第17回 地方消費者行政専門調査会 議事録

日時

2013年6月13日(木)9:30~11:56

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
宇賀座長、沼尾座長代理、池田委員、小林委員、竹中委員、
仲條委員、吉川委員、吉冨委員
【消費者委員会担当委員】
稲継委員、吉田委員
【説明者】
北海道士別市役所市民部環境生活課 原田政広参事
消費者行政充実ネットちば 拝師徳彦事務局長
京都府宮津市役所産業振興室 前田繁副室長
【オブザーバー】
国民生活センター 西総務部長
消費者庁 村松地方協力課長、地方協力課
消費者委員会 山口委員長代理
【事務局】
原事務局長、小田大臣官房審議官

議事次第

1.開会
2.基礎自治体の役割と体制面での選択肢の検討
(1)基礎自治体の役割と体制面での主要課題の整理
(2)小規模自治体の体制底上げに向けて
   ○宮津・与謝における広域連携による消費生活相談体制について
   ○士別市における消費生活行政と広域連携について
   ○住民と行政で取り組む消費者行政活性化!~千葉での取り組み
3.基礎自治体支援[都道府県の役割]
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:130KB)
【資料1】 基礎自治体における体制面での主要課題の整理(事務局提出資料)(PDF形式:171KB)
【資料2-1】 宮津・与謝における広域連携による消費生活相談体制について(宮津与謝消費生活センター提出資料)(PDF形式:170KB)
【資料2-2】 与謝野町と宮津市との間の消費生活相談等に係る事務の委託について(宮津与謝消費生活センター提出資料)(PDF形式:105KB)
【資料2-3】 宮津与謝消費生活相談連絡会議設置要綱(宮津与謝消費生活センター提出資料)
【資料2-4】 宮津与謝消費生活センターの運営に関する協定書(宮津与謝消費生活センター提出資料)(PDF形式:102KB)
【資料2-5】 宮津与謝消費生活センターの運営に関する年度協定書(宮津与謝消費生活センター提出資料)(PDF形式:87KB)
【資料2-6】 伊根町と宮津市との間の消費生活相談等に係る事務受託告示(宮津与謝消費生活センター提出資料)(PDF形式:78KB)
【資料2-7】 宮津与謝消費生活センター設置告示(宮津与謝消費生活センター提出資料)(PDF形式:78KB)
【資料2-8】 宮津与謝消費生活センター体系図(宮津与謝消費生活センター提出資料)(PDF形式:98KB)
【資料3-1】 士別市における消費生活行政と広域連携について(士別地区広域消費生活センター提出資料)(PDF形式:436KB)
【資料3-2】 士別地区消費生活行政広域化事業協定書(士別地区広域消費生活センター提出資料)(PDF形式:95KB)
【資料3-3】 H25小学校消費者教育実施要項(士別地区広域消費生活センター提出資料)(PDF形式:332KB)
【資料3-4】 H25中学校消費者教育実施要項(士別地区広域消費生活センター提出資料) 【資料3-5】 H25高等学校消費者教育実施要項(士別地区広域消費生活センター提出資料)(PDF形式:429KB)
【資料3-6】 士別市消費者被害防止ネットワーク情報配信概要図(士別地区広域消費生活センター提出資料)(PDF形式:141KB)
【資料3-7】 H24年度寸劇実施風景(PDF形式:401KB)
【資料3-9】 士別市における「消費者行政」の取組み(士別地区広域消費生活センター提出資料) 【資料3-10】 「だまされない消費者塾」チラシ(士別地区広域消費生活センター提出資料)(PDF形式:229KB)
【資料4-1】 住民と行政で取り組む 消費者行政活性化!~千葉での取り組み~ 【資料4-2】 消費者行政充実ネットちばプロフィール(消費者行政充実ネットちば提出資料)(PDF形式:115KB)
【資料4-3】 消費者ネットちばNews 第19号(消費者行政充実ネットちば提出資料)(PDF形式:365KB)
【資料4-4】 消費者ネットちばNews 第21号(消費者行政充実ネットちば提出資料)(PDF形式:352KB)
【資料4-5】 消費者ネットちばNews 第22号(消費者行政充実ネットちば提出資料)(PDF形式:349KB)
【資料4-6】 白井市シンポジウム提言(消費者行政充実ネットちば提出資料)(PDF形式:117KB)
【資料5-1】 消費者基本法(事務局提出資料)(PDF形式:129KB)
【資料5-2】 消費者安全法(事務局提出資料)(PDF形式:168KB)
【資料6-1】 基礎自治体における消費者行政の体制整備の課題(池本委員提出資料)(PDF形式:16KB)
【資料6-2】 消費者行政職員向け研修カリキュラムのテーマと視点(案)(池本委員提出資料)(PDF形式:14KB)
【参考資料1】 地方消費者行政専門調査会名簿(PDF形式:98KB)
【参考資料2】 広域連携における「事務協定」、「規約」の例(PDF形式:295KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、時間がまいりましたので、始めさせていただきたいと思います。
 本日は、皆様、雨の中を朝早くからお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会地方消費者行政専門調査会(第17回)」の会合を開催いたします。
 議題に入ります前に、委員の交代についてお知らせいたします。前回まで委員として御出席いただきました、丹野美恵子委員におかれましては、委員を御退任されたい旨お申し出があり、丹野委員の後任として、新たに、全国消費生活相談員協会の理事長に就任された吉川萬里子さんに委員をお願いしたいということになりました。
 なお、丹野前委員は、5月27日に国民生活センターの理事に御就任されており、引き続きの御活躍をこちらとしてもお願い申し上げたいと考えております。
 吉川委員、初めてということで、一言、御挨拶をお願いいたします。

○吉川委員 御紹介いただきました吉川と申します。私は、大阪の守口市消費生活センターで消費生活相談員を32年間しておりまして、2年前から東京で相談員協会の仕事をしております。以前から、地方消費者行政については非常に関心を持って活動もいろいろしてきましたので、そういう意味では参加させていただいて嬉しく思っております。丹野に引き続き、よろしくお願いいたします。

○原事務局長 ありがとうございました。
 なお、本日、池本委員が、所用により御欠席されております。また、消費者庁地方協力課の村松課長におかれては、公務のため、おくれて御参加の予定ということで、課長到着まで地方協力課の中村補佐に御参加をいただいております。
 それでは、議事に入ります前に配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 配付資料につきましては、議事次第と書かれた紙に配付資料の一覧を載せております。
 資料1が、「基礎自治体における体制面での主要課題の整理」ということで、事務局から提出した資料になっております。
 資料2の関連が、後ほどヒアリングをお願いしております、宮津・与謝における取組みの資料になります。
 資料3が、士別市における資料となります。
 資料4が、消費者行政充実ネットちばから御提出いただいた資料になります。
 資料5は事務局から提出した資料で、資料5-1、5-2が法案です。
 資料6-1が、本日御欠席になりましたけれども、池本委員から御提出いただいた資料。その裏に、池本委員御提出の資料を表裏でつけております。
 参考資料1といたしまして、地方消費者行政専門調査会の新しい名簿をつけております。
 参考資料2は、平成23年1月24日に開かれました地方消費者行政推進本部の席上で提出された資料ということで、「広域連携における『事務協定』、『規約』の例」というものです。
 不足の資料がございましたら、審議の途中でお申し出をいただければと思います。
 また、本日、ヒアリングにお越しいただいている宮津市、士別市の地図を事務局より参考配付をしております。
 それでは、宇賀座長、議事進行をよろしくお願いいたします 。

≪2.基礎自治体の役割と体制面での選択肢の検討≫

(1)基礎自治体の役割と体制面での主要課題の整理

○宇賀座長 それでは、議事に入らせていただきます。
 本日の最初の議題は、「基礎自治体の役割と体制面での選択肢の検討」ですが、この議題について事務局で資料を用意していただいておりますので、事務局より御説明をお願いします。

○原事務局長 資料1になります。前回もお示ししたものに、少し肉付けと修正をしたものになります。簡単にどういったところを変えたかというのを中心にお話をしたいと思います。
 「(1)第16回会合までに指摘された主要課題について」ということで、主要課題のマル1の小規模自治体の体制の底上げ、主要課題マル3の自治体職員に対する支援策の在り方の検討、従前示していたものですが、主要課題マル2として、「地域力の底上げ」を明示いたしました。それが、「(2)主要課題の前提について」というところで、2つ目の黒マルのところですけれども、委員の皆様方から、昨年、消費者教育推進法が施行されたことを踏まえ、相談体制の構築だけではなく、さまざまな場で消費者教育を受けられる機会を担保する拠点の一つとして、今後、消費生活相談窓口が果たせる役割は何かというような御指摘もございましたので、それを前提に入れております。
 2ページ目をあけていただきますと、論点1の底上げの必要性のところも少し追記ということで、4)ですが、財政的制約、人的制約がある中で、どういうふうにして構築していくのかというところで、3行目から4行目にかけて、「福祉・安全など他行政分野や民間団体等との連携の具現化も一つの効果的な選択肢と考えられる」ということで、具体策をその下に「この点について」ということで書いております。
 5)として、身近な窓口の設置を基本とする一方で、専門性の高い相談、相談しにくい匿名性の担保、こういった相談についてどう考えるかというところを加えさせていただいております。
 論点2は、「消費者教育推進拠点として消費生活相談窓口の役割を再確認する必要性」ということで、1)、2)、3)と具体的に書いております。この辺りの書きぶりについても、御意見がございましたら後でお受けしたいと思います。
 論点3として、以前から職員の研修の必要性というのが出ていたのですが、なぜ職員の研修の必要性があるかというところを書ききっておいたほうがいいということで、3)のところに書いておりますけれども、「地方消費者行政の本質的な課題の解決には、消費者行政担当職員の関与が不可欠」。「まずは」というところから書いておりますけれども、消費者行政の位置づけや各関係主体の役割分担と、自治体職員としての責務(コーディネート、マネジメント)、こういったものは重要な役割を果たすことになると思いますので、そういったものを明確化した上での研修を考えるべきではないか、としております。
 4ページは、本日、後半で資料も示して、国及び都道府県における体制面での主要課題につきまして、少し審議をして加えていきたいと考えております。
 事務局からは以上です。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 ただいま、事務局から御説明がありました論点を念頭に置いていただきつつ、引き続きまして、「小規模自治体の体制底上げに向けて」ということで、関係者からのヒアリングを行いたいと考えております。

(2)小規模自治体の体制底上げに向けて

○宮津・与謝における広域連携による消費生活相談体制について

○宇賀座長 まず、巡回型で広域連携の取組みを行っている例として、京都府の宮津与謝消費生活センターからの御説明をお願いします。説明は15分程度でお願いします。

○京都府宮津市役所産業振興室前田繁副室長 それでは、「宮津・与謝における広域連携による消費生活相談体制について」ということで、経過から現在の取組みについて、御説明をさせていただきたいと思います。私は京都府宮津市産業振興室の前田と言います。宮津与謝消費生活センターのセンター長ということで、現在、その役職におります。15分ということですので、早速、説明に入らせていただきます。
 1の宮津・与謝の概要ということでございます。お配りさせていただいているかと思います。位置図ということで、京都府の北部のほうに、宮津・与謝と呼んでいますけれども、宮津市、伊根町、与謝野町の1市2町が位置しております。私は宮津市の職員ですが、日本三景天橋立を有しておりまして、この地図で言いますと、上と下に宮津市とありまして、ちょっと切れているようなところ、これが天橋立の松並木になります。実は回旋する橋がありますので、その橋が回ると北と南が分断されるというような市でございます。
 通常、車では与謝野町を通らないと行けない地形になっております。町と村が合併して宮津市になったのですが、それまでは与謝郡ということでしたので、それが宮津市と与謝に分かれたという中で、京都府の中では宮津・与謝ということで言っております。平成の合併のときに与謝野町、伊根町との合併の話もあったのですが、最終的には今のままということで、与謝野町は、3町が平成18年に合併して与謝野町ということでございます。伊根町も舟屋の里、与謝野町も丹後ちりめんの産地ということで、近畿では有数の観光地でございます。
 人口的には、22年の国勢調査は、宮津市は、市政ができたときには3万を超えていたのですが、現在、1万9,000人余、伊根町は2,400人余、与謝野町は3町が合併しまして2万3,000人ほど、合計で4万5,812人という状況です。
 1市2町ということで、以前から消防の行政、これが一部事務組合でございます。ゴミ処理の関係は、今回御説明するような事務委託ということで、共同処理を以前から実施しているところでございます。
 次に、2の「広域連携による消費生活センター設置までの経過」でございます。(1)、消費者安全法施行前の状況ということで、法が施行されるまでにつきましては、相談員なども置いておらず、行政職員が、未然防止のための広報であったり、自治体、地域への出前講座という格好でそういったことをしておりました。
 例えばクーリングオフ、訪問販売時の対応につきましては、京都府の出先機関(丹後広域振興局)に配置された専門相談員2名の指導・助言、これにほとんど頼ってやっておりました。私は観光の部署に平成10年からいますけれども、平成18年から機構改革で商工と観光が一緒になって、商工観光係になりました。当時の係長から今の職場にいますけれども、観光の仕事に加えて、商工の関係の中に消費生活の関係がありまして、当時はなかなか大変やなあというようなことを記憶しております。
 そうした中で、(2)、広域連携に向けた協議のきっかけということで、実は京都府から、京都府下全域に消費生活センターを設置したいということで、21年11月に宮津市のほうにも来られました。ほかの伊根町なり与謝野町にも行っておられますけれども、そのときには宮津市では、当時、国の基金も始まったという中で、その基金が終わった後のことであったり、後ほど相談件数なども触れさせていただきますが、実質、市で受け付けていた相談件数は十数件でしたので、専門の職員を配置するのはなかなか難しいということを思っておりまして、広域で取り組めるように検討したいということを、そのときには回答しております。
 コメ印で書いていますけれども、法で市町村がする事務だということで規定されたというのを説明会や府のほうから言われていまして、ただ、現場にいる私どもとしましては、人事異動があるような一般職員ではなかなか難しい。実際にいろいろな相談を受ける中では難しいということは理事者にも言っておりました。このまま続けるという方法もあるでしょうけれども、例えば嘱託職員の配置。これは当時、基金が終わったら市の負担になるのではないかというようなことも思いながら、マル2の広域連携。消防やゴミの関係は1市2町でやっているということもありますので、そういった体制がとれないかということは内々では相談していましたので、その旨を京都府にはお話しさせていただいたということです。早速、京都府からその話があったときに、2町には、検討していけないかということで呼びかけをさせていただきました。
 (3)は、広域連携に向けた体制づくりの協議ということです。第1回は平成22年1月に開催しています。担当者レベルということで集まったのですけれども、ほかの2町も、交付金終了後の財政負担、この辺りがどうなるのかなということでした。京都府のほうでは、あっせんチームということで弁護士さんをお願いしたりして、相談体制を支援する取組みもしていただいておりました。出先の相談員の支援、そんなものも含めて、この辺りのことはどうなるのかという不安の声であったり、専門相談員は要るのかということも含めていろいろ意見が出ましたので、2回目以降は京都府の職員にも同席をいただき協議を進めたということです。
 専門的な知識、住民に対しての迅速な対応、そういったことからすると、今のままの体制ではなかなか難しいのではないか。専門員の配置は必要性があるということ、また、組織の形態、相談員の数、どういった形で雇うか、育成するかいうようなこと。それから必要な経費。それなどをあらかたつくりまして、それを年度途中に市長、町長に決裁を求めました。センターを設置する方向で進めていきたいということを、それぞれで起案しまして、決裁を受けましたので、具体的な内容に進んだということでございます。うちの市長からも、当時、一担当事務職員がやるのはなかなか難しいのではないかということも言っていただいていたと思います。
 (4)は、共同処理の手続ということで、マル1の共同処理の方式です。当初、京都府に相楽郡広域事務組合ということで、これは南のほうになりますが、1市3町1村の一部事務組合がありまして(これは消防の組合も一緒になった組合です)、消費生活センターもこの組合でされているという取組みの事例なども聞かせていただきました。
 それから、愛媛県大洲市ということで、事例の中でここもいろいろ例として聞きました。相談員と大洲市が受委託の契約をされて、その相談員が、それぞれの市や町を巡回したり、相談を受けて回るという仕組みだったと思います。
 そういう中で、最終的には釧路市の例をうちは取り入れるということで、これは、実際にやっているごみ処理の運営の方法と同じ形ということで、事務委託方式として、宮津市が伊根町なり与謝野町の消費生活相談業務を受託するという形で受けました。
 マル2ですが、議会の議決や市町村の手続が出てきますので、そういった資料をつけさせていただいています。まずは議会での議決ということで、規約を資料2-2につけておりますが、2町が宮津市に委託。経費負担や連絡会議の設置をこの規約の中でうたっております。
 これを受けまして、イの宮津与謝消費生活相談連絡会議を設置要綱として設置して、その中でどういうふうに進めるかという協議の場を持つということで、資料2-3につけております。
 ウは、宮津与謝消費生活センターの運営に関する協定書ということで、1市2町で協定を結んでおります。センターの設置、相談員の雇用・事務(巡回相談)、負担金、報告、協定期間というのを2-4の資料でつけさせていただいております。
 エのところで、年度協定ということで、現在、基金でやっていますが、一部補助対象外という部分がありますので、その負担が生じる部分を、割合をもって、年度当初に幾ら、最終的に精算して幾らという形での協定でございます。
 オのところで、2町と宮津市との間の消費生活相談等に係る事務の受託ということで、宮津市のほうでの告示をやっております。資料2-6です。
 カで、宮津与謝消費生活センターの設置ということで、宮津市が設置する形をとりますので、宮津市で告示行為をさせていただいたということでございます。
 3は、「宮津与謝消費生活センターの概要」でございます。協議を経まして、平成23年4月1日から開設をしました。(1)の事務委託の内容につきましては、安全法にも書いてあります、消費生活相談、あっせん及び市町からの要請に応じた普及啓発に係る講師のあっせん、指導及び助言に関する事務ということをうたっております。
 全体の概要につきましては、資料の最後のページ、2-8に全体の体系図を載せておりますので、ごらんいただきたいと思います。
 (2)の専門相談員につきましては、1市2町の住民の相談件数、当時(平成22年)、直接の市町への相談は36件、府出先機関84件、府の消費生活安全センター62件、合計182件でした。通常であれば1人で対応できるのではないかということでしたが、休みの関係であったり、研修もどんどんやっていただかなければならないという中で、週3日の勤務、嘱託という形で2名雇用する形に最終的には整理しました。宮津市が任用ということでございます。
 相談員はどんな人かということですけれども、当時、基金等を活用しながら、専門相談員の増強ということで京都府で講習会をされておりました。そのときに受講者に呼びかけていただいた中で、希望者にどうですかというお話をしていただいて、やりたいということで言っていただいた方が2名あり、この方を4月1日になるまでに、2か月半ほど京都府の臨時職員という形で現場での勉強をしていただいて、4月1日からは就いていただいております。国民生活センターの巡回相談なども活用させていただいているということでした。
 (3)相談体制及び巡回相談ということで、週5日の開設、月曜日から金曜日まで。1人が週3日勤務ということです。1日だけ2人の体制があり、連絡調整をとっていただく日を設けております。
 巡回相談ということで、伊根町、与謝野町にセンターがないという形に見た目はなりますので、伊根町には火曜日、与謝野町には月曜日・木曜日、それぞれ午後から巡回相談という形で当初からやっております。
 (4)の経費負担については、現在は補助金を除した額の経費、均等割の10%、人口割の90%という形で算出しまして、2町から宮津市に2町分をいただいているという形です。
 (5)の相談件数の状況です。平成22年度は先ほど申し上げました件数ですが、23年度からは早速、センターには100件、府の出先には47件、府センター35件ということで、センターのほうへどんどんシフトしてきたのではないかと思っております。24年度もそういった形になっております。
 (6)の巡回相談の関係になります。直接2町への相談の件数、23年度は合計13件、巡回相談は22件でした。24年度、直接2町が12件、巡回相談が23件ということで、数はそんなにないのですが、現在、このような形で進めさせていただいております。
 最後になります、「4.広域連携による取組みの成果と課題」です。
 (1)の成果。住民にとっては、専門的な知識を持った相談員が身近になって、安心でスピーディで対応ができていると思っております。出前講座なども、センターの相談員を積極的に活用し、事故防止力の向上につながっているのではないかということです。市町にとっては、これまで行政職員がやっていましたけれども、このセンターによってワンストップで対応できるようになったのではないかということです。住民サービスの向上につながっているものと思っております。
 (2)の課題です。センターが宮津市にあるということで、当然、2町から離れております。少しでも解消する手段ということで巡回相談をやっておりますが、今のところ、当分の間ということで言っております。ただし、現在のところは継続すべきではないかと思っております。
 市町にとっての課題ということです。やはり国の支援終了後の財源の負担がかかってくるということ。それによって、人件費、研修費用、そういったものが財政的にはカットする対象になってきますので、そういった部分が今後、厳しいことが出てくるのではないか。行政職員についても、基礎知識の習得のためにはそういった研修も必要ですけれども、そういった経費がなかなか難しくなってくるのではないか思っております。
 行政職員は、専門相談員がいれば相談員任せということになりますので、そういう意味では行政職員の研修は必要ですので、その辺りはいろいろな支援によってカバーしていただきたいと思っております。
 同じようなことになりますが、国に対してやはり継続的な支援をお願いしたいということ。それから、国民生活センターは研修等いろいろお世話になっております。そういったことも継続していただきたいということでございます。
 都道府県ということですが、京都府には頑張っていただいております。引き続き京都府のほうも、国に対しての要望であったり、広域的な事案等、いろいろな支援をこれまでどおり先導的にお願いしたいということでございます。
 済みません。時間が大分オーバーしました。ちょっと走りましたけれども、以上でございます。

○宇賀座長 どうもありがとうございました。

○士別市における消費生活行政と広域連携について

○宇賀座長 引き続きまして、中心市集約型で広域連携の取組みを行っている例として、北海道の士別地区広域消費生活センターからの御説明をお願いします。説明は15分程度でお願いします。

○北海道士別市役所市民部環境生活課原田政広参事 北海道士別市役所の参事をしております原田と申します。
 きょうの説明でございますが、資料3-1が本日の私の説明の概要となっておりますので、3-1を基本に見ていただきたいと思います。限られた時間ですので、少々早口になると思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
 士別市は、旭川から北に約50キロに位置しておりまして、現在、人口が2万1,264名となっております。農業を基盤として発展してきた町でございます。詳細については、3-1に記載しておりますので、是非、後で読んでいただきたいと思っております。
 それでは、始めたいと思います。
 まず、国の消費者政策や地方自治体における消費者行政については、過去、その重要性が認識されながらも長く後回しにされてきている状況にあります。平成21年に消費者庁及び消費者委員会が創設され、また、地方消費者行政活性化交付金が措置されたことで、全国の自治体が消費生活行政の仕組みづくりを主に推進してきている状況であります。 本調査会においては、士別市のような小規模な地方都市において、限られた予算、人員体制で効果的に消費者行政を進めるための工夫、交付金を活用してどのように消費者行政、消費者教育及び広域連携の基盤整備に取り組んできたかについて、紹介したいと思っています。主に仕組みやどこが中心になるのか、「核」について、というところを今回お話ししたいと思っております。
 まず、広域連携でございます。広域連携については、皆さん既に御存じのとおり、「北・北海道中央圏域定住自立圏形成協定」に基づいて進めてまいりました。この協定の中身については事前に協議いたしまして、消費生活の分野をそこに盛り込むということでございます。
 また、定住自立圏形成協定に至るまでの背景といたしまして、平成20年2月に開催いたしました、北海道の北にあるJR宗谷線の副市町村長会議において、平成20年度以降の消費生活相談体制について協議し、上川地区を4ブロックに分けた広域体制の構築を、今後、検討・協議していくことを決定いたしました。4ブロックの中心都市については、上川管内は23の市町村がありまして、士別市、名寄市、富良野市、旭川市がその核となっていくということです。
 現在、北海道内で進められている消費者行政広域化事業協定の内容については、恐らく全国も同じだと思いますが、そのほとんどが消費生活相談事業に特化したものであります。特に町村における消費生活相談件数は極めて少ない現状でありまして、関わる消費生活相談員の能力が必ずしも有効に活用されていないということです。そこで士別市は、相談員の培ったスキルを活用するため、消費生活相談業務のみならず、消費生活行政の事業、消費者教育の支援を含めた協定の内容で進めております。後ほど述べます。
 協定書については、添付書類にありますので見ていただきたいと思います。協定書の要点については、消費生活相談事業及び消費生活行政関連事業の支援と連携ということです。負担金は、消費生活相談員2名の賃金総額を国勢調査人口を基準として、1市3町の人口割で算出したものとしています。応分の負担をしてもらうかわりにいろいろな支援をしていきましょうということでございます。
 成果といたしましては、相談件数が町村については少ないということですが、少ないということではなく、潜在的な被害者がいるということも判断いたしまして、その掘り起こしを何とかしたいということでございます。
 また、消費者教育についても、士別市内で実施している小学校・中学校・高等学校への授業と全く同じ内容が広域連携の3町で行うことが可能です。こうした連携の成果については、息の長い取組みとしていずれ具体的な形としてあらわれるものと期待しております。具体的な形というのは後で述べますが、消費者教育については、全人的な教育という部分でとらえている関係上、人材の育成にもかかわっていく。現在、小学校・中学校の児童生徒が大人になったときに、やがて町づくりの中心となる人材がそこに期待される、そういった具体的な形も実は考えております。
 広域の成果といたしましては、掘り起こしも含めてですが、消費者協会の理事と消費生活相談員で構成している「劇団さくら」という劇団があります。これは、悪質商法等の手口を寸劇化したものを老人クラブなどで公演しております。資料3-7に写真がありますので、是非、後で見ていただきたいと思います。
 また、安全・安心ネットワークを構成しておりまして、1市3町合わせて183の機関・団体が登録しております。できる限り多くの団体を登録していただきたいと進めています。消費生活はもとより、交通安全・防犯・防災関係の情報も流すという形で進めています。これについては3-6にその仕組みが絵で載っておりますので、後で見ていただきたいと思います。
 消費生活行政の予算は、単費予算ということで、平成20年に497万円だったものが、平成25年度、本年度は1,000万を超えている。約2倍強で予算づけをしているということで、理事者も消費生活行政に理解をいただいていることでこのような形になっております。その間、活性化交付金事業を利用しながら進め、体制整備を図ってきまして、士別市としては、活性化交付金の事業がなくても自立していくというスタンスはずっと続けていこうということでありまして、そういう仕組みを、今、構築しているところであります。
 次に、小・中・高における消費者教育授業の取組みでございます。これは、「新たな仕組みの構築と消費者教育推進法の対応」ということで、平成24年8月に消費者教育推進法が施行し、それに基づき全国の各自治体が進めていますが、実は、同推進法においても具体的な取組み方法には言及してはおらず、行政や学校が、今もなお混乱している状況にあるのではないかと思っております。
 その原因としては、活性化交付金事業について、当初、国と都道府県が一定のスキルに達していないという判断を私はしております。理論的な構築をしないままに見切り発車をしたということで、全国の市町村に丸投げ状態になったことは否めない事実ではないかと思います。地方自治体は自力で切り開いていくしかなかったというのが、恐らく現状ではなかったかと思っております。
 士別市においては、地方公共団体の責務ということで、新たな推進システムを構築して進んでいこうということで実施してまいりました。これが「ハブコミュニティシステム」です。どこが核になるのか、どこが中心になるのか、どこが交通整理をするのかというのが、実は国も都道府県も一定の基準は出ていないということであります。士別市は、環境生活課イコール消費生活センターがそこの核となっていくということです。ハブ(hub)というのはハブ空港のハブで、自転車の軸であるハブにスポークが伸びるように、いろいろなことがハブを必ず通っていく。通った機関・団体はハブの議論がわかるということで、通った者同士がまた連携していくという、網の目のネットワークがここで構築していくということであります。
 これを進めて行くために、消費生活相談員を消費生活行政のプロパーとして位置づけをしております。要するに消費生活行政の専門職ということです。ですから、消費生活相談員だけではなく、消費生活行政も担っていくということで進んでおります。図はここに載っておりますので、見ていただきたいと思っております。このハブコミュニティシステムは、小規模都市と広域連携における消費生活行政の推進にかかわる決め手の一つではないかと思っております。
 それから、士別市における消費者教育推進法の履行の方法の一つとしては、横断的な取組みをいかに構築するか、縦割りではなく、横断的な取組みをすることによって消費者教育推進法を進めて行くものではないかと思っております。
 消費者教育の副読本ですが、資料3-8に載っておりますが、「くらしのノート」ということで作成いたしました。実は作成にあたり、横断的ということでは、官民一体となった取組みの成果ではなかったかと思っております。政策等を依頼をした会社の技術者が非常に優秀なレベルであったということで、私たち自治体のニーズに見事に応えていただいた。作成に当たって、その技術者とキャッチボールをしながらできたということです。内容ついては基礎基本に特化したということでありまして、当然、学習指導要領の改訂、法律の改定にも十分対応していくことができるということで、市内全ての中・高生に配布しております。
 消費者教育の期待される効果は、ここにも書いてあるとおり、ここが私たち職員が非常に力を入れているところなのですが、消費者問題と社会の問題を考えることのできる子どもの育成。生涯にわたり賢い消費者への第一歩を踏み出すきっかけとなる。良き社会人・家庭人・職業人になるための礎。教育力(基礎学力)の向上が期待される。「科学的なものの考え方」のできる力を育成。将来の職業選択の幅を広げるとともにその意欲を高める。消費者教育授業に、ありとあらゆる考えられる人材が子どもたちと接することによって、弁護士になりたい、何々になりたい、お医者さんになりたい、という職業選択のモチベーションが高まっていくのではないかと思っております。
 地域や関係者への効果ということで、これは、社会人の再教育ということで位置づけております。
 次に、4の「課題の提案」ということでございます。士別市における消費生活相談員の今後ということで、消費生活相談員を行政職員の専門職として位置づけていることを話させていただきたいと思います。
 士別市における消費生活相談員のスキルや経験は、消費生活相談と消費生活行政の専門職として欠かすことのできない存在ととらえております。現場で培ったスキルや経験は、大学の教育学部や生活科学系の学部で行われている消費者教育の課程で総合的な消費生活を学ぶカリキュラムにおいて、実践教育を行うことのできる講師として、その任を担うに値すると考えております。現在、近隣の大学に何とか講師として派遣できないかということで働きかけております。
 さらには、全国の大学の研究者が構築している「学問としての消費生活」に対し、地方都市士別市からも、その支援や理論の構築に参画できる人材ではないかと思っております。
 次に、相談員の求められる能力ということで、少し頭の痛い話になるかと思いますけれども、消費生活行政の専門職ということで、相談業務だけではなく、学校教育、福祉、税務、国保、コミュニティ、社会教育、いろいろな分野の知識が必要と考えております。
 消費生活にかかわる総合的な企画・立案を実施していくためには、白紙の状態からつくり上げていく力、理数学的な力、要するに価格的な力ということですが、それと、機関や団体を連携し動かすマネジメントの力が必要であると判断しております。これらについてはレベルアップということで、資料3-10、市民を対象とした講座も開催しておりますが、その中に消費生活相談員も入りまして研修をしているということでございます。
 次に(2)の士別市における消費生活行政の課題ですが、構築したハブコミュニティシステムを士別市や広域連携自治体に浸透させるため、関係機関、団体に理解を図っていっている状況でございます。いずれにしても、消費者教育の全人的な力を養っていくところに重きを置きまして、今後、子どもたちの育成に進んでいきたいと考えております。
 次に(3)の北海道における消費生活行政の課題ですが、広い北海道をどうするかということを、国、都道府県も含めて考えていただけないかと思っております。現在のところ、道、道の教育委員会、道の消費生活センターの三者における具体的な連携が、私たち地方から見て少ない。今後も各自治体や学校等々の混乱が予想されるということでありまして、何とかこの三者が連携していただきたいと思っております。
 実は広い北海道、14の区域に分けていますけれども、この14の区域にかつては消費生活推進員、その前は相談員がおりましたが、平成24年度3月31日をもって廃止された。消費生活センターというのは、実は「心のよりどころ」とも考えておりまして、一体、我々の心のよりどころはどこにあるのかということも含めて、北海道が真剣にこれから考えていかなければならないと思います。
 次に(4)の消費者庁、文部科学省、国民生活センターの連携ですが、地方自治体としては、消費者教育の目的や手法、とらえ方、「核」となって推進する機関等については、国による具体的かつ現実的な指針が必ずしも明確に示されていないというのが現実でございます。これらを解消するためには、消費者庁、文科省、国民生活センター等々が将来を見据えた仕組みをつくっていただければ、私たちの願っているところでございます。 この三者については、我々地方消費者行政担当者の心のよりどころたる存在であってほしいというのが、私たちの願いでもあります。地方から見て、この三者については、それぞれは機能していると思いますけれども、ばらばらでいるという状況が実は見えております。その原因としては、消費生活行政が学問化されていないことが大きな原因ではないかと思っております。こういったことも含め、今後、国も横断的な取組みで進んでいっていただきたいと考えております。
 次に(5)の消費生活を学ぶ学生の就業先の確保ですが、大学で消費者行政を学んでいる学生たちが、就職先が見えてこないというところもありまして、こういったことについては国家レベルで進めていただければ、私たち地方にとっても次の職員採用に大きな力になるのではないかと思っております。
 終わりになりますけれども、今後、士別市が進めているハブコミュニティシステムを何とか広めていきまして、地方ならではの行政の推進をしていきたいと思っております。注意していかねばならないことについては、「絵に描いた餅」「論語読みの論語知らず」ということで、サッカーを例にとりますと、サッカーではボールコントロールが次の部屋に入る鍵だと言われています。要するにボールコントロールが基礎基本ということで、消費生活行政もそういった基礎基本をしっかりと学ぶ必要があるのではないかと思います。
 こういう共通の課題や問題を克服するキーワードというのは、「主体者は誰か」を認識することが非常に大切であるということを述べて、終わりにしたいと思います。5分ほど超過しました。済みませんでした。

○宇賀座長 どうもありがとうございました。

○住民と行政で取り組む消費者行政活性化!~千葉での取り組み

○宇賀座長 続きまして、消費者団体として地方消費者行政の体制強化に尽力されている例として、消費者行政充実ネットちばから御説明をお願いいたします。説明は15分程度でお願いします。

○消費者行政充実ネットちば拝師徳彦事務局長 消費者行政充実ネットちばの事務局長をしております拝師と言います。資料4-1のパワポの資料を中心に御説明したいと思います。
 まず、消費者行政充実ネットちばという組織の紹介ですが、1枚めくっていただいたところに簡単に書いてあります。資料4-2のほうに詳しい加入団体等のプロフィールをつけてあります。2008年9月27日に設立、県内の消費者団体等15団体で構成しています。千葉県下の消費者行政の充実・強化等を目的として活動しているグループです。今、我々がメインの取組みとしてやっているのが、次のページにある「市町村シンポ」と言っているものです。これについて、きょうは中心的にお話をしたいと思います。
 市町村シンポがどういうものかと言いますと、個別の市町村でシンポジウムを開催する。具体的にはこれまで、千葉県内の9市町でネットちばとして市町村シンポを開催してきました。昨年度からは、千葉県弁護士会でも取組みを始めようということで、南房総市、1か所ですけれども、始めています。今後もこういう取組みを続けていきたいと思っています。
 市町村シンポのポイントは、現地の実行委員会ということです。我々はネットちばと呼んでいますが、消費者行政充実ネットちばという県単位のグループが個別の市町村に行っても、なかなかとけ込めないというか、きちんとしたものができないだろうということで、現地に実行委員会をつくってもらう。その実行委員会の構成メンバーの所属団体の例が書いてあります。開催する市町村によってこれは違ってくるわけですけれども、例えば、町内会連合会、老人会、防犯組合、地域包括支援センター、中核支援センター、教育委員会、社会福祉協議会、民生児童委員協議会、消費者団体。一見、消費者問題には関係なさそうに見えるところにもお願いして入っていただいて、いろいろな議論をしていくところがポイントだろうと思っています。
 基本的にはシンポジウムをやって終わりという、シンポジウムを自己目的化するのではなく、あくまでその後のその市町村での取組みを進めてもらうためのきっかけにするという意識でやっています。実行委員会を4~5回やりますけれども、実行委員会で議論したことをまとめて、「提言」という形で要望書みたいなものをつくります。必ずシンポジウムのときに首長さんに出ていただいて、住民側からその提言を手渡すということをやっています。それによって一定の効果も期待できるのではないかということです。
 次のページですけれども、今までやってきたメリット、よかったなと感じていることです。地元で活動する諸団体、これは、消費者問題をメインに取り組んでいる団体以外のところにもかかわってもらっています。初めの段階では、何のために実行委員会に参加しているかわからないと言われることもよくありますが、丁寧にお話をして、いろいろな団体に理解をしてもらう。地元の消費者問題がどうなっているのか、地元の消費者行政がどうなっているのか、自分たちは何をすればいいのか。そういうことを議論してもらって、地域のネットワークをつくるきっかけにしてもらえるのではないか。それから、消費生活相談窓口の存在、役割などを直接住民の方に周知できるということ。かかわった消費者行政担当者の方の意識も高まってくるということです。首長さんにシンポジウムに来ていただいていますので、首長自身への働きかけが直接できるということで、提言の実現可能性が高いということです。
 これまでの市町村シンポはほとんど、千葉県の委託事業、活性化基金を使った県民提案事業という形でやっていますので、我々としては消費者団体支援そのものにもなっている。その提案事業を利用することで消費者団体支援もしてもらいながらやっている、そういう形になると思います。
 右にイメージということで「消費者ネットちば News」というのをつけてあります。資料にも、全部ではありませんが、資料4-3から4-5まで、これまでやってきた市町村シンポの中の幾つかをニュースにしたものを抜粋してあります。
 このシンポジウムは、先ほど申し上げたようにあくまで「提言」というのがみそで、その後、その市町村でどういう取組みをしてもらいたいかということを住民側で議論して、住民側から提案する。例えばどういうものが提言になっているかということで、提言の具体例その1、これは、富里市というところでシンポジウムをやったときの提言の要約版です。
 一つは、消費生活センターの相談体制を強化する。相談窓口である消費生活センターの周知の工夫をする。実行委員で来られる方々に聞いてみると、そもそもセンターがあるのにセンターを知らないとか、センターが何をやってくれるのか、どこまでやってくれるのかがわからないという声が非常に多いです。ですから、住民の中では、今後は、そういう立派なものがあるのであれば是非住民にも周知をしましょうということで、こういう提言になるわけです。それから、行政内の連携並びに関係機関・関係団体との連携を確立し、相談の掘り起こしをすること。消費者教育を推進すること。そういう話で提言ということでまとめてあります。
 もう一つ、ことしの1月にやった提言の具体例その2、白井市のケースです。ここはおもしろい取組みを進めようとしていまして、右の図にあるように、地域福祉ネットワークを整備しようと。地元では「地域ぐるみネットワーク」「市ぐるみネットワーク」と言っていますが、上の枠が地域ぐるみネットワーク。これは小学校区単位で一つのネットワークをつくる。それとは別に、その下にあるように市ぐるみネットワークということで、市レベルのグループ等が連携して一つのネットワークをつくる。これによって、福祉についての例えば見守りであるとか、フォローをしていこうという取組みをこれから始めようというところでした。
 白井市シンポの実行委員会の中で、ネットちばとしても、消費者問題解決のためにいろいろな団体が連携してやるといいですよというお話をしたんですけれども、そのときに、現地の実行委員の方から,市ぐるみ・地域ぐるみネットワークとの関係はどうなるのでしょうという意見が出て、そうであれば、市ぐるみ・地域ぐるみの枠を利用して消費者被害の予防・救済にも活用したらどうか、ということで議論しました。一つはそこがポイントです。
 2番目として、市ぐるみネットワーク、地域ぐるみネットワークをただつくってそこに情報をのせようとしても、ふだんから消費者問題に取り組んでいる団体ではないので、それを徹底したり、円滑に協力してもらうことは簡単ではないのではないかという話をしました。では、どうしようかということで、地域ぐるみネットワークの各地域、小学校区単位ごとにつくるわけですけれども、その地域の中に消費者問題について主導的な役割を果たす人材を配置してはどうか。それについては消費者教育推進法の仕組みを活用してはどうかという話をして、これからやっていこうかということになっています。
 あとは、ほかの地域でもありますが、消費生活センターの相談体制を強化することとか、消費生活センターの存在と役割のさらなる周知をする等の提言を出しています。これが白井市のケースです。
 次は、これまでやってきて割と具体的な成果が出てきているという部分もあります。例えば、実行委員会参加団体を主な構成メンバーとする消費者行政連絡協議会、これは地域によって名前は違うでしょうが、富里市や野田市でやった後にこういうものができています。
 それから、実際に消費生活相談窓口を、相談日の増加等、強化したというところも、富里市、旭市、茂原市とあります。香取市というところは、そもそもセンターになっていなかったのですけれども、今年度からセンター化を実現したということになっています。
 情報発信のツールとして、防災・防犯メールをやって、登録した住民の人に市から発した情報が届くという仕組みをとっているところが結構多いのですが、これに消費者被害ものせてくれということで話して、のせる仕組みにしてもらう。あるいは、広報無線等、その自治体ごとに工夫しながら広報手段を持っていますので、そういうものを活用して発信してもらうということを提言にのせて、それをまた実現してもらうということも、これは早めに対応していただいているかなというふうに思っています。
 我々としては、先ほど言ったように、ただやりっぱなしで、シンポジウムをやって終わりではないということで、その次のページですが、アフターフォローもやっています。シンポをやって1年ぐらいした後に、その後どうなりましたかということで行政の担当課に問い合わせをして、まだ不十分だということであれば、担当課の方とお話をしたり、場合によっては議会で質問してもらったりということで、実現に向けたフォローを我々としても続けています。
 まとめですけれども、「市町村シンポを通じて感じていること」です。
 一つ目は、その地域には、消費者団体に限らず地域のために活動するさまざまな団体が存在します。そうしたいろいろな団体と行政が連携する、そういう団体相互が連携する。それによって、より効果的な取組みが実現できるのではないかと思っています。
 マル2ですけれども、地域の連携をやっていくには行政側の関与は非常に重要です。これまで実行委員会をやってきて、基本的には行政の方がいろいろな団体への声かけをやってくれます。外から我々ネットちばの人が行って、町内会に入ってやるということはまずできません。行政の方は、地元でどういうところが活発に働いていて、この人たちを呼んできてお話しすれば協力してくれるのではないかという感覚は大体持っているわけです。ですから、行政にそういう連携の中核に入ってもらうといいのではないかということで、今後、行政職員の役割は議論されると思いますが、地域の連携の促進とか、そういう役割を明確に位置づけてほしいと思っています。
 それから、我々ネットちばのような取組みを広げるには、今の実行委員会の例でもそうですけれども、行政による支援が非常に重要です。開催の費用も出してくれている。我々のやっているのは提案事業ということで、千葉県の名前、正式な後援はしてもらっていませんが、県の委託事業ということで県のお墨付きがあるということ。そこも重要だと思っています。今の建付けでいくと、基金を使ってオリジナル事業の一環としてやっているわけですけれども、もう少し積極的に国のほうでも推進していってもいいのではないかという気がしています。
 もう一つ、先ほどの白井市の取組みなどをきっかけに、少し我々でも議論を深めています。マル4ですけれども、市町村よりも狭い単位の地域、例えば小学校区単位内での連携を、市町村レベルでの連携とは別に構築することが重要ではないか。より住民に密着した形での情報発信、あるいは、被害の掘り起こしができるというのは、市町村レベルだけでも少し広すぎるかなという気がしています。それをさらに小学校区単位で考えてみて、どうすればいいか。そのためには、各地域での連携の要となる人材を各地域で育てて配置することが有効ではないかということで、そのために消費者教育推進法の枠組みが使えるのではないかと思っています。
 消費者教育推進法で、消費者教育推進地域協議会を基礎自治体にもつくりなさいということになっています。そこに、先ほど言ったようないろいろな団体に入ってもらって、こういう人材育成について、どういうふうに人を選んで育てて活動してもらうか、という辺りを議論することがいいのではないかと思っています。この辺は、私の個人名で、「消費者法ニュース」という雑誌の7月号に投稿を少し詳しめのものをしているので、ごらんになっていただければと思います。
 今の延長で参考に入れてありますけれども、「消費者市民サポーター」、仮に各地域に中核になる人を配置するとどんなイメージになるのかということで図をつくっています。市レベルでのネットワークも、当然、消費生活センターが中心になってくると思います。各地域に小学校区単位でそういう人材を張り付けるとしても、情報はセンターに集まってきますので、消費生活センターと連携しながら活動することになると思いますが、地域での連携の要は、地域、地域で各地区の人材にやってもらったほうがいいのではないかということで、こういう図をつくっています。
 それから、こういう建付けにするとどういうメリットがあるかということで、例えばですけれども、消費者市民サポーターが地域で活動するときにこういうやり方でやるといいのではないかと思っているのが、一つはリコールの関係です。リコールは、皆さん御存じのように、情報としては、企業側は一生懸命出す、国のほうも一生懸命出していますが、なかなか住民、消費者に届かなくて、事故が発生してしまうということが繰り返されていると思います。それを何とかリコールの回収率を上げられないかということです。
 例えばA地区のサポーター、その地域の人材の人がリコールキャンペーンをやってみようと。とにかくリコール製品は数が多いので、絞り込まないとほとんど効果がないと思います。ですから、季節・対象者、例えば、冬に入る時期に暖房器具のリコール製品に絞る。それから、今回は独居老人の方に絞り込んでやってみようということで、地域で絞り込みをする。
 ここに書いてあるのは、「入園・入学シーズンに合わせて乳幼児向け製品のリコールキャンペーンをやろう!」ということになっています。では、子どもが関係する団体にお願いしてみようということで、行政とも相談しながら、例えば地域の子ども会の責任者、子育てサークルのリーダー、PTAの役員などに掛け合って協力をお願いする。その上で、そういう人たちと一緒に実際に家を回ったり、あるいは、親御さんと直接お会いして面談の形で趣旨を説明して、これを放っておくと危ないので、該当する方はすぐにお知らせくださいみたいな形でやっていくといいのではないか。
 かなり消費者に密着した形での活動が期待できるのではないかと思っていまして、地域連携プラス、行政サイドが抱えている課題もやれる可能性があるのではないかというので、我々としても力を入れて、今後、市町村シンポをやるところ、あるいは今までやったところにも、そういう形で、地域での人材育成を意識的にやりましょうということを働きかけていこうかなと思っています。
 私の報告は以上です。

○宇賀座長 どうもありがとうございました。
 これまで、基礎自治体の広域連携についての実例を2つ、さらに、消費者団体による取組みについて御説明を伺いました。小規模自治体、過疎自治体も含んだ広域連携の実情や課題、士別市からありました、消費者教育を例にとった自治体における庁内連携の進め方、地方消費者行政の充実に向けて消費者団体による自治体への働きかけ、あるいは連携の在り方といった点について、御説明がありました。「小規模自治体における体制底上げ」という本日のテーマに関して、大変示唆に富む御説明をいただいたと思っております。
 これまでの御説明につきまして、委員の皆様方から質問や御意見があればお願いしたいと思います。また、今後の報告を取りまとめるために、これまでの御説明を受けまして、小規模自治体の消費者行政の体制の底上げの観点、さらに、今後、高齢化の進展、あるいは小規模自治体を取り巻く環境が厳しくなると考えられますけれども、そのような状況下で、このような小規模自治体において消費者行政の体制をいかに維持・発展させていけるかといった観点からも、御示唆をいただければと思います。いかがでしょうか。
 吉田委員、どうぞ。

○消費者委員会吉田委員 御説明、ありがとうございました。士別市の原田さんにお伺いしたいと思います。お話を伺っていると、これからの消費者行政の在り方、有り様というものを既に実践されているのではないかということで、大変すばらしい取組みをされていると受け止めております。ありがとうございます。
 2点、お伺いしたいと思いますが、1点目は、消費生活相談員を今回新たに採用されたということで、消費者行政職員とともに消費生活相談員をプロパー、消費者行政を一緒に進めていくカウンターパートだというとらえをされて、政策形成まで一緒にやっていくという取組みを非常に関心深くお伺いしました。一方で、そういった高い能力を求めるのに見合う報酬と身分の確保というところは苦労をされているのではないかと思いますが、どのような状況になっているのかということをお伺いしたいと思います。
 もう一点は、基金が切れた後も自立してやっていける体制ができているという御説明でしたが、予算の状況を見ていると、相談員の人件費を基金に頼らず市の単独費で確保しているところがポイントかなと思われます。そうなってくると、この時代、単独費を増やしていくというのは非常に大変なことだと思いますが、人事と財政への説得といいますか、うまく増やせた理由といいますか、そこをお伺いできればと思います。
 非常勤職員でやっていらっしゃるということですね。

○北海道士別市役所市民部環境生活課原田政広参事 そうです。

○消費者委員会吉田委員 わかりました。よろしくお願いします。

○北海道士別市役所市民部環境生活課原田政広参事 まず、第1点目の消費生活相談員の専門職ということですが、士別市の嘱託職員ということで進めております。消費生活行政の企画・立案も当然担っていますけれども、我々は学校の教員も含めて人事異動が伴うということで、人事異動が伴うと、せっかく何年かで培ったスキルがそこでなくなってしまいます。消費生活行政のサービスを低下させないためには、やはり核となる職員がそこには必要だという考え方です。それがハブコミュニティのハブです。当然、そこには財政的な支援、要するに賃金の部分が絡んでくる。現実問題としてはそこが一番厳しいところでありますが、現時点では士別市の相談員の賃金は道内では一番高いですが、雇用条件の改善も進めて行くことになります。
 単独費というところの人件費ですが、広域連携における負担金が人件費の一部を担っているということでありまして、当然、そこは財政当局とも協議をしながら、身分の確保と向上をあわせて進めていっているという状況でございます。
 過去5年間、単独予算が倍になったというのも、理事者のヒアリングでとにかく説明をするということでありまして、十分資料を用意しながら、決め手はやはり消費者教育というところで進めております。全人教育というところを含めて、消費生活行政も行政の大切な分野としていくことも説明に入っております。やがて学問化は必ずするだろうということも含めて言っておりますので、そこを理事者が理解していただいているということでないかと思います。

○消費者委員会吉田委員 もう一つ、追加で伺ってよろしいでしょうか。相談、あっせんをやらなければと、全国的にはそこにのみフォーカスしがちなのですが、消費者教育を絡めるというところで、より庁内外からの支持を得やすい仕組みにされているというふうに理解しました。
 相談員は嘱託職員だということで、任期はやはり1年限りだと思います。通常は更新の繰り返しということになっていくと思いますが、雇止めとか、その辺の問題というのは市の中ではないのでしょうか。

○北海道士別市役所市民部環境生活課原田政広参事 結論から言いますと、雇止めはございません。雇用の一部が改正されまして、嘱託職員については65歳まで希望していられるということで、65歳までは確保できるというところで、長い目で見た形で進んでいく。その間、先ほど言いましたように、雇用条件のアップもあわせてしていく。今、相談員は2名おりますが、1名は55歳、もう1名、4年前に採用した相談員が38歳ということで、順繰りに育成をしながら進んでいく体制も構築しております。

○消費者委員会吉田委員 ありがとうございました。

○宇賀座長 仲條委員、どうぞ。

○仲條委員 私も原田さんにお伺いしたいのですけれども、相談員が行政の専門職ということでやられているということですが、相談業務と政策などの企画・立案との業務量の割合というのは、どのようになっていらっしゃるのかということ。
 もう一点、相談員さんへの研修というか、そこまでのものすごい高いスキルが必要な、そういったことを担う相談員さんへの研修や養成はどのようにされているのか、教えていただきたいと思います。

○北海道士別市役所市民部環境生活課原田政広参事 まず、業務量の割合ですが、今、私どもの担当は市民生活担当ということでありまして、管理職を含めて7名体制でやっております。そのうちの2名が消費生活相談員です。正規職員が私を入れて4名です。正規職員の2名が消費生活行政を担当しているということで、チームを組んで進んでいるという状況ですので、消費生活相談員に消費生活行政も丸投げということではなくて、消費生活行政を共に進んでいくという体制を構築することによって行政サービスの低下が防げるという考え方です。
 次に、研修ですが、予算の重要な位置づけは研修費を確保するということでありまして、道内・道外研修は、道外については、1人・2~3回の部分では予算づけをしております。この部分については、活性化交付金事業もうまく利用しながらということで、交付金事業がなければ、単独でも、少なくとも1人1回~2回は派遣して研修を受けるということはしております。あと、図書の購入については、相談員がほしいという図書については、すべて購入をする形にしております。

○宇賀座長 ほかにいかがでしょうか。
 池田委員、どうぞ。

○池田委員 お二方にあわせて質問ですけれども、相談業務というのは、人吉の場合は、消費者生活問題に限らず、一般の相談の中にも消費者問題が含まれているという部分も含めて、よろず相談という形でやっています。相談業務というのは、あくまでも消費者行政と、俗に言われる悪質商法とかそういうのに特化されているのか、やはりよろず相談という部分も含めてやられているのかということだけ、教えていただければと思います。

○京都府宮津市役所産業振興室前田繁副室長 宮津・与謝の場合は、伊根町も与謝野町も、消費生活の関係とその他の市民相談といいますか、そういった関係はたまたま分かれていたということもありまして、一応、消費生活オンリーでやっていただいております。

○北海道士別市役所市民部環境生活課原田政広参事 実は、2系列の相談を私ども環境生活課は持っております。一つは消費生活相談、もう一つは市民相談ということで、市民相談が、おっしゃったようないろいろな相談を受けてやっていると。基本的にはワンストップサービスが大前提ということで、総合相談窓口という仕組みをつくりまして、まずは環境生活課の私どものところに市民の方々がお見えになる。そこで、消費生活相談なのか、どのような相談なのかということで、市民相談の部分についても、消費生活相談の部分についても来られる市民はいろいろな問題を抱えておりますので、関係する部局の職員をすぐ呼びまして、チームを組んで課題解決に当たっているということでございます。
 ですから、先ほど触れることができなかったのですが、環境生活課イコール消費生活センターを庁外には置かないというのが実は大前提なのです。庁外に置きますと、ワンストップサービスができなくなるというデメリットがあります。道内の消費生活センターはほとんど全てが庁外にあるために、ワンストップサービスをそこで行うことができないということであります。ですから、どんなことがあっても消費生活センターは庁内に置くということで、平成31年に新庁舎を建設する予定となっております。その部分も見越してこれから企画をしていかなければならないということであります。

○宇賀座長 吉冨委員、どうぞ。

○吉冨委員 原田さんにお尋ねしたいと思います。「くらしのノート」、とても興味深く、実物をきょうはいただけるのかなと思ってまいりましたところ、手元に届きました。ありがとうございました。それで、何点かお尋ねしたいのですが、この本につきましてはどのようなメンバーでつくられたのかというのが一点と、更新をする予定なのか。どの辺りで更新をするのかということ。それから、4,800冊作成したということなのですが、どのぐらい経費がかかっているのか。差し支えがなかったら、教えていただきたいと思います。

○北海道士別市役所市民部環境生活課原田政広参事 まず、メンバーの構成ですけれども、基本的に私が中心となり消費生活相談員とともに作成しました。全体的な要素については私がある程度原案をつくりまして、あとは消費生活相談員から、外せないポイントと小中高校の消費者教育授業に関わるポイントを専門家として関わってきました。もう一つは、先ほど述べたように、作成を連携した会社の技術者が非常に高い水準にあるということ。その会社も「この手のものは初めてつくる」ということでありまして、今後、横断的な取組みとしては、私どももその業者も共に進化をしていく材料になるのではないかというふうに期待しております。
 更新については、当然、これはやることになります。その時期については、4,800冊がなくなった時点で考えましょうと。基本的には中・高生には全員配ります。小学生の児童の保護者にも全員配っております。向こう4年間配ることができます。ですから、4年後にこの部分はつくるということになっております。
 経費については、350万ぐらいの予算でつくりました。この部分については活性化交付金事業を利用させていただいたのですけれども、この次の作成については市の単費でつくることになります。要は、このつくったものがなくなるまでに、理事者も含めて、一般の市民も含めて、学校教育も含めて、いかにこのノートをプレゼンするかということなのです。必要かということ。それが私たちの責務ではないかと思っております。
 その会社の技術者と連携したのは、基礎基本に特化しましょうと。中・高生はこれで十分です。しかしながら、勉強したい、もっと知りたいという生徒については、太字だとか、カラー文字をインターネットで検索すれば700~800ページになる計算です。そういったことも、その会社の技術屋さんとそういうやり取りをしながらつくり上げることができたということで、これは本当に官民一体となった取組みの成果ではないかと思っております。

○吉冨委員 「くらしのノート」は子どもを対象にしたということですが、先日、どこの市町が発行したのかはちょっと把握していないのですが、確か九州のほうだったと思いますが、大人向けの消費生活の啓発用の読本を拝見したんですね。そういう意味では「くらしのノート」の作成段階で編集などに、団体としてかかわることができるのではないかと思いました。とても興味深く拝見しました。ありがとうございました。

○宇賀座長 竹中委員、どうぞ。

○竹中委員 京都府の宮津市さんに伺います。
伊根町、与謝野町は事務委託をされているというお話を伺いましたが、資料2-8を見ますと窓口の強化ということが書かれています。相談窓口はまだ残っているという理解でよろしいのでしょうか。
 それから、住民への普及啓発は、伊根町、与謝野町もそれぞれで普及啓発を行っているのかどうか、確認したいと思います。よろしくお願いします。

○京都府宮津市役所産業振興室前田繁副室長 実際、窓口は残っております。ただし、行政職員がいる中で、例えば与謝野町に相談があれば、センターの相談員と連携してまたお返ししますという形で、一応いずれの町にも、直接相談があれば受けるということはしていただいています。
 それから、法律のほうにもあったと思いますが、普及の関係は、市町村の事務に残ったままという形になっておろうかと思います。ただ、今後、センターだけの広報ではなしに、センターの名前をどんどん使って広報していく。今は実質個別でしていただいています。センターの名前は使いますけれども、宮津市でもしています。与謝野町、伊根町、それぞれ個別でしていますけれども、当然、センターの名前を使いながら宣伝していく、周知していくということは、連携しながら今後もやっていくということになろうかと思っています。

○竹中委員 追加でもう一点ですが、伊根町、与謝野町の相談窓口というのは、ほかの相談と合わせたよろず相談的な窓口なのでしょうか。それとも、消費生活相談に特化した窓口が今も残っているという状況なのか確認したいと思います。

○京都府宮津市役所産業振興室前田繁副室長 伊根町も与謝野町も、消費生活に特化した部署が担当部署になっていますので、その窓口は消費生活だけという形です。

○宇賀座長 吉川委員、どうぞ。

○吉川委員 原田さんのお話を聞いていまして、どの場合でも「人」が非常に重要だということのあらわれだろうと思いますが、士別市では、消費者行政の神髄のような取組みをされているというお話をお伺いしました。私ども、今までもあちこちのいろいろな行政で、人がそこの行政をつくってきたというふうに見てきたことがあるのですが、士別市ではこういう魂のような行政をつくられてきた。それが連綿と続いていけばいいなと思っていますし、それは間違いなく続けられるのだろうと思いますけれども、そうではないような行政がまだ多々あるということで、こういう会議が設けられていると思います。士別市さんのこれまでの御苦労、及び今後、士別市さんのようには積極的でない自治体をどういうふうにしていけばいいのかということを、経験を通してお話しいただければ参考になるかと思います。

○北海道士別市役所市民部環境生活課原田政広参事 参考になるかどうかわかりませんが、私の最も好きな言葉、「魂」というのが出て非常に喜んでおります。実は、私が非常に懸念していることは後進の育成ということです。今、私の下には担当主査がおりますし、市役所の中心部とも話しているのですけれども、将来は環境生活課ということではなく、例えば市民生活室、または局、そういったものを形成して、その中で消費生活行政も進めていくことがまずは肝要かということ。要するに、一つの専門家集団の部局をつくるということで、それは士別市の中でも、今、ようやく話が出たところでございます。
 実のところを言いますと、活性化交付金事業が来るまでは、私はこの仕組みは士別市にはできないと思っていました。十数年前に、市役所の中に若手職員を集め学習組織をつくり、地域の教育力を学校教育へというスタンスで進んでいたのですけれども、活性化交付金事業が来た途端に、これはひょっとしたらできるかもしれないということで、この3年間、交付金を使って体制を整えました。これからは、市民生活室か局かわかりませんけれども、そこに向かって進んでいきます。ですから、構築した体制を熟成させるとともに、将来に向かってそれを維持していく、さらなる体制をとっていく。私は、退職まで残り2年9か月です。2年9か月の間に、何とかこの体制を継続していくための仕組みを構築していきたいと思っているところです。必ずできると思います。

○宇賀座長 山口委員、どうぞ。

○消費者委員会山口委員長代理 ありがとうございました。お三方にそれぞれお聞きしたいのですが、それぞれの市・県なり道との役割分担といいますか、あるいは、協働をどう進めていくのかということです。前田さんには、相談が市に来る場合と府のほうに来る場合とあるようですが、その辺はどういうふうに振り分けて、あるいは、どのように情報交換なりをしながら事案の解決に努めておられるのか。その辺の実情をお聞かせいただければと思います。同じことを原田さんにもお聞かせいただければと思います。
 それから、去年の3月に総合振興局で廃止された消費生活推進員の配置。これが廃止されたいきさつと、これが廃止されることによってどんな問題が出ているのか。あるいは、再検討が必要と書かれていますが、これが今後どういうふうになりそうなのか。その辺もあわせてお聞かせいただければと思います。
 拝師さんには、千葉県内でこれだけいろいろやっておられますが、それぞれの市と県の役割分担について、どういうふうにしたら効果的だとお考えになっているのか。その辺も御意見をいただければと思います。

○京都府宮津市役所産業振興室前田繁副室長 それでは、私のほうから。京都府は、京都市内に京都府の消費生活安全センター本体がおります。4か所ぐらいだったと思いますが、振興局と言いまして出先の組織がありまして、私どもの地域ですと2市2町の括りで、丹後広域振興局に消費生活の専門相談員がおります。今回の動きの中で、京都府のほうでは、出先の相談員を、例えば、広域にまたがる案件に特化したものであるとか、出前講座、消費者教育の取組みに特化して、それこそ事務所におらずに外に出ていくというような取組みを春からやりたいということで掲げております。
 そうすると、出先では相談を受けないのかと。市町村なり出先のほうから、実は担当課長会議でそういった設問もありまして、実際のところは、徐々に推移していくと。そのときにはそういった表現で答弁をされていましたけれども、いずれにしましても京都府のほうでは、できるだけ市町村の消費生活センターに受けていただいて、直接、府のセンターもありますが、今後は、出先のところは別の活用ということで方向としては考えておられるようです。実際は、これまでのような形で、私どもの消費生活センターであったり、件数は減っていますけれども出先であったり、府のセンターであったりと。実際は窓口としては今もございますけれども、方向としてはそうしたいということで聞いておりまして、役割分担、今後、そういったことをやっていきたいというのが京都府の方針ではあるということです。

○消費者行政充実ネットちば拝師徳彦事務局長 市と県の役割分担ということですけれども、一つは、相談窓口の機能強化という面では、小規模自治体のほうで件数もかなり少ないのに、専門の相談員を1人、2人配置しろというのはやはり酷なのかなという気がしています。そこの部分は、やり方はいろいろあるでしょうけれども、県のセンターから直接相談員を派遣するようなことを、やってもいいのではないかという気がしています。そのかわり、行政職員はきちんと消費者行政のほうをやってもらって、そことの連携は維持する。相談業務そのものの専門性は県センが担保して、庁内連携、住民との連携、消費者教育、啓発などは、町村のほうでやるというように、役割分担や機能を少し整理した上でそういうやり方もありなのかなという気がしています。
 仮に小さい町村に人を張り付けたとしても、なかなか件数が来ないと相談員もスキルアップしないというふうに聞いています。ですから、県のほうが複数の小規模自治体の窓口の相談員を回しながらやるとか、一時期は県のほうで少し鍛えておいて、しばらくしてスキルを積んだらまた1年、2年そこに行くとか、相談員を回しながら計画的に育てていくことも県の仕事としてはあり得るのではないかと思っています。
 あと重要な仕事としては、県のほうは人材育成だと思っていまして、地方に行くと相談員のなり手がいないということをよく聞きます。その地域で相談員になる人を育てていくことが大事ですけれども、個別の小規模自治体とか、中規模ぐらいでもなかなか難しいと言われていまして、そういうところに任せきりにするのではなくて、ある程度その地域で通える範囲内で人を育てて、地元のどこかの窓口に残ってもらうとか、そういう形での相談員の育成。
 それから、先ほど私のほうで提案した、より狭い地域でもっと人を配置していこうというときに、そういう人を育てるというのは結構大変だと思いますが、そういう情報を県のほうが一旦集約しながら自治体に流してあげる。研修も、市町村独自でやるのも大事でしょうけれども、ある程度県のほうがリードしてやっていく。人材育成の面でも県の役割は大きいかなというふうに思っています。

○北海道士別市役所市民部環境生活課原田政広参事 今の話と重複するところが実はたくさんございます。道の役割というのは、当然、都道府県同じだと思いますけれども、例えば悪質商法の被害の解決等に当たるためには、道とも連携をしていかないと解決にならない。これは通常行っている業務だと思います。相談の部分についても、道が指定管理を委託している道の消費生活センターと連携しながら、相談体制の部分について、また、相談へのスキルについてもやっていかなければならないということであります。
 ただ、私が言いたいのは、消費生活行政の体制づくりだとか、仕組みづくりだとか、中心になるところ、核になるところ、そういったものをどこがリードするんですかというところでは、当然、都道府県と国だと私は思っております。皆さんも置きかえて感じてほしいのですけれども、もし自分の弟や妹など、兄弟が困っていたとしたらどうしますか。私は全力で助けます。その理論と全く同じだと思います。道内においても、本当に地方の小さな都市は困っています。ですから、そういった仕組みの構築について、やはり言及していかなければならないと考えております。
 それと、総合振興局で廃止された消費生活推進員ということですが、昔は相談を受けていたのが一部廃止になりまして、推進員という形になりました。これは国の政策、道の政策のうちの一つだと思いますけれども、広域でやりましょうというところで進んでいると思いますが、例えば広域連携についても、そのコーディネートを誰がするのでしょうか。当然、それは道が関与していかなければならない。北海道は広いですから、14の総合振興局が進んでいく。正直なところ、その点に関しての道のアドバイスはゼロでございました。ですから、1市3町の広域連携についても、我々が自力でやらなければならないという非常に厳しい状況で進んできました。
 今、我々自治体の心のよりどころは、まずは北海道の14の総合振興局にあるべきだと私は思っております。それと、道、国がやはり心のよりどころ。それは消費者庁だけではなくて、文部科学省も含め、国民生活センターも含めという意味で、そういった形にならない限りはいろいろな連携は非常に難しいのではないかと思っています。
 相談員の育成は、これも先ほどの話と重複しますけれども、やはり道が主体となって連携をしていくということで、特に消費者教育の模擬授業については、今、学校で何をやっていいかわからないのです。私どもは、ここに資料がありますけれども、消費生活相談員が支援プログラムを独自につくって独自に模擬授業を展開しています。本当は上川総合振興局が中心になって模擬授業を展開していかなければならないのですけれども、実際はやっておりません。ですから、士別市が模擬授業をやるときは、近隣の町村・市町村、または上川管内の市町村に全部投げかけて、「模擬授業をやるので、もしよかったら来てください」という形でやっているのが現状でございます。振興局に推進員を置くという問題についても、今後、提案をしていくつもりでございます。

○宇賀座長 稲継委員、どうぞ。

○消費者委員会稲継委員 どうもありがとうございます。宮津市さんの取組み、士別市さんの取組み、非常に興味深く拝聴いたしました。それぞれにお尋ねしたいのですけれども、まず、宮津市の前田さんに、御説明資料2ページ目の先ほどの説明の中で、共同処理の方式として幾つか検討した中で、最終的に事務委託方式を選択されたということですが、最終的に事務委託方式を選ばれた理由、どういう経緯だったかというのを教えていただきたいのが一点。
 もう一つ、そうした場合に、人口比で言うと、与謝野町が2万3,000人で、宮津市が1万9,000人です。規模から言うと与謝野町のほうが大きいけれども、市だということで宮津市がイニシアチブをとられたのかどうか。その辺についてお聞きしたいのが2点目です。
 それから、士別市の原田さんにお伺いしたいことは、説明資料の2ページ目、(1)のところですが、定住自立圏形成協定があって、それで進めているというお話でした。定住自立圏構想を総務省はかなり進めようとしていますが、なかなかうまくいっていないところも多いというふうに聞いております。北・北海道中央圏域の定住自立圏形成協定というのはどれぐらい進んでいるのかということと、それが、今回のこの取組みとどう関連性を持っているのかということを教えていただきたいのが1点です。
 2点目は、この「くらしのノート」、私も非常によくできていると思います。実は、よく見ると汎用性を持っていて、ゴミの分別収集以外のところ以外は、ほかの市町村でも配布できる非常にいい内容だと思うのですが、例えば版権を消費者庁とか国民生活センターにお譲りしますと。そういうふうにすると、4,800冊で300万ですから、単価600円ですが、スケールメリットが出てきますから、全国的レベルにするとかなり単価も安くなるので、そういうことは可能でしょうかということです。この2点、お伺いしたいと思います。

○京都府宮津市役所産業振興室前田繁副室長 それでは、私のほうから。共同処理の方法はいろいろあろうかと思います。一部事務組合は、法人格を有する形の代表例かと思っています。そうした中で言うと、消費生活センター自体が相談員の配置ということですので、それを主に考えたときに、わざわざ一部事務組合を設立するまでに至らないだろうというのがまずもってありました。そうした中で、先ほど説明の中で申し上げました相楽郡の関係であったり、大洲のように相談員との契約ということもありましたが、ゴミ処理の事例であったり、北海道の事例であったりということからすると、一番なじむのではないかというのが最終的な判断です。
 それから、人口比では与謝野町ということですけれども、地図上で言うと与謝野町が真ん中になります。そういったこともあって、宮津市のほうからもどうですかねというお話はさせていただいておったのですけれども、2町のほうから、是非とも宮津市さんにということもありまして、特にその辺は、最終的に嫌々というようなことではなくて、やらせてもらいましょうかという整理にさせていただいたということです。

○北海道士別市役所市民部環境生活課原田政広参事 士別市から、定住自立圏形成協定についてお答えしたいと思います。北・北海道ということで、上川北部については2市6町1村ということで進んでおります。さらにそれを2つに分けて、名寄市ブロックと士別市ブロックという形で進んでおります。北海道は広いですから、協力をしなければなかなか進まないもの、それから、少ない経費で多くの効果をという部分については、やはり定住自立圏形成協定が核になるのではないかというふうに判断しております。もう、俺が、俺がという時代は過ぎ去ったと私も思っております。その中で消費生活行政も、先ほどお話ししたように、前段で副市町村長会議の中で我々が提案をさせていただいて、布石として将来やっていきましょうということがあったからこそ、定住自立圏形成協定の中に消費生活が盛り込まれたということです。すべて、定住自立圏形成協定に基づく何々、何々という形で文章も作成しておりますので、かなり有益なものではないかというふうには考えております。
 もう一点、「くらしのノート」の部分ですが、作成した業者、業者名は言えないのですけれども、業者とも実はその話をしております。版権は放棄しました。ただ、この中のいろいろなソフトがその業者にあるものですから、その業者を通すことによって作成することができるような形にしております。
 ですから、広域連携の3町については、それぞれの町長がゴーサインを出して、1,000冊ずつつくるということで決定しております。士別市という部分は自分の何々町でいけますし、ゴミの分別については、4ページはそれぞれの町のオリジナルの部分として、環境対策または環境問題についてそこをしていこうというような形で、今、進んでおります。恐らくことしの半ばには完成すると思いまして、各町の中・高生には全員配布される。聞くところによりますと、幌加内は全校配布ということも考えているようです。士別市も当初、全校配布と思ったのですが、なかなか経費の問題でできないのですけれども、そういった状況でございます。

○宇賀座長 吉川委員、どうぞ。

○吉川委員 宮津と士別の方にお伺いします。私はこの資料を送ってもらうまで、こんなにたくさん広域連合があるとは存じ上げていなくて、日本中、広域連合が進んでいるのだなと実は驚いています。私もいろいろなところで、広域連合にする良い評価はいろいろ聞いております。確かにここにメリット、デメリットで書いてもらっているので、評価としてはいいのではないかと思います。
 ただし、これは余計な心配かなと思いますが、お聞きします。相談業務とかは当然効率化されていいと思いますけれども、やはり消費者行政というのは各自治体に固有のものだという思いがあります。広域連合にすることによって、業務は確かに効率化されたけれども、それぞれの市町村が魂、各自治体が消費者行政をやらねばならないという、そういう意識が薄らいでいく。中心になっているところは、当然、しないといけないというので引っ張っていっておられるでしょうけれども、各自治体の意識が薄らいでいってしまって、将来的に困ったことになるようなことがあってはいけないのではないか。消費者行政として、あるいは、住民にとって懸念があるのですが、その辺りはどういうふうに考えておられますか。また、このことを国はどのように考えておられのかということも、私としては知りたいのでお教えください。

○京都府宮津市役所産業振興室前田繁副室長 まず、宮津・与謝はいわゆる生活圏が同じなんです。高校では大体一緒になったりということがあったりして、そういう地域的なこともありますので、そういったことからすると、住民の方も、行政は別ですが、余り違和感がないというのがあるのではないか。ほかの地域はどうかわからないですけれども、うちの場合はそういうのがあるのかなと思っています。
 当初、巡回相談も、センターが宮津市に置かれるという中で、宮津市に行かなければならないという部分があるかなと。町として市にお願いして、知らん顔と言ってはあれですけれども、というのではなしに、やはり巡回という形で自分のところにも来てもらって、住民が相談しやすい体制というのは、やはり一部残していただきたいということもありました。すぐにセンターだけということもどうかというのはありましたので、成り立ちの中では、「当分の間」という表現で言っていますけれども、表上はそんなことを実は言っていません。今の状態も少しずつ認知もされてきて、先ほど申されましたように、町に行くのはつらいのでセンターに行きたいという方も中にはおられるかもしれませんけれども、それはそれとして、やはり地元の行政の方も含めて、自分のところの住民に対して相談に乗るということは今もあるのではないかと思っています。
 ちなみに、伊根町というのは小さな町ですので、23年度の巡回相談は訪問が18回とありますが、このうちの10件は伊根町で、相談員と町の職員、民生委員であったり、警察の方で、おじいさん、おばあさんのところを回る活動をこのときはしていただきました。地域柄、「こんなことがあったんや」という被害を言われないということもあるのかなということもありましたので、掘り起こしのためにそういったことも当初はしていただいております。
 そういう中で言うと、今、巡回というのを取り入れてやっていますので、関係としては、宮津市に任せたということは現時点ではないのかなと思っています。相談員と行政の町の職員さんとも仲良く調整もできていますし、現状としてはいい形かなと思っております。

○吉川委員 私は、町そのものがそれぞれにやはり消費者行政はあるべきだと。形としてはこれはいいのですけれども、だんだん中心のところに任せてしまって、例えば伊根町の職員の方、あるいは首長さんが消費者行政に対する気持ちが薄らいでいくというか、「やるんだ」というのがなくなりはしないかという意味で、懸念をしていますということです。

○京都府宮津市役所産業振興室前田繁副室長 当初、広域でやるというときにも、当然、首長と私どもとお話もさせていただいて、法律でなったからということもあるのかもしれませんけれども、身近な一番先端の市町村が住民に対して相談に乗る、そういう対応をするのは必要なことだというのは、それぞれ認識もされています。そういった中で、財政的な部分であったり、相談の件数であったり、もろもろあって、それぞれで抱えるのではなしに、こういった形をとっているということですので、少なくともそういったことは今のところはないと思っております。

○吉川委員 例えばゴミは絶対出るから、広域でやっていても忘れることはないけれども、消費者相談というのは埋もれてしまう、あるいは、消費者行政は埋もれてしまわないかという懸念を持っているということだけは、ここの場では申し上げておきたいと思います。

○京都府宮津市役所産業振興室前田繁副室長 少なくともそういった法律ができて、やらなければならないという気構えは宮津市の職員も実は持っています。目の前に相談員がおりますので、電話も積極的に行政の職員が実際は出ません。出ませんけれども、そういったことにならないようにとか、例えば宮津市の中では、福祉の関係でひとり暮らし老人が被害に遭われたという事例も出てきます。そうしたときのパイプ役には、当然、行政の職員が、相談員と福祉の担当の職員ということを気にしながらやっていくべしということで思っています。私の立場は、逆にそういうのを見ていて、そういうことをさせるように職員には仕向けていますので、任せきりというふうにはならない。これは当然、ほかの町も同じ形でしていただきたいと思っていますし、今後もそうあってほしいと思っています。

○北海道士別市役所市民部環境生活課原田政広参事 お言葉を返すような形になろうかと思いますけれども、消費者行政がなくなるのかどうかという、これは一体誰がそういうふうにさせたのでしょうか。消費者行政についてはその重要性が認識されながらも、過去、長く後回しにされてきたという状況です。そういった原因をもともとつくったのは誰だと思いますか。ようやく平成21年度に消費者庁が設立されて、消費者委員会も創設された。そこからが本当のスタートでなかったかなというふうに考えています。
 地方消費者行政活性化交付金が3年間、国家事業として進んでいましたけれども、この国家事業でさえ、ほとんどの市町村が何をやっていいかわからない。本来は交付金を使って体制を整備するということでしたけれども、現況の事業にその予算をのせただけという自治体が圧倒的に多いです。ですから、そういったことの責任というか、どうしたらいいでしょうかと自治体に問いかけること自体、これは私は間違いではないかというふうに思っております。結論としては、広域連携そのものでつくっていかなければならない。消費生活行政の姿をつくっていくことも私たちの責務ではないかと考えています。
 特に町村については、全国、一つの課に対する仕事量というのが実は膨大な量を抱えております。ですから、一人の職員が多くの業務を抱えている。その中に消費生活行政もある。その重要性は各町でもわかっています。士別市が、相談業務だけの連携ではなく消費生活行政そのものの支援をしていくというのは、まさに今、おっしゃったとおりのことなのです。ですから、そういった取組みも全道全国で進んでいかなければ、言われたように、消費生活行政はどこかになくなってしまう。せっかく何十億も国家予算を使ったのが、本当にドブに捨てるようなものになってくるかもしれないですね。その辺のところを、やはりこういった専門調査会の中でしっかりと将来像を議論していただいて、そういう仕組みを構築していく部分を私たちに是非見せていただきたいというふうに感じています。

○宇賀座長 池本委員から御意見をいただいていますので、簡単に紹介していただけますか。

○原事務局長 時間が終了まで間近なところで、恐縮です。資料6-1と6-2ですけれども、本日御欠席されておりますが、池本委員から提出された資料を簡単に御紹介しておきます。
 前々回だったと思いますが、「基礎自治体における消費者行政の体制整備の課題」ということで、消費者行政の機能については資料を提出されていたところですけれども、それにどういった体制、手段が考えられるかということと、目標と目安、この具体化した資料で本日説明したいということで準備されておりました。中身の紹介は、時間がありませんのでいたしませんが、ごらんになっていただきたいと思います。
 その裏が、消費者行政の職員向けの研修の充実の話が出ておりましたので、具体的にこのようなテーマでやってはどうかというので、すぐ秋にでも始められるような感じで提案されておりますので、御紹介いたします。
 それから、事務局から一点、きょう、ヒアリングをお願いした方々に追加で質問です。活性化基金で、消費者行政の仕組み方、いろいろな工夫をされてきたところですが、特に宮津の場合、継続した支援というお話もされて、士別のように非常に頑張っておられるところもありますけれども、広域連携が最近、非常に増えてきている。そういう中で基金後の財政負担ということを考えたときに、広域連携のほうが、負担分も軽くなるかということでやりやすいので、ということも一つのきっかけだったのかどうかというのをお聞きしておきたいと思います。
 消費者庁も、基金以降ということで財政的な手当をされて、準則も発表されたところですけれども、これについてどういうふうに考えておられるかということを、短くて結構ですので、お答えいただけたらと思います。

○京都府宮津市役所産業振興室前田繁副室長 先ほど、説明の中でも触れさせていただいておりましたが、今回の場合は2名、嘱託という形で雇っております。全体、事業費で400万はいかないと思いますけれども、現状では、四十数万だけが1市2町で振り分けて負担をしている。ですから、350~400万辺りを、基金の支援がなくなれば1市2町で分担していかなければならないことになる。それはそれでしていく方針で、そういった支援がなくなった場合のことも考えての広域の取組みと。分担し合っていくということですので、例えば宮津市でしたら、その350万なり400万が100万余りで済むということかなと思っています。
 それから、準則のほうで、期間が定められたというものですが、府のほうからも説明をいただいていまして、徐々にそういった形は出てくるのかなという認識です。

○原事務局長 ありがとうございます。

○北海道士別市役所市民部環境生活課原田政広参事 交付金の打ち切りということを見越して実は進めております。金の切れ目は何の切れ目というふうに言うところでありますので、やはり自立していくという作業をどこかでしていかなければ、消費生活行政というのは続いていかないと思います。全国の市町村は本当に疲弊して苦しい財政状況にあります。ですから、今、やっているのは、少ない予算の中で効率的な事業の展開ということで、例えば消費者教育においては人をきちっと育成する。人というのは講師ということです。
 例えば、電気製品の事故の実験をするためには、今は札幌から呼ばなければならないのです。それを、士別市内の電気工事組合の社会貢献事業としてできないかということで進めておりますし、化学系の実験については、市役所の中に、私も含めてですが、化学系の専門を出ている職員がいますので、そういった人間に教育をしていただいて、それも社会貢献事業の中でやると。
 それから、実はおとといですけれども、ある小学校で火の実験をしたと。(資料提示)こういうような形でガス協会が連携して、火の大切さだとか、そういったことができる。地元の人材をフル活用することも含めていけば、そうそう専門家に対するお金もかからないだろうという考え方です。地元にも弁護士はいますので、弁護士にはただ同然で来ていただいております。そういったことを、これからどんどん増やしていければということになります。
 それと、交付金の中の3町の負担金も人口割で実はやっておりますので、そういった形をうまく活用しながら予算の確保ということも考えております。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 小規模自治体の消費者行政体制の底上げにつきまして、広域連携、庁内連携について、実例、課題について幅広く御指摘を承りました。また、地方消費者行政におきましては、自治体だけではなく、地元の消費者団体の積極的な役割が重要であって、多様な主体による総合的な力の発揮が重要という観点からも御意見をいただきました。こうした点を踏まえまして、最終的な報告に向けて事務局で作業を進めていただきたいと思います。
 本日、ヒアリングにお越しいただきました皆様は、遠路、朝からの御参加、本当にありがとうございました。

≪3.基礎自治体支援「都道府県の役割」≫

○宇賀座長 きょうは途中で休憩をとりたいと思っておりましたが、時間が大分押しておりますので、申しわけありませんが、休憩をとらずに、次の議題、地方消費者行政における基礎自治体のための「都道府県の役割」について、事務局から資料の御説明をお願いします。

○原事務局長 それでは、資料5-1と5-2を準備しておりますので、事務局から説明させていただきたいと思います。
 基礎自治体の現状、基礎自治体の支援ということで、これまで話を進めてまいりました。きょう、後段にもお話が出ていましたが、国・都道府県の役割について、少し頭出しの資料ということで準備をしております。
 資料5-1は消費者基本法そのものです。第四条に、「地方公共団体の責務」ということで、地方公共団体は、「当該地域の社会的、経済的状況に応じた消費者政策を推進する責務を有する」という規定が置かれています。
 それから、資料5-2で準備しております消費者安全法をごらんになっていただきたいと思います。第一章総則の第一条「目的」の2行目から3行目にかけて、「都道府県及び市町村による消費生活相談等の事務の実施及び消費生活センターの設置」ということで、目的の第一条から都道府県及び市町村の項目が入ってきております。
 それから、第四条、「国及び地方公共団体の責務」といたしまして、「国及び地方公共団体は、前条に定める基本理念にのっとり、消費者安全の確保に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する」ということで、第四条のそれぞれの項目は、「国及び地方公共団体は」ということを主語にして全部項目が書かれています。これは、2ページから3ページにかけてそのようにされております。
 4ページをあけていただきますと、第七条に、その前段のところで基本方針を策定することが定められていますけれども、これについて、その改正、変更について意見を述べることができるということが書かれています。
 4ページから5ページにかけて、第三章「消費生活相談等」の章のところで、第一節「消費生活相談の事務の実施」ということが第八条で規定されています。第八条は、「都道府県は、次に掲げる事務を行うものとする」というのを1項に置いておきまして、2項で、「市町村は、次に掲げる事務を行うものとする」と書かれています。都道府県と市町村がやる業務、もちろん同じものも入っているのですが、都道府県独自に書き加わっているものが第八条二項のロのところです。「消費者からの苦情の処理のためのあっせんのうち、各市町村の区域を超えた広域的な見地を必要とするものを行うこと」。それから、ハのところですけれども、「消費者事故等の状況及び動向を把握するために必要な調査又は分析であって、専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと」。ここの「広域的」「専門的」というところは都道府県に置かれています。
 それから、第二節「消費生活センターの設置等」の第十条として、「都道府県は、施設又は機関を設置しなければならない」とされております。
 6ページに入りまして、第十一条で、「消費生活センターの事務に従事する人材の確保等」というところで、「都道府県及び消費生活センターを設置する市町村は」ということで、「人材の確保及び資質の向上を図るよう努めるものとする」という規定が置かれています。
 第四章は「消費者事故等に関する情報の集約等」という関係なので、飛ばしていただきます。17ページの下の段になりますけれども、「都道府県知事による要請」ということで第四十四条が置かれておりまして、「都道府県知事は、消費者被害の発生又は拡大の防止を図るため必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し、消費者安全の確保に関し必要な措置の実施を要請することができる」という規定が置かれています。
 都道府県、市町村について、消費者安全法で置かれている規定について、紹介をさせていただきました。
 事務局からは以上です。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明に関しまして、御質問、御意見があればお願いします。
 なお、都道府県の役割につきましては、次回以降、議論を重ねてまいりたいと考えますので、この場では、今後の検討すべき課題を中心に御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。
 池田委員、どうぞ。

○池田委員 広域連携を含めたところで私がいつも悩んでいるところは、市町村においては、消費生活センターとか窓口は設置努力なんですね。それに対して、きょうもお話しされたところでは、広域連携に関しても、市町村のほうがどうにかしなければいけないということが進んでいる。県の存在自体が、中途半端というか、何をやっていいのかというのがものすごく出ていると思うのです。逆に、設置努力という言葉において、市町村の窓口が重要性というのに動いていない部分があるのではないかと思います。ですから、ここの部分の改正も、できるものならやっていかないと、県と市が上下関係みたいになってしまっていて、本来は同等のものであって、その中で市ができないもの、大きい部分として県が動くべきではないのか。例えば予算の措置とかいうのが都道府県の役割ではないか、というのが思っているところでございます。そういうところも検討していただければというところでございます。
 以上です。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。特によろしいでしょうか。
 それでは、次回以降、国の役割も含めまして、国、都道府県、基礎自治体のそれぞれの役割分担について、さらに議論を深めてまいりたいと思います。
 本日の議論は以上とさせていただきます。

≪4.閉会≫

○宇賀座長 今後の予定等につきまして、事務局から御連絡をお願いします。

○原事務局長 ありがとうございました。
 次回の専門調査会は6月28日の金曜日に開催を予定しております。
 なお、会場はこの場所ではなくて、消費者庁の記者会見室を使用させていただきたいと思いますので、お間違えのないようにお願いいたします。
 議題等につきましては、決まり次第、御連絡させていただきます。
 事務局からは以上です。

○宇賀座長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、熱心に御討議いただきまして、どうもありがとうございました。

(以上)