第10回 成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ 議事録

日時

2016年12月6日(火)10:00から11:55

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
樋口座長、河上委員長、大森委員
【オブザーバー】
後藤専門委員
【説明者】
山本国際コンサルタンツ山本代表
悪徳商法被害者対策委員会 堺会長
【消費者庁】
福岡審議官、河内消費者政策課長
【事務局】
黒木事務局長、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 有識者からのヒアリング
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官  それでは、時間になりましたので、会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は、皆様、お忙しいところお集まりいただきありがとうございます。

ただいまから「成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ」第10回会合を開催いたします。

本日は所用によりまして、池本座長代理、増田委員が御欠席との連絡をいただいております。

議事に入ります前に配布資料の確認をさせていただきます。

お配りさせていただいております資料につきましては、議事次第下部に配布資料一覧を記載しております。不足の資料がございましたら、事務局までお申し出いただきますよう、よろしくお願いいたします。

それでは、樋口座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.有識者からのヒアリング≫

(1)山本国際コンサルタンツ山本代表

○樋口座長  それでは、早速、本日の議事に入らせていただきます。

本日は、新たに成年となる者の消費者被害の防止救済のための対応策を検討するために、参考人として、山本国際コンサルタンツ代表の山本正行様、悪徳商法被害者対策委員会会長、元信州大学客員教授の堺次夫様、以上2名の方に御出席いただいております。

まず、山本様から御報告いただきますが、山本様の御専門分野はクレジットカード、電子マネー、EC、モバイルペイメント、モバイルマネーなどの電子決済ビジネス全般等で、主に電子決済に関連する事業を専門とするコンサルタントをされている傍ら、関東学院大学の講師や、一般社団法人電波産業会高度無線通信研究委員会の特別委員などを務められております。また、電子決済が絡む消費者問題の解決の支援として、全国の消費生活センター相談員、行政書士、弁護士、司法書士などに向けて、クレジットカード、電子マネーなどの決済サービスに関するセミナーを実施するなど、教育活動にも取り組まれております。

本日は「若年層向けクレジット等決済サービスについて」お話しいただきたいと思います。

それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

○山本国際コンサルタンツ山本代表  御紹介ありがとうございます。山本国際コンサルタンツの山本でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

20分ぐらいのお時間を説明に頂戴しておりますので、お手元の資料1、大きくカラーで印刷しているものに沿ってまず御説明をさせていただきまして、その後、質疑応答とさせていただきたいと思っております。

まず、本日のタイトルにございますように、若年層向けクレジット等決済サービス、つまり、「等」とクレジットだけではないというところは、今日特に御説明をしたい重要なポイントの一つでございまして、支払手段、キャッシュレス等と言葉はいろいろありますが、現金ではない何らかの方法で支払を行うような手段が多様化しているということでございます。

資料に沿って御説明を進めていきたいと思いますが、まずめくっていただきますと、本資料の内容、1番から6番まで、この内容に沿って御説明をしていきたいと思っております。

最初に御説明いたしますページは、「1.若年層のキャッシュレス決済サービス利用傾向」、右側の少し色が薄いスライドの番号ですと3番と、食い違って申し訳ございませんが、1枚めくったところから御説明をしていきたいと思います。

この表は、ある意味、割と雑に整理してあって恐縮でございますが、2000年頃までと現在、その間、もちろん経緯はあるのですが、2000年以前と今をざっと比較すると、こういう傾向であるという表現をした表でございます。属性として高校生、大学生、若年就労者や一般就労者に分かれると思いますが、年齢層としては、高校生は16歳からですが、大学生以上というのが従来はクレジットカードの対象となり得る年齢であったということでございます。

正確に2000年というわけでは必ずしもないのですが、特に2000年頃以前というのは、支払手段、キャッシュレスの手段が余り多様化しておらず、一般的にはクレジットカードが唯一の方法だったわけです。もちろん細かく申し上げますと、コンビニで払うような方法も存在はしておりましたが、やはりキャッシュレスの支払手段と呼べるものは、クレジットカードが唯一のものと言ってよかったのではないかと思うのです。当然、高校生などの若年層というか未成年は、そういったものを持つことができませんので、一般的には大学生以上が持てる場合にはクレジットカードを持っている。

特に大学生が対象のものなのですけれども、かなり前からクレジットカード会社は、学生向けカードなどと称して、特に若年層といいますか、未成年に該当するところは18、19歳ですけれども、そこを対象に発行しておりました。これは2000年の時点で既にそういったカードはかなり存在しておりました。ただ、クレジット以外には余りなかったというのが2000年以前の状態だと。

それに対比的に現状を見てみますと、一つ大きな変化がございます。その一番大きな変化は、ここでの表現の言葉で申し上げますと、交通系を含む電子マネー、違う言い方をしますとプリペイド方式とも言えますが、この利用が非常に浸透したということなのです。これは世代を問わず、恐らく皆様もかなり利用されているのではないかとお察しいたしますけれども、二つの傾向がありまして、若年層が関東や関西などの都市圏であれば早い時期から交通機関に乗車するために交通系の電子マネーを使うということから始まり、そればかりでなく、後で御説明いたしますが、スマートフォンの普及というのが特に若年層に浸透が非常に進んでいるのですけれども、スマートフォンの一つの使い方で、いわゆる課金アイテム、高額までは至らないまでも、多少なりとも何かお金を支払うとできるサービスがたくさんあるわけで、そういったものを比較的若年層の頃から使う傾向が表れています。そういうときにどういう支払手段を用いるかといいますと、交通系を含む電子マネー、下に注釈を書いておりますが、いろいろな種類があります。Suica、PASMOなどの乗車券や、nanaco、WAON、楽天EdyなどのICカード型電子マネー、それに加えてiTunesギフト、Google Playギフト、ウェブマネー、ビットキャッシュなどのサーバー型電子マネー、ちょっと幅広く対象を含んでおりますけれども、こんな中でも若年層がスマートフォンを使うときに、iTunesギフト、Google Playギフトなどの、これはコンビニで購入できるサーバー型電子マネーと呼ばれる支払手段なのですが、それをかなり積極的に使う傾向が表れているのです。

もちろん若年層というのはクレジットカードを一般的には持てませんので、そういう支払手段でまず何かに課金したりして遊ぶということから始まって、大学生になって知識、知恵がついてきますと、やはりクレジットカードというものを持つともう少し便利だという知識もついてくる。それにしたがって、クレジットカードを持つ。プリペイドから入って、後でクレジットカードを持つというような傾向が近年といいますか、現在の明らかな傾向でございます。

めくっていただきまして、薄い字ですと4番と書いてあって、「2.大学生のキャッシュレス決済サービスの利用(保有)傾向」という二つのチャートをお示ししています。

左側がクレジットカードの保有率でございます。右側が交通系を含む電子マネー、言葉をかえますとプリペイドの利用者。利用と保有と分けてあるのは、クレジットカードというのは保有していても使っていないこともかなりあるので、まず保有という表現にしている。交通系を含む電子マネーは、保有だけというのはあり得ないので、利用というふうに表現しているのです。

左側、クレジットカードの保有率。まず、データは割と狭い範囲で恐縮でございますが、私が大学で教えております大学生に2008年以降、毎年アンケートをとっておりまして、その回答の集計からまとめたものでございます。クレジットカードの保有率は、年によって幅がありますけれども、20から60%です。それに対してプリペイド、交通系を含む電子マネーの利用者は、少なくても80%で、多い年ですと全員がそれを実際に利用しているというアンケート結果が出ております。

ただ、もちろんこれは特に交通乗車券も含めますので、通学にも使っているとか環境面の問題はあるかと思います。このサンプルとなり得る学生の方々は、私が教えます関東学院大学という横浜市の学生なのですね。ですから、当然、交通機関はそういう乗車券も使えますので、まずそれを持っているという学生が一番多かったのです。ただ、冒頭にも申し上げましたとおり、次に御説明するのですが、スマホ利用者のほとんどが実はiTunesあるいはGoogle Playというギフトカードを使って支払っているという、このチャートには表れていないのですが、そういうことも分かっております。

次のスライドは、「3.スマホでの有料コンテンツ/サービス利用時の決済手段」というところですが、ぱっと見て理解しにくいかもしれませんが、何をここで御説明したいかといいますと、幾つかあるのですが、まずはやはりスマホだということなのです。これは大学生、先ほどと同じ対象に当たる私の講義を受講してくれている学生を対象としたアンケート結果ですけれども、一つ明確なことは、2015年からこのアンケートを始めたというか、アンケートはずっとしているのですが、項目としてスマホ利用の動向をとり始めたのが2015年からなのです。

2015年と2016年、どちらも共通しまして、いわゆる従来型のフィーチャーフォン、俗称ガラケーと呼ばれている携帯電話を使っている学生は1人ずつ、場合によってはいないということも十分あり得るだろうなと思っております。比率で見れば、今年度は99%がスマホを使っている、昨年度、2015年は97%がスマホを使っていたということです。

この表なのですが、まず、iPhoneかiPhone以外か。iPhone以外というのは、よく言われるのがアンドロイドという方式がそのほとんどに当たるものですから、iPhoneまたはアンドロイドと読みかえてもよろしいかと思うのですけれども、その利用者数と比率でございまして、さらに下に三つあるいは四つに区切って数字が入れてありますところが、どういう支払手段を使っていますかと聞いているアンケートに対する答えなのです。数なのですけれども、クレジットカードは何人、iTunesギフトは何人、不明または不特定なのはその他というような見方です。

細かい御説明はともかくとしまして、特に私が注目してその点を御説明したいポイントは、まず、ほとんどの学生がスマホを使っているということと、もう一つは、iPhoneの利用率が非常に高いということ。もう一つ重要な点が、その中で、実はクレジットカードよりもiTunesギフトあるいはGoogle Playギフトを利用している学生のほうが数にすると明らかに多いという点でございます。特に2016年で見ますと、iPhone利用者74人のうち40人がiTunesギフトを使ってサービスを受けたり、課金のアイテムを購入したりしている。iPhone以外では、アンドロイドと呼ばれる方式のスマートフォンであれば、サンプルが少ないかもしれませんが、16人中10人がGoogle Playギフトを使っているということです。当然、iTunesギフトとGoogle Playギフトというのは、コンビニに行って現金で証票を購入して、その番号をスマートフォンに打ち込んで使うという、一般的に言いますと成人といいますか社会人、我々の世代といいますか、皆様も含めてここにいらっしゃる方のほとんどは、その方法はとらずにクレジットカードの番号を入れて支払うということが一般的だと思うのですけれども、それが大学生までの世代は極端に方法が違うということなのですね。

もう一つ、クレジットカードのところに関する補足がございまして、従来は、アンケートのとり方としてはクレジットカードというふうに聞いてはおりますけれども、これはもう少し具体的に言いますと、例えばVISA、マスターカード、JCBなどのブランドのついたカードを使っているという意味なのですね。そのブランドマークがついたカード、それをこれまではクレカと呼んでおりましたけれども、学生に実際に聞いてみますと、全員がクレジットカードの方式ではなくて、今、実はVISAやマスターカード、JCBなどのブランドがついていても、その支払方式がプリペイド方式になっているものもあるのです。そういったものを使っている学生もいる。

さらに、デビット方式と言いまして、VISAやマスターカードがついて、見た目はクレジットカードなのですけれども、その支払が銀行口座から直接引き落とされる方式も、大学生はよくそれを知っているというレベルではありませんけれども、既にそれを使っている学生もいるという状態でございます。

少し雑駁に御説明してしまいましたけれども、要するに多いのはプリペイド方式のiTunesギフト、Google Playギフトを使う人が多いのですよということに加えて、VISAやマスターカードなどの従来のクレジットカードももちろん使う学生は多いですが、そんな中でも、クレジット方式に限らず、これは若年層に限らないかもしれませんけれども、プリペイド方式やデビット方式も選択肢に入ってきているということなのです。

これまでのページの御説明が全体的なお話なのですが、全体的なお話はここまでで、次のスライドから、めくっていただきまして「クレジットカードの与信方法(例示)」でございます。ここからは、クレジット方式、クレジットカードに限定して、現在のクレジットカード会社がどのように与信をしているのか、また、若年層向けも含めたカードというのはどのような発行形態なのかということを中心に御説明していきたいと思います。

まず、与信方法と書いておりますが、基本的には与信という考え方は、クレジットカード会社からすれば、当然、お店でカードの利用者がカードで払ったもの、その代金をクレジットカード会社は利用者に代わって立替え払いしているわけですので、利用者が支払えない、支払能力がない人がカードを使ってしまうと、これはカード会社の損害になってしまいますから、それを防ぐための一つの手段、そういう概念が根強くあると思うのです。

その前提としては、支払能力がこの人はあるのか、収入がある程度あるのか、そういうことを見ていくことが中心的なポイントになるわけです。

ただ、割賦販売法が平成21年に改正されたときから、法的義務づけが、特に過剰与信を防止するための項目が法規制に加わりまして、支払可能見込額の調査、これは申し込んだ人の収入を実際に調査して、そこから日常生活費などを差し引いた分から一定の計算式に基づいて、支払可能見込額という法律で定められた金額をあらかじめ調査しなければならないというふうに現在、法律が変わっております。そのために、個人信用情報をちゃんと照会して、そこに記録されている、例えば従来であれば、一つのクレジットカード会社は他社でどういうカードが発行されているかは当然分からなかったわけですけれども、少なくともこの個人信用情報の利用によって、既に他社で与信されている分が見えるようになっていて、その分を差し引いて、1枚ではなく複数枚、何枚持ったとしても一つのお財布というか、利用者の与信は最大限の与信、支払可能見込はそこで固定されるという概念に変わっておりますので、特にその点についてはカード会社も当然法令遵守の上で与信を行っております。

具体的には、このチャートの中央部分を御覧いただきたいのですけれども、まず前提としまして、これは未成年ということに対する固有のことはなくて、共通的なお話をしたいと思っておりますけれども、与信の概念として二つあるのです。一つは初期与信、これは最初にカードを持ちたいと思った人が申し込んだときに、その人にカードを発行してよいか、発行する場合に幾らの限度額にするか、つまり与信を決めるという最初に信用供与をする行為、概念が初期与信でございます。

次に、実際にカードを持った後で、その利用者が日常的に使う過程で、利用状況によって、たくさん使う人もいれば、余り使わない人もいるというような個人的な違いであったり、あるいはカードの会員が途中で転職をされた、職が変わった、収入が変わったとか、そういう属性が変化するようなこともございますので、それをクレジットカード会社はチェックしているのです。そして、適宜、例えばカードの限度額を変える、場合によっては下げる、上げる。あとは、当然、有効期限が到来したときに新しくカードを発行し直しますから、その際にそのカードの発行を停止しようか、あるいは発行しようかなどの判断をしているわけなのです。

それをやる手法としては二つありまして、多少専門的な話で恐縮でございますが、静的な途上与信と動的な途上与信とございまして、静的なほうは、特に利用属性、例えば会社員だった人が独立して個人事業になったとか、従来学生だった人が就職したとか、入金状況で場合によっては滞納してしまったことがある、なしとか、そういったことで、端的に申し上げますと、その人の利用属性がいいか悪いかランク付けをしていくような概念です。

それに対して動的というのは常時行っていることでして、特にモニタリングなどとよく言われておりますけれども、例えばすごく分かりやすくて、ただ余り現実的ではない例を申し上げますと、東京で使われた直後に札幌で同じカードが使われた場合は、どちらかは不正であると判断できますので、そういう判断を自動的にリアルタイムに即座にしていくような、そういった機能がこの途上与信の中に組み込まれております。

今日の議題でもございます未成年者固有という点に関しましては、全体としては、特別に固有ということはないのです。ただし、初期与信、具体的に申し上げますと申込み時なのですけれども、ここで必ず親の同意を得ている。これは例外なくカード会社が行っていることでございます。それに対して途上与信、一度申し込んだ後の利用は、基本的には年齢による区別はないのです。ただ、後で申し上げますが、要するに所得が高い人はたくさん使うし、収入の少ない人はそんなに使えないわけですから、そういう意味で、むしろ成人と未成年の区別というのは、未成年の場合はむしろ所得が低い、あるいは定収入がないけれども大学生という属性、そういう扱いで途上与信の仕組みの中に入ってくるということなのです。

特に初期与信のところに親の同意を得ているというのは、審査の過程で発生することなのですが、それを示しておりますのが、フローチャートを示した「5.クレジットカードの初期与信の方法例」でございます。

これは皆様もクレジットカードをお申込みの御経験があれば何となくお察しのつくところではないかと思うのですが、クレジットカードでは、利用申込みを受けて、まずそれをデータ化して、年齢に応じて未成年であれば親の同意が必要でありますので、申込書がそもそも未成年も対象にしているカードは違う書式になっておりまして、親の同意を得るような項目が必ずそこには書かれているとお考えいただければよろしいかと思います。

親の同意がある前提で、書式上は親の同意が得られているという条件をクリアできたか。クリアしていれば、そこから後は成年、未成年関係なく、法令に基づいて信用情報の調査、先ほど申し上げました割賦販売法に基づく与信を行い、あとはカード会社個別に行うこととしては、例えば在籍在宅の確認。会社勤めの人であれば、その会社に連絡を入れるということもかつてはやっておりまして、あとは住所、電話番号が記載されていればそこに電話をしてみて、実際に本人がいるのかどうかを確認するなどの方法は一般的にカード会社がよくとっている方法でして、それはもちろん、未成年、成年問わず行うということでございます。

ピンク色に上のほうに囲ったところで一般的な傾向、一般的というのも、まず例外なく共通的な点というのが2点ございます。一つは、必ず親の同意を得ているという点です。これを得ずに発行しているカードは、現状はまず私の認識する限り、ないと思っております。

次にもう一つ、これは自主的な規制とも言えると思うのですが、クレジットカード会社の中で18歳以上が発行の対象となるのが一般的なのですけれども、それでも高校生は対象外としている。これも恐らくという言い方が不正確で申し訳ございませんが、例外はないのではないかと私は考えております。

今、申し上げたのは、各カード会社の審査の初期与信の中でどのように親の同意をとっているか、あとはどのように審査をしているかということなのですが、もう少し理解を深めていただくために、めくっていただきまして最後の8番目、「6.年齢層に応じたクレジットカードサービスの設定(例示)」というスライドを御覧いただきたいと思います。

ぱっと見分かりにくいかもしれませんが、全てのカード会社がこうだということではありませんが、一般的な傾向として、例えばクレジットカード会社は、いろいろな種類のクレジットカードを発行するわけです。その一つの分類、類型として、最もよく使われる利用層の多いカードを一般カードだとすれば、それが中心的なカードになるのですけれども、それに加えて若年層向けカードというのを発行している。上のほうがそれでして、あと、下のほうにありますように、利用希望者に対しては上級カードという設定もございまして、これは分かりやすく言えばゴールドカードなどがそれに当たりますけれども、そういったものも若年層向けと一般向けに分けて発行しているというのが、かなり共通的な傾向でございます。

一般カードは、ほとんどの場合が20歳以上であること、職について一定の収入があることなどを条件にしているわけでございますけれども、18歳であっても職について収入がある方、あるいは大学生には、一般カードをそのまま発行せずに、若年層向けの分けたカード、カード会社によって様々な名称がつけられておりますが、最初に持つカードというイメージが持てるようなカード名にしていたり、あとは、明確に学生向けカードと言っているようなものもあります。名前は様々なのですけれども、いずれにしましても18歳から発行可能になっておりまして、18歳と19歳の申込みについては、先ほど申し上げました親の同意があるということです。

ただ、成年と若年層というのは微妙にかぶるところがございまして、特に大学生というのは18歳から21歳、22歳までですので、途中から成人になるわけですね。そうすると、若年層向けカードを申し込んでも、例えばそれが学生向けカードだったとしても、20歳の大学生が申し込むときは親の同意が不要になるということなのです。18、19歳であれば親の同意が必要、20歳を超えていれば必要ないという、そこは違いとして区別されるわけですけれども、まずその若年層カードを持った人は、当然それをずっと使い続けるという前提ではなくて、おおむね25歳前後までに一般カードに移行してもらうことをあっせんする。あっせんといいますか、手紙を出して、こういうカードに切りかえませんかというようなことを案内しているのが多いのです。その際に再審査を行って、当然、大学を卒業して職についていれば、就職先の情報などが審査のときにちゃんと申告されるので、それをもとに再審査、先ほどの初期与信のところからやり直して、それで審査を通れば一般カードの発行を行っております。

大体30歳を超えて若年層向けカードを持つというのは、まずないのではないかと思うのですけれども、ただ、何歳になったら自動的に切り替わるということがあるわけではなく、おおむね20代のどこかで切り替わるということでございます。

若年層でもどうしてもゴールドカードが欲しいと、そういうものを求める方には、ヤングゴールドなどと呼ばれるものがありますし、今度、ゴールドカードの場合は少し年齢層が高まって、平均しますと30歳以降で、年収も幾ら以上というような条件が加わった形で、条件を満たした人が持てるということになるのですけれども、ヤングゴールド、若年層向けの場合は少しそこの基準を下げていて、切りかえの再審査のときには当然、本来のゴールドの基準を満たしているかどうかを見るところもあれば、少しそこは若年のヤングゴールドを持っている人であれば、例えば収入が本来の基準に達していなくても、利用実績から判断してゴールドに切りかえてもいいのではないかなどの、そういった総合的な判断をするというのが、まさしく先ほど御説明しました初期与信の仕事でございまして、そういう形でカードを切り替えていくことを促しているということです。

あと、カードは1回持つと何年ぐらい同じカードが持てるかということですが、これは技術的な理由がありまして、特にIC型のものは5年以上の期間で発行することは技術的にできなくなっておりますので、最長5年。つまり、若年層向けカードを持ったとしても、18歳で持てば23歳以降もそれを持ち続けたくても、再審査なり切替えを必ず行わないと継続して持てないという、これは技術的な理由からそうなっておりまして、運用もそれに合わせて各カード会社が行っているという状態でございます。

私が御用意いたしました資料の御説明は以上でございます。ありがとうございました。

○樋口座長  御説明ありがとうございました。

ただいまの御説明を踏まえまして、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。

大森委員、お願いします。

○大森委員  いろいろ教えていただいて、ありがとうございます。

ちょっと若者のことで気になる点が幾つかありまして、先生の御意見をお聞かせいただきたいと思います。

まず1点目ですけれども、サーバー型電子マネーという新しい取引形態が出てきまして、従来だったらカードが手元にあるから、なくしてはいけないということにすごく神経を使うわけですけれども、サーバー型電子マネーの場合は、そこに書いている番号を誰か第三者に教えてしまうと、カードを持っていても、サーバー上でそのお金が管理されるものですから、全部盗られてしまうというような新しい事件が出てきています。それで、いろいろ世の中が急速に進展して、いろいろな新しい取引がどんどん出てくる場合、どうしても消費者教育というのが後追いになっていって、そういう新しい取引に敏感な若者を中心に被害が広がるのではないかというのが一つ気にかけているところです。

幾つかあるのですけれども、つるつると言ってよろしいですか。

あと最近、デビットカードというのは、自分の預金の範囲で使うので、クレジットを使うよりは使い過ぎるということはないかもしれないのですけれども、最近はVISAデビットとか、キャッシュバック機能がついている専用のカードがでてきています。ということは、自分の預金の範囲だから、それ以上に使い過ぎはしないけれども、逆に、キャッシュバックを期待し過ぎて、買い物し過ぎて預金が余りたまらないということにならないかなと。預金というのも何かあったときに絶対いるものなので、借金がなければいいということではなくて、一定の預金というのはやはり持っておかないといけないので、そういう預金の少ない若者が増えるのではないかなとちょっと心配しています。

あと、これは質問なのですけれども、交通系のプリペイドカードのお話ですが、関西の場合はPiTaPaという後払いのカードもあるのです。後払いの交通系のカードであっても簡単な買物ができますから、未成年が持つ場合は親が2,000円までとか、3,000円までとか、多分与信しているのだと思うのですけれども、関東ではそういうカードがないのかどうか。PiTaPaだけなのかなという質問。

最後ですけれども、私なんかもカードをばんばん使っておりますと、勝手に限度額を上げてくださるのですね。ゴールドになるときは多分、ゴールドにしますかという確認のお手紙が来たと思うのですけれども、限度額を上げることについては、幾らにしましたという一方的な通知であったような気がするのです。そういう場合は、余り自分の限度額が上がっているという自覚もなく、どんどん使い過ぎる者が増えるのではないかと。はっきり限度額を上げますか、上げませんかというような質問を受けて、自分が上げます、上げませんと答えるような方式のほうがいいのではないかなと。

以上、幾つもしゃべりましたけれども、よろしくお願いします。

○山本国際コンサルタンツ山本代表  ありがとうございます。

最初のほうのポイントから、私のコメントといいますか、知っていることでお答えしたいと思いますけれども、御指摘どおり、デビットカード、VISA、マスターカード、JCB、今はVISAとJCBで存在しますけれども、デビット方式が、まだすごく増えた状態にまではなっていないのですが、急増傾向が表れているということは私も認識しているとおりでございます。当然、デビットカードというのは、御指摘のとおり、残高がある限りは使えてしまう。海外、日本もそうですけれども、一日当たり幾らという上限設定などはあるのですが、その額も比較的高目に設定されていたりして、例えば100万円残高があって、100万円でカード決済したときに、それはできるのですかというと、理屈上はできてしまうという問題があって、これは日本以外の国は、実はVISAやマスターカードの半分以上がデビット方式で、ただ、それはそれなりに利用者側がクレジットカードとデビットカードの使い分けというような手段、方法論を機能も含めて知識として持っていて、使い分けている状態なのです。知識がなくていきなり使うというリスクは、やはり否定できないことだろうなと私も認識しております。

ただ一方で、これはきちんとしたデータがあってのお話ではありませんけれども、特に大学生。大学生ですと18から22歳ですから成人とそうでない人が半々になるのですね。彼ら全体のアンケートの中でも聞くのですけれども、一方で、過剰に使う傾向というのが本当に一般的な傾向だろうかと思えるような点もある。どういうことかといいますと、若年層はむしろ少ないお金の中でやりくりをして、まず携帯電話に一番高額を使ってしまい、それ以外の支出は非常に限られる中で生活をしているという現実がございまして、彼らにいろいろ聞いてみると、アンケートでも明らかに回答があるのは、クレジットカードは使い過ぎてしまう可能性があるので、そもそも持たないことにしているなどと、自分でちゃんと抑制しなければいけないということを認識していて、使えるからどんどん使ってしまおうという若年層の方ももちろんいらっしゃるとは思うのですが、そういう方がすごく多いのではなくて、ほとんどの学生は、抑制したいから、むしろクレジットカードは持たないとおっしゃる学生がすごく多いのです。

ただ、そういった学生に、デビットというのは預金がある分だけしか使えないよというと、彼らはすごく預金残高がある前提ではなくて、2万円とか3万円とか、その中で使うという前提に立って考えていますので、そういう前提に立つ限り、デビットカードは非常に彼らのニーズに合っている面もあるかと思っています。

それがデビットカードなのですが、次に、交通系のPiTaPaのお話がございました。実を言いますと、SuicaとPiTaPaというのは全く違う仕組みなのです。PiTaPaというのは二つの方法があって、プリペイドの方式と、もともと個人情報でひもづけて銀行から引き落とす後払い形式という方式が持てるので、そこで個人を特定した上で利用抑制ができるという特性を持った交通系電子マネーというのか、交通乗車券なのですね。

それに対してSuicaというのは、無記名のものは誰でも持てて、しかもそれは、それこそ誰でも持っている人がタッチすれば使えてしまうので、そういう抑制が働かない。ただ、記名式ということで、申し込み時に利用を、年齢だけは確認しているというのはあります。ただ、それも物販で使えない、物を買えないという設定は恐らく現状やられていないと思うのです。そういう意味で、あるかないかという意味では、ないという認識でございます。

あと、与信の過程で限度額の御指摘がございました。これは確かに御指摘のとおりでして、限度額というのは、先ほどの御説明の中で言いますと、途上与信の概念の中で、機能の中で、利用実績がある人に対しては、利用促進という面もあって、限度額をどんどん上げていって、もっと使っていただきたいというカード会社の意向がそこに表れる。それに対して利用者は、必ず案内は来ますので、上がったという案内が今は必ず送られる。かつては送られなかったと思いますね。すみません。今、送られているかどうかは確認が必要で、私はその答えを持っていないのですけれども、明確に利用者が認識しなくて限度額が上がるということはあり得ると思うのです。ただ、そこも限度額を上げる場合は先ほどの割賦販売の枠の中でということになりますので、以前に比べますと簡単に上げられなくなっているという現状はあるのです。

そんな中でも、一括払いはその制限がありませんので、利用実績がすごくある利用者に対しては、上げてもいいだろうという判断をすれば上がってしまう。ですから、ここは御指摘のとおり、そのような通知をしてほしいという利用者の意見もあるでしょうし、あとは、現状でも、やはり下げてくださいという希望を申し出れば下げてくれる。キャッシングをゼロにしてくださいとか、限度額が例えば70万になってしまったけれども50万にしたいですということには、カード会社は基本的には応じていると理解しております。

○樋口座長  よろしいですか。

○大森委員  あと、サーバー型電子マネーの新しい取引に対する対応です。

○山本国際コンサルタンツ山本代表  失礼いたしました。

御指摘のとおり、サーバー型電子マネーの場合は番号だけで全て決済できてしまう。その点は、特に従来型の決済手段になれ親しんだ、カードがあって当たり前と思っている我々世代にとってみると非常にそこの管理がしにくいということだと思うのです。ただ、今の傾向としては、サーバー型電子マネーに限らず、VISA、マスターカードなどのクレジット方式のものはまだ少ないですけれども、同じような番号だけで、インターネットで使うときにカード番号だけ入れれば済みますので、カードが実際に発行されずに番号、あとセキュリティーコードという3桁の番号があるのですが、それだけが発行されるようなものも増えておりまして、ますます物理的な媒体がない支払手段が増えていく傾向は明らかだと思っております。

これもきちんとした調査データがあるわけではないのですが、学生に接する限り、むしろそういうものには慣れていて、きちんと管理できる能力は総体的には高いと思います。ですから、多くの学生は、それはきちんと自分の支払える範囲で買ったものをきちんとスマホに登録して、それをなくさないように管理するという意識は、自分でお金を払ったものなのであるのです。ただ、御指摘のとおり、サーバー型電子マネーを買ってきて、それで払えばいいんだというような詐欺に巻き込まれて、その証票をだまされて買ってしまうという問題は、これは若年層に限らずとは思うのですけれども、その問題があるときに、どうしても媒体がないからそういうことが簡単に行われてしまうリスクがそこにあるということではないかと思っております。

お答えになりましたかどうかなのですが。

○大森委員  ありがとうございました。

○樋口座長  ほかにいかがでしょうか。

河上委員長、お願いします。

○河上委員長  どうもありがとうございました。

18、19歳の若者について、今から成年年齢が引き下げられるということで、何かしらその安全策を考えておいたほうがいいのではないかということが問題になっておりますので、お聞きしたいのですが、例えばサーバー型電子マネーなどの場合に、一定の金額以上のものを購入して、それを支払手段として使おうというような場合に一定の利用制限をかけるとか、あるいはそれに対して声かけをして、銀行で今よくやっていますけれども、そういう対応をお願いするといった方法も考えられます。

もう一つは、クレジットカードの場合も、これは与信ができる貸付可能限度額について、キャップ制をとるような形で、それは利用の状況によって増えていくとかではなくて、例えば23歳ぐらいまで、学生の間は一定額を上限とするというような形で上限を設定していくやり方が考えられますが、そういう対策について山本代表御自身はどのようにお考えですか。

○山本国際コンサルタンツ山本代表  まず、二つあるのかなと思っておりまして、サーバー型電子マネーなどに関しましては、一つ、利便性でもある反面、問題であると考えられる点が匿名性、要するに購入するときや利用するときに誰がということを確認しないでそのまま使えるというところは課題だと思うのです。

逆に、利用制限をしようとすると、当然販売するときか利用するときに、そういう属性を申告させるとか、機能的な強化が必要になってくると思います。例えばコンビニエンスストアで購入する際に年齢確認をするなどの方法をとることによって、抑制は可能だと思うのです。問題は、それがそういうことでものを売っている人たちや発行している事業者さんたちが、利便性で一方ではそれを求めている人もいるという理屈もありますので、積極的に受け入れられることなのかどうかというところに関しては、私もそこは難しい面もありそうだけれども、一部そういうことも、例えば本人確認を求めるとかいうことも場合によってはやるべきではないかと思うところが両方ありまして、そこはちょっと判断が難しいところではないかと思っております。

あと、クレジットカードに関してなのですけれども、クレジットカード会社は、そもそも二つの見方がありまして、恐らく現状も、与信とはいいましても極小なのですね。大学生というのは基本的には、大学生で年収が何百万ありますということはあり得ませんので、収入は極めて少ない。恐らく定職にはついていないという前提で、例えばという点で申し上げますと、5万円であったり10万円であったりという限度額を設定しているケースがよく見られます。そうしますと、それはある意味規制によらず自主的にそうしているということではないかと思うのです。そこは実際そのぐらいに抑制して、先ほど少し御説明に漏れたところで申し上げますと、途上与信の概念で、御指摘がありました限度額が上がっていくのかといいますと、若年層カードは、これも私が認識する限り、途上与信で限度額を上げるということはやっていないのです。それは一般カードなり、ゴールドカードなり、そういう属性であればやっている。

そういう意味で申し上げますと、クレジットカード会社の、特に発行しているカード会社の立場という、私の立場というよりもそちらの方々にそういうことを聞きますと、恐らくそれは限度額、与信を小さい額に今も制限していますと答えられるのではないかと思うのです。さらにそれに加えて何かができるかという点については、限度額と、あとは使える場所ですね。例えばインターネットと普通のお店という区別は、クレジットカードであればある程度できますので、そういうところでの利用を抑制しようと思えば、クレジットカード会社が抑制することは技術的には可能なのです。精密にできるかどうかという問題はあるのですけれども、要するに利用の場で制限をするというような方法論はあるかと思います。

海外などでは、どこでどう抑制しているかという技術論は別にしまして、未成年に販売してはいけないような商品のところは、当然、未成年のカードで使われるときは使えないと言っているというようなことは一般的に行っておりますし、恐らくこれは日本のカード会社も、例えば法令違反となるような取引、例えば酒、たばこなどを仮に購入するときに、そういうものを買っていることが分かる限りは当然利用停止というか、使えないというふうにしていますので、そういうところをもう少し充実させるところを検討していくことも不可能ではないのかなと思います。

○河上委員長  ありがとうございました。

○樋口座長  ほかにいかがでしょうか。

後藤専門委員、お願いします。

○後藤専門委員  詳しい説明をどうもありがとうございました。

二つお尋ねしたいことがあるのですけれども、4ページの大学生を対象としたアンケートというのは非常に貴重なデータだと思うのですが、大学生は普通の年齢で言うと18から22歳ということだと思いますが、この中に18歳、19歳という層と、それから二十を超えた層がいるということだと思うのです。履修対象は主に経済学部に在籍する2から4年生と書いてありますので、18歳はないかもしれませんけれども、二十を過ぎているかどうかということで、アンケート上表れる違いがあるのかどうか。例えば二十を過ぎると、大学生でも大学生用のカードではなくて一般カードを使うということも可能だと思いますので、二十を過ぎた場合には一般カードを持っている人もそれなりに多くなるとか、何かそのような違いがあるのかどうかを一つお尋ねしたいと思います。

それから、8ページに若年層向けカードと書いてある部分があるのですが、これは学生カードとはまた違ったカードだというふうに、ここを拝見すると読めるのではないかと思います。もし違うものであれば、学生カードと若年層向けカードとの違い、どうして学生カード以外の若年層カードというものを発行しているのかについてもお尋ねしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○山本国際コンサルタンツ山本代表  ありがとうございます。

それでは、まず、4ページの大学生のアンケート結果のところでございます。大変残念ながら、年齢を明確に聞いていないのですね。来年からやろうと今、思いました。ただ、御指摘のとおり2から4年ですから、18歳は恐らく入らないというのは間違いないです、ということが、こちらのアンケートに関して言えることでございます。

次に、8ページの若年層のカード。これは私も、まとめ方が難しかったので説明もうまくできなくて申し訳なかったと思っておりますが、まず、カードの種類としては、若年層向けカードという大きな概念があって、その中の一つに学生用カードがあるということなのです。それも含めて若年層向けカードであるということでございますが、それが学生と若年層、どちらも持てるカードと位置付けているカード会社もあれば、学生専用というカードを出している会社もありまして、いずれにしましても18歳から持てるカードとなっているのです。

では、それを持った人、あるいは途中から、20歳で大学生だけどといったときに、現状、各社の募集状況を見てみますと、当然きちんと就業されている20歳の方もいらっしゃるのですけれども、大学生の方というのは就業していないので、所得がない。そうすると、選択肢としては、そういう方はこれをどうぞというふうになるのが、やはり学生向けカードあるいは若年層向けカードとなるのです。そうしますと、むしろクレジットカードの発行形態から見ますと、20歳で分かれるというよりも、大学を卒業する時点で、まず就職するかというポイントがすごく違いになってきて、その時点までは学生カードなのか、あるいは若年層カードなのか、いずれにしても18歳から持てるカードを、申し込み年次で言うと二十であったとしても、若年層のカードを申し込んで使っていて、就職した時点で始めて一般カードに切り替わるという傾向が強いと思います。

ですので、例えば20歳になって大学生で一般カードを申し込もうかと思っても、ちゃんと就職していることと条件に書いてあって、結局そういう申込みをしない限り、審査に通らない可能性も高い。一般カードを持とうとした場合に、大学生の20歳、21歳、22歳ぐらいがそれを実際には持てない可能性のほうが高いと思っています。

○樋口座長  私からも1問伺いたいのですが、国によって成年年齢はいろいろあると思います。カード会社はグローバルな企業も結構多いと思いますが、その辺はもし御存じだったら伺いたいのですが、どういう形でハーモナイゼーションをとっているのか。カードの利用者の国籍で区別をしているのか、国籍もこの時点では確定していない人たちもいるわけですから、その辺の運用はどのように行われているのかというところを、もし御存じだったら。

○山本国際コンサルタンツ山本代表  今の御指摘の点は、特にカードを発行するほうの会社がどうしているかという点ではないかと思うのですが、まず、現実問題というところから申し上げますと、日本国内のクレジットカード会社は、日本に居住している人以外には一般的には発行しておりませんので、外国人かどうかというのは別としまして、そもそも住所と収入があれば基本的には誰にでも発行していて、年齢の違いによってそこの審査が変わる。

諸外国を見てみますと、やはり諸外国も、私も全てを正確に把握しているわけではありませんけれども、ざっと言いますと3種類のカードがある。プリペイド方式とデビット方式とクレジットに分かれるわけです。そして、クレジットに関しましてはかなり制限があって、基本的には、成年か未成年かという区別をしている国もあれば、成年、未成年ではなく、いわゆる信用情報、クレジットヒストリーを見て、一定以上のクレジットヒストリーであれば持てるけれども、そのクレジットヒストリーの蓄積がない人は持てない。つまり、それは年齢であるとか国籍ではなくて、その国で一定以上の経済活動をして収入を得て、預金残高もあるような状態にならないと持てない。そういう人がクレジットを初めて持てるという傾向がむしろ強いと思うのです。

もちろん国によってきちんと調べる必要がありますが、年齢という分け方とクレジットヒストリーという支払能力で見るというところで言いますと、かなり欧米型と言っていいのか分からないですが、クレジットヒストリーで見るという傾向は、欧米の場合は傾向としては強いのではないかと。それが持てない人は、とにかくデビットとか与信が必要ないものを持てばいいというふうに、そこで仕分けがされているということかと思います。

○樋口座長  ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、山本様からの御報告、ありがとうございました。本日はお忙しいところを誠にありがとうございました。

(2)悪徳商法被害者対策委員会堺会長

○樋口座長  次に、堺様から御報告いただきます。

堺様は、1974年2月から消費者問題、特に悪徳商法の研究とそれを追及する市民活動を始めまして、1975年2月に悪徳商法被害者対策委員会を設立し、その会長として、これまで40年以上の間、悪徳商法に関する消費者保護の活動をしてきておられます。また、消費者教育にも力を入れられており、国際短期大学の講師や信州大学の客員教授などとして講義を担当されたほか、「マルチ商法被害と対策について-特定商取引法制定で被害をなくせるか」「消費者庁設置で悪徳商法は追放できるか-悪徳商法追及活動現場からの注文-」などの論文を発表されております。

本日は、「成年年齢引下げに伴う対策についての意見」として、特にマルチ商法被害問題からの提言をお話しいただきたいと思います。

それでは、15分程度でよろしくお願いいたします。

○悪徳商法被害者対策委員会堺会長  堺次夫でございます。よろしくお願いします。

悪徳商法の中でも、とりわけ私が携わってきたものは、マルチ商法とネズミ講であります。ともに特異な形態、及び被害内容が普通の悪徳商法、問題商法と違う点があります。ここのところをまず申し上げます。普通、悪徳商法、問題商法といえば、加害者がいて、被害者がいる構造だろうと思いますが、マルチ商法にあってはこの構造ではありません。加害者はもちろんいますが、被害者が被害意識のないまま被害に遭い、なおかつ加害者になっていく。しかも、加速度的に広がっていくという特徴があります。そして、その被害内容も極めて特異です。

今日、一応、私の話すことにつきましてレジュメを作ってまいりました。お手元にございますが、時間が足りなくなった場合、これで代用させていただきます。

今、お話し申し上げようと思っておりますのは3番でございます。その先のほうですが、被害の内容ですけれども、マルチ商法の被害というのは、経済的被害、身体的被害、精神的被害、社会的被害に分けられようかと思います。

まず経済的被害ですが、これが普通の問題商法、悪徳商法であれば、それこそ数千円、せいぜい数万円の被害に遭った場合、それを聞いたアドバイザー、親あたりでも、言うことはたった一つ決まっております。いい社会勉強になったねと。これからは社会とはそう甘いものではないのだよ、気を付けなさい、これで済むわけですが、マルチ商法の場合は違います。分不相応な借金を背負うことになります。それこそ二十そこそこの学生であっても、数十万から場合によったら数百万。なぜそのような金額を背負ってしまうかといえば、今、数十万、数百万の借金を背負っても、2カ月後には、あるいは3カ月後には2,000万、3,000万円の収入が得られると思い込んでしまうところに問題があるのです。

このマルチ商法は、人から人へ口コミによって広がっていきます。業者側は、毎日毎晩のごとく説明会というものを用意します。ここに必ず新たに誘われる人間は連れていかれます。一旦そこに入ってしまいますと、今度は次の新しい会員の獲得を目指して、自分の友人、知人を誘うことになります。一流ホテルとか、あるいは公共施設、半公共施設を使った説明会においては、それこそ2時間あるいは2時間半ぐらいの会合ですが、その後は深夜喫茶店等を使って、2次会、3次会ともなれば深夜まで至ります。これが毎晩のごとく展開されますので、そのときは燃えているのでそうそう体にも影響ないのですが、その後、がたがきます。

そして、被害意識がないまま加害者になっていくわけですが、しかし、当然そこで展開される言葉は、俺がこうやっているんだから、おまえも一緒にやろうよということになります。うまくいかなかったら俺が面倒を見るからといっても、被害者のままでは面倒見切れません。その後、友人関係、知人関係がめちゃくちゃに壊れてしまいます。信用があった分だけ、それが毀損されます。そして、会社員等が誘われた場合、その会社そのものを辞めてしまう。会社の人事勤労、総務の上司がそれに気付けて説得するのですが、説得し切れない。そして、それが相まって、最後は自殺事件とか心中事件、家出もありますし、社会問題を引き起こしているのです。

私が今でも覚えておりますのは、1975年9月1日、大阪の17歳の高校生が2学期の始まるその日に自殺しました。当時のマルチ商法業者に誘われて、6万5,000円というお金を友人とか、あるいは消費者金融から借りたと思いますが、そういったお金を用意して出したけれども、人が勧誘できないで収入がない、その結果、追い込まれたと。

1989年には、広島で郡部の高校を出た子どもが二十を過ぎてある会社に勤め、そこの独身寮で先輩からマルチ商法に誘われて、借金をして入った。会社が気付いて注意したけれども、やめない。親御さんを呼んで説得したけれども、なおやめない。もう本人は思い込んだら命がけみたいな状況になっていて、何を言っても聞かない。ついにその会社は、この女性を解雇します。家に帰って母親と対峙した娘さんは、それでもやりたい。既に相当借金を背負っておりましたが、それでもやりたい。親御さん、特に母親にとって目の前にいる娘が、娘であって娘じゃない。思い余ってついにこの母親は娘さんの首を絞めて絞殺、自分は灯油をかぶって自殺しました。心中事件です。こういったことまで起こっております。

私が確認しただけで十数件ですから、本当はもっとあるのではないかと思っているぐらいです。こういった状況があったからこそ、社会問題にもなりました。その結果、訪問販売等に関する法律、現特定商取引法が制定され、そしてなおかつ、マルチ商法の根幹部分でもあると言えるネズミ講、これがネズミ講禁止法の制定によって警察の努力、関係当局の消費者啓発も進み、相当進んだはずでありますが、現在どうなっているか。実はまだ進行中であります。

そういう点で言うならば、四十何年このマルチ商法を追及してきて、まだ同じことをしゃべらなければいけない。私は本当に内心じくじたる思いがあります。同時に、これ以上被害を広げさせてよいのか。新しい市場を彼らに与えてよいのか。ここに尽きると思うのです。

現在、民法4条は生きております。にもかかわらず、大学生に被害が出ております。1978年当時、既にその頃19歳の大学生の被害がありました。早稲田、慶應の学生でした。その頃から未成年者が狙われているのですが、でも、何とか辛うじて、民法4条が最後のとりでとして機能してきた。あるいは逆に言うならば、業者側も少しは遠慮してきた。その結果、今に至るわけですけれども、18歳まで成年年齢を落とすということになりますと、18といえば高校3年生が入ります。高校3年生の段階で、高校内にマルチ商法が広がるということが起こり得ます。必ず起こり得ます。現に今、この首都圏において複数の大学に複数のマルチ商法組織が広がっていて、被害が蔓延中です。恐らく早晩、関西に広がるでしょう。そして全国に広がっていくでしょう。これはいつか見た光景でありまして、もう3年ごとにこういう状態が起こっているということであります。火を見るより明らかなのに、それをなぜストップできないか。これが本当に悲しいぐらいの思いを持ちます。

一応レジュメを御覧いただきたいと思います。1番。私がこの活動を始めるに至ったのは、マルチ商法業者「ホリディマジック社」、私がここの販売員になったことに由来します。そこで話が違うということで調べ始めて、告発の旗を上げ、被害者の会を作り、団体交渉を展開し、なおかつマスコミにも書いてもらって、応援をしてもらった。同時に、立法府に対してこの実態を訴えて、あるいは行政府にも訴えて対策を求めた。私たちは当初、マルチ商法などは詐欺そのものではないかと思いましたが、詐欺罪の発動はなりませんでした。最初に公正取引委員会に動いていただいて、独占禁止法第19条、不公正な取引方法の禁止規定、これによって立入検査を行い、勧告審決に至りますが、それは刑事罰がなかった。だから、相手は生き残った。

ちなみに、このように行政の手によって摘発された業者は、いつかはその後、何カ月かの間には潰れます。しかし、潰れた組織がアメーバのように一つの組織から五つも六つも細胞分裂していきます。昭和52年、1977年ですが、当時通産省がマルチ商法業者22社の存在を公表しました。ところが、このうち18社はもともとたった一つの会社から分裂していった組織です。一つが18になったわけです。

そのような状況でありまして、本当はマルチ商法そのものを禁止してほしい。でも、よいマルチと悪いマルチがあるという理屈で、当時はできなかった。しかし、ネズミ講禁止法がその後誕生しました。環境が変わりました。あれから既に40年たっております。もう一回、本当はこのマルチ商法全面禁止ということを考えてほしいと関係者の皆さんには強く訴えたいと思うわけであります。政府においては、実はこれまでにもいろいろな施策は打ってもらっております。

それは5番の「対策」を御覧ください。訪問販売法が制定された当時は、通産省当局において、例えば担当官が深夜放送のラジオに出演してその実態を訴える。あるいはスーパーマーケットの店頭に大きな看板を出してもらう。そこまで頑張られました。

それから、関係者もいろいろ動きまして、例えばこういった会場の締め出し、これが一番効果があったことなのですが、半公共施設等においては、公序良俗に反するような環境が展開されることは好ましくないということで、あちこち締め出しをしてもらったところもありますが、個人名で会を主催した場合は抑えきれません。一回はどうしてもやってしまうということがあります。

それから成人式、これは寒冷地においては夏場にやることもありますが、そこでの締め出しとあるいは啓発、教育、そういったこともやってもらいましたけれども、これもやはり限界があります。

ですから、現在は、5番のマル1マル2マル3に尽きると思っております。摘発の強化です。実は特定商取引法による行政処分が相当増えてまいりました。特に消費者庁におかれても、あるいは地方自治体におかれても頑張ってくれておりますが、行政処分は処分を下した前後は多少効果があります。まず、クレジット業者、信販会社が提携を解除します。その後は少し静かになるのですが、しかし、すぐさま看板を変えて生き残ります。そこで、やはり行政処分というのは業者にとってはスピード違反程度、せいぜい20キロオーバーぐらいの感覚しかない。認識でしかありません。

次に効果があるのは、京都府警がアースウォーカー事件、ライブリー事件で確立した手法なのですが、既に行政処分を受けたところが看板を変えてそのまま同じことを展開したものですから、そういった経営者個人を抑えるために、ネズミ講禁止法、無限連鎖講防止法、これによって摘発をしました。刑事事件になりました。市中引き回しという感じのものではありませんけれども、やはり逮捕するに至るということは一番効果があるようでありまして、これをもっと展開できないか。

例えば現在、首都圏に広がっている問題になっている一つの組織について、私はこのネズミ講禁止法で摘発できると考えています。これをもっともっとやってほしいと思うわけです。

それから、啓発の充実化。大学等教育機関と地方自治体の消費生活センターの更なる連携、これをぜひともお願いしたいと思います。実は成人式においてもPR、啓発をやってもらっているわけですが、成人式そのものが同窓会になってしまって、いわゆる役所の側の情報はその人々には伝わっていかないという面があります。新しく考えを工夫する必要があります。

それから、教育の推進ですが、これは間違いなく、いかに高校3年生の段階、卒業間際に2時間、1時間の時間をとって話をしてもらっても、例えばそれが入試の前であれば、絶対に聞いてもらえません。本を開きます。教科書を開きます。表紙は消費者パンフレットでも、中身は英語の参考書であるというわけです。

大学入試の問題にクーリング・オフ等がでれば、これは少し効果があるのではないかと考えます。

マルチ商法の一番怖い点は、先ほど申しました、被害者が加害者になってしまう。一つはマインドコントロールという手法があって、オウム事件でも問題になった、人間の心が操作されてしまう。実は今年の夏もそういった訴えがありまして、私は21歳の女子大学生を説得したのですが、しかも両親の前で一緒に説得したのですが、突如、憤然と席を立ち上がりまして、激高しまして、その当事者は飛び出していってしまいました。要するに、都合の悪いことは聞こうとしません。かつて3時間説得したことがありますが、燃え盛っている人間には、私どもは実は説得できません。

一体何なのか。マインドコントロール、こういったものを研究する機関が欲しいと思います。そういったものを設置していただけましたら、私は即刻、私が持っている40年間のデータ、例えば業者のパンフレット類、そういったものを全部集めて提供できます。本当に恐ろしい環境になってしまうことが怖いのです。

そこで結論になります。民法の特例法として制定された消費者契約法、これは鳴り物入りで制定されたものです。民法の消費者版だという当時のキャッチフレーズがありました。あるいは使い心地をよくするために、これをやるのだというようなことがありました。であるのならば、仮にもし消費者契約法を制定しようとするときに、今と同じ論議、この成年年齢を20歳から18歳に引き下げようとした場合は、民法4条部分を、恐らくそれはこの中に入れてもいいのではないかと、取り入れようという議論になるのではないか。

既に消費者契約法は、でも、これはあくまでも民法4条があった上での消費者契約法ですが、ようやく国内でクーリング・オフは定着してきたと私は思っています。クーリング・オフ後の解約についても、不法な行為があれば、事実上、5年間は解約できるという本当にいい項目があります。この消費者契約法を生かすためにも、この中に、もし民法4条の成年年齢が引き下げられるというのであれば、消費者契約法に現民法の4条部分を付加して代用すべきであると考えます。

同時に、特定商取引法は消費者被害が多くて問題になったがゆえに規制対象が指定商品、指定サービス、指定権利制になっているわけですから、その問題になった部分については、特に18歳、19歳の未成年については契約取消しができてもよいのではないか。

そして、マルチ商法です。マルチ商法に入ってしまった人間は、例えばさきに話しましたこの夏の21歳の女子大生ですが、大学を辞めてしまいました。休学してしまいました。学校が面白くないのです。要するに、そのマルチ商法組織の会合のほうが面白いのです。本当に新新宗教のマルチ教に入ったような状態になっておりまして、そういうことを考えるのならば、学校現場に混乱を与えます。学生の勧誘は即刻禁止されるべきだと考えます。

いずれにしましても、私ももう40年間戦ってまいりまして、66歳になりました。これからもう一回40年いただきますと、日野原重明先生の年齢を超えてしまいます。そこまで私は日野原先生ほど元気じゃありませんので、やはりもうこの辺で、マルチ商法は本当に遮断してほしい、その被害をシャットアウトしてほしい。そのためには、シャットアウトどころかもっと被害が拡大するようなことが起ころうとしている。絶対阻止したいと考えます。皆様方の御判断、御協力を頂戴したいと思います。

ありがとうございました。

○樋口座長  御説明ありがとうございました。

ただいまの御説明を踏まえまして、御質問、御意見のある方は御発言をお願いしたいと思います。

大森委員、お願いします。

○大森委員  ありがとうございました。

レジュメの3ページの「対策」のマル1摘発の強化のところなのですけれども、なかなか一社潰してもそれが幾つにも増えるとか、簡単な業務停止命令ぐらいであれば、経費ぐらいの感じでどんどん存続されることになると思うのです。ネズミ講ということで刑事摘発されたというお話を聞いたのですけれども、私の認識では、お金だけの場合はネズミ講で、商品とか権利とかが入ってくるとマルチになるという認識なのですが、どのようなケースで刑事摘発できたのか、その辺を詳しく教えていただけたらと思います。

○悪徳商法被害者対策委員会堺会長  アースウォーカー事件というのがあります。これはもともと行政罰が問われて、それこそ通産省当局が2005年6月に営業停止命令を出していたものです。これは、17万円を出して3人誘うとすごくもうかると。マルチ商法につきものの言葉は、誰もがいともたやすく法外な金が短時間で得られるというものなのですが、この金額はそれぞれ変わってまいりますけれども、最初にお金を出すことが必要であって、あと何人か連れてこなければいけない。連れてくればくるほど金がもうかる。つまり、人狩りをやりなさいということなのですけれども、17万円のカタログ販売と称していたところが、通販のカタログです。17万出資、3人勧誘すれば月収が50万から上は何千万にもなるということでやっておりました。しかし、これはカタログというものが果たして17万の価値があるかどうか。ありはしないわけであって、要するにこれは単なるもうけ話に参加するためのいわばパスポート、あるいは手形みたいなものにすぎない。つまり、これは金銭配当組織であるという判断が働いて、京都府警がネズミ講禁止法で2006年5月に摘発できた例です。

ライブリー事件、これも同じく京都府警が2010年に摘発した例ですが、これまた京都府、大阪府、兵庫県の3府県が2008年3月に行政処分を加えていた業者です。6カ月の営業停止命令をかけました。これが扱っていたのは携帯端末の機器です。5万円相当を39万円の値を付け、購入させて会員を募ったわけですが、これまたもうかる話があって。しかし、この端末の機械にそれだけの価値がないということから、これは金銭配当組織であるということで刑事摘発がなされました。

同じようなケースがほかにもあります。いずれにしましても、行政処分はないほうがいいのかといったら、なくては困ります。やはり行政処分は必要です。しかし、それ以上に、刑事事件になればなるほど、これは教育・啓発効果がある。また、マスコミの報道も刑事事件になりますと大きく報道していただけるところがあります。

ただ、残念ながら、今の大学生は新聞を購読しません。新聞は読んでいるかと聞きますと、見ていますと答えます。インターネットで見出しを見るだけ。新聞を購読していない。この状況にあって、大学生の皆さんに情報を伝え切ることは難しいところがあるなと思っております。しかし、テレビの制作会社は、新聞によって情報を得て、それで番組を作っておりますから、やはり新聞の価値は大きくて、マスコミの皆さんはもう一度頑張って、マルチ商法、ネズミ講問題を報道してほしいと思います。

○大森委員  ありがとうございました。

○樋口座長  ほかにいかがでしょうか。

河上委員長、お願いします。

○河上委員長  どうもありがとうございました。

「対策」のところで出てきているものと、表の出だしのところで書かれているところが少し違っているので、確認の意味で伺いますけれども、一つは、最初の部分で「民法4条の同効力を残す対策が急務である」という書き方をされているところを見ると、未成年者取消権と同じような効力を残す方向で民事の効力は考えたいということかと思うのです。その際、幾つかのこの文章から方向が出てくるかと思うのですが、特にマルチ商法に関してということになると、マルチ商法独特の規制をかけているのは今、特定商取引法ですけれども、特定商取引法の中にその顧客が、仮に18、19歳が成年者になったとしても、18、19歳に関しては、なお従来どおり取消権をマルチ商法に関しては認めるべきであるということがあります。

○悪徳商法被害者対策委員会堺会長  全くそのとおりでございます。

○河上委員長  もう一つ下のほうに行きますと、消費者契約法の話があって、消費者契約法に「現行民法4条の効力を付加する改正を行うべきである」と書かれているとすると、消費者契約法というのはマルチに限らず全ての消費者契約に適用のある法律ですけれども、この文章どおりいきますと、およそ消費者契約においては、18、19歳の消費者について、なお従前のとおりとすると、つまり、未成年者取消権と同じ取消権を与えるというルールを入れるべきであるとの提案のようにも読めます。

○悪徳商法被害者対策委員会堺会長  そのとおりです。

○河上委員長  これはそれぞれについて、そういう形で規定を置くほうがいいということですか。

○悪徳商法被害者対策委員会堺会長  民法4条が今ある上においても、現在生きている上においても、マルチ商法はそれこそ大学生の間に広がっております。現在はまだ18、19歳は辛うじて業者側が誘うことを遠慮しております。それが拡大されることは懸念されます。しかし、学生が、例えば19歳11カ月の人間と20歳になったばかりの人間が顔に年齢を書いているわけではありませんので、現場においては全く20歳も19歳も関係ありません。どんどん広がっています。それこそあと1カ月で20歳になるのだったら、例えば生年月日を変えて書けとか、そういうことも行われているようですから、要するにこれは学園そのものにこういったものを広げないようにするためには、もう一段対策が必要だということです。だから、民法4条が今ある上においても、現在必要なことは、この特定商取引法の中に摘発、要するに規制が必要であるということを書き込んでほしいと思っているぐらいです。

○河上委員長  年齢が下がることについて、少なくとも民法では未成年取消権がなくなります。それを前提として考えたときに、消費者契約法上の消費者取引には、18、19歳はなお未成年者として扱うべきであるということでしょうか。

それから、特定商取引法上のマルチの規制の中にも、18、19歳は未成年者同様に扱って、取消権のようなものを認めるべきであると。何段階か全てをルール化してほしいということですね。

○悪徳商法被害者対策委員会堺会長  3段階ぐらい必要だと思っております。

○河上委員長  分かりました。ありがとうございました。

○樋口座長  後藤専門委員、お願いします。

○後藤専門委員  どうも詳しい説明をありがとうございました。

本日のテーマは、成年年齢引下げに伴う対策についての御意見ということなので、18歳、19歳というところに着目したという部分はあると思うのです。ただ、3ページにお書きになっているような被害の内容、これは非常に重大な被害と言えると思いますが、この被害の内容は、大学生を対象としたいろいろな調査や御研究から出てきたところだと思いますので、年齢からいうと、むしろ大学生は二十を超えた人もいて、21歳もいるし、22歳もいるし、場合によってはもっと年齢がいっている人もいるわけでして、そういう意味からいうと、ここの被害の内容は、むしろ18、19歳の問題ということよりは、18、19歳も入りますが、もっと上の年齢まで、若年層というくくり方ができるかどうか、あるいはもっと年齢の高い人の被害ということはあると思いますけれども、とりあえずここでは若年層という形で、20歳を超えた例えば25歳とか、そういう人も入るという理解でこの被害を見るとすると、民法で成年年齢が引き下げられても、消費者契約法では18歳、19歳でも取消権を与えるというような問題よりも、むしろマルチ被害に関して特定商取引法なり無限連鎖講防止法なりで対応していくというほうが事態に適合するのではないかという感想を持ったのです。

今、委員長がお話になったことと類似した問題意識なのですけれども、消費者契約法での対応よりは、むしろ特別法での対応のほうが、大学生という層を対象とするとか、あるいはそこでの被害実態に合うのではないかと思うのです。その点についてお尋ねしたいのですが、いかがでしょうか。

○悪徳商法被害者対策委員会堺会長  ここに書いております経済的被害、身体的被害、精神的被害、社会的被害につきましては、この被害全体でありまして、大学生にこだわっているわけではありません。大学生にこだわるならば、むしろこのほかに、学業等を投げ打ってやめてしまうといったことが入ってくるだろうと思います。現にありますから、そういったことがいっぱい報道されておりますし、私のところにも相談がありました。何件もあります。何件どころではありません。相当あります。

今でさえもそういった大学生の被害が出ている。これを今度、18歳、19歳の間に広げてよいのかということに尽きるのです。大学でさえ広がっているのです。高校にも広がった場合は、その結果は火を見るより明らかです。大学においては文部科学省がこの間、日本学生支援機構を活用して全国から330人の学生部長、教授陣を集めて、学生生活にはリスクがあるということでマルチ商法を取り上げてもらいました。大きな集会になりました。そこまでやってくれるようになりましたけれども、高校生となるとまたゼロからのスタートになってしまって、今やあの世代というのは、私は本当に判断したことなのですが、親よりも友達のほうが大事なのです。これは本当に痛切に感じました。どんな偉い将軍でも家に帰ればただの父親という言葉がありますが、あのとおりなのです。親が説得できません。会社の上司も説得できません。それが高校生となるとなおさらではないでしょうか。エネルギーはいっぱいありますので、高校のキャンパスの中にマルチ商法が広がるなどというのは悪夢以外のなにものでもありません。

そこを防ぐためには、やはり取消権があってこそ、今でさえあるぐらいなのです。それでもなおかつ、まだ辛うじて18歳、19歳につきましては全国蔓延を抑えられている。それが今度、18歳、19歳に広がるということになってきます。たった一人そこに会員がいればいいのです。自ら誘っていきます。自己増殖性といいますが、本当に自分の友人を、悪いことをやっていると思っていないのです。こんなすばらしいビジネスはなかった。自分が探していたものはこれなんだ。人生が変わる。人間が変わる。自分が変わる。こういった言葉に本当に弱い。

今、非正規雇用の問題があります。卒業しても20歳代に限るとそれこそ2人に1人が非正規雇用。非正規雇用に一旦なってしまいますと、正規雇用になれない人が多過ぎる。その結果、生涯賃金は相当違う。こういう環境でこの手のものが広がりますと、本当に火に油を注ぐようなものだと懸念しております。

○後藤専門委員  1点確認させていただきたいのですけれども、先ほどの山本様の御報告でも私は感想として、カードを使う場合、例えば大学生のカードということで18から22歳というような幅を持った取扱いが現在なされている。これはいわば18歳や19歳についての救済をどうするかということ、それが一つ現在話題になっているわけでありますけれども、そうではなくて、22歳ぐらいまでを含めた幅を持ったものとして救済なり保護なりの手当てをしていくべきだということに関する、現在行われていることからいうと一つのヒントになると先ほどの御意見を伺って思ったのです。

同様に、マルチ商法でも大学生について特に悲惨な被害が起こっているということで、18から22歳という年齢の幅の中で被害を見ているということが、これもまた18、19歳ではなくて、仮に取消しを認めるとしても、幅としては22歳とかそのぐらいの幅を持って取消しを認める方向性があるのではないかという印象を持ったのです。そのような取消しを認める場合、18歳、19歳を含めた、もう少し二十よりも超えた人たちも含めた同じような被害に遭っている人たちの救済を考える、こういう方向についてどうお考えでしょうか。

お話を伺って、そういう方向をお持ちになっているのではないかというふうに承ったのですけれども、それでよろしいかということの御確認をさせていただけたらと思います。

○悪徳商法被害者対策委員会堺会長  3段階であろうが、1段階であろうが、要するにその実効性が上がればそれに尽きます。

もう一つは、業者側に対する牽制といいますか、自主規制といいますか、それを促すことができる。それこそ18歳、19歳が成年であると、自由であるということになってしまいますと、これはもう何をやっても構わないぞということになってしまうおそれがあります。業者側に対してそこを抑えるためにも、やはり取消権があったほうが、最後のとりでになっていると私は考えています。

○後藤専門委員  どうもありがとうございました。

○樋口座長  ほかにいかがでしょうか。

それでは、堺様からの御報告は、このあたりにさせていただきたいと思います。

本日はお忙しいところ、誠にありがとうございました。

(3)その他

○樋口座長  引き続きまして、後藤専門委員から、11月24日に開催されました第29回消費者契約法専門調査会において、合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型について検討が行われたようですので、その議論について御報告をお願いしたいと思います。

○後藤専門委員  本ワーキング・グループでは、民法の成年年齢が引き下げられた場合に、新たに成年となる者の消費者被害の防止・救済のための対応策について検討していますが、本ワーキング・グループと並行して消費者契約法専門調査会が開催されておりまして、前回、11月24日には、合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型について議論がされました。

その場で取り上げたテーマといいますのは、事業者が消費者の判断力の不足、知識・経験の不足、心理的な圧迫状態、断り切れない人間関係など、当該消費者が当該契約をするかどうかを合理的に判断することができない事情があることを不当に利用して契約を締結させる場合について、消費者契約法に規律を設けるべきという考え方についてどう考えるかという点でありまして、成年年齢の引下げに伴う消費者被害の防止・救済のための対応策を検討するという本ワーキング・グループの課題と重なる問題が議論されたわけであります。

そこで、私は、本ワーキング・グループと消費者契約法専門調査会の両方に参加しているという立場ですので、その立場から、11月24日に開催された消費者契約法専門調査会における成年年齢に関係する議論状況を説明させていただきます。

まず、委員の方で、事業者の方の意見ですけれども、成年年齢引下げによって消費者保護に強い懸念が存在するのであれば、成年年齢の引下げを実施しないというのが最大最良の解決であって、成年年齢の引下げを実施するならば、18歳、19歳も合理的な判断力を有しており、消費者契約を始めとした契約につき能力があるものと推定すべきであって、成年年齢の引下げにより消費者被害が増大する懸念があるとするならば、それは消費者契約法において別途取消権を付与するといった救済ではなく、徹底した消費者教育と事業者規制での対応を検討するべきである。それでもなお救済が不十分で取消権が必要という方向にいくのであれば、成年年齢引下げ自体について国民的理解が足りていないということになるので、そうした議論を喚起するなど、反対の声を上げていくべきではないか。その議論の主戦場は消費者契約法専門調査会ではないという意見が出されました。

事業者側からの同種の意見としまして、18歳から二十までの若年層について、判断力が不足していると考えるのであれば、成年年齢を引き下げないようにするべきであり、成年年齢を18歳に引き下げるのが適当である、取引の場面など司法の領域においても自分の判断と責任において自立した活動ができるように引き下げるのが適当であると言っているときに、それに対して合理的な判断ができないとするのは矛盾している。消費者被害が起きてくるという懸念に対しては、基本は消費者教育をまずやっていくことが必要であるが、例えば18歳から二十の人については、一度説明をしてから冷却期間を置かないと契約ができないようにするなどの手段も考えられるのではないか。事業者の側からすると、実際に契約をしてしまって、準備をしたり、商品を渡してしまった後に取り消されると、商品が全く無駄になってしまうということなので、取消しという行為に持っていくのは、社会的に見てもできるだけそうならないようにすることを考えるべきであるという意見がありました。

事業者側の意見としましては、更に、今までは親の同意をとればそれで契約ができたことが、親の同意でない別のものが必要になり、契約自体に負荷がかかってくる。例えば18歳と19歳だけ特別に契約のときにいろいろな要件をつけるということになることを事業者の側は心配している。また、相談事例を見ると、二十を超えた22歳ぐらいの人たちも同じような被害を受けているのであるから、単に18歳、19歳の問題なのか、そうでないのか。それと併せて、事業者としては現行よりも負荷がかかることは極力避けていただきたいという意見がありました。

事業者側の意見としましては、このほかに、一般的な消費者契約法ではなく、業法による対応を考えてみてはどうかという意見もありました。

これらに対して、消費者側の委員の意見としては、成年年齢引下げに関して、この専門調査会のマターではないという意見が出されたが、消費者契約法専門調査会がやらなければどこがやるのだと思っている。消費者教育とか家庭教育とか様々な長期的な対応も必要だけれども、直近で言えば来年の通常国会に法案が出されるというところで、何らかの対応を考えていかなければ不作為を問われるという意見がありました。

また、他の消費者側の委員の意見として、成年年齢の引下げで消費者被害が多発することが心配されるという認識は共有できるのではないか。民法の成年年齢引下げ自体をやめることに現実的な見通しが立たないということであれば、消費者被害の観点から見ている消費者契約法専門調査会としては、消費者契約法もしくは特定商取引法において、民法の年齢引下げが近々予定されることを念頭に置いて、きちんと議論をしておくことが必要なのではないかという意見が出されました。

さらに、弁護士委員の意見として、成年年齢の引下げが若年者の消費者被害を拡大させることは必定である。予防措置としての消費者教育や行政規制の検討も重要であるが、実際に若年者の社会経験の乏しさによる判断力の不足に乗じて不必要な契約が締結されるといった被害実例が発生した場合の事後的な救済規定は別途必要である。具体的には、消費者契約法におけるつけ込み型不当勧誘規定が必要になってくるという意見がありました。

また、研究者委員からの意見ですけれども、現在の消費者契約法は事業者・消費者間の典型的な情報・交渉力格差に着目した規制となっているが、消費者の中で特にその属性や状況から脆弱といえる消費者が存在することを規定の設計において直視すべき状況にある。現実の社会においてそのような存在がいるというのは事実として確かであり、立法するときには経済的な効率性だけではなく、正義や消費者の満足、公正といった観点にも着目していくことが重要である。特に弱い消費者、脆弱な状態にある消費者というところにスポット当てて考える場合に、高齢者や若年者をカバーするというのはもちろんであるが、例えば社会のグローバル化の中で、日本で暮らし始めた経験に乏しい外国人の方、こういう方々がつけ込まれる状況があってはいけない。また、日本という災害の多い国で、例えば被災して心理的に不安を抱えた人、こういう人がつけ込まれることもあってはならない。そうした意味で、少し視野を広く持って検討していくことが必要であるという意見が出ております。

以上のように、消費者契約法専門調査会の意見は一致しておらず、同一テーマにつき改めて議論することが予定されていますけれども、検討すべき複数の項目を一巡してからの検討になるのではないかと思いますので、次回の検討は、本ワーキング・グループの報告書がまとまった後に行われるのではないかと思います。

しかしながら、11月24日の消費者契約法専門調査会において、民法の成年年齢の引下げの施行方法に関する意見募集について説明を行った法務省の中辻参事官は、仮に消費者契約法が改正され、若年層を含めた形での消費者被害に対応するための規定が設けられることになれば、国民の皆様の不安を解消するための施策の一つとして非常に大きな意義を有することになると述べておりますし、当日の消費者庁提出資料について説明を行った加納消費者制度課長も、本年立法化された過量契約の取消しに加えて、過量でないつけ込み型についても引き続き検討する必要があると述べられていることからも、若年者を含む一定の範囲の者に取消権を付与する規定を消費者契約法に設けるかどうかということを主たる争点とする議論が続いていくことになると予想されます。

以上でございます。

○樋口座長  御説明ありがとうございました。

ただいまの御説明を踏まえまして、何か御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。

これは質問ではないのですが、印象としては、かなり基本的な論点が出されているようにも思うのです。私どものワーキングの取りまとめに当たって、これは事務局へのお願いですが、例えば私どものほうで結論を出して、その後に同じ問題について同じ視点で議論するということがないようにしていただきたい。そういう調整をきちんとしておきませんと、ワーキング・グループで結論を出したけれども、また専門調査会で別の結論が出るというようなことは避けていただきたいと思います。基本的な論点でありますが、日程等を調整して、先方においても、少なくとも成年年齢の引下げに関してはきちんと整合性がとれるような、国民的なコンセンサスを作る必要があると思いますので、そういう形にしていただければと。

後藤専門委員に間に入っていただいて、その都度報告していただくという形では、ちょっと委員への負担も重いと思いますので、ぜひきちんと一つの結論が皆さんのコンセンサスでできるようにしていただければと思います。

何かほかに御意見、御質問があれば、お願いします。

○河上委員長  消費者契約法専門調査会は、およそ消費者契約一般についてどういうルールが望ましいかということを検討するという形のミッションを持っているところで、その中の一つの問題として、これまで高齢者というのがございましたし、それから、今回この成年年齢の引下げに伴って、新たに成人に組み込まれる可能性のある18、19歳の若年者という問題が浮上してきたということなのですが、この18、19歳というところに消費者契約法専門調査会が重点をかけ過ぎることについては、私は問題を非常に極小化してしまう可能性があるので、注意しなければいけないのではないかと思っています。

むしろこのワーキング・グループは、18、19歳が成年年齢に入ることによってどういう方策が必要なのかをトータルに検討する場として設けられたものでありますから、その特定の課題についての結論は、ある程度優先的かつ明確に出せるのではないかという気がしています。その上で、そのような方針について、消費者契約法専門調査会でも御披露して、それと整合性がとれるような形で総合的な規定を考えていただくのが筋ではないかと考えているところです。

結論としては、年内にこちらの取りまとめをして、それを親委員会で議論した上で、意見として発出することになりますけれども、結果的に、それは、18、19歳の問題に関しては若干先取り的な結論になってしまう可能性は避けられない。ですから、そこまでの間に専門調査会あるいは関係省庁とある程度調整をとっておくということはやらないといけないことなのですけれども、だからといって、余りこちらで審議を抑制して、消契法のほうに全て投げてしまうということにはしないほうがいいと個人的には考えております。

○樋口座長  ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

それでは、最後に、参考資料について事務局から説明をお願いいたします。

○丸山参事官  私から2点御報告させていただきます。

1点目につきましては、法務省で本年9月1日から30日まで1カ月間実施されました、民法成年年齢引下げの施行方法について実施したパブリックコメントの結果についてです。お手元にお配りしております参考資料1-1、参考資料1-2がそちらの結果となっております。こちらについて、既に委員におかれましては御覧いただいているところですけれども、改めて御確認いただければと思っております。

もう一点目につきましては、当委員会に対して寄せられました民法成年年齢引下げに関する要望書、意見書、声明文等についてであります。

お手元の参考資料2から参考資料5ということで、各団体等から寄せられております要望書となっております。こちらについても、同じく委員各位に既に御送付等させていただいて、お目通しいただいているところでございますけれども、こちらについても改めて御確認していただければと思っております。

以上でございます。

○樋口座長  本日の議事は以上です。

最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。


≪3.閉会≫

○丸山参事官  本日も熱心な御議論をどうもありがとうございました。

次回につきましては、来週12月13日火曜日、午前10時からの開催を予定しております。よろしくお願いいたします。

○樋口座長  それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)