第121回 消費者委員会 議事録

日時

2013年5月21日(火)16:00~19:14

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、稲継委員、小幡委員、
 夏目委員、細川委員、村井委員、吉田委員
【説明者】
 厚生労働省  深澤 老健局高齢者支援課長
山口 老健局高齢者支援課高齢者居住福祉専門官
老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室担当者
社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課地域生活支援推進室担当者
雇用均等・児童家庭局総務課担当者
山本 医政局総務課保健医療技術調整官
健康局生活衛生課担当者
 消防庁  米澤 予防課長
 国土交通省  野津 自動車局審査・リコール課リコール監理室長
 独立行政法人国民生活センター  鈴木 相談情報部長
 公益社団法人 日本美容医療協会  保阪 副会長
 総務省  村上 情報流通行政局情報流通振興課情報セキュリティ対策室調査官
小川 総合通信基盤局消費者行政課企画官
 経済産業省  佐脇 商務情報政策局情報経済課長
 消費者庁  村山 消費者政策課長
宗林 消費者安全課長
【事務局】
 原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.消費者基本計画の検証・評価・監視について
 (1)有料老人ホーム等について(施策番号58、58-2、173関係)
○説明者: 厚生労働省  深澤 老健局高齢者支援課長
山口 老健局高齢者支援課高齢者居住福祉専門官
老健局高齢者支援課 認知症・虐待防止対策推進室担当者
社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課地域生活支援推進室担当者
雇用均等・児童家庭局総務課担当者
  消防庁  米澤 予防課長
 (2)自動車リコール制度について(施策番号8関係)
○説明者: 国土交通省  野津 自動車局審査・リコール課リコール監理室長
 (3)エステ・美容医療サービスについて(施策番号39、39-2、39-3、43、153-2関係)
○説明者: 厚生労働省  山本 医政局総務課保健医療技術調整官
健康局生活衛生課担当者
  独立行政法人国民生活センター  鈴木 相談情報部長
  公益社団法人日本美容医療協会  保阪 副会長
 (4)情報通信分野における個人情報保護について
○説明者: 総務省  村上 情報流通行政局情報流通振興課情報セキュリティ対策室調査官
小川 総合通信基盤局消費者行政課企画官
  経済産業省  佐脇 商務情報政策局情報経済課長
3.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:10KB)
【資料1】 消費者基本計画の検証・評価・監視に係る関係省庁ヒアリングの対象施策等(PDF形式:108KB)
【資料2】 有料老人ホーム等関連資料(施策番号58、58-2 関係)(厚生労働省提出資料) 【資料3】 有料老人ホーム等関連資料(消防庁提出資料)(PDF形式:206KB)
【資料4】 有料老人ホーム等関連資料(施策番号173 関係)(厚生労働省提出資料)(PDF形式:172KB)
【資料5】 自動車リコール制度関連資料(国土交通省提出資料) 【資料6】 エステ・美容医療サービス関連資料(厚生労働省提出資料) 【資料7】 エステ・美容医療サービス関連資料(国民生活センター提出資料)(PDF形式:327KB)
【資料8】 エステ・美容医療サービス関連資料(日本美容医療協会要望書)(PDF形式:39KB)
【資料9】 エステ・美容医療サービス関連資料 【資料10】 情報通信分野における個人情報保護関連資料(総務省提出資料) 【資料11】 情報通信分野における個人情報保護関連資料(経済産業省提出資料)

≪1.開会≫

○山口委員長代理 皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第121回)」の会合を開催いたします。河上委員長が遅れておりますので、しばらくは私のほうで議事進行をさせていただきます。
また、本日は、所用によりまして、川戸委員と田島委員が欠席の予定です。
それでは、配付資料の確認につきまして、事務局よりお願いいたします。

○原事務局長 配付資料ですけれども、議事次第と書かれた紙の裏に一覧を載せております。
資料1が、本日行います消費者基本計画の検証・評価・監視に係る関係省庁ヒアリングの対象施策になります。
資料2といたしまして、有料老人ホーム等の関連の資料ということで、厚生労働省から御提出いただいた資料です。枝番がついております。
資料3といたしまして、有料老人ホーム等の関連資料ということで、消防庁から御提出いただいた資料になっております。
資料4といたしまして、同じく有料老人ホーム関連資料で、厚生労働省から御提出いただいた資料になります。
資料5といたしまして、これも枝番がついておりますけれども、自動車リコール制度の関連資料ということで、国土交通省から御提出いただいた資料になります。
資料6、7、8、9は、エステ・美容医療サービスの関連資料になります。枝番がついておりまして、6-1が厚生労働省、資料7が国民生活センターから御提出いただいた資料、資料8が日本美容医療協会から4月30日にいただきました要望書です。
資料9といたしまして、エステ・美容医療サービスの関連の資料ということで、これも枝番がついておりますけれども、おつけしております。
資料10といたしまして、情報通信分野における個人情報保護の関連の資料ということで、総務省から御提出いただいた資料です。
資料11といたしまして、情報通信分野における個人情報保護の関連資料ということで、経済産業省から御提出いただいた資料になっております。
不足がございましたら、審議の途中でもお申し出いただければと思います。
以上です。

○山口委員長代理 どうもありがとうございました。

≪2.消費者基本計画の検証・評価・監視について≫

○山口委員長代理 きょうは盛り沢山ですので、よろしくお願いいたします。
本日の議題は「消費者基本計画の検証・評価・監視について」でありまして、消費者基本法におきまして、消費者政策会議が行う消費者基本計画の検証・評価・監視については、それらの結果の取りまとめを行おうとする際に消費者委員会の意見を聞かなければならないとされております。このため、消費者委員会においては、昨年末に行った関係省庁ヒアリングの結果や、当委員会が最近行った意見表明の内容などを踏まえ、計画の検証・評価及び見直しに向けての意見を本年の2月26日に出したところであります。その後、消費者庁をはじめとする関係省庁では、当委員会の意見を踏まえて、計画の検証・評価及び見直し作業を行い、この結果、取りまとめられた計画の改定素案が5月16日までパブリックコメントにかけられておりましたが、当委員会といたしましては、本改定素案について、関係省庁からのヒアリングを実施し、計画の改定に向けた意思表明を改めて行う予定としております。
本日は、その第3回目といたしまして、資料1に掲載されております、有料老人ホーム等、自動車リコール制度等、エステ・美容医療サービスについて、さらには、情報通信分野における個人情報保護について、関係省庁からヒアリングをさせていただきたいと思います。


1)有料老人ホーム等について(施策番号58、58-2、173関係)

○山口委員長代理 初めに、「有料老人ホーム等について」であります。総務省消防庁、厚労省におかれましては、お忙しいところを御出席いただき、誠にありがとうございます。
本件につきましては、議事進行上の都合から、消費者基本計画改定素案の施策番号58及び58-2の関連と173の関連に分けて審議を行うことといたします。
まず、施策番号58及び58-2関連の審議を行います。有料老人ホームにつきましては、入居一時金などの名目で徴収される前払金の返還金に係る問題などを防止するために、平成22年12月に消費者委員会として建議を取りまとめました。昨年5月に行った消費者基本計画の検証・評価・監視では、厚生労働省から都道府県などに対して、前払金の保全措置が講じられていない施設への指導の徹底を求める通知を出されましたし、また、前払金の算出方法や償却方法などを提示して、周知徹底に努めているとの御説明をいただきました。
本日は、本件に対するその後の実施状況や、さらなる改善に向けた取組みとして、有料老人ホームに係る入居一時金の実態や、その透明性を高めるための施策等につきまして、厚生労働省から御説明をお願いいたします。説明時間につきましては、5分程度でお願いして、その後、質疑させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○厚生労働省深澤老健局高齢者支援課長 厚生労働省高齢者支援課の深澤と申します。
資料2-12-2を使って御説明させていただきたいと思います。
まず、資料2-1を御覧いただきたいと思います。1ページ目でございます。これは、昨年御説明したものと一部だぶりますけれども、「有料老人ホームに関するトラブルについて」ということです。23年までは増えておりましたが、国民生活センターの情報をいただきますと、年度の途中ですが、24年は前年同期と比べると減っているという状況がございましたが、引き続き、契約あるいは解約の関係の相談が多いという実態があるということでございます。
2ページを御覧いただきたいと思います。先ほどのお話にございました、22年の12月に消費者委員会から、短期解約特例制度についての建議をいただいたところでございます。それを受けまして、3ページ、2つ書いてございますけれども、老人福祉法の改正をいたしまして、昨年4月1日から施行しているところでございます。左側が入居一時金の短期間での契約解除の場合の返還のルールの関係です。法第29条第8項と書いてございますけれども、入居後一定期間の契約終了の場合に、施行規則で定める返還方法に基づき、前払金を返還する契約を締結することを義務づけたということでございます。3か月以内と想定居住期間内の場合ということで、これは、ホームに応じて想定居住期間を想定した上で、それぞれ3か月以内と想定居住期間内の場合で取り組んでいただくということでございます。
4ページを御覧いただきたいと思います。昨年の4月、この制度が施行されております。有料老人ホームの監督につきましては、都道府県、政令市、中核市がやっているところでございます。私どもは一応ガイドラインという形で示しておりますけれども、国の示した方針と、それに加えて独自規定を取り組んでいるところが、そこに掲げております都道府県、政令市等でございます。代表例で申し上げますと、東京都につきましては、「前払金の全部または一部を返還対象としないことは、適切でない」という指導をやっています。
神奈川県下の政令市等におきましては、「一時金方式に加えて月払い方式も設定し、入居希望者がいずれかの方式を選択できるようにする」ということが書いております。埼玉県内の市等は、「想定居住期間を超えて契約が継続する場合に備えて受領する額については、想定居住期間内に契約が解除された場合には、その額を返還する」ということ。山形県、和歌山市は、東京都と同様の指導をしているという実態でございます。我々、昨年4月施行以来、機会あるごとに担当課長会議等で、前払金の施行についての都道府県等の指導徹底ということをお願いしているところでございます。
5ページが、現在の有料老人ホームにおける支払方式の割合を示したもので、平成19年以降を示しております。これを御覧いただきますと、一時金方式が少しずつ減って、月払い方式が、22年、23年は同じパーセントですが、少しずつ増え、また、選択方式も一定程度あるという状況でございます。それが現状でございます。
私どもは、都道府県等に対する徹底に加えまして、資料2-2のパンフレットを御覧いただきたいと思います。こちらは「消費者向けガイドブック」ということで、有料老人ホームですとか、サービス付き高齢者向け住宅を選ぼうとする場合に、消費者向けにこういう点に注意してくださいというパンフレットを、事業者団体、消費者団体、首都圏の地方公共団体、国土交通省と一緒に作って、各事業者団体のホームページ、あるいは、私ども厚労省のホームページ等にリンクを張っておりまして、広く活用をお願いしたいということでやっております。
消費者向けにこういう点に気をつけていただきたいという中に、7ページ以降に、支払い方式ということで、月払い方式と前払方式の中身の違い、あるいは、その場合はどういう形で返還されるかというようなことを、できる限りわかりやすく示したということでございます。9ページにはさらに詳しく支払い方式別の支払額・返還額の比較等々、10ページにはQ&Aという形で、入居される消費者向けにも入居一時金について、わかりやすく御説明をしていきたいということで取り組んでいるところでございます。
今年度は私ども調査の事業費がございますので、入居一時金の実態把握の調査を実施したいと思っております。その結果を踏まえまして、26年度以降、入居一時金のあり方についてさらに検討し、取り組んでいきたいと考えているところでございます。
簡単ですが、説明は以上でございます。

○河上委員長 それでは、御意見のある方はお願いいたします。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 御説明、ありがとうございました。いろいろ御苦心なさっていることはよくわかりますが、資料2-1の有料老人ホームに関するトラブルのデータを見ても、平成23年度までは増える一方だったのが、24年、昨年は若干減り気味ではないかというところは伺えなくもないのですが、まだまだ多い。実は、有料老人ホームの問題は、ご本人が施設でお世話になっていますので、現実にそこで問題を顕在化させても逆に施設から冷たくされかねないという心配もあって、顕在化しにくいところがあると聞いています。そういう意味では、600件近い相談というのはかなり深刻な事態なのではないかと思います。
そういう中で、入居一時金の問題については東京都の紛争処理などでも幾つか問題になっております。なかなか扱いにくいのだろうなと思うのですが、2つ、御質問させていただきたい。第1に、入居一時金の返還義務がある金額についての保全が必ずしもきちんとなされていないという実情を昨年も御報告されましたが、その後の指導等で成果が出ているのか。その辺についての成果がどういう状況なのか、これをひとつお聞かせいただければと思います。
それから、初期償却といいますか、3か月を過ぎた後、一定の償却をすることについて、東京都は基本的によろしくないとしている。一方、神奈川県などは、ちゃんと消費者に事前に説明しなさい、そうすれば償却してもいいのではないかと、自治体によって違った扱いがされているようです。もう少し様子を見るというのが去年の厚労省の対応だったと思いますが、その辺についてどういうふうにお考えなのか。
特に私が問題だと思うのは、想定居住期間。これは、厚労省は難しいマトリックスを使って、65歳で入居する場合、70歳で入居する場合、80歳で入居する場合で、それなりの想定居住期間を緻密に計算するように指導されているようですが、どうも施設の実情を見ると、5年とか、7年とか、割とざっくりとした、しかも比較的短い期間を想定しているように思います。その辺の実情を踏まえた上で今の償却の実態をどう考えたらいいのかという点について、お考えがあればお聞かせいただければと思います。

○厚生労働省深澤老健局高齢者支援課長 2点、御質問をいただきました。まず、一時金の保全の状況でございます。これは、毎年度調べております。24年度を調べた状況は取りまとめ中でございまして、それについては間もなくまとまると思いますので、まとまった文書でこちらに提出をさせていただきたいと思っています。いずれにしろ、指導については、毎年きちんと公共団体向けにお願いしているところでございます。
もう一点、入居一時金に対する指導について、都道府県ごとに異なった取扱いがあるということでございます。昨年4月に施行されました老人福祉法の改正につきましては、有料老人ホームについて、蓄えはあるけれども余りフローの収入がない老人向けにこの入居一時金が使われてきたという実態を踏まえまして、しかし、それが消費者にとって好ましくないやり方での償却でございましたので、そこをきちんとルール化して守らせていくことを目的に法改正をさせていただいたところでございます。入居一時金については、返還時の算定方法を定めた上で、認めているわけでございます。我々としては、法施行が昨年4月でございますので、今年度、もう一度よく実態を調べて、それを踏まえて、来年度、入居一時金のあり方について検討をしていくということ。これを消費者委員会の御指摘に対するお答えにしたいと思っております。
なお、山口委員長代理から御指摘のありました想定居住期間について、余り客観的なデータに基づくことなく、一律で設定しているのではないかとか設定期間が短いのではないかという御指摘は十分踏まえた形で、今年度、よく調べて、また検討材料にさせていただきたいと思っております。

○河上委員長 想定居住期間に関する調査というのは、やったことがあるのですか。

○厚生労働省深澤老健局高齢者支援課長 そこについては厳密にはやっておりませんので、それも、今年度の私どもの持っている調査費の中できちんと項目を立ててやりたいと思っております。

○山口委員長代理 是非お願いします。

○河上委員長 有料老人ホームの一時金が入りますと、その一時金に対する税金のかけ方について教えて下さい。あれはその年度の収入として税金がかかってしまうのでしょうか。本当は入居一時金は、何十年とか十数年にわたって少しずつ使っていくものですから、最初のところでドーンと税金を取られてしまうと後々困ってしまって、構造的に問題があるという話を聞いたことがあります。入居一時金に関する税の問題というのは何か厚労省のほうでお考えになったことはございますか。

○厚生労働省深澤老健局高齢者支援課長 すみません。不勉強な点がございます。全部を把握しているわけではございません。毎年少しずつ収入に計上していくというのが本来のあり方かと思います。ただ、それが税制上どういう取扱いになっていて、その税制の取扱いによって、場合によっては早期に償却しなければいけないという実態があるのか。そこは全部わかるかどうかわかりませんけれども、関係者等に聞いて実態のわかる範囲で御説明したいと思っております。

○河上委員長 今、幾つか指摘のあったことも含めて、実態調査を是非やって、文書でお知らせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
この件に関して、ほかにはよろしいですか。
では、そのような実態調査をお願いするとともに、償却についての透明性をさらに高めるための方策を含めたそのあり方について、早期に検討を進めていただきますようにお願いしたいと思います。
続きまして、施策番号の173関連の審議に移りたいと思います。本年2月に長崎県のグループホームで発生した火災事故を受けて、消防庁と厚生労働省では実態調査を行っていると伺っております。本日は、有料老人ホーム、認知症高齢者グループホームにおけるスプリンクラー等の消防用設備等の設置基準及び設置状況の実態と、今後の取組み方針についての御説明をいただきたいと思います。
まずは消防庁から説明をお願いします。説明時間については、10分程度でお願いできればと思います。

○消防庁米澤予防課長 消防庁予防課、米澤と申します。
いただいた3点について、資料3をお手元に御用意させていただいておりますが、それに基づきまして御説明を申し上げます。
まず1点目、認知症高齢者グループホームと有料老人ホームにおけるスプリンクラー等の設備設置基準等でございます。この表にございますように、左側が消防法施行令別表第1(6)項ロの中で、認知症高齢者グループホームと、有料老人ホームの中で主として要介護状態にある方を入居させるホーム、これらを区分しております。これらについては、表側に掲げておりますような消防設備の設置が、それぞれに掲げられている面積基準等に基づいて義務づけられている。そのほかに、設備ではございませんが、防火管理を行う義務が利用者・職員の合計10人以上という形でかかってまいります。また、防炎物品の使用義務はすべてかかります。その隣にあります(6)項ハ、(6)項ロに該当しない有料老人ホームにつきましては、ここに記載の面積基準に基づいて消防設備の設置義務がかかる形になってございます。
スプリンクラーに関しましては、特に認知症高齢者グループホーム、主として要介護状態にある方が入る有料老人ホームにつきましては、275平米以上ということで、小規模な施設についてもスプリンクラーの設置義務がかかることになっております。一方、通常の有料老人ホームでございますと、6,000平米以上でございます。
2点目の実態調査に関して、資料3の2ページ目でございますけれども、先ほど委員長から御指摘いただきましたように、長崎のグループホームの火災を受けまして、私どもと厚生労働省との共同で実態調査を行っているところでございます。私どものほうでは、認知症高齢者グループホームをはじめとする入所や宿泊を伴う小規模社会福祉施設を対象といたしまして、スプリンクラーの設置状況のみならず、防火管理状況全般についての実態調査という趣旨で行っているところでございます。
主な調査対象として、そこに掲げてございますが、老人福祉施設のみならず、障害児施設に関しましてもこの区分に該当する施設がございますので、それらに該当する1,000平米未満の施設について、今、調査をしているところでございます。調査項目といたしましては、施設の種別面積、収容人員等、スプリンクラー設備の有無・種類、防火管理者選任・消防計画作成の有無、訓練の実施状況でございます。本年2月22日時点で調査を行っておりますので、その時点で消防機関で把握しているものということで、現在、調査の取りまとめを行っている段階でございます。
3点目、今後の取組み方針でございますが、3ページで、今回の長崎市の認知症高齢者グループホームの火災の概要ということで資料をおつけしてございます。本年2月8日に発生いたしまして、グループホームの延べ面積は259.64平米。今回の火災に関しましては、グループホームのスプリンクラー設置基準に満たない小規模施設でございました。消防用設備等につきましては、今回の施設については、義務づけられた設備等は一応ついているという状況でございまして、スプリンクラーについては義務づけられていないので、ついていなかったというものでございます。結果として、焼損面積は余り広くはなかったのですが、煙の回りが早く、死者5名ということで非常に大きな惨事になってしまったというものでございます。
この火災を受けまして、資料4ページ、私どものほうで、「認知症高齢者グループホーム等火災対策検討部会」を立ち上げさせていただきまして、検討委員はそこに記載のとおりでございますが、室﨑先生を委員長といたしまして、現在、検討を進めているところでございます。今週末、5月24日(金曜日)に第2回を開催いたしまして、今後の対応方針等を御議論いただく予定でございます。最終的には、夏までを目途に一定の方向性を取りまとめする予定でございます。
説明は以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。
続きまして、厚生労働省から御説明をお願いいたします。説明時間は5分程度でお願いできればと思います。

○厚生労働省老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室担当者 厚生労働省の認知症・虐待防止対策推進室で認知症高齢者グループホームの関係をやっております三浦と申します。よろしくお願いいたします。
時間もありませんので、簡潔に説明をさせていただきます。資料につきましては、資料4でございます。
まず、認知症高齢者グループホームの概要でございますが、基本的な考え方のところに書いてございますように、認知症の高齢者に対して、共同生活住居で、家庭的な環境と地域住民との交流のもと、入浴・排せつ、食事等の日常生活上の世話を行う施設でございます。それに伴いまして、能力に応じ自立した日常生活が営めるようにする施設ということになっております。
利用者でございますが、基本的に1つの事業所で、1または2つの共同生活住居、これをユニットと呼んでおりますが、1または2つのユニットで運営されています。1ユニットの定員は、認知症高齢者グループホームの関係では5~9人以下ということで、大変小規模な施設という形になっています。グループホームの事業所数は、近年、伸びておりまして、24年10月現在、約1万2,000か所となっております。
続きまして、2ページ、有料老人ホームの関係でございます。これは先ほど来、説明がありましたが、もう一つ、有料老人ホームの定義のところを見ていただければわかると思います。老人の方が入居されまして、「食事の提供」、「介護」、「洗濯」、「掃除等の家事」ですとか、「健康管理」を提供している施設ということで、これも近年、伸びてきている状況にあります。
長崎で起きました認知症高齢者グループホームの火災におきまして、現在、総務省消防庁と厚生労働省老健局で、スプリンクラーの設置等に関する調査実態を行っているものでございます。その概要を3ページ目に記載していまして、消防庁の調査で、275平米未満でスプリンクラーが未設置の事業所が把握できるということですので、それを民生の所管部局に資料の提供をするということ。それから、厚生労働省でも、どういったところに事業所があるかという事業所の一覧を資料提供しまして、消防庁と連携を図っていくというのが2月22日からスタートしている調査でございます。
その資料の共有をもとに、3月8日から、厚生労働省としましては、スプリンクラーが未設置の理由の確認を行うことになっております。先ほど消防庁からお話がありましたが、基準上は275平米未満ですので、スプリンクラーの設置基準がないわけです。そこに対して、厚生労働省としてはできるだけスプリンクラーを設置していただきたいと思っていますが、どういった理由があってスプリンクラーが設置できないのか。こういったことに関しまして、今回、調査を行うということでございます。できるだけスプリンクラーを設置していただく方向に持っていくために、専門的な見地の助言が必要になると思いますので、消防庁と共同で訪問した上で、適切な技術的な助言とか、そういったことも踏まえながら、調査を行っている状況でございます。
現在、取りまとめを行いまして、先ほど消防庁の御説明でありました、資料4ページにありますような検討部会が今週末に開かれますので、こういったところの御議論も踏まえながら、厚生労働省としても対応してまいりたいと考えております。
以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いします。いかがでしょうか。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 3年前でしたか、当時の民主党政権が、283億円の予算を取って、一定規模以上の高齢者施設について、補助金を出してスプリンクラー設置を促進するようにという方針を出しました。そのころ、やはり火災事故が起こって、たくさんのお年寄りが亡くなったということがあったものだから、消費者委員会としても、何とかすべきではないかということで調査をしたことがあります。結局、なぜスプリンクラーをつけないのかということになると、先立つものがないからだということは明らかでして、そうすると、あとは消防庁なり厚労省がどれだけ知恵を絞って、つけたがらない高齢者施設の運営者に、一定の助成もするのだから早くつけなさい、つけないとこういう不利益があるというところでやるしかないのではないかと思います。
それを、有力なメンバーが3か月に1回集まって何を審議しているのか知らないけれども、つけたがらない施設の管理者に、それをつけるための手立てというのははっきりしているのではないかと思いますが、その辺、おいでいただいている消防庁なり厚労省のほうは、要するに先立つものがないから、あるいは面倒だからつけないというわけでしょう。ですから、つけないほうが面倒、あるいは、予算は予算でそれなりに措置があるのだから、じゃあつけようかという気にさせるということに尽きると思います。そういう意味では、先立つものがないというのは非常に難しいけれども、理由は簡単だと思うのです。その辺、もうちょっと率直な実情をお聞かせいただければと思いますけれども、どうでしょうか。

○厚生労働省老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室担当者 高齢者の施設に関しまして、先ほどおっしゃられていたのは、介護基盤の緊急整備等臨時特例基金という基金の関係だと思いますけれども、現在、スプリンクラーの設置に関する費用ということで1平米当たり9,000円の補助が出ております。これは基準としましては、275平米以上がスプリンクラー設置義務があるわけですが、この基金の対象としているのは、275平米未満のグループホームであっても補助を受けることができるという状況になっております。
補助金といいますか、こういった基金を活用できるのに、現場では、今おっしゃられていたように、なかなかスプリンクラー設備が進まないという状況にございます。果たしてお金の問題なのか、もしかしたら構造上の問題とか、入所者の処遇の問題。処遇というのは、認知症の方ですので、例えば環境が変わると症状が悪化するとか、そういったこともありますので、どういったものが理由であるのかというのを、今回、調査しようということで、調査を進めているところでございます。
また、スプリンクラーもいろいろなタイプがあるようでございます。タイプによっては安いスプリンクラーも中にはあるかもしれませんので、その辺の技術的な助言というのは、市町村の民生の所管部局のみではわからないと思いますので、消防のほうとも連携しながら助言をしていただき、設置の推進が図られるように調査をあわせてやっているものでございます。

○河上委員長 小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 先ほどのお話ですと、なぜ理由を調査するのか。予算がないためという理由であれば余りにはっきりしていると思ったのですが、そうすると、先ほど言われた補助金を使えば足りるようなものなのでしょうか、今の状況は。数が多すぎてそれは無理ということですか。

○厚生労働省老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室担当者 実際どれぐらい費用がかかるのかというのも、実勢の単価を調べてみないとわかりませんので、今回、それもあわせて調査をしようという形になっております。

○河上委員長 基金を使ったケースというのは、あることはあるのでしょうか。

○厚生労働省老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室担当者 はい。

○河上委員長 それで自己負担分がどのくらいだったかという実例は、幾つかはお手元にあるのではないですか。それとも、全くそこは知らないと。

○厚生労働省老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室担当者 これは、国から基金として都道府県に原資を流して、都道府県のほうで計画なり、市町村を経由して上がってきたものを採択するという形でございまして、国のほうではちょっとデータ自体がないものになっております。

○河上委員長 細川委員、どうぞ。

○細川委員 今、防火対策がスプリンクラーの設置というところで進んでいるというのはわかりましたけれども、ただ、最後のほうのお話でスプリンクラーもいろいろな種類がある。技術的に進歩もしているようなお話がありましたけれども、必ずしもスプリンクラーではない何か、技術革新の時代ですので、そういった方策はないのでしょうか。例えば、私もふと見てみたら、確かにスプリンクラーはついていますね。もしこれがついてなかったらとしたら、後付けするというのは相当大変だなと思いますし、コストもかかるわけです。しかも、こういう会議室ならいいですけれども、お年寄りが住んでいるところにそういう設置をするわけですね。
そうすると、コストとかそういうものを考えたときに、技術が進歩している時代でありますから、これからつくるものについてはより厳しい規制をしてもいいと思いますけれども、常にあるところに余り大がかりなものをやろうとしても、結局、うまくいかないということになります。何かそういう代替的なものという検討は、なされていないのでしょうか。スプリンクラー以外のものというのはどうなのでしょうか。

○消防庁米澤予防課長 消防庁からお答えいたします。火災予防の観点からいきますと、スプリンクラーをつけたからといって、それで万全というわけではございません。もちろんスプリンクラーが作動している間に火の勢いが弱まって、その間に避難をしていただくということが非常に重要でございます。今回の検討に当たっても、単にスプリンクラーの設置を義務づけるべきか否かということだけではなく、初動体制といいますか、今回の施設においても、残念ながら、消防機関への通報が遅れていたり、あるいは、自ら消火器を使って初期消火をするということが、訓練がきちんとなされていれば行われるべきところが行われていないとか、そういったもろもろのハードのみならずソフトの問題もございます。特にこういった小規模なワンユニットの施設ですと、夜間、管理される方が1人しか泊まっていらっしゃらないという実態もあります。そういった方々に対する夜間の訓練をいかに充実すべきかといったことも含めて検討し、加えて、特に自力避難が困難な方が多数入所している施設でございますので、スプリンクラーがないと万全の態勢がとれないということであれば、規制をかけるという考え方で進んでいます。
技術革新というお話がございましたけれども、現在、こういった1,000平米未満の小規模な施設に関しましては、通常の大きい水槽を持ってポンプで加圧するようなスプリンクラーではなく、水道管に連結して水道の圧でスプリンクラーで水を放出するという構造を持ったものも、消防法令の基準上は認められているところでございますので、若干、通常のスプリンクラーよりはコストも安く設置できるものもございます。加えて、配管設備が非常に難しいという施設ですと、パッケージ型というものもございまして、水道ではなくて、消火薬剤をスタンドアローンで使えるようなものもございます。そういった技術も加味しながら、今回の議論は進めていきたいというふうに思っております。

○河上委員長 ほかにいかがですか。よろしいですか。
自力での避難が困難な高齢者等が入居する施設では、生活の安全の場を確保するという意味でも、消防設備等が適切に設置されていることが大変重要であると考えられます。今回実施された実態調査を、さらに今日も出てきた課題がありましたけれども、その結果を踏まえて、スプリンクラー等の消防用設備などの設置が義務づけられていない施設においても、安全確保のために必要な対策、先ほどのお話ですと、ハード面・ソフト面、両面あるということですが、そうした対策を進めていただくようにお願いしたいと思います。
総務省消防庁、厚生労働省におかれましては、お忙しいところ、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

2)自動車リコール制度について(施策番号8関係)

○河上委員長 続きまして、「自動車リコール制度について」であります。国土交通省にお越しいただいております。
本件につきましては、当委員会の平成22年8月の建議に関連して、三菱自動車工業株式会社の4回目となるリコール届出という事態を受け、その経緯や、国土交通省における対応等について、本年3月にヒアリングを一度実施したところであります。その後、三菱自動車工業株式会社から、リコール業務の改善施策の状況報告が提出され、また、国土交通省による立入検査の結果が公表されたと伺っております。
そこで本日は、これらの点についての概要等と、建議でお示しした技術検証及び監査方針の見直しに係る課題について、その後の検討状況等について、国土交通省から御説明をお願いしたいと思います。説明時間については、10分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○国土交通省野津自動車局審査・リコール課リコール監理室長 国土交通省自動車局のリコール監理室長をしております野津でございます。
それでは、最初に三菱関係の経過の報告、2点ほどさせていただきます。資料5-1としてお配りしてございますが、3月29日に三菱自動車工業から、改善施策の実施状況ということで当省に対して報告がございました。これは、昨年12月に三菱自動車が策定いたしました改善施策について、その後の状況の報告があったものです。
中身は、大きく7項目ありまして、2/7と打ってあるところに、例えば「審議の迅速化へ新たな促進策を導入」とありまして、四角で囲っておりますのが12月に三菱自工で策定したもの、その下に実施状況が書いてあるものでございます。全体で7項目ございまして、これ自体は12月に策定されたものの、その段階でのまさに実施状況、実態の報告ということでございます。
これについての評価は、この後、御説明いたしますけれども、立入検査の結果ということで4月23日に公表して、その中で私どもから問題点の指摘もしてございます。こういった新しく追加になった問題点の改善施策とあわせて、今後、同社の迅速化、適切なリコールが実施されることが極めて重要だと考えております。ですから、この改善施策というのは、いかにワークして迅速・的確なリコールにつながるかという、その結果が重要ではないかと思っていまして、今後とも、三菱自工のリコール業務については指導・監督を続けていくこととしております。
4月23日の立入検査の結果ですが、資料5-2でございます。ちょっと大部でございますので、最初につけてあるプレス資料に基づきまして御報告いたします。
最初の1枚目は、経緯をいろいろ書いてありますが、3月に御報告したような経緯が上のほうに書いてございます。12月19日に発表に至った経緯が書いてございまして、下の(2)のところですが、三菱自工の市場措置の検討姿勢、我が方への報告、説明等には不適切な点があったために、12月19日に口頭厳重注意をして、その後、12月25日~27日にかけて立入検査を行いました。その中では、本件に係る一連の対応、つまり、オイルシールという部品が抜けて起きるオイル漏れ、最終的にはエンストするような事案でございますが、この事案に関する一連の対応を中心にして、リコール業務の実施状況と当省に対する報告・説明等を確認するということで、立入検査、言い換えますと特別監査ですが、実施いたしました。
その結果の概要は、2ポツのところにありますけれども、立入検査の場所といたしましては、田町の本社のほかに、品質統括本部、これがリコールをする部隊で岡崎にございます。それから、三菱自工のテクニカルセンター、これは各販売店の整備技術等をバックアップするところですが、8か所。販売店、これは全部、別の会社になりますけれども、いわゆる三菱自動車のディーラー、39か所に立入検査をしたほか、追加の報告徴収等を実施いたしました。本省から9名、地方運輸局43名ということで対応いたしました。
結果の中身でございますが、法律違反に該当するような事案はございませんでしたが、リコール制度の趣旨に鑑みた場合に新たに判明した問題点ということで、下に掲げております。1つ目といたしまして、不具合情報の収集・分析ということで、これはオイルシール事案もそうですが、販売店に対して、不具合があったら情報を上げてくれということで一応の指示はしてありますが、その指示が徹底されておりませんで、結果として不具合情報を十分に吸い上げていないという問題点がございました。
それから、リコール対象となっていない期間。今回、軽自動車のオイル漏れのリコールをしたのですが、依然としてリコール対象となっていない期間というのがございます。その期間に生産された車両のオイルシールが抜けている、という類いの不具合情報が販売店から上がっていたにもかかわらず、三菱自工として確認していないという理由で、「抜け不具合はない」というふうにしていたという問題点がございました。
不具合情報を集めた後のステップとして、原因究明というものがあります。今回のオイルシールの問題では、平成20年1月に、市場措置はしない、リコールはしないという結論を出しておりまして、その後の2年以上、原因究明作業が実質的になされておりませんでした。それから、第1回リコール届出の後、リコール対象とならなかった車両が相当数あったわけですが、この不具合についての原因究明も適切に行われておりませんでした。
当省に対する説明としましては、車両の不具合の発生状況の説明、リコール対象となっていない期間の車の不具合の数、そういったものの説明が不適切であったこと。あるいは、データの取扱いですとか、当方への資料の提示が不適切であったということでございます。
検査結果の総括としましては、今回、この問題点を指摘したわけですので、同社には改善策を講じてもらって、迅速・的確なリコールをしてもらいたいと考えております。当方としても、今回の知見を活用して指導・監督をしてまいります。
これが、4月23日の立入検査の結果の概要でございます。
それから、「技術検証、監査方針の見直しに係る課題について、取組みをさらに強化する観点から検討した結果を説明されたい」ということでございますけれども、こちらの委員会から2月26日付で、自動車のリコールにつきましては、「事業者の不適切な対応等により自動車リコールの届出が遅延する事例が発生したことを踏まえ、当委員会が『自動車リコール制度に関する建議』において指摘した技術検証及び監査方針の見直しに係る課題について、取組みをさらに強化する観点から再度検討を行い、必要な方策を計画の具体的施策等に明記されたい」という御意見を頂戴しております。
資料5-2ですが、今回の三菱事案を受けまして、プレス資料の3枚目、「3.国土交通省の対応」の(2)のところでが、私どもとしても反省すべき点はあったというふうに考えておりまして、その反省点を2点ほど挙げております。
一つは、三菱自工の中で、原因究明の作業が2年以上ストップしていたということがあったわけですが、それを当省として、当時、認識していなかったという事実がございます。今後は、こういう原因究明等が停滞しているような事案につきましては、監査等を通じて適切に指導し、進捗を促進するということをいたします。
もう一つは、当省に対していろいろ技術的な説明を受けたわけですが、その一つひとつの説明が不適切であった場合、それを逐一指摘するということをしてございませんでした。これを改めて、社内の不具合事象の認識等が不適切と考える場合、こういう場合に往々にして不適切な説明がなされることがございますので、事案に応じて積極的に指摘し、指導をしてまいりたいと考えております。
これらを踏まえまして、資料5-3でございますが、重点施策と具体的施策の資料に記載をしたところでございます。重点施策につきましては、今般の事案を踏まえまして、自動車メーカーによる原因究明などのリコール業務が迅速かつ適切に実施されるように、当省におけるリコール業務と交通安全環境研究所での技術的検証とが一層連携し、監査などの際に確認・指導することが特に重要ですので、重点施策にその旨を記載いたしました。
具体的施策のほうですが、メーカーのリコール業務について、監査等の際に指導を確認すること、再リコール事案の届出が行われた際に技術的検証を積極的に活用することが重要ですので、その旨を明記いたしました。
当省としましては、消費者基本計画も踏まえながら、自動車メーカーによる迅速かつ的確なリコールが行われるよう、引き続き指導・監督してまいりたいと考えております。
以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 御説明、ありがとうございました。資料5-2の1枚目の裏に結果概要が書いてありまして、マル1の不具合情報の収集・分析の2つ目のポツですが、「販売店から、リコール対象となっていない期間の車両のオイルシールの抜けに係る不具合情報が上がってきていた」と。販売店からそういうものが上がっているけれども、三菱自動車としては、それを「抜け不具合はない」というふうに処理してしまったというわけです。販売店からそういう不具合があるということがわかっていたのに、なぜ、それを不具合はないというふうにしてしまうのか。これはポカミスなのか、それとも会社の方針として何かあったのか。その辺はどうなのでしょうか。

○国土交通省野津自動車局審査・リコール課リコール監理室長 資料5-2の12ページに詳しく述べていますけれども、1-2にありますように、販売店からのコメント等として、「クランクオイルシールが外に飛び出した状態確認」、こういった情報が上がってきておりました。これは、自社として事実を確認できていない等の理由から不具合情報として扱っていなかったということです。一つには、ポカミス的なこともありますけれども、もう一つは、13ページの一番下の注23に、三菱自工の見解というもので書いています。4件不具合がある中で、現品調査にて、オイルシールが抜けたからオイルが漏れたという確証が得られなかったので、「抜け不具合はなし」という整理をしたというふうに言っておりまして、正直、これ以上のことはわからなかったということです。なぜこういう処理をしたかというところについては、事実関係としてはここまででございます。

○河上委員長 小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 前回、お話を伺ってから、具体的に立入検査をなさり、その結果でということだったと思いますが、今回、その結果が最終的に出て、国交省としてどのようにするかということの対応ということで、結論まで出たということでよろしいですか。

○国土交通省野津自動車局審査・リコール課リコール監理室長 ちょっと説明を漏らしましたけれども、プレス資料の3枚目、「3.国土交通省の対応」ということで、この報告書自体を三菱自工の担当役員には渡しました。新たに指摘した問題点が入っておりますので、これを踏まえた改善策をつくって出してください、ということをしてございます。今、それを三菱自工側で検討しているという状況でございます。

○小幡委員 ということは、例えば改善命令とかそういう処分ではなくて、立入検査の結果、報告書をつくり、行政指導という形で先方に自主的な改善策をつくるように促す、そういう対応ということですか。

○国土交通省野津自動車局審査・リコール課リコール監理室長 そういうことでございます。

○小幡委員 それで出てきた自主的な改善策ということですが、先ほどの山口委員長代理との受け答えのところで、社内での根本的な原因というのが一つわからないところもあるわけですが、どういうものが出てくるかによって、最終的な今回のリコール遅れといいますか、そういう問題についての処分命令等を含めての対応を決められるのですか。もう決められたということですか。まだこれからという状況ですか。

○国土交通省野津自動車局審査・リコール課リコール監理室長 基本的には立入検査はしまして、何が悪かったのかというところは一旦調べ尽くしたというふうに考えています。ですから、これが一区切りになっていまして、この後は改善して日々のリコール関係業務をやってもらうしかないので、改善策を出してもらって、それも参考にしながら、恐らく指導・監督を続けていくことになろうかと思います。まだ受け取っていませんので、受け取った後のアクションを具体的に決めてはございませんが、改善策が出てくることをもって何か行政処分とか、そういうことは基本的にはないと思っています。問題点は今ここで出てきておりますので。

○河上委員長 夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 私も前回、発言させていただきましたけれども、とりわけ自動車の不具合というのは、すぐに生命の事故に結びつく大きなトラブルになりかねないので、製造するメーカーの責任というのは大きいと思います。ましてや同じ部分の再リコールが発生するということにつきましては、資料5-3で具体的施策が出されておりますけれども、再リコール事案のときに、「技術検証を積極的に活用し」というのは、例えば再リコールでしたらば、立入検査をするというところぐらいまでは踏み込む必要があるのではないかというふうに感じます。そこのところをどのようにお考えかということと、自動車のリコールに関しましては、ほとんど、メーカーといいますか、製造者の自己判断でもって、例えば届出区分、リコールにするか、改善対策にするか、サービスキャンペーンと。大体、サービスキャンペーンという名前自体がおかしいという議論も前回あったわけで、こういう届出区分というものを見直すべきではないかという検討も、どうなっていますかというところは課題だったと思います。
その辺のところについて、2点、新しい施策をもう少し踏み込むべきではないかというところの観点と、もう一つは、市場措置の届出区分の見直しの状況について、お聞かせいただければというふうに思います。

○国土交通省野津自動車局審査・リコール課リコール監理室長 1点目の再リコールでございますが、私どもの基本的な考え方としては、すべての原因がわかってから全体をリコールして、それで結果として遅れるよりも、全部は原因はわからないけれども、この範囲はどう考えても不具合の多発性、傾向性があって、リコールすべきだという判断があった場合には、そういうところから順次やっていくことは、これはこれで迅速性という観点ではむしろ必要なことだろうと思っています。ですから、再リコールそのものが悪いというふうに考えているわけではなく、今回の三菱自工の事案の場合は、何で再リコールになったかという原因のほうがむしろ問題でありまして、原因究明に対する姿勢ですとか、そういうところの取組みが不十分だったので、結果として原因究明が遅れて五月雨式のリコールになった。そういう側面がございますので、なぜ再リコールになったかという、そこの理由に着目しないといけないのではないかと思っています。
ただ、一方で、再リコールをレビューするということは、そこから学ぶべきことはあり得ると思っています。そういう意味からは、今回、文章の中につけ加えさせていただいておりますが、今後、技術的検証でしっかり見ていくということは考えてございます。監査に行ってはどうかという御指摘もございますが、その点は、再リコールがあったからというよりも、今回の反省でいくと、原因究明をどうもやっていないのではないかという、姿勢の問題でありますとか、具体的な問題をキャッチしたらそれに対してアクションをとるほうが、むしろプライオリティーなのではないかというふうに現時点では考えております。
それから、区分の見直しの件でございます。以前、この建議の中でも言われた点であろうかと思いますけれども、基本的には、安全にも関係あるかどうかで切って分けて考えています。ただ、事案としてはいろいろ複雑な事案があるものですから、今回、三菱さんの中でもいろいろ議論はあったのですが、区分はいずれ我々と協議して決めるようなところもあるので、とにかく相談しに来てくれということで、今のところ、メーカーを指導しております。
区分自体を括って、全部リコールにしてしまったほうがいいのかどうかという議論もあろうかと思いますが、実際問題、明らかに商品性のものであって、リコールというふうに一括りにしたほうがいいと判断するのも、なかなか難しいものではないかなと。アメリカでも、安全なものはリコールと呼んで、そうでないものは違うネーミングで呼ぶ。こういうことでやっている国もございますので、そこは、必ずしも全部をリコールで括ればいいというふうに今のところは考えていなくて、制度の違いをPRして、案内があったら持ち込んでくださいということを周知しているということでございます。

○河上委員長 小幡委員。

○小幡委員 急いでともかく一部でもリコールをかけたほうがよいか、あるいは、時間をかけてまとめてやると最初にわかっていたものについて遅くなってしまう、という問題があるというのは、確かにおっしゃるとおり、難しいところはあるかと思いますが、今回については少なくとも、微妙なと言いますか、あえて一部についてだけ急いでリコールをかけたので、結果的にやむを得なかったという状況ではなくて、原因として停滞したという事実が認められたということですね。
ということであれば、対応のところは、「監査等を通じ適切に指導し、進捗、促進する」というのはわかるのですが、何かしら社内の不具合事象の認識の中で、リコールをするという判断について、遅れ、逡巡があった、なかなかリコールの決断までいかないというのが社内の問題であったということは、多分、国交省も認識されているという報告書ですね。そうであれば、少なくとも改善策を見て、どこを変えて、次からはそういうことがないようになるかということを見極めて判断なさるのが筋かと思います。行政指導で改善策を持ってきていただいて、そこの改善策で十分足りるというふうに判断されるかどうかで、国交省としてはむしろ対処が決まるはずですね。

○国土交通省野津自動車局審査・リコール課リコール監理室長 改善策も、例えば組織、こういうのをつくりますとか、いろいろな改善策があり得るわけです。今回も、原因究明のための新たな組織をつくりますとか、そういうのが入っていますが、結局、それがきちんと機能しないと成果に結びつかないので、まずは、おっしゃるとおり、改善施策のメニューとして明らかにそれが抜けていれば、当然、指導ということはあると思います。ただ、最終的にこれで改善策として万全であるというお墨付きはあり得なくて、むしろ機能状況を見ていくことを継続的にやっていかないといけない。なかなかお墨付きというのは難しいのかなというふうに思っております。

○小幡委員 申し上げているのは、お墨付きを与えるということではなくて、行政指導でやる場合には、抽象的に指導をしていきますということになるので、もし状況としてまずかったことがあれば、法的な措置、改善命令等をしっかり出すという可能性はないのかということです。国交省としてお墨付きを与えるという趣旨でお伺いしたのではなくて、逆を伺ったわけなのです。

○国土交通省野津自動車局審査・リコール課リコール監理室長 そういうことでありますと、法的な措置としてどういうものがあるかということですが、一つ、法令違反があれば刑事告発をするという手段は当然あるのと、あと、個別の事案でリコールの勧告をする、そういう制度もございます。ただ、いわゆる業務改善命令のようなものが、法律上、あるわけではない。

○小幡委員 リコール命令しかないということですか。

○国土交通省野津自動車局審査・リコール課リコール監理室長 はい。個別の車というか、事案に対して、必要なときにリコール勧告、命令をするというのはそういうスキームになっております。

○山口委員長代理 これから、部品を含めて開発途上国の安い人件費でつくることがどんどん増えていくと思います。そうしますと、これまで考えられなかったような部品の製造ミスとか、いろいろな問題が起こってくるので、リコールといいますか、あるいは不具合の情報を効率的に収集して、それを被害の発生予防に結びつけるということはとても重要なことだと思います。これからますます重要になると思いますが、それだけにこのセクションは重要な話だと思うのです。先ほどお聞きしたように、継続的に販売店から不具合情報が上がってくるとか、あるいは、ユーザーから不具合情報が出てくる。これは、国交省ではどんどん情報として流しておられるわけですが、その辺が、4件という話もありましたけれども、複数件出た場合には、即、国交省に報告するとか、それに対してどういう対処をしたかを報告させると。不具合情報を、これは販売店であろうが、ユーザーであろうが、複数件あったら、それをパッと使って対処方針を出すとか、その辺は、抽象的ではなくて、具体的な不具合情報の生かし方といいますか、その辺は何か具体的に考える必要はないのでしょうか。

○国土交通省野津自動車局審査・リコール課リコール監理室長 過去いろいろな問題があったものですから、今でも不具合情報のルートを増やしてございまして、メーカーからも定期的に、事故とか火災の不具合情報はもらうようにしてございます。あと、自前で電話あるいはメール、ホームページで情報を集めることもしてございます。警察からの情報も得ております。
今回は、そもそも販売店から上がっていないところ、この情報は埋もれているという部分は問題点としてありましたので、ここはやはり上げてもらう努力は各社にやってもらわないといけないと思っております。そういうところは引き続き監査等を通じて見ていく。それはメーカーの監査もそうだし、販売店の監査もあわせてやっていって、「吸い上げろ」というのと「きちんと上にあげろ」というのを、両面から指導していきたいと思います。

○河上委員長 目的物のリコール対象期間が適切であるかどうかとか、それはどういうところでどういう理由で判断していくことになるのですか。

○国土交通省野津自動車局審査・リコール課リコール監理室長 原因が何かによりますけれども、例えば製造上の原因ですと、ある場所から製造の方法を変えましたということで不具合が生じていることがわかりましたら、その製造の変化点を期間の区切りに持ってくる、そういうやり方をいたします。あるいは設計で、今回からこういう材質のボルトに変えようということで変えて、そのボルトが問題を起こしているのであれば、その設計でつくられたところを対象にして決めるということですが、今回の場合のように、必ずしも原因が明確にわからない場合、どこが変化点なのかがわからない場合も現実にはございます。そこで、メーカーさんが当該の物をつくっているわけですから、技術的知見を持っているので、一番汗をかいてもらうということで、我々は変化点と呼んでいますが、その変化点をはっきりさせてもらうということをやっているつもりです。

○河上委員長 そうすると、変化点になるところのこの期間の中の一部しかやっていなくて、それを小出しにしてやっているというような再リコールのタイプは、原因究明がきちんとできればわかるわけですね。

○国土交通省野津自動車局審査・リコール課リコール監理室長 はい。それと、基本的には我々がリコール届けで受け付けるときに、変化点が明確でないものは、それはおかしいでしょうということで、よほどのことでないと許さないわけです。今回もそうだったのですが、ただ、それがわからないからといって、ずっと出せ、出せと言っていると、届出はいつまでたっても出ないので、今回も、わかった、じゃあここは出せと。ですが、引き続き原因究明をして、この両脇残ったところが大丈夫かどうかはしっかり調査してくれということをやったわけですが、そこが必ずしもうまく機能しなかったということがございます。

○河上委員長 よろしいですか。
国土交通省におかれましては、消費者の安全確保の観点から、再リコール事案における技術検証、原因究明、これを的確に実施していただくとともに、自動車メーカー等のリコール業務について、監査等の際に適切に行われているかどうか、厳しく確認・指導していくことをさらに徹底していただけるようお願いしたいと思います。
国交省におかれましては、お忙しいところを審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

3)エステ・美容医療サービスについて(施策番号39、39-2、39-3、43、153-2関係)

○河上委員長 続きまして、「エステ・美容医療サービスについて」であります。厚生労働省、国民生活センター、日本美容医療協会にお越しいただいております。お忙しいところを御出席いただき、ありがとうございます。
本件については、平成23年12月に消費者委員会として建議を取りまとめ、建議への対応に関しては、これまでに何度か御報告をいただいたところであります。
本日は、「医療機関のホームページに関するガイドライン」における表示の適正化を担保するための措置、美容医療サービスに特化した事前説明の指針の策定などの方策、さらに、まつ毛エクステンションに係るその後の検討状況などについて、厚生労働省から説明をお願いいたします。説明時間については15分程度を予定しております。よろしくお願いいたします。

○厚生労働省山本医政局総務課保健医療技術調整官 厚生労働省医政局総務課でございます。
それでは、最初の5点について、まず、医政局より御説明させていただきます。
最初の御指摘でございます。「医療機関のホームページに関するガイドラインについて、平成25年3月末時点までの美容医療サービスにおける遵守状況を検証・評価した結果を説明されたい」という御指摘でございます。これにつきましては、医療機関のホームページの取扱いにつきまして、厚生労働省において、「医療情報の提供の在り方等に関する検討会」というのを開催しまして、昨年3月に報告書を取りまとめ、その報告書の結果を踏まえて、医療機関のホームページガイドラインというのを昨年9月に作成したところでございます。
ガイドラインの遵守状況につきましては、ホームページというのはあまたありますので、正確に全数的な把握をすることは、技術的にはなかなか困難であるというのが実情でございますけれども、違反事例として自治体が把握した件数は、平成25年3月末までの時点で131件、その結果、行政指導を行った件数は114件でございました。自治体の体制等の問題もありまして、今の件数も含めて、十分な取組みが行われているというところまでは言えない状況ではあると考えておりますけれども、医療機関のホームページ上の表現等につきまして、これまで何ら手がなかったということに比べまして、今回、ガイドラインを作成しておりますので、ガイドラインに違反している医療機関に対する自治体の指導が可能になったということでございます。今後、自治体の取組みを促していくということで、一定の改善が見込まれていくものではないかと考えております。
2つ目は、そうした結果を踏まえて、医療機関のホームページにおいて表示の適正化を担保するための措置を、いつごろまでに何をしていくべきと考えているかという御指摘でございます。先ほど御説明させていただきましたとおりで、医療機関のホームページのガイドラインは昨年9月に作成したところで、まだ1年弱という状況でございます。このため厚生労働省といたしましては、まず、ガイドラインの効果を見極めるために、ガイドラインの周知徹底を図っていくことが重要であると考えております。したがいまして、現在策定中の消費者基本計画の改定素案におきましては、平成25年度に、ガイドラインの遵守状況の検証・評価の実施、及び一定の改善が見られない場合の必要な措置の検討、美容医療サービスにおける医療機関のホームページの表示適正化のための措置の実施というのを、25年度の取組み結果を踏まえて26年度に実施していく、ということを記載しているところでございます。
なお、普及啓発を行っていく、周知徹底をするということでございますが、これまでも政府広報等を通じまして、ガイドラインの普及啓発を行っているところでございます。今後も、特にブロックごとに開催される予定の医療広告に関する都道府県等担当者会議など、さまざまな機会を活用しまして、普及啓発、周知を行っていきたいと考えております。
3つ目は、美容医療サービスにおける、「平成25年3月末時点での消費者に対する事前説明及びその同意に係る消費者トラブルの発生状況について、検証・評価した結果を説明されたい」という御指摘でございます。御指摘の患者への説明責任につきましては、厚生労働省において、「診療に関する情報提供等の在り方に関する検討会」の報告書を踏まえ、平成15年9月に作成されました「診療情報の提供等に関する指針」を示しておりまして、その指針の内容につきましては、直近でも平成25年3月の全国医政関係主管課長会議というところで、都道府県等の担当者に対して改めて当該指針の周知を図ったところでございます。
そうした取組みを行っているところでございますが、その把握状況につきましては、美容医療サービスにおける事前説明、また、その同意に係るトラブルの発生状況というのは、現時点で、把握していくというツールを厚生労働省として別に持っておりません。御質問に対してお答えすることは困難でございますけれども、今後とも、消費者庁と連携するなどして発生状況の把握に努めていきたいと考えております。
続きまして、4つ目、「その結果を踏まえ、美容医療サービスに特化した事前説明の指針の策定などの方策について、いつまでに、何をすべきと考えているか」という御指摘でございます。これにつきましては、先ほど御説明させていただきましたとおりで、患者への説明責任について、全国医政関係主管課長会議等において、平成25年3月にも指針の周知を改めて図ったところでございます。今後とも、そうした会議等を通じて指針の周知を行っていきたいと考えております。
今後のことでございますが、このような状況を踏まえて、策定中の消費者基本計画の改定素案におきましても、平成25年度中に、美容医療サービスにおける事前説明、及びその同意に係るトラブルの発生状況の把握、平成26年度に、その発生状況を踏まえた対応の検討を行うことと規定しているところでございます。厚生労働省といたしましては、美容医療サービスにおける事前説明、及びその同意に係るトラブルに対する措置の要否を検討していくために、まずは消費者庁と連携するなどして、トラブルの発生状況を把握していきたいと考えております。
5つ目でございます。「美容医療サービスについて、医療法の消費者保護に係る企画・立案等の事務は、消費者庁と厚生労働省との共管としてはどうかとの考え方もあるが、それについてどう考えるか」という御指摘でございます。これにつきましては、医療法というのは、公衆衛生の向上・増進を任務とする衛生法規でございまして、保健衛生上の問題につきましては、医療法に基づいて厚生労働省として対応していきたいと考えております。一方、一般の商取引にも共通するような問題につきましては、一般消費者の利益の擁護及び増進を任務とする消費者庁において、対処していただくことが適切であると考えておりますので、医療法を消費者庁と共管して対応していくことはなかなか難しいし、妥当ではないというふうに考えております。
以上でございます。

○厚労省健康局生活衛生課担当者 健康局生活衛生課でございます。
続きまして、まつ毛エクステンションに係る検討につきまして、現在までの状況を説明させていただきます。
資料6-1でもお示ししておりますように、生活衛生関係営業等衛生問題検討会におきまして、まつ毛エクステンションの施術に係る論点の整理が取りまとめられました。これを踏まえまして、資料6-2でお示ししていますように、全日本美容業生活衛生同業組合連合会を事務局として検討委員会を設置し、安全を確保するため、美容師に必要な教育プログラム等について検討を進めているところでございます。
今後、この教育プログラム等につきましては、6月に、生活衛生関係営業等衛生問題検討会に報告して意見を伺う予定としております。その際には消費者庁の担当者の方にもオブザーバーとして御参画いただく予定でございます。
以上でございます。

○国民生活センター鈴木相談情報部長 国民生活センターの鈴木です。よろしくお願いします。
では、資料に沿って御説明します。美容医療サービスに関する相談の概要ですが、まず、相談件数です。PIO-NETに寄せられる美容医療サービスの相談は、2008年度~2012年度の5年間で8,251件寄せられております。そのうち、勧誘方法、セールストークなども含めて、販売方法や広告等に問題のある相談は4,112件でした。図1を見ていただきたいのですが、年度別に見ますと相談は増加傾向にあります。
(2)になりますが、この4,112件について年代別に見ますと、20歳代が40.6%、30歳代が23.5%で、6割以上を占めておりまして、若年層のトラブルが多いと言えます。性別を見ますと、女性が68.4%と7割近くで、男性の2倍以上でした。女性の平均年齢は37.0歳で、比較的幅広い年代にトラブルが見られますが、男性は平均年齢が29.5歳で、20歳代の契約者が半数以上と、やや偏っていると言えます。
続いて、2ページに移りますが、相談内容を見ますと、料金が高いという、価格を問題にしている「高価格・料金」が46.8%と最も多く、次いで、説明が足りなかったという「説明不足」が42.1%と、やはり4割を超えております。そのほか、勧誘方法などが強引だったという「強引」、また、説明にうそがあったという「虚偽説明」もそれぞれ10%を超えております。
図3を見ていただきたいのですが、美容クリニックに出向くきっかけとなった広告媒体を見ますと、ホームページですとか、ネット広告などのいわゆる電子広告が増加しています。
3ページは、先ほどの相談内容でも触れましたが、料金が高いという価格を問題にしている相談の割合が高かったのですけれども、そのためもあるのか、クレジットを利用しているものが50.8%で約半数を占めています。契約購入金額の平均は約75万円、既に支払い済みの金額の平均額は約28万円となっております。
相談が寄せられる施術内容です。契約当事者が女性である相談を見ますと、医療脱毛、脂肪吸引、二重まぶたの手術などの施術が目立ちますけれども、女性はバラエティに富んでいます。一方、男性の御相談は、包茎手術に関するものが約7割と大多数を占めております。
相談事例ですが、事例を4つ挙げました。1と2は典型的事例と思っております。まず、事例1ですが、脂肪吸引を今日契約すれば77万円、後日なら94万円と強引に契約をさせられた後、2日後に解約したいと伝えたがキャンセルできない、全額払うよう迫られたという相談です。
事例2は、包茎治療が3万円という雑誌広告を見て予約をしてカウンセリングを受けたところ、あなたは特別な治療が必要で医療保険が適用されないと説明され、施術に80万円かかりますが学生割引で56万円になります、このままだと病気にかかってしまいますと言われて、承諾したというものです。ですが、地元の病院に保険適用があるかどうか問い合わせたところ、保険適用になるという回答だったということで、契約を取り消したいという相談です。
事例3は、切らない包茎手術ということで、切らないし、翌日から運動も可能と説明されて即日手術をした。結果的に120万円もかかってしまったし、その後、患部が痛いという相談でした。これは、私どもであっせんをしようと思って取りかかったのですけれども、術式について美容クリニックに質問したところ、十分な説明はされませんでした。結果的に美容クリニックはあっせん交渉に応じず、あっせん不調となった事例です。
事例4は、美容クリニックで医師から十分な説明を受けないまま目の下にヒアルロン酸の注射をされたというもので、注射を打たれたあとが真っ黒になってしまった、1週間たっても治らない、返金してほしいという事例です。これはやはり相談処理に当たったのですけれども、1本15万円する、2~3年は効果が持続しますというヒアルロン酸の注射を2本注射したと美容クリニックが説明したため、私どもで効果の根拠を確認しましたが、根拠は出てきませんでした。また、注入薬剤の輸入代理店にも確認しましたけれども、やはり根拠は得られませんでした。不実の告知など勧誘経緯の問題点を主張しましたけれども、美容クリニックはあっせん交渉に応じず、結果的にあっせん不調となりました。
このように消費者契約法で不実の告知など、話し合いの交渉では主張できても、相手が交渉に応じないことが、美容クリニックの場合、非常に多くなっております。立証は消費者側にあって、医療という極めて高度で専門的な分野で、クリニックという密室でのやり取りである、書面交付義務もないという中で、証拠も少なく非常に交渉しにくいということです。
これらの相談事例などから、美容医療において事前説明に必要な事項についてまとめましたので、5ページ以降をごらんください。
まず、勧誘方法等に関する規定です。例えば事例2にありました、「このままでは病気にかかる」などの不安をあおる、事例1にあった、「今日契約すれば幾ら」というように割引を強調する。同じく事例1では即日施術を迫っております。事例2のように、保険適用があるのに適用がないなどの虚偽説明。また、事例3、4のように、薬剤や施術について医学的な根拠がはっきりしていないのに、効果があると説明する問題説明等々、勧誘等にさまざまな問題がある相談が見られますけれども、医療法とか、診療情報の提供等に関する指針においては明確に規制する規定がなく、何らかのルールづくりが必要ではないかと考えております。特に即日施術については、原則禁止、または熟慮期間を設けるなどの一定ルールを設けることが必要ではないかと思われます。
6ページの表1を見ていただきたいのですが、これは、平成24年1月に私どもで行った「美容医療・契約トラブル110番」の相談者からの聞き取り結果です。即日契約、即日施術は約6割となっていますので、即日施術ではなく、一定の熟慮期間等を設ければ相談は減るのではないかと思われます。
カウンセリングに関する規定と書きましたけれども、美容医療の相談を見ていますと、美容クリニックでは、カウンセラーと呼ばれる人が相談者の話を聞いたり、施術内容を説明して施術内容を決めて、施術される際に初めてお医者さんに会うというケースが散見されます。つまり、カウンセラーにより診断・勧誘・リスクの説明などが行われて、十分な情報提供がされていないおそれがあるのではないかと思っております。出来ばえに関する相談は、医師の技術不足、リスク・効果の説明不足の問題もありますが、消費者の要求を十分に把握していないカウンセリング不足も問題ではないかと考えております。
3ですが、診療情報の提供等に関する指針の中に、「6 診療中の診療情報の提供」という項目がありますが、マル2の予後も重要と考えております。美容医療というのは、施術結果に対する期待が非常に大きい施術だと思っておりますし、7ページの表2を見ていただきたいのですが、先ほどの110番の聞き取り結果です。誰が説明を行ったか。アフターケアでは3割弱、副作用・個人差、返金・解約ルールでは、7割弱が説明がなかったと回答しています。これらの結果を見ますと、ここに挙げた例えば副作用ですとか、合併症、手術跡の程度、施術結果の見通し、効果の程度、個人差、限界等々も盛り込めればいいのではないかと思います。
「マル3 処置及び治療の方針」、また、「マル5 代替的治療法がある場合には、その内容及び利害損失」の項目です。美容医療においても保険適用される施術というのはありますけれども、消費者は保険適用になるかどうかという認識がないので、保険適用の有無ですとか、また、確立した手法ではない施術、先ほど挙げました事例3などが独自手法なのですが、そうした場合には特に十分に丁寧な説明が必要ではないかと考えております。
言わずもがなですが、料金。これは、料金一式ということでは書いてあるようですが、明細などは書かれていない例が目立ちますので、料金の明細、解約条件なども盛り込んでいただければと思っております。
最後ですが、指針の中に「11 診療情報の提供に関する苦情処理」という項目があります。先ほど申し上げましたように、いまだに消費生活センターや国民生活センターとの交渉に応じないクリニックが目立ちます。問い合わせにも答えていただけないということがあるので、消費生活センターからの問い合わせにも対応するよう明記されたいと考えております。
以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
引き続き、日本美容医療協会から、医療機関のホームページや広告の問題点について、御説明をお願いします。

○日本美容医療協会保阪副会長 公益法人日本美容医療協会の出しました要望書について、御説明いたします。
先ほどからお話に出ております、厚生労働省の「医療機関のホームページの内容の適切な在り方に関する指針」は、昨年9月28日に都道府県に対し周知徹底していただいておりますが、しかしながら、現実として美容医療に関するホームページの内容にほとんど改善が見受けられません。我々の美容医療協会の公開相談室にも下記のようなトラブルが報告されております。この点は、今の国民生活センターの御説明で大体おわかりになったと思いますけれども、同じようなことがたくさんあります。また、我々といたしましては、医療法第6条及び医療広告ガイドラインに違反した広告が満載されているフリーペーパーなど、そのようなものについて全く野放し状態であります。ホームページはもちろん大事ですけれども、そのようなものに対しても、厚生労働省から指導をしていただければと考えているわけです。いくら厚生労働省から医療広告ガイドラインや医療機関ホームページガイドラインに通知されても、実効性を伴わなければ意味がありません。これらはガイドラインの周知徹底を図るとともに、事例によっては、厳しい行政処分ないしは指導を実施していただくようにお願いするわけです。
少し細かいことについても、先ほど述べられたことで大体のところはおわかりになっていただけたと思いますけれども、ホームページの問題点を挙げさせていただきますと、相変わらず患者を誘引するために都合のよいことだけを書き、リスクなど患者の不利益になることは一切書いていないホームページが多い。また、患者に正しい情報を提供するのではなく、意図的に誘引するような表現が多く使われている。例えば、「驚異の若返り効果」「究極のリフトアップ効果」「患者満足度ないしはリピート率97%」、データの全く根拠がないそのようなものとか、「圧倒的な症例数を誇る」「ウルトラテクニック」「公式ライセンス取得」(ボトックスビスタのように、販売業者が個別に手術の許可をしている薬剤もありますが、公的なライセンスではこのようなものはありません)そういうものを喧伝している。また、多くのモデルやタレントの治療をしているとか、本当にあるかどうかわからない○○協会理事長とか、会長とか、そのようなことをかたっております。
また、一部のクリニックのホームページでは、厚生労働省の医療機関ホームページガイドラインを遵守し云々とうたっているものはありますが、内容的には問題が非常に多いところもあります。治療法については、ホームページでありましても、薬事承認と健康保険の適用の有無、例えば包茎や腋臭症など、本来健康保険が適用される治療法があるにもかかわらず、その説明をせずに直接診療の説明しかない。また、FDAの承認があるとか、ないとか、それから、CEマーク。CEマークというのはよく使われる言葉ですけれども、これはFDAのマークとは全然違いまして、どちらかというと企業が届けて取るというものです。また、痛みと麻酔、ダウンタイム、リスク、そのような当然書かれなければいけないことが全く書いていなくて、適切な治療費に関しましても、「3万円から」といったような表示が結構多いです。
また、ホームページの価格と実際に支払う価格の乖離が大きいクリニックがあります。そのような場合は大抵、基本料金に追加手術というのでトッピングを加えて最終的には高額になってしまいます。
術前術後の写真については、厚生労働省が以前から主張している情報公開の観点から、必ずしも悪いとは思いませんが、医療機関側はどうしてもチャンピオンケースを出したがる一方で、患者側は自分も同じ結果が得られると思い込んでしまうという問題があります。したがって、術前術後の写真を全面的に禁止するのか、ないしは、写真を掲載するのであれば、少なくとも、「すべての患者さんで同じような結果が得られるわけではありません」といった但書を入れる必要があると思います。特に修正されたものについては、我々としては全く判断ができないと思います。
医療機関ホームページガイドラインの行政指導の実務はどのような形で行われているのか。医療機関ホームページの情報収集と指導体制、都道府県の行政機関、保健所任せ、また、改善されたかどうかのフォローはどのように行っているのかということを、今後、厚生労働省のほうで具体化してやっていただければと思っております。医療における契約は、準委任契約、結果を保証するわけではないと言われていますが、これを他の取引と同じように、特定商取引法で括ることには違和感があります。やはり医療における契約は、消費者庁マターではなく、厚労省マターであろうと考えております。
また、できれば医療機関ホームページに第三者機関によるマル適マークのようなものをつくればよいのですが、実際には多くのマンパワーと費用が必要となります。日本美容医療協会にそれだけの余地がありませんし、日本美容外科医師会という別の会もありますので、なかなかこの辺は難しいと考えています。ちなみに、特定非営利活動法人日本インターネット医療協議会(JIMA)が、JIMAトラストマークの普及活動を行っているようですけれども、なかなか我々のほうでは難しいということです。また、医療機関ホームページガイドラインについて、業界団体があれば、これを通して中止するのが効果的と思われますが、実際にクリニックからホームページの作成を依頼されている業者は個人ないし少人数の会社が多く、ガイドラインの存在すらほとんど知らないというのが現状です。
医療広告の問題点について申し上げますと、日本雑誌広告協会、日本新聞協会の協力で、これらの違法広告は大分少なくなってきておりますが、一部の新聞や週刊誌にはいまだにそのような広告が見られます。また、先ほど申しましたフリーペーパーは野放しですし、電車内の広告などについても全く取締りがないというのが現状です。
エステ業界の問題点も、脱毛などに関しても同じように、レーザー光線だとか、実は医療法に触れることを、医療法には触れないということでやっている広告も多く見られます。そのほか、冷却脂肪融解治療器というのを販売している業者もおりますが、これは皮膚の上から脂肪層を吸引し、はさみ込んだ部分を冷却して脂肪細胞を壊死させる方法です。脂肪細胞は4℃で壊死に陥り、その他の組織は壊死に至らないと考えられておりますが、それを使って脂肪細胞を減らすということですが、温度コントロールを正確に出さないと皮膚の壊死が起こり、重篤な合併症も報告されております。
診療上の問題点について申し上げますと、相変わらずインフォームドコンセントをちゃんとしないで行っているところが非常に多いということです。また、術前のカウンセリングも無資格者。先ほどもお話がありましたように、アドバイザーと呼んでいるクリニックがありますが、医師ではない者が勝手に説明を行い、料金なども決めているところが非常に多く存在することも事実です。
これらの実害をいかに防ぐかということは、先ほど厚生労働省から、25年度中の調査結果をまとめて26年度に実効性のあるものを考えるとおっしゃられましたけれども、できればなるべく早くそのような現状を把握した上で、実効性のあるものを早くつくっていただければと思っております。
以上です。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
本件に関しては、消費者庁消費者安全課にも質疑対応として御出席いただいております。それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 この問題は本当に深刻に考えております。美容医療について建議をさせていただきましたけれども、その後も一向に改善されていないといいますか、インターネットによる美容医療の広告の実情を見ても、実質これは広告宣伝だと思いますが、日本美容医療協会から御指摘がありましたような実情があります。なぜこれを放置しているのかというのは、再三、厚労省にお話をしているところですが、先ほどのお話でも、これから1年間で実態を見て、その後、26年度に何かするというようなことでは、あえて申し上げさせていただきますが、役所としてはちょっと怠慢ではないか。国民生活センターのほうで、これだけ消費者被害、トラブルが出ているという実情を明示されています。この実情を踏まえて、やはり早急に対処すべきではないかと思います。
問題点として、大きく4つ言わせていただきたいと思います。1つは、インターネットによる広告も含めて、いわゆる美容医療についての広告の目に余る行き過ぎについては、これから実態を把握してそれから対処するということではなく、直ちに対処するべきではないでしょうか。これについては、消費者委員会の事務局でも資料をたくさん集めておりまして、事前にお示ししたところです。やはり自治体を通してでもインターネット広告の適正化のために具体的な指示をなされるべきだと思います。
医療法28条には、医療法に違反した広告を行うことによって、病院、診療所などの管理者がその管理を行うのに不適当と判断される場合には、市長または区長、あるいは開設者に対して、期限を定めてその変更を命ずることができるという条文がございます。この命令に違反した場合には、開設許可の取消しなどを命ずることもできるということが29条には定められております。先ほど山本さんは、いわゆる契約面についてはかかわらないという言い方をされましたけれども、条文上も、「管理を行うのに不適当と判断される場合」というのは、決して健康上の問題だけではなく、受診者との間でいわゆる消費者トラブル的なものが発生する、そういう場合も当然含まれると思います。そういう場合には、厚労省としては自治体に対する積極的な指導をなされるべきではないかと思います。特に広告、インターネットについては、余りにもひどい実情を踏まえて直ちに対処されるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。これが第1点です。
第2点は、これも再三申し上げているところですが、なぜか、具体的な対応策を考えますというお答えがないので大変残念なのですが、事前説明の問題です。これは、平成15年9月に「診療情報の提供等に関する指針」の策定というのがあって、それから8年たつわけです。この間にたくさんの問題が具体的に指摘されているわけです。特に自由診療、美容医療の特殊性ということは、先ほどの国民生活センターの説明からも明らかですし、特に美容医療の場合には自由診療ですから、金額が100万円を超えることもよくあるわけです。
具体的に先ほど国センから事例紹介がありましたけれども、包茎手術で10万円前後でできると思ってベッドで寝かされた後に、これはひどいということで、あれやこれや言われているうちに100万円を超えてしまったというトラブルが現実にたくさんあるわけです。そういうケースを見ますと、特に自由診療、美容医療は、よくおわかりのとおり、急ぐ施術ではありません。内科とか眼科、小児科とか、きょう中に施術しなければ大変なことになるというわけではなくて、もっときれいになりたいとか、いろいろなことがあってお医者さんに行くわけです。きょう直ちにやらなければいけないということではないはずで、十分に事前に説明する時間をとって、原則的にはその日に施術はしないというぐらいのガイドラインをきちんとつくることも可能なはずです。美容医療、特に自由診療に特定してでもいいですから、「事前説明の内容をもう少し明確にするガイドラインをつくることを検討する」ぐらいのことをどうしておっしゃらないのか。これは本当に残念です。もう一回、あえてお聞きしますが、美容医療、特に自由診療に特定して事前説明義務のガイドラインの明示を検討することができないか、これが2番目です。
3番目は、医療資格を持っていない方が、アドバイザーとかカウンセラーという立場で医療方針を実質的に決めてしまっている実情があることは、国センからも、あるいは協会からも御指摘がありました。実際、我々も聞いております。医者でない人が医療方針を決めている実情について、何らかの形で対処すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。これは山本さんの守備範囲ではないかもしれませんが、厚労省のほうでお考えをお聞かせいただければと思います。
最後にもう一つ、医療トラブルについては、消費生活センターや国民生活センターで解決しようとしても、お医者さんの積極的な協力がないといいますか、むしろ非協力的だということが顕著な事実として指摘されております。これについては、先ほど指摘した15年のガイドラインの事前説明のところでも、「紛争解決のために適切かつ迅速な処理に努めねばならない」ということが11項にあるわけです。あるいは医療機関においても、「診療情報の提供に関する苦情処理の体制の整備に努めねばならない」というのがあります。しかし、ちっとも守られていないというのが実情です。これについて、先ほど来お願いしている15年の指針の見直しも含めて、受診者、患者さんとのトラブルについて積極的に対処するように、特に消費生活センターからのクレーム等の処理には積極的に誠実に対応するようにという、そういうことをきちっと徹底することはできないのか。
以上、4点について回答をお願いしたいと思います。

○厚生労働省山本医政局総務課保健医療技術調整官 ありがとうございます。それでは、繰り返しにはなりますけれども、御説明させていただきます。
インターネットの広告規制は、もう少し迅速な対応をという御指摘だったろうと思います。これにつきましては、昨年9月にガイドラインの作成ということですので、その周知徹底、遵守の状況を見てという形で対応させていただければと考えております。我々としても、それを放置しておけばいいという認識ではございませんけれども、昨年の9月に出した後、周知徹底を図っているという状況でございますで、そうした形で対応させていただければと思っております。
2つ目と最後のところは、関係する部分で、診療情報の提供に関してどういうふうに対応していくのか。これはいろいろな側面があろうと思っております。先ほども御説明させていただいたとおりで、消費者庁の方も本日は御出席しておられますけれども、一般の商取引に関するものにつきましては、衛生法規というよりは、消費者の観点に立った法律で見ていくことのほうが適切ではないかと思います。

○山口委員長代理 共同で作業をして、検討して、一つの指針をつくるということは考えられないのですか。

○厚生労働省山本医政局総務課保健医療技術調整官 共同でというのが、具体的なイメージが、何に基づいてやっていくのかというところが少しありますけれども、いろいろな観点がありますので、その辺りが明確にならないと、なかなか対応というのも難しいところがあります。

○山口委員長代理 例えば旅行業約款については、国交省関係の観光庁と消費者庁が一緒になって基準約款をつくったりするわけです。そういうふうに、まさにおっしゃったように、事前説明の内容とか、紛争処理の在り方等については、これは消費者問題の要素が非常に強いわけです。したがって厚労省で、お医者さんのほうばかり見ているというところもあるかもしれないので、患者さんの立場に立った意見を消費者庁のほうからも聞いて、特に美容医療の自由診療の部分についての事前説明、あるいは対処の在り方についてのガイドライン、そういうものを共同でつくっていくということが十分余地としてあると思うのですが、その点はどうなのでしょうか。

○厚生労働省山本医政局総務課保健医療技術調整官 恐らく衛生的な観点で予後がどうなるのかということについては、先ほどの「診療情報の提供等に関する指針」のほうで書かせていただいているところだと思っています。その一方で、契約に関するもの、商取引に関する問題、そうした観点につきましては、やはり消費者庁で御対応いただくほうが適切ではないかというふうに考えております。

○山口委員長代理 3番目についてはどうですか。

○厚生労働省山本医政局総務課保健医療技術調整官 御指摘いただいているとおりで、医師しか認められていない行為をほかでやっていることは認められるわけはありませんで、そうしたことについて、何らかの機会をとらえて周知をしていくことは考えさせていただければと思っております。

○山口委員長代理 これは半年前にも村山課長にお聞きしたのですが、今、厚労省は、いわゆる契約問題については消費者庁の所管である、消費者庁のほうでやってくださいと、はっきりおっしゃっていますが、その点についてはどうなのでしょうか。

○消費者庁村山消費者政策課長 消費者庁のほうでも、できることがあれば対応するというのはそのとおりだと思います。厚生労働省でできないということは、そこは私からはコメントは差し控えたいと思いますが、先ほどの例えば高齢者の住宅の問題でも、一定程度の契約の問題等は対応されております。厚生労働省で対応できないかどうかは消費者庁では判断できないところでございますが、いずれにしろ、医療契約の問題というのは一定程度高度に専門的なものでもありますし、また、治療という側面もある。それから、金銭の取引だけではなく、金銭で回復できない性質のもの、要するに危害が及ぶという面もありますので、そういった点に関して消費者庁で対応すべきというのはちょっと違うかなと思います。

○山口委員長代理 村山課長がおっしゃったように、例えば有料老人ホームはまさに厚労省の所管でやっていらっしゃることですが、入居一時金とかいう契約問題についても厚労省は踏み込んで、入居一時金の処理の仕方、透明性を高めるあり方について、具体的に厚労省において責任を持って対処されています。もちろん、消費者庁とも相談をされていると思いますが、医療問題以外は知らんという、それは厚労省として私はないと思いますけれども、本当に知らんとおっしゃるのですか。契約問題は厚労省の所管外だとはっきりおっしゃるのでしょうか。

○厚生労働省山本医政局総務課保健医療技術調整官 それにつきましては、繰り返しになるのですけれども、一般の商取引にも共通する問題については、消費者庁のほうが適切ではないかというふうに考えております。

○河上委員長 細川委員、どうぞ。

○細川委員 この議論は、実は非公式なところでも少し意見交換をしましたけれども、決定的に平行線のところは、先ほど山本さんも言われましたが、医療法は公衆衛生のための法律であるから、取引における患者の経済的な利益とか、我々は消費者と呼んでいますけれども、そういうものは消費者庁がやるべきではないか、そういう御指摘ですね。私は今、医療法の1条というのを見ていますけれども、そこに公衆衛生なんていう言葉は出てこない。むしろ、「医療を受ける者による医療に関する適切な選択を支援する事項」、それを定めるのが医療法だと書いていますし、「医療を受ける者の利益の保護及び良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図る」とうたっています。
医療サービスも、特に自由診療は、急患で運ばれて意識がない中で治療を受けるというのと違って、自分で意思を表明してこういうふうにしたいという中で値段も決めて、そこで取引されるサービスなわけですから、まさにそれは適切な選択の問題であるわけです。これが、医療法の範囲ではない、厚労省の範囲ではないと言うこと自体のほうが全く信じられません。もちろん、消費者庁もやるべきことはあると思いますけれども、先ほど美容医療協会の保阪先生は、準委任契約であるから、売買契約を想定した特商法や消費者契約法にはなじまないということをおっしゃっていましたけれども、医療特有の問題があるわけですから、所管官庁が、国民の利益、その保護のためにやるというのはどこの省庁でも当たり前なのです。何で厚労省だけかたくなに明治時代のような理論を持ち出して、うちよりも消費者庁がいいと思うとおっしゃるのか。もし反論があればお聞きしたいのですが。

○厚生労働省山本医政局総務課保健医療技術調整官 繰り返しになりますので。

○細川委員 ですが、医療法の第1条に公衆衛生というのはどこにも書いていないですよ。医療を受ける者の保護と、これは消費者保護のこと。

○小幡委員 行政法的に言っても医療法の目的は、今、まさに細川委員が言われたような目的なので、守備範囲についてどうお考えなのでしょうか。

○厚生労働省山本医政局総務課保健医療技術調整官 どちらが適切かという議論なのだろうとは思っております。医療法でやる場合、消費者庁のほうで所管されている消費者契約法でやる場合等々、多分いろいろと考え方があるだろうと思っております。この場で私が網羅的に御説明できる状況にもありませんけれども、消費者契約法や特定商取引法では、適格消費者団体によって差止めの請求が可能になって、全国の医療機関に一律に差止めの効果が及ぶとか、陳情の苦情等による法人単位での速やかな対応は可能になるということもあるので、そうしたそれぞれの持っている法律の特性を踏まえて見ていくと、我々としては、医療法というよりそうした法律のほうが適切ではないかと考えているところでございます。

○河上委員長 細川委員。

○細川委員 先ほど国民生活センターのほうから、紛争解決もなかなか進まないというお話がありました。こういった分野は支援行政と言われていますけれども、支援行政がうまくいかないのも、規制権限がない中であっせんとかをやろうとすると、うまくいかないという傾向があります。それはどういうことかというと、医療機関は、厚労省がやる気のないというところを見ているから、国民生活センターの相談に応じなくても何にもできないだろうと、ある意味バカにしているところがあるわけです。だから、出てもこない。交渉にも応じない。大体、消費者問題というのは、規制官庁がまずやって、横断的なところ、あるいは不十分なところを、特商法、消費者契約法とか、そういうものの中でやるという、ポリシーミックスという言い方もあるかもしれませんけれども、そういった中で協力してやっていくという部分もありますので、是非考えていただきたいと思います。
ただ、そちらの方針は山本さんの個人的な見解ではないと思います。厚労省がそういう立場でいるから、こういう発言を御担当者はされていると思うので、やはりこれは再建議とかそういう形でしっかり厚労省にやってもらう、そういう方針で我々は臨んだほうがいいと思います。

○河上委員長 ほかにいかがですか。

○山口委員長代理 私も再建議に賛成です。消費者庁にお聞きしたいのですが、資料9-3で、「美容医療サービスを受けるに当たっての確認ポイント」という広報文書を公表されています。その中のQ1には、「ホームページや広告等の情報をうのみにしていませんか」という問いかけが消費者に対して消費者庁からなされています。つまり、ホームページや広告等の情報がいいかげんだ、それをうのみにしてはいけないということが前提の消費者への呼びかけになっているかと思います。この点について確認的にお聞きしたいのですが、消費者庁の認識としては、美容医療サービスのホームページや広告などの情報提供が適切になされているという認識なのか、その辺についての状況認識と、この広報のいきさつについてお聞きしたいと思います。

○消費者庁宗林消費者安全課長 安全課でございます。これを発表しましたのが安全課ですので、私のほうから。
今、山口委員長代理の御指摘のこととぴたっと当たるかどうかはわからないのですが、この美容医療サービスは、医療機関で受ける施術でありながら、一つは、受けなければならない治療とは違うということと、自由診療であるので、個々人の選択があるということで大きな特徴があると思います。私たちはその中で、被害が起きているということを発表したときに広告等についての注意も併せてつけたということでございます。もちろん、広告の問題できょうは呼んでいただいたので、そういうことではありますが、急がば回れではないですが、それぞれの施術自体が定められていないといいますか、医師の裁量の範囲が非常に大きい。また消費者側は、どんなことをきちんとしていただけるのかということの情報とか、一致性がなかなか得にくい。広告の問題はもちろんありますが、危害、被害、そういった問題もかなり深刻な状態であります。個々の契約とかいろいろなことがありますけれども、多数の方がこの施術を受ける時代になってきていますので、一定の市民権を得ている状態ではないかというふうに思っています。
ですから、安全課的に言えば、広告もですけれども、どういう施術が、どういうガイドラインといいますか、どういうことで行われるのかということが、基本のところからきちっとあると本当は望ましいのではないかと思っているということで、申しわけありません。広告問題とはちょっと外れますが、もとから少し基本的なところを整えていくことも大切ではないかと思っております。

○河上委員長 小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 今のお話にも絡んで、もう一回、厚労省にお伺いしたいのですが、契約の金額のところ。契約といっても、売買ではないのですが、そこのところに入りたくないというおっしゃりようのような気がしますが、具体的に、例えば即日の施術ではなくて、どのような手術をして、どのようになるかということについて、きちんと医療機関がまず説明をする必要があることなどについても、御自分の守備範囲ではないとお考えなのでしょうか。

○厚生労働省山本医政局総務課保健医療技術調整官 それにつきましては、通常の医療も含めて、今の委員の御指摘というのは通じる部分で、美容医療に限ったものではないと考えております。そういう意味では診療情報の提供等に関する指針の中でも、病状や予後について、処置及び治療の方針等について、説明していくということは書かせていただいておりますので、そうしたものについては、当然、我々のほうで対応していくところになっていると思っております。
それとは別に、一般の消費者の商取引に関するものにつきましては、違う観点もあるのではないかというところで、そうしたものについては必ずしも医療法になじむものではない。むしろ違う法律のほうが適切ではないか、というふうに述べさせていただいたところでございます。

○小幡委員 美容医療の特色というのをどのようにお考えなのですか。通常の医療行為と共通の通ずるところがあるとおっしゃいました。共通のところもあるかもしれませんが、何か特色があるということで抽出して考えるということを、そもそもしていらっしゃらないということなのでしょうか。

○厚生労働省山本医政局総務課保健医療技術調整官 特徴としてあるのは、症状があって病気が原因かというよりは、美容なので、御本人の御希望等に基づいてやられているというのは、一つ、大きく違うところではあろうとは思っております。

○小幡委員 そうしますと、その特性に応じたルールづくりが必要だというお考えはおありですか。今、おっしゃったように普通の病気ですと、それに対して治してくださいということになりますが、この場合には普通のものではないということは意識していらっしゃる。そうすると、それ用のルールということについても、医療法を所管していらっしゃる厚労省のほうでお考えになるべきものではないでしょうか。

○厚生労働省山本医政局総務課保健医療技術調整官 ここでどうお答えできるかというのもありますが、基本的には医療法というのは最低基準でいっているので、すべてのものに共通するものをやっていくところが原則だとは思っておりますけれども、特殊なものについてどう対応していくか、ここでなかなか明示的にお答えしづらいところはあります。繰り返しになるのですけれども、一般の商取引に共通する切り口の部分だと思うので、そうしたものについてすべて医療法かというと、そこはいろいろな法律で見る上でのメリット、デメリットがあるのだろうというふうには考えております。

○河上委員長 吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 何点かお伺いしたいと思いますけれども、国センの相談事例とか、美容協会さんの御指摘を踏まえると、およそ美容医療が、国民が安心して受けられる状況にはないのではないかという印象を受けますし、強い言葉で言うとすると、医療現場として秩序が保たれていないのではないかという印象すら受けるわけです。そういった現状を踏まえて、厚労省では、指針の徹底を図るとか、ガイドラインの徹底を図る対応をとられるという御説明に終始されていますけれども、本当にそれだけで十分と認識されているのかということを改めてお伺いしたいと思います。
2点目として、ホームページのガイドラインの取締り、指導については地方の事務であるということで、自治体の取組みを促すという御説明がありました。恐らく自治体のほうでは、マンパワーもなく、あるいは技術的にも、どこの自治体においても十分ではないと思うわけですが、より実効性を高めるためには、技術的な助言をするだけでは不足しているのではないかと思いますので、もう少し具体的な取組みの方向性なりお考えを教えていただければと思います。
最後ですけれども、トラブルが起こった後の解決の方策として、消費生活センターなどがあっせんに入ったとしても、なかなか医療機関のほうで応じてもらえないという問題があります。その点を厚労省として、医療機関を指導強化するだとか、そういったお考えがあるのかどうか。3点、お伺いしたいと思います。

○厚生労働省山本医政局総務課保健医療技術調整官 1点目をもう一度、済みません。

○吉田委員 1点目は、いろいろなトラブルがあるという現状からすれば、安心して美容医療が受けられないというふうに消費者が印象として受けているのではないか。少なくとも私はそういうふうに思います。そういうことからいくと、医療現場としてある意味、秩序が保たれていないという印象を受けるわけですけれども、そういう問題意識というのは厚生労働省としてお持ちではないのか。お持ちであるとすれば、それに対応する策として指針やガイドラインの徹底だけでよろしいのかというふうに思いますが。

○厚生労働省山本医政局総務課保健医療技術調整官 恐らくそれについても認識の問題なので、ここでなかなか申しにくいところもありますけれども、きょう、御説明いただいたような状況があるということは認識をしております。それで、このままでいいのかというところで、私の説明が十分ではないのかもしれませんが、それでも取組みをさせていただいて周知徹底を図って、改善が見られなければ、何らか新しいものということで対応ということを、基本計画の策定指針の案のほうにもお示しさせていただいているところです。スケジュール感も含めての御指摘だとは思っておりますが、我々としても、対応しないといけないことは、現状、把握した上でやっていくということは考えております。そのスケジュール感は、多分、先生方の御指摘とちょっと合わないところがあるのかなとは思いますが、そこは、何もしないと言っているというよりは、状況を踏まえて対応していくということでございます。
最後のところは、なかなかお答えしようのないところですけれども、厚生労働省が個別のところにどう入っていくかということは、ちょっと個人的な印象になるかもしれませんが、難しい面があるのではないかというふうには考えております。

○吉田委員 2点目の自治体への指導、ホームページのガイドラインのところですが。

○厚生労働省山本医政局総務課保健医療技術調整官 それにつきましても、いろいろな機会をとらえて自治体にお願いをするというか、周知をしていくということを今後とも依頼をしていきたいと考えております。

○河上委員長 よろしいですか。
いろいろと厳しい意見も出てまいりましたけれども、美容医療に関して、現状が決していい状態にあると言えないことは否定できません。患者さんは基本的には医療サービスの消費者ですから、どこがこの問題を受け止めて、消費者の権益を守るために動くかということを考えたときに、まずもって厚労省がその対策を考えるのがいいのではないか。今、一般商品取引というふうにおっしゃいましたけれども、医療もある意味では商品取引です。ですから、そこは売買と何も変わるところはない。ただ、対象が人間の肉体に対する役務だというだけの話です。ですから、その限りでは、厚労省が自分のところは商品取引に関しては対象外ですという話にはならないのではないかという気がいたします。
美容医療機関のホームページに関しても議論がございましたが、患者さんといいますか、顧客がいろいろな情報を手に入れる際の有力な手段がインターネットのホームページであることは明らかな事実です。その表示を医療機関に関する広告の一つと見なすことは、今の時代、必要なことになってきているのではないかという気がいたします。
そうしたことを含めた法規制も考えながら、表示の適正化の実効性を担保する措置について、検討していただければ有り難いということであります。医療の側から見て、適正化の観点で至らないところがあった場合に、消費者の側から見て、消費者庁がそれをサポートして追加していくという意味で、先ほどから山口委員長代理も一生懸命言っていましたけれども、消費者庁と協力してもらえないかということであります。
美容医療サービスを利用する患者への説明責任の徹底を図るために、美容医療サービスに係る事前説明の内容やその方法、これは、インフォームドコンセントの一環でもあることは既に御指摘のとおりですけれども、それを具体的な指針の形で、美容医療に関してさらに充実したものを検討していただけないかということも、先ほど来出てきているところです。
3番目に、まつ毛エクステンションに係る消費者安全の確保についてという、かなり特化した問題が先ほど出てまいりましたけれども、これについては、できるだけ早期に具体的な施策を検討していただければありがたいと思います。
長時間にわたって、きょうはどうもありがとうございました。

4)情報通信分野における個人情報保護について(施策番号55、56、104、117関係)

○河上委員長 最後に、「情報通信分野における個人情報保護について」であります。総務省、経済産業省にお越しいただいております。
情報通信技術の進展に伴いまして、インターネットやスマートフォンを利用した新たなサービスが日々展開されており、我々の日常生活の利便性が大きく向上していると言えます。一方で、このような新たなサービスを利用することは、同時に、個人に関する情報が容易かつ広範に提供され得る状況にもあると言えるかと思います。このようなサービスにより集積されていく個々の情報は、ビジネスを行う上では大きな可能性があるとも言われておりますが、それを事業者側が積極的に活用していくためには、利用者である消費者の認識をしっかりと確認する必要があると思われます。
このような観点での検討については、総務省及び経済産業省において、研究会あるいはワーキンググループを設置して検討がなされていると承知しております。本日は、両省から、検討状況について御説明をいただきたいと考えております。
まず、総務省のほうから説明をお願いしたいと思います。説明時間は短くて恐縮ですが、10分以内でお願いできればありがたいと思います。

○総務省村上情報流通行政局情報流通振興課情報セキュリティ対策室調査官 それでは、総務省から御説明をさせていただきたいと思います。私、総務省の情報流通行政局情報セキュリティ対策室におります村上と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私どものほうで、今、委員長から御説明いただきましたとおり、ネットワーク上で流通いたします「パーソナルデータの利用・流通に関する研究会」というのを開催させていただいておりまして、ちょうどきのうですけれども、報告書案に対するパブリックコメントをさせていただいている状況でございます。これまで検討した経過を御報告させていただきまして、引き続き、先行的あるいは実質的な取組みといたしまして、スマートフォンの取組みをあわせてさせていただいておりますので、その点について御説明をさせていただきたいと思います。
まず、資料でございますけれども、「パーソナルデータの利用・流通に関する研究会報告書案」ということでおつくりさせていただいております。1ページ目をおめくりいただきまして、検討に当たりました背景等を御説明させていただきたいと存じます。
ビッグデータと言われておりますとおり、さまざまな情報がネットワーク上を流通している状況です。そういったネットワーク上に流れる情報におきましても、個人情報、あるいはパーソナル、個人に関する情報が流れる状況になってきている。これを利用いたしまして、さまざまなサービスが提供されるようになってきていますけれども、そうしたときに起きる問題としまして、私どもは2点、課題としてあると思っております。
まずは、プライバシーの保護等のルールについて不明確な部分が多いため、パーソナルデータを利用する新しいビジネスを行う側にとっても不明確な点があって、なかなかデータとして使いづらいというお話を聞いております。また、個人に関する多様な情報が収集・利用されることによりまして、自分のプライバシーについてどういう問題が起きてくるのかということで、問題がある、不安を感じるという問題がございます。
もう1点、昨今、EU、米国におきまして、パーソナルデータの保護等利用に関するさまざまな提言がなされています。ネットワークといいますのは、申し上げるまでもなく国境をまたいで流通するものでございますから、そうした諸外国の動きをとらえて、我が国としてどう対応すべきかという問題点を持ちまして、これまで検討をさせていただいているということでございます。昨年11月に第1回目を開催いたしまして、第8回目を5月に開催いたしまして、取りまとめ案をまとめさせていただいているという状況でございます。構成員といたしましては、堀部先生を座長といたしまして、関連の方々に御参画いただいているところでございます。
1ページおめくりいただきまして、報告書案としてまとめた内容でございます。まずは、先行的に実施すべき方向性といたしまして、パーソナルデータを利活用するに当たっての基本的な枠組みをまず整理すべきではないかということでございまして、パーソナルデータの利活用の促進と適切な保護が非常に大事である、この調和が重要であるということです。また、パーソナルデータの利活用を円滑に進めるため、その適正な取扱いについて、信頼性の確保と強化が必要不可欠であるということでございます。そのために、パーソナルデータの利活用に関するルールの明確化をやっていく必要があるということが、基本的枠組み、あるいは体系ということで整理させていただいたというところでございます。
保護されるパーソナルデータの範囲といたしましては、現行の個人識別性というメルクマールを基本とすることが妥当ではないかと考えております。その妥当性の判断に当たりましては、プライバシーの保護という基本的な理念を踏まえ、実質的な判断をしていく必要があるであろうということで、ここを「実質的個人識別性」という名前をつけさせていただきまして、こういったものを判断基準としていくべきではないかということでございます。例えば個人のPCでありますとか、スマートフォンの識別情報が継続的に収集される購買履歴等は、保護されるパーソナルデータに含まれていくものだと考えていくべきではないかということでございます。
パーソナルデータの利活用のルールの内容は、保護されるパーソナルデータをプライバシー性というものをちゃんと考えまして、まずはその高低により分類すべきだということでございます。一般パーソナルデータは、公知の情報、あるいは公開情報、名刺情報といった、プライバシー性としては比較的高くないものがあるでしょう。それから、慎重な取扱いが求められるパーソナルデータといたしまして、スマートフォン等の電話帳、位置情報、契約者情報、それから、一番プライバシー性の高い情報としてセンシティブデータというものがあります。そうしたパーソナルデータの高低による分類と、データを取得する際のコンテキスト、どのように使うか。そういったものに応じて適正に取扱いをしていくべきである、ということをまとめさせていただいております。
次のページをおめくりいただきまして、そうしたルールの策定の在り方ですけれども、情報通信技術の分野は、御承知のとおり、非常に技術革新が激しい分野でございますので、なるべく、国、企業、消費者、有資格者等から、多様な関係者が集まるマルチステークホルダープロセスというものを通じてオープンなルールをつくっていく。こういったマルチステークホルダープロセスを積極的に活用していくべきではないかということでございます。
こうしてつくられたルールの遵守の在り方でございますけれども、企業が自主的に定めるルールも含めまして、契約約款等につけていくことが考えられるのではないか。また、パーソナルデータに関して専門的な知見を有する有識者などからなる機関を設置しまして、ルールの判断の提示、紛争解決を行っていくことが考えられる。
パーソナルデータの保護のための関連技術というところでございますが、暗号化あるいは匿名化という技術を積極的に使っていくことが重要ではないか。ただし、どういったものが個人情報あるいはプライバシーに対して影響がないものかというのは、十分検討を踏まえる必要があるということでございます。それから、最初に問題点として挙げましたけれども、国際的な流通を確保していく必要があるということを、短期的あるいは先行的な取組みとしてまとめさせていただいたということでございます。
最後でございますが、本格的な実施のための方向性ということでございます。マルチステークホルダーによる自主的なルールを基本としつつも、やはり永続的あるいは安定性を確保していくためには、個人情報保護の在り方の見直しを含めた制度的な取組みが必要ではないかということでございます。これも、政府全体として速やかに検討していくべきではないかということでございまして、我が国におけるプライバシー・コミッショナー制度、マルチステークホルダープロセスの実効性の確保、現行の個人情報保護法に関する制度でも、いろいろな問題点が常に指摘されているところがございますので、こうした点をあわせて検討していくべきではないかということを、取りまとめさせていただいているという状況でございます。
私からは以上でございます。

○総務省小川総合通信基盤局消費者行政課企画官 引き続きまして、先行的に取組みを進めておりますスマートフォンの利用者情報の取扱いにつきまして、簡単に御報告させていただきます。
1枚おめくりいただきますと、スマートフォンのプライバシー・イニシアティブということで、こちらは、総務省に設置されております、「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」のもとに設けられましたワーキングにおきまして、消費者団体、学識経験者、OS事業者、通信事業者、アプリ提供者など、幅広い関係者の方々の御意見を伺った上で、昨年の8月に提言として公表されています。
主なポイントとしては、関係事業者の方々に適用可能な「スマートフォン利用者情報取扱指針」を示したこと、第三者による検証の仕組みを含めた実効性を上げる方策を提示していること、利用者リテラシーの向上のための方策、国際連携、この4つでございます。
次のページは、スマートフォンがその後もさらに普及を進めているという御参考情報であり、今年度末にスマートフォンの普及率は約5割となると予測されております。次のページも御参考でございまして、さまざまな利用者情報がスマートフォンに蓄積されていることを示しております。それから、スマートフォンのサービス構造についても御参考でございまして、グローバルなOS提供事業者が各レイヤーにも大きな影響を持っているということが指定されます。
5ページが、「スマートフォン利用者情報取扱指針」の全体構造でございます。6つの基本原則をお示しするとともに、アプリケーション提供者等の情報を直接収集する方だけではなく、移動体通信事業者、端末提供事業者、OS提供事業者などの幅広い関係事業者に適正な取組を求めることにより、実効性を確保しようとしている点が特徴でございます。
6ページは、6つの基本原則でございます。マル1 透明性の確保のために消費者に分かりやすく説明をすること、マル2 消費者の方々へ関与の機会を確保すること、マル3 適正な手段による取得を確保すること、マル4 適切な安全管理措置をとること、マル5 苦情相談への対応をとることなど消費者保護の観点から基本原則として提言されております。ポイントとして、マル6 プライバシー・バイ・デザインという概念を導入し、あらかじめサービス設計・開発時からプライバシー保護を行うことが提言されております。
次のページがこの指針の内容でございます。ポイントといたしましては、アプリケーション提供者の方がアプリケーションのプライバシーポリシーを作成することによりまして、透明性を確保し、利用者の方々に実質的な選択や同意を行うことを可能とすることでございます。記載事項のポイントとして、どんな情報を何の目的のために取得するのか、第三者提供を行うのかどうかということ等について説明を求めております。また、特にプライバシー性の高い情報、例えば電話帳情報や位置情報を外部に送信する場合には、例えばポップアップなどで、「この情報をこの目的のために取得しますが、よいですか」ということを個別に聞いて同意を取得することを提言しています。また、詳細なプライバシーポリシーとともに、スマートフォンの画面において一目で見やすいように概要版を作成し、これらを利用者がわかりやすく確認できるように掲載・公表することを提言しています。 次のページは、関係事業者である移動体通信事業者、OS提供事業者などが対応すべき事項を定めております。
9ページをご覧ください。このように、スマートフォン利用者情報取扱指針は既に発表されており、現在指針に基づき幅広い取組みが推進されているフェーズにございます。業界団体によるガイドライン策定、第三者検証の仕組みの構築、スマートフォン画面を考慮した表示など、さまざまなポイントについて取組みを進めております。また、本件については、フォローアップをしっかりしていくことが重要だと認識しておりまして、昨年の12月に、先ほどの諸問題研究会のもとに「スマートフォン時代の安心・安全な利用環境の在り方に関するワーキング」を設置して、「スマートフォン・プライバシー・イニシアティブ」に基づく取組みの進捗状況を確認し、実効性を確保するための第三者検証の仕組みなども含めまして検討を進めているところでございます。
次の10ページは、業界ガイドラインが既に様々な分野で策定されているという御紹介でございます。
11ページはガイドラインの例でございまして、アプリケーション・プライバシーポリシーに関するガイドラインが示されており、この中でスマートフォンの画面でも見やすいような概要版の作成についても提示されております。
12ページは、30以上の業界団体が集まりまして、「スマートフォンの利用者情報等に関する連絡協議会」が昨年10月に設立され、その後参加団体はさらに増加傾向にございます。様々な関係者が参加するマルチステークホルダー的な会合であり、指針の実効性を上げるために取組みを進めており、利用者情報の取扱いに関する推奨される事例、問題となる事例の共有も進めております。また、消費者の方に対する周知・啓発に向けた活動も進めているところでございます。
次のページは、個別事業者の取組みとして、通信事業者が運営するアプリケーション提供サイトにおいて、どんな利用者情報が外部に送信されるか簡単な説明画面を表示しているという実際の取組み事例でございます。
次のページは、セキュリティベンダーの取組み事例でございまして、利用者の方々がどんな利用者情報が外部に送信されるか、アプリケーションを通じて確認ができるサービスも提供されております。
総務省といたしましても、先ほどのワーキングの中間取りまとめといたしまして、「スマートフォン・プライバシー・ガイド」の改定を出しております。スマートフォンの利用者情報に関する許諾画面を利用者の方々がきちんと確認しましょうとか、利用者情報に関する不正アプリが増加していますが注意しましょうと、こういう事項を消費者向けにまとめて発表しております。次のページは、政府広報としていろいろな情報提供をしているという事例でございます。
最後のページは、スマートフォンのアプリケーション等はグローバルなプラットフォームの上に提供されておりますので、関係各国との連携も非常に重要でございまして、こういう取組みも積極的に進めております。
以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。
続いて、経済産業省から説明をお願いいたします。

○経済産業省佐脇商務情報政策局情報経済課長 引き続きまして、経済産業省から資料11-1のA4縦の紙、その後ろにA4横置きで数枚にわたる紙を用意してございますので、これに基づいて御説明したいと思います。
A4縦のほうをごらんいただけますでしょうか。まず、検討経緯でございますけれども、昨年11月に「パーソナルデータ・ワーキンググループ」というものを設置いたしました。IT融合フォーラムという政策的な取組み自体は昨年から始めているものでございまして、いわゆるビッグデータと言われるものを中心とするデータの利活用によって、新しい事業活動でありますとか、社会生活、そういった便益を高めるためにいろいろな政策を講じていくことについて総合的に議論している場でございます。
その辺りでいろいろな議論をしている過程で、むしろパーソナルデータのようなものについては、先ほど委員長から御指摘がありましたように、さまざまな可能性がある一方で、ルールがない、あるいは不明確であるがゆえに事業者がその活用に逡巡しているという実態もあり、むしろルールメーキングそのものがイノベーション促進策になる側面もあるという思いから、このワーキンググループを立ち上げて検討を進めたところでございます。
2パラグラフに書きましたけれども、私どもは、事業者がサービスを展開するに当たってデータを消費者から取得する局面に特に着目し、短時間ではありましたので、そのために事業者は一体どういう取組みをすべきなのだろうかということにフォーカスを当てて検討いたしました。
その辺りをもう少し具体的に御説明するために、A4横置きの資料の2ページ目をごらんください。ページ数は各スライドの右下に書いてございます。「今回の検討の範囲」というタイトルになってございますけれども、事業者がサービスを開始するに当たりましては、消費者からデータを預かり、そのデータをしっかり管理し解析する。場合によっては、さまざまな方法がございますけれども、他社と共有する、あるいは部分的に他の目的に使うという広がりがあるわけでございます。このようなシーンを思い描きました場合、少なくとも消費者からデータを預かるに当たって、誤解がないこと、しっかり消費者も認識した形でデータが利用されているという安心感そのものを、どう事業者が生み出していくか。その意味で、消費者と事業者の間の信頼関係を構築していくプロセスを、しっかり見極めて定着させることがまずは非常に大事なのではないかということから、そのための具体的方法論にフォーカスを絞って議論しようと。そういうことでこの会議を、今年4月までやりましたけれども、5回ほど検討を重ねたものでございます。
ちなみに、ここで一応申し上げておきますのは、消費者が例えばフェイスブックやツイッターなど、自発的に個人情報に関連する情報を流しているものが、インターネットを通じてどこかに集積されプライバシーに関連するいろいろなことが起きてしまうということにつきましては、ここでは議論の対象外になってございます。これは今後の検討課題と思っております。
具体的に何を議論したかということにつきまして、3ページ目をごらんいただきますと、事業者と消費者の間の信頼関係を構築するに当たってのアプローチといたしまして、上の4つのものを具体的に整理いたしました。
まず、大前提といたしまして、事業者が消費者に対して正直であると申しますか、透明性の確保と書きましたけれども、これはまずもって大事であります。その大前提のもとでありますけれども、サービスを開始するに当たってどんな情報をどういう目的で活用するのか、第三者提供等々のことがあれば、それはどういうものなのかということについて、わかりやすく提示する必要があるだろうということが1点。
それから、情報提供機関と書きましたけれども、消費者から見て事業者が一体どういうことをしようとしているかという情報がよくわからない。また事業者の中でも、例えばベンチャー企業にとってみると、一体消費者がどういったことを気にしているのか。あるいは、基本的なプライバシーとか個人情報保護という観点から、一体どういうことに配慮しないと社会的に問題なのかということについて認識が浅いケースがございます。そういった意味では、サードパーティーがうまく機能することも、こういったことをうまく回していくための一つの有力なアプローチではないかというのが2つ目でございます。
最後、消費者による開示情報の選択とあります。これは、このサービスがほしければこれだけ情報をくれよということが、シンプルなサービスの設計になりますけれども、実は、これくらいの情報であればこういう程度のサービスがありますよというふうに、いろいろな選択肢を示すことは、消費者がより納得し、必要最低限で必要十分なサービスを手に入れる。むしろ豊かなサービスを享受する社会になるわけでございまして、そういう選択をするテクノロジーが既にありますので、そういったものをよく活用すべきではないか。そういう議論をいたしました。
少し長くなりますので、それぞれのアプローチについて、ごく簡単におさらい程度になりますが、4ページ以降でざっと御説明いたします。わかりやすさという観点で言いますと、幾つかの説明の勘どころがあるのではないかということで整理いたしました。最も簡単に申しますと、消費者にとって思いがけない使い方ほど真っ先に明確に説明するということでございます。例えば、実はAというサービスを提供するに当たって、当然こんな情報が要るのではないかと消費者が思うわけですけれども、その想像を超えた、実はこれを用いてほかの製品の開発のためのマーケティングの基礎材料にしているとか、そういったものほど、より明確に消費者に伝えるべきということをここで説明したものでございます。
こういった項目を示すにしても、よりわかりやすく示す必要がございまして、次のページに書いてございますけれども、簡潔に示す。利用規約、プライバシーポリシーのようなものが、コンプライアンスの観点から精密に示すことは必要なわけですけれども、消費者にとってみますと、非常にわかりにくい。逆に事業者も、そういった形で消費者に周知したといったところで、事後的に消費者がわからなかったということになれば、実質的に社会的に批判を浴びて、せっかくのいいサービスが殺されてしまうことになりかねませんので、むしろこういったわかりやすい示し方そのものが非常に大事な方法ではないかということでございます。
次の6ページもその一つの例でございます。食品の表示ラベルのような形で、必要的記載事項と申しますか、これぐらいは消費者がパッと見てわかる、そういったフォーマットを工夫した上でしっかり示すのも一つのアイデアではないかということ。さらには、次のページにありますように、補完的な方法論になろうと思いますけれども、わかりやすいアイコンのようなものを統一して作れるようでありましたら、うまく機能するのではないかというような議論をいたしました。
以上が、わかりやすさを追求する場合のアプローチでございます。
駆け足で恐縮でございますけれども、次のページは情報提供機関ということについて、2つに分けて書かせていただきました。一つは、事業者が提供しようというサービスが、個人情報保護、プライバシー保護の観点から妥当するビジネスモデルであることについて、例えば審査・認証する機関がありましたならば、消費者がそのサービスを購入するに当たって、一つの有望な参照情報として活用できるのではないかということでございます。さらには、事後的なそういう事業者の事業の改善、場合によっては、消費者あるいはプライバシーに関する社会的な批判を踏まえ、一体どういう改善をすれば、受け入れられるようないいサービスになっていくのかということについて、助言する機能を果たすような第三者が出てくれば、よりうまくいくのではないかということで、情報提供機関についての議論をいたしました。
最後になりますけれども、9ページ目に情報の開示ということで、右側はモデル的に書きましたけれども、例えば、このサービスを提供するに当たって必須の情報は何でしょうということを、わかりやすくマトリックスのようなものに書きまして、そこにチェックをして、チェックしたものだけ情報を取って、そのかわりこのサービスはこういうものに限定されるということを、具体的にきめ細かく提供できる。そういった工夫を技術的にも随分できるようになっておりましたので、推奨するということもあるのではないかという議論をいたしました。
以上につきましては方法論で、いろいろな可能性がわかったわけですけれども、当然ながら、どういうふうに執行、徹底するかということが課題になっております。10ページ目に、その辺りについての選択肢を整理いたしました。最大限で申しますと、立法措置でこういった方法を義務づけるということもありましょうし、消費者と事業者との間の信頼関係を構築するための基本的なアプローチと申しますか、例えば情報をとる場合に、どういった手順で、どんな観点から消費者に情報を提供し、納得いただいて、情報をとってビジネスに活用するか。そういう手順のようなものについて、例えば国際的な場も含めた標準化を進めていくとか、そういった整理もできるかどうかということを議論いたしました。
さらには、冒頭申しましたように、私どもの検討は、こういった具体的な事業者がとるべきアクションについてフォーカスをしたものですから、それを超える議論をまともに扱うことはできませんでしたけれども、こういったことを議論する中で、先ほど総務省からございましたように、個人情報保護法のある意味、限界と申しますか、それを超えるような議論についても、政府全体でする必要があるではないかという議論があったのも事実でございます。
最後のページになりますけれども、具体的なアクションというところだけ簡単に御説明いたします。私どもは、まずもってわかりやすさを実現するためのいろいろなアプローチを書きましたけれども、これについて最終的には国際的に整合性のとれた標準化を目指して、そういったものを具体的に決めていくという作業に着手したいと思っております。さらに、これは主務大臣である私どもの所管業界に限ったことになってしまいますけれども、個人情報保護法の例えば利用目的の明確化は、ここで言います「わかりやすい表示」ということで、親和性がございますので、可能な範囲でガイドラインの見直しなどに反映させていきたいと思っております。
さらに、こういったものについて事業者がサービスを開始するに当たって、こういった考え方に照らして妥当なものかどうなのかということにつきましては、今の実務におきましても、事前にそういった事業者からの相談を受けて、しっかりチェックすることについてはやり得るわけでございますので、どこまで丁寧な対応ができるか、どんな方法論が確立できるかということについても、経産省なりに努力して対応していきたいと思ってございます。
いずれにしましても、本件につきましては、業種業態を超えて政府全体で議論すべき話だと思っておりますので、そういった枠組み、そういった検討の場に積極的に貢献していきたいと思っております。
以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。
山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 消費者委員会としてもこの問題は大変重大な関心を持って、何らかの形で意見を出さなくていいのかということで、今、検討しているところであります。両省庁に、5点お聞きしたいと思います。
まず、一つは、先ほど総務省でお話がありました、いわゆるビッグデータというのがそもそも何なのかというところで、個人識別性に注目して云々ということをおっしゃいました。端的に言えば、ビッグデータというのは、毎日どこそこで何を買う人、ドラッグストアで××を買う人、図書館でこれこれを借りた人、こういうさまざまなデータが集積されたものだと思うのです。
そうなると、実質的な個人識別性という言葉がありましたけれども、学者に言わせると、これはもう個人情報ですよという決めつけをされる学者もおられます。一方で、個人識別性がきちっと分離されていれば問題ないという方もいる。しかし、それを技術にどうきちっと識別性を区分するのか。その区分は技術的に可能なのかという議論もあって、個人識別性一つとっても収れんしない議論がいろいろあるように思います。その辺をどう踏まえてビッグデータを一つのマーケットとして扱うことを考えておられるのか、考え方をお聞かせいただければと思います。
2番目は、まさに経産省のほうでおっしゃった「わかりやすさ」という観点から出てくるのですが、同意のとり方です。例えばポイントカードなどで同意をする。ポイントカードを使った人たちは、このビッグデータをいろいろなところで業者が使うことは余りわからないまま同意をしているだろう。しかし、便利だからいいやというところでやっているわけですが、これがモンスターになる可能性もある。このあたりの、わかりやすさとの関係でどういうふうにこの同意のとり方についての工夫をお考えなのか。経産省から少しお話があったかのように思いますが、総務省からは特にお話がなかったように思いますので、この点どうなのか。
3番目は、先ほど両省からお話がありましたが、現状、個人情報保護法の法体系は、個人情報の考え方については消費者庁が所管するけれども、具体的な執行はそれぞれの主務官庁がやるという、解釈官庁と執行するところが別になっていて、実際、執行がままならない状況になっているのではないかと思います。その辺は、政府全体で取り組むというお言葉が両方からありましたけれども、どういうふうにお考えになっているのか。
4番目は、これは5月20日の朝日新聞の1面に出ましたけれども、第三者機関、プライバシー・コミッショナーを2017年にはつくるというのが総務省のお考えのように報道されています。先ほど、そういう説明もなかったのですけれども、その辺はどういうお考えなのか。経産省のほうは、審査・認証機関というお言葉がありまして、それとの関係でどうなのかというのがよくわからなかったのです。
最後の質問は、両省庁はほぼ同じ内容の研究会をやっていらっしゃるようですが、どういうふうに任務分担してやっていかれるお考えなのか。それぞれからお聞かせいただければと思います。
以上、両省庁から、簡単にでも結構ですので、お考えをお聞かせいただければと思います。

○河上委員長 では、総務省から。

○総務省村上情報流通行政局情報流通振興課情報セキュリティ対策室調査官 ビッグデータにおける個人識別性、実質的個人識別性というところだと思います。これまで、データを集めたときに、それ自体のデータが個人識別性を持つか、持たないかということだったと思いますけれども、ビッグデータの時代になりますと、氏名とか住所がなくても、まさに行動履歴だけで、ある特異な人の情報が履歴を集約することによって割り出されてしまうということも起きてしまう。そういったものもプライバシーを保護するものとして、そこを、実質的な保護するものの対象として考えていかなければいけないのではないでしょうかということで、実質的個人識別性ということを言わせていただいたということです。個人識別性の形式的な判断だけではなくて、実質的にどういうふうに影響するものであるかということも、ちゃんと保護するべきパーソナルデータという範囲として考えていく必要があるであろうということで言わせていただきました。
それを技術的に100%担保できるかというと、そうではないと思っておりまして、使われるデータですとか、使い方によりまして、プライバシーに対する影響とか、個人識別性も随分変わってくると思います。それをある程度共通で使えるであろうというところで、その共通、多分専門的な分野、分野ができてくるとは思いますが、そういったところで一つのルール化をやはりしていかなければいけないということで、マルチステークホルダーという考え方を一つ維持させていただいたというところでございます。
それから、同意のとり方は、非常に簡単にお話しさせていただきましたけれども、パーソナルデータのプライバシー性とコンテキストという話をさせていただきました。データを使うときに当たっての文脈、どう理解をして使ってもらおうとしているのかということを、わかるものと、わかりづらいものがあると思いますので、そうしたものも踏まえてちゃんと同意、あるいは、利活用を考えていかなければいけないでしょうということなのです。その上で、経済産業省がお話をしておりましたけれども、同意のとり方としてのわかりやすさというのは非常に大事だと思っております。私どもの研究会としましても、経済産業省がやられている同意のとり方のわかりやすさというのが非常に大事だということを、前回、報告書の中にも書かせていただいているという状況でございます。
それから、個人情報保護の体系という点でございますけれども、今の建付けで言いますと、解釈するところと執行するところが別々でというお話がございました。それから、4番目の問題としまして第三者機関というお話もございました。私どもとしてはこれは全く一緒の問題だと思っております。さらっとお話しさせていただいて恐縮でしたけれども、政府全体として速やかに検討すべきということで、5ページに、プライバシー・コミッショナー制度をつくっていくべきだというふうに書かせていただいております。これはどういうことかといいますと、国民が信頼を確保して実質的な判断を行う。または、専門的な知見を有する人材が分野横断的、かつ迅速に判断を行っていくところが必要なのではないか。そういった意味で、第三者機関、プライバシー・コミッショナー制度というものを検討してはいかがでしょうか、ということでお話しさせていただきました。
それから、17年度という話は、これは特段私どもが決めたものではなくて、新聞社のほうがそういうふうに思ったということだと思います。
最後、両省との関係で申し上げますと、私どもは電子的流通という観点で、インターネット上、スマホの取組みはあったわけですけれども、そういった電気通信事業を超えて、分野横断的に整理しなければいけないであろう問題が存在すると思い、検討会を開催させていただきました。ただ、消費者庁にも経済産業省にも入っていただいて議論をさせていただいておりますし、また、経済産業省の検討のWGにも我々は入って議論をさせていただいております。そこは、両省一体でやっていけるところはやっていくということだと思いますし、これぐらい広い分野の話になりますので、政府全体の取組みとして、していく必要があると思います。そうした場合には、我々の検討会の結果も十分にインプットさせていただいて、議論させていただきたいと思っているところでございます。

○経済産業省佐脇商務情報政策局情報経済課長 まず1点目、ビッグデータの議論でございます。少なくとも事業者が取得したデータについてどう扱うかということにつきましては、まだアプローチしやすいわけですけれども、先ほど申しましたように、個人がいろいろなことで発信しているといいますか、あるいは事業者から、個人情報ではない形にしたものが流通して、それが回り回って蓄積されるという場合について、どんな枠組みで規律していくのかというのは非常に難しい課題で、かつ、喫緊の課題なのだと思っております。
例えば、集積しやすいような形式でデータが流れるケースとして、長期にわたって同じ番号を使うIDのようなものがあるとか、そういった場合は、ある意味、束ねようと思えば束ねやすいというケースになります。そういうデータの質とか形式に着目した規律の仕方が、行政規制の在り方としてできるのかどうなのかとか、少し考えないといけない問題だと思いますが、事業者の少なくとも最低限のモラルの問題として、こういったものを使ってビジネスをやる場合のプライバシーに対するインパクトについて、例えば自主的にアセスメントをしっかりして公表するとか、そういった説明責任は最低限求めていくことはできるのではないかと思っております。
同意のとり方につきましては、私どもの検討の焦点でございまして、御説明したとおりでございますけれども、繰り返しになりますが、消費者が、こんなことにも使っているのかと意外に思うような観点であればあるほど、明確に説明するのは基本ではないかということを今回の報告書で打ち出したところでございます。
それから、保護法の法体系でございますけれども、総務省のほうからプライバシー・コミッショナーということで、これは、OECD各国でよく議論になることだと聞いておりますが、ある種のオーソリティーを各国に置いて、そこが民間・国の情報を含めた全体をオーディットして規律していく、そういったファンクションを設けるべきだという議論に呼応したものだと思っております。
これにつきまして、幾つか選択肢があろうかと思っております。執行の体制として、政府全体で一元的に機動的にできる体制は、この問題を解決するに当たって非常に重要でございますし、特に事業者が、これがマルなのかバツなのかと思いながら、結局、グレーだから事業をやめてしまうというケースが非常に多く見受けられております。それはある意味、非常に体力があって社会的によく存在感を示していらっしゃる事業者であればあるほど、コンプライアンスの観点から逡巡されているという実態があるものですから、そういった事業者ほどその体力を存分に生かしていただいて、イノベーションに貢献いただきたいという私どもの立場からしますと、むしろ事前に、何がよくて何がだめかということについて政府全体で統一的な見解を示す、そういった仕掛けができると非常にいいなと思います。そういうファンクションをどう設けるかにつきましては、各国のいろいろな実例がございますので、そこを参考にしながら、今後、検討していく必要があるのではないかと思っております。
その関係で、情報提供機関ということで審査・認証、助言と書きましたけれども、これはこれとして、また別のセミパブリックなレベルでいろいろ貢献いただけるような、そういうプレーヤーとして出てくれば、それはそれで非常にいいのではないかという観点で書きましたので、政府の執行の在り方としての議論は別途あるというふうに認識してございます。
最後、総務省の関係につきましては、相互乗り入れでやっているというお話を御説明したとおりでございますし、A4の縦の紙の一番最後に、「3.今後の取組み」と書きましたけれども、現在、政府のIT総合戦略本部のもとで、パーソナルデータの利活用の関係でルールが必要という議論をされておりますので、そこでの検討が今後進むようでありましたら、積極的に貢献していきたいと思っております。そういう意味で、私どもも総務省と連携しながら今後もやっていきたいというふうに思ってございます。

○総務省小川総合通信基盤局消費者行政課企画官 補足でございます。
実際にスマートフォンの分野においてプライバシー性に着目した取扱いを提言しております。7ページですけれども、例えば外部に送信された場合に影響が大きいであろうと考えられる電話帳や位置情報等の外部送信などにつきましては、個別にポップアップなどを出して、利用者の方にわかりやすく同意取得をしてくださいというような提言になっておりまして、実装が進みつつあります。先ほど、プライバシー性の関係で名寄せの問題がございましたが、契約者端末固有IDという後から変更し難いIDがございます。こちらの情報について取得するときには、個人情報に準じた形で適正に取り扱うべきだという提言になっております。
13ページでございますが、移動体通信事業者のKDDIがau Marketで提供しているアプリケーションのうち、外部に情報を送信するものについてこのような形で簡便な説明画面を出し、利用者はこれに確認した上でアプリケーションをダウンロードして使っていただくという取組みがあり、既に実装が進んでおります。
また、12ページにもございますように、マルチステークホルダーで構成されるスマートフォンの利用者情報等に関する連絡協議会が活動を推進しておりますが、ここにはオブザーバーとして総務省とともに、経済産業省、消費者庁からも参加いただいて、関係の業界団体と関係省庁が連携し一緒に取組みを進めております。
以上でございます。

○河上委員長 ほかに御質問、御意見はございますか。
小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 総務省の御説明で実質的個人識別性というところについてですが、従来の個人識別性はとても簡潔なものだったので、それでは足りないという指摘だと思います。現在、個人情報保護法がございます。所管が違うかと思いますが、イメージとしては、いろいろ検討して、政府全体の取組みになりますというお話がございましたが、新たな法整備というところに向かっていると考えてよろしいですか。個人情報保護法をどうしていくかというか、その辺りはまだはっきりしていないのですか。

○総務省村上情報流通行政局情報流通振興課情報セキュリティ対策室調査官 私どもの報告書としましては、最終的にはプライバシー・コミッショナー的な位置づけを持つことが重要だろうと思っていまして、それにはやはり個人情報保護法の改正も含めた制度的な取組みは必要でしょうと。ただ、それを待っていても、ここ何年間どうするかという問題が起きますので、そうした意味で先行的という言葉を使わせていただきましたけれども、今ある個人情報保護法の中でも、実質的な個人情報を保護しつつやっていけるところはあると思いますので、それはそれでやっていく必要がある。その上で、諸外国のプライバシー・コミッショナーとかそういった制度の状況を踏まえて、どうすべきかというのはやはり検討していくべきだと。二段構えではないかという考え方でございます。

○河上委員長 山口委員長代理、どうぞ。

○山口委員長代理 どう考えても、消費者庁にマンパワーがない。個人情報保護法の現状を変えようとしたら、消費者庁が所管ですから消費者庁のほうで法案をつくる作業をするしかないけれども、マンパワーがないからできないわけです。結局、総務省がおっしゃったように、法律を変える前に実際の運用を変えていく。それがいいのか悪いのかわかりませんけれども、実際はそうなっているという、そこをどうするのかというのは本当に深刻な問題だと思います。

○経済産業省佐脇商務情報政策局情報経済課長 とはいえ、事業者にしてみますと訴訟の問題とかございます。最大の問題は、むしろ優等生ではなくて、比較的やんちゃな人たちにも同じように対応していただくことが重要になりますので、大変だとは思いますけれども、やはり射程に入れながら立法的な措置は検討すべきだと思いながら、どういう道のりで行くのかということは、今後、政府全体で議論すべきだと経済産業省としては思っております。

○山口委員長代理 はっきり言って、総務省と経産省から人を消費者庁に送り込んで、そこでつくるしかないのではないですか。

○小幡委員 今のお話では、ガイドラインだけですと強制力はないので、最終的に法律にしていかないと、という感じですね。二段階にはなりますが、優等生の業界のルールにはなるかもしれませんが、いろいろな人が出てくると、法律でないと対応できないですね。ですから、かなり急がないといけないということかと思います。

○河上委員長 夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 総務省が報告書でおっしゃっているプライバシー・コミッショナー制度というのは、やはり個人情報保護法を見据えていないとできない話ですね。と、私は思うのです。ですから、今、データが越境して個人情報はほとんど海外へ行っているという状況の中で考えて、しかも、日本がパーソナルデータの保護について何もやっていないと見られている状況の中で、話が出てきたように、個人情報保護法を変えること自体はすごく時間がかかっていますし、これからも時間がかかると思うので、少なくともパーソナルデータに関してのプライバシー保護のところだけでも進めないと、取り返しがつかない状態になってしまうのではないかと思います。そこはいかがでしょうか。

○総務省村上情報流通行政局情報流通振興課情報セキュリティ対策室調査官 先ほど佐脇課長からございましたとおり、マルチステークホルダーも、この枠組みに参加してルールを守っていただこうという方々の集まりになりまして、それに参加しない方々というのはどうしても出てきます。自らルールに従わず、あるいは勝手にやってしまう方々をどうしようかというのは、やはり残ってしまいます。何らかのエンフォースメントをつくる枠組みはどうしても必要になってくるという意味でも、個人情報を含めた制度改正といったものも含めて検討していかなければいけないのではないかということです。
パーソナルデータとプライバシーというのは一体的なもので、パーソナルデータだけ先にという形もなかなか難しいのではないか。済みません、何と言っていいかよくわかりませんが、そういった問題として、個人情報保護法、プライバシー全体としてどうしていくべきかという議論は、早急にしていくべきだということではあると思います。

○河上委員長 必要だということはわかるのですが。

○夏目委員 それを待っていたら進まない。

○河上委員長 なかなか難しいですね。ただ、本日示していただいた事業者がパーソナルデータを取得する際に、例えば、消費者の同意の場面でのいろいろな方策、これが、まずは消費者にとっての理解に資するものになるように、実効性を確保する形で推進していただくことが差し当たって大事なことです。そのための具体的な仕組みづくりについても、引き続き御検討いただきたいと思います。ただ、それでとどまるわけにはいかないので、将来の個人情報保護法を見据えた議論も是非それぞれのところで進めていただいて、ある段階で突き合わせながら一緒に作業ができればと思います。
総務省、経済産業省におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。
本日の議題は以上でございます。手際が悪くて少し時間が過ぎてしまいました。
お忙しい中、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。

≪3.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局から、今後の予定などについて、説明をお願いいたします。

○原事務局長 長時間、ありがとうございました。
次回の委員会は、来週火曜日、5月28日を予定しております。
議題については、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」の第4回目になります。
それから、今週の週末ですけれども、25日に地方消費者委員会を札幌で開催いたします。テーマは「製品安全について」ということで、是非、周知をよろしくお願いしたいと思います。

○河上委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)