[解決事例09]選挙における投票管理者及び投票立会人の選任要件の緩和により、円滑な選挙管理事務の執行に寄与
[地方に対する規制緩和]
(法律 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律(令和元年法律第1号))
ポイント
投票管理者及び投票立会人の選任要件が緩和されたことにより、効率的な投票管理者等の確保が可能となり、円滑な選挙管理事務の執行に寄与
詳しくは提案募集方式データベース「H30年」管理番号「11、12、178、179」で検索!
提案実現までの流れ
取組の概要
円滑な投票所の設置及び運営が可能となるとともに、市町村の選挙管理委員会の事務負担も軽減!
- 市町村の選挙管理委員会は、選挙における投票が公正に行われることを目的として、各投票所ごとに投票管理者及び投票立会人を選任する必要がある。
- これらの選任要件が当該選挙の選挙権を有する者等に限定されており、選挙の都度、人員確保に苦慮している実態があった。
- このような課題をかかえる複数の地方公共団体から、選任要件の緩和の提案(選挙権を有する者への要件拡大)がなされ、令和元年5月に公職選挙法が改正された。
各投票所 必要人数 |
職務の内容 | 選任要件 | ||
---|---|---|---|---|
法改正前 | 法改正後 | |||
投票管理者 同職務代理者 |
各1人 | 選挙人の確認、投票用紙の交付、投票箱の開票管理者への送致等の投票に関する事務を行う | 当該選挙の選挙権を有する者 | 選挙権を有する者 |
投票立会人 | 2人以上 5人以下 |
投票手続きや投票箱送致の立ち合いなど、投票事務の執行に立ち合い、投票が公正に行われるよう監視 | 各投票区における選挙人名簿に登録された者 |
取組の成果
- 選任要件が緩和されたことにより、より多くの人材から適任者を効率的に確保できるようになり、円滑な投票所の設置及び運営が可能となるとともに、市町村の選挙管理委員会の選挙準備に係る事務負担も軽減された。
関係者からの声
「市町村の選挙管理委員会からは事務負担が軽減されたとの声を多くいただいています」
兵庫県選挙管理委員会
事務局書記 藤田 寛之 氏
投票所の最高責任者である投票管理者は、投票事務や選挙制度に関する十分な知識が必要であり、各市町村では、選挙事務に係る経験やノウハウが豊富な自治体職員を選任することが多い状況でしたが、現行法では、地方選挙において、近隣市町村に居住する職員を選任できないことから、選挙区内に居住する職員等の減少等によりその選任が困難となっていました。
また、過疎化等により有権者の少ない投票区においては、高齢化等により投票立会人に選任可能な人材が著しく減少し、選挙執行自体に影響を与えかねない状況でした。
多くの県内市町村において、大きな負担となっているという声を受け、早期の提案実現(法律改正)を求めました。
制度改正後は、より多くの人材から適任者を効率的に選任することができるようになり、市町村の選挙管理委員会の選任に係る事務負担も軽減され、制度改正の効果があったとの声を多くいただいています。
また、投票管理者、投票立会人の選任が困難なことを理由とした投票所の廃止がなくなりました。
令和3年10月神戸市長選挙及び衆議院議員総選挙における投票風景
長年の課題であった投票管理者等の選任要件の緩和を提案 兵庫県知事選挙、衆議院議員総選挙等において法改正効果を実感!
- 播磨町では、投票管理者には選挙事務に精通した町職員を選任していたが、近年、町外に居住する職員が増加したことなどにより、選任に苦慮していた。
- 投票立会人については、各投票区の選挙人名簿の登録者に広く公募していたが、一部の投票区で応募が集中するため選任できない方が発生する一方で、応募が少なく定員に満たない投票区もあり、このような投票区には改めて自治会に推薦をお願いするなど大きな事務負担となっていた。
- これらの事務負担を何とかできないかと平成29年度に兵庫県町村会及び兵庫県へ相談したことをきっかけに、制度改正の提案を行った。
「選任事務が軽減され、他の選挙準備に時間を割くことができるようになりました!」
播磨町選挙管理委員会
事務局書記次長
安立 圭一 氏
制度改正後初めての選挙となった令和元年7月参議院議員通常選挙では、早速、3人の投票立会人が制度改正の恩恵を受け、全ての投票立会人が公募により確保できました(その後も全ての選挙で公募により確保できています。)。
制度改正直前に執行された町議会議員選挙(平成31年4月)では、投票立会人が定員に満たなかった投票区が全13投票区中で5投票区もあったことからすると、選挙管理委員会事務局及び推薦をお願いしていた自治会の負担も減り、選任事務も約1か月短縮されました。特に令和3年10月衆議院議員総選挙では、非常に短い選挙準備期間でしたが、選任事務が軽減されたことにより、他の選挙準備に時間を割くことができました。
令和4年度は、制度改正後初めての町政選挙(町長選挙)が予定されていますが、投票立会人の選任とともに長年の課題となっていた投票管理者の選任についても、円滑に行うことができる見通しが立ち、これらの提案を行いとてもよかったと感じています。
今回の取組を通じて、地方分権改革・提案募集方式は、現場の声を制度に反映させることができる仕組みであると実感しました。特に兵庫県選挙管理委員会様をはじめ、多くの選挙管理委員会様のご賛同もいただけたことが良かったのではないかと思います。
- <R1.5以降の選挙実績>
- R1.7 参議院議員通常選挙
- R3.7 兵庫県知事選挙
- R3.10 衆議院議員総選挙
- R4.6 播磨町長選挙(予定)
主提案団体の播磨町選挙管理委員会の皆さま
大都市圏の投票所の数が多い地域においても、選挙管理事務の負担が大幅に軽減!
- 川口市では、投票管理者及び職務代理者については、その職務の特性上、豊富な投票事務の経験を要することから、投票事務に従事した経験のある者の中から選任している。そのため、将来的には投票管理者及び職務代理者に選任することができるよう、投票事務従事者全員について、資格要件を満たすことを求めていた。
- 投票立会人は380名の人員確保が必要で、投票区ごとに町会・自治会に推薦いただいており、町会・自治会にとっても選任事務は負担となっていた。
投票管理者 同職務代理人 |
90名(2名×95投票所) |
---|---|
投票立会人 | 380名(2名体制×2交代×95投票所) |
「令和3年10月衆議院選挙において、投票管理者等190名中32名を市外居住者から選任しました!」
川口市選挙管理委員会
事務局選挙係長
木村 誠 氏
川口市は投票所の数も多く、選挙のたびに、投票管理者及び投票立会人を確保することは大きな負担となっていたため、選任要件の緩和は非常にありがたかったです。
選任要件の緩和により、市外へ転出した職員でも引き続き投票事務に従事できるようになり、投票所運営の継続性に貢献しました。
川口市では、法律改正後、令和元年7月参議院議員通常選挙等の4回の選挙を行っております。令和3年10月衆議院議員総選挙においては、投票管理者等190名中32名を市外居住者から選任しました。
また、投票立会人を町会・自治会から推薦していただく際に、投票区を気にしなくてよくなり、町会・自治会長の負担が軽減しました。
令和4年2月には、川口市長選挙が予定されており、選任要件の緩和の効果は非常に大きいと感じています。
- <R1.5以降の選挙実績>
- R1.7 参議院議員通常選挙
- R1.8 埼玉県知事選
- R1.10 参議院議員補欠選挙
- R3.10 衆議院議員総選挙
- R4.2 川口市長選挙
川口市内の投票所における投票風景