜市だと基礎自治体ということもございますので、少し具体性を持って進めていくというのが意思決定の中でも問われてくるところでございますので、どういう点に注意するかみたいなところにもつながるのですが、締結を取りあえずしましょうではなくて、その後の出口も見据えた弾込めといいますか、取組の詰めなどもやって、発表するときに具体的に言えるような形を毎回目指しているので、この規模の自治体にしては、締結している数はおそらくそんなに多くないと思います。

どこの企業とやるか、という点ですけれども、それがまさに先ほど繰り返しになってしまいますが、取りあえず結びたいというところだと、いきなり結ぶということにはどうしてもならないので、具体的な方向感とか取組の具体的なものとかを一個一個見ていくというふうにやるので、どの企業さんも半年から1年間は調整に時間を要します。なので、防災もやりたければ、環境もやりたければといったときには、そういった具体の現場部隊を引き合わせてしっかり話して、こういうことをやれそうだよねみたいなことが幾つも見えてきた段階で実際に締結まで至るみたいなことでやらせていただいております。

最後、水平展開のお話ですけれども、そういう意味では水平にやるときには、私どものような政令市かつ基礎自治体というのは多分特殊なケースになってくるかと思いますので、面的にという意味では、もしかしたら大阪府さんのような都道府県と市町村で役割分担をしたような進め方のほうが一般的には進めやすいのかなと個人的には思います。例えばネットワーキングは都道府県で、実際に実働部隊で連携を考えるのは基礎自治体で役割分担をしたほうが、一般的にはやりやすいかなと思っております。

○新川座長 ありがとうございました。

片山委員、よろしいでしょうか。

○片山委員 ありがとうございました。大変よくイメージも分かりました。

○新川座長 ありがとうございました。

生駒委員は途中で退室されたので、受田委員、御質問が来ておりました。受田委員、よろしくお願いします。

○受田座長代理 ありがとうございます。大変すばらしい取組を御発表いただきまして、本当にありがとうございました。委員を務めております受田と申します。

今、いろいろ委員から御質問があったので、少し関わる部分もあるかもしれませんけれども、大きく2点質問させていただきたいと思います。

今日お話をお聞きしていて、共創ということで、実は私自身が大学で連携の実務の窓口を務めているところがあります。コーディネーション機能の話が例えば具体的事例でございました。多分、横浜市様、あるいは神奈川県様と産業界の連携を専門としておられる産業支援財団的なところもあるのではないかと思います。

また、福祉的なところでは、NPOさんがいろいろなところで活動しておられると思うのですけれども、それに加えて大学も含めて同様の役割をミッションとして持っておられるところとの競合といいますか、すみ分けというのは、さっきの大阪府さんの事例を挙げられましたけれども、結構悩ましい部分ではないかなと思うところがあります。そういった役割分担で競合が非常に問題になってくるような場面はないのかというのが1点です。

2点目は、事例5あるいは事例6、これまでも委員の皆様から関心のある事例として御質問もございましたけれども、私もこの事例5や事例6に関しては、非常に見事な取組だなと思って感銘を受けたところなのですが、例えばこういう事例に関しては、自治体側のニーズがまずあって、その自治体のニーズとある意味目標とするものが明確になっているところで、例えば事例5では東映株式会社様、事例6では株式会社KADOKAWA様がそれを力強く支援する。また、企業にとってのメリットがあるというところでウィン・ウィンの関係が構築できていたという見事な事例だと思います。

伺いたいのは、これはアウトプットのみならず、例えば一定の理解度を上げていくというアウトカムの部分もKPI的に設定ができそうで、そうであるとするならば、今日、中尾様から御発表があった中で、プロフィールとしてSIBを担当しておられるという役割から見ると、この辺りがSIBともつながっていくような取組がもしかしたら企画されているのではないか。すなわち出口として、アウトプットのみならずアウトカムまで評価指標として入れられるのではないかという点についてはどのようにお考えなのかというのを伺えればと思います。

以上です。

○横浜市中川参考人 ありがとうございます。1点目からお話しさせていただきます。

領域別で公民連携を進めている部署とか団体というのは我々以外にも存在しますので、オーバーラップする部分というのは当然あるわけです。ただ、それは少し、右から見るか左から見るかみたいなところもございまして、例えば産業振興の部分で言うと経済施策としてオープンイノベーションを進めているというのは、それはそれでコンソーシアムとかを作って経済部局のほうでやっているのです。そこと一部はかぶるのですけれども、それはそれで走っていて、より市役所との連携を求められているようなときには、我々のほうに相談が入ったりということで、オーバーラップすることも是として、お互いに何かかぶりそうで調整したほうがよければ随時相談するみたいな関係性を作ることを心がけています。

一方で、福祉系だと、例えば地域包括ケアとか、最近の文脈だと地域のいろいろな資源を組み合わせてケアできる体制とか、エコシステムを作ろうということで福祉施策のほうで進めていて、そちらにも少しアドバイザーみたいなことで我々も計画に少し意見させていただいたりとか、あとは案件を進めているときの進め方みたいなところでアドバイスさせていただいたりということで、我々が窓口になるというようなルートだけにこだわらず、必要とされればそういった計画とか施策の推進で公民連携を使いたいというところにも積極的にそこはアドバイスをしていっている状況でございます。

大学についても、大学調整課という市内全体の大学のまさに調整機能という部隊がいるのですけれども、その横並び感ではなく、ちょっと特殊というか、独自のことをやりたいという、具体的には神奈川大学さんがそういうことをおっしゃっているのです。そういったときには共創推進課がカウンターパートのほうがいいのではないかということが話合いの中で決まって、そこは私どもが主体になって締結しているということで、ケース・バイ・ケースでしっかり関係者と対話して、どういった形にするのが一番進めやすいのかということを、実を取っていくことを目標にしてやらせていただいております。

○横浜市中尾参考人 2つ目のお答えなのですけれども、ソーシャルインパクトボンドとか成果連動につながることということで、おっしゃっていただいたように、これからアウトプットだけではなくてアウトカムのところも行政が事業をやった暁にはしっかり評価していかなければいけないという流れで、私もその立場で成果連動型の委託とかソーシャルインパクトボンドの評価のところの考え方を推進しているところでございます。おっしゃっていただいたように、事例5とか6で言うとどういった行動につながったのかというところも、評価できるというところは非常におっしゃるとおりの視点かなと思っております。

ただ、ソーシャルインパクトボンドとかPFSというところだと、最後、行政からの支払いというのが生じる。行政主体にやっていくもので、何らか委託をするだとか、最終的には投資家にお返しするとか、そういったところがありまして、今の事例でお話ししたような共創というのは逆に、支払いがない分、結構柔軟にできるというよさがあったりするので、共創事業についてもアウトカムで効果を見ていくことは重要だと思うのですけれども、そこがそのままイコールSIBにつながるかというと、行政が税金を払ってやっていく仕組みなのかどうかというところで、また別の視点で考える必要もあるのかなと思っていて、考え方が似ているところもありますが、直接つながらない部分もあるのかなと思っています。お答えになっていますでしょうか。

○受田座長代理 ありがとうございます。

評価の部分というのが非常に、今からそれぞれ問われてくる部分もあると思うので、共創の仕組み自体がどのような価値創造をしていって、より大きなサイクルの中で納税者に対してリターンが行っているのかというようなところを、大きな枠組みの中で説明責任が問われていく可能性もあるのかなと。そうすると、このワーキングでどうしても消費者行政に関わる情報を提供して、そこに関わっておられる方々のメリットや、あるいはめぐりめぐって大きなサイクルが出来上がっていることも考えておかないといけないと思っておりましたので、御質問させていただきました。大変参考になりました。ありがとうございます。

○新川座長 どうもありがとうございました。

大分時間も押しておりますが、そのほか各委員から何かございますでしょうか。

私から1つだけお伺いしておきたかったのですが、この共創推進課という部門、御担当の位置付けということで言うと、確かにほかのところで受けられないようなもの、あるいは従来の枠組みにはまらないようなもの、そして、市全体に関わるようなものといったようなことで特徴付けができているかと思うのですが、こうした具体的な共創活動ということを考えてみますと、この共創推進課自体は、個別具体的な事業についてはどちらかというと受け身なのか、それともやはり事業を作っていくというところにもっと積極的に攻めの立場で関わっておられるのか。また、背景のところでは共創推進のようなことを全市的にもう少し文化として広げていくといったようなところがあるのか、この辺りは少し考え方あるいは動き方として共創推進の位置付けのようなものは部門としてはどのように考えておられるのか、今後の参考にもさせていただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○横浜市中尾参考人 おっしゃっていただいたように、共創推進の部署としていろいろな事例にも関わってきていますけれども、直接やるのは事業の部署だというお話もありましたとおりなのですが、十何年やってきて、共創の考え方の位置付けみたいなところは少しずつ浸透してきたところではあるのですけれども、個別具体的に職員のみんなが共創というマインドでやっていけているかと、全ての事業にこの考え方が取り入れられているかというと、まだまだ頑張らなければいけないところもあると思っておりまして、私たちは、全体のハブの機能ではあるのですけれども、庁内のコンサルティングなどをしっかりやって、いろいろな事業を持っている部署が積極的にできるような支える役割をしていくというようなスタンスでおります。

○横浜市中川参考人 そうですね。そういう伴走あるいは後方支援をしっかりやっていく主体性がある部局を精いっぱい応援していくというのがスタンスの一つです。

加えて、少し受け身な中でも、我々のマンパワーも正直限界がありますので、ここは力を入れていこうというところと、ほどほどというところはやはり分けていますね。その点、我々の部署ができたときの本部長が言っていたのが、我々は目利きだということです。なので、やはり事例として御紹介したようなものは、目利きからすると、これはいろいろな可能性を検討したほうがよさそうだというようなものについては我々もいっぱいアイデアを出したりとか、こういった部局が絡められないかというようなことで、やはりいい機会を、今までできなかったことに挑戦してみるみたいなことに置き換えていくということで、受け身なのですけれども、受けたものを積極的に打ち返していくということもやらせていただいていると思っています。

○新川座長 ありがとうございました。

私たちが消費者情報を伝えたいと思っても、やはりそこでの目利きの度合いが改めて問われるなということを感じながらお話を聞いておりました。ありがとうございました。

そのほか、各委員からよろしゅうございますでしょうか。大分時間を過ごしてしまいまして、進行がまずくて申し訳なかったのですが、よろしゅうございますでしょうか。

それでは、特にございませんようですので、横浜市様には本当に長い時間にわたり御協力をいただきまして、ありがとうございました。共創推進ということで、本当に先進的な取組をこの十数年重ねてこられて、大きな成果を出しておられると同時に、まだまだこれから更に大きな発展の余地がありそうだという期待も持たせていただきました。とりわけ私ども消費者情報というのをいかに的確に提供していかなければならないかというときに、共創の考え方もそうですし、地方公共団体と民間企業との連携ということを通じて、共創できる部分、コ・クリエーションを通じて実現できる部分、もっともっと私どもも真正面から捉え直して考えていかなければならないというふうに改めて感じさせていただきました。

本日は、横浜市様、本当に緊急事態宣言、あるいはそれぞれのまん延防止の重点地域の大変な状況の中で御協力をいただきましたこと、改めて感謝を申し上げまして、本日の委員会は以上で閉じさせていただきます。どうもありがとうございました。

(横浜市 退室)

○新川座長 それでは、事務局にお返しをさせていただきますが、何かその他ございますでしょうか。

○大岡企画官 事務局でございます。

皆様ありがとうございました。本日は以上でございまして、次回につきましては、6月7日月曜日でございます。またよろしくお願いいたします。

○新川座長 ありがとうございました。


≪3.閉会≫

○新川座長 それでは、本日の第6回「消費者関連情報の提供の在り方検討ワーキング・グループ」は以上とさせていただきまして、次回は6月7日ということで、御案内のとおりでございます。よろしくお願いいたします。長い時間、どうもありがとうございました。

(以上)