第105回 消費者委員会 議事録

日時

2012年11月27日(火)16:30~18:45

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 河上委員長、山口委員長代理、小幡委員、田島委員、
 夏目委員、細川委員、吉田委員
【説明者】
 消費者庁  長谷川消費生活情報課長
村山消費者政策課長
 特定非営利活動法人新潟県消費者協会  長谷川かよ子会長
 埼玉県  上原満 県民生活部消費生活課長
【事務局】
 原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.公共料金について
 (1) 「公共料金問題についての建議」に対する実施状況報告について
○説明者: 消費者庁  長谷川 消費生活情報課長
村山 消費者政策課長
 (2) 公共料金等専門調査会について
3.消費者教育について
○説明者: 特定非営利活動法人新潟県消費者協会 長谷川かよ子 会長
埼玉県 上原満 県民生活部消費生活課長
4.その他
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○河上委員長 お待たせいたしました。
本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会(第105回)」会合を開催いたします。
また、本日は、所用によりまして、稲継委員、川戸委員、村井委員が欠席の予定となっております。
それでは、配付資料の確認をお願いいたします。

○原事務局長 配付資料ですけれども、資料1の関連が、「公共料金問題についての建議」に対する実施状況の報告ということで、消費者庁から御提出いただいた資料になっております。
資料2と3は、後半予定しております消費者教育の関連の資料ということで、資料2が、新潟県の消費者協会から御提出いただいた資料。資料3が、埼玉県から御提出をいただいた資料です。
資料4といたしまして、第10回の「消費者契約法に関する調査作業チーム」の会合を行っておりますので、その記事要旨をおつけしております。
参考資料といたしまして、この間、11月20日に委員間打合せを開催しておりますので、そちらの概要をおつけしております。
不足がございましたら、また、お申し出いただければと思います。
よろしくお願いいたします。

≪2.公共料金について≫


1)「公共料金問題についての建議」に対する実施状況報告について

○河上委員長 それでは、議題に入ります。
最初の議題は、「公共料金について」であります。
消費者庁におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。
消費者委員会では、本年2月に、「公共料金問題についての建議」を経済産業大臣、国土交通大臣及び消費者担当大臣に対して発出いたしました。
建議事項といたしましては、公共料金全般及び鉄道運賃等、電気料金のそれぞれについて、決定過程の透明性及び消費者参画の機会を確保するという観点から、各種の取組み等を挙げており、これらの建議事項への対応について実施状況の報告を求めるといたしております。これを受けて、去る10月2日の第101回委員会では、経済産業省と国土交通省から御報告をいただき、質疑を行いました。
消費者庁については、公共料金に関する研究会の最終取りまとめの結果を待って、実施状況の報告をいただくこととしておりましたが、去る11月19日に同研究会の報告書が公表されました。本日は消費者庁から、その内容も踏まえた上で実施状況についての御報告をいただき、質疑を行いたいと思います。
恐縮ですが、説明は15分程度でお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 それでは、お手元の資料に基づきまして御説明させていただきたいと思います。
「公共料金問題についての建議」を受けまして、消費者庁といたしましては、その後、公共料金に関する研究会での審議、東電の値上げ認可申請に係る経済産業省との協議、消費者基本計画の策定におきまして、基本的に対応してきたところでございます。
まず、資料1-1をごらんいただきたいと思いますが、(1)でございます。消費者庁は、消費者委員会と連携し、所管省庁における公共料金に係る情報提供の実施状況についてのフォローアップを速やかに実施し、その結果を公表することという御建議をいただいたところでございます。
この問題につきましては、消費者基本計画という形で、私ども消費者庁と所管省庁、消費者委員会も含めた形で、公共料金の決定過程の透明性、消費者参画の機会、料金の適正性の確保を保つ観点から、以下の3つの課題について取り組むことにさせていただいております。
まず、1つ目の、所管省庁における公共料金に係る情報提供の実施状況についてのフォローアップという形で、閣議決定の中でいただいた建議に対応して所管省庁と取り組んでまいりたいと思っております。
以下、ほかの項目にかかることでございますが、公共料金等の決定過程で開催される公聴会や審議会における消費者参画の実質的な確保、3つ目といたしまして、据え置きが続いている公共料金等を含め料金の妥当性を継続的に検証する具体的方法の検討と実施ということで、主立った御建議につきまして、閣議決定された消費者基本計画において、まさにこれから実施を図りたいと思っております。
また、この中の括弧を見ていただきますと、今後、速やかに所管省庁、消費者委員会と連携して具体的に実施していくことになりますが、公共料金に関する研究会におきましても、この手続あるいは継続的な検証、料金の妥当性、情報公開などにつきまして、多方面において御議論いただきまして、4月に一度御報告申し上げましたが、中間取りまとめが行われまして、それを各省庁に提示いたしました。そして、中間取りまとめで提言された措置の実施を要請したところでございます。
(2)でございますが、消費者基本計画のフォローアップの一環といたしまして、所管省庁における審議会委員の選任状況について確認を行っているところ、消費者の権利・利益を十分代弁し得る人材が、実際に委員として登用されているか否かという点からの確認も行うということでございます。ここにつきましては、審議会の委員の選任に当たりまして、必要に応じて、消費者団体からの委員の選定を各省庁が円滑に行えるよう、その名称、所在地、代表者、団体等の概要を取りまとめました「平成23年度消費者団体名簿」を各省に配付いたしました。
各省が、消費者団体から委員等を募集する必要がある場合には、消費者庁が運用する消費者団体と消費者庁の情報・意見交換システムがございますので、これを活用して協力する、その旨の事務連絡を各省庁に送付したところでございます。
(3)でございますが、消費者庁は、消費者の視点に立って、物価担当官会議申合せに基づく所管省庁との協議を的確に行うということでございます。まさにこの点につきましては、今回、東京電力の値上げ認可申請に対する対応ということで、経済産業省に対して要請を行い、要請を行ったのはこの中間取りまとめの内容でございますが、消費者の参画、公聴会の開催、情報提供等の料金決定プロセスにおいて改善が図られたところでございます。また、実際の協議に当たりましても、中間取りまとめに盛り込まれた考え方が十分に反映されるよう努めたところでございます。
また、委員長から先ほどお話がありましたが、11月に最終報告が取りまとめられましたので、今後、協議がまいった状況におきましては、この提言を踏まえて適切に協議してまいりたいと思っております。
次のページをごらんいただきたいと思います。(4)でございます。消費者庁は消費者委員会と連携し、従前、物価安定政策会議というものがあったわけでございますが、それで整理された課題のほか、公共料金に関する最近の議論の状況と、技術革新の状況等を踏まえ、消費者、学識経験者、事業者、所管省庁等から幅広に意見を聴取する等の方法によって、以下、5つの課題について検討を行うということで御建議をいただいているところです。
1つ目の課題でございますが、情報提供すべき情報の範囲と方法でございます。こちらにつきましては、研究会において、下の3つの点について御提言いただいたところでございます。改定手続においては、事業者から提供される情報という中に、規制当局や、実際に手続に参画する消費者が適切に内容を評価できるよう、事業者の部門別・サービス種類別のセグメント情報、子会社・関連会社との取引、連結会計情報が含まれるべきであること。
情報提供の在り方につきましても、ホームページで情報提供を行っているというケースが多いわけでございますが、やはり個々の消費者にとっては情報アクセス能力の格差が実際にあるところでございます。そうした課題への対応ということで、アクセスが困難な消費者(例えば高齢者や障害者)に対する適切な情報提供はきちっとやりなさいということを提言されたところでございます。
また、必要に応じて規制当局、消費者庁等は、公共料金に関する相談窓口を設置することを検討すべきということで、この御提言を踏まえまして、今後、委員会、所管省庁と連携して、消費者基本計画の実施の一環として、提供すべき情報の範囲と方法について、検討してまいりたいというふうに思っております。
なお、実際の協議という場におきまして、中間取りまとめを踏まえまして、東電の値上げ認可申請の対応において、経済産業省に対して、料金が改定されるわけですので、新しく実施される料金体系への移行に向けて、きっちりと情報提供の実施状況を確認する。フォローアップ審査、事後的な検証という審査の実施によって、継続的に料金の妥当性を点検させるべき旨を意見いたしまして、経済産業省のほうからもこうした意見に対して、適切な情報開示の在り方を検討、実施するという旨の回答を得たところでございます。
イは、消費者(利用者)の意見を反映させるための方策でございます。研究会の報告におきまして、実質的に消費者の参画が確保されるという点で以下の提言がされたところでございます。原則として公聴会は開催しなさい。一定の場合には、消費者の求めに応じて公聴会を開催すること。その際には、開催回数、場所について十分配慮し、審議を公開すること。
公聴会において、事前に十分な検討ができることを目指して、関連資料は事前に時間的な余裕をもって提供してほしいということです。参加者の通知についても、時間的余裕をもって行ってもらいたい。公聴会等において、質疑応答の機会を設けること。一方的に意見を述べるだけの機会ではない。ちゃんと質疑応答の機会を設けること。また、事業者が出席し、参加者の求めに応じて必要な情報をタイムリーに提供することで、後で消費者の意見に対する回答といいますか、そういうケースもあろうかと思いますが、基本的には、その場にいてタイムリーに提供してほしいということを御提言いただいたところです。
基本計画におきまして、今後、公共料金等の決定過程に開催されます公聴会、審議会における、消費者の参画の実質的な確保を具体的な施策として掲げておりますので、そうした中できっちりとこの点についても実施してまいりたいと思っております。
また、これも東電の経験でございますが、経済産業省の対応においても、消費者参画の実施がなされているところでありまして、今回の提言を踏まえまして、各方面と連携し、基本計画の実施の一環ということで、消費者の意見を反映させるための方策を検討していくことを考えております。
3つ目でございますが、公共料金について、消費者の視点からチェックするための第三者機関設置の必要性です。これにつきましては、先般、「公共料金等専門調査会」を設置することになりましたので、こちらにおいて一元的に運営できる体制について検討した結果ではございますが、建議の指摘どおり、消費者の視点から、チェックするための活発な調査審議が行われることが期待されるものでございます。
消費者庁といたしましても、調査審議に協力することになっております。外部有識者の専門的な知識も一層活用することによって、公共料金を効率的かつ効果的に検証してまいりたいと思っております。
また、公共料金の研究会では、公共料金を消費者の視点からもチェックするため、例えば同種あるいは類似のサービスに関する事業者間・地域間の比較対照情報について、情報提供を進めるべきという御提言をいただきましたので、これらにつきましても、今後、消費者基本計画の実施の一環として、消費者の視点から、チェックの在り方について検討を進めてまいりたいと思っております。
3ページ目でございますが、エということで、デフレ時代に見合った料金水準への「値下げ」を求めることができる仕組みの在り方という内容でございます。研究会におきましては、料金の事後的・継続的な検証の実施のために、事業者及び規制当局は、事後的検証にも資するよう料金改定時の認可申請書類等の算定のもとになったデータを、原則としてすべて公開すべきとし、また、事後的な検証の過程においても、消費者の参画を可能とする手続上の工夫がなされるべきという御提言をいただいたところでございます。
今後、消費者基本計画に沿った形で、据え置きが続いている公共料金等の料金の妥当性を含めまして、継続的に検証する、具体的な方法の検討と実施を具体的施策として掲げておりますので、着実にこれらについて取り組んでまいりたいと思っております。
また、先般の東電のケースにおきまして、経済産業省の協議におきましては、新料金体系の移行へ向けた情報提供の実施状況を確認したところでございます。また、事後の適切な情報開示についても意見し、経済産業省からは、適切な情報開示の在り方を検討、実施すると回答を得たところでございます。
最後でございます。公共料金の審査等における原価の査定が厳正に行われるような仕組みの在り方というところでございます。研究会では、規制当局は、事情に応じて原価として認める費用やその水準に関する基準、経済産業省の電力の場合ですと、「審査要領」が具体的な例かと思われますが、そうした基準を作成・公表し、ルールの明確化、透明性を図るべきと提言がなされたところでございます。
これにつきましても、提言を踏まえまして各方面と協力して連携し、消費者基本計画の実施の一環として、公共料金の審査等における原価の査定が厳正に行われる仕組みを検討してまいりたいと思います。
以上でございます。

○河上委員長 ありがとうございました。
御報告いただきました内容について、質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
細川委員、どうぞ。

○細川委員 公共料金は、今までは物価問題ということで経済企画庁あるいは内閣府で対応してきて、その権限を消費者庁が引き継いだということだと思いますけれども、今のお話を伺って、この分野で体制が強化されたというよりも、逆に弱体化した、そのような印象を持ちます。建議に対する回答のほとんどが、公共料金研究会での提案とか、そういうもので回答がされています。各省庁が規制官庁として権限を持っているわけで、そこに対して、消費者・生活者の目線で変えるというか、改革していくというところに意味があって、その司令塔としての消費者庁の役割があるはずですけれども、今のお話を伺っていると、その辺が非常に不十分な気がします。結局、それはこれからお話があるであろう公共料金等専門調査会が引き受けることになるのか、その辺はわかりませんけれども、これだけ期間があって、これしか建議に対する回答がないというのは私は不十分に思います。
そうした中で2点だけお聞きしたいのは、まず、1の(1)の建議に対して、消費者庁では、公共料金に関する研究会をやって中間取りまとめをした。「中間取りまとめで提言された措置の実施を要請した」とありますけれども、具体的には誰が誰に対してどのように要請しているのか、お教えいただきたいと思います。
また、(2)の審議会委員の選任状況について、確認ということですけれども、こちらは確認してほしいという建議なのに、全く確認していなくて、団体名簿を配付したとか、各省庁から問い合わせがあったときにはそれに協力する、それだけの話であって、これも不十分ではないかと思いますので、この2点について御見解を賜りたいと思います。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 まず、一つ目でございますが、経済産業省に要請したということ、具体的には資源エネルギー庁でございます。東京電力なり電力の認可申請を認可する部署に対しまして、中間取りまとめを御提言いただきましたので、これに対して、極力、料金決定プロセスにおいて反映してもらいたいということを、私も含め消費者庁から要請したということでございます。

○細川委員 資源エネルギー庁だけに言ったのですか。ほかの省庁には要請していないのですか。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 具体的に東京電力という話がありまして、それに対しまして、私のほうから、実際に協議案件ですので、協議に際してやってくれということを申しました。他省庁に対しても、まさに公共料金の申合せの窓口がありますので、そこに対して要請したところでございます。

○細川委員 要請というのは、文書で長官から大臣ということですか。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 長官とか大臣ということではなく、私どもの課名で要請しました。

○河上委員長 2点目をお願いします。

○消費者庁村山消費者政策課長 2点目ということで、各省の審議会の関係でございます。
こちらに関しましては、消費者基本計画のフォローアップという位置づけの中で、23年の7月に確認した内容を求めております。24年に関しましては、さらにということで、消費者団体の名簿を、先ほど説明したように、その上でということで送付をして、各省でそういった取組みがさらに進みやすいように円滑化を図っているということでございます。

○河上委員長 山口委員。

○山口委員長代理 今の点ですけれども、運輸審議会の委員の人選について、具体的に消費者の声を反映させる体制になっていないのではないかということで国交省に指摘したところ、消費者庁のほうから、いわゆる消費者目線の人選のガイドラインのようなものがあったと。要するに、生活者・消費者の視点というのは何なのかというところで、国民的視点でいろいろ勉強をしている人とか、そういう人。つまり、学者だったら誰でも入る、あるいは鉄道の専門家だったら誰でも入るかのような、そんな消費者庁からの極めてあいまいな包括的な人選の基準が示されております。これによって、運輸審議会の委員は全員、消費者庁の言う消費者目線の委員になっているということですが、消費者庁が示されてる消費者の声を反映させる人選といいますか、その辺の基準があいまいすぎて、きちんと消費者の声を反映する形になっていないのではないかというふうに痛感しました。実情がどうで、人選の基準をどういうふうに考えられているのか。その辺をもうちょっときちっと示す必要があるのではないか、というのが1点目です。
2点目は、2ページ目のアの「情報提供すべき情報の範囲と方法」のところです。3行目以下に、事業者の部門別・サービス種別のセグメント情報、あるいは子会社・関連会社との取引、連結会計情報が含まれるべきであるということで、こういう情報も含めてきちんとした開示がなされるべきだということが指摘されています。
なおかつ、消費者庁でことしの6月28日付で、「東京電力の家庭用電気料金値上げ認可申請に関するチェックポイント検討チーム」が消費者庁に組織され、そこでかなり詳細な東京電力値上げに当たってのチェックポイントがまとめられました。これは、後の問題にもかかわるのかもしれませんが、関西電力や九州電力の値上げ申請の際のチェックポイントとしても生きてくるのか。それとも、単にこれは東京電力だけのものなのか。その辺も考え方をお聞かせいただければと思います。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 チェックポイントの件でございますが、御指摘のとおり、チェックポイントの詳細版におきましては、かなり細かく具体的に御指摘させていただきました。今後、どういうふうにやっていくかというのはまさに検討中ですが、前回、東電のケースで、公的資金が入っている話とか、原発事故の当事者であるとか、そういう特殊要因があったわけでございますが、それを除いた形の課題については、基本的には横断的な課題として、ほかの事業者に対しても適用ということが原則だと思います。
実はこれは、細かすぎるとか、そういうような御意見もありますが、そこは、またこれから考えてまいりたいと思います。実際に私どものほうで、今回、関電なり九電なりの申請内容を具体的にこれから検証してまいりますので、それを見て、改めてチェックポイントを作成してまいりたいと思っております。基本的な考え方、ポイントというのは、今回の申請内容がもう既にこれが織り込まれていれば、またそれは別の話かと思いますけれども、御指摘のとおり、基本的にはこれを踏まえて、我々も新たなチェックポイントを作成してまいりたいと思っています。

○山口委員長代理 是非そうしていただきたいです。端的に言うと、例えば調達費がどうなっているのかとか、子会社、関連会社の役員の報酬、賞与、退職金などの扱いとか、電力中央研究所への分担金とか、原子力発電所からの購入電力料の明細とか、チェックポイントには、当然、すべての電力会社に共通する項目がかなり含まれているわけです。これを早めに経産省、エネ庁に示して、こういう点をきちんと情報開示してチェックできる体制、それは単に消費者委員会の専門調査会の委員だけではなく、消費者あるいはすべてのユーザーがチェックできるように、早めに示す。消費者委員会としても、今後、作業を消費者庁と協力してやりたいと思います。是非、一緒に早めに整理して提示するように、これは建議の実行として是非お願いしたいと思いますし、消費者委員会としてもやりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○河上委員長 村山さん、お願いいたします。

○消費者庁村山消費者政策課長 各省庁の審議会における人選の問題に関して、御意見をいただきました。今後の専門調査会などの場での検討に生かしていくということかと思います。
先ほど御指摘いただいた点でございますけれども、最終的には各省庁の判断になると思いますが、先ほど御説明いたしましたように、各省庁において、そういった方々を選んでいただくための円滑化のために、例示ということで事務的に連絡をさせていただきました。一般には、消費者団体の代表といった方々が消費者の代表と想定されると思いますけれども、それにとどまらず、例えば生活者・消費者からの相談を受けたりアドバイスをするなど、消費者の問題を把握できる立場にある方というのがそれ以外の一つの例でございます。例えば消費生活相談員の方、消費者問題を担当されている弁護士の方、そういった方々も対象になると考えております。それから、生活者・消費者の問題に詳しい報道機関の方々、学者の方々、例えばですけれども、そういった方々も例示ということで挙げさせていただいております。
そういったことを各省庁に伝えていくということでございますが、今、御指摘いただいたような問題に関しては、今後、専門調査会の場での検討に活用していくということかと思っております。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 3ページのエとオのところです。今の原価の査定の仕組みについては、山口委員長代理からも、すぐありそうなものが電気料金でございますので、特にそれについての御意見も出ておりますが、基本的には、電気料金だけではなく、運輸審議会もそうですが、鉄道とか、ほかの公共料金についても考えていただくということでお願いしているわけです。研究会をおやりになってそこで出てきたものが、値下げを求める仕組みについてとか、電気料金については、経産省もおっしゃっていたような仕組みを使うということもあるかと思いますが、ほかのさまざまな公共料金についても同じような問題はあって、それについても考えていただきたいということでお願いしていたわけですが、研究会ではその辺りは余り具体的には詰められていない。
これは同様に、審査基準の在り方とか、公共料金の全体に通ずることだと思いますが、その辺りについてはどのような進み具合と考えてよろしいでしょうか。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 確かに東京電力関係というのは非常に多かったわけでございます。御建議いただいた話といたしまして、当然、ほかの分野も視野に入れた御建議だと思っております。据え置きとか、あるいは引き下げのときには届出制ということなものですから、規制当局においても基本的にチェックがされない。情報提供がされていない。あるいは、外に対しても余り出ていないということもあります。まず、そこからスタートさせていただきたい。
今、おっしゃいましたように、公共料金分野ごとについて情報が随分違うと思います。そこについて具体的にどういうチェックの体制があり得るのか。そこをまず検討して、そして実施していくということだと思っています。そういう意味では先生の御指摘のとおり、公共料金に関する研究会について、電気料金以外のさまざまな公共料金があるわけです。それについて、各分野ごとに妥当性のチェックの在り方についてどうだとか、あるいは、デフレ下においてほかの物価が下がっていて、一方で据え置きといったところで、どうするかといったところについては、そこまでは残念ながら結論を得なかったところであります。
ただ、基本的な方向性として、据え置きが続いているものについては、認可のプロセスではないわけですが、何らかの事後的な検証というのは必要、できるだけ早急にしなさい、という御提言をいただいています。それは基本計画の中できっちりと記載されている事項でもありますので、これは、関係方面とどういうような検証の仕方があるのかといったところをこれから検討して、実施してまいりたいというふうに思っております。
それから、審査要領の関係でございます。経産省が3月に審査要領を改定いたしまして、具体的な原価に入れる項目について、以前よりも充実した内容になっております。これは一つの事例かと思っていますので、各省においても、我々としてはこういう審査要領の、原価の入る基準と申しますか、そういうものを公にして、審査なり検証をしていただきたいという思いを持っています。そういう認識のもとで、これから各省と調整してまいりたいと思っております。

○河上委員長 細川委員、どうぞ。

○細川委員 先ほど、委員長からちょっと御紹介があって、建議を2月にして、6か月以内と求めていたのにずれ込んでしまったのは、消費者庁の研究会の報告を待ってということがありました。ただ、きょうの建議に対する御回答は、中間報告取りまとめを生かしたというふうにはなっているけれども、最終報告のことが全然入っていません。それを待たされてこれだけ時間がかかったはずなのに、なぜ、最終報告のことが入っていないのか、わかりませんし、また最終報告は、エンフォースメントをどうするかが重要であって、提言をしただけで、はい終わりでは、昔の経企庁、内閣府のホッチキス官庁みたいな話になってしまうわけです。それを、要請ではなく、具体的に司令塔として、各省庁が規制権限を持っているわけですから、各省庁がそれに基づいてやらなければ何にも意味がないので、その辺はいかがなのでしょうか。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 確かに最終報告のところの言及については、不十分なところもあろうかと思いますけれども、研究会からさまざまな御提言をいただいたところでございます。それのエンフォースメントのところは、今後、電力関係では具体的に協議が確実に来ますし、閣議決定しました基本計画というのも、各省、それから、こちらの委員会と連携してやっていかなければなりません。その際に、我々はその提言をベースとして関係省庁、規制当局に対したいと思っていますので、そうした具体的な調整、あるいは協議の場面で、我々は、最終報告を踏まえて実施してまいりたいと思っています。

○河上委員長 夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 このたびの東京電力の値上げを機にした公共料金の決め方というものが、消費者・生活者の視点からは大きく隔たっているということが、国民の目に明らかになり、白日のもとにさらされたという意味では、大きな問題を定義し、それを是正するための方向に動いたと私は思っております。消費者庁は、そのやり方につきまして、今、いろいろな意見が出されたわけでございますけれども、やはり一定の成果を上げてきたのだろうと思うわけでございます。決してこれが十分とは申しませんけれども、これを生かして、今後、電力だけではなく、幅広い公共料金につきまして、中長期、横断的な視点できちんと司令塔である消費者庁が先頭に立って、各省庁にものを申していただくということが大切ではないかと思います。
例えば、報告された実施状況のところがございますが、確かに研究会の提言を要請したとか、名簿を配付したとか、送付したとか、そういう書き方をしていますけれども、この書き方そのものももう少し御検討されるべきではないかと思います。配付をしてどうだったのか。送付をしてどうだったのか。例えば、要請した。それをした後、省庁が、今後検討をしていくと。では、いつまでにどんな検討をするのか。もう少し踏み込んだ書き方をしないと、このままでは、せっかくお仕事をなさっているにもかかわらず、不十分だという御指摘を受けるのではないかと思いますので、是非、その点は改善していただければというふうに思います。
東電とは違いましてほかの電力会社は、公的資金も入っていないし、原子力発電所の事故の問題もないから、値上げ申請は短期間でいいような話がちらちらと流れてきますけれども、決してそういうものではないので、きちんと精査し、この前の東電の経験を十分に生かして、より消費者目線に立った値上げ申請のチェックを続けていただきたい。届出制のところも同様でございます。値下げは、消費者の意向に関係なく事業者が一方的に決めることができることも明らかになったわけですから、それでいいのかという基本的な視点も含めまして、是非消費者庁には頑張っていただきたい、こんなふうに思います。
以上でございます。

○河上委員長 特に御回答はよろしいですか。

○夏目委員 結構です。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 消費者庁に対する意見が出ていますが、やはりここは東京電力のときの成果と反省を踏まえて、九州電力、関西電力の値上げ申請については、庁と委員会がお互いに協力して実のある審査をしなければならないし、したいと思います。今回は東京から離れて関西と九州ですが、できれば、消費者委員会と消費者庁が協力して消費者の意見を聞く場を設定するとか、あるいは、先ほど申し上げましたようなチェックポイントを整理して、それを消費者団体の皆さんにも、消費者委員会なり消費者庁の目線で整理して提示して、注意を喚起するといいますか、関心を持ってもらうようにしていく努力をやっていくことが必要だろうと思いますので、その辺は、今後、緊密に連絡を取っていただきたい。
幸い、今回の電気料金値上げについての専門委員会の人選を見ますと、消費者団体の方も、1人ですが、人選されている。あるいは公聴会の日程を見ますと、東京電力のときは早すぎたという批判もあるので、1月末辺りにやや遅めに設定され、希望者が多ければ予備日もつくりますというようなこともおっしゃっている。その辺は消費者委員会としても、あるいは庁としても、お互いに運用の状況を見ながら、消費者の声が実質的に反映できるように努力をしていかなければならないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○消費者庁長谷川消費生活情報課長 まさに御指摘のとおりで、関電、九電について、経済産業省におけるプロセスについては、相当程度、我々の要請と申しますか、公共料金に関する研究会の提言を踏まえていただいているのではないかと思っております。
また、先ほど御指摘がありましたチェックポイントについても、スピード感をもって我々も作成したいと思っています。そのプロセスにおきましては、消費者委員会あるいは消費者団体の皆さんの御意見を反映させる形で、経済産業省の審査にタイムリーな形で投げたいと思っております。

○河上委員長 いかがですか。よろしゅうございましょうか。
どうもありがとうございました。本年7月に閣議決定された改定の消費者基本計画の中に建議事項を盛り込んでいただいて、今後、当委員会、各公共料金所管省庁と連携しながら、基本計画の実施を通じて、各公共料金にかかる情報提供のフォローアップとか、各課題に係る方策の検討を行うということでありまして、消費者庁におかれましては、この点をしっかりと遂行していただきたいと思います。
また、検討に当たりましては、公共料金の決定過程における消費者参画の在り方、透明性の確保といった問題、建議でも随分強調させていただきましたが、公共料金に関する研究会の提言の中でも、これは最終的に非常に強調された点であります。その意味でも、速やかに的確な情報を出していただけるように働きかけをお願いしたいと思います。
委員の間からかなり厳しい注文が出ましたけれども、これは、消費者庁に対する注文であると同時に消費者委員会に対する自戒でもあります。公共料金問題に対する国民の関心がいかに強いかということを考えますと、東電のときの経験を踏まえ、かなりきちんとした公共料金の審査、査定をやっていかないといけないということは我々自身も痛感しておりますので、よろしくお願いします。
消費者委員会としては、建議事項の実施状況につきまして、引き続き監視をしっかりとしていきたいと思います。先ほどもお話が出ましたけれども、当委員会のもとに公共料金等専門調査会を設置いたしましたので、この専門調査会を中心に、消費者庁と連携して建議事項の実施に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
本日は、お忙しいところをありがとうございました。

2)公共料金等専門調査会について

○河上委員長 引き続いて、公共料金についての後半で、「公共料金等専門調査会について」であります。
公共料金等専門調査会につきましては、前回の11月13日、第104回消費者委員会において、その設置について御決定をいただきました。また、その構成委員となる専門委員につきましては、本日付で、配付資料のような名簿で記載されている、公共料金をめぐる諸課題に知見を有する学界、実務界、消費者団体の方々が任命されています。消費者委員会からは、小幡委員、細川委員、山口委員長代理に担当委員をお願いしたいと思います。
また、設置・運営規程の第2条第3項の規定により、委員長が専門調査会の座長を指名することになっておりますので、この委員の中から、古城誠専門委員に座長をお願いしたいと思います。
なお、11月26日・27日に、関西電力、九州電力から値上げ申請がなされるということでございますので、その点について、委員長として一言申し上げたいと思います。
当消費者委員会では、本年2月の「公共料金問題についての建議」において、料金の決定過程の透明性、消費者参画の機会を確保するという観点からの取組みの推進を関係省庁に求めてまいりました。今般、関西電力及び九州電力から家庭用電気料金値上げ認可申請が行われたということであります。
これまでの観点を踏まえまして、11月13日に設置を決定した公共料金等専門調査会において、第1に、決定過程の透明性、さまざまな機会における消費者参画の機会の確保、これが十分に行われているかどうか。公聴会等の回数、場所、関連資料の提供のタイミング、そういったものも全部含めまして、消費者参画の機会が十分確保されているかどうかという点をまず見る。
第2に、消費者の理解が得られるような説明がなされているかどうかということです。東電の場合も、さまざまな人件費の項目とか、いろいろな数値が出てまいりましたけれども、なぜこういう形での値上げが必要になったかということを、ある程度消費者が理解できる説明が行われているかどうかということも含めて、消費者庁と協力してしっかりと検証を行い、その結果を委員会に報告いただきたいと思います。
なお、経済産業省におかれましては、値上げの認可申請の査定プロセスが開始されるに当たって、電気料金審査専門委員会の正式な委員を選任されたということで、新たに消費者団体出身の委員の方も任命されていると伺っております。それから、公聴会を地元で開催して、開催日も約2か月先にして時間的な余裕をもって設置されております。これらについては、委員会が7月13日に、「東京電力の家庭用電気料金の値上げ認可申請に対する意見」という中で提起した内容にほぼ沿った対応が行われていると認識しているところでございます。これだけに限りませんけれども、今後とも、審査のプロセスの透明性、消費者参画の確保について、具体的な面についてチェックを続けていって、その確保を委員会としては求めていきたいと考えております。
さらに、消費者庁に対しましては、値上げ認可申請を行っている電力各社の地元の消費者団体等との意見交換会を、速やかに実施していただいて、その成果をさきの専門調査会での議論に反映できるようにすることを求めていきたいと考えております。
私からのとりあえずの意見は以上ですけれども、委員の方々から、この問題に関して何か御発言はございますか。

○山口委員長代理 2点あります。先ほど来聞いているように、東京電力のときにはチェックポイントが細かく提示されまして、それに基づいて実質的な審査をしたわけです。それは消費者委員会、消費者庁ダブルでやったということで、批判もあるのですが、今回は、消費者庁と消費者委員会が協力して公共料金等専門調査会で審議をすると言っているわけですから、やはり早めに消費者庁、消費者委員会でチェックポイントを整理して、それを示す。その資料をいただいた上で、専門調査会のほうで早急に具体的に検討するという、中身に踏み込んだ検討をするということもきちんと姿勢を示す必要があると思います。もちろん、エネ庁の検討会でなさる部分もあると思いますので、それはダブルでやる必要はありませんけれども、消費者の目線でチェックポイントを指摘し、それを検討するという作業は必要ではないかと思います。

○河上委員長 細川委員、どうぞ。

○細川委員 今の委員長の御発言も、関西電力、九州電力の値上げの認可を中心にお話しされましたけれども、重要なのは、電気料金だけではなく、いろいろな公共料金の制度の改正というものが必要で、今までそれがなかなか進まなかったわけです。今、まさに消費者庁の建議に対する回答がありましたように、消費者庁にも司令塔機能も余り期待できないとなると、この後にできる専門調査会の役割は重要です。ここで一般的なルールを示して、それに基づいて規制官庁が、例えば総括原価方式の中での総括原価というものをしっかり見ていく、そういう仕組みをつくっていかなければ何の意味もないので、その仕組みをどうするかというところの工夫がやはり必要だと思います。我々の機能とすれば、建議という形でやっていくということになると思いますけれども、その中で基本的なルールを示すべきだと思います。
一つは、総括原価方式においては、消費者に説明ができない、すなわち公表できないような原価については算入すべきではないとか、基本的なルールを示して、それで規制官庁がやるというふうにしていかないとだめだと思います。今の体制は、値上げ申請がなければチェックできないシステムなわけです。二十何年、値上げがなかったがゆえに、消費者・生活者から見ればひどい内容が、総括原価の中に盛り込まれていたということが明らかになったわけですから、値上げ申請がなくても、そこをチェックして是正されていくという、その仕組みづくりがまだ何もないわけですから、そういうところをしっかりやらなければならないと思います。
そういう意味で言うと、この専門調査会をどうやっていくのか。個別なものについては、この下に部会をつくってやって、一般的なものは本会議でやるとか、そういう仕組みもつくっていかないと、全部非常勤の委員ですね。その辺も、今後、検討していかなければならないのではないかというふうに感じました。

○河上委員長 差し当たって、これからの専門調査会での議論に委ねたいとは思いますけれども、細川委員がおっしゃったような一般的なルールに関しても、やはり専門調査会の中で御検討をいただくことにしたいと思います。消費者委員会のよさというのは、恐らく、諮問がある前に、あるいは実際の協議がかかる前に、いろいろな省庁に対してヒアリングをかけて資料を提示したり、こちらからの意見を申し上げることができるところにあるかと思います。その意味でも、消費者庁に先駆けて必要な情報を出してもらうように働きかけることも、是非、専門調査会の中で御議論していただきたいと考えているところであります。
この点に関しては、よろしゅうございましょうか。
小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 今、細川委員がおっしゃったように、先ほど、消費者庁の方にお聞きしたところ、ほかの公共料金について、結局、そこまでとても研究会では行けなかったというお話でした。ここの専門調査会が立ち上がりますので、まさに言われたような形の、値下げも含めて、検証だけという消費者庁さんのお話で、全くその後のほうまで研究会でも行けなかったようでございますので、その基本的な制度を見るということ。それから、具体的な値上げ申請がもう来ているので、それに対してもやるということで、やることが多岐にわたっていて、なかなか舵取りが大変だと思います。委員の先生方もお引き受けいただいて、大変かと思いますが、何とか両方を担うという形で、こちらとしても事務局を含めて工夫して、うまく動かしていければと思います。

○山口委員長代理 きょう、非常に象徴的だったのは、原事務局長も当時、審議会の委員で、公共料金の在り方について、国民生活審議会の中で審議されたのでしたか。経産省の中の公共料金でしたか。

○原事務局長 物価安定政策会議です。

○山口委員長代理 とても立派な報告書ができているわけです。こうあるべし、あああるべしということで、中身はとても立派ですけれども、何も実行されていないわけです。また、このたび消費者庁の中での検討会で立派な報告書が出たけれども、結局、何にも実行されていないではないかということになりかねないのです。その意味では、今回できる消費者委員会の中の専門調査会は、単に立派な報告書を出して終わりというのでは何にもならないわけです。やはりこれは、消費者委員会がその専門調査会の審議を踏まえて政府部内に実現のための建議を出していく、そこの過程が非常に問題になってくるという意味では責任重大だということを、我々は肝に銘じておく必要があると思います。

○原事務局長10年前ですけれども検討いたしました、そのときにも、審議の透明性、消費者の参画ということは、今後の公共料金の在り方というところでは是非にお願いをしたいとして報告書をまとめていますが、10年間、フォローアップが行われていなかったというのが実態です。今回、また意見を提出いたしましたけれども、これはきちんとフォローアップをして確実なものにしていくべきだろうと思います。

○河上委員長 ありがとうございました。消費者委員会のいわば監視機能が、どのくらいうまく発揮できるかということが試される委員会になるかと思います。3委員には大変御苦労ですけれども、よろしくお願いしたいと思います。

≪3.消費者教育について≫

○河上委員長 それでは、次の課題であります、「消費者教育について」です。
消費者教育推進法につきましては、本年8月10日に可決成立し、公布の日から6か月以内に施行されることになっております。現在、消費者庁と文部科学省を中心に同法の施行に向けた準備が進められており、年明けにも消費者教育推進会議が発足することを予定しております。また、同法は、政府が消費者教育の推進に関する基本方針案を作成しようとするときは、消費者委員会等の意見を聞かなければならないと規定しております。このため消費者委員会としては、消費者教育推進会議が基本方針案の策定に係る議論を開始するのに先立って、学識経験者、地方自治体、消費者団体等から、消費者教育分野における現在の取組み状況や課題についてヒアリングを行いまして、消費者教育推進会議の議論に反映させるための意見表明を行いたいと考えているところであります。
本日は、ヒアリングの第2回目といたしまして、消費者教育推進法成立の前から消費者教育・啓発に活発に取り組んでこられた、NPO法人新潟県消費者協会の長谷川会長と埼玉県県民生活部消費生活課の上原課長にお越しいただいております。お二人には、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
まず、長谷川会長から御説明をお願いしたいと思います。
説明時間が短くて恐縮ですけれども、10分程度でお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○新潟県消費者協会長谷川かよ子会長 初めまして。ただいま御紹介いただきました新潟県消費者協会会長の長谷川と申します。この機会を与えていただきましたことを、大変感謝申し上げます。よろしくお願いいたします。
初めに、私どもの団体の紹介をさせていただきたいと思います。お手元に当協会のリーフレットを配付させていただきました。また、情報紙としまして、〔カラビナ〕137・138号、これは私たちの機関紙でございます。年3回発行しこれらを通して活動を広げております。
新潟県消費者協会は昭和42年に任意団体として設立され、45年となります。以来、消費生活の安定と向上を目的に活動してまいりました。平成19年度から、NPO法人として主に消費者啓発事業などを行っております。近年は、中越地震や中越沖地震のアンケート調査を冊子としてまとめて提言させていただいたり、また、新しい調査研究などにも取り組んでおります。会員は約1,600名ほどでございますが、県内各地区に19の協会があり、それぞれが独自の活動をしております。私共の事務局は県消費生活センターと隣接しております。
それでは、消費生活サポーター養成講座、消費生活ネットワーク新潟、私どもの課題、行政への要望という4つについて、お話しさせていただきたいと思っております。
まず、消費生活サポーター養成講座及び消費生活サポーターを活用した啓発事業について、お話ししたいと思います。
お手元に、本年度のサポーター養成講座の実施要領とカリキュラム、「サポーターだより」を配付させていただきました。プリントは養成講座の実施要領をごらんいただければと思います。また、消費生活サポーターの方々がどのように活躍しているかということで、ここを開いていただきますと、真ん中辺りに、県内の各地区にこれだけサポーターがおりますと示したものがありますので、あわせてごらんいただければと思います。
この講座は、新潟県から当協会が委託を受けて企画運営を行っているものです。身近なサポーターを養成することを目的としまして、平成16年度から始まって3年間、21年度から本年まで4年間、合計7回実施しております。消費生活に関する法律や悪質商法、多重債務問題などについての知識をはじめとして、地域での啓発講座を実施するための講座の組み立て方や進め方などを、10日間にわたって学ぶ養成講座でございます。
講座終了後はそれぞれに修了証書が交付され、県に登録して各市町村にサポーターとして紹介されます。カリキュラムにつきましては、消費生活に関する内容をひと通り学べる内容となっておりまして、講師の先生方も、国民生活センターの講師を務められている弁護士の先生方などをはじめとして、現在、第一線で活躍しておられる先生方にお引き受けいただいております。地方の講座としては大変充実したものであると、受講者に喜んでいただいております。
現在、今年度の講座が開講中で、12月3日が最終日となります。定員50名のところ71名の応募がありまして、県の意向で全員受講していただくことになり、男性をはじめとして子育て世代の女性も多くなっているのが今年度の特徴です。現在、120名のサポーターが活躍しておりますが、ことしの修了者を含めると180名近いサポーターが、今後、活動していくことになると思います。
県内各地に、個人で、またグループで啓発講座を実施しております。講師の派遣先としては、公民館の講座や、高齢者学級、地域の茶の間などさまざまですが、高齢者が対象となる機会が多くなっています。福祉関係との連携も現在は非常に重要となっております。平成21年度からの地方消費者行政活性化基金による事業の中で、サポーターの存在が徐々に知られるようになりまして、例年30件から40件程度だった講師派遣の依頼が、今年度は上半期だけで50件近くになりました。年月を重ねる中で、サポーターのスキルアップやフォローアップ講座を実施してきましたが、さらに学習を積んで、年数や講座回数の多い実力や実績を積んだサポーターに、誇りを持ってもらえるような顕彰制度や、シニアサポーターのような称号を与えることも必要になってくるのではないかと考えております。現在、こうした意識の高い各地のサポーターが、各地域の私どもの消費者協会の会員となって活躍していることは、近年、大変心強く思っているところでございます。
次に、各地域ごとの自治体の職員や消費者協会の代表、消費生活サポーター、啓発事業の関係者が一堂に会しまして、啓発推進連携会議を実施しています。6地区で開催しておりますが、各地域の実情にふさわしい形で情報交換や活動紹介、連携のできる方法を見つけて、サポーターの活躍に結びつけています。
続きまして、昨年11月4日に発足しました「消費生活ネットワーク新潟」について、お話をさせていただきます。皆さんにお配りしました「消費生活ネットワーク新潟」です。平成22年度より、県の県民生活・環境部に、消費者行政課が係から独立して設置されました。県の呼びかけでリーフレットにあります6団体が集まり、消費生活ネットワーク新潟が設立されました。後ろのほうを見ていただきますと、新潟県消費者協会、新潟県労働者福祉協議会、新潟県食品衛生協会、新潟県弁護士会、新潟県司法書士会、新潟県生活協同組合連合会、この6つの団体が手を結んだということですが、事務局は県の生協連さんが担当してくださっています。本年度は、各団体から運営委員を出して、月1回程度の運営委員会を行って事業を進めています。
本年度のネットワーク事業を3つ、紹介したいと思います。
一つは、テレビで消費者情報を流すものです。お手元に「生活ワンポイント」のプリントというのが一番最後にあるかと思いますが、NHK新潟放送局の「お昼はじょんのびくらし情報便」という番組の中で、生活ポイントを5~6分程度でわかりやすく伝えるものです。「高齢者の方々に伝えるにはお昼のテレビがよい、それもNHK」という、私ども消費者協会の提案でネットワークが動いて実現したものでございます。視聴率も大変高く、貴重な啓発の場となっていると思っております。
2つ目は、10月14日に、県主催の新潟消費者グループフォーラムをネットワーク新潟が担当して、20を超す団体から100名以上の参加がありました。6団体がそれぞれ団体間の幅広い連携と行政との協働の必要性を再確認し、啓発事業の協働のパートナーとしての体制ができたと思います。阿南長官にもおいでいただきました。
3つ目は、8月に消費者行政課が実施した消費者行政に関するアンケート調査をもとに、県内5ブロックで開催しました「新潟県消費者行政地域懇談会」です。市町村の担当者とネットワーク新潟の運営委員が意見交換を行って、それぞれの地域に戻りまして、地域の抱える課題の糸口を見つけて活動に結びつけていくというものであります。具体的には、次年度予算に取り組んで予算計上ができたという地域もございます。
今後の活動に当たっての課題について、お話ししたいと思います。
今回、消費者教育推進法が成立し、私どもが長年、消費者啓発事業を中心に活動してきましたことから、この分野が強化されていくことは大変心強く、より積極的に活動を進めていきたいと思っております。私どもの協会も、50年を目指して、ネットワークの協働のスタイルを確立していくことが大切ですが、会員の高齢化や会員の減少という、全国共通の悩みにも直面しています。財源が少ない中で、事務局運営やスタッフの確保もなかなか厳しいのが現状であります。
自治体の財政も厳しい中、事業を実施するための補助は受けられても、団体の運営自体への助成はなく、事務局の維持に苦労しております。維持費や人件費など、運営のための費用が少ないのが実情です。消費者教育を実施する上で重要な役割を果たす消費者団体は、基本的には市民ボランティアの活動です。NPO法人も多くできていますが、私どもの活動は、ピンポイントでなく消費生活全体を広い視野でとらえ、そのときどきの重要な課題に取り組むことのできる消費者団体であり、私たちの存在はそういう意味では大変重要だと思っております。その意味で、消費者団体が継続して事業をしていけるような支援をしていただきたいものだと願っております。もちろん、私どもも自助努力をして参るつもりでございます。
また、今年度までの地方消費者行政活性化基金による事業のような年限を限った事業では、効果のある事業も、その後の継続が難しくなってしまう現実があります。活性化基金によって、消費者意識の高い消費者が育ち活性化してきたことも、私ども、大変うれしい事実と受けとめています。是非、長期的な展望をもとに継続的な施策を実施していただきたいと思っています。
さらに、今回の消費者教育推進法には、事業者や事業者団体に、消費者教育推進のための活動に対する援助に努めるという内容が盛り込まれていますが、努力規定でしかないので、実効性のあるものになるような法律の規制なり制度を、是非お願いしたいと思っております。
以上、早口でございましたが、地方の消費者団体の立場からお話をさせていただきました。ありがとうございました。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
引き続きまして、上原課長から御説明をお願いいたします。
これまた、説明時間が短くて恐縮ですが、10分程度でお願いいたします。

○埼玉県上原満県民生活部消費生活課長 皆さん、こんばんは。御紹介いただきました、埼玉県で消費生活課長をしております上原と申します。せっかくお時間をいただきましたので、埼玉県における消費者教育・啓発事業の取組みにつきまして、お手元の資料3-1を中心に御説明させていただきたいと思います。
上のほうに、現在までの取組み、課題、これからの方向性と振ってございますが、左上の従来型啓発事業でございます。主な事業は消費生活講座というものでございますが、これは、消費生活課ができた昭和43年からずっと実施している内容のものでございます。基本的には県が会場・講師を準備して、ミニ講演会のような形で実施してきたものでございます。近年は、市町村や関係団体との共催で実施する方向に来ておりまして、要請のあった会場へ講師を県が手配する、基本的にはそういった仕組みで実施してございます。初級、中級、上級、ないしは若者向け、高齢者向け、環境問題、そういったテーマごとのおおむねの区分で実施をしてございます。これが、昨年度の実績でいきますと、年間約2万人が参加するくらいの数でございます。
さらには、県職員、私のところの職員による出前講座の実施。これは、県庁の各課がすべて自分のところの業務を県民の皆様に御案内するために、出前講座というものが県庁の中で制度化されておりますので、それの消費生活課バージョンとして実施しているという内容のものでございます。さらに、さまざまな講演会や情報誌、ホームページの活用、市町村担当課へ毎月、「くらしの110番」という形で、消費生活支援センターから、相談事例のうちからピックアップしてまとめたものをお送りするという取組みを従来から続けてございます。
これらの従来型の啓発事業の一番の課題といいますのが、課題の上のところに書いてございますが、基本的に消費生活講座等、依頼のあった場合に実施するものでございますので、関心のない人は参加しないという構造的な問題があり、消費者被害に遭いやすい、最も情報を必要とされる方のところに必要な情報が届いていないのではないかという、基本的な私どもの認識がございます。
そういった認識のもとに、例えば消費者行政活性化基金ができたときに、新しい広報媒体を使った広報活動ができないかということで、幾つもさせていただきました。この中で比較的評判がいいといいましょうか、FM795、これは埼玉県域を中心としているFM放送局ですが、これの「消費生活スポットインフォメーション」というのは比較的視聴率も高く、本年度も続けてございます。
それ以外、例えばテレビ埼玉の特集番組、名の知れたタレントの方を使ったものでございますが、これは放送は1回きり。それをDVD等に落として活用しようとしたわけでございますが、当然、パテントの問題もあって発行枚数が制約されるという部分もございます。さらには、落語家さんを使ったポスターですとか、ラッピングバスとか、広報誌の特別号ですとか、非常にお金のかかる事業を、基金があったからできたということでございまして、こういった新しい手法は、投資対効果という視点でいきますと、なかなか継続が難しいという状況にもございます。
ブルーのラインの中で一番使われていますのが、「高齢者見守りガイドブック」の発行でございます。これは、消費者庁さんが昔つくられたものを県版に直したものでございますが、当初5万部作成し、増刷も含めて6万3,000部ほど、厚い冊子でございますが、作成いたしました。これも、ただ作成するだけではなく、作成したときに県の消費生活支援センターの各所長さんに、地域包括支援センターを全部回って説明して配ってくれというお願いをいたしました。県で230ほどの地域包括がございますので、さすがに全部は回りきれずに、会議等でお配りしたというケースもありましたけれども、そういう直接のコミュニケーションのきっかけになるような取組みをさせていただいております。
次の、基金活用地域連携事業でございます。そういう取組みをしても、特に高齢者の方の相談なり被害の事例が頻発するというときに、ほかでもいろいろな取組みをされてございますけれども、直接その方に情報提供をするだけでなく、高齢者なり、障害をお持ちの方、立場の弱い方の周囲にいる方に情報をお届けし、いろいろ気をつけてもらう。消費生活相談のほうにつなげてもらう取組みを強化しようということで、この3点目の事業を始めてございます。
消費者被害防止サポーター養成200人。今、新潟県の消費者協会さんのほうからすばらしい御説明がございました。私どものほうは県が養成する内容のものでございますので、内容的に申し上げますと、それほど大きなものではございません。2日ほどの研修を実施して、サポーターさんとして登録をするということでございます。その研修の中に、消費者被害防止のための寸劇を自らつくろうというカリキュラムを入れてございますので、それのバージョンとしまして、県内の消費者団体にも呼びかけて寸劇グランプリというものを開催したり、取組みをさせていただいております。
福祉、自治振興部門との連携事業といたしましては、別紙の資料、次のページにございますが、高齢者の消費者被害防止フォーラムを実施いたしました。これは昨年度と今年度2回実施いたしまして、今年度の実施の結果を資料3-2に記載させていただいております。基本的には消費者行政の職員だけでなく、地域包括支援センター等の福祉サイドの職員の方に来ていただきまして、私どもが提供できるいろいろな情報交換をしようという内容でございます。おかげさまで今年度は167名の参加がございましたが、そのうちの半分以上は福祉関係の現場の職員の方が参加されまして、消費者被害の実態等、何か起きた場合にどうしたらいいかということの情報交換をさせていただいているところでございます。
次に、学校教育連携事業という形で記載させていただいております。消費者教育につきましては、教育委員会ないし学校教育サイドとの連携が非常に重要なものでございます。私どもは、消費者教育連携会議という、消費生活課、県の消費生活支援センターと教育局の担当課、私学を担当する学事課で、年間2回程度の情報交換の会議を実施しています。その中でよくお話に出ますのが、教職員消費生活セミナーというものを開催してございまして、学校の先生方が自分たちの授業の素材を学びやすいようにということで、資料3-2に今年度の事業メニューを記載させていただいていますが、こういったメニューで実施させていただいております。今年度は延べ177人の先生方に参加していただいております。それ以外にも、小・中学校、大学対象の消費生活講座、先ほど御説明したものの再掲でございますが、そうしたものを私ども消費生活部門で実施しているということでございます。
埼玉県では、消費者啓発施設、生活科学センター、愛称として彩の国くらしプラザを持っております。埼玉県の一番南部にございまして、川口市に所在するもので、パンフレットの概要をおつけさせていただいております。平成15年2月に開設したもので、消費生活のいろいろな内容をここで御紹介しているものでございますが、この基金を使いまして、主に金融教育と悪質商法の紹介に特化して、いろいろ学んでいただける施設としてリニューアルいたしました。従来から、多くの参加者をいただけるように啓発事業に取り組んできたところでございますが、今年度、おかげさまでリニューアルオープン後、まだ半年余りですが、10万人余の来館されている方がいらっしゃるという状況にございます。
これらにつきまして、これからの方向性でございますが、当然、従来型の啓発事業は継続いたします。予算的な問題もございますので、市町村や関係団体との連携、協力をしながら効果的な実施をしていかなければいけない内容のものでございますし、特にコンテンツ、中身に関しまして、私ども職員が一生懸命つくっておりますけれども、もう少しいいセンスのものができないかなという野心もございます。そういった工夫なり、あとは紙情報、基本ではございますが、どうしてもコストの問題もございますので、電子情報としてお届けできる仕組み、従来のメーリングリストの中でどの程度のものができるかという問題はありますが、そういった方向性を出していきたいというふうに考えてございます。
次の地域連携消費者教育の促進でございます。これは、先ほど御説明申し上げました高齢者の消費者被害防止フォーラムの延長線上にある取組みでございます。まだまだこういうポンチ絵的なものではございますが、地域において消費生活センターを中心に、さまざまな福祉なり自治関係の方々、周りにいる方々と連携を取り合うことにより、高齢者ないし障害者等、立場の弱い方々に対する広い意味での見守り活動の一環として、情報交換なり消費生活相談につなげる取組みができないかというイメージをしたものでございます。
実際にはこういった取組みは、県内市町村では個別にはかなりされております。しかし、なかなか組織化されていないという状況と、果たしてハードパックの組織でいいのかという問題もございます。私どもとしましては、埼玉県はおかげさまで市町村の消費生活センターもかなり整備が進んでございます。来年当初にはほとんどの市町村で設置できる見込みでございます。市町村に整備した消費生活センターの活用・充実等も含めて、できればセンターの周りにいろいろな方々が協力し合う仕組み、やわらかいネットワークの仕組みを、それぞれの市町村でつくっていただく取組みを県として支援していくつもりでございます。
学校教育に関しましては、先ほど御説明したとおりでございますが、教育委員会の対応等いろいろな課題はございますが、基本的には私ども消費者行政サイドとしましても、相談員による中学校・高校の消費生活講座の充実等に取り組んでいきたいと考えております。また、彩の国くらしプラザに関しましては、基本的には小学校の高学年を対象にした施設でございますので、できれば社会科見学等の場に活用いただきたいということを従来よりお勧めしております。ときどき学校の先生方の対応によっていろいろ変わるものですから、難しいところはありますが、そういった勧め方に取り組みまして、一層の利用促進に努めていきたいと考えております。
あえてこの中で、役割分担というところで2か所に四角を資料につけさせていただきました。上のほうの役割分担、推進法13条の部分にかかわるかと思いますが、地域における消費者教育の場合、推進法の13条には、民生委員とか福祉関係の職員の方々に対する内容が第1項に書かれてございますが、都道府県の立場からしますと、そういった人たちに直接関係を持つのは市町村であるというのが基本的な構造でございます。法律的な問題を別にして、都道府県は直接そこにタッチできないといいましょうか、一定の関与はできますけれども、具体的に現場においてかかわりを持つのは市町村であるという視点があるのではないかと考えてございます。
2点目の学校教育との関係の役割分担は、推進法の11条に、主語としては地方公共団体と書かれているわけでございます。これはどこの都道府県も同じかと思いますけれども、執行機関として知事と教育委員会が分かれているという問題がございますので、そこのところをどのようにこれから調整していくかということは、これからの一つの課題というふうに認識しているところでございます。
私からの説明は以上でございます。

○河上委員長 どうもありがとうございました。
それでは、御質問、御意見のある方は発言をお願いいたします。
山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 大変貴重なお話をありがとうございました。聞きたいことは山ほどありまして、新潟県の長谷川さんにお聞きしたいのですが、サポーター養成の費用とかその他、年間どれくらいかかっていて、県や自治体からどの程度の予算があるのか。これが一つ、大枠でかまいません。
それから、サポーターが県内に百何十人おられるということですが、60歳以上と60歳未満でどの程度の年齢構成になっているのか、お聞きしたいと思います。
上原課長からは、教育推進法の制定以降のことについて言及がございましたが、教育推進法の中で、地域の協議会をつくることになっているわけですが、それについてはどういう構えでおられるのか、教えていただければと思います。

○河上委員長 では、長谷川会長からお願いします。

○新潟県消費者協会長谷川かよ子会長 サポーター養成講座にかかる費用でございますが、県のほうから153万円いただいておりまして、募集のための広告費、資料代、会場費、講師の謝礼、交通費などを払っています。それから、養成されたサポーターを各啓発講座に派遣する費用としまして、68万いただいております。
サポーター、60歳以上と60歳以下ということでございますけれども、今回、養成講座で受けている人たちは、団塊の世代の男性が大変多く、社会貢献をしたいということで受けておる方も多くいますが、全体の180名の中になりますと、7割が60歳以上、3割が60歳以下かなということであります。高齢で七十幾つの方でも、啓発講座にたくさん出ておられる方もいらっしゃいます。

○河上委員長 上原課長、お願いします。

○埼玉県上原満県民生活部消費生活課長 山口委員の御質問でございますが、正直、まだ私どものほうでは何ら準備をしてございません。私にもイメージしづらいところがございます。この法律の20条2号の一の中で、「構成員相互の情報の交換及び調整」ということが記述されておりますが、先ほど申し上げたような都道府県と市町村の違いもあろうかと思います。市町村であれば、恐らくここでの情報というのは、あそこのおばあちゃんが困っているというのに近い情報も入るのではないか。現場感覚としてはそんな感じを持っています。都道府県の場合、その情報が何なのかというときに、例えば民生委員協議会ですとか、さまざまな、市町村を中心として活動されている方の上部団体である県レベルの組織の代表の方をお集めして、何らかの打ち合わせ、会議等をすることにおいてどういったメリットがあるのか、というところの頭の中の整理がまだついていないという状況でございます。

○山口委員長代理 この母体になるような組織が既にあるというわけではないのですね。これからゼロからスタートしようかというところですか。

○埼玉県上原満県民生活部消費生活課長 例えば高齢者に関しましては、埼玉県の場合は、要援護高齢者支援ネットワークというものを高齢者福祉課が事務局となってつくっております。これは平成17年に、御存じの方も多いかもしれませんが、埼玉県の富士見市というところで、高齢の姉妹がリフォームのひどい被害に遭ったことをきっかけとして、県庁組織の中につくってございます。この中には、見守りにかかわる、例えば新聞販売店なり、ガス協会さんなり、金融機関なり、そういう民間事業者の方や関係各課、当然、私ども消費生活課も消費生活支援センターも入っております。それは、高齢者という視点では母体になり得る部分ではございますが、この法律にあるような部分とはちょっと違うかもしれません。その会議の運営を見ていると、年2回会議をしてそれで終わっているというふうなことでございますので、本当に必要な部分をどのようにするかという視点から、もう一回、そういったことの論点を整理しないといけないのではないかと思っています。

○河上委員長 ほかにはいかがでしょうか。
吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 御説明、ありがとうございました。
最初に、上原さんにお伺いしたいと思いますけれども、消費者教育推進法ができまして、今までの取組みに加えてさらに充実したものを求められている状況にあるかと思います。県として、県内全体の消費者教育を包括的に進めていくというお立場と、県が自ら消費者教育・啓発を推進していくというお立場で、人的・予算的な課題があるのではないかと思います。また,問題意識として持っていらっしゃるところを教えていただきたいと思います。
もう一つは、市町村の役割も相当大きいものになっていくと思いますが、先ほど、地域連携消費者教育の推進ということで御説明をいただきましたけれども、県のお立場として、市町村における消費者教育を進める上で、人的・予算的な課題としてどのようことを感じていらっしゃるのか、お話をいただければと思います。

○埼玉県上原満県民生活部消費生活課長 非常に状況は厳しく、ヒト、カネの話は余りしないようにしているのですけれども、特に人に関しましては、どこの自治体もそうですけれども、埼玉県はもう20年、行財政改革をしております。埼玉県の職員、知事部局の定数に関しても、1万人ほどいたものが7,000人ほどになっておりますので、増えるということはあり得ない。私がこう言うとおかしな話ですけれども、ただ減らされるだけという状況でございますので、その部分に関して何か抜本的な解決策をというのは、今の地方自治体の状況からすると相当厳しい状態にあるのではないか。それを与えられた要件として、我々は自分の仕事をしなければいけない状況にあるということだと思っております。
予算に関しましては、おかげさまをもちまして消費者行政活性化基金が非常に効いております。これを引き継ぐ制度として、新たな交付金制度をつくっていただきましたので、これは非常に高く評価できるものと思っておりますが、県の財政状況はそれを許さざる状況にございますので、この法律ができたからといって財政的な支援が直接あるわけではございません。新しい交付金事業をいかに活用して、周りを納得させながら事業を推進していかなければいけない立場だというふうに考えております。

○吉田委員 今の点に関して、もう一つだけ御質問したいのですが、先ほど役割分担というお話がありました。今まで、官中心に主導的に消費者教育・啓発がなされていたと感じられましたけれども、役割分担の中で、公のヒトもカネも小さくなっていく現状の中で、民間の団体とか、企業とか、そういったものを活用した役割分担というお考えも何かございますでしょうか。

○埼玉県上原満県民生活部消費生活課長 当然、それが期待できるものでございまして、徐々に取組みを始めている状況でございます。先ほどちょっと言い忘れましたけれども、市町村もそれなりに厳しい状況にございますので、やはりいろいろな主体との連携なり協力が大事だと思っております。
問題は、連携なり協力をお願いするときに、県からお金が出しづらいという状況がございます。頭を下げてお願いすることはいくらでもお願いするのですが、それの効果と言いましょうか、どのくらいできるかということに関しては、やはり一定の限界があるなと思っております。

○吉田委員 もう一点、今度は長谷川さんにお伺いしたいのですけれども、今の役割分担のところにも関係しますが、長谷川さんのところでは、県から事業を受託する形で教育・啓発を推進されている立場から、官と民との役割分担について、お金の面も大変だというお話がありましたけれども、そのほか、課題と感じていらっしゃるところを伺えないかと思います。

○新潟県消費者協会長谷川かよ子会長 やはり財政が厳しいと。事業の委託はできても、そこに伴う人件費がほとんどつかないということになりますと、私どもは運営していくだけでも、仕事には人が要るものですから、人に対するお金がなかなか出にくい。その点が非常に厳しいところかなと思いますと同時に、事務局自体を、活性化基金をいただくことによって、1人、正規の職員がおりまして、2人パートで3人体制でやっておりましたが、活性化基金が終わりますと、1人がやっと。事務局を維持していくことが非常に厳しい状況に直面しております。
そういう意味で、事務局の維持費とか人件費といったものが、いわゆる消費者団体は全国にもたくさんありますけれども、私たちが思っているのは、ピンポイントとして、いろいろなNPOさんがありますし、一つの分野についてやっているところも多いのですが、私どもは消費生活全体をやっている。そういう意味では非常に信頼をされているというか、県の中では、消費者協会さんであれば中立・公正という認識も持っていただいているので、是非なくしたくないと思っております。

○河上委員長 細川委員、どうぞ。

○細川委員 消費者教育推進法ができて、まだ施行はされていませんけれども、もう少しで施行になります。ただ、中身を読んでみると、自治体の役割が重要だと思います。特に地方の消費者教育推進協議会、先ほど御質問もありましたけれども、こういうものをうまくつくり、人もお金もつけ、教育行政にも理解を求めなければならないわけです。ところが、これは国の法律ですので、地方自治体に対してはいわゆる努力規定になっているわけです。この努力規定をいかに生かしていくかというところがポイントですけれども、聞くところによると、こういう法律ができたからといって、はい、そうですかといって自治体が動くとは思えない、そういう意見もあるわけです。そういう意味でお二人にお聞きしたいと思います。
一つは、例えば埼玉県、行政マンを長年おやりだと思いますけれども、こういうものが本当に実効性を確保するためには何が必要だとお考えなのか。選挙を通じた住民の意思、それもそうでしょうか。やはり首長、知事の理解が必要なのか、議員の理解が必要なのか。あるいは、教育委員会というのは消費者行政から働きかけても動かないから、文科省の通達とかそういうものが大きいとか、その辺のアイデアというか、お考えをお聞きしたいと思います。
新潟県のほうは、消費者団体から考えてみて、この法律ができて、努力規定はうたわれているけれども、それで県が腰を上げるためには何が必要かというふうにお感じなのか。お二人に、感覚的なことで結構ですので、お聞きしたいと思います。

○河上委員長 お願いします。

○埼玉県上原満県民生活部消費生活課長 感覚的なことというお話でございまして、ちょっと言いづらいところはあるかもしれませんが、要は、この法律の推進力がどこにあるのかというお話になろうかと思います。正直なところ、自治体はこの法律の制定に直接かかわっていないというのがございますので、今、細川委員からお話のあったような意見は、そこから出てきているのではなかろうかと思っております。私が先ほど説明した今までの取組みというのは、例えば埼玉県の消費生活課長の立場であれば、基本的には消費者被害をいかに防止するか、少なくするかということが、自分の仕事だと思っています。その仕事を行うために、相談と啓発、あと、埼玉県は事業者指導を一生懸命やっていますけれども、それをどうやって有機的につなぎ合わせて、いろいろな仕組み、取組みをしていこうかということを常に考えている立場でございます。
啓発というのは、あくまでもその一部分というとらえ方をしてしまうと失礼なのかもしれませんが、例えば啓発という部分だけで何か計画をつくるといったときに、相談もある、事業者指導もある、その成果をどうやってお伝えするかという頭の構造にどうしてもなりますので、そのときに、自分の意識として何が大事かという順番づけが出てくるというところはございます。例えば、先ほど御質問のあったような地域協議会なり、計画づくりみたいなものに取り組むときに、県内の他の自治体である市町村の感覚なり、ふだんからおつき合いいただいている消費者団体のお考えなり、その辺の考え方なり感覚がどのように出てくるか、教育委員会も含めて。そういったところは私どもは、正直なところ、きちんと見通した上でないとなかなかやりづらいところはあると思います。

○新潟県消費者協会長谷川かよ子会長 消費者行政課というのが係から課に昇進したということで、その意味では、私たちとの関係が顔の見える関係になってきたと思います。それがまた、各市町村にも働きかけが明確になってきたということは言えると思います。
ただ、消費生活センターが設置されている市町村と、相談員さんだけがいるところと、また、相談員もいないというところもたくさんありまして、それを広げていくということが一つ大きな課題ですし、そこと私たち、各市町村に19ありますけれども、その協会が連携を取れるようになっていくことが、私たちにとっては非常に大事なことです。
予算をつけていただくかどうかというのは、担当の方たちが、こんなにたくさん大変な被害が出ているというところに対する危機意識というものをどのように持っておられるかによって、後回しにされないでできるだけ取り組んでいただくと。この推進法ができたことも一つの大きなきっかけですし、消費者庁ができたことも一つの大きなきっかけです。消費者教育というのは、小学校、中学校、高校の中では、どちらかというと後ろのほうに回されてきた感じがあるのではないか。私も教育職におりましたので、そういう意味ではこの機会に、行政を担当する長の人たちが危機意識を持って、やろうではないかと言ってくださるのを待っています。それは、私たちのやっていることをPRしていくとか、情報を共有していくというのも必要だと思っています。ちょっと答えにならないかもしれません。

○細川委員 上原課長に質問したいのですけれども、消費者教育推進法をつくるに当たっては自治体は関与していなかったというお話がありました。まさにそうだと思いますけれども、逆に言うと、関与する形で国の法律をつくるシステムというのはありますか。私は逆にそこに注目していて、例えばアメリカでは、州政府が1州当たり2人ずつ出して州法委員会というのをつくって、統一州法というのをつくっています。モデル法をつくって、それを持ち帰って各州が法律をつくる。そういう活動を、一回、私は実際そこに訪問して見たことがあるものですから、もう少し国と自治体が協力して、例えば消費者教育の推進というところで議論をして法律をつくる。そして条例もつくるみたいな、そういうことがあったらいいなと思っていたものですから、今の御発言に私は関心を持ったのですけれども、自治体と国が協力して立法するみたいな、そういう分野というのはありますか。

○埼玉県上原満県民生活部消費生活課長 本当に協力しているかどうかはわかりませんけれども、例えば私どもが通常仕事をしております、特定商取引法なり景表法なりの運用等については、消費者庁とその運用なり法改正について意見を聞かれたり、やり取りというのは通常ありますし、それはどの行政分野でも、国のそれぞれの所管官庁と都道府県なり市町村とは一定のコミュニケーションはできていると思っております。
それ以外にも、最近では例の地方主権一括法との関連の中で、埼玉県でも、特区でハローワークを知事の主導で県内にいただいたりという取組みをしております。今は昔と違って、国と地方の関係も、そういった部分ではオープンな議論が可能な仕組みがいろいろできてきているという認識は持っております。

○河上委員長 私からも少しお聞きしたいのですけれども、埼玉県の場合は、例えば教育委員会や学校との連携のような作業というのは、先ほど、教職員の方のセミナーを開催されているというのは拝聴いたしましたが、組織立って、例えば教育委員会や学校関係とタイアップしてやろうというような動きはありますか。

○埼玉県上原満県民生活部消費生活課長 済みません。説明を漏らしたかと思いますが、消費者教育連携会議というのが、私ども消費生活課、消費生活支援センターと、教育委員会の関係する3つの課、それから、私学を所管する学事課の職員で毎年2回ほど会議をして、お互いの業務のすり合わせのようなことをさせていただいております。
ただ、私ども消費者行政サイドが教育委員会等に呼びかけて、この会議の設定をお願いしたという経過がありまして、例えばセミナーの開催について、せっかく開催したのになかなか集まっていただけない。日によって、定員30人のところを10名程度しか参加しない日もありますので、どうやったらもっと参加できるようにできますかというテーマもここで話題になるのですが、そもそも、県内の小・中学校の現場に私どもが作成したこのパンフレットが行き渡らない。行き渡るにはどうしたらいいかということを、2年も議論しているぐらいです。先生は忙しいですし、校長先生の許可がないといけないですとか、いろいろな状況がございます。
県としますと、学習指導要領の中に、やらなければいけないというものは当然義務づけられているわけですし、お話を伺うと、先生にもなかなかノウハウがないというお話があって、このセミナーを実施している。にもかかわらず満員にならない。それどころか、このセミナーの存在すら知らない先生方が多い。それをお伝えするにはどうしたらいいかということで、この会議がなかなかうまく進まないという現状にありますので、それから先の話になりますと、なおさらハードルは高いだろうということはわかっていただけるかと思います。

○河上委員長 子供達の将来を考えれば、むしろ向こうから頼みに来ないといけない。

○埼玉県上原満県民生活部消費生活課長 私どもの立場からしますと、おかげさまで都道府県といいますのは、消費生活相談情報、政令市の問題はありますが、すべてPIO-NET情報は国センに渡す前に来る状況にございますし、事業者指導を一生懸命しておりますと、悪質事業者の手口もいろいろわかってまいります。お伝えしなければいけない情報はある程度持っているのではないかという認識はございますので、それをソフトとしてどうやって生かすか。ですから、来年度も、いろいろな資料なり、つくったものをどうやって教育委員会の現場に流し込んでいくかというところを、我々が考えているわけです。

○河上委員長 PTAとも今のところは結びついていないのですね。

○埼玉県上原満県民生活部消費生活課長 私どもは直接にはお話をしてございません。一部、分野は違いますが、青少年健全育成条例の中でフィルタリング規制をしてございますので、ネットアドバイザーという制度を青少年行政のほうで持っております。そのネットアドバイザーの研修の講師は消費生活相談員が行っているという関係にもございますので、一定のかかわりは持ってございます。

○河上委員長 長谷川会長にも伺いたいのですけれども、実際に会を運営するのに、資金的なところが大変だというのは私もいろいろなところから聞きますが、会そのもので収益事業といいますか、少しお金を稼ぐことは考えないのですか。そもそもやってはいけないという認識なのですか。

○新潟県消費者協会長谷川かよ子会長 私どもは、非営利ですので、そういう意味では、設立当初会員も結構いましたけれども、だんだん高齢化しているのと、会員の減少と。いくらか各地域で差はありまして、入ってくださる方もおられますけれども、実際には80を過ぎますとやめていくといったような形で、要するに会員数が減ると財源が減るということになります。2分の1の補助を県からいただくためには、私たちの持ち金がないともらえないということがあります。
先ほどお話ししました消費生活サポーターの方々が、割合と会員になっていただいて、各地域の中で理事やリーダーになっていただいているので、そこは私たちは非常に心強く思っていますけれども、全体とすれば会員が減少している。賛助会員のところにお願いに行ったり、財源を少しでも増やすための努力を地道ながらやっていますけれども、なかなか厳しいというのが現状であります。

○河上委員長 寄付に頼るのではなく、例えば、実際どこかへ行って寸劇をしたら、実費ぐらいはいただくとか、何かの形で対価を取ることは、これは別に公益法人であってもやって悪いことではないと思いますけれども、そういうことはしないのですか。

○新潟県消費者協会長谷川かよ子会長 実際にはサポーターの人が派遣されるときには、一応その人たちの、グループだったらグループの人たちには補助をいたします。交通費とか、小道具をつくるとか、会場を借りて練習をするというものに、微々たるものですけれども、補助はしております。

○河上委員長 でも、基本は自前ですね。

○新潟県消費者協会長谷川かよ子会長 そうですね。自前というのは、それに対するサポーターの活動資金としては、ということです。派遣事業としては予算をつけていただいております。

○河上委員長 例えば、視聴者の方が50円でも払うとか。

○新潟県消費者協会長谷川かよ子会長 そういうのはありません。

○河上委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 消費者教育推進法の先ほど来問題にしている20条ですけれども、消費者教育推進地域協議会をつくるように努めなければならないとなっています。今の予定では、来年早々には消費者教育推進会議が消費者庁のもとにつくられて、地域協議会はどういうふうにつくったらいいかということのモデル案がつくられて、それが例えば夏辺りに示されて、各自治体で地域協議会をつくってくださいということになるだろうと思います。ただ、あてがいぶちに枠組がつくられて、各地でつくってちょうだいといってもなかなかうまくいかないと思いますが、どういう点に工夫したらうまくいきそうなのか。思いつきでもいいので、現場感覚でお二人からお聞かせいただければと思います。

○埼玉県上原満県民生活部消費生活課長 正直、まだ思いつかない部分が多うございまして、逆に実務者といたしますと、既存の同様の仕組み、例えば知事の附属機関である消費生活審議会との関係をどうするかとか、そういうものがどうしても先に気になってしまいます。重複してはしょうがありませんし、要援護高齢者支援ネットワークというような少しやわらかい組織もありますので、その辺とのすみ分けをどうしたらいいのかというのが、どうしても先に来てしまうというのが正直なところでございます。

○新潟県消費者協会長谷川かよ子会長 私のところも消費生活審議会というのがありまして、私もその委員としてやっていますけれども、新しい仕組みをつくっていくためにはそれなりの準備も必要ですし、今、考えているところでは、私たちの消費生活ネットワーク新潟を核として、各地区にそういった仕組みづくりがなされていくと、連携もできますし、また、消費者教育とも結びついていくのではないかと思っております。
それから、消費生活センターでは、私のところではありませんけれども、高校生向けに副読本とかテキストをつくって全学校に配布する、そういう動きは出てきております。

○河上委員長 夏目委員、どうぞ。

○夏目委員 今、埼玉県の熱心をお取組みの話を聞いていて、20条の山口委員が質問した関係でございますけれども、新しい法律のもとに地域協議会ができる。義務ではないですね。つくってくださいという要望の法律ですけれども、それぞれお話しされたように、高齢者には高齢者を支えるネットワークがある。例えば青少年のためには、フィルタリングをつけるような仕組みがある。例えば彩の国くらしプラザは、金融教育、悪質商法に特化した施設もある。
そうすると、個別にあるものをうまくまとめないと、地域協議会というのは機能しないのではないかという話を少し考えながら、でも、それは至難な技かなと片方では思っていたのですけれども、一つには、仕組みができて人を集めたとしても、そこに財源をつけないと実際の教育は動いていかないだろうと考えています。財源の話が何も出てこないということと、活性化基金活用事業を行ってとてもすばらしいお取組みをなさっているにもかかわらず、新しい手法というのは投資対効果の判定が非常に困難で、継続が難しい。続く財源がないというお話もここでされましたので、新しい法律のもとで仕組みをつくり、人を集めても、そこを動かす財源をどういうふうに確保していくかというのはとても重要かと思います。そういう財源の確保は、もちろん地方で頑張ってもらわなくてはいけない部分もありますが、国の活性化基金、例えば40億という数字が今、動いているわけですけれども、国の財源の後押しについてはどんなふうにお考えでしょうか。とても大事かなと思います。

○埼玉県上原満県民生活部消費生活課長 非常に心強い国からの支援が、新しい交付金の制度ができたと思っております。新潟県消費者協会の長谷川様からもお話がありましたが、基本的に2分の1という問題はありますが、それはそれとして、それなりの自分たちの自治体の努力の中で取り組まなければいけない範囲だと思っています。そうは言っても、一般財源で毎年マイナス何%のシーリングということで財源は切られています。私どものトータルで考えますと、何よりもまず、相談員さんないしマンパワーの確保が一番という前提をもって、今、いろいろ予算等を組んでいる段階でございます。その辺の問題もございます。
法律ができたからといって特定の財源があるわけではありませんので、先ほど、吉田委員等からも温かいお言葉をいただきましたけれども、要は消費者行政がどれだけ大事なものかということをそれぞれの職域のレベルで主張していかないと、なかなか施策も出てきませんし、今、夏目委員からお話のありましたように、トータルにまとめていきなり協議会で物事がうまくいくというのはやはり相当に難しい。限られた財源を使いながら、それぞれの役割を果たす方向にどうやって持っていくかという議論のほうが、むしろ必要なのではないかと考えているところでございます。

○河上委員長 よろしゅうございましょうか。
きょうは、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
消費者教育・啓発については、これまでも、地方自治体、消費者団体をはじめとする民間の団体において活動が続けられてきているところですけれども、その取組み状況というのは、地域間格差がかなりあるというのが実情であります。本日は、先導的な取組みをされている2団体に事例の紹介をいただきました。それぞれ御苦労をされているということですけれども、それでもこれだけ先導的な取組みをしている。これだけ高いレベルでの消費者教育・啓発活動が行われているというのは示唆的であります。今後、全国で、質の高い消費者教育や啓発を受ける機会を充実させていくに当たっては、その活動を担います講師の育成であるとか、学校職員の研修の機会もしっかりと充実させていくことが重要であると痛感いたしました。
消費者教育推進法の成立を契機といたしまして、国と地方自治体、消費者団体、教育関係者、福祉関係者、弁護士会、これまで消費者教育・啓発に取り組んできた方々が蓄積したノウハウ、あるいは知恵を結集して、互いに連携しつつ、全国的に広く展開していかないといけない段階に入っているのだろうと思います。ただ、実際にそれを支えるだけのインセンティブを引き出すものがないということでして、特に地方自治体の現場での意気込みに頼っているようなところもあります。
消費者委員会としましては、消費者教育推進会議の発足に先駆けて、国としてやれること、自治体としてやれること、民間の団体の側でもやれることといったことを整理しながら、どういう形で推進会議を、単なる容れ物としてだけではなく、実際にそれが活動できるような仕組みになるべきか、という辺りの意見を取りまとめていきたいと考えております。きょうのおふた方の御意見についても、大いに参考にさせていただきたいと思います。
本日は、埼玉県消費生活課、新潟県消費者協会におかれましては、お忙しい中、審議に御協力いただきまして、まことにありがとうございました。

≪4.その他≫

○河上委員長 大分時間が経過しておりますが、最後に「その他」として、消費者契約法に関する調査作業チームの第10回会合を10月29日に開催いたしましたので、その議事内容のポイントをまとめた議事要旨について、簡単に御報告させていただきます。資料4でございます。
10月29日は、約款規制との関係ということで少し論点の整理を行わせていただきました。御承知のように「約款」というのは、印刷された小さい文字でよく書かれている定型的な契約条件のことですけれども、消費者が行う契約のほとんどのものが、約款を使って行われています。もっとも、これまでの消費者契約法の議論は、約款なのか、それとも約款ではないのかというその区別を問題にしないで、あらゆる合意について消費者契約であれば介入するという議論をしてきたわけです。
他方、約款の場合は、当事者の意思がほとんど及ばないで契約条件になっているという意味では、若干、通常の合意よりは異なった性質がございます。約款だから介入するというのは、消費者契約だけではなく、商人間契約でも同じような問題があるのですが、ただ、消費者約款の場合には余計問題が大きいということがあるので、こういうアプローチを消費者契約法の中にもあらためて導入するかという辺りが、議論の対象となりました。
もし入れるとしましたら、約款が消費者契約の中に組み込まれるときの採用要件として、どの程度の開示が要るかという問題とか、開示をしたからといって内容をちゃんと認識できるわけではございませんので、その中に異常な取引慣行の条項が入っていたら、その部分は、最初から「不意打ち条項」として排除することが必要ではないかといった問題。それから、約款の場合は、どちらかというと付随的な契約条件に限って介入することが主たる内容になりますけれども、多くの問題は、対価に関連するような部分でも消費者問題が起きていますので、対価的な意味を持つ中間的条項といいますか、契約の中心となるようなものは確かに当事者の意思が必要ですが、全く付随的な条項ではなく、価格に関連した中間的な条項に対しても、規律を組み合わせていく必要があるのではないかという辺りの議論が行われました。
さらに、約款に関して不明確な内容があった場合、その内容の不明確さが不当性とリンクした形で評価されることにはならないだろうかというような、約款の明確性の位置づけの話。さらには、「不明確準則」と申しますけれども、約款中に不明確な条項があった場合には、その不明確さはむしろ約款を提示している事業者側の不利に解釈されるという、「作成者不利の原則」がございます。そうした不明確条項の解釈準則についても導入する必要があるのではないか、という辺りの議論をしております。
最後の約款条項の解釈についても、幾つか個別の合意とは異なる約款特有の解釈準則を、どの程度まで導入すべきかといった辺りの議論が整理された形でここに出ております。今後、さらに深掘りをした形で議論をさせていただこうと思っております。
これは、御報告ということでございます。
本日の用意いたしました議題は、以上であります。

≪5.閉会≫

○河上委員長 最後に、事務局から、今後の予定等について、説明をお願いできればと思います。

○原事務局長 次回の委員会は、12月4日(火曜日)16時からを予定しております。
議題につきましては、「消費者基本計画の検証・評価・監視について」を予定しておりまして、12月の消費者委員会は12月4日以降、毎週火曜日、12月25日まで4回ですけれども、消費者基本計画の検証・評価・監視の作業をしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
それから、皆様のお手元に、今週の土曜日ですけれども、12月1日に第6回の地方消費者委員会を大分で開催いたします。テーマは「高齢者の消費者被害の防止」ということで、消費者庁の方にも御参画いただいて実施していきたいと思っております。
事務局からは以上です。

○河上委員長 それでは、これで閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)