[解決事例03]介護認定に係る調査主体の資格要件の見直しにより、効率的な介護認定に寄与

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[地方に対する規制緩和]

(省令 老人福祉法施行規則等の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第64号))

ポイント

指定市町村事務受託法人が介護認定に係る調査を行う場合、介護支援専門員のほか、専門的知識を有する者に調査を行わせることが可能となり、効率的な介護認定に寄与

詳しくは提案募集方式データベース「H30年」管理番号「49、319」で検索!

提案実現までの流れ

介護認定に係る調査主体の資格要件の見直しにより、効率的な介護認定に寄与することを説明するイラスト

取組の概要

那覇市(沖縄県)の位置を示す地図 所沢市(埼玉県)の位置を示す地図

介護認定に係る人材確保、効率的な介護認定のため提案

  • 所沢市における介護認定調査員は、社会福祉士等の資格と埼玉県及び同市で実施している調査員研修受講により、介護支援専門員の資格がなくても介護認定調査業務を実施可能としていた。
  • しかし、指定市町村事務受託法人への委託に関しては、介護保険法上、「介護支援専門員その他厚生労働省令で定める者に当該委託に係る調査を行わせるものとする。」とあり、埼玉県に確認したところ、これに該当する省令が無いため、介護支援専門員でないと調査はできない状況と判明した。
  • 介護支援専門員は、ケアプラン作成を本業とされる方が多く、指定市町村事務受託法人が調査業務で、介護支援専門員の募集をかけても応募が少なく、人材確保が困難となっていた。
  • 所沢市では、平成30年4月から新規申請調査も合わせて月540件の調査を委託する予定だったが、指定市町村事務受託法人が介護支援専門員の資格のある調査員を確保できないことにより、100件前後は同市の調査員が予定以上の調査を行わなければならず負担がかかっている状況だった。
  • このため、介護認定の申請から調査実施までに時間がかかり、介護保険法で定められた30日以内に認定結果を出さなければならないところ、40日以上もかかることもあり、認定業務全体に遅れが生じていた。
  • 提案の結果、令和2年4月1日をもって、厚生労働省令が改正され、指定市町村事務受託法人が当該調査を行う場合の調査員の資格要件が緩和されることにより、介護支援専門員のほか、保健、医療又は福祉に関する専門的知識を有する者に調査を行わせることが可能となった。
介護認定に係る調査事務の委託
市区町村は介護認定に係る調査事務の一部を、当該調査事務を適正に実施することができると都道府県知事に認められた指定市町村事務受託法人に委託することができる。
指定市町村事務受託法人
介護保険法第24条の2第1項に基づき、保険者(市区町村)から委託を受けて保険者事務(要介護認定調査事務や照会等の事務)の一部を実施する法人として、都道府県が指定した法人。

取組の成果

  • これにより、指定市町村事務受託法人における介護認定調査員の人材確保の促進、調査に要する時間の短縮、処理できる調査件数の増加、もって、効率的な介護認定の促進に寄与することが期待される。

関係者からの声

「提案の実現により、介護認定の調査業務がスムーズになりました」

所沢市介護保険課担当者イラスト
所沢市
介護保険課 担当者

介護認定の訪問調査業務は、法律に定められた期間内に認定結果を出す必要がありますが、年々、認定調査件数が増加する一方、認定調査を行う市職員の増員は困難であり、介護認定の調査業務を円滑に進めるためには、認定調査の更なる外部委託は不可欠でした。

提案の実現により、外部委託の促進が進み、市の介護認定の調査業務がスムーズになりました。

 

「人材の確保、ひいては雇用安定の効果も得られています」

社会福祉法人所沢市社会福祉協議会の担当者イラスト
本制度を活用した
指定市町村事務受託法人
「社会福祉法人所沢市
社会福祉協議会」担当者

規制緩和により、社会福祉士等の福祉資格や看護師等の医療的資格を持つ方など、介護支援専門員以外の資格でも認定調査ができるようになったため、人材の確保に期待しています。以前は、限定されていたので、調査員の確保に苦慮していました。

本会は平成30年4月より指定市町村事務受託法人として認定調査業務の委託を受けています。

制度改正により、介護支援専門員の資格を更新せず引き続き調査業務に携わっている調査員が6名おり、調査件数の増加や雇用安定の効果を得られ、円滑な認定調査が行えるようになりました。

 

「介護支援専門員の資格を更新しなくても、認定調査の仕事を続けられます」

認定調査を行われている担当者のイラスト
本制度改正後、
指定市町村事務
受託法人で認定調査を
行われている担当者

長年介護認定調査員として、要介護認定の調査に従事してまいりました。

要介護認定の調査は、認定調査対象者の要介護度の決定に大きく影響するため、非常に重要な仕事と考えております。

介護支援専門員資格を更新せずに調査員を続けられるようになり、介護の現場での経験とともに、介護福祉士や栄養士としての経験を活かし、認定調査を行う際は、ご本人やご家族の方の負担を考慮しつつ、できるだけ速やかに正確な認定調査ができるよう努力しております。

 
所沢市社会福祉協議会介護保険認定調査事務所の外観写真
所沢市社会福祉協議会介護保険認定調査事務所の内部写真

所沢市社会福祉協議会介護保険認定調査事務所

 

「本市を退職後、引き続き調査業務の継続を希望する方の就職先の受け皿が広がりました!」

介護認定担当者のイラスト
那覇市
ちゃーがんじゅう課
介護認定担当者

提案は、指定市町村事務受託法人から、必要とされる資格要件について、市と同等にしてもらいたいとの要望がきっかけでした。

本市の調査員業務を経験した職員で介護支援専門員の資格を有しない者が、本市を退職後、引き続き調査業務の継続を希望する際の就職先の受け皿が広がりました!

 

「資格要件が拡大され、人材確保への幅が広がりました」

認定調査担当者のイラスト
本制度を活用した指定
市町村事務受託法人
「NPO法人介護と福祉
の調査機関おきなわ」
認定調査担当者

提案の実現により、介護支援専門員の継続研修を受講していない専門資格を有する調査員を継続雇用することができることで、更新研修受講のため調査ができない時間も減り、円滑な認定調査が行えるようになりました。制度改正によって資格要件が拡大され、人材確保への幅が広がりました。

 

要介護認定の流れと介護認定(訪問調査)の様子

要介護認定の流れ図
介護認定(訪問調査)の様子の写真
介護認定(訪問調査)の様子
 

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