アレックス・G・コウティーノ博士・挨拶全文(仮訳)

 天皇皇后両陛下、安倍総理、各国国家元首の皆様、ご列席の賓客の皆様、

 日本の政府、そして日本国民の皆さんから、野口英世博士とその優れた功績にちなんだこの賞の受賞者に選んでいただき、このように格式のある授賞式の壇上で、素晴らしい名誉を受けることができて光栄です。今からちょうど30年前の1983年6月に、私がマケレレ大学医学部を卒業した時には、既にウガンダで蔓延していたHIVが世界的に蔓延することになり、このHIVとの闘いが私のライフワークとなり、この賞を受賞し、私が本日ここにいることに繋がるとは思いもよりませんでした。

 私は子供の頃から医者を目指し、これまでの医師としてのキャリアの中で私が最も喜びを感じたことは、アフリカの何千人もの人々に、かかりつけの医師として安らぎと治療を提供できたことでした。この15年間に、私と同僚たちは、HIVに関する新しい研究の成果を、ウガンダやスワジランドや他の国々での数百万人の人々を対象とする大規模な保健医療プログラムに取り入れました。私の同僚のピーター・ピオット博士らがHIVに関する科学を飛躍的に進歩させる発見の旗手となり、私たちは力を合わせ、科学を政策へ、また科学を大規模な地球規模での実際の取り組みへとつなげるよう尽力してきました。そして、何百万人もの人々が医療サービスを受けられるよう拡大していった一方で、新しい課題を発見し、また、世界的規模で科学に貢献し、私たちを苦しめる疾病に新たな解決策を与える科学的知識を発見してきました。

 今回受賞の対象となった私の功績は、数多くの関係者の皆様の支援、尽力、関与がなければ達成できなかったことは明らかです。ここで全員のお名前を挙げることはできませんが、そのうちの何人かに触れたいと思います。

 途切れることのない平和な時代を導き、ますますの繁栄をもたらしているヨウェリ・カグタ・ムセベニ大統領を指導者とするウガンダ政府とウガンダ国民に御礼を申し上げます。戦争や内戦を行っている国では、意味のある保健医療の改善や保健医療プログラムに取り組むことは望めません。ウガンダのほとんどの地域で平和が27年間続いたことで、私がリーダーシップを取ってきたエイズ支援機関(TASO)やマケレレ大学感染症研究所(IDI)などの組織は、ウガンダ政府や日本などの国際的パートナーと協力し、ウガンダ国内外の人々に医療サービスを提供することができたのです。

 私の恩師や先輩は、人生と医学の両面で私を指導して下さり、それだけでなく、虐げられた人々を治療することに対する情熱やアフリカへの深い愛情を教えて下さいました。この教えが私をアフリカに留め、また毎日アフリカの人々の役に立てるよう私の意欲をかき立てています。

 特にTASO(エイズ支援機関)、IPM(抗微生物薬国際パートナーシップ)、IAVI(国際エイズワクチン推進構想)、世界基金(世界エイズ・マラリア・結核基金)、PEPFAR(米国大統領緊急エイズ救援計画)、マケレレ大学感染症研究所での私の仕事を通じて出会った同僚達にも感謝したいと思います。私の功績は、私一人だけのものではなく、皆さんのおかげです。

 また私の家族にも感謝したいと思います。看護師と助産師であり、医療の道に進むことを応援してくれた母、そして31年間私の傍らに寄り添い、我々の子供達、ニールとジェレミーとカレンをともに育ててきた妻のシーラ。家族が私にインスピレーションを与えてくれました。

 そして、皆さんの偉大なる息子である野口英世博士を讃えるという先見の明を有する日本の皆様に感謝します。このような賞を設けて下さったことで、日本はアフリカの開発課題における保健の重要性を認識していることを明らかにしました。日本はアフリカの長年の友人であり、アフリカの人々の健康のために着実に多額の投資をしてくれました。本日ご列席のアフリカの指導者の皆さんには、特に、保健と教育への投資を引き続き行っていただくようお願い申し上げます。私たちが奉仕し、私たちを選出する民衆は、平和、安全保障、生きるための基本的なニーズの次に優先されるべき2つの事項として、保健と教育を選んでいるのです。またここにお集まりの諸国の皆様には、自国の英雄たちを評価して頂きたいと思います。ウガンダには、多様な分野に私のような者が数多くいます。これらの人々がより一層奮起し、またアフリカに留まるためには、正当な評価を与えることが必要なのです。

 世界各地のHIV陽性者の皆さんに感謝したいと思います。偏見を生むこの疾病と長年にわたり対峙しているあなた方の勇気は、私たちに、あなた方の傍らに立って、一緒に解決策を探し求め、エイズのない世界を目指す勇気を与えてくれます。

 最後に、この賞は私だけのものではなく、アフリカの人々に与えられたものだと述べたいと思います。私は、先見の明とリーダーシップを兼ね備え、その医療技術の根本に温かい思いやりと愛国心を持つ医療従事者のリーダーを養成するために、この賞を役立てることを約束します。また、そのような医師、看護師、助産師、検査技師が、今後、野口英世博士の精神を引き継ぎ、我々の母なるアフリカの保健医療の課題を解決する力となることを誓います。

 神と祖国のために

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