第26回 地方消費者行政専門調査会 議事録

日時

2019年12月24日(火)10:30~12:29

場所

消費者委員会会議室
東京都千代田区霞が関3-1-1 (中央合同庁舎第4号館8階)

出席者

【委員】
新川座長、山本座長代理、池本委員、伊集委員、大森委員、尾嶋委員、首藤委員、西田委員、八木委員
【消費者委員会委員】
生駒委員
【説明者】
株式会社イトーヨーカ堂 小山CSR・SDGs推進部総括マネジャー
株式会社イトーヨーカ堂 強矢CSR・SDGs推進部マネジャー
特定非営利活動法人キッズデザイン協議会 安好専務理事
特定非営利活動法人キッズデザイン協議会 杉山事務局長
【事務局】
二之宮事務局長、福島審議官、金子参事官、友行企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 地方消費者行政に関するヒアリング
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○新川座長 それでは、ただいまから第26回「地方消費者行政専門調査会」を開催いたします。

朝からお忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。

本日は、当専門調査会の山田委員が御欠席との御連絡をいただいてございます。

最初に、配付資料の確認をさせていただきます。資料はお手元のiPadに収納されており、既に起動されていることと存じます。

1ページ目、議事次第、その中ほどに配付資料の一覧が記載されてございます。資料1から資料3までございます。

iPadの操作に支障がございましたら、お近くの事務局職員までお知らせいただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。よろしいでしょうか。


≪2.地方消費者行政に関するヒアリング≫

○新川座長 それでは、本日の議事に入りたいと思います。

本日は「地方消費者行政に関するヒアリング」、これを進めてまいりたいと思います。

当専門調査会のミッションは、20年後の消費者行政、これを特に地方消費者行政という観点から考えていく。その際に地域の様々なステークホルダー、地域コミュニティ、あるいは事業者、地方自治体等、これらが一体となって地域の消費者問題の解決に進んでいく。そういう体制づくりを考えようということで進めてまいっております。

本日は、既にそれぞれの立地自治体と積極的に連携をされ、本業を通じた地域貢献、地域課題解決に取り組んでおられる事業者でいらっしゃいますイトーヨーカ堂の皆様方においでをいただきまして、お話をお伺いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

本日は、株式会社イトーヨーカ堂経営企画室CSR・SDGs推進部総括マネージャーの小山様、マネージャーの強矢様にお越しをいただいております。よろしくお願いいたします。

最初に、イトーヨーカ堂様から20分程度でお取組みにつきましての御紹介をお願いできればと思っております。どうぞよろしくお願いします。

○株式会社イトーヨーカ堂小山CSR・SDGs推進部総括マネージャー 皆様、こんにちは。イトーヨーカ堂CSR・SDGs推進部の小山と申します。

今日は実務を担当しております強矢も一緒に同席させていただいておりますので、どうぞよろしくお願いします。

私どもから「本業を通じた地域貢献の取り組みについて」というテーマで発表させていただきます。

本日の報告内容ですが、1つ目が「創業の精神“商いのこころ”」と、2つ目「行政との協働の取り組み」という順で発表させていただきます。

3ページ目、まず弊社の紹介を簡単にさせていただきます。私ども、株式会社セブン&アイ・ホールディングスに属しております。グループ全体では多彩な流通業種を結集して、社会の持続的成長に寄与する流通イノベーションを推進しています。とりわけESGへの視点を取り入れた取組みを強化して、お買い物支援、資源の有効活用など、社会的課題の解決に寄与する取組みに注力して、お客様にとって魅力的で、社会の成長発展に寄与する価値を備えた流通サービスの創造を進めてまいっております。

4ページ目、弊社イトーヨーカ堂の御紹介です。ちょうど1920年に創業いたしまして、店舗数は2019年2月末で161店舗、従業員数は約3万4,000名の会社でございます。我々はお客様や地域社会のニーズの変化に合わせて、今は食品フロアの抜本的なゾーニング改革を行っております。店舗改革をこの時代に合わせて推進しているところです。我々は地域に根差す企業として、情報発信や地域性と季節感、そういうところをお客様と共有しながら、地域の暮らしに密着した売り場づくりを追求して、地域のお客様同士の交流にも寄与する生活拠点になりたいと考えております。

5ページ目、「創業の精神“商いのこころ”」というところを御説明させていただきます。

6ページ目、「創業の精神“商いのこころ”」というところですけれども、私どもの創業者、名誉会長の伊藤雅俊が創業のときの思い、「お客様は来て下さらないもの、お取引先は売って下さらないもの、銀行は貸して下さらないもの、というのが商売の基本である。だからこそ、一番大切なものは信用であり、信用の担保はお金や物ではなく、人間としての誠実さ、真面目さ、そして何よりも真摯さである」ということを、ずっと私どもの創業の精神というところでやってまいりました。

1972年に社是ができまして、「お客様の暮らしになくてはならない信頼される誠実な企業でありたい」ということで、この社是には、左下に3行ございますが「私たちは、お客様に信頼される、誠実な企業でありたい」と。あとは取引先、株主、地域社会、社員というところで、ここに1972年でありながら、ステークホルダーという意味合いの皆様に信頼される誠実な企業であるということを掲げております。

8ページ目、こちらが社会的課題に寄与するというところで、2014年に「5つの重点課題」をグループ全体で掲げました。グループの各事業会社がみんなで一体となって、この社会課題の解決を図ってまいりたいという意味合いを持って、この5つを掲げております。我々CSRの活動もここを柱としながらやってまいっている所存です。

重点課題の1つ目「高齢化、人口減少時代の社会インフラの提供」、2つ目「商品や店舗を通じた安全・安心の提供」、3つ目「商品、原材料、エネルギーのムダのない利用」、4つ目「社内外の女性、若者、高齢者の活躍支援」、5つ目「お客様、お取引先を巻き込んだエシカルな社会づくりと資源の持続可能性向上」です。

9ページ目、目指すべき姿、私たちの価値提供というところで、今の時代に置きかえたところで、従来は買ってもらう、届けるという生活を支えるライフラインであったと思うのですけれども、これからの来店動機としては、集まってもらう、食べる、遊ぶ、学ぶ、相談するという意味のある価値、情緒的価値を追求しながら、皆様の地域の拠点として、社会的課題を追求しながらなくてはならない存在となることを目指しております。

今までのようなことを掲げながら、我々が実際に本業でやっていることを御紹介いたします。2つ目の「行政との協働の取り組み」でございます。

11ページ目、地域を理解することが地域課題の解決につながるということで、私たちのお客様の多くが、第1ターゲットが健康長寿、アクティブな第2の人生を送るシニア世代、それと子育て世代をターゲットにしております。そこの社会的課題を地域の課題と照らし合わせながら、私たちは地域課題の解決に努めております。

次のページ、そのためにどういうやり方をとっているかというところなのですが、自治体と協定を締結しております。地域活性化連携協定なのですけれども、今まで累計で66自治体、提携店舗数は77店舗に及びました。1店舗ずつ実効性のあるものにしようということで、歩みは遅いかもしれませんけれども、着実に締結を進めておる次第です。

13ページ目、基本的な連携事項として、地域の課題やニーズに合わせていろいろ優先順位も違いますので、その地域に合わせた協定の内容になっております。基本的には(1)から(10)の地産地消から子育て支援、高齢者及び障害者支援、環境保全、地域の防災など、こういう地域に寄り添ったことを掲げながら連携しております。

次からは取組みの事例でございます。1つ目、店舗内に投票所を誘致しております。写真は17年の衆議院議員選挙の状況ですけれども、我々のお店の中のスペースを活用していただいて、期日前投票所を設置します。お客様もお買い物ついでの投票による利便性の向上につながると。我々もひいてはお客様が来て下さるので、帰りに何かしら買っていっていただければという思いもございまして、お互いにウイン・ウインの関係になるようにこういうことをしております。

次のページ、次世代を担う青少年育成の取組みとして、お店の空きスペースに「店内学習自習室」を設けています。これは旭川市の取組みで、旭川店の一区画に学生さんが勉強できるスペースを設置しました。

次のページ、特に超高齢社会への対応を重視しておりますので、そこのお話をさせていただきます。今、認知症サポーターの養成を行っておりまして、それを契機に地域と連携を図ってコミュニティを作るということを進めています。現在は9,450名、全従業員に占める割合としては27%なのですけれども、実際にはここから地域包括支援センターなど行政関連との顔の見える関係を構築するべく努めております。

その取組事例、認知症サポーターの養成をするだけではなくて実効性のある取組みへということで、17ページ目です。各お店で地域と話し合いながらいろいろなことを行っております。見守り活動であったり、情報提供の場を作ったり、予防・健康増進のイベントをしたり、買い物支援をしたりということでございます。

18ページ目、これは一つの事例なのですけれども、高齢者の見守り訓練ということで、地域の包括支援センターと皆様と連携しながら実践の訓練をいたしました。迷子になったお客様がお店にいらっしゃったらという想定のもと、通報したりという訓練を実施しました。

19ページ目、高齢者の認知症カフェというところで、ただ、認知症カフェは幾つかお店でやってまいっているのですけれども、こちらはもっとお客様に集いの場所を提供しようということで、演奏会を開いたり、お茶会をしたりということで、行政相談ももちろんですけれども、集いの場になるような提供をしてきております。

20ページ目、次はこの認知症の啓発イベントということで、楽しく認知症予防をして、学んで、体感すると。買い物ついでにイベントを開催して、知ってもらうことで、介護予防や健康増進に関する知識を得ていただくということをしております。これは足立区との取組みで、アリオ西新井店というところでやったものです。体操をしたり、脳トレを体験したりということをやってまいりました。

次のページ、これも高齢者の健康増進イベントです。介護予防の体操とか、店舗内で健康診断をイベントでしていただく取組みもしております。

次のページ、食育・健康メニューの提案ということで、私どもの食品売り場にクッキングサポートというメニュー提案、実践してメニューを提案する場所があるのですけれども、そこで健康に寄与する、お野菜をおいしく食べるメニューを提案したりということで、簡単レシピをお客様に御紹介する。これは足立区でやったものなのですけれども、地場野菜のコマツナの商品も使いながら地産地消にも寄与しようということで実践をしております。

次のページから、特に進んでいる取組事例のお話をさせていただきます。認知症の顧客対応をきっかけとして、地域連携ネットワークを構築した事例でございます。

場所が食品館三ノ輪店で、東京都の荒川区の南千住にあるお店です。こちらの店は開店する当初、下町にある食品に特化した店舗で、高齢化比率が非常に高い30%と人口もいらっしゃって、そのうちひとり暮らし及びふたり暮らし世帯が多いところに出店をする機会を得ました。

次のページ、そのきっかけが、高齢のお客様に実際に来ていただいて、商品を持ち帰ってしまうということが頻発しました。ほかのお客様からクレームが入って店舗での対応に非常に苦慮していたというところで、真向かいに地域包括支援センターがたまたまございまして、そこに相談させていただきました。

そこで警察署、民生委員、社会福祉協議会、認知症疾患医療センターなどの方々にお集まりいただいて、右下の写真のような場を設けていただいて、今後の対応について協議させていただきました。

皆さんの目指すところは、可能な限り、通常と変わらない生活環境を維持したい、好きな買い物ができる喜びを追求していきましょうということで一致して、この取組みに進みました。

ふだんどおりの買い物ができる環境の構築を目指して、地域に「南千住つながり隊」というものを結成しました。誰もが安心・安全に暮らせるまちづくりをしていこうと先ほどの皆様にお集まりいただいて、こういう結成をしました。

「南千住つながり隊」の定例会議を行うことで、一過性で終わることなくイベントをスケジュール化して取組みを推進、とにかく継続することをずっと愚直にやっていきました。つながりの輪が更に広がって大きくなってくるというところで、みんなで地域を支えようという場の醸成ができ上がってきたというところです。

幾つか取組みの事例の紹介ですけれども、食品館の小さなお店ですので、店内にスペースはございません。ちょうど軒先の少しスペースがあるところに屋根をつけて利用して、ここで認知症カフェを開いた事例でございます。お客様の福祉用具の体験コーナー、シューズの提案、そういうことも含めてお客様への必要な身の周りを提案する機会を実施しております。

次のページ、障害者支援、福祉作業所の製品販売もこの軒下のところで「あらかわマルシェ」と銘打ってやってまいりました。

次のページ、安全・安心交通安全運動ということで、非常に自転車が多い地域でもございますので、安全な交通、運転の仕方、ヘルメットの着用の啓発など、交通安全全般に関する啓発活動を行った事例でございます。

次のページ、これは本当に認知症のミニセミナーなのですけれども、もしなったときにどうしましょうということであったり、お口と認知症の関係ということで、歯科衛生士の方にセミナーを行っていただいたりということで、認知症をテーマに必要なことといいますか、お客様に知っていただきたいことをみんなで集まって啓発をした事例でございます。

最後になりますけれども、地域の拠点として、みんなが、ステークホルダー全員がつながる取組みへ、私たちも寄与してまいりたいと思っております。「私たちイトーヨーカドーは、ステークホルダーに信頼される企業でありたい」ということを社是で掲げています。ひいては地域に根差したお店でありたいということで、地域に寄り添って、地域の拠点としての役割を今後も皆様とともに果たしてまいりたいと思います。

以上、御清聴ありがとうございました。

○新川座長 どうもありがとうございました。

大変熱心なお取組み、感服しながらお聞かせいただきました。

それでは、ただいま御説明をいただきましたイトーヨーカ堂様の御活動につきまして、各委員から御意見、御質問等をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

どうぞ、大森委員。

○大森委員 すばらしい取組み、いろいろ御紹介いただいてありがとうございました。

今日、御紹介の中でなかったので確認したいと思うのですけれども、重点課題3や5に入るかと思うのですが、食品ロスに関しては、こういう大きな食品を扱う事業者さんの御協力が非常に大切になってきています。フードバンクというところがいろいろなところにあって、まだ食べられるのだけれども捨てられるものを事業者の協力によっていただいて、必要とするところに届ける取組みがなされているのですけれども、なかなか協力されるところが少なくて、需要の多いお米などを集めるのにとても困っていると聞いています。そのあたり、どういう取組みをされているかということが一つ。

法律ではないのですけれども、商慣習で3分の1ルールというものがあって、お客様の手元で30日は食べられるようにしたいというところから納入期限、販売期限などが決められていて、まだ十分食べられるものが廃棄される問題があって、それは見直さないといけないということで、いろいろな取組みを実験的にされているところも多いのですけれども、そのあたりの取組みについて御紹介いただければと思います。

○新川座長 お願いいたします。

○株式会社イトーヨーカ堂小山CSR・SDGs推進部総括マネージャー 御質問ありがとうございます。

食品の売上げが高いものですから、我々にとっても食品ロスは非常に責任があると思っております。1点目のフードバンクの取組みなのですけれども、ちょうど2017年からテストとして始めています。今、浅草橋にあるセカンドハーベストさんの周りのお店5店舗で、販売はできないのですけれども、まだ食べられる商品を集めてセカンドハーベストさんにお届けする取組みをスタートさせました。いろいろなところで広げられればいいとはもちろん考えておりますが、課題も多くございますので、それをテストしながら検証しているところでございます。

もう一つ、私どもは事業者にも、お客様にも、ちょうど真ん中にいる存在として両方に働きかけられると考えております。御家庭でのフードロス、事業でのフードロスは同じぐらいございますので、テストとして始めているのがフードドライブ活動でございます。こちらは横浜市と連携しながら、1日フードバンクの方にも御協力いただいて、店頭にボックスを作って、御家庭でまだ眠っている商品を入れていただいて、それをフードバンクさんにお持ちいただくということを取組みとしては取っかかりで始めております。

2つ目の質問のまさに事業者のフードロスというところなのですけれども、正確にお答えできないのですけれども、私どもは数年前から2分の1ルールに変更して、まずはカテゴリーごとに少しずつテストをしておりまして、そのカテゴリーが大分広がってきております。そして、消費期限も品質をきちんと鑑みながら、できるだけ私たちの販売の間にロスが出ないような取組みを推進しております。

○大森委員 ありがとうございました。

○新川座長 その他、いかがですか。

どうぞ、池本委員。

○池本委員 池本でございます。

本当にすばらしい取組みに敬服いたしました。特に認知症サポーター、3万4,000人の従業員数で9,450人ですか。27.6%というと、全国平均が確か850万人だから7%弱ですから、3倍、4倍くらいの方が受講し認定を受けておられる。これは先ほどの自治体との連携をされている70数店舗とかではない、全国的に声をかけてやっておられるのではないかと思われます。

それについて、御質問のポイントは16ページで、地域の中でのまちづくりに参加、安心・安全なお店づくりということで、先ほど後半で幾つか行事のようなものを拝見したのですが、地域包括センターなどの地域との連携というので最後のあたりに1つありましたが、余り定期的ではない、時々だけれどもこういう交流があるというものが更に行政機関との関連であれば、お伺いしたいのです。

○株式会社イトーヨーカ堂小山CSR・SDGs推進部総括マネージャー それでは、強矢からお答えさせていただきます。

○新川座長 お願いします。

○株式会社イトーヨーカ堂強矢CSR・SDGs推進部マネージャー イトーヨーカ堂の強矢でございます。ありがとうございます。

認知症サポーターは一つの例で、荒川区の三ノ輪の事例をお伝えさせていただきましたけれども、基本的には協定を結ぶ結ばないは関係なく、会社として認知症サポーターの養成の推奨を2年前から通達を全社に発信いたしまして、特に9月はアルツハイマー月間ということで強化をしてやりましょうということで、7月ぐらいに通達を出します。年間を通じてですと繁忙期がございますので、繁忙期はなかなか講座開催が難しいのでやっておりません。

私たち2人も資格を持っている企業メイトなのですけれども、企業メイトだけでやってしまうと地域の困りごとがなかなか分からないということがありますので、我々もやるのですが、地域包括支援センターもしくは社会福祉協議会にお声がけをさせていただいて、講師派遣をしていただく。そこから関係を作るところで、しっかりできているところでいきますと、見守りネットワークに参画をさせていただいて、年に1回ないし2回の地域の会合にお店の店長、もしくはその店の責任者が行くことで、実際に店舗で起きている事例を共有させていただきながら、その地域ではどういう見守り方が一番適切なのか、そういうことを確認していくということです。

もちろんお店において、認知症の方だけではなくMCIの方もそうなのですが、軽度の認知症の方の御来店の対応だけではなくて、実はこのサポーターの養成にはもう一つ私たちとして目的がございます。それは従業員に今、介護離職という問題がございます。認知症はいつ訪れるか分からない。そういった中では従業員がまずどういうことなのかを理解すること、同じ働く仲間がそういう境遇になったときにどう支え合えるのか、これをしっかりと知っていただく。高齢者の相談をするときにどこへ行けばいいのですか、地域包括支援センターです。これは行政の方がおっしゃっていたのですが、年金事務所の認知度より低いと聞いているのです。そういう意味では、そういうことをしっかりと従業員が知る、理解することで、自分がそういう局面になったときに離職を防ぐことができる。また、家に帰れば地域の支え人として活躍をしていただける。こういう2つの側面から、我々イトーヨーカ堂では認知症サポーターの養成を順次進めているということでございます。

○池本委員 ありがとうございます。

○新川座長 どうぞ、生駒委員。

○消費者委員会生駒委員 すばらしい取組みをされていると思うのですが、私も実は父はもう亡くなりましたが、最後は認知症で、四国にいたのですけれども、近くのスーパーマーケットに毎日大量に買い物に行って、私たちがいないものですから、ひとりで暮らして、冷蔵庫に詰め込んでいて、私たち家族は毎週のように実家に帰っていたのですけれども、帰るたびに、父親が買って冷蔵庫にためていたものを半分以上捨てなければいけないという現実がありました。

今、イトーヨーカ堂さんのお話を聞いて、そんな取組みをもしスーパーでして下さっていたら違ったかなと思うのですが、2つお聞きしたいことは、父の場合もそうだったのですけれども、なかなか認知症ということを認めにくい御本人といいますか、ましてや他人があなたは認知症ですかと言いづらいところはあると思うのですが、お店の中でそういった方とおぼしき方を見つけられたときに、どのように対応されているのか。

あとはソーシャルワーカー、民生委員など、私たちもお世話になったのですけれども、そういった行政側の動いていらっしゃる方、行政とどのように連携をされているのか、その2点についてお伺いしたいと思うのです。

○新川座長 お願いいたします。

○株式会社イトーヨーカ堂強矢CSR・SDGs推進部マネージャー 1点目の認知症のお客様への最初のアプローチは、サポーターの養成にありますように、まずは見守るということです。私の祖母も認知症で、私もずっと10年ほど母と介護をした経験があります。それぞれ人間に個性があるように、そのお客様も認知症と言っても、全ての方にそれぞれ個性がございます。従業員によく言うのは、認知症の方だからこういう対応するのだよという一律的なものではないと。それは日々のお客様に接する接客と同じでして、お客様もいろいろなお客様がいらっしゃるわけであります。その境遇に合わせていくということですから、その御年配のお客様の動きが少しおかしいなといったときには、まず見守ってあげて、どういうことが一番適切なのかということです。

次の設問にもつながってくるのですが、基本的にはお客様には個人情報がございます。そういう意味では、切り口としては、地域包括支援センターの方々を通じてということが一番でございます。過去は物を食べてしまったり、物を持って帰ってしまう事象が起きると、我々も判断がつかないので警察に連絡するケースが多かったのですが、最近は警察もふれあいポリスがいらっしゃるのでいろいろな関係値ができるのですが、とは言っても御家族やその方の心情を考えたときに、まずは地域包括支援センターに相談してみるということです。そうしますと、もういつもの方ということで御家族につないでいただいたり、そこから御家族とつながったときに、お店によって直接かけていただいて結構ですという場合にはこちらから御連絡する。個人情報等々もありますので、そういう整理をしながらということです。

たまたまイトーヨーカドー食品館三ノ輪店の場合は民生委員さんや社会福祉協議会さんまで入り込んでいただいてやっているので、一つの地域グループとしてやっていて、交通安全イベントなどはボランティアさんを含めて100名いらっしゃいますし、地域のつながりができて、ここだけの話、イトーヨーカドー食品館三ノ輪店のお店も少しずつ売上げが上がってきているのです。要はコミュニティの場所になっているので、人が集まる場所、小さいイートインスペースがあるので、そこでお茶をする。最低月に1回は何かイベントをやる。こんなときに皆さんが立ち寄って、最近は近隣の保育園も来るようになっているので、小さい方から御高齢の方までつながる活動、地域の方にそのようにやっていただいているので、そのような形になっています。我々としては、こういう店舗を一つでもその地域に合わせてできればいいと思っています。

○新川座長 どうぞ、尾嶋委員。

○尾嶋委員 ありがとうございます。

私は消費生活相談員を長い間やっているのですけれども、消費生活センターは、今は相談業務が主になって、他のスペースが少ない傾向にあるのですけれども、相談員になった頃は、地域の買い物に関する情報とか、今で言う食品ロスとか、いろいろな消費に関する資料を陳列するスペースがあり、講座を開催するスペースなども設けていたのです。お話をお聞きしたり、資料を拝見しますと、何かそういういったことや当時を思い出しました。今は消費者市民社会の構築やSDGsということが言われていますけれども、消費者行政といいますか、地域に密着した消費者センターの役割の見直しをしなくてはいけないのではないかと思いながら、御社の取組みをお聞きしていたのです。

更に地域包括支援センターとの連携はできているとのお話でしたが、消費生活センターも地域包括支援センターとの連携は行っています。自治体との連携は進んでいるということですが、その中で、消費者行政部門との連携はされているのですか。

○新川座長 お願いいたします。

○株式会社イトーヨーカ堂強矢CSR・SDGs推進部マネージャー ありがとうございます。

包括協定の項目の中に高齢者や子育てとあるのですけれども、もちろんそこのところにもう少し細かく具体的な取組みが入ってきたときには、例えば詐欺といったものの啓発ですとか、そういったものは項目に入っております。今の段階でいきますと、まだポスターの掲示、店内放送の御協力、センターの方と連携をしたときには大体店頭のティッシュ配りみたいな形でやられているケースが店舗ではございます。

例えば私たちが協定を結んでいる店舗に関しては、本部のサポートとして、高齢者という視点があったときに、今のように認知症ということもあれば、消費者の問題もあるのですが、同じテーマでもいろいろな課に行ってしまうのです。それをばらばらにやってしまうと、せっかく伝えるものが伝わりにくいというのもあるので、行政によってはハブになっていただく課がありますので、そこを中心に関連する担当の課を集めて、どうせやるならばそこの中で一緒にやりましょうという形で、つながりをもっと作っていく取組みに進めようと思っています。

これがもっとできてくれば、高齢者という中でもいろいろな高齢の方がいらっしゃるので、口腔予防のことを聞きたい方もいれば、消費者問題のことを知りたい方もいるでしょうし、そういうものが一緒くたに、そこの中で情報を自分の中で選択しながら伝えることができる、そんなコミュニティの場を作れたらとは思っています。

○尾嶋委員 ありがとうございました。

○新川座長 どうぞ、西田委員。

○西田委員 面白い取組み、意義のある取組みをありがとうございました。

先ほど、選挙の場を提供することで、ついでに投票もしてくれるから投票率も上がるし、場を提供するので売上げも何%か上がったというウイン・ウインというか、そういうもののいい例かと思っています。

少しお聞きしたかったのですけれども、いろいろないい取組みをするときに、全部はできないので取捨選択をしていったりしなければいけないかと思うのですが、そういう取捨選択のメカニズム、考え方みたいなものがあるのかという点。

もう少し大きく言うと、前半でCSRであるとか、ESGであるとか、SDGsであるとか、そういういろいろな考え方があるのですけれども、そういうものを定量的までいかなくても社内的に評価する仕組みはあるのか。いろいろなところで話を聞いても、そのあたりがふわっとしているところがあるので、インパクトを少し、いいことをいいことだと評価するような指標があり得るのか。こういういいことをサステーナブルにしていこうと思うときに全部はできないところもあるので、企業価値が向上する側面で見ていかなくてはいけないところがあるのかと思って、そういうところです。大きく言えばその点です。

もう一つは、これは答えにくいというか、僕も聞きにくいのですけれども、CSR部門の会社における位置付けが少し変化してきているのかと思っていまして、昔は余り本業に関係ないというか、ブランディングになればいいよという感じでやっていてというところがあったのですけれども、最近はそういう意味で随分位置付けが変化してきていたりするのであれば、そのあたりもお聞きしたいと思っています。

○新川座長 お願いいたします。

○株式会社イトーヨーカ堂小山CSR・SDGs推進部総括マネージャー 御質問ありがとうございます。

西田さんがおっしゃった評価する指標であったり、どんな活動を選択していくのかというところなのですけれども、まさに最初に申し上げた5つの重点課題を我々グループで掲げております。ただ、その中でもまだ広いという中で、私どもの中期計画であったり、会社の中の本業に照らし合わせて、この中でも重点課題の1番であれば高齢者、高齢化は日本の課題でもありますし、私たちのお客様にも本当に多くいらっしゃるので、認知症サポーターをみんなで取って、もっとサービスに寄与しようということを一つテーマにしております。

安全・安心の提供であれば、もう一つのイトーヨーカ堂の価値提供に集う場所ということも掲げていますので、そういう取組みであればやろうということで、エネルギー、商品の無駄のない利用で言うと、先ほどもございましたけれども、食品の売上げが大きいものですから、取捨選択というか、マテリアリティーをやっていくとすると、食品フードロスに取り組もうと。大きい取組みから選んでそこに寄せていくことで、私たちのSDGsの取組みをきちんと世の中にも知っていただくようにと、今ようやくそう変えてこられています。

おっしゃるようにCSR部門という位置付けは、もともと私どもはマタニティー・育児相談という本当に完全な社会貢献、相談員をつけてお店で相談していたり、募金活動などをやっておりました。それも引き続きやっておりますけれども、今はどちらかというと企業の存在価値、企業価値というのは、本当に社会課題を解決する主体であると会社自体も考えておりますので、それの分かりやすい皆さんの共通目標がSDGsというところで、健康な食品、商品開発をしようですとか、要するに、それを本当に本業できちんとやっていこうという流れに変わっております。

恐らく世の中からは、そういうことをきちんと開示してほしいというニーズがこれからも増えていくと思いますので、次のステップとしては、きちんとステークホルダーの皆さんとコミュニケーションをとることだと思っておりますので、CSR・SDGs推進部の幅がもっと広報活動なども含めてやっていく位置付けにはなってきているとは感じております。

○西田委員 今はそういう意味では、売上げとダイレクトに結びついているという選択はしていない感じですか。いずれそこに貢献するのではないかという感じですか。

○株式会社イトーヨーカ堂小山CSR・SDGs推進部総括マネージャー 先ほどの選挙の例などは定量化できるのですが、非常に数値化、定量化するのが難しい部分がたくさんございます。一例で申し上げますと、ペットボトルを捨てればごみになってしまうのですけれども、きちんと回収すれば資源ということで、ペットボトルの回収を随分前から回収機でやっているのですけれども、それを今度商品の素材として、肌着で1月に発売することになるのです。そういう社会課題の解決を本当に本業、商品開発につなげたというところで、その商品の売上げというところでは定量化にはなってくると。そのような取組みが少しずつ増えていくであろうし、そういうことを会社でも、社会課題を解決しながら私たちも持続可能になっていくというところを目指しているところでございます。

○西田委員 難しい質問をありがとうございました。

○新川座長 どうもありがとうございました。

どうぞ、伊集委員。

○伊集委員 御報告どうもありがとうございました。委員の伊集と申します。

私は財政のところからこの会議に参加しているのですけれども、前に関連するお話を打ち合わせのところで聞いたこともあったのですが、そのときは自治体と協定を結ぶ際に、特に事業などを行うときに、そこの費用をカバーしてもらうようなものが払われることはないようだと伺ったのです。

今日御報告をいただいた内容で、今も出ていましたけれども、例えば投票所を設置するときに、衆議院選挙だとすると、その投票事務は基本的に自治体が担うのだけれども、国から国庫委託金が入ってきて、自治体の職員、学校の体育館、そういうところでやったりするものの費用もカバーするわけなのです。この店舗でやった場合に、もちろん投票事務にこちらの店舗の職員の方が関わることはないとは思うのですが、そういう場合は自治体の職員の方がその場にいらっしゃって投票事務をするような形になるので、店舗としては場所を提供することになるのか。いろいろ関連する経費がかかったりするのかもしれないのですけれども、そういうものに対して自治体を通じて選挙のコストは何かカバーされるようなことがあるのか。

それと関連して、今日御紹介いただいたその隣のページ、旭川との取組みで学習スペースを置いたときに、これは学習できる場所を提供しつつ企業としての集客効果を望めるというところで、その運営のときに、例えばこれを見ると学生たちが勉強するときの場所と机、椅子、本棚、図書は店舗で用意するのか、あるいはその部分は協定を結んでいる自治体が費用を賄うような関係になっているのか、そのあたりを教えていただきたいです。

もう一つが、後半に御紹介いただいた荒川の取組み、食品館三ノ輪店で、これは地域の包括支援センター、警察署、民生委員などのつながりの中でかなり幅広い取組みをやっていらっしゃる。地域によってはイトーヨーカ堂さんがあって、近くに包括支援センターがあったりという場合もあれば、場所によっては、もうちょっと大きいとスーパーマーケットのような店舗も2つ、3つ並んでいるところがあったりすると、ここに関わってくる別の会社との連携は進んでいるところがあるのか、あるいはこれから進めていく方向性もあったりするのかというところです。

住民、買い物客からすれば、安心して買い物できる環境はどこに行ってもあるのがありがたいのだけれども、逆に言うと、店舗から見ると、例えばそういうことがどこでもできるようなると、ある意味集客効果としては分散してしまうのかというデメリットなのか分からないですけれども、そういうことももしかしたらあるのかもしれない。そういう行政とのつながり、あるいは他の店舗、会社とのつながりは既に取組みとしてあるのか、今後見通しがあるのかを教えていただけるとありがたいです。

○新川座長 お願いいたします。

○株式会社イトーヨーカ堂強矢CSR・SDGs推進部マネージャー ありがとうございます。

まず1点目の費用というところです。例えば投票所の場合は、全て選管が基本的に持ちますので、無償で場所を御提供するというところです。機関がちゃんと覚書も交わします。ただ、机、椅子など簡易的にお貸しできるものは無償でお貸ししていますので、その部分は自治体としては予算の削減が多少できるのではないかとは思います。

もう一つ大きいメリットなのは、駐車場です。我々は大変多く駐車場を持っていますので、より広い方に御利用いただけるので、そこは駐車場の管理をしているところとの整理にもよりますけれども、基本的には駐車を無料にするですとか、そういったところも御協力の一部として、店舗としては一部やっております。そういう意味では、今まで学校などですと駐車場の確保が基本的に難しい中で、市側としてはそういうメリットがあるのではないかと。

もう一つ、旭川の件ですけれども、旭川はお店をちょうど改装するタイミングでもございまして、改装に合わせて空きスペースのところを、このような形で机等々をイトーヨーカ堂の経費を含めて負担でこういうものを設置したということであります。お店の問題だったのですけれども、フードコートが別個近くにありまして、フードコートはどうしても学生さんが勉強することで苦情を頂戴するケースが結構多くて、地元の高校としては、旭川は冬は非常に寒いです。勉強する場所がここの高校の近くにない。でも、イトーヨーカ堂にはいつもペットボトルやお菓子を買ったり、帰りに寄っている。そういうものが協定後の会話の中で出てきましたので、では何とかというので、改装を機にお客様のフードコートの利便性と勉強する方を分けようと。

しかも、ここに書いてあります「MANA pigeon」でありますけれども、これは地元の高校生の方々に考えていただいて、自分たちもここに関わったのだということで使っていただけるようにと。ただ、ここにある本などは市のほうから寄附を募って集めた本、参考書などをここに置いたりしています。基本、その他の備品はこちらで用意したり、残っているような廃材とか、ああいうものをうまく使って、一部備品として使っているものもあるというようになっております。

最後の他社との連携というところでございますけれども、ここが非常に難しいところでございまして、イトーヨーカ堂というところの場所だけでやるのであれば、他社ということでいけば、それに関連するお取引様との連携でいろいろなことはやっています。ただ、近くの商店街ですとか、近くのということでいくと、発展性としてはまだ弱いところがあります。

一部、武蔵野市にあります武蔵境は、商店会との連携が大分図れるようになってきて、2015年に協定を結んでいるのですが、その後商店会連合会にもうちの店長がいつも会合に行って、今は昨年から夏の祭りにも私たちも出店させていただいたり、協力に行っていますし、この間のラグビーワールドカップのときにも地域で盛り上げようということで、いろいろな取組みで連携を図っています。そこは今の段階ですと振興といいますか、商業的なところが強いのですけれども、今後もう少しそういった地域を支える活動などにつなげられればとは思っております。

あとは今、協議を進めていまして、見守りなどを含めて、まだ打ち合わせなのでここでお名前は言えないのですけれども、競合他社さんと一緒に協定を結んでしまおうと。要は地域を活性化させようということで、我々も先方の競合他社にアプローチをかけて、先方もそれは大事なことだということで話し合いを進めているところで、来年の夏ぐらいには締結ができるように業者間と市側と調整を進めているところでございます。

○新川座長 その他、いかがでしょうか。

どうぞ、池本委員。

○池本委員 池本です。

質問ではなくてお願いなのですが、先ほどからお伺いしている本業を通じた地域貢献で、3万4,000人の従業員の方々のエネルギーは本当にすばらしいと思うのです。認知症サポーターで認知症高齢者の問題については非常に幅広の取組みをしておられるのですけれども、是非そのエネルギーを私たちが議論している消費者被害、消費者トラブルの防止にも目を向けていただきたい。

その理由は、例えば警察では特殊詐欺の被害は年間で360億円、発覚したものであるのですが、全国の消費生活センターに寄せられる相談の契約金額は年間100万件の4,200億円なのです。10倍以上なのです。消費生活センターに寄せられるのはほんの数%ですから、消費者庁がいろいろ統計処理をして、潜在的な被害を含む消費者トラブルの推計値は6兆3,000億円なのです。不本意な形で失う財産を1割でも2割でも減らすことができれば、これは地域経済にとってもプラスだし、御社の本業にとってもプラスになるのではないかということなのです。

その場合、消費者被害は外から見えませんから、地域包括や民生委員さんのように相対で話し込んでいって発見できることはあるでしょうけれども、むしろお店にいらっしゃった人についてはいろいろな情報をお伝えする。いろいろな悪質商法のちょっとしたチラシとかを一言かけて配っていただければ、電話が来たり、訪ねてきたときに、あの手口だと分かれば防げる。そのあたりは是非今度は消費生活センターとも少し接触を重ねていただければと思います。質問ではなくてお願いです。

○新川座長 よろしくお願いいたします。

どうぞ。

○株式会社イトーヨーカ堂小山CSR・SDGs推進部総括マネージャー ありがとうございます。

私どもにもできることがまだまだあるのだなということで、ありがたい御意見をありがとうございます。お店はお客様が集まる場所でもございますので、そういうところで啓発活動がもしできれば、実際の被害はどんなことがあるのか、そういう情報をとるところから地域とともに協力しながらやってまいりたいと思います。ありがとうございます。

○新川座長 ありがとうございました。

どうぞ、大森委員。

○大森委員 先ほどの学習スペースのことなのですけれども、地球温暖化などの問題があって、各部屋で暖房やクーラーをしているよりは1カ所にまとまったほうが、社会的にすごく効率のいいことだと思います。ショッピングモールなどの企業の建物の中に1フロアだけ図書館が入っているとか、公共の出前のステーションが入っているところも最近よく見かけるので、できましたら行政と連携していただいて、学習スペースや自由なコミュニティのスペースみたいなものを作っていただくと、誰もが幸せになることにつながるかと思いました。

買い物難民も大きな社会問題で、これも企業の方の協力がなくては、なかなか解決できない問題です。私も宝塚の山のほうに住んでおりまして、企業の方々の御協力のもと、移動店舗が週1回まいります。車が小さいお店のようになっていて、そこで買い物ができる。あとは「買いもの行こカー」というものが週1回まいりまして、各おうちの玄関までお迎えに来て、玄関まで届けて下さるのです。生協なのですけれども、それで何時間かそこで買い物を楽しむということが企業の協力でなされています。すばらしいところだと紹介していただいて思うのですけれども、そこに行けない方がいるので、そういう方にもまたそのような御協力をお願いできたらと思います。

○新川座長 よろしくお願いします。

○株式会社イトーヨーカ堂強矢CSR・SDGs推進部マネージャー ありがとうございます。

学習スペースだけではなくて、例えば静岡店は子育て支援センターに入っていただいたり、今幾つかそういう行政施設を誘致してやっていこうと。全体的には各市町村と連携していますけれども、今の時期ですとウォームスポット、クールスポットということで、弊社は空間スペース、イートインスペースがございますので、昼間は涼しいヨーカ堂に来ていただいて、お茶の一つでも飲んでいただいて、コミュニティを形成していただければと、こんな感じでやらせていただいています。

買い物難民に関しましても、ネットスーパーというものがありますけれども、実際に来てお買い物をすることが大事だと私も思っております。そういう意味では行けない人ということで、行ける方は来ていただきますと重い荷物もその日のうちにお届けするサービスはあるのですが、お店に来られない方々に対して、詳しくは今お話しできないのですが、プロジェクトで、買い物困難者の対応の送迎というわけではないのですけれども、そのような形を作って、本当に買い物の困難な地域をやっていきながら、テスト的にこの後進める予定でございます。よりそういったお客様の利便性を高められるように、また買い物をすることで四季を感じ、認知機能の低下を防ぐことができる。店内を歩くことができる。このようなことと一緒になるように行政とも話を一部進めていますので、進めてまいりたいと思っております。

○大森委員 よろしくお願いします。

○新川座長 ありがとうございました。

その他、いかがでしょうか。

どうぞ、八木委員。

○八木委員 質問ではなくてコメントです。

三枝社長、人事の河田執行役員をよく知っていて、紹介させていただいた者として非常に誇らしげに聞いておりました。ありがとうございます。

ヨーカ堂の方をたくさん知っている中で申し上げるのは、決してヨーカ堂さんの宣伝をしようというつもりはありませんので、聞いていただければと思うのですが、単に儲けるためにやっておられるわけではないということと、今日CSRの御担当の方がいらっしゃっているので、御担当の方だけがこう思っているのではないかという疑念もひょっとしたら一部にあるかもしれませんが、よく知っている人間からすると、そうではないと思います。非常にたくさんの現業をやっていらっしゃる店長さんとか、ヨーカ堂の皆さんがこう考えておられるというのを私は知っていて、紹介をさせていただきました。

幾つか動機はあると思うのですけれども、1つ目は、人間として当然の思いで世の中の役に立ちたいという気持ちから、それぞれの社員の方がやられているということはあると思います。2つ目は、リアル店舗の誇りだと私は思います。デジタル化でどんどんEコマースで追いやられていくことに対する死活問題の中で、買い物は決してただ物を買ってくるということだけではなくて、買い物に伴ってついてくるいろいろな価値に対して、そこを何とか広めていきたい、忘れないでいたいという非常に強いイトーヨーカ堂というか、リアル店舗の誇りみたいなものを持っておられて、こういうことになっているのだろうと。買い物だけではないそれ以外の価値というところに、選挙の投票所であったり、学生たちが勉強する場であったり、いろいろなことが価値を持っていて、そこに行政と連携するいろいろな意味合いがあるのだろうと思います。そして、それが消費者行政のみならず他のことも含めて、非常に行政との関わりの中で意味を持ってくる、そんなことを感じながら聞いておりました。

先ほど、西田先生から評価はという話がありましたけれども、実はこれはアメリカですけれども、ダウ・ジョーンズ・サステーナビリティー・インデックスというものがあって、これをとるととらないとで投資家の判断が変わってくるということがあり、アメリカのダウ・ジョーンズ社のものではあるけれども、日本の会社もここで認定されるかどうかを非常に重視するようになってきている。私は是非東証もそういう動きをしてほしいと思っているのですけれども、それはそれで別途置くとして、そういう評価がありますということです。

最後に、私のコメントとしては、民間出身の委員として、今日イトーヨーカ堂さんが非常にいいお話をして下さいましたけれども、決してイトーヨーカ堂さんだけが特別な存在ではないということ。ともすると大企業がどうのこうのという話があるけれども、実は大企業、中小企業問わず、このように真面目に真摯に社会の問題に対応しようとしている会社は随分たくさんあるということを、委員の皆さん、あるいは消費者委員会の内閣府の皆さんにも是非知っていただきたいなという思いで御紹介をさせていただきました。

○新川座長 どうもありがとうございました。重要な補足というか、貴重な御示唆をいただきました。

その他、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

本日はイトーヨーカ堂様においでいただきまして、まさに本業そのものから発する活動が社会の様々な課題の解決に結びついておられる。そういうお話をいただけたかと思います。ある意味では、マーケットで活躍をされる企業の本質は、まさにそのマーケットで皆さんに支えていただけるからこそその企業があり得るということ、それを実際に現場で実践をしておられる、そういう印象を持たせていただきました。企業市民としての本来の在り方ということなのかもしれません。

特に、業態として確かに地域密着というところが強くて、そういう側面については、アピールもしやすいというところもあるのかもしれませんが、それ以上に様々な工夫を通じてこうした地域の課題、消費者の課題、あるいは従業員の皆様方の課題に応えようとしておられる。それでこそ企業としての持続可能性が高まっていくということなのだろうと理解しております。

私ども地方消費者行政の調査に携わっている側からしますと、こうした活動が特に地域の中に新たな拠点をづくり上げ、そこが様々な社会問題を解決していく場として多様な機能を果たし得るというところは大変参考になりました。その一環として消費者の保護、消費者問題の解決、あるいはもう半歩ぐらい進めて消費者市民としてより倫理的に行動ができる責任ある消費者が育っていく、そんな場にも是非期待をしていきたいとも思っています。

そのためにも今回お話をいただきました中で大事だなと思ったのは、様々な関係者の方々と連携をとって進めておられるところ、それを通じて社会のいろいろな課題を積極的に解決できる糸口になっておられる、そういうところがあったかと思います。もちろん行政との連携はもとより、他の事業者の方々との関わり、取引先だけではなくて地域の問題をともに考えていく、そうした新しい連携も進んでいくようなお話をいただいて、ここもこれからの消費者啓発、あるいは消費者問題を予防していく観点からも、貴重な御示唆をいただいたのではないかと理解をしております。

本日は大変懇切な御説明をいただき、その後、また各委員からの様々な御質問、御意見に丁寧にお答えをいただきまして、本当にありがとうございました。

以上をもちまして、イトーヨーカ堂様からの御説明、意見聴取、質疑を終わりとさせていただきます。

どうも長い時間、御協力をありがとうございました。

(株式会社イトーヨーカ堂退室)

(特定非営利活動法人キッズデザイン協議会入室)

○新川座長 引き続きまして、改めまして事業者の方々からお話をお伺いしたいと思っております。

次にお迎えをしておりますのは、キッズデザイン協議会の皆様でいらっしゃいます。

消費者問題を考えていく上でも、事業者の方々との様々な連携・協力・協働を進めていくことが重要と考えられますし、そのことがそれぞれの産業振興にもつながっていくのではないかとも考えています。そうした観点で、特に子どもたちの安心や安全をお考えになっておられるキッズデザイン協議会の皆様方から、そのデザインやサービスの在り方について、またそれがどのように普及をしていくのか、そうしたことについてお話をいただける機会は、消費者問題を考えていく際にも大変参考になるのではないかと思っております。せて、私どもの関心といたしましては、こうした子どもたちだけの問題ではなくて、様々な世代、様々な課題を抱えている消費者、高齢者等々も含めて、そうしたところにもこうしたキッズデザインの皆様方の手法が応用できるのではないか、そんなことも少し考えております。こうした事業者の方々との連携・協力・協働の在り方、こういうことを考えてみたいということで、おいでをいただいてございます。

本日は、子ども目線・基準での安全・安心な製品デザインの開発推進及び普及を行っておられます特定非営利活動法人キッズデザイン協議会から、専務理事の安好様、事務局長の杉山様においでをいただいてございます。お忙しいところを本当にありがとうございます。

これからキッズデザイン協議会の皆様にはそのお取組みの経緯や内容についてお話をいただきます。それから、御参加の事業者の方々へのよい意味での様々な影響や波及効果があるのではないかと思っております。これらにつきまして20分程度でお話を最初にいただき、その後、私どもの委員から御質問等々をさせていただければと思っておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

恐縮ですが、キッズデザイン協議会の皆様方から20分程度お話をいただければと思っております。よろしくお願いをいたします。

○特定非営利活動法人キッズデザイン協議会安好専務理事 承知いたしました。

初めまして。キッズデザイン協議会の安好と。

○特定非営利活動法人キッズデザイン協議会杉山事務局長 杉山と申します。

○特定非営利活動法人キッズデザイン協議会安好専務理事 よろしくお願いいたします。

本日は貴重なお時間をいただきまして、まことにありがとうございます。

お手元にパンフレットをお配りしていると思いますので、それなども御覧いただきながらお聞きいただければと思っております。

まず、資料の表紙でございます。このイラストはキッズデザインマークをデフォルメした作品になっておりまして、多種多様な暮らしがある地球において、子どもの視点で安全・安心な社会環境づくりを進めていくことを表現するイラストとなっております。

次のページでございます。キッズデザイン協議会は、企業・団体を中心に活動しておりまして、業界横断的なネットワークによる子ども視点のプラットフォームから社会環境の向上を進めている団体でございます。私どものネットワークは、企業、省庁、自治体、教育関連、医療関連、生活者などの多岐にわたっております。

次のページです。11月現在で企業が67社、個人、団体、省庁、自治体合わせて46、計113企業・団体の構成となっております。

次のページでございます。そもそもキッズデザイン協議会設立の背景を申しますと、皆様も御記憶にあるかと存じますが、2004年3月の大型複合施設の自動回転ドアによる事故でございました。残念なことにお子様がお一人亡くなりました。それを受けまして、産業界、省庁、自治体、医療機関などで子どもの不慮の事故を防ぐ動きが活発化、あるいはそういう声が上がってまいりました。それを受けまして、子ども目線や基準での安全・安心な製品デザインの開発推進及び普及が、子どもたちの安全・安心向上、健やかな成長発達を促す社会づくりに寄与するということを目指しまして、キッズデザイン協議会は2006年に任意団体として、2007年にはNPO法人として設立いたしました。

次のページでございます。当協議会の活動における3つのデザインミッション、基本コンセプトでございますけれども、これをもとにして社会環境づくりに寄与する活動を進めております。1つ目、これがキッズデザイン協議会の根底を流れるものでございますが「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」、2つ目は「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」、3つ目が「子どもたちを産み育てやすいデザイン」でございます。ここで言うデザインは狭義の意味のデザインではなくて、機能やサービス、取組みや制度も含めた広義のデザインを定義しております。

次のページです。協議会活動を進める中で、10周年の2017年6月5日にキッズデザイン宣言を発表いたしました。先ほどのデザインミッションをベースにしておりますが、企業が社会から何を期待されるかという視点でまとめたものです。多様な業種・団体が集まっている当協議会において、オープンイノベーションのプラットフォームとして皆様に最大限に活用していただき、私たちが目指す社会づくりに役立てていければと考えて制定いたしました。

次のページです。キッズデザイン協議会の事業活動は、大きく2つに分けることができます。1つ目は「子ども視点を分かりやすく社会に広める活動」、2つ目は「子ども視点で新たな価値を見つける活動」です。

広める活動としましては、私どもはシンボリックな活動と申し上げておりますけれども、キッズデザイン賞がございます。また、その受賞作品を通じた広報活動も展開をしております。2つ目の価値を見つける活動としましては、調査研究、プロジェクト、情報交換会などを運営しております。また、キッズデザインの標準化にも取り組んでおります。

次のページです。シンボリックなキッズデザイン賞についてですが、子ども視点から生まれた新たな価値やすぐれた取組みにスポットライトを当てる制度でございまして、2007年のキッズデザイン協議会創設以来、13回のキッズデザイン賞を実施しております。13回終了時点で累計応募が4,986点、入賞数は2,968点を数えました。

次のページです。キッズデザイン賞の賞体系ですが、分野としましては、先ほど申し上げた3つのデザインミッションと同様でございます。最優秀賞には内閣総理大臣賞、優秀賞は各大臣賞でございます。

次のページです。キッズデザイン賞の審査委員18名の皆様でございます。審査委員長はオープンハウス代表の益田文和様に務めていただいております。本日御出席されております西田先生にも審査委員を務めていただいております。日ごろよりありがとうございます。この場をお借りしまして御礼申し上げます。

次のページです。第13回(2019年)のキッズデザイン賞も9月25日に表彰式を終えました。掲載されておりますような作品、計263点が入賞しております。

次のページです。第13回のキッズデザイン賞は、先ほど申し上げましたとおり、受賞数としては263点、応募数は437点を数えました。「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」が76点、「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」が106点、「子どもたちを産み育てやすいデザイン」が81点、計263点が入賞いたしました。

次のページです。事業者への影響、応募数の推移ということで、2014年から2019年まで、6年間の応募数をグラフにいたしました。2016年が応募数500を超えておりますけれども、この回は第10回の記念大会といいますか、10回目ということで、かなり各企業様に御協力をいただいて応募を増やす活動をいたしました。今年度2019年は若干応募数が減ってしまいましたので、来年度はまた一つ応募を増やすような活動もいたしたいと思っております。

次のページから、受賞作品を6点ほど御紹介させていただきます。第12回(2018年)の内閣総理大臣賞でございますけれども、YKK株式会社様のQuickFreeという作品でございまして、これは留めやすく外しやすい機能つきのファスナーがついている商品でございます。フードが遊具にひっかかって子どもの重篤な事故を招く場合がございます。このファスナーは開放機能がついておりますので、重篤化を軽減できる機能を有しております。ここに実物をお持ちしておりますので、回覧していただければと思います。見た目は普通のファスナーですけれども、これに力が加わりますとすぐに外れるような仕組みになっておりまして、また子どもにもはめやすいということが評価されました。

次は、消費者担当大臣賞のコープデリ生活協同組合連合会様の子育て支援です。生産者と消費者をつなぐ立ち位置を生かした多様な取組みということで受賞されております。誰一人取り残さない子育てをテーマにしまして、消費者、メーカー、産地、行政を有機的に結ぶ存在として活動をされております。1年間にわたるお米からお餅への生産体験ですとか、野菜の収穫、出荷、販売を体験できる産地見学イベントなど、食品の生産プロセスと消費の在り方を学ぶプログラムとなっております。

次のページです。近江八幡市様の取組みでございまして、「SDGsこども見守り隊『きみも今日からきりっこキッズ見守り隊』」の、高齢者と障害者の見守り活動を子ども主体で行うという取組みでございました。子どもが大人を、大人が子どもを、あるいはみんながみんなを支え合って見守り合うまちづくりをするための仕掛けづくりです。子どもが地域を見守る主役に据え、ここが重要ポイントということで評価を受けております。

次のページです。ここからは今年度、2019年度の受賞作です。内閣総理大臣賞を受賞されましたTerada3DWorks様のフライングディスク運動型STEAM教育プログラムで、運動と対話を通じてデジタル技術を学ぶ取組みでございます。生徒がまずフライングディスクを投げて飛び方を体で感じる、次に3Dモデリングを学習する。3DWorksの寺田様は3Dモデリングが本業でございます。まずは投げる体験をし、生徒にモデリングをしてもらう。その上で、3Dプリンターでフライングディスクを製作する。その後にもう一度それを飛ばす。実際に作品を投げてみるということで、「身体性」を伴うSTEAM教育ということが評価を受けました。この作品にはデジタルに遊ばれている時代からデジタルで遊ぶ時代へというメッセージが込められております。

続きまして、経済産業大臣賞でございます。株式会社パロマ様と大阪ガス様のガスビルトインコンロ「アバンセ」、こちらは新技術を採用した安全設計のコンロです。実はコンロの火が着衣に着火するという事故が年間で約50件起こっているという報告がございます。子どもが調理に参加したいと言うが、着衣着火が心配という御家族の声をパロマ様がお聞きになって、子どもが安全に調理を手伝うコンロがないかを模索され、この作品を生産されたということでございました。

最後になります、消費者担当大臣賞でございます。「おしごと体験広場キッズハローワーク」の実行委員会の、生活に密着した職業体験から地域の魅力を知るという取組みでございました。地域の魅力を伝えて、生活に密着した職業体験をする社会体験プログラムでございます。イベント内の通貨を使用して消費者経験をするという取組みにもなっております。就労、対価、消費のサイクルを深く学べるような企画が評価をされております。

次のページです。受賞を通じた受賞者の皆様のメリットですが、受賞された方々は、キッズデザインマークを使用することができ、幅広く受賞をPRして、企業姿勢を社会に発信することができます。並びにこちらにお持ちしております受賞全作品が載っている受賞作品集(コンセプトブック)に掲載されます。またホームページ上の受賞作品の検索サイトに受賞者並びに受賞作品、賞名等が掲載されます。各地で開催されるイベントやワークショップなどに受賞作品を展示して御紹介をさせていただいております。並びに表彰式、記者発表会等で様々なメディアの皆様に取材をしていただいておりますので、これも注目度や認知度の向上につながっているのではないかと思っております。

次のページです。受賞者の声を受賞者アンケートより抜粋をしてまいりました。まずブランドイメージ、受賞作品の価値向上につながったというお声を多数いただいております。商品、企画自体の注目度が上がった、社内外の認知が上がったなどのお声もいただいております。また、認知の向上では、事務所の存在が広く知れ渡った、得意先企業への認知が上がった、受賞のリリースを見て新規客から相談があったというお声もいただいております。関係者の意欲向上では、関連部門の意欲向上につながる、お客様に商品を勧めやすくなったなどのお声を頂戴しております。

次のページです。マスコミへの反響ということで幾つか挙げさせていただいております。まず、キッズデザイン賞の記者発表会・表彰式におけるメディア取材ですけれども、今年度はNHK、CBCテレビ、東海テレビ、テレビ愛知等々の放送局など、中部圏のテレビ局が多かったのですけれども、これは先ほど御紹介しましたパロマ様が受賞をされております影響もあるかと思います。それから、協議会主催イベントへの取材ということで、NHK、朝日新聞をはじめとした新聞社、放送局からの取材がございました。また受賞企業様が直接取材を受けておりまして、朝日新聞、読売新聞、中日新聞、西日本新聞などから取材があったと聞いております。

マスコミの反響ということとは、少し違うかもしれませんが、2月に日本経済新聞の朝刊2ページに出稿いたしました。キッズデザイン並びにキッズデザイン賞の紹介ということで、子ども・子育て視点での経営がイノベーションを生むというテーマで会員企業各社様に語っていただきました。

以上、受賞事業者への影響ということで御報告させていただきました。

最後になります。せっかくの機会でございますので、少し宣伝をさせていただければと思っております。次回第14回のキッズデザイン賞の募集が3月2日から始まります。皆様のお手元にお配りしたパンフレットの間に応募の資料があると思いますけれども、是非関係者の方々にお勧めいただければ幸いでございます。

8月8日はキッズデザインの日でございまして、この日は実は第1回キッズデザイン賞、2007年でございますが、授賞式が行われた日でございます。この日は経済産業省様に制定をしていただきました。8月8日は3月3日と5月5日を足した数字とで、非常に取り合わせがよいと思っております。

宣伝はこれぐらいにいたします、御清聴ありがとうございました。

○新川座長 どうもありがとうございました。

ただいま、キッズデザイン協議会の皆様方から御丁寧に御説明をいただきました。

それでは、各委員から御質問、御意見をいただいてまいりたいと思います。

御自由にどなたからでもお願いします。

どうぞ、大森委員。

○大森委員 御説明ありがとうございました。

私はNPO法人C・キッズ・ネットワークというグループで、子どもの消費者教育をやっております。キッズデザインの倒れてもすぐに熱湯がこぼれないポットなどは、子どもの安全という母親向けの講座で御紹介させていただいています。兵庫県出身ですので、小山ロールのおいしいケーキ屋さんでの、子どもしか入れないようなスペースで子どもが体験して、体験したことを親に伝えるという取組みもキッズデザインをいただいていることも同時に紹介しています。

以前に、子どもの自立を促す消費者教育をやっているということで、取組みもキッズデザインの対象になるので応募されたらどうですかと御紹介いただいたことがあるのですが、貧しいNPOとしてはこの審査料が払えない。会員から反対を受けて、応募を現在に至るまでできておりません。賞をとっていらっしゃるところは結構お金のある企業とかが多くて、真面目な取組みをしている貧しいNPOはなかなかチャンスがございませんので、そのあたりをまた考えていただけたら応募したいと思っておりますので、よろしくお願いします。

○新川座長 ありがとうございました。

もし何かございましたら、よろしいですか。

○特定非営利活動法人キッズデザイン協議会安好専務理事 実は今お話をいただいた審査料に関しましては、いろいろな方からお声を頂戴しておりますので、検討をしているところでございます。

最初にお話になった、倒れてもこぼれないという作品はタイガー魔法瓶様の作品でございまして、タイガー魔法瓶様からは継続して応募をしていただいております。年を重ねるごとに製品が改良されております。キッズデザイン協議会の活動に大変御理解をいただいている企業でございます。

○新川座長 ありがとうございました。

その他、いかがでしょうか。

どうぞ、首藤委員。

○首藤委員 お話をありがとうございました。

私は生協でございまして、受賞をさせていただいているところでございます。ありがとうございます。

受賞させていただいたということで、生協というとどうしても限られた方たちが参加する取組みと捉えられがちな面があるのですけれども、そういった子どもたちの農業体験、漁業体験、フードチェーンに子どもたちに関わってもらう取組み、それを通じた食育の取組み、そういった様々な取組みをしていることに対して評価をいただけたことは、自分たちの活動についても自信が持てる一つのきっかけにもなったかと。それから、いろいろな方に取組みを知っていただくことはすごく大切なことだと思うのですけれども、そのことでもきっかけをいただけたかと思いまして、意見というよりはお礼を込めまして、ありがとうございました。

○新川座長 ありがとうございました。

その他、いかがでしょうか。

どうぞ、尾嶋委員。

○尾嶋委員 12ページに応募数の推移とありますけれども、細かい内訳などはあるのですか。

○特定非営利活動法人キッズデザイン協議会杉山事務局長 内訳というのは部門、3つのミッションごとということですね。この動きとしては、13回を通じてそれほど大きな変動はないのですけれども、強いて言いますと、当初のころは安全・安心の部分にこちらも力を入れていたものですから、最初のころは安全・安心の部門がメインだったところが、回を重ねる中で産み育ての部門の数がだんだん増えてきているという傾向はございます。

○新川座長 割合的には、おおよそで結構ですが、どれくらいの感じなのでしょうか。

○特定非営利活動法人キッズデザイン協議会杉山事務局長 11ページに内訳の点数を書かせていただいておりますが、安全・安心と産み育ての部分が3割ずつぐらいで、創造性と未来が4割といった感じかと思います。

○新川座長 これは受賞の点数のようですが、大体応募点数もそれに見合っているという理解でよろしいですか。

○特定非営利活動法人キッズデザイン協議会杉山事務局長 そうです。

○新川座長 分かりました。

その他、いかがでしょうか。

どうぞ、八木委員。

○八木委員 とてもすばらしい活動をありがとうございます。

子どもたちの安全・安心は本当に大切だと思う一方で、私は民間企業出身の人間なのですが、企業で見ていると、いい子ばかりが活躍しているわけではなくて、結構ワイルドなやつ、ちょっと危ないことにチャレンジするぐらいのやつが活躍していたりするので、真ん中の「子どもたちの創造性と未来を拓く」というところに入っているのだろうと思うのですけれども、そういうちょっとワイルド系の子たちもすごく日本にとって必要な子なのだというイメージ、そういう視点も是非持って賞を選んであげてほしいなというコメントでございます。

○新川座長 ありがとうございました。

是非また御参考にしていただければと思います。

どうぞ、伊集委員。

○伊集委員 どうも御報告ありがとうございました。伊集と申します。

御紹介いただいた中で、第12回のキッズデザイン協議会会長賞で「高齢者・障がい者の見守り活動を子ども主体で行う」というのがあったのですけれども、これは具体的にどういう取組み内容だったのか。特に「子ども主体で行う」というあたりがどういう内容になっていて、どう評価されたのか、お聞かせいただけますでしょうか。

○新川座長 それでは、お分かりになる範囲でお願いいたします。

○特定非営利活動法人キッズデザイン協議会安好専務理事 こちらは通常は大人が子どもを見守る、という当たり前の話ではなく、子どもが主役で大人を見守ろうという取組みを評価されております。

○伊集委員 この写真にもあるように、実際に子どもたちが参加して地域を回ったり、そういう活動をしている感じなのですか。

○特定非営利活動法人キッズデザイン協議会安好専務理事 そうでございます。

○伊集委員 少しずれてしまうのかもしれないのですが、細かい点で「子ども視点」と「子ども目線」という表現が出てくるのですが、これは特に何かあえて区別して使っているわけではない、同じようなものだという理解でいいですか。

○特定非営利活動法人キッズデザイン協議会杉山事務局長 内容的には同じなのですけれども、言葉が統一できていないということです。

○伊集委員 分かりました。

消費者行政でも、それこそここでも、成人年齢の引き下げに伴ってもっと主体的な市民であったり、あるいは消費者をしっかり育てていく活動が大切だということで議論をやっているのですけれども、子どもや若者にどのように消費者教育を行っていくかというところも議論になってくるのです。

その中で、私は財政のほうの人間なのですけれども、子どもたちを育てるというところで、北欧の財政や社会を研究しているのですが、今日のキーワードに関連して思い出したのが、子ども目線という考えと子ども自身の目線は違うのだという話を向こうではするのです。子ども目線というのは、あくまでも大人が子どもの立場におりていってあげて、その目線で何が必要か、大切かを見るのだけれども、一方で、子ども自身が何を感じているかという大人がおりてくるのとは違う子ども自身の目線をどう大切にするかという議論をして、すごく面白いなと思って、それは向こうでの教育であったり、それこそ消費者教育にもつながっているところだと思うのです。

ですから、先ほどの子ども主体で行う見守りというのが、もしかしたらそういうところも含まれていて、直ちに大人がいろいろな商品、製品などを通じて子どものために、子どもが使いやすいものということだけではなくて、実際に子ども自身が関わってやっているものも既に含んで何か取組みを評価されているのかが気になったものでお尋ねしたかったのですけれども、分かりにくい話をしてしまいました。子ども視点や目線といったときに、子どもそのものが行っている活動みたいなものもそちらの取組みの中に広く入ってきているのかということが気になったので、もしそういう取組みなどがあれば教えていただければと思います。

○新川座長 いかがでしょうか。

○特定非営利活動法人キッズデザイン協議会杉山事務局長 まさに御指摘いただいたようなところをこれからキッズデザイン賞の中でも評価していきたいという方向性は、昨年の審査の講評のときに益田審査委員長がお話しされていました。それは今の近江八幡市の受賞があったことで、今までは大人が見る子ども目線で賞の選定をさせていただいておりましたが、世の中にはこういった取組みもあるのだということに改めて気づかされた次第です。これからは応募いただければといいますか、こちらとしても働きかけをして、こういったものをもっとどんどん応募いただけるような環境を作って、それが受賞することで皆さんに知っていただくということで、広められたらいいなということをちょうど取り組んでいるところでございます。

○新川座長 ありがとうございました。

どうぞ、西田委員。

○西田委員 今、ネットで調べてみたのですけれども、先ほどの近江八幡の何をやったかの補足です。これは桐原学区というところで、小学生960人のうち281人が見守り隊に任命されて、電話相談窓口が記載されたメッセージカードをおじいちゃん、おばあちゃんたちに配布する。隊員からは、私の町は高齢者が多いので見守りキッズとして頑張ります、じいちゃん、ばあちゃんがだまされたら嫌なのでカードを渡したいという決意表明が寄せられたと感じで、そういうチャンネルとして活躍しているというのが一つみたいです。

○伊集委員 小学生ですか。

○西田委員 これは小学生960人で、その町自体は1万8,000人が住む学区のようです。

○新川座長 そのだまされないようにというカードは、消費者問題にも関わっているのですかね。

○西田委員 これはまさに消費者問題のものではないですか。「消費者被害のターゲットになりやすい高齢者・障がい者の見守り活動を」なので、まさにそこだと思います。

○新川座長 そのものどんぴしゃりですね。

○西田委員 ただ、そこの内容が子ども目線になっているかどうかまでは分からないのですけれども、それはこれからの課題かもしれないですね。

○新川座長 お渡しする先は高齢者の方ですから、高齢者向きでなければならないのでしょうけれども、ありがとうございました。

どうぞ、八木委員。

○八木委員 8月8日のキッズデザインの日というのはすばらしいなと思いながらお伺いしていたのですが、しかもそれが3月3日と5月5日を足したものという、非常にしゃれていていいなと。しかも、つらつら思っていたら、これは読みようによっては「ハハの日」だし、読みようによっては「パパの日」だし、読みようによっては「ババの日」だし、「ジジ」だけないのは悲しいですけれども、すばらしい日だなと。

せっかくのこの日が、国民的イベントにはなっていないですね。渋谷で大騒ぎするハロウインとか、ブラック何ちゃらというアメリカのまねごとだとか、しようもない大騒ぎが多い中で、すごく意味のある日になるのではないかという可能性を感じます。消費者委員会なので、是非子どもの未来のための消費みたいなところにもつなげたり、あるいはおじいちゃん、おばあちゃんの見守り的なこともすごくいいと思うのですけれども、せっかくのすばらしい日なので、7月7日もそうですけれども、ほかのぞろ目の日は必ず何かがあることが多いわけですので、8月8日はないので、何か大きな動きにできないか。そんなことはお考えでいらっしゃいますでしょうか。

○新川座長 いかがでしょうか。

○特定非営利活動法人キッズデザイン協議会安好専務理事 実は私も民間から来ておりまして、この日を全く知りませんでした。協議会活動を通じて、何とか消費につながるような活動ができればと個人的には思っておりましたけれども、お話を伺いまして、改めて推進したいと意を新たにしております。ありがとうございます。

○新川座長 ありがとうございます。是非御検討いただければと思います。

その他、いかがでしょうか。

どうぞ、池本委員。

○池本委員 池本でございます。

安全の問題を国が法律を作って、この基準でやりなさいということではどうしても硬直になるし、なかなか新しい動きにならないのを、まさに子ども視点に切りかえることをそれぞれの企業が創意工夫でやって、それをしっかりと評価し、発信して社会に広げていく、本当に極めてプロセスそのものが参考になる取組みだと思います。

そのことを前提に2つお伺いしたいのですが、団体会員の構成の中に27の自治体が入っていました。これは会費を負担して全体の運営の一端を担うという意味合い以外に、何か自治体に期待するところがあるのか、その自治体で広める工夫みたいなことがあるのかどうかという点、あるいは、更に自治体に広げていく方向性があるのかどうかという点が一つです。

もう一つは、実は問題意識は今のことにつながるのですが、6ページに「キッズデザインの標準化」という言葉があります。恐らくこれは個別に創意工夫したすばらしいものを評価し発信する、応募していない事業者もそれがいいのであれば見習っていこうとか、そういう流れを作るということですが、ある意味では究極の課題、目標なのかもしれませんが、そこへ向けた取組み、計画なりをお持ちなのかどうかという2点をお伺いできればと思います。

○新川座長 お願いいたします。

○特定非営利活動法人キッズデザイン協議会安好専務理事 まず1点目でございます。自治体様にも会員になっていただいておりますけれども、実は自治体様は会費は無料でございます。入会をしていただいて、イベントや広報を通じてキッズデザイン協議会の認知拡大を図っていただければと思っておりますし、そういった広報を通じてキッズデザイン賞に応募していただけるよう我々からも働きかけをしているというのが今の状態でございます。

○特定非営利活動法人キッズデザイン協議会杉山事務局長 今の補足になりますが、大体消費者安全、産業振興の部局に自治体の窓口になっていただいておりまして、そういった視点で消費者に安全・安心なものを広く知っていただく活動、あるいは地場の企業さんがキッズデザインの製品の取組みをすることで、新たな商材を武器にしていただけるきっかけづくりみたいなところで、自治体さんの取組みと連携させていただいているところです。

2点目の標準化ですけれども、安全・安心のところで、製品・サービスの安全なものが世の中に出ていくようなところを最初に標準化として取組みました。最初に会員の中だけのルールということで、フォーラム標準というのですけれども、キッズデザインガイドラインというものを、企業が集まって産総研さんにもリードしていただきながらまとめました。それをベースにものづくり、サービスづくりのプロセスがキッズデザインガイドラインに則っているかどうかを評価するという意味で、6ページに書かせていただいているCSDというマークがあるのですけれども、チャイルドセーフティーするデザインの略なのですが、そういったことを私どもが第三者の立場で認証させていただく取組みを行いました。

次に、それをベースにして、仲間内だけではなく、日本の中で標準化ができればということで、キッズデザインの「安全性のガイドライン」をベースにしてJISにする取組みをしまして、2017年の12月にJISのZ8150という番号なのですけれども、「子どもの安全性-設計・開発のための一般原則」という形で制定されました。

更に、これを国際標準にできないかということでちょうど取り組んでおりまして、今ISOの人間工学のディレクトリがあるのですけれども、そちらにニューワークアイテムということで新規提案をさせていただいて、今年の9月にテーマとして採択されまして、これから実際の規格づくりのプロセスに入るところでございます。

最初は仲間だけのルールだったものをできるだけ広い方に使っていただこうということで、活動を鋭意しているところでございます。

○新川座長 ありがとうございました。

その他、いかがですか。

どうぞ、尾嶋委員。

○尾嶋委員 感想になりますけれども、先ほどの近江八幡市のように、子どもたちは商品をたくさん使っていますが、無意識に使ってしまっている傾向があるかと思いますけれども、こういう取組みをすることによって、今使っている商品がどういうものなのか、どこが悪いのか、どこが良いのかをもう一回見直すきっかけになり、これはとても良い取組みだと思います。消費者教育も低年齢から、小学校のときから行う必要があるというところからすると、それに見合ったものだと思いまして、ありがたい取組みだと思いました。ありがとうございます。

○新川座長 ありがとうございました。

その他、いかがでしょうか。

どうぞ、八木委員。

○八木委員 子どもの目線ということからしますと、これは大人が考えた子どものための商品ということなのでしょうけれども、子どもが考えたときに、すばらしい商品みたいな切り口は何かないのでしょうか。

○新川座長 いかがでしょうか。もし何かお考え、お取組みがあれば、お願いします。

○特定非営利活動法人キッズデザイン協議会安好専務理事 今これというのは思い浮かばないのですけれども、先ほどおっしゃったように、子どもたちが主体となっていろいろな取組みをしていく、それを表彰しようという考えはございます。今年、来年あたりにそういった部門を設けるかどうかということも考えております。

○八木委員 子どもに何でもいいから出してこいと言うと、おもちゃっぽいろくでもないものを言ってくる可能性があると思うのですけれども、審査基準としてこういうものだみたいなことを出した上で、子どもたちが真剣に未来のための商品は何なのだろうと考えて提案したり、あるいは既存の商品に対して投票したりすることで、消費というものに対する正しい目みたいなものを育成することができたらいいなという観点で申し上げさせていただいたので、もし可能性があるのであれば御検討いただければと思います。

○新川座長 よろしくお願いいたします。

その他、いかがですか。

どうぞ、西田委員。

○西田委員 今の八木先生の御質問に対する補足なのですけれども、キッズデザインの取組みの中に「こどもOS」という取組みがありまして、縞々になっているのが子どもにとっては面白いとか、波々になっているのが面白いとか、子どもにしゃべってもらって、それを子どもにとってどう見えるのかの観点から何項目か整理して、こう見えているのですよというのを整備したというものはありますね。それは子ども目線のものに近いかと思います。

もう一つ、子どもに考えてもらうという取組みをやったことがあるのですけれども、例えば学校で画鋲が落ちてきて踏んで痛いという事例をどうするとかという課題を伝えます。それは身近な問題なので、そうすると針の部分が凹むものをデザインしたらどうだというアイデアが出てきました。お風呂で子どもが溺れるのをどうするというのを子どもに考えてもらうと、昔、五右衛門風呂というものがあって木が上に浮かんでいた。ただ、体重が軽い子は沈まないのだけれども、お年寄りとか大人が入ると沈むみたいな、そういうものはどうだと。実現可能性は分からないのですけれども、そういうアイデアをいろいろ出してくるというのは結構盛り上がるので、そういう意味で消費者教育にもいいのかなという印象は持っています。補足説明です。

○新川座長 ありがとうございました。

子どもたちに考えていただく機会を積極的に作るという意味でも大切かもしれませんね。

その他、いかがでしょうか。

おおよそよろしゅうございますでしょうか。

本日、キッズデザイン協議会の皆様方から本当に貴重な御活動のお話をいただきました。

まずは、子どもたちに安心・安全な商品の開発や提供というところから、それにとどまらず、よりよい製品に向けてのクリエイティブな活動につながり、更にそれが子どもたちの学びや育ち、産み育てやすい環境づくりにまで広がっておられて、大変関心を持ちながらお話を聞いていました。

特に私どもの調査会にとりまして、キッズデザインの標準化は非常に大きな御示唆をいただいたかと思っております。これからの消費者問題、あるいは様々な消費者教育を考えていく上でも、こうしたプロセスをどう作っていくのかというところで、商品開発にせよあるいは消費者の安全を考える手順にせよ、場合によっては消費者被害に遭わないプロセスづくりというのもあるのかもしれませんが、ともかくそうしたデザインを通じての消費者保護も本当に真剣に考えていかないといけないと改めて示唆をされたところがたくさんございました。それが商品ですから、JISあるいはISOの人間工学部門ですと、より品質管理的な側面が強くなると思います。そうしたところでも大変示唆に富むお話をいただきました。

また、各企業様だけではなくて自治体・行政との連携や協力、まだまだこれから開発の余地がいろいろおありのようでございますけれども、そうしたところもこれからの地方消費者行政を考えていく上では大変参考にさせていただくところが多うございました。

今日のお話をしっかりと参考にさせていただきながら、私どもも議論を深めてまいりたいと思っております。

何よりも当事者の視点、目線を、当事者自身の行動をベースにして考えていく。このあたり、子どもたちのみならず私どもが考えております全世代というか、全方位というか、そういったところにもう少し広げて議論を深められればと思っております。

本日は、大変私どもにとって参考になるたくさんの御示唆をいただきましたことに感謝を申し上げまして、キッズデザイン協議会の皆様方からのお話は以上にさせていただきます。どうもありがとうございました。

(特定非営利活動法人キッズデザイン協議会退室)


≪3.閉会≫

○新川座長 以上で全ての議事は終了ということになります。

本日は長い時間にわたり熱心に御議論をいただきまして、ありがとうございました。

以上をもって、閉会とさせていただきます。

お忙しいところをお集まりいただきまして、本当にありがとうございました。御苦労さまでございました。

(以上)