[解決事例05]生活保護費返還金等のコンビニ納付を可能とすることにより、収納の利便性が向上
[地方に対する規制緩和]
(法律 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和2年法律第41号)による生活保護法の一部改正)
ポイント
生活保護費返還金等の返還方法について、コンビニ納付を可能とすることにより、債務者の返済に係る利便性が向上するとともに、地方公共団体の効率的かつ効果的な収納を実現し、収納率の向上に寄与
詳しくは提案募集方式データベース「R1年」管理番号「5」で検索!
提案実現までの流れ

取組の概要

債務者の返済利便性向上と市の収納改善を同時に実現
- 生活保護費返還金等については、滞納繰越額が過大になり、収納率の低さが地方公共団体の大きな課題となっていた。一方で、納付手段が「一部金融機関での納付書払い」、「福祉事務所等での窓口払い」、「現金書留」等に限定されていたことは、債務者にとって利便性が低く、納付が困難となる、または遅滞する原因となっていた。
従来の生活保護費返還金等の納付手段 一部金融機関での納付 ・遠出が困難である場合や、日中は就労している場合に不向き
・交通費がかかる場合がある
・手数料は不要福祉事務所等での納付 現金書留 ・手数料が必要
・日中は就労している場合に不向き提案により実現した生活保護費返還金等の納付手段 コンビニ納付 ・生活圏に複数存在
・時間にとらわれない - 納付困難な理由が多く、収納の折衝が不調に終わるケースが報告される一方、コンビニ納付の要望が多数寄せられていると現場から声が挙がった。
- これを受け、船橋市はコンビニ納付の検討を行ったが、その導入には法令改正が必要であることが判明。課題を解消するため、同市は内閣府に事前相談。
- 船橋市と内閣府でさらに検証等を行った結果、令和元年5月に同市から、生活保護法の改正によりコンビニ納付を可能とする提案を提出。
- 提案の結果、生活保護法の一部改正が行われ、生活保護費返還金等のコンビニ納付が可能となった(令和2年10月1日施行)。
取組の成果
- 船橋市においては令和3年4月1日より収納代行業者と契約を締結し収納の私人委託を行い、コンビニ納付を開始。
- これにより、従来では納付困難だった債務者からの納付も見られ、債務者にとっての利便性は大きく向上している。
- 令和3年4月1日から9月30日の納付は前年度同期比で収納金額が約5千万円、収納率が約2%上昇。令和3年度納付書により収納した9月末までの総件数3,643件のうち47.8%にあたる1,741件がコンビニ等で納付されている。
- コンビニ等の納付は増加傾向にあり、令和3年9月納付の66%がコンビニ納付である。
- 住民の利便性向上を求める声に真摯に耳を傾け、その実現に走った船橋市の取組と成果は提案募集制度の理想形のひとつである。
返還しやすい環境の実現は、実績として如実に表れている

関係者からの声
「変えなかったら何も始まらないとの思いから提案しました!」

船橋市福祉サービス部
生活支援課(前職)
主任主事 細井 亮平 氏
行政職員として低い収納率という支障をなんとか改善したい職務意識と、住民にとって使い勝手がよくない従来の制度は改めるべきではないかという思いがありました。
現場で聞くのは「誰もが気軽に行けるコンビニで納付できればいいのに」という声。住民の声は私の背中を強く押してくれました。法改正が必要とわかった時は、ハードルの高さを感じましたが、そのとき頭に浮かんだのは常日頃から市役所内で周知されていた提案募集制度です。内閣府に相談し、提案したことで思い描いた改善ができました。変えなかったら何も始まらない、その思いが実を結んだのはよかったです。
「託されたバトンはしっかり握って走り続けます!」

船橋市福祉サービス部
生活支援課 石橋 陽 氏
提案を担当した細井さんの後任として現職に就いています。船橋市が上げた声が国の制度を変えた結果、住民の皆様の利便性が向上している右肩上がりの状況を実感しています。日々の業務で、制度利用者の方とお話する機会があるのですが、「便利になってよかったよ」と声をかけられたり、収納の折衝がスムーズにいくことが多くなったように思います。私自身、これからの業務の中で支障を感じたら、大小に関わらず、提案に結び付くよう動きたいと考えています。託されたバトンはズシリと重いですが、しっかり握って走り続けます。
本取組は令和元年度の地方分権改革推進MVPに選出

緻密なデータ分析による提案が高い評価を受けた