第15回 消費者安全専門調査会 議事録

日時

2012年7月13日(金)10:00~12:07

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
松岡座長、中川座長代理、内堀委員、片山委員、佐竹委員、佐野委員、齋藤委員、
田澤委員、鶴岡委員、中嶋委員、中村(晶)委員、中村(均)委員、横矢委員
【消費者委員会担当委員】
山口委員長代理、夏目委員
【事務局】
消費者委員会 原事務局長

議事次第

1.開会
2.前回までの議論の整理
3.消費者への注意喚起情報伝達に係る現状と課題について(第14回に引き続き)
4.その他
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:68KB)
【資料1-1】 前回(第14回)の議論の整理 (PDF形式:99KB)
【資料1-2】 第13回までの議論の整理 (PDF形式:186KB)
【資料1-3】 対策案検討表(第14回の意見のまとめ) (PDF形式:61KB)
【資料2】 第14回消費者安全専門調査会後の質問と回答 (PDF形式:128KB)
【参考資料1】 ブリヂストンサイクル(株)提出資料(第14回消費者安全専門調査会資料) 【参考資料2】 パナソニック(株)リコール後の取り組みについて(第14 回消費者安全専門調査会資料)
(参考資料2-1) 消費生活用製品安全法第82条に基づく緊急命令について(経済産業省ニュースリリース2005年11月29日)(PDF形式:178KB)
(参考資料2-2) 緊急対策の進捗状況と今後の活動および製品安全対策の取り組みについて(パナソニック(株)広報資料2006年5月16日)(PDF形式:151KB)
(参考資料2-3) 再発防止に向けた市場対策の取り組みについて(NITE広報資料)(PDF形式:747KB)
(参考資料2-4) リコール告知パンフレット(パナソニック(株)広報資料)(PDF形式:474KB)
(参考資料2-5) 回収情報 パナソニック石油暖房機(国民生活センター広報資料)(PDF形式:368KB)
(参考資料2-6) 事例紹介(パナソニック(株)広報資料)(PDF形式:127KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 本日は、朝早くから、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会消費者安全専門調査会」の第15回の会合を開催いたします。
 本日は、消費者委員会山口委員長代理が少し遅れて参加いたします。御了承ください。
 配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 配付資料一覧は議事次第の後ろに載せております、資料1は、1、2、3とございますけれども、前回の議論の整理とこれまでの議論の整理、資料1-3は対策案検討表。第14回の意見を、このマトリックスの中に入れるとこういう御意見があったということで、はめ込んでみたものが資料1-3になります。
 資料2は、前回、ブリヂストンサイクル様からお話を伺いましたけれども、追加の御質問が出たものですから、お願いいたしまして回答をお寄せいただいたものを、資料2としておつけしております。
 参考資料の関係は、前回の資料をそのまま、本日の議論の参考にもなるかと思いまして、おつけしております。
 資料は以上です。不足ございましたら、また、審議の途中でもお申出いただければと思います。
 それでは、松岡座長、議事進行、どうぞよろしくお願いいたします。

○松岡座長 本日は、消費者委員会事務局から原事務局長に御出席いただいております。
 本日の会議につきましては、公開で行います。議事録についても、後日公開することにいたします。

≪2.前回までの議論の整理≫

○松岡座長 それでは、議事に入りたいと思います。
 「前回までの議論の整理」ということですが、委員の皆さんから出された御意見を「消費者の警告に対するリスク認知・リコール対応メカニズム」の3段階に分けて資料1にまとめてあります。内容について修正の御要望等ありましたら、後ほど事務局にお申出ください。
 資料1-1は、第14回でのブリヂストンサイクル様からのヒアリングをもとに委員の意見をまとめたものです。資料1-2が、第13回までの御意見を集約した形で、かなりまとめたところでございます。この2つを見比べますと、第14回では、IIのリスク認知の問題、リスク回避の問題についての御意見が増えてきているのではないか。より具体的な問題や対策案が出されてきているように思います。
 今回は、前回に引き続きまして、ブリヂストンサイクル様やパナソニック様の事例をもとに、より具体的な課題や対策案について御意見をいただきたいと思い、フリーなディスカッションの場を設けております。
 議論の参考として事務局で用意いただきましたのが、資料1-3です。マトリックス表になっておりまして、まだ埋まっていない箇所がだいぶありますが、第14回の議論でどんなことが出たかのポイントを書いたもので、これをもとに、縦軸として、行政、地方自治体、企業といった想定されるものを書いてあります。どの段階の議論をしているかということを頭に入れる参考にもなるかと思いますので、これをもとに、ある程度整理した形で本日は議論を進めていただければと思います。
 このような形で進めていきたいと思いますが、よろしくお願いします。
 十分時間がありますので、皆さん、日ごろ言い足りなかったこととか、うっ積していたこともあるかと思いますので、自由な意見で集約に向けていきたいと思っています。

≪3.消費者への注意喚起情報伝達に係る現状と課題について(第14回に引き続き)≫

○松岡座長 まず、消費者への注意喚起情報伝達に係る現状と課題について、議論に入りたいと思います。資料2は、ブリヂストンサイクル様に対して追加の質問が出されまして、ブリヂストンサイクル様から回答が届いております。その内容につきまして、まず事務局から御説明を伺いまして、それを口火として議論に入っていきやすいのではないかと思いますので、資料2についての御説明をよろしくお願いいたします。

○原事務局長 資料2について、簡単に御説明したいと思います。前回、皆様からの御質問が非常に活発に出されて、大変参考になることがたくさんございましたけれども、追加質問をいたしまして御回答を得て、これも大変参考になるのではないかと思っております。
 全部を御紹介いたしませんが、重立ったものというところで、3番目の質問のところです。「ホームページの回収効果が○になっているのは、意外に思う」という御質問でしたが、回答を見ていただきますと、1行目に「他の情報がトリガーとなって、ホームページで詳細情報を確認して、行動を起こす人が多い」、3行目に「補助情報として効果的と御理解ください」と。一つの情報の扱いというのでしょうか、それぞれの情報の時間軸とか、内容も含めての扱いというのも参考になるのではないかと思います。
 4番は、今回のリコールのコストはどれぐらいだったのか、金額的な明示は難しいでしょうというお話をいたしましたが、やはり大規模な回収であり販売金額以上の費用を要したということで、大変なコストがかかっているということです。
 6番目は、いつまで現在の回収を継続するのが合理的と考えているかということで、期限についてですが、リコール製品による事故がなくなるのが第一で、100%回収が求められる。ただ、いろいろな状況を考えると難しいということで、下から3行目に、「製品のリスク度(頻度と危害程度)を勘案し、標準的な目標をガイドライン化できれば、合理的なリコール活動につながると考えます」というふうに御回答されています。
 8番目に、周知の方法で効果的だった上位3件、期待はずれだったもの3件というのを直接お聞きしております。効果的だったものの1番目は、マスコミ報道を伴う新聞社告、2つ目がユーザーの属性を考慮したポスター・チラシ配布、3番目が新聞折込広告となっています。期待はずれというのでしょうか、余り効果がなかったというのが、単独の新聞社告、雑誌広告、意外にファミレスのインストアー広告がそうではなかったということで挙がってきております。
 10番と11番ですが、消費者庁の協力により、自治体消費者窓口へ情報発信されたとのことですけれども、このことについてもう少し詳しくということですが、消費者庁より都道府県の消費者窓口に対して電子メールで回収情報の文書・チラシの発信をしていただいたということです。11番目の回答の2行目ですけれども、「自治体より協力依頼があったもので、消費者庁経由の情報発信の効果と考えます」という御回答です。
 12、13は、量販店、販売店との連携のお話です。いろいろな連携策が考えられるということですけれども、12の回答の4、5行目にかけて、「集客力のある場所での周知・交換活動なので、全国一律に実施するのは難しいですが、効果的と考えます」ということです。やり方によっては非常に効果的ではないかということです。
 最後、15番目ですけれども、回収に関して、コールセンターに寄せられたお客様からの御意見を可能な範囲で開示いただけませんかということです。回答は、以下のとおりということで、一番多かったのは交換連絡の遅れ。これは交換品の供給が間に合わなかったというところで、リコール交換開始初期にいただいたたくさんの御意見だったということです。それから、近くに対応してくれる店がない、販売店の対応が悪いというのも、交換品の供給の話と合致するかと思います。
 こういった御回答をいただきまして、これらも、取りまとめに向けては大変参考になる意見ではないかと思っております。
 簡単ですけれども、事務局から御紹介いたしました。

○松岡座長 どうもありがとうございました。ブリヂストン様からだいぶフランクに具体的な御回答をいただいたと思います。これに関して、御意見等ございますでしょうか。
 どうぞ。

○齋藤委員 15番目の最後のところは、恐らくリコールする企業はみんな気にしているところだと思います。部品の交換をしたり、修理をするときに、補修パーツが全部そろっていないと、お客様が来たときに「何をしてくれるんだ」ということでクレームが殺到します。その準備ができてからというと、その間に事故が起こったらどうするのかが気になる。この点が悩ましい。それをどういうふうに世の中で理解していくかが大切だと思います。

○松岡座長 今回は特殊なブリヂストンさんの座席ということで、効果的なものと期待はずれなもの、具体的なものが出ていたので、この辺は、商品によっては違ってくる可能性がありますが、重要で非常に参考になるかと思います。
 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 自治体については、今までの内閣府の共通指針、あるいは警察・消防関連のリコールハンドブックの改定についての議論を通じて、内閣府のときはこれは課題として上がりませんでした。リコールハンドブック改定の際には取り上げたのですけれども、具体的にどういうルートでやれば効果的になるのかというところまでは、踏み込んだ議論にはならなかったのです。
 ブリヂストンさんの回答で、おもしろいというか、有効性がありそうだなと感じたのは、消費者庁経由で都道府県に流してもらう。そうすると、都道府県から市町村にも流れたのかもしれないと思いますけれども、それでホームページで紹介されたり、広報誌に掲載されたりしたという流れが一つできたのかなという感じです。企業から直接、都道府県なり市町村にということになりますと、かなり手間もかかるでしょうし、全国的な団体を通じてやるというルートも考えられると思いますけれども、消費者庁経由のルートも大いに役に立ちそうだなという印象を受けました。

○松岡座長 消費者庁というものがちゃんとできたということで、それを活用したルートで地方自治体にということですね。
 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 おはようございます。今、資料2の話がありましたが、まず、法律論を考えてみたいと思います。これは、消費者基本法の第11条には回収について触れられていて、ここには事業者としか出ていないのです。回収の責任は一体誰にあるのかを、はっきりさせる必要があると思います。というのは、製品安全4法では、回収する責任を負っている事業者は、製造メーカーもしくは輸入販売業者です。流通は自主的に回収をするというところで、「協力の義務」となっているだけで、責務はないのです。
 しかし、流通事業者も製品を販売することで利益を得ている訳ですから、流通事業者にリコールの責任を応分負っていただく必要があると考えます。リコールの責任をメーカーと輸入事業者と流通事業者にシェアしていただきたいと思っています。
 そうしますと、何がメリットで出てくるかというと、量販店のポイントカードに入っている販売履歴をリコールの際に使用が可能になることです。ここで問題になるのが個人情報保護法です。目的外使用になりますので、ここもクリアしないといけないですけれども、流通事業者さんにリコールの責任を応分に負っていただくことができて、なおかつ消費者保護法もクリアできると、誰がいつどこで何を買ったかの情報が手に入る訳です。これは、メーカーにとっては、リコールのために非常に欲しい情報だと思っているわけです。
 なぜこんなことを言うかといいますと、13番を見ていただきたいのですが、量販店、販売店との連携構築における課題は何でしょうかというと、最後に「適正な対価も課題です」と書いてあるわけです。対価を払わないとだめなのか。でも、売った人はそれによって利益を得ているわけです。メーカーは、つくってそれを販売することによって利益を得たのですが、こういうリコール品が出てくると、そこで利益を吐き出さざるを得ない。一方、流通事業者として製品を売った人は利益を得ているのに、その利益を吐き出さないのか。これはどう考えてもおかしな議論なのです。そういう意味では、まず法律論を少し考えてみる必要があるのではないかと思います。

○松岡座長 根源的な貴重な御意見をありがとうございました。確かに今までの考え方だと、販売者はどうして義務があるのかという、単純で素朴な疑問が出てきます。普通だとあり得ないのではないかと思いますけれども、今の御議論ですと、利益をそれによって得ているという根拠から、あり得るという考えもあり得るのかなと。もし販売者にもリコールの応分の義務を御負担いただくとなったときには、周知の方策が少し効率的になる可能性があるということです。この辺、話題が少し根源的なことになりますけれども、せっかく貴重な話題ですので、御意見はございますか。法律的にも難しい問題があるかなとは思いますが。
 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 販売業者が責任を負うということになると、直感ですけれども、もっと積極的に情報が届くようになると思います。それから、一番違ってくる可能性が強いのは輸入業者です。輸入商社ではなくて、国内で本当に流通するところが大半の情報を握っているわけです。それが責任を負うことになると、名ばかりの輸入業者で、いつ倒産するかというような業者経由で輸入したものも、きちんと捕捉できるようになるだろう。販売事業者責任ということで。その可能性が高いと思います。

○中嶋委員 現行の製品安全4法では、輸入事業者は回収義務があります。

○齋藤委員 輸入事業者は弱小が多いのです。

○中嶋委員 勿論、そうです。ですが、弱小の問題はまた別の議論になると思います。

○齋藤委員 私はちょっと違うと思います。日本は輸入がだんだん増えていく。すぐに店をたたむ企業が今後は出てくると思うのです。そういうものを許さないようにするためには、流通段階で関与する者の責任もあるのではないか、という議論があり得ると思います。そうすると、たたんで逃げる業者は許されなくなる。そういうところとは恐らく取引しなくなります。それが期待できると思います。

○松岡座長 非常に貴重な提言だと思います。この辺は、今後の議論で可能であるかどうかということも含めて、反響は大きくなってしまうと思いますが。
 どうぞ。

○中嶋委員 今、一番困っておられるのは大手企業さんです。リコールでは100%まで回収しないといけないのかと。今の法律では、どこまで回収したらいいかということを書いていないのです。実際に強制的にリコールしろと言われている案件は非常に少ないのですが、自主回収であっても、どこまでやったらいいとは書いてくれていないのです。100%はあり得ない話ですね。でも、私たち消費者としては100%まで近づけてほしいと願います。
 弱小事業者が売り逃げをしていくというのは、どの段階でもあるわけで、ちょっとその議論は横に置いて考えましょう。大手の事業者がリコール回収を100%までやろうとしているけれども、できないでいるのが現状です。では、誰の協力があったらできるかというと、販売事業者、流通事業者です。いわゆる大規模店舗を持っているスーパーマーケットとか、もしくは専門大店とかになるわけです。販売事業者・流通事業者はポイントカードの制度を持っているのが普通で、顧客の誰がいつ何を買ったという情報を完全に捕捉しているので、そのデータを出してもらえればリコール回収の大きな力になります。限りなく100%に近くなるではないかと思います。また、そこまでやったら消費者としてはOKだというふうに言ってあげないと、事業者も大変だと思います。
 弱小業者の問題は、輸入販売した製品が問題を起こすと、会社を倒産させて別の名前の会社を設立してまた輸入販売することにあります。製品で問題を起こしたAという会社がつぶれて、何もしてくれなかった。そこでA社とはもう取引をしませんと言っていると、違う会社の名前で輸入販売を始めるのです。このような問題には、安全規格とかで、事故を起こしそうな製品は売れないというふうにしないといけない。リコール回収の対象にして勝負しようというのは、かなりつらいものがあると思います。
 だから、リコール回収については、大手の事業者というか、信頼できる企業と言ってもいいですけれども、そこのリコール回収を容易にするような仕組みを作ることが大事だろうと思います。その次に、自分たちではリコールしたくない企業のお尻をどういうふうにして叩くのか、というのを考えていくのが大事だろうと私は考えます。

○松岡座長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 私は、リコール回収というのは基本的には自主的な取組だと思っていて、どこもリコールしなさいという強制はしていないと思っています。企業によって考え方は違うし、やり方は違うし、ばらばらであって、ある意味ではすき間だと思っています。それをきちんとするには、リコール推進法のような形で、一体どうやってやるべきかというある程度のもの、きちんと枠に入れたものをつくるのが企業にとってもやりやすいし、行政にとっても、情報の提供の仕方とか、やりやすいのではないかと思います。最終的にはそっちの方向できちっとした枠組みを作ること。これだけリコールがあって、リコール製品による二次被害もあるわけですから、それは方向づけができるのではないかと思います。

○松岡座長 片山委員、どうぞ。

○片山委員 今のお二人の意見を聞いていて感じたのですが、リコールの問題は、要するに市場に出回っている危険な商品をどうやって回収し、危険をなくすかにある。それについては、注意喚起をしたり、情報を流すというのは行政の役割でもあるだろうし、実際に回収するのはメーカーと販売店。ただ、メーカーと販売店は法的には随分責任は違っていて、それを同じレベルでリコールの責任があるという議論をしても、なかなかうまく整理がつかないだろうと思います。だから、どの部分について最終的に誰が責任を持つのか。重畳的にといいますか、みんなが協力してやるというスキームになると思いますけれども、そこの主たる責任者と、それぞれの役割分担というのはもう少し整理ができるのではないでしょうか。
 この前のブリヂストンさんの話を聞いていても、製品を修理したり回収するというのはブリヂストンさんしかできない。それを販売店がお手伝いをするということでしょうけれども、一番最初の情報をどう流して消費者にリコール情報を伝えるかというところは、もっと行政もかかわっていくべきだし、むしろその方が、効果あるいはコストの面でも、事業者に莫大なる負担をかけてということにはならずに、まさに誰かがおっしゃっていた、誰でもがやれるリコールというイメージをつくれるのではないかと思います。

○松岡座長 各種当事者のかかわり方をきれいに整理しろということですね。貴重な御意見、ありがとうございます。
 中村委員、どうぞ。

○中村(均)委員 問題を整理したいのですけれども、今、2つぐらいのことが同時に話されているような気がしますが、一つは、効果的に情報を流すというときに、一体誰に効果的に流すのかということだと思います。というのは、ブリヂストンさんの例とか、パナソニックさんの例を聞いたときに、私は事業者の卒業生として、事業者側としてはやれることは全部やっていると思うのです。これで100%にいかないというのは、要は消費者側が、情報が入っても行動しないというパターンがあると思うのです。
 自分の実際の例からも、給湯器の違法設置があって、我々がアフターサービスといって、これは違法設置だから業者さんに頼んで直してください、そうでないと我々は器具は直せませんと言っても、直されない方が現実におられるわけです。この場合、放置したら我々に責任があるので、こういうふうなことで直してください、直していただいた暁には我々は直しますという文書まで出さないと、後で責任問題まで問われるわけです。
 それぐらいしても直さないという消費者の方が現実におられるのです。そんな人にまでリコールで100%やれというのは、事業者に到底やれないことを言うことになってしまう。我々が効果的に流さなければいけない消費者の方々というのは、どの部分までを言うのか。これは非常に難しいと思います。官庁の関係から言って、国民に差をつけるわけにいかないから、100という言葉を使わざるを得ないと思うけれども、どこかで、ある部分は対象にしないようなことを考えていかないと、とてもではないですが、できないような枠組みをつくってしまう。
 だから、まず1つ目の問題として、我々が対象にする消費者とはどこまでなのかというのを、決めていいのかどうか私はよくわからないけれども、情報が入っていても行動しない人。そういう人たちのパターンをちゃんと見極めて、行動してもらうようにある程度努めるのは当然ですけれども、それでもしない人たちにまで100%リコールを徹底するというのは、私は、それは求めるべきではないという意見です。その辺を決めないと、片山先生や中嶋先生のおっしゃっている販売業者とメーカーの役割というのも論じられないと思います。
 100をいくのか、それとも情報を流したところで行動してくれる人たち、これは一握りだと思います。逆に、自分から情報を探る人たちもいます。その人たちはすぐ行動をなさるわけです。そうではなくて、2・6・2が該当するのかどうかわかりませんけれども、2・6ぐらいまでを念頭に置いて議論をやるとか、あるいは、そんなことではだめだ、やはり100だというのでは、議論の突っ込み方が違うような気がします。そこをまず最初にみんなで意思合わせをしたいというのが意見です。

○松岡座長 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 そのために1-3の資料が準備されています。これをパッと見たときに思ったのは、本当は「消費者向け」というのがもっと大きな欄になっていないといけないと思いますけれども、今の議論というのは、右端のリスク回避の問題と消費者向けの項で話をしましょう、ということだと思うのです。TOTOさんが納められたお風呂の違法設置、これを直してくれないと言われますけれども、その人をどうやって見つけられましたか、というのが私の質問です。TOTOさんの場合には、そういうものを見つけられる仕組みがちゃんとおありだから、そこのおうちまで行けたわけですね。実は買ってくれた人がわからないというのが、ブリヂストンさんのこの間のチャイルドシートの話だと思うのです。普通のお店で買って帰られました、手で持って帰られましたと言われると、一体どこの誰が持って帰ったかわからないので、訪ねても行けない。
 捕捉しないとだめではないかといったときに、メーカーと同じだけの責務を負いなさいといっても、修理できないではないかというのは当然ですね。しかし、費用は負担できます。まるで日本とアメリカの防衛費みたいな話で、守ることは私たちはできないけれども、お金は出しますから兵隊さんを置いておいてください、みたいなことはできるわけです。それが私の言う応分の負担なのです。販売店は応分の負担をすべきです。理由は、売ったのだから、儲けたのだから、メーカーと一緒にその利益を吐き出すべきでしょう。メーカーだけが吐き出すのは不公平ではないかと思います。自主リコールであっても、メーカーと流通事業者・販売店が話し合ってやるべきではないのかと思います。
 佐野先生は、リコールは基本的に自主的にやるものだとおっしゃいます。それはそれでいいと思いますが、自主的にやろうというのはメーカーなのか、販売店なのか。私は両方が考えることだと思うのです。販売店リードのリコールがあっていい、メーカーリードのリコールがあってもいい。リコールの目的は安全性だけではなく、極端に言うと、見てくれが悪くなっているので、印刷のミスとかそれで回収したいというのも、食品などは現実にはあるわけです。そういうのも含めた上での議論なのです。そういう意味では、それぞれの当事者に応分の負担があるでしょうと。それをサポートしていくのが行政の仕事みたいにしておかないと、ソーシャルコストはどんどん膨れ上がっていくと思います。

○松岡座長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 100%回収という話が出てきたので、今、リコールの在り方そのものがどうなっているかという整理が一つ要ると思い、コメントさせていただきます。
 この間、パナソニックの事例では、76%でしたか、そこまで捕捉を達成して、まだ4分の1ぐらい残っているということでした。けれども、私は、実際には世の中にはかなりの部分が残っていないのだろうと思います。廃棄されたものが結構あるはずですが、廃棄されたことを証明できない。企業にとっては何を100%に設定するかというのが恐らく一番大きな悩みだろうと思います。
 もう一つは、リコールという言葉を使うときに、リコールに関する相場感が語る人によって違っていると思います。
 第1に、最低限これだけはやれというレベルがあると思うのです。例えば倒産企業に関する商品で、発火事故や死亡事故があった場合も、私は消費者庁がやるしかないと思っていますけれども、最低限のことはやってほしい。これが多分最低限になるのかなと思います。けれども、前回か前々回か、外部から来られた方が説明されている中で腑に落ちなかったのは、店にポスターを貼っているとか、ポイントカードで把握できるところまでは連絡したということをもって、リコールしたという説明でした。これは最低限も最低限で、それプラスアルファ何をしたのかというのが私の考えるリコールなのです。けれども、リコールしたと言い切っておられました。ちょっと違うなと感じました。
 2番目は、望ましい水準。業界ではこのくらいまでやっているだろう、そのくらいはやってほしいという、望ましい水準というのがあるだろう。例えば新聞社告というのは、お金がかかるとか言われます。やる企業もあるし、やらない企業もある。これはどっちなのかというようなこと。消費者にしてみると、会社の規模の大小は関係ない話で、要するに自分の持っている商品が火を噴くか、噴かないかという話です。やるべきならやれ、という発想になると思います。その辺をどう設定するか。ブリヂストンさんも言われていましたけれども、業界ごとにガイドライン・常識のようなものがあるのではないか。それを目安にすれば何とかできそうだと思います。
 3番目は、ここまでやった企業がある、という事例です。前回、ブリヂストンとパナソニックの例がありました。委員からも、みんなにあの対応を求めたらつぶれる会社が出てくる、そこまで要求するのかというコメントがありました。けれども、チャンピオンというか、ここまでやった企業がある、参考にしよう、という位置づけにはなると思います。個別訪問して物置の中までチェックすることを全社に求めると、恐らく通信販売などをやっているメーカーさんはつぶれると思います。そこまでは求めないにしても、何か高水準の事例集のようなものができそうです。
 大きくこの3つぐらいに分け、どの水準を自分は念頭に置いてリコールの話をしているかを明らかにしないと、なかなか議論が収れんしないと思います。

○松岡座長 どうもありがとうございます。皆さんの御意見を伺っていますと、100%というか、すべて回収すべきだという考えではないということですが、ただ、どこで線を引くか、どういう基準で、そこまででよろしいですということを言えるのかということですね。最終的には社会的なコンセンサスで、そこまでやったら、それ以上企業さんは無理に努力しなくてもいいでしょうと。万が一何かあってもそれは責任問題にならないでしょうということが、社会的に認められればいい。妥当な線を打ち出せれば一番よろしいかと考えていますが、その辺もなかなか難しい問題で、ガイドラインに相当することに最終的にはなるでしょうけれども、最善の場合にはそこまで手を尽くしてくださいということが、打ち出せればいいかなと考えております。
 中川委員、何か御意見はありますか。

○中川座長代理 今のお話は、ちょうどブリヂストンさんの回答から来ていますね。6番目で、事故の発生状況、残存数、回収数、認知度と。どこまで要求するのかといった場合、行政処分で回収していることはほとんどないので、事業者が世間から求められているところを忖度してという認識だと思います。つまり社会的責任、ちょっと漠然とした言い方ですけれども。そうしますと、ガイドラインのところでそういった趣旨のことを積極的に入れていくと。それは商品によっても業界によっても違うでしょうから、社会的な責任としては大体この辺りが目安であるというのは、発想として入れていくべしというまとめがここでできるかどうかというのが一つ。
 次に、そのことと、法的責任とは別ということですね。社会的責任は果たしただろうということで、一応リコール活動は抑えたけれども、事故が起きたといった場合にどうなるか。これはまた別の問題です。その場合に、事業者に法的責任があるかどうかを我々が決めるというのはなかなか難しくて、裁判所になります。ただ、中村委員が先ほど御指摘になった、「これだけ回収活動をやったのに、消費者からは何も反応してくれなかったのに、なのに事故が起きた。そこまで事業者に責任と言われても困る」という辺りは、恐らく過失相殺という形で、事業者の法的責任がどこまであるのかが論点になろうかと思います。確かにリコール製品だけれども、事業者はリコールのためにやるべきことをやって、むしろ事故が起きたのは消費者に責任があるというふうな判決が出るかもしれない。だから、リコールをやめたとしても、なお事故が起きれば企業は法的責任を追いうるのですが、しかし、必ず企業の法的責任かというと、そうでもない可能性もあるというところで、社会的責任と法的責任は分けて議論した方がいいだろうと思います。
 三番目に、最初の中嶋委員と片山委員の応酬を聞いていて、これは非常に根源的な問題で、今回の3つに分けた認知度の前の話です。輸入事業者に回収の法的な責任があるのになぜ販売業者にないのかというのは、私は前から疑問に思っていたところであります。
 他方で、販売事業者にもリコールをする法的責任がある。つまり何かあったら、あなたが最終的に金銭で面倒を見なければいけませんと言われると、恐らく販売事業者は、そこまで私たちは製品の情報を教えられて、販売しているわけではないと反発するでしょう。つまり、リコールされるような製品ならば売らないし、リコールされるということがある意味望ましいのかもしれませんが、販売事業者はそんなことまで言える立場ではないし、そこまで判断しようがないから、責任を負わされても困るという反論は当然あると思います。製造業者の方は製品のことは全部わかっているという前提で、彼らが設計している、あるいは設計する元締めであるということで、リコールの責任を負うのは明らかだと思いますが、販売業者がどこまで安全性にかかわっていると言えるか。販売で儲けてはいるかもしれませんが、製品の安全性へのかかわり方という意味では、あってもごく部分的にしか責任を負うことはないという理屈はあり得ると思うのです。例えば、販売した以上は回収に協力するところの責任はあり、できるだけ顧客情報の提出に協力せよということはできるかもしれない。ですが、それ以上の責任があるのか。製造業者と一律には議論できないのではないかと思います。
 輸入事業者との関係では、広い意味で輸入業者は販売業者ですね。そこの区別が法的にどこまで説明できるのかというのは、関心のあるところだと思います。

○中嶋委員 製品安全4法では義務があります。

○中川座長代理 だから、なぜそう義務なのかについての立法趣旨ですね。なぜ輸入事業者にあって、販売事業者にないのかという辺りです。という意味での法的な責任の問題はありますが、他方で、今まで議論してきたのは、警告の認知性のところでは、販売業者が情報を持っていますから、そこを利用すればいいではないかというのは、法的な責任まで云々しなくても議論できる話です。ユーザーがどんなふうに使っているか、どこに立ち回るかというのを、ブリヂストンさんがやったように、先回りして、保育所に言えば何か伝わるのではないかとか、販売店はある程度持っているだろうというふうなところを、あちこち使っていけばいいではないですかという、それだけの話ですので、法的責任まで踏み込まなくてもできるかなという気はします。

○松岡座長 貴重な御指摘、ありがとうございました。
 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 どこまで回収するかという問題ですけれども、先ほど紹介したリコールハンドブックの改定のときに、相当時間をかけて議論をしたわけです。結局、商品の流通の形とか、商品の性格とか、そういったさまざまな違いから見て、数字で何%と示すことは不可能であろうと。私もそういう意見ですけれども、危ない商品が出回っているのを、できるだけここは回収してもらわなければいけないという立場から、窓口は開けておく。そういう形で数字を書き込まなかったという経緯があります。
 メーカーの負担の大きさなども考えますと、100%回収を求めるというのは難しいと思います。したがって、メーカーの最大限の責任範囲というのは、窓口を設けておく。消費者側から問合せがあった場合には答えられる。消費者サイドから見ても、情報にアクセスできそうな人と難しい人もいるわけです。特に高齢者などの場合はそうだと思います。そうすると、消費者側に責任を負ってもらう形というのもやはり無理だと思うのです。したがって、企業側の対応できる形を継続していただく、そういうことになるのではないかと思っています。

○松岡座長 佐竹委員、どうぞ。

○佐竹委員 リコールの回収率のことですが、100%は無理だというのはわかりますけれども、これはどういうリコールに対して100%しなければいけないのか、100%でなくてもいいのかというのはやはり必要だと思います。先ほどから御意見があるように、いろいろなリコール対象があると思いますので、重大事故、要するに死亡事故になる、そういうリコールは100%回収を目指すべきだと思います。そうではなくて、私たちは日常、いろいろな事故の情報が寄せられますが、製品でやけどをしたとか、ちょっと手を切ったとか、そういうものでも多数起こりますと、企業がリコールされる場合もあると思いますが、死亡につながらないようなリコールであれば何%を目指すとか、同じリコールでも、100%を目指さないといけないものと、目指さなくてもいいものを分けて考える必要があると思います。それぞれのリコールに対し、何%かというと、これはそれぞれの基準が要ると思いますけれども、そういう基準が必要ではないかなと思います。
 それと、零細企業は、企業だけにリコールを求めるのは難しいというのはよくわかりますが、追加質問の11に、「消費者庁経由の情報発信が効果と考えます」と書いてあります。確かに今、地方行政にリコール情報が随時入ってきます。しかし、死亡に至るような重大なリコールでも、企業が良心的に行われたようなリコールでも、同じような状況でリコール情報が入ってくるのです。行政の方でもそれを全て精査して、これは重大な事故だから、もっとみんなに親身に広報しなければいけないとか、これはそんなに重大なリコールではないので、普通にセンターの中に掲示していればいいではないかとか、そういう分けて広報するところまで行っていませんので、やはりリコール情報を行政に伝える時点で、これは死亡事故につながる重大なリコールなので、行政も力を入れて広報してくださいというところまで指導をいただかないと、リコール情報をいただいても有効にアピールできないのではないかというのが実感です。

○松岡座長 夏目委員、どうぞ。

○消費者委員会夏目委員 やはり消費者を守るという意味では、限りなく100%まで回収はしていただきたいと思います。勿論、製品によってリコールの内容に差がありますし、販売数とか、販路とか、さまざまな形で差があるのはわかりますけれども、基本はそこにしていただかないと危険は減らないだろうというふうに思います。
 そういうふうにお願いしたいと思いますし、もう一点は、販売することによって直接金銭的に利益を得る企業、製造業者、流通業者、販売店も含めまして、そういう方たちは、どこが100%負担するかということは別にしても、相応の負担をして回収に努めるべきだと私は考えます。最初に御提言がありましたように、法的な枠組みも変えていく必要があるではないかというのもすばらしい御発言ですし、ブリヂストンさんが回答をくださいましたように、先ほど中川先生がおっしゃったように、リスク度とか、残存率の標準曲線整備とか、実際にリコールをしてみて、課題がここにあるんだということを体験から御提言いただけるものがありますので、是非、それを盛り込んでまとめていただくことがよろしいかなと思います。
 先ほど、最終的な消費者のところまでいっても、なおかつリコールに応じてくれないというお話がございました。また、そういう事例はどこにでもおありになるだろうと思います。ですが、多くの消費者はそうではなくて、そこまでいっていないというふうに思います。つまり、危害情報、リコール製品であることがわからない。リコール情報が流れていても、自分が使っている製品に落として、自分にとって危険な製品であるということまでは十分には理解していないので行動に移らない、ということが多いだろうと私は思っております。意見ですけれども。

○松岡座長 貴重な御意見で、消費者の安全ということが最終的には問題になるということですね。
 前からも議論が少し出てきていますが、最終的なアウトプット、消費者の末端まで行った結果、最終的に行動を起こして出てきてくれる。そこまで至らないことにはいくら周知してもだめだと。前回、前々回で、どうしてお客様に行動を起こしていただくかが問題であるという議論が出てきたのですが、それに関して、マトリックス等で見ますと、IIIの縦のところが少し欠けているのではないかという感じがしますので、少しその辺のことも含めて議論をやっていただけるとよろしいかなと思いますが、何か御意見はございますか。
 どうぞ。

○中川座長代理 今、夏目委員がおっしゃったことがここの話ですけれども、夏目委員は、認知すれば動くはずだというのが出発点だという御意見ですね。私は消費者行政の現場にいるわけではないので、単なる印象ですけれども、前回のブリヂストンさんの話を聞くと、認知すれば動く人もいるけれども、そうではない人も結構多いというふうな印象を受けました。その辺りはどうなのでしょうか。相談現場とか、消費者あるいは事業者の側から見て、データなどは出てこない問題ではありますけれども。

○中嶋委員 さっき佐竹さんから、消費者の手前の相談員のレベルで区分けがわからない、自分たちはどうしていいかわからないので、それを教えてくださいという話が出ているわけです。確かにこの2時間でまとめたいのはわかりますけれども、それはとても大事な意見で、中川先生が最初にガイドラインの話をされたでしょう。佐竹委員は、出てくる情報を区分けしてくれませんか、これは危ないのかどうか、これはどうなのか、というのを言ってくれと。それはガイドラインそのものではないですか。
 一番の問題は、そのガイドラインを誰がつくるのか。消費者庁がガイドラインをつくるのか、業界団体がつくるのかで、全く性格が変わるわけです。そのガイドラインがあれば、例えば消費者に対して、今からやる議論もその中に入っていくことになります。法律の枠組みというのもあれば、法律に代わる比較、それから、ガイドラインのようなものの枠組みも当然つくることができる。
 今、企業は非常につらい立場に置かれています。理由は、リコールをするものだというふうにメディアもみんな思っているわけです。法律にもリコールと書かれていますけれども、リコールを発令した事例はほとんどないです。2件か3件しかない。自主リコールは年間に食品では700件以上出ている。製品もそれぐらい出ています。みんなお金を使わなければいけないです。にもかかわらずガイドラインもないので、100%なのかどうなのかも誰も決められない。
 私は、この部分で行政は無責任だと思います。法律で決めたら絶対そこを議論しなければいけない。去年つくったものは100いけますと。15年前につくったものを100いけというのですか。でも、あるかもしれない、死ぬかもしれない。だったら、ガイドラインでもいいからそれを議論しましょうと。何か枠組みをつくってくれないと、良心的な企業はずっと苦しみます。ずるく立ち回る企業はニコニコしているかもしれない。一緒に考えようとするときの枠組みを、行政と企業と消費者とでどうつくるのか。私はそう思います。だから、ガイドラインというのは非常にいいお話で、そこの部分も含めて消費者にどう伝えようか。これもやはりガイドラインの話になるのではないですか。

○松岡座長 横矢委員、どうぞ。

○横矢委員 情報が入っても取りかえてくれない人は、要するにリスクを低く見積もってしまう人が多いということなので、それはやはりそこを変えていかなければいけない。長い目で見ても、教育などをして変えていかなければいけないことだと思いますが、御説明いただいたところの8番で、効果的な方法の1番が、マスコミ報道を伴う新聞社告とあります。新聞社告が一緒になっていますけれども、マスコミ報道の効果がやはりすごく大きいと思います。マスコミの嗅覚というか、優先順位のつけ方みたいなものは参考になりますし、せっかく効果があるのだから、マスコミの力ももっと使って何かできないかなと思いました。メーカーさんが、自分のところの商品はこれだけ危ないですということを自ら言うのは、やはり難しいんだなというのはブリヂストンさんの資料を見て思ったのです。ですから余り具体的に事故の内容がわからないので、そんなに重大ではないと思って、うちは気を付けて使っているから替えなくていいやというふうに流れていることが、すごく大きいと思います。
 そこのところを変えていくために、まず考えたいのは、マスコミ報道に対するガイドラインがあって、この製品の危険度は、このレベルですよと出してあげる。消費者庁がそれをつくって、今回の事故は優先度が一番高いですよと出してあげるのが一番良いと思うのですが、今、何ができるのか、強めのインパクトのあるものを出していく必要があると思います。また、それを選んで放送してくれる、朝の番組、昼の番組、夜の番組と、いろんな人が見てくれる番組に、消費者庁からの情報を流す枠をつくって流してもらうというような、協力をしてくれる体制をつくっていくことがすごく大きいのではないのかなと思います。
 それから、ちょっと違う話になってしまいますけれども、消費者に伝えるところのアイデアで、今回、ブリヂストンの広告、ネットも見て思ったのですけれども、若いお母さんは携帯電話はよく使っている。パソコンでホームページを見に行くというのは意外と厄介なので、やらない。チラシを見ながら商品をチェックするというのもなかなかできない。気になって補助いすを街で見てみましたけれども、該当商品かどうかというのがわかりにくかったです。ですから、例えば携帯電話に、ブリヂストンを使っている人はここのページに商品番号を打ち込んでみてくださいと。それで送信したら、該当品ですとか、該当品ではありませんとか、そういうふうに出るとか、簡単にその場でチェックできるものをつくっていくのが良いのではないかと思いました。
 それを消費者庁とかマスコミと一緒になって、とりあえず改修率100%を目指したいと思う。特に重大なものから改修されないままの製品を減らしていきたいと思うので、今日からでもできそうなことがあるように思います。携帯電話のフォームをつくるのは簡単なので。ブリヂストンのサイトを見ると、そこまではやっていないようです。商品リストがズラズラ出てくると、もうそれだけでチェックをするのが面倒ですね。商品を見ても番号はわかりにくいので、その辺を一つ進めてみて、そういうよい情報、こんなよい改善例がありますというのはもっとオープンにしていって、一緒に私たちも学ぶし、消費者教育をしていくみたいな形で、流していけばいいのではないかというふうに思いました。

○松岡座長 消費者が行動を起こしやすいような技術的な枠組みを、ちゃんとつくるとよろしいのではないかということですね。

○横矢委員 マスコミと消費者庁と、でです。

○松岡座長 あと、テレビの活用についても前々から意見が出ておりましたね。定時的に流すような枠組みを是非御協力いただければという話もございます。

○横矢委員 こんなことを言っていいのかどうかわからないですけれども、長官が出られたぐらいでは、そんなにニュースのインパクトがあるわけではないので、新しい何かがないと、やはりマスコミに何度も情報は出ないのです。そこに何をポイントとして持っていくかいうコツがあると思いますし、今までうまくいった例と失敗した例もあると思うので、そこの研究のグループもつくってもらって、どういう情報を用いて、どういう使い方をするか考えていけると良いと思います。NITEさんは動画を使ってうまく放送されていますから、そこはNITEとか産総研と組んで、うまくPRしていく方法を探して続けていけばいいのではないかと思います。あと、携帯を利用すべきだと思います。

○松岡座長 中村委員、どうぞ。

○中村(均)委員 私の言い方がまずかったのか、誤解のまま進んでいますので、ちょっとだけ訂正させてください。
 私が言ったのは、リコールがTOTOで拒否した人がいるということを言ったのではなく、私どもで給湯機の修理依頼があって修理しに行きます。修理するときには、その給湯機が、不完全燃焼して一酸化炭素とか起こらないかどうかという違法設置も見るわけです。違法設置があった場合、違法設置があるままで修理してしまうと、また一酸化炭素が発生する可能性があるわけです。だから、我々は修理はできませんと。違法設置を法律に基づいた形に直していただいたら修理をします、というお話をするということです。
 そのときにそれに応じていただけない人が、結構、という言葉は語弊がありますけれども、散見されます。その場合のお客様の言い分は、おまえは直せばいいのだから直せ、設置については俺が責任を持つと言われたときに、我々は、直したほうがいいのか、そのまま帰った方がいいのかでものすごく迷うわけです。例えば夏などに、お客さんから、おまえ風呂に入らなくてもいいと思っているのかと言われると、直さざるを得なくなる。そのときに用紙に、違法設置を直してくださいとお願いしましたということを置いて、直すということをお話ししたかったのですけれども、どうもちょっと伝わり方が悪かったようで、申し訳ございません。

○松岡座長 山口委員長代理、どうぞ。

○消費者委員会山口委員長代理 先ほど、中嶋さんのお話がありましたけれども、もし可能であれば、この専門委員会でリコールのガイドラインのたたき台をつくって、それを公表して、社会的コンセンサスをつくる一つの素材として提供する、あるいは、消費者庁に提案することもあり得ると思うので、その辺は主体的に議論を進めていただければありがたいと思います。

○松岡座長 貴重なアドバイス、ありがとうございます。ここの専門調査会でたたき台をつくって、各省に提言する形もあり得るということですね。我々も重大な責務でございますし、大変な作業になると思いますが、貴重な御意見が出ていますので、いいアイデアがありましたら盛り込んで、ポイントを押えたガイドラインができればと考えます。私も、是非これはやれればなと思いますので、委員の皆さん、御協力いただければと思います。
 そのほかには。

○中村(均)委員 中川先生、夏目委員からもありましたけれども、私も、中嶋さんのおっしゃった資料1-3は、理解してもらうまでは100%目指すべきだと思います。行動していただく方には、当然、行動していただく理解。そういうふうなことをやっていって、最後の全員というのだけが私はどうも納得できないというだけであります。中川先生の御提言の、2番までをきちっとやることの方策をまず決めていくということには賛成いたします。

○松岡座長 中川先生。

○中川座長代理 今の話の続きで、リコールをどこで打ち止めにするかというので、鶴岡委員がおっしゃったように、以前検討したけれども数値が難しいという話でした。一つのアイデアですけれども、積極的なリコール活動の打ち止めといいますか、周知することを止めること、つまりリコール窓口自体はまだ開いていますけれども、積極的に周知することを止めるというのは、事業者の責任で決めるということになります。その際、資料2でブリヂストンさんが出してくれた幾つかの要素について、我が社としてはこのように分析したということを説明することが必要だろうと思います。「これ以上やっても、コストの面から見ても、実効性の面から見ても上がらないと判断した」という説明は、少なくともホームページでは詳細にしていただく必要があるように思います。それを短い形でどこに社告を出すかどうかは別といたしまして、きちんと理由づけしてもらったうえでこれ以上のビラ配りなどはやめます。ただし、ここのセンターとか窓口はありますので、今後も回収率が100%になるまで置いておきます、というふうな形にすればよいと。我々の方でリコールを何%まで打ち止めにするとは、およそ決めようがないというのが今までの経験だと思いますので、説明責任は事業者の方にあるという形でやっていくしかないのではないか。
 ただし、先ほど言いましたように、法的責任とは切り離した話です。打ち止め後に、なおリコールしきれていなかった製品で事故が起きた場合、企業が責任を負うのかどうかは、裁判しなければわからないということで、そこは別です、勘違いしないでくださいと言うことは必要だと思います。

○佐野委員 パーセンテージの話は、消費者庁ができる5年ぐらい前に、内閣府で越山先生と一緒に検討会を開いて随分検討してきました。そこでもやはり同じで、パーセンテージは出せなかった。あくまで100%に近づけるということで、どこまでやるかというのは、各企業、各メーカーが責任を持って、物によって、事故によってリスクが違うわけですから、それはメーカーがきちんと判断をすることになりました。
 ただ、中川先生がおっしゃったように、最後までホームページに載せておく。必ずわかりやすいところに、こういう事故があって、リコールは続けていますということをきちんと載せる。決して回収をストップしたわけではないということは明らかにしておく。ホームページの中に中に行かないとわからない場合が非常に多いので、特に家電のようにトップページに置く形でわかりやすくということでいいと思います。パーセンテージというのは非常に難しい。消費者としては勿論100%を望みますけれども、廃棄したものもあるわけですから、100という数字を打ち出したら、それはウソだとこちらも思うわけです。企業がどこまで社会的責任を感じているのかはその対応でもあらわれると、5年ぐらい前の委員会では結論づけたと記憶しています。それと裁判とは別問題だというのは、まさにそのとおりだと思います。

○松岡座長 周知は100%に近く努力するということで、皆さん、コンセンサスはある程度できていると思います。
 どうぞ。

○中村(晶)委員 佐野委員から、5年ほど前に随分議論をされたというお話でした。そのときの経過を教えていただきたいのですけれども、例えば車のように高額商品で、誰が購入したか把握ができているものと、たかだか数千円のものでも命に係わるものもあるわけです。事業者はそれをつくって販売して、利益を得て、従業員の生活を支えているわけですけれども、販売による利益が余り大きくない場合でも、ブリヂストンさんのように、利益を全部吐き出し、更に持ち出してでも100%を目指したいという御意見は多かったのかどうか。

○佐野委員 車の場合はリコール制度ができているので、入れませんでした。日用品と食品だけに限って検討しました。お金を幾ら使うとか、使わないとか、そういう企業の利益という話ではなくて、どういうものがいいのかということで話していまして、その当時、ナショナルのFF式が回収していて、お金をすごく使っている。あれは誰もできないよということはみんな承知の上であって、今、ガイドラインというお話が出ていますけれども、その当時も、何らかの形を示した方が事業者にとってもやりやすいし、消費者にとってもわかりやすいというところまで行ったのですが、内閣府というのは御存じのように調整機能しか当時はやっていません。報告書を出したけれども、そのまま何にもつながっていないという状況でずっと来ています。内閣府の国民生活局もなくなりまして、消費者庁ができたわけですけれども、その結論も全然つながってきていないのは非常に残念です。それをもう一度やり直すというイメージで私はとらえていて、それぐらい長いこと同じようなことを検討しながら、何も実につながっていないので、ここで是非、実につなげていきたいなと私は思っています。
 それから、消費者庁が昨年11月の茶のしずくの事件をきっかけに、新しい検証チームができ、すべての事故を検証するということをスタートしたはずです。それも今はどうなっているのか、消費者庁にお聞きしたい。年間一万何千件もある事故を検証する、どのぐらいできているのか。その辺も知りたいし、そこから出てくるものは、私たちのこれからのここでの話し合いにも役に立つのではないかと思っています。

○中村(晶)委員 そういうところまでここで議論を行っていいのであれば、先ほど中村委員からも御指摘がありましたけれども、どこまでしなければならないのか、それが義務としてなのか、社会的な責任としてなのか、それとも理想を追求してくださいということなのか、どこまでやるべきなのかというところを示すことは必要だろうと思います。
 100%という数字が何度か出まして、消費者の希望は勿論そのとおりでしょうが、それを事業者に求めるのか。それとも、事業者がやるべきことを越えるものは行政が手助けをして、それに近づけていくようにするのか。その辺りも少し振り分けた方が、せっかくいろいろ資料も出していただいてヒアリングもして、材料が集まってきましたので、それをどうやって使うのかという具体的な方向に持っていけるだろうと思います。
 それから先ほど、佐竹委員から、指を切ったという事故から命に係わる事故まで、同じようなパターンで情報提供がされるという御指摘がありました。聞くところによると、医薬品の副作用情報は、お医者さんに届けるときに、例えば紙で配るのだったら、紙の色を変えるとか、忙しいお医者さんに効率的に見てもらうための工夫があるということです。受け手側がどんなに忙しくても、パッと目にとまるような、重要度に従った情報の届け方のノウハウが多分あると思いますので、そういうのを調べて、ここで御提供いただくということもあっていいかなというふうに思います。

○松岡座長 御意見、ありがとうございました。先ほど来からの議論で、ガイドラインを考える際のレベルとか、望ましいもの、理想的なもの、あるいは、現実的なところとか、そういうことを考えながらいろいろとまとめていく形になるだろうという感じを受けております。あとは、そういうことでもって議論を進めていけばいいかなと思っています。
 これに関連しまして、何か御意見はございますでしょうか。
 中川委員。

○中川座長代理 佐竹委員のお話のところで申し上げようと思って、忘れていましたけれども、いろいろな情報が一緒くたになっていると。前回でしたか、どこまでが行政の仕事かということで、少なくとも重大なリスクについては行政の一つではないかという話とつながってくると思いますが、一つの方法は、今回の気象庁のように「経験したことのない大雨」という、短文情報と言うらしいのですけれども、センセーショナルというか、ショッキングな表現を使うということは一つあり得ます。他方、消費者庁の方からすると、そんなことをしろと言われても、もし判断を誤ったらどうするのか、消費者庁の責任になるではないかということが、反論材料としてあるだろうと思います。 すでに事故が起きている事案であれば、それはそう言えばいいのですから、それはいいですね。他方、事故が起きていないもの、かつ、明らかに生命に係ると予測できなかったものについては、結果的に事故が起きても、それは別に消費者庁の責任ではないということは明らかにしておくことが必要だろうと思います。すべての小さな事故は何かの原因で生命に係るかもしれませんから、指を切ったとしてもそういうことはあり得るわけですから、そういう形で消費者庁が妙に慎重にならないような環境もつくってあげないと、思い切ったこともできないと思うのです。
 そういう辺りも含めて、佐野委員から、リスクの研究チームができたのではないかというお話でしたので、その辺りは行政がどこまでやるべきか。それから、中村委員がおっしゃった、企業がやるべき水準を越えてやる場合に行政が手伝うのか。それは税金を使ってやるべきなのか、そうでないのかという議論があると思いますので、その辺りは、どこまで可能かというのは一度消費者庁に聞いてみてもいいのではないかという気がします。

○松岡座長 どうぞ。

○田澤委員 今、茶のしずくの話が出ました。茶のしずくは私も佐竹委員も大変気になって、中途半端な形では終わってしまいましたけれども、この前の期の専門調査会で申し上げていたのですが、もし消費者庁にヒアリングできるのであれば、重大事故というものを私どもセンターの窓口で聞いて、消費者庁に上げるときのやり方、また、返ってきたときの対応の仕方が、今、大変難しい。例えば、診断書を出しなさい、何々を求めなさいと、たくさん消費者に聞かなければならないような、いろいろなことを求められています。そういう中で集まって、重大事故または周辺情報というふうになっているので、もし重大事故の集め方が大変だったらば、結果的には周辺情報で埋もれてしまっているものがあるのではないかと思うので、各重大事故の求め方みたいなもの、どういうふうにやっているか。少しずつ最初の運用から変わってきているように思うので、一緒に聞いていただけたら大変ありがたいと思います。それと、その一つの目安は重大事故で、とても大切だと思うので、聞いてほしいです。

○松岡座長 佐野委員、どうぞ

○佐野委員 重大事故になると法律の改正とかいろいろありますが、基本的にはすべての事業者に、事故があったら報告すべき義務を持たせるというのが一番であって、地方自治体や他の省庁に協力をお願いするだけではだめだというふうに思っています。確かな情報を集めるためには必要です。
 それは置いておいて、行政がどういうふうに係るかという行政の責務を考えると、リコールの情報提供の在り方は消費者の権利に結びつけたらいいのではないかと思います。要するに私たちには知る権利がある、行政はそれを情報提供しなければならない。国もそうですし地方自治体も同じです。そこに結びつけていく方がわかりやすいし、勿論、消費者庁は消費者の権利を尊重しなければならないという任務を持っているわけですから、消費者の権利というのがわかりやすいと思います。ここまで情報提供して欲しいと行政に求めるよりは、私たちに権利があるのだから、情報をきちんと提供しなさいという方が、すっきりするのではないかなと思います。

○松岡座長 根本原理で義務を明確にしておけばいいのではないかということですね。ちょっとさかのぼりますけれども、5年前にいろいろ議論をして、ガイドライン的なものまで出して、それがどうして何にも反映されなかったのですか。

○佐野委員 そもそも内閣府国民生活局というのは調整をしているところであって、特にこれをつくったからといって実行部隊があるわけでもないし、そういう弱いところがあったからこそ消費者庁ができたわけなので、今の消費者庁ならできることはたくさんあると思います。

○松岡座長 そうしますと、今回我々が考えたものが、前と同じようなことになることはないと。

○佐野委員 それはないと思います。消費者委員会に頑張っていただければ。

○松岡座長 実現できるということですね。

○佐野委員 はい。

○松岡座長 心強く感じます。

○齋藤委員 そのために消費者庁をつくったのですから。

○原事務局長 事務局ですけれども、その資料は次回までに準備いたします。

○松岡座長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 去年の資料で、「消費者委員会事務局取りまとめ」という7月に出されたものですけれども、消費者庁から主な注意喚起情報がどのようなものがなされたか、主なものだけリストアップしてくれましたが、たくさん挙がっています。主ではないものを含めるもっとたくさんあるはずです。これを見て、自分が注意喚起された気になるかというと、ならない。多すぎてどこに目をやっていいかわからない。消費者庁はやったと言いますけれども、何を訴えようとしたのかということが感じられないわけです。この辺をどのように考えて情報提供されておられるかというのも、あわせて聞いていただけると大変参考になると思います。考え方がわかりますから。

○中嶋委員 もう一つ、聞いて頂きたいことがあります。何かといいますと、「いつリコール情報を消しますか」です。皆さんは消費者に100%認知させるまではあけておきましょうと。その商品がまだ残っているはずだと思われる間。食品だったら短いです。製品だったら長いですね。20年置いておくのですか?これは企業がリコールするべきだと。企業は1社ですから、持っている商品のラインナップから20年置いていても、この紙に5枚も6枚も出てこない。でも、消費者庁も同じようにそのデータは持っています。これ、いつまで保存するのですか。いつまでホームページとして載せるのですかという議論と同じことを、今、言っておられるわけです。
 過去に、リコール情報や事故情報で、もうこれは大丈夫と思って消したことがあるか否か?また、どういう基準で消したかを聞いてもらいたいと思います。

○松岡座長 山口委員長代理、どうぞ。

○消費者委員会山口委員長代理 既に議論の前提になっているのかもしれませんが、お聞きしたいのは、消費者安全法が制定されていますから、被害が特に安全の問題で起こった場合には、行政としては義務的に販売停止命令その他、しなければいけないという問題があります。それと、事業者側が自主的にやるリコールというのはレベルが違うのではないかと思うのです。
 自動車のリコール問題で3年前に建議でいろいろな議論をしたときには、リコールというのは、それほど危なくなくても、事業者側の善意で比較的軽く流してもらう。リコールしたからということで、その企業が大変な失敗をしたというイメージにならないような、そういうものとしてリコールをとらえて、これは危ないかもしれないという場合には、自動車メーカーなどは比較的軽くどんどんやってもらいたいんだと。ただ、それが浸透しないままでは困るから、一定、浸透する工夫はしてもらいたいけれども、そういうものとしてリコールをとらえている要素もあるかと思います。
 その辺の、行政庁がやる場合の販売停止命令その他の問題と、事業者側がやる場合のリコールとは、どう区別して議論をされているのか、されるのか。その辺は少し分けて議論をする必要はないのでしょうか。その辺はどういう議論になっているのか、もしよかったら教えていただきたいと思います。

○松岡座長 今まで、その辺は余り明確に分けていなかったと思いますけれども、その辺はしっかり整理して議論していかなければいけないなとは感じています。
 どうぞ。

○中嶋委員 それは、私に言わせると、今の消費者庁であり経産省の考え方によると思っています。なぜかというと、リコール命令というのはなかなか出されないのです。なぜ出さないのだろうか。どういう要件がそろえばリコールになるのかということを研究している人たちは、何人かおられるのは知っていますけれども、行政で研究することがあってもいいのではないか。周知徹底するためのガイドラインも必要ですが、行政がどういう状況になったらリコール命令を出すのかというのが、明確ではないように思われます。
 例えばパロマであったり、ガス中毒は死にますので、これは明らかに人体への危害が大きいということで、リコール命令を出しやすいです。でも、自動車の場合、衝突して死ぬというのは確率論でいくと非常に小さいのです。死ぬ確率というふうに考えたときは、10%を切っているかもしれない。どういうリスクであれば、そのリスクの大きさと危害のひどさから考えてリコールにしないといけないという議論が、法律の中にあるようで、ないのではないかと私は思っています。

○中川座長代理 山口委員の御質問に対する私の考えを申し上げます。法律論でいくと、自主的にやっているリコールは2種類あって、行政的に命令できる事案だけれども、企業が自発的にやると言ったから処分を出していないだけというものと、行政処分を出すほどのものではない。いわば軽微なものだが、ブランドイメージを維持するために企業が自主的にやっているものと2種類ありまして、ここでは両方を議論していると思います。
 ですから、重大な命に係わるものについては、行政もリスク認知させるように頑張るべきではないかという場合は、命令をかけてもおかしくない事案を念頭に置いています。かといって、それ以外のものも念頭に置いていないわけではない。軽微なものについては、別に消費者庁長官が何か言う必要はないだろうという感じで議論をしてきました。明示的にはそういう議論をしていませんけれども、皆さん、それは両方をイメージして、そこは当然分けるだろうという意識だったのではないかと思います。

○松岡座長 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 内閣府の共通指針にしても、リコールハンドブックにしても、両方とも自主リコールをかなり対象にしている感じです。内閣府のガイドラインがまとめられて、表現の問題などではかなり向上しつつあると私は思っていますけれども、しかし、まじめに対応している企業と、当然リコールすべきなのにしていない、そういう企業も依然としてあるという状況の中で、まじめな事業者が損をする。そういう状態を続けていくと、リコールの仕方全体がレベルダウンしかねないだろうということで、先ほど、佐野委員がリコール推進法という考え方を言われましたけれども、私も全く同感であります。リコール基本法みたいな、自主的に行うリコールも含めて、それも法律の枠組みの中に含めて位置づけてやっていかないと、混乱状況みたいになって、なかなか整理されていかないだろうと思っています。

○中川座長代理 その話は、今日の冒頭にも中嶋委員や齋藤委員からも出ましたし、リコール推進法というのは佐野委員もおっしゃっています。この2期目が始まるときに、リコール隠しとか、リコール逃げといいますか、あれは入るのかというと、これは入らないというふうな仕切りで来たのかなと思っていたのですけれども、越山先生の言われたこの3ステップはリコールすると決めた後の話ですね。命令か、あるいは自主的かは別として、そういう意味ではすばらしい事業者さんを念頭に置いているわけなので、それに対して、リコールすべきなのにしない悪賢い人たちはどうするかという問題があります。それは、自主的というよりも、法的に命令し得る場面をまずは考えるべきだと思いますけれども、名前を隠してまた輸入してというふうに逃げてしまう。そういうのをどうしようかというのは、これも法的措置の話になると思いますが、この委員会で議論していいのだったら、したいのですけれども、どうなのでしょうか。そのテーマはこの委員会の所掌に入っているのでしょうか。

○松岡座長 ここの議論の出発点はまずリコールありきで、それをいかに効率的にやるか。それから、どうやって周知して回収するか、どういうふうにしたらいいかという提言を議論していたということですが。

○中嶋委員 私が申し上げたのは、その枠組みの中の話です。いわゆる生産者だけではなくて、販売業者も入れてくださいという話です。そこは法律を変えないとだめですということです。

○齋藤委員 その議論は第1回目にあったと思います。入口か出口か、どちらを切り離してもできないので、まず出口から議論し、最後は入口にもたどり着くでしょう、ということで、出口から入ったと認識しています。

○原事務局長 1回目と2回目と議論いたしまして、中川委員は確か1回目が御欠席だったと思いますけれども、今、齋藤委員がまとめられたような感じだったと思います。

○松岡座長 当面は出口を主体にということで進めてきていますが、入口まで含めて、ガイドラインという重い課題になりますと、議論がかなり続くというか、どういう形でまとめるかということを少し考えなくてはいけない。

○中嶋委員 せっかくこの表があるので、この表の議論をしていただいて。

○松岡座長 そうですね。そういうことで、皆さんフリーに御意見を出していただいて、今まで聞いてきたことをもとに、皆さんの頭の中で、何が大事かということもだいぶ出てきたと思います。今後の進め方にも関連してくると思いますが、マトリックスをもとに、全体を通しての見通しも立てながら、御意見を残りの12時までにいただければ非常に助かります。よろしくお願いしたいと思います。
 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 今まで皆さんがお話しされたのは、必ずこの中のどこかに入っていると思います。例えば重みづけというのは、消費者向けのところで警告認知性の問題。佐竹さんが言われた話はそうですし、それに対して、例えば気象庁がそういうことをやっていますというのは、そういうところに入っていくというふうにお考えになられると、この表で整理しやすいのではないでしょうか。例えば携帯電話で考えたらいいというのも、リスク認知の問題のところで、ここはSNSを使いましょうとか、フェイスブックをホームページにしていただくと、費用も維持費も安く、今、言われたようなことができますとか、そういうことがここに入ります。
 それから、テーマがずれていると中村さんが言われたのは、回避の問題のところで、言うことを聞いてくれない消費者はどうするのか、というのはここに入っていく。そういう感じでこの表をお使いいただくというふうにお考えになられたらどうでしょうか。

○松岡座長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 3番目のリスク回避の欄が少ないではないかとしばしばコメントされますけれども、私は結構出てきたと思っています。というのは、事業者とか、個別の当事者が関与しないところにかなりのウエートがある。例えば、社会的にどこまで許容できるかとか、消費者教育をどうするのか、といった言葉で今まで結構出ている。社会の常識になったらこれ以上は要らないではないかということが、リスク回避の問題ではあります。それでも、私は対応しない、と言う消費者は、直接この保護の対象にしにくいのではないか。事業者は、商品の交換や回収という責任からは逃げられるけれども、もしそれで事故があったら、その他にも法的責任として損害賠償責任などがある。こういう議論が今まで出てきていると思うので、整理すれば結構ここは埋まるのではないか、という感じがしています。
 もう一つは、経年変化の問題はどうするのか。何年間載せるのかにかかわってきますけれども、40年、50年経った商品が発火したときは社会的にどうなのか、というものも加えると、この欄は座長が筆を奮っていただければ、今までのコメントの中から結構埋まると期待しています。

○松岡座長 確かに13回までの議論でかなりいろいろなことが出ていまして、それをふるい分けますと、それぞれマトリックスに関連した議論は既にされているということもあると思いますので、その辺は整理してみたいと思います。ただ、皆さんの御意見で、この場で、この辺は私はこういうふうに言いましたとか、こういう議論でありますということの御意見がありましたら、是非、お願いします。
 片山委員、どうぞ。

○片山委員 リスク回避のところですけれども、ここには消費者へのインセンティブ検討と書かれています。インセンティブには2種類あるのではないかと思っていて、何かプラスアルファを与えてわざわざ引っ張っていくというのと、そうではなく、リスクを認知していて応じようかなという気持ちはあるけれども、この前のブリヂストンさんの話に出たように、遠いとか、面倒くさいとか、時間がないといった行動阻害要因があるときに、これを取り除いて行動させるというインセンティブ。製品特性に合わせて、この行動阻害要因を考慮したリコールの書き方をすれば、ある程度リスク回避行動に応じてもらえると思います。
 まずは製品特性、あるいは消費者の行動特性に応じた阻害要因をとにかく徹底的につぶす。それがすごく重要だと思います。それプラス消費者教育が大事。インセンティブで引っ張るというのは、なかなか事業者の理解を得にくいところもあるのではないかと思っていて、是非、阻害要因を徹底的に減らすということを入れていただきたいと思います。

○松岡座長 横矢委員、どうぞ。

○横矢委員 今の片山先生のお話に続いてというところで、今回、チャイルドシートの資料を詳しく見ながら、これのインセンティブは何かというのを考えてみたのですけれども、よくよく見てみると、リコール対象商品外でもリヤチャイルドシートの無償点検を実施してくれます。商品さえ換えてしまえばもう安心とされてしまうのがすごく心配なのと、該当商品を持っていないから関係ないとそっぽを向かれるのが心配です。そこで、無償点検をPRしたらいいのではないかと思います。
 もともと子どもを乗せる自転車というのは、補助椅子をつけて使うと、ものすごく危険がいろいろある。注意のページだけを見ても、ドレスガードをつけているかとか、JISの規格が変わっていて、以前は18キロまでの荷台が補助椅子をつけてよかったのが、ここ2年ぐらいですか、事故が起きた後、22キロに変更になって、18キロの荷台にはつけてはいけなくなっている。私はちゃんと認識していなかったのですけれども、間違ってつけている人がいる可能性がある。新しくなった商品でも、樹脂製のものは壊れやすい可能性があるようにも思います。足台に乗ると倒れたりする可能性があるとか、見なければいけないところがいろいろあるのです。そういうことに消費者が気がついてくれると、ほかのものでも、無償点検してもらえるというのは大きなメリットになる可能性があるわけです。
 ただ、なかなかそこまでたどり着かない。多分そこまでわからないなというのがありました。ですから、そういったところをもうちょっとはっきりさせて、今回、せっかく情報伝達の良い例を出してもらったので、この商品についてもうちょっと伝わりやすくして、誰に対して何をどのレベルまでやっていくのかというのを考えてみたら、形が一つ具体的に見えてくるのではないかと思いました。
 先ほど、私が携帯電話のお話をしたのは、この表で考えてみたらどこにでも入るわけです。フェイスブック、ツイッター、ネットでという話は前から出ていたのですが、それはIの認知性の問題ですけれども、理解してもらうためには、ホームページで詳しいところに飛んでもらうといいでしょうと。私が今日お話ししたのは、携帯電話で見られるサイトにフォームをつくっておいて、携帯から型番を入力すればすぐに判断が出ますというのは、行動だと思うのです。自転車の横で見ながら入力できるので、行動に移りやすい。そういうふうにもうちょっと細かく話が入っていって、企業がやればいいけれども、企業に一商品を任せてどうか。ここは販売台数が多いから事故が露顕しているだけで、実は少ないもので事故が起きる可能性があるのではないかというのも心配なので、そうなってくると、地方自治体と行政もそれをバックアップしてほしいし、できればそっちでもやってほしい。
 報道は、それに敏感になってもらってPRをしてほしいし、消費者はそのホームページに登録してもらって、例えばアンケートに答えてもらう。アンケートに答えることについて、抽選で何名に何かの商品をプレゼントすることもできます。家庭生活に役に立つものを50名にプレゼントでも、それはインセンティブになるわけです。そういうように考えていくと、その一つだけで表の全体に広がる。1枚の表にいろいろなものをまとめるのはすごく難しいと思いますけれども、例えばこの案件だけでも、これにまとめてみようかなというふうに思いました。

○松岡座長 中川委員、どうぞ。

○中川座長代理 企業向けの欄で、先ほど片山委員がおっしゃったことは非常に重要だと思います。ディスインセンティブ要素を阻害するというふうに、リコールをはじめるときには考えてくださいというメッセージです。それは、ひいては消費者の行動パターンを読むということですね。
 同じことは、警告認知性です。今回もブリヂストンさんで非常に印象的だったのが、利用者がどこにいるのか、というところに先回りしてやっていく。高齢者の場合であれば、高齢者が使うサービスの事業所に協力してもらう。例えば石油ストーブであれば、石油を売っているところに出すとか、必ず立ち回るだろうというところに置いておくと効果があるかもしれないというのは、消費者行動。
 リスク認知にしても、ブリヂストンの場合であれば、消費者は、意外に本来の用途とは違う用途で使っている。そういう人たちにもリスクを伝えるにはどうすればいいか、ということを考えなければいけない。うちは子どもが大きくなったから乗せていない、という人たちにどうするか。企業としては、物を売るために消費者観察はされていると思いますので、製品設計ないし販売の段階でリコールするならば、どういうところにどういう使われ方がするだろうかということも、これは可能な限りということになると思いますが、それが非常にキーになることをリコールガイドブックに書くことになるのではないかと思いました。

○松岡座長 中嶋委員。

○中嶋委員 この表はちょっとまとめにくい部分があって、左端を見ると、行政向けとか、自治体向けとか、企業向けになっていますけれども、「向け」を取って考えた方がわかりやすいと思います。報道向けになると、何をここに書けばいいのか。今までの議論でいくと、新聞の大手4紙は余り役に立たないという話がありました。リコールは官報に出さないといけない。それだけでも別にOKではないかというのはありますけれども、要は、4紙に出しても社告などはいい影響は出てこなかった。大きなインパクトはなかったけれども、これがニュースと一緒になっているとインパクトが大きかった、というのがここに入ってくる。
 例えば、今までの議論では回覧板というのもありました。メルマガとDMはインパクトがないと言われますけれども、回覧板はあったというのは、何かといいますと、捨てられないということです。メルマガは来たら捨てます。DMも来たら捨てます。でも、回覧板は捨てないで次のところへ持っていかなければいけないので、嫌でも見ますということだろうと、私はそんなふうに考えました。
 テレビでいけば、ネットとケーブルテレビとSNSの話がありましたけれども、ここではどうなのかといったときに、ここの議論はまだやっていませんが、これはちょっと考えた方がいいですねということは言えるのではないか。広告と社告の問題、これは新聞の利用料金の話ですね。広告扱いだと、年間の契約の中に入って6割引になりますとか、社告になったら、広告にならないで一般料金になるので3倍に上がりますと。こういう話は、報道向けなのか、企業向けなのか、わからないですけれども、それもちゃんと入れておかないとだめでしょうというふうなまとめ方が、今までのものをやってみたら結構入っていきますよというふうに思います。

○松岡座長 横矢委員、どうぞ。

○横矢委員 前回も配っていただいたアンケート調査ですけれども、30代以下の女性は知人友人からの口コミの効果が高かったようですね。ポスターなどの資料というのは、壁に貼っておいてもらっても意外と見ていないというのをすごく実感したのは、ここ1週間で2か所に研修に行って、3~4年の中堅の保育士さんと児童館職員の先生方100名ずつにお話をして、この商品について事故が起きていて、「リコールがあると知っている方?」と手を挙げてもらっても、1割もいなかったのです。その会場の1階の目立つところにポスターが貼ってありました。私は、ここにも貼ってあると気付きましたが、わざわざ安全研修に来られる関心の高い方でも、1割も知っている人がいなかったのですよ。
 保育園で効果があると言っているにもかかわらず、園には回っていても、園の保育士さんのところまで話が行っていないレベルなのかなというのをすごく感じました。ワンプッシュ、私はそれをやっている係ですけれども、お節介をやいて、実はこんな危険もあるから、もし持っていなくてもこんなところも気をつけてね、ドレスガードというのは幾らよ、みたいなお話ができるかどうかでだいぶ違ってくる。そういう人をどういうふうに養成するかというか、これを伝えてちょうだいねという手引きみたいなものを一緒に配るとか、少し手を加えることで全然違ってくるのではないか。そこのところを忘れないでほしいなと思いました。

○松岡座長 貴重な実例で、ありがとうございます。
 田澤委員、どうぞ。

○田澤委員 先ほどの話にちょっと戻ってしまいますけれども、回収のための消費者へのインセンティブ検討というところで、片山委員がおっしゃられたプラスアルファのインセンティブについて、何回目かのときに十分議論がなされていなかったと思います。プラスアルファのインセンティブというのは、目の前の回収にはもしかしたら効果があるかもしれないけれども、長い目で消費者がリコールを考えるときはマイナスになるのではないか。
 例えば消費生活センターの窓口などで言えば、企業はこういうものを出さないとか、代替品を出さないとか、相談員がそういうことを言うのはどうかと思いますけれども、過大な要求をぶつけてきて、その中で長時間を使わなければならないやり取りもあるわけです。その辺とのあんばいが難しいので、ここにプラスアルファのインセンティブということを書くのであれば、佐野委員の御意見もとてもよく覚えていますが、もう少し議論をしたいなというのがあります。

○松岡座長 中村委員、どうぞ。

○中村(均)委員 今日の最初のところに出てきた輸入業者と販売業者というところが、ここでやっと問題になってくると思いますけれども、私の意見としては、販売する側というのはやはり販売する上での責務があると思うのです。その商品を扱うということから考えれば、買回り品は別ですけれども、耐久消費財を扱う販売業者というのはある程度責任があると思います。私どもも過去にリコールした例がありますけれども、その場合は販売業者に行って全部伝票をめくります。その品番の物はどこに売ったかを探すわけです。
 販売業者というのは、例えば私どもの商品を扱ってくれるところは、そこのメーカーを信用して取引をするはずです。そうすると売り先に対しても、その商品を売りっぱなしというのはあり得ないと思います。販売業者というのが責任が曖昧であれば、私も中嶋委員と同じ意見で、ある程度その辺のところは触れたいなという気がします。耐久消費財だけですよ。買回り品までは言いません。そうでないと、売りっぱなしで済むところは後の面倒を見る必要はないから、その分の利ざやは稼ぐ必要はない。そうすると、いくらでも安売りできるのです。どんどん安売りして売りっぱなしになってしまう。
 ところが、量販店は、私の家もそうですが、ちゃんとダイレクトメールは来ます。販売には顧客をちゃんと把握しているわけです。同じように売り先としてきちっと見てくれれば、後々、トレーサビリティに販売業者というものがうまく活用できれば、だいぶリコールというものがやりやすくなるような気がします。

○松岡座長 貴重な御意見をありがとうございました。それに関しましては、前から話題に出ていましたポイントカードを使って販売したときに、パッと登録すると、周知なり回収する際に、誰が持っているかというのはわかりやすくなる。こういうIC技術をどんどん使ってやっていくことは非常にいい方策だなと私も考えています。
 極端な話、将来的な話で、私のアイデアで申し訳ないのですが、ポイントカードのようなものをちょっと拡大して、今、国では課税のために背番号制の導入を考えています。その番号を活用する。その管理が非常に問題になると思いますが、そういうことでやると、誰が購入したかというのが一元的に管理できる。そういう方策も、将来的にIC技術が進んだ暁には何か活用があるのかなという感じが、ふとしたということで、皆さんにちょっと御披露しただけの話です。もしも御意見がありましたら、忌憚のないところを。
 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 今のお話は遠い将来の夢になるのかどうかわかりませんが、経済効果のことは頭に置く必要があるだろうと思います。例えば発火する商品、あるいは一酸化炭素中毒になる商品を、何年間も回収し続けた後に、1年間に100台回収できたとします。年々、回収できる数が下がってくるのがわかる。100台回収するのに、例えば10人かけるとすると、1億円ぐらいすぐ飛んでしまいます。テレビコマーシャルなどを行うとはるかに掛かります。それで100台回収すれば1台あたり100万円です。それがわずか数万円の商品だったら、問題商品を持ってきてくれたら100万円渡しますという方がよほど経済効果はよくなるのです。ただ、初期の消費者にはせいぜい販売価格で交換するという話をしているので、その切りかえができず事業者は多分苦しむだろうと思います。その辺をどう考えるかということ。
 それから、最初の1、2年は何でも頑張るとしても、だんだんやり方は変わりノウハウもたまってくる。こういうやり方が一番効果的だった、これは期待外れだった、というノウハウがたまってくるはずです。ブリヂストンも、パナソニックのケースも、もう一回同じことがあったら多分同じ方法は繰り返さないと思います。最初から効果的な方法に重点的にドカッと全力を投入するはずです。そうすると、業界ごとに各社が苦しみながら経験した同じようなノウハウを蓄積できるのではないか。これをいろいろな業界に呼びかけるという方法はどうだろうか。多分、すぐに情報交換できると思います。

○松岡座長 佐竹委員。

○佐竹委員 私は地方自治体に勤めておりますので、行政の視点での話になるのですが、先ほど佐野委員から、リコール情報を知るというのを消費者の権利にするべきというふうにおっしゃっていただいて、それはまさにそのとおりだと思いますが、行政の方でどういうリコール情報の提供をすれば、消費者の権利に結びつく提供をしたと言えるかというのが曖昧で、わからないというのが現状です。今のところI番に、自治体によるインターネットでの紹介と書いてありますが、ネットでリコール情報を伝えるということは、市レベルで既に行われていることではないかと思います。
 私どもの川崎でも、ホームページでの紹介していますが、これは実は、消費者庁の事故情報とか、国民生活センターのリコール情報にリンクさせるだけなのです。ですが、そういう情報提供の在り方は確かにしています。「していますか」と言われたら、していると思います。ただ、それ以外のことは実際何もしていないのが現状だと思います。企業がリコールのポスターを持ってこられれば、センター内に掲示はします。それだけです。その掲示はいつまでするのかというと、企業から別にいつまでしてくださいというものがないので、適当に行政の判断で、次にリコールのポスターが来れば、貼るスペースがないからこの古いのを取ろうと。
 そういう判断でやられているのが状況なので、どういうふうにすれば消費者の権利につながる、リコールの情報提供になるのかがわからないというのが実態だと思います。ですから、これは実効性のあることだと思いますが、消費者庁で今、取引被害について各自治体のセンターにアンケート調査をされています。どういう状況で、今、どういう取組をされていますか、というアンケートですが、リコール情報、事故に関してはアンケート調査は取られたことがありません。
 だから、消費者庁からリコール情報についても、自治体でどのような情報提供のされ方をしていますか、どういう取組がされていますか、ということをアンケート調査していただければと思います。例えば、小さな自治体でも有効な取り組みがあるかもしれない。そのような取り組みがあれば、他の自治体でもできることをやってみましょうというふうに取組が進むのではないかなと思います。やはり消費者に直結しているのは地方の自治体だと思うのです。だから、地方自治体の取組がもう少し具体的に進む方策があればいいのではと思っています。

○松岡座長 今後の調査会でも、地方自治体については近々ヒアリング等をやって、どういう実態になっているかということも調べてみたいと考えておりますので、今の御意見も参考にやっていきたいと思います。
 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 消費者団体の方もおられるので、一緒に考えていただきたいのですけれども、今、横矢さんから口コミ情報は有効ですというお話がありました。これは確かにそうだと思います。実際に何冊か本が出ていますけれども、確かめたことがないのでよくわかりませんが、例えば、私が皆さんに「野田さんに会いたい」という情報を流します。「知っている人がいたら、どうやったら連絡できるか教えてください」と言いますと、一人ひとりがまた流していく。5層まで行くと野田さんに伝わるというんですね。これが口コミの実態だと。どうやってそうなるかというと、ハブなのです。何人かの中に必ずハブがあって、その人が一生懸命やってくれる。5層の中に何人かのハブがいて広がっていく。
 逆に言うと、それを消費者の中でつくれないだろうか。一生懸命ポスターを貼りました、知りません、テレビに出しました、見ませんでした、これをチェックしてくれと言ってもなかなか見ません。でも、口コミは有効でしょうと。それはそうだろうと思います。知っている人から聞いた情報は信憑性が高いと誰もが判断します。社会心理学では、美人から聞いたことは全部正しいというハロー効果もあるわけですけれども、もう一つは、知っている人から聞いたというのはやはり信憑性が高いと思うので、伝わっていく。それはやってみようと思う。これは一つのインセンティブだと思います。知っている人から聞くということ。
 その仕組みがある特定の地域の中でできないか、日本全体でできないかというのがあれば、リコール情報でもちゃんとつながっていくだろうと。非常に重大な事故に関しては国が一生懸命やるでしょうけれども、地域でしか売っていない地域限定の商品もあるわけです。そこの地域だけでちゃんと情報が伝わるようにするとしたら、そのハブを探すことですね。消費者教育を誰にするかというと、最初にやらなければいけないのは、ハブを探してハブにやることです。消費者の中にキーパーソンがいると思うので、それができないだろうかどうかというのを、お考えいただけないかなと思います。

○松岡座長 横矢委員、どうぞ。

○横矢委員 私は10年ぐらい前にママのネットワークを持っている会社をやっていたので、そういうところは前から話題になっていましたけれども、だいぶネット社会になって変わってきたなと思うことがあります。過去のやり方が合っているかというと、どんどん変わっていっているというのがすごく大きなところだなと感じています。
 子ども関係について言えば、人がどんどん変わっていく。4年すれば育てたハブは育ってしまいます。もう卒業してしまいます。

○中嶋委員 子どもだったらね。

○横矢委員 そうですけれども、その辺りのところで人生がだいぶ変わってしまうので、関心がなくなって、違うお仕事を始められたとか、全体的な興味が移っていくとかあるので、できれば年齢が近い人というのもあります、伝わりやすい人というのは。その辺りを全部見るというのは無理なので、こういう商品はこの辺りに、とか様々な人たちが必要になってくるのかなと思います。でも、ネットを使って何か新しいやり方ができると思うので、これから、私ももう一度考えたいなと思います。
 もう一つの調査で、NPOの言うことは結構効果があるという調査結果も出ていました。あと、自分のことに共感してくれる人からの話が良いというのがリスク認知のところにあったので、何か私もできることはないかと考えたいと思います。

○松岡座長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 今の考え方は私たちも一回やりたいと思っています。消費者団体の中で、ここから発信したらどこまで届くのかというので、実は昨年度、他省庁で夏目さんのところと一緒にやってみようという話があったのですが、担当者が代わってオジャンになってしまいました。本当に正しい情報が末端まで届くものなのか。それとも横にそれて中身が変わってしまうのかというのは、子どもたちがよくやる伝言ゲームみたいな感じですけれども、それを一回やってみて、それがうまくいくのだったら、障害者団体であったり、高齢者の団体であったり、団体同士のつながりというのは、縦割りでは結構あるのです。そこをうまく縦と横をつなげるような形でできれば、情報の伝達はできるのではないか。おっしゃるとおりだと思います。ただ、誰が音頭を取るのかというのが課題で、地方自治体であるか、国であるか、まずはテストとしてやってみる必要があるのかなと思っていますが、私たちだけでやれとおっしゃっているのでしょうか?

○中嶋委員 いやいや、そうではないです。ちょっといいですか。だから、この委員会で、そういうことをやってくださいというふうに言えばいいのではないですか。別にあなた方の負担でやってくれなんて私は言っていない。
 もう一つは、内堀さんがおられます。生協さんのネットワークも、もう一度そこを確認できないかと思います。商品についてはちゃんと流れていると思うけれども、安全情報は流れていますか、というのを内堀さんのところでやって頂けると有り難い。佐野さんのところにだけやってくれと言っているわけではないのです。

○横矢委員 試しにやってみようというのと現場というのはだいぶ違う可能性があるのですが、東京都が震災のときに、連絡がどのくらい伝わったかをだいぶ調べていらっしゃいます。障害者の方が、情報が届きにくくて困られた実例を、かなり調査をかけていましたので、そういうところの情報はいろんなところが持っているのではないかと思います。それをまず調べられるのはいいことなのではないか。あと、学校で子どもの安全がどうなのかという情報がどう回ったかとか、そういうことの調査はどうでしょうか。

○松岡座長 既存の情報を入手して検討ということで、その辺は事務局の方もよろしくお願いいたします。
 では、中村委員。

○中村(均)委員 今の意見に関連して、この会のスタートのときに、提言するのだったら、一つぐらいケーススタディをやろうではないかというお話をしたと思います。いただいた資料を見ると、前回の参考資料1-2で、FF社の電子レンジというのが、リコール実施日が平成19年9月で、公表日がそれから4年後で、たかだか6%しか回収されていないのです。これは、私たちから考えたらあり得ない。これを一つの事例として一遍やってみようかと。この電子レンジのFF社というのはどこか知らないので、教えてもらって、協力してもらえるかどうかも考えないといけないので、消費者庁、消費者委員会さんに言うのかよくわかりませんけれども、一つ何か事例を使ってやりませんか。提案です。

○松岡座長 時間間際になりまして、また貴重な提案がありました。もう時間を過ぎていますけれども、中村委員の御発案、いかがでしょうか。

○中川座長代理 やりたいですね。

○松岡座長 横矢委員。

○横矢委員 やりたいのですけれども、FF社の電子レンジがどんなもので、どうしてこんなになっているのかがわからないので、ブリヂストンさんに聞いて、100%にどのくらい近づけられるのかというのを試してみるのはいかがかなと思います。

○松岡座長 電子レンジの方もちょっと興味がありますので、事務局に、どういう概要かということだけ押えていただいて、次回、御報告いただいて、可能なものかどうかというのを調べていただきたいと思います。
 今日は、非常に御意見をいろいろ出していただいて、しかも、議論を進めるに当たってどういうふうに整理しなくてはいけないかという、いろいろ違ったレベルの話もあるという御指摘をいただきました。その辺を念頭に置いて、順次、整理していけるのではないかと考えております。
 また、ガイドライン的なことも少し考えて世の中に発信しなくてはいけないという御意見で、非常に重い命題も増えてきました。もともとこの委員会は、10月を目途にまとめろということで厳しくタイトにやっておりますが、議論の方向によっては延長も可能であるという感触も事務局からいただいております。場合によっては、意見の進め方を含めまして、この調査会ももう少し長く進めたいと思いますので、その辺、御協力をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

≪4.その他≫

○松岡座長 それでは、本日の議論はここで終わりにしたいと思います。事務局におきましては、今日は宿題を幾つか出させていただいて申し訳なかったのですが、次回に向けての準備を進めていただければと思います。
 何か連絡事項等、ございますでしょうか。

○原事務局長 貴重な御議論をいただきまして、ありがとうございました。
 次回ですけれども、8月8日(水曜日)の16時からを予定しております。
 それから、ヒアリングですけれども、座長からお話が出ましたが、自治体、報道というところも参考ということで、日程の調整をしながら考えていきたいと思っております。
 事務局からは以上です。

≪5.閉会≫

○松岡座長 それでは、これにて閉会といたしたいと思います。お忙しいところをお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

(以上)