第26回消費者安全専門調査会 議事録

日時

2013年8月22日(木)13:30~15:58

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
松岡座長、中川座長代理、片山委員、齋藤委員、佐竹委員、佐野委員、
田澤委員、鶴岡委員、中嶋委員、中村(均)委員、中村(昌)委員
【臨時委員】
戸部委員、澁谷委員
【消費者委員会委員】
小幡委員
【事務局】
原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.前回までのヒアリング内容の整理
3.「食品リコールの現状に関する整理(案)」
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:51KB)
【資料1】 食品リコールに関するヒアリング内容の整理及び委員の意見(PDF形式:166KB)
【資料2】 食品リコールの現状に関する整理(案)(修正案)(PDF形式:202KB)
【資料3】 食品関連の主な法令とリコールに関する記載内容(PDF形式:163KB)
【資料4】 自治体による食品の自主回収報告制度の整理(PDF形式:189KB)
【資料5】 食品リコールの現状に関する整理(案)(事前配布分)(PDF形式:175KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、皆様おそろいになられましたので、始めたいと思います。
 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会消費者安全専門調査会(第26回)」の会合を開催いたします。
 本日は、内堀委員、横矢委員、夏目担当委員から欠席との御連絡をいただいております。
 先に配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 議事次第と書かれた紙の後ろに一覧をおつけしておりますけれども、座席表の次に、資料1といたしまして、これまでヒアリングをいたしました内容の整理。ここでの話ではなく、皆様から寄せていただいた意見もございますので、その中から、委員の意見としてつけたもので資料1を構成しております。事務局作成の資料です。
 それから、本日、御議論いただきたいのが資料2ですけれども、「食品リコールの現状に関する整理(案)」ということで、事前にお送りして皆様から御意見をいただいて、修正を入れたものを見え消し版のものでおつけしております。席上に、実際にそれをとけ込ませたものを委員にのみ配付しております。
 資料3といたしまして、法令関係の整理ということで、以前お出ししたものですけれども、再度提出しております。
 資料4といたしまして、「自治体による食品の自主回収報告制度の整理」として、これも前回お示ししたものですけれども、再度おつけしております。
 資料5といたしまして、前後いたしましたけれども、8月9日に皆様に、この案でどうでしょうかというのをお願いした事前配付分になります。これについて皆様から御意見をいただいて、修正したものが資料2になっております。
 不足ございましたら、途中でお申出いただければと思います。
 それでは、松岡座長、議事進行、よろしくお願いいたします。

○松岡座長 それでは、始めたいと思います。
 本日の会議につきましては、公開で行います。議事録についても、後日、公開することになります。
 本日は、第二次消費者安全調査委員会の最終回となりますが、いつもどおり、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入ります。

≪2.前回までのヒアリング内容の整理≫

○松岡座長 議事次2の「前回までのヒアリング内容の整理」ということで、これまでに行った食品リコールのヒアリング内容を資料1にまとめてあります。資料について、事務局より簡単に説明をお願いいたします。

○原事務局長 資料1をごらんになってください。「食品リコールに関するヒアリング内容の整理及び委員の意見」ということで整理をしたものです。左端に番号がついておりますけれども、この番号欄の黄色く塗っておりますところが、前回から新しく追加したものです。掲載の順番は、整理案の項目順に並びかえております。黄色く塗っているところで、新規追加したところだけ御説明をしたいと思います。
 資料1の5ページです。番号としては36をつけておりますけれども、消費者庁のリコール情報サイトについてお話をお聞きいたしました。このとき委員から、回収率や原因究明の結果、再発防止策などについて、情報を収集し、類似の事故や重大事故の発生防止、安全性確保につなげるのがいいのではないかということで、収集しっぱなしではなくて、それをまた生かしていくということの御意見をいただいております。
 それから、6ページに入りますが、リコール社告についてもいろいろと御意見が出されておりました。「委員からの意見」というところでは、シンプルにして、実際に同じスペースで大きな文字にするとか、もっとそういう工夫をしてはどうか。番号38ですけれども、そういう御意見が出ております。
 41のところで、新聞社告の場合、ほとんど表現方法は広告代理店で行っているのではないか。ですから、こういった広告代理店へ要請することも有効だと思う、という御意見です。
 42のところで、農水省として通知を出してから3年もたっているため、もう少し監督官庁として指導すべきではないかと思う、という御意見が出ております。
 43、44、45、46についても、リコール社告についての御意見になっております。
 9ページですが、これは、リコール実施に関する意見です。55番にありますように、リコールを実施する場合は迅速性を最大限尊重すべきであるという御意見。
 56のところで、回収プロセスの妥当性を評価すべき。社告を出して回収すればよいというのでは安全性の確保はできないのではないか、という御意見。
 57番は、ガイドライン等で迅速性確保の手順を綿密に確認することを推奨しておく必要があるのではないか、という御意見が出ております。
 58番は、そのようなことを根拠に、法的に整備しておく必要があるのではないか、という御意見をいただいております。
 62番の御意見ですが、これは食品リコールの終了・再発防止についてです。流通事業者から現状についてのお話で、回収率がチョコレートケーキへの落花生アレルゲンの微混入の事例では回収率22%、烏龍茶への残留農薬検出では回収率2.3%という事例も御紹介されたところです。
 10ページに入りまして、これも終了についての御意見ですが、64番は、東京都が実施しているような返品伝票等の資料による確認をガイドライン等で推奨することが望ましい、という御意見です。
 再発防止に向けた取組みについては、69、70、71で御意見をいただいています。例えば70番は、最も大事なことは原因究明と再発防止の対策であることを事業者、流通、消費者、行政が認識すべき。71番で、食品リコールの原因はフードチェーンの中のさまざまな工程で起こるため、原因分析は個別に行って教訓化し事例として蓄積をする必要がある、という御意見が出ております。
 その他・全般的な意見というところで、73番は、食品業界において、流通事業者のリコール関連責任は明確になっていないようである。食品を含むリコール一般の在り方について法的整備を検討すべき段階に来ていると考える、という御意見です。
 最後、12ページですが、78、79、81を追加しております。79では、食品の製造段階での安全対策、出荷前の安全検査、流通段階での保管の指導に力点を置くべきであり、リコールに頼ろうとするのは危ういと考える。81番は、サプライヤーとサプライチェーンの存在をどう考えるか、よく議論したほうがいいのではないか、という御意見をいただいているところです。
 実際の項目、記載の仕方について、委員の御意見を載せておりますので、修正等がありましたら、お申出をいただければというふうに考えております。
 以上です。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 この表の内容につきまして、修正等の御意見がありましたら、来週の月曜日までに事務局へ御連絡をいただければと思います。事務局が整理いたしますので、審議はここではやりません。
 それでは、議事に入ります。

≪3.「食品リコールの現状に関する整理( 案)」≫

○松岡座長 議事3、「『食品リコールの現状に関する整理(案)』について」ということで、専門調査会で調査してきました食品リコールの現状の整理案について、議論を行っていきたいと思います。
 お盆前に事務局から整理案を送付いたしまして、委員の皆様方から非常に多くの御意見をいただきました。それをもとに事務局のほうで修文を行っておりますので、資料について、簡単に事務局より説明をお願いいたします。

○原事務局長 引き続き、資料の説明をさせていただきます。資料2をごらんください。
 「食品リコールの現状に関する整理(案)」としております。中をあけていただきますと、赤字で書いている部分が、委員の皆様からいただいた御意見をもとに修文をしたものです。青字で書いておりますのは、事務局で、こういう表現ぶりのほうがいいのではないかということで、内容というよりは表現ぶりのところで加えたり、修正をしたりしたものを書いております。見え消し版のほうが説明しやすいと思いますので、こちらを使わせていただきたいと思います。
 まず、「1.はじめに」というところですが、実際には全部で9ページですので、読み上げていったほうが確認の意味になるかと思いますので、読み上げを基本に提案したいと思います。
 まず、3ページで、「1.はじめに」です。
 消費者委員会消費者安全専門調査会は、平成25年1月に「消費者事故未然防止のための製品リコール案件等の注意喚起徹底策」についての報告書をまとめた。報告書は、製品の回収措置に関する情報や注意喚起の情報を的確かつわかりやすく消費者に伝える仕組みの構築、事故の未然防止の在り方についてまとめたもので、リコール過程の全般を検討対象とはしていない。また、消費生活用製品に力点を置いており、食品、市販医薬品、自動車、製品以外の設備・施設・役務など全体をカバーするものとはなっていない。
 前回の取りまとめに関する審議の後半では、リコール全般にかかる法的整備についての意見も出されており、前提作業として全体の状況を整理しておく必要があった。
 そこで、短期間ではあるが、食品分野について関係者ヒアリングを実施し、現状を整理しておくこととした。
 「2.リコールの考え方」ですけれども、リコールについては、法律で定められた明確な定義はないが、広義には、危害を最小限にするために必要な是正措置のすべてを指すものと考えられる。
 もっとも狭義には、消費者の手元にある製品での事故の発生を防止するため、製造事業
者等が製品を無料で交換や修理・回収等をなすことである。
 4ページが、「3.食品リコールの考え方」で整理をしております。
 食品のリコールには、食品関連法令に基づくリコールと法令に基づかないリコール(事
業者による自主リコール)がある。
 (1)といたしまして、食品関連法令に基づく整理をしております。
 「(1)食品関連法令に基づく整理」。
 「マル1 食品関連法令に基づくリコール」。食品の衛生、安全については食品衛生法が規定している。食品衛生法第54条には廃棄命令等の規定として、「厚生労働大臣又は都道府県知事は、営業者が第6条、第9条…に違反した場合においては、…その食品…を廃棄させ、又はその他…食品衛生上の危害を除去するために必要な処置をとることを命ずることができる」と定めている。
 食品の表示に関しては主にJAS法、食品衛生法で規定しているが、表示違反において回収命令の規定はない。(JAS法は、違反表示について改善命令、指示などの行政処分等が実施できる。)
 なお、食品表示法(平成25年6月成立・公布。2年以内に施行)においては、第6条第8項で、表示基準違反で生命又は身体に対する被害が発生するような危険がある場合は、消費者庁において回収その他必要な措置をとるべき命令、又は期間を定めてその業務の全部若しくは一部を停止すべき命令を発しうるものとしている。
 なお、食品関連法令は、厚生労働省、農林水産省、消費者庁等に所管があり、法執行
の主体としては地方自治体の保健所や農政局と多くの関係機関が存在する。
 「マル2 食品関連法令に基づかないリコール」。食品衛生法等関連法令に違反、若しくはそのおそれがある場合や、健康に悪影響を及ぼすおそれがある場合、さらには、コンプライアンスの観点から、製造事業者等は自らの判断で、自主的に消費者からその食品等を回収したり、返金等をしたりすることが行われている。
 農林水産消費安全技術センター(FAMIC)によると、平成24年度の食品自主回収件数は920件、その内訳は、「表示不適切」が過半数あるものの、「品質不良」や「異物混入」がそれぞれ1割弱あり、「規格基準不適合」も2割弱となっている。都府県、市によっては、自治体による自主回収報告制度が条例で制定されており、自主リコールを行う事業者は、この制度に沿って必要な情報を自治体へ報告し、消費者に公開している。
 (2)といたしまして、「食品リコールの特性」。食品の衛生、安全に問題がある場合、健康危害を引き起こすおそれがあることから、その回収には迅速性と徹底性が要求される。食品リコールの特性と考えられるものを以下に述べる。
 1つ目のポツですが、食品は短期で消費されてしまうものから、2~3年の間市場や家庭にあるものまである。したがって、回収の周知から終了判断に要する時間は短い。
 2つ目のポツですが、健康危害の現れ方は、個人の体質や体調、感受性の違いにより、影響の程度が一定ではないことから、原因の特定が難しい。
 3つ目ですが、また、アレルギー体質の有無による健康危害は、食品に特徴的であり、アレルギー対応には万全の体制が必要である。
 4つ目ですが、健康危害は、原料や食品への食中毒原因微生物や危害発生可能性のある異物の混入、管理の範囲を超えた化学物質の混入によって起こる。
 回収が起こる場は、製造、流通、販売、家庭においても生じる。
 また、消費生活用製品のリコールとの共通性でいえば、消費者への情報周知が課題である。
 6ページに入りまして、「4.食品リコールの現状」として、実態をまとめております。これは、委員の御意見で、前は、ずっと羅列をしていたのですけれども、現状のところは現状のところで、項目を立てて、中を整理していったほうがいいのではないかという御意見でしたので、その提案で、整理をさせていただいております。
 6ページから7ページにかけては「4.食品リコールの現状(実態)」ということで、「(1)食品の不具合や異常に関する情報収集の体制」。食品リコールを実施する端緒となる不具合情報はどのように入ってくるか、ヒアリング等により情報の流れを確認した。
 事業者の場合、設置しているお客様窓口等に消費者から直接入ってくる場合や、消費者から申出を受けた販売・流通事業者からの情報提供がある。
 行政の場合、食品衛生法に基づき保健所の監視員が収去検査などを行い、違反を確認した場合、関係省庁へ通知される。また、農政局のJAS法に基づくモニタリング調査・分析によるものがある。
 また、健康危害が発生した事例は、主として医療機関から保健所を通じて入ってくる。輸入品では検疫所におけるモニタリング検査も実施している。
 このように、食品の不具合や異常に関する情報の収集されていることを把握したが、その情報を一元的に管理している機関の存在は確認できなかった。
 「(2)食品リコールの判断基準の現状」ということで、食品リコール実施を判断する要素としては、標準的な判断基準はなく、各々の要素について検討し、案件ごとに判断されているのが現状であるといたしまして、マル1~マル4までそれを挙げております。
 「マル1 健康危害の程度」。
 1)不衛生等で食中毒等重篤な健康危害が発生するおそれのある食品は、法令違反でもあるため回収される。
 2)アレルゲンの表示漏れは、アレルギー体質の消費者にとっては、重篤な健康危害があるため、迅速な情報周知と回収等の対処が必要であるが、アレルギー体質がある人だけを対象とした選択的な回収は、現実的には不可能なため、全て回収している事例がある。
 「マル2 法令への抵触性」。
 1)農薬の残留基準値、食品添加物の使用基準値を超えた場合、直ちに健康危害がなくとも法令違反であるため回収している。
 2)誤って消費・賞味期限を本来の日付よりも短く記載してしまった場合や、存在しない日付を記載してしまった場合は、製品そのものの安全性が確保されていても法令違反であるため回収している。原材料原産地の表記ミスや原材料の重量割合による記載順序ミス等による回収もある。
 3)法令違反ではないが、異物混入が確認できたものも回収している。
 「マル3 発生件数、発生時の態様」。同一ロット内での異常の申出の数や発生率、発生しているロットの範囲の情報をもとに判断している。また、不具合が顕著化した時期と消費・賞味期限との関係、保管倉庫や店頭での在庫量もリコール実施の判断に影響する。
 「マル4 社会的影響」。上記の他に、コンプライアンスや企業のブランドイメージといった社会性も判断要素とするケースもあるのが現状である。
 「(3)食品リコールの周知方法と回収方法」。食品リコールは、前述のとおり、食中毒等の重篤な健康危害が発生するものや、軽微な印刷ミスによるものまで幅広い理由で行われている。また、対応方法もさまざまで、返金、代替品提供などの対応が主になされている。
 リコール実施主体である事業者が行う消費者への告知方法は、社告、記者会見、自社ホームページ掲載、店頭でのPOP告知等がある。また、自治体による自主回収報告制度を利用し、自治体や厚生労働省のホームページ、消費者庁のリコール情報サイト等からも情報を周知させている。
 食品衛生法の残留基準値以上の農薬が検出された食品の自主回収では、社告、店頭告知や自社ホームページ等による情報周知を行ったものの、回収率は数パーセントであった事例もあった。
 リコールには多大なコストもかかることから、小規模、零細事業者には負担が大きい。したがって自主的なリコールでは、企業によって対応にバラツキが生じている恐れもある。また、自主的なリコールの場合は、事業者から相談を受けた行政の対応も統一的なものになっているか不明な点もある。
 消費者団体が食品の自主回収について、健康危害の有無、法令違反の有無の二つを軸に調べたところ、健康危害のないものでも回収されているものも多く含まれ、さらに健康被害も法令違反もない場合でも、事業者が回収をする事例もあった。
 8ページに入りますが、(4)といたしまして、「食品リコールの終了・再発防止」についてです。
 「マル1 終了時期」。食品リコールの終了時期は、一般的には消費・賞味期限を目安としているのが現状である。自治体の自主回収報告制度の場合は、自治体によっては、自治体への終了報告の際、回収率や打ち切る理由などを届け出る必要があり、事業者単独の判断で終了することはできない仕組みになっているところもある。
 「マル2 再発防止に向けた取組み」。再発防止に向けた取組みについては、行政による回収命令の場合は、命令後には、保健所による立ち入り検査が追加実施される。また、自治体の自主回収報告制度では、報告書に「再発防止のために講じた措置等」を記載することになっている(必須記入項目としてない自治体もある)。
 健康危害の原因を究明し、再発防止につなげるには、個別の事案の再発防止だけでなく、情報収集体制やリコール実施体制、HACCPの仕組みの導入等が有効という指摘もあった。
 食品の安全を実現するためには、食品リコールだけに頼るのではなく、これらの製造事業者の生産時、出荷前の安全対策の他、流通段階での安全対策と総合的に取り組むことが
有効である。
 9ページに入りまして、「5.おわりに」になります。
 食品は重大事故が一旦発生してしまうと、リコールだけでは、消費者を事故から十分に守ることは難しい。それは、食品が比較的短期間に消費されてしまうことや、個体差があるので事故との因果関係の特定に時間を要したりする等の食品の特殊性によることが理由と考えられる。
 このような特殊性を踏まえ、食品事故から消費者を守るために、事故の拡大防止を図るより効果的なリコールのあり方について検討する余地があると考えられる。
 具体的にそこに項目を挙げましたが、(1)といたしまして、事故情報・不具合情報の一元的収集体制の整備。
 (2)といたしまして、健康危害の度合いによるリコールの判断基準、実施方法、実施主体等の明確化と迅速性の確保。
 (3)といたしまして、再発防止に向けた食の安全という観点からの総合的な取り組みの強化。
 (4)といたしまして、食品表示法に、安全性に重要な影響を及ぼす場合には回収命令の規定が入ったことを受け、施行令(政令)、府令、ガイドライン等における表示誤記などによる回収規定の整備が必要。
 なお、リコールへの自主的な取り組みのためのガイドラインや国内・国際規格の策定、法令運用の改善などのリコールの効果を上げる方法の検討、さらに、事業者、行政のそれぞれの責務を定めた包括的な法整備の課題の検討も必要との指摘もあった。以上、としております。
 ちょっと長くなりましたけれども、かなり変えておりますので、全文を読ませていただきました。よろしくお願いいたします。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 この整理案につきましては、皆様の御意見を、事務局のほうで努力してかなり盛り込んで書いてあると思いますので、議論をしたいと思います。
 時間もありますので、議論を幾つかに分けて進めたいと思います。まず、「はじめに」から3の「食品リコールの考え方」、3ページから5ページまでの範囲で議論して、その次は4のところ、最後に5という、3段階に分けてやりたいと思いますので、よろしくお願いします。

○中嶋委員 ちょっといいですか。抜けがあるように思います。

○松岡座長 どこですか。

○中嶋委員 リコールの主体について、これは私もチェックをする段階で、ふだんから言っておりながら漏らしたのです。今、改めて気がついたのですけれども、8ページの最後の段落をごらんいただきますと、「食品リコールだけに頼るのではなく、これらの製造事業者の生産時、出荷前の安全対策の他」とありまして、「流通段階での安全対策」、こういうふうに入っているわけです。
 今、基本的にはここでは主体はメーカーさん、食品事業者になっています。ところが、流通段階となると販売者が入ってきます。そうすると、蒸し返すようで申しわけないのですけれども、リコールの主体をどこかに入れておく必要があると思うのです。そうしないとこの文章が生きてこないと思います。

○松岡座長 そこのところは、ここのところの文章の修正で、主体がどこにあるかが明確になるのですかね。

○中嶋委員 どこかに入れないといけないだろうと思って、申し上げました。

○松岡座長 わかりました。では、1から3の中で該当するところがあったら、また御意見を出していただければと思います。
 片山委員、どうぞ。

○片山委員 3ページの「リコールの考え方」、これは「定義」というふうに書いたほうが明確ではないかと思いますが、そこに「製造事業者等が製品を無料で交換や修理・回収すること」というのがある。ここに微妙にリコールの当事者が出ていますが、不明確なままです。下の参考のところには、輸入事業者、流通事業者を含む形で定義されているので、ここのところで明確にするのも一つなのではないかと思います。

○松岡座長 中村委員、どうぞ。

○中村(晶)委員 今の主体のところで、事前に少し意見を書かせていただいたのですけれども、ヒアリングの際には、どうしても製造業者さんの責任が基本考えられているようで、流通事業者が販売者として自分も一時的な責任を負う、法的責任を負うはずのものだというところに強い御姿勢をお持ちでないように感じました。そこが問題だというふうに思います。今、御意見がお二方から出ましたので、そこのところも含めて記載していただければと思います。

○松岡座長 2のリコールの考え方というのは、この検討会での考え方というとらえ方ですね。

○原事務局長 そうです。

○松岡座長 ということは、ここで主体がどこであるかということを言ってしまっても構わないわけですね。

○原事務局長 はい。

○松岡座長 これに関して何か御意見は。

○中村(均)委員 主体がメーカーだと考えられているというのが現状でしょう。それに対して、流通業者も負うべきであるというか、関連するべきであるというのは、これはあくまでも我々としての課題提起だから、分ける必要があると私は思います。
 それに付随して話させていただいてよろしいですか。3と4のところは基本的に実態を書いているはずです。というか、調査した結果。ところが、そこに主体についての考え方とか、要するに考察の部分が幾つかまぎれ込んでいるわけです。だから、すごくわかりにくいのです。
 例えば、事前に読ませていただいたときに思ったのは、ずっと実態が書いてあるのですけれども、「食品リコールの特性」のところで、最初から、「健康危害を引き起こすおそれがあることから、その回収には迅速性と徹底性が要求される」と、我々の考察みたいなことが書いてあるのです。それから、5ページの一番下、「共通性でいえば、消費者への情報周知が課題である」、これもまた考察を書いてしまっています。先ほど中村委員が言われたように主体のところも考察を書いているから、実態を書いているところと、それを受けて考察するところは、分けて書いたほうがわかりやすい気が私はしています。

○松岡座長 中川座長代理、どうぞ。

○中川座長代理 だんだん私も自分の疑問がやっとわかってきたのですが、リコールは何ですかという話が2番と3番の冒頭に出てきます。3の(1)というのは整理ですね。こんな種類があります、こんな言葉遣いをしますと、最初のとっかかりが2番ないし3番の前半で、議論の順番としては、その次に4の実態があって、今、中村委員がおっしゃった、その次に我々の食品リコールに対する考え方がある。今、4と5の間にはないけれども、4ダッシュのようなものが、今の3の後半、4ページの(2)、こういう特性があるのだから、このようにすべきであるという、こうこうすべきであるという評価を含んだものが独立の項目としてあって、最後に「おわりに」ということです。いろいろなものがごちゃごちゃ書いてあるので、ちょっとこれはわかりにくいという感じですが。

○松岡座長 その辺が分析と意見とが一緒に入ってしまっているから、なかなか難しいのかもしれません。分析で3まで来てしまえば、4の次に5で意見を集約して、6でまとめる。そうすると、すっきりするということですね。
 そうしますと、即、今ここでそれをつくるわけにはいかないですから、ここに記載してあることはここで審議していただく。その後、修文は私のほうにお任せいただいて、それを整理した形でつくらせていただいて、最終報告書としてまとめていきたいと思います。そういう前提で、この調査会の総意としましては、リコールの主体としては事業者のほかに流通の方も入ることを、強調しておくべきだということでよろしいですか。
 齋藤委員、何か。

○齋藤委員 今のことは重要な指摘だと思いますが、そこが整理されると、多分ここも変わると思うので、指摘しておきます。5ページの下から3行目、「回収が起こる場は、製造、流通、販売、家庭においても生じる」。これが食品リコールの特性として考えられるとして書かれていますが、これは何も食品だけに限らず耐久消費財でも同じではないかと思います。今の整理ができると、多分これは修正されると思います。

○松岡座長 戸部委員、どうぞ。

○戸部委員 私も5ページの下から3行目、「回収が起こる場」というのがよくわからなかったのですけれども、ここは主体のことを言っているのか、それとも、回収の契機となる不具合が発生する場面のことを言っているのか。ここを明確にしないと多分わからないと思います。

○松岡座長 私の理解では、不具合の発生する場だと思っていますが。

○原事務局長 事務局の整理としても、不具合が発生する場ということです。委員によっては、家庭というところを消してこられた方もあったのですが、こちらとしては、不具合を発生する場と考えております。

○戸部委員 であれば、そのように書いていただく。回収が起こる場というのは、何のことかよくわからない。

○松岡座長 わかりました。
 ほかにございますでしょうか。
 澁谷委員、どうぞ。

○澁谷委員 5ページの2行目、「短期で消費されてしまうものから、2~3年の間」となっていて、「したがって」と書いてありますが、2~3年というのは、短いのではなくて長いのですね。短期間で消費されてしまうから判断を早くしなければいけないという、そういう文脈だと、前の文章と後ろの文章のつながりが悪いような気がします。「要する時間が短いことが多い」とか、そういう表現ならわかりますけれども、2~3年と書いておいて「したがって」というのは、ちょっと文章のつながりが悪い気がします。

○中嶋委員 この2~3年というのは、缶詰のことを意識されたのですか。

○原事務局長 そうです。

○中嶋委員 それ以外のものは、言ってみたらレトルトとか、普通の加工食品でしょう。そこをちゃんと書いてしまえば、通常の加工食品は、「周知から終了判断に要する時間は短い。ただし、缶詰等に関しては2~3年のものもある」というふうにはっきり書くほうが親切でしょうね。

○松岡座長 そうですね。私も読んでいて、つながりが非常に難しいなと思ったのですが。

○中嶋委員 国語的には、「したがって」が適切でないのです。国語の試験ではこれはバツですよ。

○松岡座長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 「2~3年」というのが本当に調べられたのかなと思うのです。もっと長い缶詰がありそうな気がしますが。

○原事務局長 防災用などは5年です。

○齋藤委員 そうですね。要するに、缶詰のように長期とかにすれば意味は十分通じると思います。

○松岡座長 年数を書かないほうがかえって明確ですね。では、そのように修文をお願いいたします。
 1~5ページのところで、ほかにございますか。

○中川座長代理 2点ですが、4ページの(1)マル1、マル2の対比なのですけれども、自主リコールについては何件だという件数が書いてありますが、法令に基づくリコールの場合は特に書いていない。ほとんど起きていないというか、なされていないのかもしれませんが、そこも一応書いておいたほうがいいのではないかと思います。片方だけメンションがないというのはバランスが悪いですので。
 もう一点は、これは後からも出てくるのですが、(1)のマル2のところ、自主リコールで、「コンプライアンスの観点から」という記述があります。これは、わかったような、わからないような言葉で、これは何を意味しているのか。コンプライアンスは何かを守るということですけれども、法令遵守という意味であれば、法令違反というところに吸収されますし、それ以外の業界の自主ルールとか、何をコンプライアンスするのかという目的語がないので、何のことやらわからないのではないかというのが2点目の疑問です。

○松岡座長 この辺については、委員の中でも御意見がありましたか。

○原事務局長 ここについては、委員の皆様、全員ではありませんが、「ブランドイメージの低下をおそれて」という言葉で提言がありまして、ブランドイメージという言葉を使うのが適当かどうかと思って、それも含み込んでこの表現にしています。おっしゃるように、確かにコンプライアンスの中には法令遵守の話も入るので、ここに置くと確かにちょっとおかしいなとは思います。

○松岡座長 ブランドイメージとちょっとずれてきますね。

○原事務局長 7ページにはブランドイメージという言葉を使っています。

○松岡座長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 コンプライアンスというのは法令遵守だけではないと、今、一般的に言われていることで、どちらかというとそれ以上のものを求められています。もし細かく書くのならばもう少し解りやすく書くけれども、ブランドイメージとはちょっと違うのではないかという気がします。日本語的に訳したほうがいいのかなとも思います。

○齋藤委員 「企業の信用」にしてはどうですか。「信用を確保するために」と。

○松岡座長 そうですね。

○中嶋委員 ちょっとずれていると思いますね。ブランドイメージというのは販売のためのものですから、社会的責任とはかなりずれてくる。コンプライアンスはどちらかというと社会的な責任。

○原事務局長 7ページに、「社会的影響」としてマル4で「コンプライアンスや企業のブランドイメージ」という言葉を使ってはいます。

○松岡座長 「企業の社会的責任の観点から」というのはそぐわないですか。コンプライアンスよりはもう少し広いのではないですか。

○中嶋委員 そこはコンプライアンスに関係することであって、ブランドイメージとは違うと思います。

○松岡座長 両方あるのか。

○中嶋委員 そういう意味では、コンプライアンスのところは、社会的な責任と企業のブランド、企業の存続のためのもの。ただ、実態はブランドイメージですね。

○松岡座長 戸部委員、どうぞ。

○戸部委員 確かにブランドイメージなのかもしれないけれども、実態としては、健康に影響はないけれども、法令に照らすとグレーだからという場合に、どっちに転ぶかというと、やっぱり法令遵守のほうが大事だねという判断になる。そういう状況のことをここで言っているのではないですか。

○松岡座長 佐竹委員。

○佐竹委員 最近多いのですが、ちょっとした異物が混入しているということで自主回収されている場合がよくあります。こういうのはまさにブランドイメージというか、企業の信用性に基づいた自主回収ではないのかなと思います。ですから、7ページに書いてある「コンプライアンスや企業といった」、これをそのまま持ってきてはいけないのですか。その両方があるように思います。

○松岡座長 では、後ろとの統一で、そのままそっくり持ってきてしまったほうがすっきりすると思います。

○原事務局長 はい。

○松岡座長 ほかにございますでしょうか。

○中嶋委員 5ページに「以下に述べる」というのがありますが、これは、中村委員が言われた考察の部分がかなり入ってきているのかなと思います。食品リコールの特性ですけれども、「アレルギー体質の有無による健康危害は、食品に特徴的であり、アレルギー対応には万全の体制が必要である」、これは食品会社から見たらまさにそうでしょうけれども、本当はいろいろ議論があるところですね。というのは、発症する人と発症しない人がいるわけで、これは社会的にどうすべきかというのは、本当はもっと議論していかないといけないことなので、万全の体制が必要であると大括りにしてしまうと、ちょっとしんどいかなと。ここは考察の部分がかなり入っているので、ここは考察なのだろうかなというふうに思いました。

○松岡座長 齋藤委員。

○齋藤委員 今のところの1つ上のポツですが、「健康危害の現われ方は、個人の体質や体調、感受性の違いにより~一定ではない」というのと、下のアレルギー体質云々がかぶっているようなので、「例えばアレルギー体質」というような言い方にすれば、上のほうに包含されてしまうのではないかと思います。

○松岡座長 ただ、ちょっと難しいのは、アレルギーではなくても、体調や体質で影響が起きる場合と、起きない場合があるということで、正確には2つ分けておいたほうが明確だと思います。

○齋藤委員 上のポツと並列で書いているような感じがする。

○松岡座長 ある程度並列だと思うのです、意味的にも。

○齋藤委員 個人の体質ではないのですか。

○松岡座長 アレルギーのある体質と、上の場合は、アレルギーがないときでも、そのときの状況とか微妙な個人の差でもってあらわれるものがあると。

○齋藤委員 それでしたら、体質の後ろにアレルギーとか別のケース等と書いておけば、下のポツはこれと別のことを書いてあるのかと思う。

○松岡座長 田澤委員。

○田澤委員 アレルギーというのは、食品のときに、そういう体質を持っている人からしてみればとても大きいことで、リコールのときの危害という考え方からすると、表現は別にして、別項目として立てるのが適切ではないかと思います。

○松岡座長 ですから、ここのところはできるだけ客観的な特質を記述する形にしておいて、後でつくります考察のところで、そこの対応はどうするか、どういう必要があるかということを書き込む形で。

○中嶋委員 「個人の体質」とありますが、製品でこういうことが起きるかというと、実は起きています。漆です。漆にかぶれる人は、漆器にやられてしまうので、あれは避けないといけない。ハゼとかそういうのもそうです。だから、体質によって発症するものと、そうでないものというのはあります。そうすると、アレルギーというのは体質ですね。ただ、何が違うかというと、アレルギーが原因で死ぬことがあるんですね。そこをどういうふうに取り扱うかというのは大事なことだと思います。漆にかぶれて死ぬ人は余りいないと思いますが。

○齋藤委員 「また」と並列にせずに、「特にアレルギー体質は」とか書けば、上からつながって読めるのですが。

○消費者委員会小幡委員 おっしゃるように、健康危害、個人の体質の中にアレルギー体質というのはございますので、「また」というのを「とりわけ」としてはいかがでしょうか。食品の場合、さまざまなアレルギー関連の問題が多いので、漆とかも確かにありますが、食品の場合に、アレルギーというのを特に出していく意味はあるという感じがします。「とりわけ」という感じでいかがかと思います。

○松岡座長 どうもありがとうございます。そうすると、アレルギーは特徴的に取り上げておいたほうがよろしいということで、書き方は整理させていただきたいと思います。

○中川座長代理 そうしますと、ここでは、アレルギー体質の場合の食品に起因する健康被害は、特に重篤になることがあるということが言いたいわけですね。漆とかアクセサリーもアレルギーはありますけれども、食品と違って、それで亡くなることはまずないだろうと。食品の場合は、重篤になる、だから万全の体制ということを言っておかないと、それが抜けている感じがします。食品に特徴的というと、ほかはないのかという揚げ足取りになりますから。

○松岡座長 ほかにございますでしょうか。
 整理がなかなか難しいですが、今までの御意見をもとに整理させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、6ページから8ページまで、4のところでお願いいたします。
 澁谷委員、どうぞ。

○澁谷委員 (1)の下から4行目ぐらいのところに、「主として医療機関から保健所に入ってくる」という文章があります。これは担当に確認したのですが、実際、消費者本人から直接保健所に入ってくるほうが多い。飲食店の食中毒などは確かに医療機関から入ってきますが、製品については、実際は消費者本人から直接入ってくることが多いということで、ここのところを直していただけたらというふうに思います。
 その下の「(2)判断基準の現状」というところで、マル1に健康危害の程度、マル2に法令への抵触と分けてありまして、マル1の1)に、「法令違反でもあるため回収される」という表現があります。ここは法令違反のことは言わなくても、次のところで言っているので、不衛生や食中毒であればこれは回収するのであって、「法令違反であるため」というのは要らないし、どうしてもつけたいというのであれば、「法令違反のために回収される」というのはそういう表現かなということで、せっかく危害の程度と法令の抵触というのを分けているので、そこのところは少し整理をしてもいいのかなと思います。
 次の2)のアレルゲンの表示漏れのところは、先ほども議論がありましたけれども、読み方によっては、アレルギー患者の皆様は差別されているというふうに感じる人もいるのではないかと思います。この文章を書いた背景には、アレルゲンのない人の手元にあるものも回収されるのが無駄だというふうに思っている人たちがいる、ということでこの表現が出てきている可能性があるのですが、実際アレルギー表示のものを回収するということは、選択的にやるというのは全然意味がない。市場から全部なくさないと、最初に買った人にアレルギーがあるか、ないかというのは全然関係ないわけなのです。
 ということで、全てこれは「回収するのが不可能だから」ということではなくて、全部回収する必要が本来あるのです。アレルギーのない人の手元にあるものも回収しなければいけないわけなので、この表現は変えていただいて、選択的に回収することは意味がないことで、全数回収の対象とするのが前提なので、アレルギーの患者さんが読んでも、自分たちが差別されているというふうに思わないような表現にしていただいたほうがいいのではないか。そういう感じを受けました。
 その下の法令への抵触のところですが、2つ目に、期日を短く記載した場合というのがあります。これはやはり聞いてみたら、短くした場合は法令違反ではない。つまり、賞味期限というのは、何日までというのをそのメーカーが決めればいいわけです。ですから、それより短かったら別に法令違反ではないので、一括して法令違反というふうにしてしまうと、この文章全体、無理があるのではないかというふうに思いました。長ければ違反ということになるでしょうけれども、短い場合は法令違反ではないのではないかというのが大勢の意見でした。
 次の異物混入ですが、異物混入というのは大変難しくて、異物混入がイコール法令違反ではない、異物が法令違反かどうかというのは、そのケース、ケースによって大変難しいということでした。ですから、「法令違反ではないが」という書き出しになっていますが、法令違反の場合もあるし、そうでない場合もあるわけなので、法令違反ではないがというふうに言い切ってしまわないで、異物混入が確認できた場合、法令違反でない場合も回収することがあるという表現のほうが受け入れやすいのではないかと思います。
 というのは、例えば保健所に消費者から、これは異物だというふうに製品のコゲなどが持ち込まれて来ます。焦げているというのはもともとある成分が変化したものですが、消費者にとって異物に見えてしまうと、「それは異物だ」といって保健所に持ってくるわけです。それ自体は別に健康に被害があるものではないもともとの成分のものであっても、消費者が異物だと言えば異物として来ることになってしまう。例えば、前の残ったものがはげ落ちるとか、異物として混入する背景が問題。異物そのものが問題という場合もありますし、それが混入する背景が問題という場合もあるので、異物混入というのは、簡単に「法令違反ではないが」というふうに括ってしまわないほうがいいように思います。

○松岡座長 確認ですが、アレルギーのお話ですが、ここでは事例があると書いてあります。実態的にはアレルギーのようなものがあった場合、全部回収すると考えてよろしいのですか。

○澁谷委員 事例があるというのは、ちょっとよくわかりませんが。

○松岡座長 そうしますと、澁谷委員、ここの書き方で何か御提案はございますか。

○澁谷委員 ですから、最後の2行ぐらいのところは、健康の危害ということで、アレルギーで「回収等の対処が必要である」、ということまででよいのではないかと思います。このつけ加えがあるのは、アレルギーがない人のところのものは回収しなくてもいいのではないかと思っている人たちがいると、多分、こういう表現が出てくると思うのです。そうではなくて、アレルギーがあるなしにかかわらず、これはやはり回収しなければいけないものだというふうに考えたほうがいいと思います。

○松岡座長 そうしますと、「選択的な回収」とか、「現実的には不可能」とか、その辺の文言はなしで、はっきり言い切ったほうがよろしいということですね。

○澁谷委員 はい。

○松岡座長 戸部委員、どうぞ。

○戸部委員 今のアレルギーの部分ですけれども、原則法令違反なので回収しなければいけない、そのお話はわかりますが、消費者がその情報を見たときに、自分は食べても大丈夫だからといって回収に応じない、それは構わないという理解でいいということなのでしょうか。私は、この商品はアレルゲンが入っているけれども記載が漏れている、そういう情報は全員に行き渡らないといけないと思いますけれども、そこから先は、回収しなければいけないというと、必ずしもそうではないのではないかと思っていまして、それは今後の議論なのかもしれないですが。

○松岡座長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 すべてのものが、その後どう対応するか、消費者はそれぞれ別々ですから、それはどうしようと勝手、というと変な言い方ですけれども、それは自分で選んでやることであって、やはりここに書くのは、「迅速な周知と回収の対処が必要である」ということで終わるべきだと私は思います。

○松岡座長 中村委員、どうぞ。

○中村(晶)委員 今の部分は4の「現状と実態」というところで、澁谷委員がおっしゃったことは、こうあるべきという方向性の問題だと思います。現実にここのところの、「選択的な回収は、現実的には不可能なため」というのは、ヒアリングのときにどなたかから出たのでしたか。事務局長、いかがでしたでしょうか。

○原事務局長 これは今回、委員から意見として出てきていた言葉で、「選択的な回収」という言葉を使ってうまくわかるかなというのもちょっと考えつつ、選択的な回収という言葉は残していますが、表現は事務局として加工したところがあるというのが実際です。皆さんで議論していただいて、一番いい表現をとっていただければと思います。

○中村(晶)委員 ここは現状と実態が書かれればよいので、澁谷委員がおっしゃったことと戸部委員がおっしゃったことは、別項目にしていただいたらいいと思います。
 私は、一部の方にアレルギーが出るものについて、必ず全部を回収しなければならないと言い切れるかということについては、やや疑問を感じているところなので、ここのところは後で議論をしていただければというふうに思います。

○澁谷委員 ここは、後の行は要らなくて、「対処が必要である」まででいいと思います。だから、選択的に回収するということは意味がないというふうに思っています。

○松岡座長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 選択的に回収というのはすごく危険で、一旦うちに入って、自分が買ったけれども家族の人は知らなかったとか、いろいろな場合があるので、できる限り回収する必要があり、消費者は回収に応じるべきだと思うのです。いろいろなことが考えられるので、基本的には、こういうミスがあったときにはきちんと回収するということが書かれるべきだと私は思います。

○松岡座長 中嶋委員。

○中嶋委員 議論を戻したいと思います。ここの大前提は表示漏れなのです。アレルゲンの表示をすることがとても大事なわけで、家族もアレルギーを持っている人と持っていない人がいるわけです。アトピーであったり、そうでなかったりするわけですから、お母さんが買って入れておいた表示漏れのものを、黙って子どもが食べてしまったら、これは確実に発症するわけです。そういう意味では重きを置くべきところは表示漏れであって、「回収すべき」が問題はないと思います。それ以上の議論、社会的にはどうしましょうかというのは、別途ここで議論をしたほうがいいと思います。

○松岡座長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 先ほどどなたか言われましたが、ここは現状どうしているかを書いているわけです。したがって、マル1の1)、ここだけに「必要である」というのが出てくるとおかしい。あとはみんな、何をしている、何をしているという事実が並んでいます。ここは恐らく、全部回収しているのではないでしょうか。それに対応しない部分をどうするかという話は別にあるでしょう。やっていないという事実がない以上は、回収しているというのが正しい情報だと思います。

○松岡座長 原則としてはそういう対処をしているはずですから、そうやっていると。もし議論をするのでしたら、次の新たに設ける章で、この辺の議論が出ましたということで、ここで貴重な考え方が幾つかあったので、それを必要に応じて記載すると。うまくできなかった場合は御容赦いただきたいのですが、そういうことで対処したいと思います。
 ほかにございますか。
 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 6ページの最後の行ですが、原料原産地の表示ミスと重量割合の記載順序ミスと、両方とも同じように書かれています。原料原産地の場合は非常に悪質なものもあるので、これは表示ミスというより、誤表示とか何か違う形で書いていただきたいと思います。

○松岡座長 わかりました。ここは誤表記ということで対処したいと思います。
 それから、先ほど出ました日付を短く記載してしまったというのは、この辺はどう書きかえましょうか。日付が短い場合には法令違反ではないということで、別に回収しなくてもいいようですが、ここの書きぶりだと「法令への抵触」の中に入ってしまっています。

○中嶋委員 本来の日付よりも短く記載してしまったと誰が判断するのですか。企業、製造メーカーですね。こういうことが実際に起きていて、例えば消費期限を去年の日付で入れてしまったといったら問題でしょうけれども、それ以外のものは、本当にこういうことが問題になるのだろうかというふうに逆に私は思います。

○松岡座長 表面に出てきませんね。

○澁谷委員 ですから、これは法令違反ではないのです。

○中嶋委員 そうですね。ですから、問題として出てくるのか。

○中川座長代理 こういうヒアリングでの発言があったのですか。短くしたのがわかったので回収しましたと。それとも単に貼りかえたのか。どなたがおっしゃったのでしたか。

○中嶋委員 通常、あるロットというか、大量につくっていますね。それを全部流してしまうとなかなかうまくさばけないといって、ある程度ロットを分けて流していくときに、想定していたよりもはけていくのが遅くてこんなことが起きる、みたいなことはあるのかもしれないけれども、これは全部メーカーさんの中の話なので、表には絶対出てこないはずなのです。

○佐野委員 長くしたときが問題。

○松岡座長 問題なのは長くした場合ですね。だからここは、本来よりも長くしてしまったと書いておけば。

○澁谷委員 長いのは違反ですけれども、短いのは違反とまでは言えないのでは。

○松岡座長 では、そういうふうに逆の表現で対処いたします。
 ほかにございますか。

○中村(均)委員 6ページの最初の情報収集の体制のところです。私だけが混乱しているのかもわからないですが、加工食品、調理商品、生鮮商品の話がごちゃごちゃになっている。例えば、焼き肉屋で問題が起こったものだったら特定できるから、保健所に言ったりしますね。ですが、加工食品だったら、それが原因かどうかなんてなかなかわからないではないですか。だから、加工食品と調理食品に分けて表現していかないと、ごちゃごちゃになっているのは私だけでしょうか。

○松岡座長 戸部委員、どうぞ。

○戸部委員 ここのところは情報収集の場面なので、原因は特に論じなくてもいいのではないかと思います。要するに、具合が悪くなったらどこに言いますか、おかしなものを見つけたらどこに行きますか、という話なので。

○中村(均)委員 原因のことに触れているのではなくて、自分が消費者側に立ったときに、調理食品だったら、特別食べたものだから、保健所に言ったりお店に言ったりというふうに、情報収集の体制と言うまでもなくて、情報というのは流れているのではないか、現実問題として。加工食品の場合は、いろいろなものを食べている中でそれに特定されるというのは、非常に難しいというのが現状ではないかと思っています。だから、そこを表現しておかないと、行政の場合、事業者の場合でちゃんと入ってくるように書いてあるけれども、実は消費者というのは迷っているのではないかと思うのです。
 私が体験したのは調理食品であって、実はその店はそれが原因でつぶれてしまったのですが、それだって我々が保健所に行くまで3日か4日かかっているわけです。その辺の現実を書いておかないと課題として出てこない気がします。そういう意味なのです。

○松岡座長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 ここには食品リコールをと書いてありますが、調理の場合はお店ということですね。それは食品リコールと言うのですか。

○中村(均)委員 それは今回のテーマからは除外ですか。この前、例えばユッケとか、いろいろな話が出ましたが、あれは違うのですね。

○佐野委員 私はここには入らないと思いました。

○中村(均)委員 それならオーケーです。

○松岡座長 佐竹委員。

○佐竹委員 今のお話ですけれども、加工食品の場合は、ここに名前が出てこないのですが、行政の場合、私どものような消費生活センターによく情報が寄せられます。お菓子も含めていろいろな加工食品の中に、食べたらこうなったとか、お腹をこわしたとか、異物が入っていたという情報はたくさん寄せられておりますが、私たちは全てを保健所につなぐばかりではないのです。中にはメーカーに直接センターからつないで、テストをしていただいたり、原因を究明していただくということもありますので、消費生活センターが情報収集の体制の中に入っていないのが少し残念だなと思いました。

○松岡座長 消費生活センターのところはここに盛り込むことが可能ですか。

○原事務局長 可能です。

○松岡座長 では、そこを追加して。

○原事務局長 はい。

○田澤委員 ちょっと確認していいですか。佐竹委員、基本的にそういう場合、もちろん事業者にもつなげるけれども、「必ず保健所に」と言いませんか。危害であったり、異物混入の場合も、とにかく口に入るものについては、センターの窓口でやる場合もあるけれども、同時並行、必ず保健所にと言いませんか。入れることをどうのこうのという意味ではなくて、そこだけ押さえておきたいので。

○佐竹委員 全て保健所にとお伝えしていることばかりではないと思います。選択肢として保健所に言っていただいたり、メーカーに言っていただいたりしています。中でも実際に食品で健康被害が起こったという場合は、先ず保険所とメーカーの双方に連絡することになりますが、異物混入などの場合、健康被害が実際に起こっていない状況で相談が入ることも多いので、そのような場合は、先ずメーカーに連絡をする場合が多いと思います。また、健康被害が起こっていない場合は、相談者がセンターに相談する前に、自らメーカーに連絡をしているケースも多いと思います。異物混入などの食品は、それをメーカーに言うと事故品をメーカーが持っていき、メーカーがきちんと調査するか分からないので嫌だという方には、保健所のほうに持っていってくださいと言う場合があります。ただし、生鮮食品や外食で健康被害が起こった場合はすぐに保健所に連絡をしています。生鮮食品ではない加工食品で健康被害にない場合は、保健所に全て連絡するのではなくて、メーカーにつないでいることのほうが多いです。

○松岡座長 中嶋委員。

○中嶋委員 ここは実態の話ですけれども、いわゆる食品の場合の事故の収集、これの一番の問題は、他の国と日本とを比べると、食品事故の発生件数は、日本は圧倒的に少ないです。3ケタぐらい小さい。アメリカだったら年間に4,000~5,000人、食中毒による死者が発生していると言われます。数字は確かでないですが。それに対して日本は10人いるかいないかです。5年ぐらい前はゼロというのもありました。フランスはというと500~600人。イギリスもそうだと。それに比べ、日本はなぜこんなに少ないのか疑問です。
 アレルギーによって例えば死亡した人が出たとしたら、これは食品事故に含まれているのかというと、含まれていない可能性が高いです。ということは、食品事故に関しては情報の収集体制がきちんとできていないと考えられる可能性はあると思います。ですから、例えば私たちがお腹をくだしましたといって行った場合、これは食中毒だなとお医者さんが判断をしても、保健所に必ず報告しなさいというふうにはなっていないですね。

○澁谷委員 なっています。

○中嶋委員 なっているけれども、していないのではないですか。

○澁谷委員 なっています。

○中嶋委員 なっていますが、行っていないでしょう。

○澁谷委員 いえ、来ています。

○中嶋委員 ても、件数が少な過ぎます。

○澁谷委員 そんなことないですよ。

○中嶋委員 私に言わせると、そこで止まってしまう。

○澁谷委員 ちょっといいですか。行政的、法律的に食中毒とするかについて、食品有症苦情というのがあります。つまり、食中毒と判断するためには、菌の証明を原因施設、食品、患者ときちんと証明をして、そのタイプが一致しないと食中毒としての行政の命令がかけられないことが多いのです。検査をする検体がとれないとか、いろいろな状況で、黒に近い灰色ですが断定できないような場合が間々あります。そういうときは有症苦情という形で指導し、食中毒という行政的な処分をしない可能性があります。

○中嶋委員 それは保健所に報告が来ているわけですか。

○澁谷委員 もちろん。保健所がその調査をするのです。

○中嶋委員 保健所はそういう有症苦情を集めて公表していますか。

○澁谷委員 もちろん、食中毒かどうかは最終的に保健所が判断します。食中毒の件数と先ほどおっしゃったのですが、多分、それは死亡者数でしょう。

○中嶋委員 そうです。それを見ています。発症が2,000とか。

○澁谷委員 食中毒発症者数はもっとあります。死亡数は確かにうんと少ないです。

○中嶋委員 1けたですね。ですが、発症数は2,000とか、それぐらいありますね。

○澁谷委員 発症数は多くあります。
(参考:患者数は平成24年で約2万7千人、死者は11人、事件件数は1100件。澁谷委員調べ)

○中嶋委員 先ほど言ったアメリカの例は死亡者という話です。

○澁谷委員 そうです。日本の食中毒は死亡者が少ないです。

○中嶋委員 そうすると日本の場合は、食中毒に関しては収集体制は確実にできているというふうに判断されているわけですか。

○澁谷委員 はい。

○中嶋委員 わかりました。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 ほかにございますか。
 中川座長代理。

○中川座長代理 収集のほうは、大体話はわかりましたけれども、(1)の末尾に「一元的に管理」とあります。これは、消費者庁の事故情報の一元管理とか、あの関係は言及されなくてよろしいのでしょうか。あれは対象に入ってこないのですか。消費者庁との関係を一言入れておくべきではないか。
 2点目は、先ほどから「現状」で話題になっている(2)です。「(2)食品リコールの判断基準の現状」とありますが、これは法令リコールではなくて、自主リコールの判断基準という話ですね。それを冒頭に書いていただくことが重要。主体は恐らく企業、メーカーなのでしょうね。自主リコールというのが7ページの後ろのほうに出てきますけれども、冒頭から出されたほうがいいと思います。
 その上で、先ほど澁谷委員から出たことで、まだわれわれが整理していなかったものがあったと思います。7ページの一番上の異物混入をどう書くかというのは、結論を決めていなかったと思いますけれども、異物混入が確認できたものについては、法令違反か否かを問わず回収しているというのは正しいでしょうか。その辺を確認しておかないといけないと思いました。

○澁谷委員 異物混入が確認できたものについては、「法令違反でない場合も回収していることがある」が正しいと思います。

○松岡座長 では、そのようにお願いいたします。
 片山委員、どうぞ。

○片山委員 7ページの(3)、青で付加されているところですが、ここは周知方法と回収方法の実情を書いてあるところで、回収率がこんな低いのもありますと1例だけ挙がっているのは何か違和感を感じます。回収率の現状に触れるのであれば、もう少し丁寧な記載が必要だと思いますし、この取扱いを考えていただきたいと思います。

○松岡座長 いかがでしょうか。私も、「数パーセントであった事例もあった」と書いてありますが、これは何を言いたいのかがわかりにくかったのですが。

○原事務局長 ヒアリングをしたとき、その後提出された資料だけに基づいた話なので、削除するようにします。

○松岡座長 そうすると、ここの表記方法はどういたしましょうか。事実としては確かにそういうこともあったということなのでしょうが。

○片山委員 同じヒアリングの中で、別なケースでは22%の回収というのも紹介されていますので、書くとすれば、回収率には非常にバラツキがあるのが実態とか、健康被害がないというケースの場合には、なかなか公表しても回収されないというか、応じてこないと。そこも含めて回収の実態として書かれるのだったらいいと思います。

○松岡座長 わかりました。では、そのように対応します。
 ほかにございますでしょうか。
 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 今の箇所ですが、それと同じような表現がどこかもう1か所あったのではないかという気がしますが。

○原事務局長 それは資料1の中に入っているものです。先ほど御紹介した中にあります。

○齋藤委員 食品の回収率を言うとき、人によって、消費期限、賞味期限を過ぎたものは分母から除くという方がいます。そうすると、回収率は物すごく高くなります。この間のこれは、事例紹介をされて補足で説明された分だと思いますけれども、出荷されたものを分母にしているからこんなに低かった。そこは混乱しないように注意していただければいいと思います。

○松岡座長 中嶋委員。

○中嶋委員 これは実態なので、回収率について実際はどうなっているかというのを、本当は記載しておくほうがいいのではないですか。一般論として食品の回収率、リコールについて、非常に書きにくいかもしれないけれども、実態からいくとそんなに高くないわけでしょう。それはやはり認識しておく必要はあるのではないですか。数パーセントというのもあれば、二十数パーセントのもあって、例えば消費者庁で、製品安全に関しては100%回収してくださいと言ってこられますが、食品は100%ではないのですか、と。この辺の議論はきちんとしておかないとだめだと思います。

○松岡座長 何か田澤委員がお持ちの資料では、事務局から出てきているもので、回収率が数十%台という記述がありますが。

○田澤委員 これは何でしたか。私の間違いでしたかしら。

○原事務局長 回収率について、以前の資料であります。

○齋藤委員 本日の資料には入っていないのですか。

○松岡座長 入っていませんが、以前の資料で。

○佐野委員 メールで送られたものですか。

○田澤委員 そうです。メールの中に入っていて、ちょっと読み方がわからなくて。

○松岡座長 その資料は事実が確認できていないということですか。

○事務局 そうです。

○松岡座長 わかりました。そうしますと、今までの検討の中ではまだはっきりと数値が出ていないということで、書きにくいということですかね。ただ、実態としてわかるのだったら、書いておいたほうがいいかと思います。

○中嶋委員 いや、回収率は議論をしたはずです。3割ぐらいがマックスですよという発言を私はしたことがあります。それは実態から言って、それ以上はなかなか難しい。製品の場合、いくら頑張ってもやはり75マックス、もしくは55マックス。これが現実であって、どこかでちゃんと打ち止めにするというルールをつくらないと、100回収しろと言われても企業は困ってしまうだろうと。言ってみたら、みなしで65まで行ったら、これは100回収だと。食品では、それから見ていくと、30、40であれば、これはもう100回収したと。それと同時に、ほとんどのケースは賞味期限と消費期限を過ぎてしまうので、そこで打ち止めということをやらないといけない、ということをやったような気がしますけれども、どうですか。

○澁谷委員 数字のほうはちょっとわからないのですが、先ほど言われたように、賞味期限、消費期限、回収の理由の発覚の時期、製造業者の対応能力によってバラツキがあるということは、実態として書いてもいいのではないかと思います。

○松岡座長 では、食品特有の難しさがあることを事実として書いておくということで、よろしいでしょうか。では、そういうことで。
 ほかにございますでしょうか。

○中川座長代理 8ページに、2点あります。最初の「マル1 終了時期」の末尾で、自治体によっては届け出る必要があるので、事業者単独の判断で終了することはできない仕組みとあります。本当にそんなことがあるのかなと思いまして、どこの自治体のどういう条例をもとにこういうことになっているのか。自主回収だったら、いつやめるのか、法的には当該事業者の自由なわけです。自治体がいくら言ってもそれは行政指導をしているにすぎないと思いますが、しかしこの書き方だと法的にできないと言っているようにも響くので、そこを確認したいと思います。

○原事務局長 これについては中川座長代理から御意見をいただいたところで、そういったところもあるということまで表現は、工夫はしたのですが、確かに自主リコールですから、事業者が判断をするというのが原則になります。届け出る必要があるところもある、みたいな表現のほうが正確かもしれません。

○中川座長代理 「できない仕組み」というのは、結構かたいといいますか、大きな言葉なんですね。

○松岡座長 どうぞ。

○事務局 資料4を見ていただいてよろしいでしょうか。東京都と愛知県は自主報告制度の条例が決まっておりまして、その中で下から3番目、回収を終了するときにはこちらの資料を提出しなければならないと条例で規定されております。そういうことで、この文章を書かせていただきました。

○中川座長代理 だから、提出すればいいのですね。

○事務局 はい。提出しなければならないわけです。

○中川座長代理 それだけではないですか。この案では、それとは違う書き方になっていると思います。終了するかどうか行政の承諾がなければできないと書いてあります。もちろん、指導はあると思います。しかし、それを「仕組み」と書くと、法的な義務だということになると思いますが。

○事務局 わかりました。趣旨としてはそういう意味で書かせていただきました。

○中川座長代理 「ところもある」ではなく、仕組みの辺りを書きかえないといけないと思います。

○中嶋委員 届出というふうに書けばいいのですね。

○松岡座長 そうですね。届出をしたら自動的にやめられるわけです。だから、判断は企業ができるわけです。

○消費者委員会小幡委員 「自治体によっては、届け出るよう求めているところもある」という程度でいかがでしょうか。仕組みだと確かに強いと思いますので。

○松岡座長 どうぞ。

○中川座長代理 法律的な話ですが、マル2に「行政による回収命令の場合は、命令後には、保健所による立入検査が追加実施」とあります。このタイトルは「再発防止に向けた取り組み」とありますが、再発防止に向けた取組みということは、今後、同じことが起きないようにいろいろな改善してくださいということだと思います。しかし、回収命令を出した場合の行政は、保健所による立入検査をしたというのは、実際回収していますかとか、廃棄しましたかということのチェックなのではないか。そうであればこれは再発防止ではないですね。回収命令をちゃんとやりましたかということのチェックですね。再発防止であれば、恐らく改善命令という別の命令を出すと思います。ですから、立入検査は何の検査をしているのかというところが、回収命令を確実にやったことの検査をしているだけではないかという意味で疑問に思いました。

○松岡座長 そうですね。やっている内容によっては、再発防止の内容ではないということですね。

○澁谷委員 立ち会う主な目的は、東京都のところにも書いてありますが、廃棄処分が確実に行われているかということの確認もありますが、その上を見ますと、再発防止も含めて全てこの段取りが終了したかどうかということの確認です。その場で廃棄されたかどうかの確認をするという行為だけではなく、そういうことも含めて再発防止ということが前提にあると考えていいのではないかと思います。

○中川座長代理 それは回収報告制度の場合ですね。

○澁谷委員 はい。

○中川座長代理 それはそのように書かれているのですが、その前の部分です。この行政による回収命令は、恐らく法令リコールの話ですね。今までずっと自主リコールの話をしてきましたけれども、急に法令リコールの話が出てくる。ほとんど件数もないはずで、そこで立入検査が実施されていて、それが再発防止であるというのですが、二重の意味で疑問ですが。

○澁谷委員 意味としては両方あると思います。

○中川座長代理 行政命令の場合もですか。回収命令を出した後も。

○澁谷委員 はい。

○中嶋委員 自主リコールで立入検査はあるのですか。

○澁谷委員 確認をしているということですね。

○中嶋委員 いや、再発防止に向けた対策、取組みとして。

○澁谷委員 それも含まれるということです。

○中嶋委員 リコールですと言われて、リコールをやりました。そして、立入検査します。そうしたら、どうしてそれが再発防止になるのですか。

○澁谷委員 それも含めてです。

○中嶋委員 なぜそれが含まれるのですか。リコールをやりました。このとおり回収いたしました。これを報告いたしますと。

○澁谷委員 リコールの意味が、どういうものの範囲をリコールと言っているかということだと思います。本来、再発防止までできて、その一連のものが終了したというふうに考えるのではないかと思いますが。

○中嶋委員 この報告書はそんなふうに書いてありますか。

○原事務局長 はい、書いてあります。

○中嶋委員 リコールの考え方、3ページを見てほしいのですけれども、「リコールについては、法律で定められた明確な定義はないが」、ここの一番の問題で、「広義には、危害を最小限にするために必要な是正措置のすべてを指すものと考えられる。もっとも狭義には、消費者の手元にある製品での事故の発生を防止するため、製造事業者等が製品を無料で交換や修理・回収等をなすことである」、これが定義でしょう。なぜここに再発防止が入っているのですか、リコールとして。入っているはずがないでしょう。

○原事務局長 リコールについては、これまでもずっと消費者問題の中では議論をしてきていて、再発防止まで含めて考えられています。

○中嶋委員 そんなことを勝手にやっていいんですかね。

○佐野委員 これは多分、製品と食品の違いだと思います。3ページに書いてあるのは全部製品なのです。参考のところに書いてある、リコールハンドブックにしろJISにしろ。

○中嶋委員 ですが、この本文は食品を対象にして書いてあります。

○佐野委員 そこには書かれていないのですけれども、各自治体のやっていることを見ると、再発防止のための措置というのは、ほとんどの自治体に書かれています。

○中嶋委員 回収については、回収しましたということを届け出たらそれで終わりということでしょう。安全対策については、別途やらなければいけないわけでしょう。

○佐野委員 でも、一応、回収報告書の中には書かれています。再発防止のために講じた措置、何をやったかということを書けと。それを書いていないと自治体は多分受け取らないわけです。ここに書かれている以上は。

○中川座長代理 言葉の定義としては中嶋委員のおっしゃるとおりで、リコールというのは、今、問題があるものについて問題がないようにする。当該物品についてですね。プラス、そんなものがあるのだから再発防止の仕組みをつくってくださいと。それは当然、製品であろうと食品であろうと普通にやります。今回のこの自治体の自主回収の条例はその2個をやっているのです。回収報告書という名前の中で、ついでに改善もやっているでしょう、それも報告してくださいと言っているわけですから、そこはリコールと改善という2個をやっているという整理をしておかないといけない。リコールという言葉で全部含むと言ってしまうと曖昧になりすぎますので。2個やることについては別に悪いことではなくて、当然のことですからね。
 その上で私の質問は、条例ではなくて、8ページのマル2の最初の行です。行政による回収命令というのは、食品衛生法に基づく回収命令のことで、それに限定した話だと思うのです。その場合、「命令後には、保健所による立入検査が追加実施される」といった場合のこれが、回収命令がきちんと守られたことの確認の検査のことなのか。改善命令をいわば改善指導という形でやって、それも保健所の立ち入りでやっているのかということまで含んでいるのか、ということなのです。回収命令以外に改善命令ないしは改善の指導もしているというふうに書くのだったら、まだ意味はわかる。マル2のタイトルと合うのですが、ただ、それをやっているという事例があるのか。ほとんど回収命令は出ていないのですから、書く必要はないのではないかと思ったのですが。

○中嶋委員 ちょっといいですか。論理的にはこう考えられるという書き方はあります。ですから、マル1で「リコールの終了時期」というふうに書きましたね。リコールとしてはこういうことをやらないといけませんよということで、再発防止とか安全対策は入ってこない。でも、再発防止というのは当然必要ですし、安全対策も必要だから、マル2が必要になります。ここで第1行が一番困るわけですね。これは論理的に考えたら、こういった自主検査等もあるはずだというふうに書いたほうがいいわけです。予想されるというか。この後、2つのパラグラフについては、何ら問題はないわけで、非常にありがたいというか、的確に書いてあると思います。だから、ここの第1パラグラフの書き方だけを少し修正すれば、これはこれで生きてくると思います。

○消費者委員会小幡委員 中川座長代理のおっしゃることはよくわかります。再発防止のところに書いてある以上、正確に直したほうがよいですね。法令のほうは、回収命令で命令後には立入検査が追加実施されるとありますが、これは必ずされるのですか。そこもわからないのですが。法令のところは、「必要があれば再発防止に向けて改善命令等もなされる」と追加してはいかがでしょうか。

○事務局 補足説明をさせていただきます。
 この文章を記載しました理由は、資料1の10ページの68番、東京都にヒアリングを実施した際に、「食中毒発生による行政処分の場合、改善命令後、年12回の立入検査を実施」と。この実務に基づいて記載しております。

○消費者委員会小幡委員 そうであれば、事実としてされているということですね。ただ、法令上、義務づけられてはいないと思うので、そこは「、命令後に立入検査が追加実施され、必要があれば改善命令等もなされ得る」というようなことを事実に基づいて書く。あとは、条例のほうは、自主回収報告はこのままでよろしいかと思います。

○松岡座長 それでよろしいですか。

○中嶋委員 今の2行はリコールに関連した話ですか。「食中毒発生による行政処分の場合、改善命令後、年12回の立入検査を実施」、これはリコールに関連していることですか。

○事務局 具体的にリコールということではないかもしれません。

○中嶋委員 そうだと思います。ちょっとあり得ない話なので、もしこれを入れたいのであれば、リコールの終了と再発防止ではないですね。文章がつながらないというか、思いはわかります。だから書きたいのですよ。私も書いたほうがいいと思うのです。ただ、この書き方ではやはり誤解されると思います。
 ここは、「再発防止に向けた取組み」と書いたときに、この3つのパラグラフともリコールから外れてくるのです。ただ、再発防止としては、リコールだけでは安全にならないから、流通段階での安全対策とか、出荷前の安全対策をちゃんとやってくださいということを書かないとだめです、ということを私はここで言い続けているわけです。これ、リコールとはちょっとずれている。だから、それを整理して書いたほうがいいと思います。リコールはリコールで、ここで終わっています。でも、再発防止は必要でしょう。なぜなら、各自治体は実務的に考えて必要だから、再発防止のことをみんなに要求しています。その再発防止としては、こういう3つのパラグラフが必要ですよとか、そんなことがあればいい。この1番目のパラグラフはちょっとしんどいですね。食中毒12件だから。

○中川座長代理 先ほど小幡委員がおっしゃったように、抽象化して、改善命令が必要に応じて出ますよと。リコールの場合もそうだし、自主リコールの場合もそういう話になっているというので、再発防止につなげていくという前置きの文章ですね。そのようにすればいいと思います。

○消費者委員会小幡委員 「なされ得る」という形で、その可能性もあるということでまとめていただければと思います。

○松岡座長 それでは、そういうことで整理させていただきます。
 最後に、9ページの「おわりに」のところで御意見を出していただきたいと思います。
 どうぞ、中村委員。

○中村(均)委員 「はじめに」のところで、3ページの6行目に「など全体をカバーするものとはなっていない」。それから3つ下のところに、「前提作業として全体の状況を整理しておく必要があった」。そして、「食品分野について現状を整理する」というふうに、今回の立ち位置を明確にしています。だから、立ち位置を明確にしたことについて、「おわりに」のスタートで書いておかないと、すぐポコッと入ってしまったら、各論だけで終わってしまっているという印象が拭えないのですが。

○佐野委員 私も同じで、ここでは食品のことをずっとやってきましたけれども、最初に書いたように、包括的にすべてやるということで、分野横断的、包括的なリコール基本法なり法的整備が必要である、今後検討しろという形で終わったほうが、「はじめに」と「おわりに」のつながりにはいいし、その後、続けてやってくださいということにもなるのではないかと思います。

○松岡座長 そうしますと、「おわりに」の冒頭で立ち位置のことをまず明確にして、最後のところは、包括的な法整備の課題の検討ということで、簡単に書いてありますが、そこのところでもう少し踏み込む。包括的な法整備の「指摘もあった」ではなくて、「課題も必要である」という言い方にしたほうがよろしいのか。

○佐野委員 例えば、製品とか設備、施設、役務などの分野を横断的・包括的に網羅するリコール基本法の制定が必要である。ここで、「指摘もあった」というふうになっているので、それでもいいのですが、今後、課題として検討を続けるべきであると。

○松岡座長 今後の検討が必要であると。
 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 その前の段階で、再発防止に向けた取組みの最後のパラグラフ、8ページの最後の3行、「食品の安全を実現するためには、食品リコールだけに頼るのではなく、これらの製造事業者の生産時、出荷前の安全対策の他、流通段階での安全対策と」、これは「等」ですが、「総合的に取り組むことが有効である」、こう書いてあるわけです。こう書いてあって、どうして最後にリコールの法律が必要なのか。非常におかしいですね。つながらない。
 大事なことは、リコールだけでは食品の安全は確保できないので、生産段階での食品の安全対策をちゃんととってください、これも法整備をやりましょうと。ある程度できています。HACCPの推進法までできているのだから。基本法があって、衛生法があって、JAS法があって、一番下にHACCPの推進法まであります。ある意味で今の食品についての法整備は終わっている。でも、そこの安全対策をもっときっちりやってくださいと。
 一つ抜けているのが、流通についての安全の法律がないのです。そういうものをちゃんと入れた上で、リコールも一緒に法整備してくださいというのならわかりますけれども、突然この8ページの最後に総合的にやらなければいけないと書いて、最後になぜリコールだけ法律が要るのかというのが私にはよくわかりません。

○佐野委員 私は、8ページで言っていることと9ページで言っていることは違うというふうに思っています。8ページは、この段階できちんと流通段階の販売者の責任は必要であると思います。それも含めて、ここでは食品のことをやっていて、食品だけではなく製品もそうですが、製品の販売者もまだ法律の中に入っていません。その辺りも全部含めて、きちんとした法律基本法が必要であるということを最後でまとめることに、私は、全く違和感はなく、食品であろうと製品であろうと、流通事業者もきちんと対応する必要があるということがそこで読めます。
 これから、分野横断的な基本的なものをつくって、それから各製品であったり、食品であったり、施設であったり、例えば環境基本法のように基本法があって、あれはリサイクルですが、たくさんの法律が下にぶら下がっています。そういうような形でリコール基本法をつくって、その下に食品、日用品、いろいろ並べていくという体系づくりのスタート、その検討をする必要があるということはきちんとここに書いておいていただきたい。その中に、中嶋委員がおっしゃったようなことも入るべきだというふうに読めるのではないかと私は思います。

○中嶋委員 ちょっといいですか。リコールの法律というのは、食品を安全にするための食品安全基本法の下にぶら下がっているものなのです。これが基本法になるはずがないのです。単なる一つの手段です。単なる手段を基本法にしたいというのは、法律的には非常に難しい話です。まず、食品安全基本法があります。その下に食品衛生法とJAS法があるのです。その下に、製造業者に対してはHACCPの推進法で、こういうふうにして製品、加工食品を安全につくってくださいという法律まであります。何でそこに、同じように並列にしてリコールの基本法みたいなものが出てくるのですか。リコールの法律がもし必要だとしたら、食品衛生法の下ですね。そこにぶら下がらないといけないと思います。

○松岡座長 中川座長代理、その辺の法律的な整理というのはどうなっているのですか。私どもにはわかりませんが。

○中川座長代理 私も伺っていると、中嶋委員と同じ意見です。基本法というのは、本当に大きな、全体の話です。リコールだけではなくて、再発防止も、これからこういう方向に向かっていくのに計画的にやっていきましょうというのが基本法です。しかし、いま私たちが取り上げている問題はその下の話。具体的な部分なのです。私はむしろ、問題なのは、今、食品衛生法しかリコールがないのがいいのか。法令リコールはこれだけしかないのにいいのか、自主リコールは十分にできているのか、そういう手段として十分あるのか、というところなのではないかと思いますので、レベル的には非常に具体的な話であって、基本法にはなじまないと。

○佐野委員 私は、食品だけではなくて全て網羅的に考えるべきだと思って、最初にやったのは、伝達の方法で、いろいろ問題があります。伝達の方法というのは、特に基本法みたいな形で、国の役割、自治体の役割、販売事業者、製造者、そういうことを網羅的に書いていく。食品だけのことを考えたら、おっしゃるように、いろいろ法律はあるかもしれません。でも、私は全体に分野横断的なものを一つ考えるべきではないかというふうに思います。

○中川座長代理 それだと、むしろ、リコール通則法というイメージですね。

○佐野委員 名前はこだわりません。

○松岡座長 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 今回の検討の出発点は、リコールの回収率向上というのがメインテーマだったということですけれども、それと同時に、リコールの入り口のほうも議論するべきではないかという問題提起があって、それで法整備の話につながってきたと思います。私も、包括的な法整備が必要だということを何度も申し上げてきました。被害の拡大防止ということは、今回の食品リコールに関する議論でも、ほかの製品との共通点が多いことは大体認識されたのではないかと思いますけれども、被害の拡大防止という共通の課題、製品だけではないわけですが、そういう非常に大きな課題がある。
 もう一つ、リコールに対するバラツキが非常に大きいということも何度も申し上げてきました。最近、問題になっている美白化粧品の問題一つとっても、医師からの被害症状についての連絡があっても、何年もたってから行われている。その一方で、たまたまきょう、新聞社告に出ていたケースでは、7月にドーナツとセットで販売したカレー皿に突起物があったということで、販売を一旦休止した後、さらに本日付けで社告を出して、商品販売を終了したという社告を出していますが、こういった具合にバラツキが極めて激しい。
 こういった現実を踏まえて、かつ、被害の拡大防止という広い課題を考えれば、包括的な法整備を考えることに何の違和感も私は感じない。今後の課題として、やはり掲げておくべきだと思います。

○消費者委員会小幡委員 ここは大変難しいところだと思いますが、2月に全体のリコールについて既に一回出していただいて、そこで、今後の課題というところはある程度まとめてあります。今回、時間的なこともあって、いわば別冊という形で食品リコールについての報告をつけている。そういう状況ですので、この最後の3行というのは、そこを念のために再掲したという位置づけでいかがかと思います。本来の在り方の課題については建議にも書かれております。今回は別冊ですが、一応再度メンションしておく。そのような整理でまとめていただければと思いますが、いかがでしょうか。

○松岡座長 そうすると、基本的には包括的な法整理ということで網羅している、という考え方でよろしいのではないかと思います。
 あと、私の疑問では、ここにさらに事業者、行政と2つだけ書いてありますが、ここで流通業者を入れてよろしいのですか。

○齋藤委員 事業者というのは製造事業者ですか。

○松岡座長 でしょうね。

○齋藤委員 流通事業者は。

○松岡座長 事業者の中に流通事業者も入っていますか。

○中川座長代理 はいっています。輸入も入っている。

○松岡座長 全部入っていますか。では、そういう解釈で全部網羅しているということで。

○小田審議官 そもそも、2月の最後のところにはまさにそう書いてあります。「事業者、行政それぞれの責務を発展させた包括的な法整備にかなう課題について、引き続き検討することを要望する」となっていますので、同じことをもう一度確認していただいて。

○松岡座長 そうしますと、「指摘もあった」というのは、必要ないということですか。

○消費者委員会小幡委員 そうですね。確かに指摘もあったとここであえて書くことはないので、もう少し中立的な表現でもよいですね。もう既に言ってあることですから。

○小田審議官 「改めて要望する」でもいいですが。同じことを何回も言っているということですね。

○松岡座長 では、要望が強くなるということで、「指摘」省いて別な表現にしたいと思います。
 中嶋委員、9ページの5の(3)のところで「総合的な取り組みの強化」と入れてありますので、大丈夫かとは思いますが。

○中嶋委員 そうですね。

○松岡座長 では、中村委員、どうぞ。

○中村(晶)委員 9ページの「おわりに」の冒頭の6行ですけれども、冒頭を見ますと、「食品は重大事故が一旦発生してしますと、リコールだけでは、消費者を事故から十分に守ることは難しい」と言いながら、このパラグラフの最後は「より効果的なリコールのあり方について検討する余地がある」と。これはつながっているのでしょうか。リコールだけでは消費者を事故から十分に守ることは難しくて、それはというここの理由のところもつながっていないような気がします。ここで言いたいのは、リコールだけでは守ることは難しいけれども、差し当たってリコールの在り方を、ここでは「おわりに」で検討する余地がある、1項目として挙げるということになるのでしょうか。

○中嶋委員 ちょっと提案申し上げます。いいですか。

○松岡座長 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 リコールの目的は被害の拡大の防止です。ですから、「消費者を事故から十分に守ることは難しい」と書くのではなくて、「リコールだけでは難しい」ではなくて、リコールの目的は消費者を事故から守ること、いわゆる被害の拡大の防止であるというふうに書いてしまったほうがいいと思います。それで、その後の2行はそのままつながりますね。こういう重大事故が発生した場合、食品が比較的短期間に消費されてしまうことや、個体差があるので、また、事故との因果関係の特定に時間を要したりする、こういう特殊な問題もありますということで、「理由」ではないですね。
 だから、リコールというのは被害拡大の防止である、こういう問題もありますと。「このような特殊性を踏まえ、食品事故から消費者を守るために、事故の拡大防止を図るより効果的な」と、ここがちょっと問題なのです。その次の4つにつながっていかない。だから、この2行が要らないかもしれないです。もしくは、リコールだけでなく、総合的な対策をもって事故の発生の防止と拡大を防止するための方策が下の4つである、という書き方になったほうがいいかもしれません。

○松岡座長 そうですね。下の4つはリコールだけではないということなので。
 片山委員、どうぞ。

○片山委員 もともとこの調査会でやり出したのは、リコールの食品の部分を取り上げようと。ですが、やった結果は、中嶋委員が言われるようにリコールだけでは難しいのであって、総合的な取組みも要る。結論としては、食のリコールを研究したら、食のリコールそのものの現状とそこから出てくる改善策があるし、もう一つ、リコールだけではだめだというところも出てきた。その2つが結論だと思うので、その2つを明確に分けて書いて、リコールはリコールで、佐野委員が言われるような共通の通則になるようなものをピックアップしておきましたと。もう一方では、総合的、食特有の取組みも考えてくださいというふうに、分離したらわかりやすいのではないですか。

○中嶋委員 わかりました。

○松岡座長 そうすると、片山委員、具体的には項目は4つありますが、これを分けて書いて、それに対する説明をそれぞれにつけておくという書き方ですか。

○片山委員 はい。

○松岡座長 わかりました。

○片山委員 あと、4と5の間の考察をされますね。そこのところで見えてきた2つの流れみたいなものを少し考察で分ける。

○松岡座長 考察で、今、御説明になった問題点がだんだん浮き彫りになってきたと。

○片山委員 そうすると、終わりのところはさらさらと書いていただいて。

○松岡座長 わかりました。話としては非常にクリアーになったのですが、これを文章化するのはなかなかあれですので、実質的には事務局ですが、座長一任で整理させていただくということでよろしいでしょうか。
 どうぞ。

○齋藤委員 違和感のあるところが1か所あるのです。8ページの一番下のところです。「食品の安全を実現するためには」と、大上段に言い出している割には、製造事業者の出荷前の安全対策と流通段階と、消費者の手元のことが何も書いていないのです。冷蔵庫に入れたり、いろいろあると思います。

○松岡座長 そうですね。そちらのほうも大事ですね。

○齋藤委員 それを一言入れても違和感はないと思います。これだけ大上段に書く以上。

○松岡座長 消費者のこともここに入れておくということですね。

○齋藤委員 そうです。

○佐野委員 済みません。生産時とか出荷前とか、輸入食品はどうなるのですかというのが、そういうふうになって考えていくとどんどん広がっていきます。それも書いたほうがいいのか、どうでしょうか。

○松岡座長 少なくとも消費者団体のところは入れて、あとは「等」でまとめるしかないですね。

○中嶋委員 ちょっといいですか。製品では輸入業者は製造事業者と同じ扱いです。ですから、製造事業者及び輸入事業者というふうに括ります。それから、御存じのように、流通段階というのは出てこないのです。ですが、本当はあったほうがいいだろうと。それから、消費者の手元にあるものを安全対策に入れるとすると、逆に消費者の責任を問うことになります。それが本当にいいことなのでしょうか。消費者も確かに保管しないといけない。例えばこれは暗いところ、冷たいところに置いてくださいというのを、日の当たるところに置いてというのがあれば、それは不適切ですが、消費者教育ならいいと思うのです。消費者教育もしないといけないというのはあっていいと思いますが、消費者の手元で保管するのを、このような安全対策に同列に扱うというのはちょっと違和感があります。

○齋藤委員 先ほど保管と言いましたが、要するに消費者が判断できるような管理の仕方、例えば表示が読めるようになるとかいうことも重要だと思います。そういうのも含めて、消費者のレベルアップというか、そういうものが必要だということです。

○松岡座長 どうぞ。

○戸部委員 ここの部分は、製造事業者とか、輸入業者とか、主体という表現ではなくて、生産、加工、輸送、消費、そういう段階を書いたほうがいいのではないですか。

○佐野委員 食品の安全を実現するために検討してきたわけではないので、食品リコールだけに頼るのではなく、と言うと、水際作戦など、厚生労働省の人数は足りないし、それだけでも非常に大きなテーマになります。この小さなまとめの中で大上段過ぎるのかなと。そんな気がします。

○中嶋委員 リコール基本法を考えている人がそんなふうに言ってしまったらまずいと思います。大上段にかぶったほうがいいと思うのです。

○佐野委員 ただ、それにしては中身が余りにも薄い。

○中嶋委員 そんなことはないですよ。実態的に例えば食品メーカーからしてみたら、販売事業者のところでどういうふうに食品が並べられているか。日の当たるところに置かれていたら、これは非常に危ないわけです。そういうことについて、例えば保健所の方が指導に入りますが、人数が足りないからなかなかできない。そういう意味では、流通段階での安全の担保をどうするかというのも非常に大きな問題です。
 そういう意味では、生産時、生産が終わった後、出荷前の検査をちゃんとやってくださいと。流通段階、販売段階でどうするのか。もう一つは輸送段階です。それをどうするのか。これは全部、食品の場合には、安全対策としてきちんとそれぞれの段階でやっていく必要があります、というふうに言うことのほうが私はいいと思います。ここは大上段でいいと思います。

○佐野委員 では、それはいいです。一つお聞きしたいのが、製品の場合はメーカーと輸入事業者が一体になっていますけれども、食品の場合も同じですか。

○中嶋委員 これは違っているかもしれません。

○戸部委員 商社が入ったりしますね。

○佐野委員 同じように考えるのかどうかというのが、ちょっとわかりません。

○中嶋委員 法律の中にそういうのは書き込まれていないですか。

○齋藤委員 PL法であれば、それは食品も入ります。

○中嶋委員 経産省の資料では事業者と輸入事業者というのは同列扱い。これは法律でちゃんと入っていますから。

○松岡座長 では、輸入業者は製造事業者に含まれると考えるとして。

○中嶋委員 食品の場合は、ですね。

○松岡座長 あとは、流通段階のところに流通消費段階というふうに一緒くたに入れていいのではないですか。消費者と言わないで消費段階という形で入れれば、責任がどうこうということではなく、すんなりと入ると思います。そのような修文で対応したいと思います。
 中村委員、どうぞ。

○中村(晶)委員 今の議論は8ページの最後の部分の表現ですね。8ページの最後というのは、4項の「食品リコールの現状(実態)」の最後ですので、ここに入るのはおかしいと思いますから、これを5の冒頭か何かに出していただくのはいかがか。ここで言うところの総合的な取組みが必要なことはもちろんですけれども、今回は「食品リコールの現状に関する整理」という題名なわけですし、始まりがああいうことですので、期間的にも、作業の量からしても、リコールに特化するとこういうことだという取りまとめにならざるを得ないのではないかと思います。総合的な取組みとか消費者教育とかいろいろ入れてしまうと、少し拡散するように私は思います。

○松岡座長 根本にかかわる御意見ですので、「おわりに」のところのニュアンスが少し変わってくると思いますね。
 そうしますと、4と5の間に入れるところの議論で、新たにわかってきたことや総合的な必要があるところを強調して、整理して書いて、最後のまとめのところでは、この表題、「食品リコールの現状に関する整理」というところでまとめて書いてはどうかという御意見ですね。

○中村(晶)委員 今回の報告書の題名がこうなので、余り大きく広げた結論になっても仕方がないのではないか。つまり、今回、数回にわたり、短い期間で鋭意やってきましたけれども、基本的にはリコールに焦点が当たっていたわけです。総合的な取組みが必要なことが改めて確認されたけれども、今回のこの整理の中では、リコールに重点があるんですという形にしていただければいいのではないかということを申し上げたかったのです。ですから、5項の題名は「おわりに」でも別に構わないのですが。

○中嶋委員 だから、片山委員が言われたように2つに分けて書くというのもいいでしょう。リコールについてはこういう結論で、安全対策は、各地方自治体は条例で安全対策もリコールの対策の中に入れているので、それについてはこうですよというふうに最後に書くのはいいのでしょう。

○中村(晶)委員 それはいいのです。全体の安全対策が改めて非常に大切だ、必要だということが確認された。でも、中身はほとんどリコールなわけですので、そういう収束の仕方にしていただければいいのではないか。

○松岡座長 わかりました。では、最後の5のところでそういうまとめ方にして、整理して出すということでやらせていただきます。
 そういうことでよろしいですか。非常に難しい宿題をいただきましたが、それでまとめさせていただきます。一応、これでもって議論が十分出たということで、可能な範囲で修文して作成したいと思います。この専門調査会の報告書としてまとめまして、日時が切迫しておりますが、27日、来週冒頭になってしまいますが、消費者委員会で担当委員から報告させていただくことになっていますので、よろしくお願いいたします。
 そういうことで、事務局と相談しながらやっていきたいと思います。

○原事務局長 どうも長時間、ありがとうございました。修文提案みたいなところは事務局で早急に作業いたしますので、座長には4と5の間に入る考察のところ、ここをどういうふうにしていくかというところで、お力をお願いできたらと思っております。熱心な御議論、どうもありがとうございました。
 委員の皆様におかれましては、任期2年、この8月末で本日の専門調査会は一旦閉じさせていただくということで、本日は最後になりました。4か月間に5回ということで、非常に大変な審議をお願いいたしましたけれども、中間的な整理までたどり着いたと思っています。どうもありがとうございました。お礼を申し上げます。
 消費者委員会の報告につきましては、先ほど座長からお話がありましたとおり、来週8月27日、第131回の消費者委員会で担当委員から報告をさせていただく予定になっております。
 事務局からは以上です。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 短い時間に集中的に御議論いただきまして、ありがとうございました。参考になる御意見がたくさん出たと思います。この期もこれで一応最終回ということで、皆さん長い間、前回の報告に際してもいろいろ御尽力いただきまして、どうもありがとうございました。
 時間も半で終わりの予定ですが、最後に、一言ずつ簡単な御挨拶をしていただければと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、中村委員から。

○中村(均)委員 食品という全然扱ったことのないもので議論させていただきました。いろいろと勉強させていただきました。どうもありがとうございました。

○松岡座長 中村委員、どうぞ。

○中村(晶)委員 私も、いろいろ御意見を伺わせていただいて、大変勉強になりました。ありがとうございました。

○中嶋委員 言いたいことを言って、皆さんに「ごめんなさい」です。また、佐野委員にはエールを送ります。というのは、リコール法は別にして、製品安全分野では法律の隙間がいっぱいあるのです。製品安全の法律には基本法がありません。食品衛生法に当たる部分は消安法になっているのですが、法律でカバーされている製品は全体の製品の30%~40%ぐらいのはずです。そういう意味ではまだまだ突っ込めます。私も応援しますので、よろしくお願いします。

○鶴岡委員 内閣府の自主リコール基準、リコールハンドブックの改訂などを通じまして、さらに、この期でリコールの議論をやってきたわけですけれども、何度も言いますが、バラツキが非常に目立ってきている。共通の課題も浮かび上がってきている。こういう現状に対して何らかの措置をとっていかないと、消費者の理解は得られにくいのではないかということで、今後に期待したいと思います。

○中川座長代理 大変お世話になりました。いろいろしゃべり過ぎて申しわけございません。鶴岡委員と佐野委員にエールを送らせていただくならば、リコール基本法ではなくて、リコール通則法と言われたほうが我々はなるほどとすぐイメージできると思います。

○松岡座長 皆さん、いろいろありがとうございました。できるだけ委員の皆様方にフラストレーションがたまらないように、自由な意見ということを考えてやってきましたが、どうも指導力不足か、長時間にわたって毎回やってしまいましたが、御容赦願いたいと思います。どうもありがとうございました。

○田澤委員 大変お世話になりました。リコール情報をどんなふうに伝えるかという前回の議論と、今回の食品は、ちょっとまた違った視点で見るのですけれども、頭がいつも、どうやって伝えるかというところに戻ってきてしまうところがある。なかなかなじめないところがあったのですけれども、ヒアリングでいろいろな現場のことを教えていただけたりして、また、自分の今の職業にも戻って活用できたらというふうに思います。本当にありがとうございました。

○佐竹委員 お世話になりました。ありがとうございました。私は別に食の専門家ではないので、相談の現場の視点でということでしか発言できなかったのですけれども、今回、消費者の責任を入れるのはよくないのではないかということがありました。私たちは日ごろ相談を受けておりますと、食の安全を守るにも、やはり消費者の消費者教育というのは非常に大事だと思います。合理的な意見をおっしゃる方もいれば、本当に自己の都合で、これはメーカーが悪いとか、販売店が悪いと言ってこられる方もいらっしゃいます。事故は家庭でも起こっているというところの1行がありましたね。そういうところもありますので、消費者もきちっと食を守るために取り組むべきというところも、是非、一言どこかに入れていただければと思いました。いろいろ勉強になりました。ありがとうございました。

○佐野委員 いろいろお世話になりました。ありがとうございました。既にリコールをしている製品によって、また被害が起きるのを何とか止めさせたいということで、いかに情報を伝えるかという非常に重要なところからスタートしました。それが食品に及んできたわけで、食品も同じように情報の伝え方は重要だと思います。そこはこれからもきちんと検討していくべきだし、何度も言いますが、リコール基本法ではなくて、今度は通則法。これを私は是非つくっていただきたい、つくる時期に来ていると思っています。
 長年、いろいろなところで研究会、検討会、リコールをどうするかということをやってきながら、結果が出ないまま約10年来ています。何とかするには、国の役割、自治体の役割、事業者の役割、それぞれをうまく組み合わせていくべきだと思っています。何とか事故を未然防止できるような、そんな日本にしたいと思っておりますので、皆さん、これからも頑張ってつくっていきましょう。御協力をよろしくお願いいたします。

○齋藤委員 どうもありがとうございました。私も思うところを述べさせていただきました。特に食の安全については、家庭に相当密着したものがあるはずなのに、こうやって整理しようとすると、意外と自分でも整理しにくい部分があると感じた次第です。
 それから、リコール基本法については、10年ぐらい前、中国に偽物が多いということで、官民合同の訪中ミッションに参加したときのことを思い出します。知的財産を何とかしてほしい、裁判官の育成もきちんとして頂きたいということなどを含めて中国政府にお願いに行きました。ちょうどそのとき、日本に知財基本法ができたところだったのです。知財基本法の説明をしたのですけれども、中国側からは、日本は、特許法とか商標法とか、いろいろな知財法ができて100年になるのに、何で今ごろ基本法ができるのかと聞かれたのです。ところが、知財基本法の中身は、寄せ集めの法律ではなく、人材の育成をどうするとか、権利の基本的な確保の仕方というところに重点を置いた基本法なのです。
 そういう目で見ると、今、言われている基本法は、次元を変えたところから見ていかないと、末端の寄せ集めのようなことになり、ちまちましたものになる可能性があるのではないかと思いながら、私は聞いていました。もう少し次元の高いものを目指したら、リコール基本法だとは思いませんが、何かできるのではないか。目指す姿は多分みんな共通ではないかという気がしております。

○片山委員 本当にお世話になりました。私もずっと製品事故の分野の仕事をしてきたのですが、リコールというのはどうも苦手意識があって、さらに今回の食品というのは、ああ、わからない、どうしようという、そういう気持ちだったのですけれども、ここでいろいろな情報やお話を聞かせてもらって、皆さんの意見も聞いて、頭の中が随分整理できたなというふうに思っています。ありがとうございました。
 あと、齋藤委員のお話にもありましたが、安全を確保するシステムというのは非常に奥深くて広いなというのを、改めて感じました。リコールも一つですし、リコールだけではなく、本当の意味での安全基本法という、社会全体の仕組みを考え続けていきたいというふうに思います。どうもありがとうございました。

○戸部委員 どうもありがとうございました。食品リコールについては、リコールしていますよという情報はたくさんあるのですが、その実態はなかなかよくわからなくて、どうなのだろうと思っていました。皆さんと議論をして、回収率についても、リコールの効果についても、まだよくわからない部分がたくさんある中で、こういったところで議論をすることによって、今までわからなかった部分がだんだんわかってくるのではないかというふうに今後も期待しております。この会では、皆さんの広い視野での議論に加わらせていただきまして、どうもありがとうございました。

○澁谷委員 臨時委員として、本当に短い間でしたが、皆さんのいろいろな意見を聞かせていただけて、保健所というのは世の中でどういうふうに皆さんに思われているのかという一面も垣間見えた気がいたしました。今、全国に保健所は494ございます。およそ500あると考えていただければいいですが、私どもは、感染症が端緒であることもありますし、原因不明という場合もありますが、最終的に食品が原因というものも含めて、健康危機管理の役所だと考えております。最初の端緒は、本当に何でもないようなことから大きな事故の発端だったりすることがあります。ですから、是非、保健所には皆さんのところからいろいろな情報を入れていただけたらなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。どんな情報でも、「保健所には伝えないでおこう」ではなくて、是非お知らせいただければと思います。ありがとうございました。

○消費者委員会小幡委員 座長、座長代理、委員の皆様には、本当にありがとうございました。特に任期の関係で、食品リコール問題については大変急いで議論をしていただいて、感謝申し上げます。とりあえず8月までということでございますけれども、またさまざまな機会で、消費者行政、リコール問題について御尽力をいただければと思います。本当にありがとうございました。

○松岡座長 どうもありがとうございました。
 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。長い間、どうもありがとうございました。


≪4.閉会≫

(以上)