[解決事例08]森林所有者の氏名その他の固定資産税情報の内部利用を可能とすることにより、森林法及び森林経営管理法に基づく業務の円滑な実施に寄与

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[地方に対する規制緩和]

(法律 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和2年法律第41号)による森林法の改正)
(通知 固定資産税台帳に記載されている森林所有者に関する情報の利用について(令和2年6月15日 2林整計第212号)等)

ポイント

市町村が実施する森林の土地の所有者等を把握するための調査により得られた情報を林地台帳へ反映するものとされた。これを受け、平成23年度以前に森林所有者となった者に関する固定資産税情報についても市町村内部での利用が可能となり、市町村における森林法・森林経営管理法に基づく業務の円滑な実施が可能に。

詳しくは提案募集方式データベース「R1年」管理番号「49、64」で検索!

提案実現までの流れ

森林所有者の氏名その他の固定資産税情報の内部利用を可能とすることにより、森林法及び森林経営管理法に基づく業務の円滑な実施に寄与することを説明するイラスト

取組の概要

高知県の位置を示す地図 福井市(福井県)の位置を示す地図
  • 森林組合や林業事業体等の森林整備の担い手が活用することを目的に、平成31年4月から林地台帳の運用が開始されている。また、この台帳は経営管理が行われていない森林所有者に対して、市町村に経営管理の委託の意向を確認する調査にも活用される予定であった。
  • しかし、登記簿上の所有者と現在の所有者が異なるなど、林地台帳の精度が低く活用の幅が限られてしまうことや、現在の所有者の再探索にかかる事務負担など多くの懸念があった。
  • 平成24年4月以降に森林所有者となった者の税情報は、市町村林務部局への届出義務があるため秘密にあたらず、税務部局が作成する固定資産課税台帳の情報を内部利用できるとされてきた。
  • しかし、内部利用できるのが平成24年4月以降に新たに森林所有者となった者のみに限定されており、それより前に森林所有者となった者は固定資産課税台帳の情報を内部利用できず、伐採及び伐採後の造林届出書等の受理が遅延したり、受理自体ができない事態が発生していた。
  • そこで、平成24年4月よりも前に森林所有者となった者についても、固定資産課税台帳の情報を内部利用できるようにすることを提案。

取組の成果

登記簿と異なる固定資産課税台帳上の所有者情報の提供数のグラフ

登記簿と異なる固定資産課税台帳上の所有者情報の提供数

  • 制度改正により、課税部局から固定資産課税台帳に記載された森林所有者情報の提供を受けることが可能となり、登記簿と異なる固定資産課税台帳上の所有者情報約8,000件の提供を受け、林地台帳の精度が大きく向上した。
  • これにより、森林経営管理法に基づく森林所有者の意向調査等を円滑に行うことが可能となり、森林の集約化や地域材を利用する産業の活性化等の、今後の森林経営管理に大きな効果が期待される。
 

関係者からの声

「今まで分からなかった森林所有者情報を特定できるようになりました!」

福井市農林水産部林業水産課担当者の写真
福井市 農林水産部 林業水産課
副主幹 反保 秀一 氏
副主幹 小林 靖和 氏
副主幹 漆嵜 摩子望 氏

この制度改正によって、森林所有者を正確に把握することが可能となり、森林所有者の情報などを整備する林地台帳の精度が大きく向上しました。

森林所有者の情報を正確に把握できたことにより、これまで不動産登記簿を閲覧して行っていた森林所有者の探索作業が不要となり、市町村職員の作業時間の大幅な短縮につながりました。

また、林業事業体が森林整備を進めるために所有者を特定する作業にも林地台帳が活用されていることから、林地台帳の精度向上は市町村職員の業務効率化だけでなく、林業事業体の負担軽減にもつながるものとなりました。

 

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